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参考資料3

「知的財産推進計画2006」(平成18年6月8日知的財産戦略本部)における著作権関係部分の抜粋

平成18年6月20日
文化庁長官官房著作権課

目次

第2章 知的財産の保護

第3章 知的財産の活用

第4章 コンテンツをいかした文化創造国家づくり

第5章 人材の育成と国民意識の向上

(注)  上記の章名は、「知的財産推進計画2006」における章名による。
 項目の左側にこめ印印が付されているものは、同計画の「重点編」にも掲載されているものである。



第2章 知的財産の保護

1 知的財産の保護を強化する

5. 知的財産権制度を強化する

(5) 知的財産権侵害に係る刑罰を見直す
 知財権侵害に対する抑止効果を高めるため、2006年度も引き続き、著作権及び育成者権の侵害に係る刑罰(懲役)の上限を10年とすることについて検討し、必要に応じ制度を整備する。
(法務省、文部科学省、農林水産省)

7. 知的財産の国際的な保護及び協力を推進する

(2) 国際公共政策に配慮した国際ルールの構築に貢献する

こめ印1 省庁間連絡会議などの検討体制を整備する
 遺伝資源や伝統的知識、フォークロア(民謡などの伝統的文化表現)の問題など、知財政策と他の様々な国際公共政策との関係について、我が国として適切な対応が図れるよう、2006年度の早い時期に、関係省庁による「知的財産関連の国際公共政策に関する連絡会議(仮称)」の設置など、国際的な知財政策に関する国の検討体制を整備する。
(内閣府、外務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、環境省、関係府省)

2 国際的な相互理解とコンセンサスづくりに貢献する
 2006年度から、知財政策と他の様々な国際公共政策との関係に関する問題について、先進国、途上国、地域コミュニティ間の対話や、国際シンポジウム等の開催を推進するとともに、アカデミアやシンクタンクなどでの研究活動を促進する。
(内閣府、外務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、環境省、関係府省)

(6) 自由貿易協定(FTA)/経済連携協定(EPA)等を活用する
 自由貿易協定(FTA)/経済連携協定(EPA)や投資協定などの二国間・複数国協定の交渉の機会において、交渉相手国の知財制度の整備や特許におけるいわゆる修正実体審査の制度上又は運用上の受入れなどを促し、我が国産業界等の要望に沿った知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)等の規定以上の知財の保護が達成されるよう、2006年度も引き続き積極的に働きかける。
(外務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省)

(7) 国際的な情報発信を推進する

2 知的財産に関連する法律の英訳を早急に進める
 我が国の知財に関連する法律などが国際的に理解され、利用されやすくするため、2006年度も引き続き、関係府省や関係団体と協働しつつ、特許法等の英訳を先行して進めるとともに、その他の法律についても2006年3月に策定した翻訳整備計画に従い、正確かつ統一された英訳の作成作業を早急に進める。
(内閣官房司法制度改革推進室、法務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、関係府省)

2 模倣品・海賊版対策を強化する

1. 外国市場対策を強化する

こめ印(1) 模倣品・海賊版拡散防止条約の早期実現を目指す
 模倣品・海賊版問題は、特定の国にとどまらず世界各国に拡散しており、犯罪組織やテログループの資金源となったり、消費者の健康や安全を脅かす深刻な問題であることにかんがみ、2006年度は、我が国から提唱を行った「模倣品・海賊版拡散防止条約(仮称)」について、各国と連携しつつ、経済協力開発機構(OECD)、世界税関機構(WCO)、国際刑事警察機構(インターポール)などの国際機関と協力して、早期の実現を目指して議論を加速する。
(警察庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省)

(2) 侵害発生国・地域への対策を強化する

2 コンテンツ海外流通マーク(CJマーク)等を活用する
1  2006年度も引き続き、海賊版の摘発活動を容易にするため、コンテンツ海外流通マーク(CJマーク)の普及や調査・摘発活動を支援する。
(警察庁、文部科学省、経済産業省)
2  海外市場及び水際での商品の真贋判定を容易にするため、2006年度から、権利者・権利者団体や製造業者・流通業者に対し、その有効性を検証しつつ、偽造防止技術の活用を奨励する。
(警察庁、外務省、財務省、文部科学省、経済産業省)

