第1章 私的録音録画問題に関する今までの経緯等について

第3節 文化審議会著作権分科会における検討とその結果について

1 背景

 現行制度が制定されて以降、例えばハードディスク内蔵型録音録画機器やパソコンが開発・普及したこと、制定から10年以上経過し、制度の問題点が関係者から指摘されていることなどを背景として、文化審議会著作権分科会では、平成17年1月にまとめた「著作権法に関する今後の検討課題」において、以下のとおり補償金制度についての諸課題をまとめた(注1)。

 これを受け、同年、同分科会に設置された法制問題小委員会において、補償金制度の見直しに関する検討を開始した。

2 検討結果(文化審議会著作権分科会報告書(平成18年1月))

 同分科会では、補償金制度が一定の機能を果たしてきたことを認めたうえで、現行制度をめぐる諸課題として次のような点について指摘した(注2)。

<「二重徴収」に当たらないとする意見>

 配信サービスの対価はあくまでも「消費者への音源の配信」や「ダウンロードに際しての複製」についての対価であり,その後の私的複製は対象としていない。

<「二重徴収」に当たるとする意見>

 ユーザーの複製を前提とした配信サービスにおけるビジネスモデルにかんがみると,配信サービスの対価を徴収した上で「補償金」を徴収することは「二重徴収」に当たる。

 以上のように補償金制度の諸課題を整理した上で、同分科会が提示した3つの課題について一定の見解を示したうえで、

とし、補償金制度の抜本的な検討を求めた。

 また、検討に当たっての留意事項として、次のような指摘があった。

 また、現行制度の運用上の改善点として、次のような指摘があった。

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