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第1章 法制問題小委員会

第5節 司法救済ワーキングチーム

1  はじめに

 
(1) 問題の所在

   司法救済に関する検討項目は,1「間接侵害」と2損害賠償・不当利得等の2点であるが,まず,前者から検討を開始することとされた。しかるに,前者の「間接侵害」という用語は,法令上の用語でもなく,また,講学上の用語としても論者によりその内容が必ずしも一定していないために無用の議論の混乱が生じているように見受けられる。そこで,本報告においては,1「間接侵害」についての立法論的検討の対象を,「間接侵害」という用語を用いることなく設定することとし,具体的には以下のとおりとするとともに,「間接侵害」という用語自体は分析検討の道具概念としては用いないこととした。
 著作権法第112条第1項は,「著作者,著作権者,出版権者,実演家又は著作隣接権者は,その著作者人格権,著作権,出版権,実演家人格権又は著作隣接権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し,その侵害の停止又は予防を請求することができる」と規定しており,著作権法上の権利を「侵害する者又は侵害するおそれがある者」に対する差止請求を認めている。また,著作権法第113条は,同条各項に掲げられた一定の行為を,「当該著作者人格権,著作権,出版権,実演家人格権又は著作隣接権を侵害する行為とみなす」と規定しているため,当該行為を行った者に対しても著作権法第112条第1項に基づく差止請求が肯定されることになる。
 もっとも,著作権法第112条第1項における「侵害する者」を定義する規定はない。そのため,どのような者が「侵害する者」に該当するかは必ずしも明らかであるとは言い難い。
 ただ,著作権法上の権利のうち著作権に関していうならば,著作権に含まれる権利に関する規定(著作権法第21条〜第28条)において「……する権利を専有する」という文言が用いられていることから,著作権者に無断で,著作権の権利範囲に属する利用行為を物理的に行う者は,著作権を「侵害する者」に該当し,著作権法第112条第1項に基づきその者に対する差止請求が肯定されるものと解される。ここまでは異論のないところであろう。
 これに対して,物理的な利用行為の主体以外の者に対して差止請求を肯定できるかどうかは,現行著作権法上,必ずしも明確でない。
 確かに,従来の裁判例においては,物理的な利用行為の主体とは言い難い者を一定の場合に利用行為の主体であると評価して差止請求を肯定したもの(最判昭和63年3月15日民集4巻3号199頁〈クラブ・キャッツアイ事件〉等)や,一定の幇助者について侵害主体に準じるものと評価して差止請求を肯定した下級審裁判例(大阪地判平成15年2月13日判時1842号120頁〈通信カラオケ装置リース事件(ヒットワン事件)〉)も見られる。
 しかし,これをめぐっては様々な議論が展開されているほか,従来の裁判例においても,物理的な利用行為の主体以外の者に対して差止請求を肯定できるかどうか,肯定できるとすればその相手方となる主体はどのような者か,そしてその差止請求の根拠は何か,ということについて一致した認識があるとは必ずしもいえない(後記2参照)。
 そこで,次のような点が問題となる。すなわち,物理的な利用行為の主体以外の者に対しても差止請求を肯定すべきかどうか,肯定するとすればその相手方となる主体はどのような者とすべきか,そして,そのことを明示する立法的対応が必要かどうか,立法的対応が必要であるとすればどのような立法的対応を行うべきか,といった点である。

(2) 本報告の構成

   以上のような問題が本報告の課題に他ならない。
 もっとも,この問題は著作権法における極めて重要な基本問題であり,具体的な検討を進めるに当たっては,従来の議論(裁判例・学説)の分析はいうまでもなく,比較法的検討並びに他の知的財産法(とりわけ特許法)及び民法における民事救済との比較検討を行うことが必要となる。
 本報告は,さしあたりの中間報告として,従来の裁判例からのアプローチ(後記2),外国法からのアプローチ(後記3),特許法からのアプローチ(後記4)という観点から若干の検討を行った上で,これまでの検討結果を簡潔に報告する(後記5)ものである。

2  裁判例からのアプローチ

   以下,本件に関連する主要な裁判例を概観する。
 
(1) カラオケ法理(クラブ・キャッツアイ法理)関係

 
1  侵害主体を著作権法の規律の観点から規範的に捉えるとされるものとして,裁判例上,次のようなカラオケ法理(クラブ・キャッツアイ法理)と呼ばれる法理が用いられている。