3 侵害状況調査制度を活用する
1  政府においては、海外における我が国企業の知財権侵害による被害の重大性にかんがみ、2006年度も引き続き、「知的財産権の海外における侵害状況調査制度」の活用を促進する。
(外務省、経済産業省、関係府省)
2  2006年度も引き続き、定期調査や事業者からの申立てに基づく調査等を基に、諸外国の模倣品・海賊版対策に関する報告書を作成・公表するとともに、侵害発生国・地域に対して問題の改善を強力に要請する。
(外務省、経済産業省、関係府省)

4 侵害発生国・地域に対し具体的要請を行う
 2006年度も引き続き、アジア諸国などの侵害発生国・地域に対し、デザイン模倣対策の強化、執行の強化、再犯防止の強化、周知商標の認定促進、水際における権利者負担の軽減など、具体的な制度改善や取締りの実効ある強化について閣僚レベルを始め様々なレベルで強力に要請する。
(外務省、財務省、文部科学省、経済産業省、国土交通省、関係府省)

5 模倣品・海賊版の被害の実態を調査する
1  2006年度も引き続き、模倣品・海賊版被害にあった場合の対応策や事例など、我が国の企業が侵害国において訴訟提起などの権利行使をするために必要なノウハウなどの情報を収集し、資料としてまとめ、企業に配付する。
(外務省、文部科学省、経済産業省、関係府省)

2  海外市場において模倣品・海賊版の被害を受ける我が国企業が増加していることにかんがみ、2006年度も引き続き、模倣品・海賊版による被害の実態等を調査・分析し、その結果を広く公表するとともに、国際交渉にも活用する。
(外務省、文部科学省、経済産業省)

(3) 侵害発生国・地域の当局との当局間の連携を強化する
 侵害発生国・地域の当局(権利付与官庁、警察当局、税関当局、行政取締当局、司法当局)との連携を具体的に強化するため、2006年度も引き続き、日常的な情報交換に加え、相互支援協定の締結や当局間での定期協議などを推進する。
(警察庁、外務省、財務省、文部科学省、経済産業省)

(4) 自由貿易協定(FTA)/経済連携協定(EPA)等を活用する
 2006年度も引き続き、自由貿易協定(FTA)/経済連携協定(EPA)や投資協定などの二国間・複数国間協定に、実効的なエンフォースメントの確保のための条項を盛り込むよう積極的に交渉する。また、エンフォースメントも含めた実際の執行状況等を協定上のメカニズムの場等を利用してレビューを行う。
(警察庁、外務省、財務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、関係府省)

(6) 欧米との連携を強化する

1 EU・欧州各国との連携を強化する
 2006年4月に開催された日・EU定期首脳協議において、模倣品・海賊版の拡散防止のための国際的な法的枠組構想等に関する対話等、模倣品・海賊版の分野を含む知財関連問題に関する緊密な対話を継続することが合意された。2006年度も引き続き、侵害発生国・地域への働きかけをより有効に行うため、首脳・閣僚レベルの定期・個別協議や日・EU知財対話等の協議を積極的に活用し、EUとの連携を強化する。
 また、EUとの連携を効果的に行うために、日仏間を始め欧州各国との二国間協議など欧州各国との連携を強化する。
(外務省、財務省、文部科学省、経済産業省、関係府省)

2 米国との連携を強化する
 2006年度も引き続き、アジアにおける知財権の保護を推進するため、首脳間、閣僚間を始めとする日米間の二国間協議などを積極的に活用し、米国との連携を強化する。
(外務省、財務省、文部科学省、経済産業省、関係府省)

