平成20年1月30日
今年度、当小委員会においては、以下の案件について審議等を行った。
- 今年度の国際対応の状況について
- −WIPO全般の状況
- −放送条約交渉の状況
- −アジア地域等における海賊版対策の実績報告
- −模倣品・海賊版拡散防止条約構想の進捗状況
- −その他の国際動向
- 今後の国際対応のあり方について 等
主な意見等は、以下のとおり。
(1)放送条約に関する国際交渉のあり方について
- WIPOにおける放送条約に関し、各国間で多数の重要な論点で合意を見ることができず、昨年11月に予定されていた外交会議開催が見送られたことについて、多くの委員から失望感が示された。
- WIPOは、本年は、新事務局長選挙、計画予算否決問題等多くの課題を抱えていることから、放送条約締結に向けた検討の進捗については、当面は悲観的にならざるを得ないとの観測が示された。
- 他方で、放送条約の実現は依然として重要であり、WIPOでの議論を活性化していくためにも、WIPOの場のみならず、バイ交渉、その他セミナー等の各種機会を有効に活用しつつ、条約締結に向けたモメンタムの向上を図るよう、我が国は積極的な対応を図っていくべきとの意見が示された。
(2)海賊版対策のあり方について
- 昨年10月より、本格的な議論が開始された海賊版・模倣品拡散防止条約(ACTA)に対して実効性あるものとなるよう期待が示された。
- インターネットを通じた海賊版の流通問題が深刻化する中で、海賊版対策においても国内外の壁がなくなってきており(You Tubeによる海賊版を日本人が視聴する等)、国内外の対策の連携が一層重要であるとの指摘が示された。
- 途上国における海賊版による被害状況は、各国毎に多種多様であり、かつ、その対策は各国政府主導で行われていることから、我が国の海賊版対策の実効性を高めるためには、途上国各国の政府との一層の人脈作りが重要であるとの指摘が示された。
(3)今後の国際対応全般のあり方
- 国際的な著作権ルール形成を各国のスタンスが多様化する中で、我が国が国益につながるために、どのように各国との連携関係を構築し、有利な流れを形成していくべきなのか、戦略的な議論が必要との意見が示された。
- 国際的な著作権ルールの合意形成に向けた戦略的な対応ができるよう、現在課題となっている案件について、機動的かつより深い議論ができるよう、国際小委員会での検討のあり方を見直すべきとの意見が示された。