(7) 多国間の取組をリードする
1  2006年度も引き続き、G8サミットを始めとして、OECD、アジア太平洋経済協力会議(APEC(エイペック))、アジア欧州会合(ASEM)、世界貿易機関(WTO)、世界知的所有権機関(WIPO)、世界税関機構(WCO)等の国際機関・フォーラムにおいて、模倣品・海賊版問題が首脳を始めハイレベルで取り上げられるよう、準備や働きかけを行う。
(外務省、財務省、文部科学省、経済産業省、関係府省)

2  OECDにおいて、2005年から作業が開始されている模倣品・海賊版対策プロジェクトについて、2006年度も引き続き、諸外国と連携しつつ積極的に議論を推進する。
(外務省、財務省、文部科学省、経済産業省、関係府省)

3  APEC(エイペック)において、2006年度は、「APEC(エイペック)模倣品・海賊版対策イニシアティブ」に基づいて、新たなガイドラインの策定や対象となる知財権の追加等に関する検討作業をリードするとともに、引き続き知的財産権政策進捗マッピングの活用やAPEC(エイペック)知的財産権包括戦略の推進、各国・地域における知的財産権サービスセンターの早期設置について、積極的な働きかけを行う。
(外務省、財務省、文部科学省、経済産業省、関係府省)

4  2006年度も引き続き、ASEM貿易円滑化行動計画の下、知財権分野での活動に積極的に取り組むとともに、欧州とも協力し、エンフォースメントを含む知財権保護のためにアジア・欧州間で協力する。
(外務省、財務省、関係府省)

5  2006年度も引き続き、WTOの対中国経過的レビューメカニズム及びTRIPS協定の法令レビュー、貿易政策検討制度(TPRM)を積極的に活用し、アジア諸国・地域に対して模倣品・海賊版の取締りを強化するよう要請する。
(外務省、文部科学省、経済産業省、関係府省)

6  2006年度も引き続き、WIPOにおいて、模倣品・海賊版のエンフォースメント問題を主要議題として取り上げ、模倣品・海賊版の取締りをWIPO加盟国が一体となって取り組むべき問題であるとの認識を加盟国間で共有するよう積極的に取り組む。
(外務省、文部科学省、経済産業省、関係府省)

(8) 模倣品・海賊版対策の能力構築を支援する
1  開発途上国における貿易投資の拡大と経済発展のために知財権の適切な保護が不可欠であることにかんがみ、2003年8月に決定されたODA大綱を踏まえ、2006年度も引き続き、個別の援助計画において必要性及び優先度に応じ開発途上国の知財制度の整備・執行の強化を支援する。
(外務省、関係府省)

2  模倣品・海賊版対策に積極的に取り組むアジア諸国の政府関係者や民間の団体・企業等に対し、各府省が実施している知財権の保護に関する能力構築(キャパシティービルディング)を、2005年6月に策定された「知的財産保護協力・能力構築支援戦略」に基づき、2006年度も引き続き、我が国企業と協力しつつ、関係府省や国際協力機構(JICA(ジャイカ))、JETRO等の関係団体が協調して実施する。また、毎年度終了後に事業内容のレビューを行う。
(警察庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省)

3  2006年度も引き続き、侵害発生国・地域において対策に取り組む当局や団体との連携を強化するとともに、模倣品・海賊版が社会悪であることを侵害発生国・地域の国民が広く認識するよう、啓発活動の支援に取り組む。
(外務省、文部科学省、経済産業省、関係府省)

2. 水際での取締りを強化する

(1) 個人輸入等の取締りを強化する
1  模倣品・海賊版の個人輸入や個人所持は、現状では法律で禁止されておらず、また国民の意識も極めて低い。このため、模倣品・海賊版の個人輸入・個人所持が社会悪であることを国民に明確にするとともに、その氾濫を防止するため、2006年度中に、模倣品・海賊版の個人輸入・個人所持の禁止について更に検討を行い、必要に応じ新法の制定等法制度を整備する。
(警察庁、法務省、財務省、文部科学省、経済産業省)
(2) 法律的・技術的専門性を伴った侵害判断を行う制度を整備する
 権利者が事案の性質や権利者のニーズに応じて多様な手続を活用できるよう、2006年度中に、水際対策における技術判定能力の重要性や制度の利便性・手続の公平性等にかんがみ、これまでの累次の制度改正の実施状況等を踏まえ、当事者の参加や専門家の関与等により、法律的・技術的専門性を伴った侵害判断を行うための方策を更に検討し、必要に応じ法改正等制度を整備する。
(財務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省)

(4) 模倣品・海賊版の税関での取締りを強化する

2 模倣品・海賊版の輸出・通過を取り締まる制度を整備する
1  海賊版が侵害品発生国・地域から第三国で積み替えて輸出を行うなどの新たな手口が発生している現状を踏まえ、税関が著作権を侵害する物品の輸出・通過についても水際で取締りを実施できるよう、2006年度中に検討し、必要に応じ法改正等制度を整備する。
  (法務省、財務省、文部科学省)

3. 国内での取締りを強化する

(1) インターネットオークション上の模倣品・海賊版の取引を防止する
こめ印2  2006年度は、官民協力の下、消費者や出品者の観点を考慮に入れつつ、権利者及びオークション事業者による「インターネット知的財産権侵害品流通防止協議会」等を通じた下記の取組を推進する。
a)  違法な出品を防止するため、オークション事業者による正確な本人確認を促進する。
b)  違法出品者に対する権利侵害品の差止や損害賠償の請求を可能にするため、権利者から法令に基づく出品者情報の開示請求があった場合のオークション事業者から権利者への迅速かつ円滑な情報開示を促進する。
c)  模倣品・海賊版をオークションサイト上から一掃するため、模倣品・海賊版の出品停止などオークション事業者が一体となった自主的取組を促進する。
d)  模倣品・海賊版の出品・購入を防止するため、出品者及び消費者への啓発活動を強化する。
(警察庁、総務省、文部科学省、経済産業省)

こめ印3  2006年度は、上記取組の効果検証と並行して、インターネットオークション上の模倣品・海賊版の取引を効果的に防止するための更なる対策の検討を行い、必要に応じ法制度等を整備する。
(警察庁、総務省、文部科学省、経済産業省)

(4) 劇場内で無断撮影された映像の違法流通への対策を推進する
 映画の上映中に劇場内において無許可で撮影された映像がインターネットにより違法に流通する等の問題について適切に対処するため、2006年度から、被害状況や対策について検討し、必要に応じ所要の措置を講ずる。
(警察庁、文部科学省、経済産業省)

4. 官民の連携を強化する

(1) 政府内の連携を強化する
 外国市場対策や水際及び国内での取締りに関し、関係府省が一体となって対策に取り組むよう、2006年度も引き続き、以下のような対策に取り組み、関係府省の連携を強化する。
a)  政府模倣品・海賊版対策総合窓口の周知を徹底し、総合窓口年次報告書を作成するとともに、権利者や企業等からの相談に対し、迅速に対応するために関係府省の連携を強化する。
b)  関係府省で模倣品・海賊版に関する情報を共有できるようネットワークやデータベースを構築する。
c)  外国市場での模倣品・海賊版の製造・流通情報や被害情報等を警察・税関が活用し、当該模倣品等の国内市場への流入防止、国内からの排除を進める。
d)  国内外で収集・分析した各種情報に基づき模倣品・海賊版対策に関する政策を立案・実施するとともに、その結果を関係者にフィードバックする。
e)  各種対策については、関係府省間で相互に調整を行うとともに、「模倣品・海賊版対策関係省庁連絡会議」を機動的に開催し、政策調整を密に行い、総合的に実施する。
(警察庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省)
(2) 官民・民民の連携を強化する
1  2006年度も引き続き、我が国の企業による諸外国での模倣品・海賊版対策の取組を支援するとともに、侵害発生国・地域の当局との交渉や働きかけを効果的に行うため、官民合同ミッションの派遣を始め、国際知的財産保護フォーラム、コンテンツ海外流通促進機構、不正商品対策協議会等の民間団体の諸外国での活動を支援する。
(警察庁、外務省、財務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省)

2  2006年度も引き続き、関係府省がより緊密に連携を取りつつ、企業等を対象にした模倣品・海賊版対策のためのセミナーを全国各地で開催する。
(警察庁、財務省、文部科学省、経済産業省、関係府省)

3  権利取得や模倣品対策の助言、現地の弁理士・弁護士・調査機関の紹介、個別案件の相談や関係府省への連絡、侵害国政府当局への要請など、企業の相談に応じるため、2006年度も引き続き、JETRO、日本商工会議所、日本弁護士連合会、弁護士知財ネット、日本弁理士会及び社団法人発明協会等で構築したネットワーク(通称:ニセモノ相談ネット)の積極的な活用を促進する。
(経済産業省、関係府省)

(3) 模倣品・海賊版に関する国民への啓発活動を強化する
 模倣品・海賊版を撲滅するためには、模倣品・海賊版が社会悪であることを国民に広く認識してもらうことが重要であり、消費者基本法に知財権等の適正な保護が消費者の責務であると規定していることを踏まえ、2006年度も引き続き、国民への啓発活動を強化するとともに、学校教育等を通じ適切な消費行動等についての教育を推進する。
(内閣府、警察庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省)



第3章 知的財産の活用

1 知的財産を戦略的に活用する

2. 知的財産を活用した事業活動の環境を整備する

(3) 企業のライセンス活動を円滑化す

3 海外における権利行使・ライセンス活動を円滑化する
 企業等が、海外で取得した知財権について適切に権利行使を行い、ライセンス交渉や訴訟提起等の活動が円滑に実施できるよう、2006年度から、権利者の海外における権利行使の状況やライセンスの事例等を調査・収集し、情報提供を行う。
(経済産業省、農林水産省、関係府省)

(5) 知的財産を活用した資金調達の多様化を図る
2  2006年度も引き続き、知財権者の知財権を他の事業者に移転、譲渡又は利用許諾等を行う特定目的会社等に対する日本政策投資銀行の融資制度(知的財産有効活用支援事業)の融資スキームや過去の融資事例を公表し、その利用促進を図る。
(総務省、財務省、文部科学省、経済産業省)



第4章 コンテンツをいかした文化創造国家づくり

1 世界トップクラスのコンテンツ大国を実現する

1. ユーザー大国を実現する

こめ印(1) IPマルチキャスト放送の積極的活用を図る
 2011年の地上デジタル放送への全面移行を円滑に実現することを目指して、IPマルチキャスト方式により地上放送を同時再送信することについて、著作権法上「有線放送」と同様の取扱いにするため、2006年度中のできるだけ早い国会に著作権法の改正案を提出するとともに、放送法制についてもこれに伴い必要な措置を速やかに講ずる。また、IPマルチキャスト方式による自主放送の取扱いを含め、今後の通信・放送の融合や技術革新の状況に柔軟に対応するための放送法制や著作権法などの関連法制の在り方については、関係省庁間の連携の下、引き続き検討を行い必要な措置を講ずる。これらの措置を行うに際しては、クリエーターに十分な報酬が支払われるよう配慮する。
 2006年度から、IPマルチキャスト放送事業者自らが魅力的な放送コンテンツを創り、クリエーターに新たな創作チャンスを与えるよう促す。
(総務省、文部科学省、経済産業省)

こめ印(2) ユーザーに配慮したプロテクションシステムを採用する
 コンテンツの流通を促進するに当たり、技術革新のメリット・利便性を国民が最大限に享受できるようにするとの観点も踏まえ、視聴者利便の確保と著作権の適切な保護を図り、あわせてコンテンツビジネスが拡大するよう、バランスのとれたプロテクションシステムの策定・採用を促進するため、以下の取組を進める。
a)  地上デジタル放送に関わる、いわゆる「コピーワンス」ルールの見直しに代表されるように、一定の枠組みにおける電波利用方式の設定・実施、放送関連機器・システムの規格・運用に関わるプロテクションシステムの設定は、事実上利用に当たっての制約になる可能性がある。したがって、こうしたプロテクションシステムの設定について、行政としても、本年度中も引き続き、視聴者、メーカー、関係事業者等幅広い関係者の参加を得て、その検討プロセスを公開し、その透明化を図ることによりシステム間の競争を促進するとともに、あわせて、その透明、競争的かつ継続的な見直しプロセスの在り方についても検討し、2006年中に結論を得る。
b)  民間事業者においてプロテクションシステムを検討する場合は、過去の失敗例に学び、ユーザーの利便に配慮するよう奨励する。
(総務省、文部科学省、経済産業省)

(4) アーカイブ化を促進し、その活用を図る
 2006年度も引き続き、NHKアーカイブスや民間放送事業者等の保有する放送番組などの活用が図られるよう、関係者間の合意や過去の放送番組の二次利用に関する権利処理に係る取組を促す。また、放送番組センターや東京国立近代美術館フィルムセンターの機能の充実を図るとともに、漫画やアニメ関係資料、写真の収集保存について、地域・民間等での取組に協力する。
(総務省、文部科学省)
2. クリエーター大国を実現する

(1) クリエーターが適正なリターンを得られるようにする

こめ印2 契約における自主基準やひな形の策定を促進する
 産業規模を拡大し、クリエーターに還元がなされるよう、契約の書面化を促すとともに、二次利用に関する規定を整備した契約に関する自主基準や契約のひな形を、エンターテインメント・ロイヤーズ・ネットワークと連携して策定することを奨励する。2006年度は映像分野における取組を進めるため、具体的には以下の取組を進める。また、その成果についてホームページなどで適宜公表し、若手クリエーターを始め幅広い関係者に周知を行うなど、その普及のために必要な措置を講ずる。
a)  自分の権利は自分で守るとの原則の下、実演家の組織力の強化を促し、映像に関する実演家の活動環境や著作権等に関する映画会社・放送事業者とのルールづくりに向けた協議を支援する。
b)  映画業界における契約のひな形づくりを進めるとともに、放送番組については、放送事業者の策定した制作委託取引に関する自主基準や「放送番組の制作委託に係る契約見本」の活用状況のフォローアップを踏まえ、必要に応じその改訂や具体化を進める。
(総務省、文部科学省、経済産業省)

(2) クリエーターの能力発揮を支援する
1 インターネットを使ったコンテンツの発信を進める
 インターネットを通じてクリエーターがエンドユーザーに近いところで自己の作品をプロモートしやすくなるよう、2006年度から、社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC(ジャスラック))など著作権等管理事業者や音楽出版社等の協力を得て、円滑、柔軟な権利処理を一層促進する。
(文部科学省)

こめ印2 コンテンツの再利用を通じた新たな創作活動を促進する
 2006年度から、利用条件を明確化したマークを作品に付す取組を奨励することなどを通して、自分の作品を積極的に利用してもらいたいと考えるクリエーターを支援し、他人の作品や保護期間の満了した作品を活用した創作活動を促す。その際、著作権等管理事業者の協力を得るなどして、このような仕組みの利便性を高める。
(文部科学省、経済産業省)
(4) 利用とのバランスに留意しつつ適正な保護を行う

1 国内制度を整備する
1  著作権法に関し、侵害のための専用品の提供行為について特許法と同様の間接侵害規定の創設を含め、それを超えるような規定の導入について、総合的研究を踏まえた上で検討を行い、2007年度中に結論を得る。
(文部科学省)

2  法定賠償制度の創設等を含めて、著作権侵害に係る損害賠償請求や不当利得返還請求等の役割・機能等に関して総合的に検討を行い、2007年度中に結論を得る。
(文部科学省)

3  映画の著作物については、その保護期間が「公表後50年」から「公表後70年」に延長されたが、映画以外の著作物に係る保護期間の在り方についても、著作物全体を通じての保護期間のバランスに配慮しながら検討を行い、2007年度中に結論を得る。
(文部科学省)

4  いわゆる放送新条約の検討状況を踏まえ、放送事業者への放送前信号に係る権利、譲渡権の付与等に関して検討を行い、2007年度中に結論を得る。
(文部科学省)

2 国際的な著作権制度の調和を推進する
 2006年度も引き続き、現在検討されている視聴覚的実演や放送機関に関する新条約の早期採択に向けて、積極的に議論に貢献する。また、アジア諸国を中心に、「著作権に関する世界知的所有権機関条約」や「実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約」への早期加入を働きかけるとともに、途上国における著作権制度の普及・整備を支援する。
(総務省、外務省、文部科学省)

3. ビジネス大国を実現する

(2) コンテンツを輸出する

1 企業の海外展開を支援する
1  海外におけるコンテンツの販路拡大への支援や日本文化についての国際的な理解を増進するため、2006年度も引き続き、コンテンツ海外流通促進機構への支援、映画・放送番組等コンテンツの海外見本市への出展や海外映画祭への出品の際に必要となる字幕作成のための支援等を行うほか、国際交流基金やODAを通じ、アニメ・教育番組など我が国コンテンツの海外発信を支援する。
(総務省、外務省、文部科学省、経済産業省、関係府省)

2  2006年度も引き続き、日本のコンテンツの情報発信強化のため、在外公館やJETRO等を積極的に活用し、以下のような取組を進める。
a)  2006年度から、海外に紹介されていないアニメについて、在外公館を通じて海外に紹介する「アニメ文化大使(仮称)」事業の推進
b)  JETRO等において海外拠点にコンテンツ担当者を配置するなど、情報収集機能や相談対応等の体制強化
c)  JETRO等においてコンテンツ関連企業が海外進出する上で留意すべき制度面(法令や判例等)や運用面の問題、海外における市場等の現状や課題等をまとめたハンドブックを作成するなど、必要な情報提供の実施
(総務省、外務省、文部科学省、経済産業省)

こめ印3 コンテンツ関係情報提供のためのポータルサイトを創設する
 国内外の利用者が我が国のコンテンツに関する情報に円滑にアクセスできるよう、関係者が協力して権利の所在情報等を提供できる体制を充実するとともに、2006年度中に、コンテンツ・ポータルサイトの創設に向けた支援を行う。
(総務省、文部科学省、経済産業省)

6 音楽レコードの還流防止措置制度を活用するとともに輸出を拡大する
 2006年度も引き続き、音楽レコードの還流防止措置の運用状況や海外における邦楽レコードの販売・ライセンス状況を調査し、公表するとともに、輸出の拡大を促す。
(財務省、文部科学省、経済産業省)

(3) 著作権に係る課題を解決する

1 マルチユースを想定した契約を普及し、権利の集中管理を進め
 2006年度中に、マルチユースを想定しクリエーターへのリターンにも配慮した契約の普及を図るとともに、映像実演やレコード等の集中管理が進んでいない分野において、著作権管理事業制度の一層の活用を進める。
(総務省、文部科学省、経済産業省)

2 ブロードバンド配信に関する利用料率に係る取組を促進する
 2006年度も引き続き、放送事業者制作のテレビドラマをブロードバンド配信する場合の使用料額の目安に関する暫定合意など、二次利用のためのルールづくりに向けた関係者間の協議を奨励し、利用に向けた普及を行う。
(総務省、文部科学省、経済産業省)

3 デジタル化時代に対応した法制度を構築する
 知的財産基本法第18条第2項の趣旨に則り、2006年度中に、デジタル化・ネットワーク化時代に対応した国際的な枠組みを含めた法制度の検討を行い、コンテンツ流通の促進やクリエーターへの還元を進め、創作活動の活性化を図る。
(総務省、外務省、文部科学省、経済産業省)

4 私的使用複製について結論を得る
 私的録音・録画について抜本的に見直すとともに、補償金制度については廃止や骨組みの見直し、他の措置の導入も含め抜本的な検討を行い、2007年度中に一定の具体的結論を得る。その際、技術的保護手段の進展やコンテンツ流通の変化等を勘案するとともに、国際条約や国際的な動向との関連やユーザーの視点に留意する。また、技術的保護手段との関係等を踏まえた「私的複製の範囲の明確化」、使用料と複製対価との関係整理等、著作権契約の在り方の見直し、オンライン配信への移行を踏まえた音楽関連産業の在り方等についての検討を進め、2006年度中に結論を得る。
(文部科学省、経済産業省)

5 デジタル化時代に対応した権利制限について結論を得る
1  デジタル機器の保守・修理時における一時的固定等について、一定の条件の下で複製権を制限する規定を整備するため、2006年度中のできるだけ早い国会において著作権法の改正案を提出する。
(文部科学省)

2  eラーニング推進のため、第三者が作成した著作物を学校の授業の過程で公衆送信により利用することについて、権利者・教育関係者間での権利処理の在り方などに係る教育関係者による具体的な提案を踏まえて検討を行い、2007年度中に結論を得る。
(文部科学省)

6 権利者の利益と公共の利益に留意した権利制限規定を整備する
 非特許文献を出願人に送付するための審査官による複製などの特許審査手続きに係る権利制限、承認・再審査・再評価制度において必要な研究論文等の複製などの薬事行政に係る権利制限等に関し、2006年度中のできるだけ早い国会において著作権法の改正案を提出する。
(文部科学省)

7 契約・利用の観点からライセンシーの保護などについて結論を得る
 共有著作権、著作物の「利用権」及びライセンシーの保護に係る制度整備等について検討を行うとともに、その関連で登録制度を見直すことなどに関して検討を行い、2007年度中に結論を得る。
(文部科学省)

8 技術的保護手段等の回避等に係る法的規制の対象について結論を得る
 コンテンツを適切に保護し、その流通の一層の円滑化を図るとともに、技術的保護手段の有用性を担保するため、不正競争防止法上の技術的制限手段回避機器の譲渡に関する差止措置等の活用について周知徹底を図るとともに、接続管理(アクセスコントロール)回避行為への刑事罰の導入等について、将来の管理技術開発への影響等を踏まえつつ、法的措置の必要性の有無について、2006年度も引き続き検討を行い、必要に応じ所要の措置を講ずる。
(総務省、法務省、文部科学省、経済産業省)



第5章 人材の育成と国民意識の向上

2. 知的財産人材育成を官民挙げて進める

(4) 海外派遣など海外との交流を活発化する

2 アジア等の人材の受入れと専門家派遣を拡充する
 2006年度も引き続き、アジア等の知財人材育成のための受入れと専門家の派遣を拡充する。さらに、研修終了後の学生との連携を深めるなど国内外人材ネットワークを充実する。
(外務省、文部科学省、経済産業省)

(6) 学会を活用するとともに知的財産に関する研究を支援する

1 各種学会の活用と支援を行う
1  2006年度は、法律・経営・技術に関する高度な知識を備えた知財人材を育成するため、日本工業所有権法学会、著作権法学会、日本知財学会などの関連する学会や大学等への審査官や弁理士等の参加を奨励する。
(文部科学省、経済産業省)

(7) 知的財産の教育者や教材・教育ツールを開発する

2 知的財産教育に関する教材・教育ツールを開発する
1  2006年度も引き続き、特許権や著作権などを統一した知財教育のプログラムを策定するとともに、学校での知財教育を支援するため、初等中等教育向けの統一した教材の作成・提供や手引書の作成、学校における知財教育の具体的手法の研究開発など、知財に関する教育事業を実施する。
(文部科学省、経済産業省)

5. 国民の知的財産意識を向上させる

こめ印(5) 知的財産に関する国民への啓発活動を強化する
 2006年度も引き続き、児童・生徒、大学生、社会人一般、実務者向けに、民間の知財の専門家をも活用しつつ、それぞれの特性を踏まえた知財に関するセミナーの開催等を行うとともに、地域の実情に応じた積極的な活用を促進する。また、国民から募ったキャッチフレーズのキャンペーンを行うなど普及・啓発事業を充実させる。
(内閣府、農林水産省、文部科学省、経済産業省)


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