   〔1〕最判昭和63年3月15日民集42巻3号199頁〈クラブ・キャッツアイ事件〉は,スナック等の経営者が,カラオケ装置とカラオケテープとを備え置き,ホステス等の従業員においてカラオケ装置を操作し,客に歌唱を勧め,客の選択した曲目のカラオケテープの再生による演奏を伴奏として他の客の面前で歌唱させるなどし,もって店の雰囲気作りをし,客の来集を図って利益を上げることを意図しているという事実関係のもとにおいては,ホステス等の従業員が歌唱する場合はもちろん,客が歌唱する場合を含めて,演奏(歌唱)という形態による当該音楽著作物の利用主体は上記経営者であると判示する。その理由付けとしては,客のみが歌唱する場合でも,客は,上記経営者と無関係に歌唱しているわけではなく,上記経営者の従業員による歌唱の勧誘,上記経営者の備え置いたカラオケテープの範囲内での選曲,上記経営者の設置したカラオケ装置の従業員による操作を通じて,上記経営者の管理のもとに歌唱しているものと解され,他方,上記経営者は,客の歌唱をも店の営業政策の一環として取り入れ,これを利用していわゆるカラオケスナックとしての雰囲気を醸成し,かかる雰囲気を好む客の来集を図って営業上の利益を増大させることを意図していたというべきであって,前記のような客による歌唱も,著作権法上の規律の観点からは上記経営者による歌唱と同視し得るとする(注103)。
 なお,この法廷意見に対しては,客のみが歌唱する場合についてまで,営業主たる上記経営者をもって音楽著作物の利用主体と捉えることは,いささか不自然であり,無理な解釈ではないかとし,この場合には,客の自由意思によって音楽著作物の利用が行われているのであるから,営業主たる上記経営者が主体的に音楽著作物の利用にかかわっているということはできず,これを上記経営者による歌唱と同視するのは,擬制的にすぎて相当でないとする伊藤正己裁判官の意見が付されている。
 上記のカラオケ法理(クラブ・キャッツアイ法理)については,〔2〕最判平成13年3月2日民集55巻2号185頁〈カラオケリース事件(ビデオメイツ事件)〉においても,基本的に再確認されている。

 このカラオケ法理は,カラオケスナック等の場合だけでなく,カラオケボックスの場合においても,下級審裁判例において踏襲されている。例えば,〔3〕東京地判平成10年8月27日知裁集30巻3号478頁〈カラオケボックス・ビッグエコー事件〉は,カラオケ店舗の経営者が,同店舗の各部屋にカラオケ装置と共に楽曲索引を備え置いて顧客の選曲の便に供し,顧客の求めに応じて従業員がカラオケ装置を操作して操作方法を教示するなどし,顧客は指定された部屋において定められた時間の範囲内で時間に応じた料金を支払って歌唱し,歌唱する曲目は上記店舗経営者が用意したカラオケソフトに収納されている範囲に限られるという事案につき,顧客による歌唱は,上記店舗経営者の管理の下で行われているというべきであり,また,カラオケボックスの営業の性質上,上記店舗経営者は,顧客に歌唱させることによって直接的に営業上の利益を得ていることからすれば,各部屋における顧客の歌唱による著作物の演奏についても,その主体は上記店舗経営者であると判示している。
 また,前記カラオケ法理の適用範囲は,カラオケ関係以外にも拡大されてきている。例えば,〔4〕東京地判平成10年11月20日知裁集30巻4号841頁〈アダージェット・バレエ作品振付け事件〉は,舞踊の著作物の上演の主体につき,実際に舞踊を演じたダンサーに限られず,当該上演を管理し,当該上演による営業上の利益を収受する者も,舞踊の著作物の上演の主体であり,著作権又は著作者人格権の侵害の主体となり得ると判示している。

2  前記カラオケ法理は,ファイル交換事件関係でも,基本的には踏襲されているもののように見受けられる。

   〔5〕東京地中間判平成15年1月29日判時1810号29頁〈ファイルローグ事件中間判決〉は,ピア・ツー・ピア方式による電子ファイル交換サービスの事案において,同サービスの提供者が,送信可能化権及び自動公衆送信権を侵害していると解すべきか否かについては,a)同サービス提供者の行為の内容・性質,b)利用者のする送信可能化状態に対する同サービス提供者の管理・支配の程度,c)同サービス提供者の行為によって受ける同者の利益の状況等を総合斟酌して判断すべきであるとした上で,1)同サービスは,MP3ファイルの交換に係る分野については,利用者をして,市販のレコードを複製したMP3ファイルを自動公衆送信及び送信可能化させるためのサービスという性質を有すること,2)同サービスにおいて,送信者がMP3ファイルの自動公衆送信及び送信可能化を行うことは同サービス提供者の管理の下に行われていること,3)同サービス提供者も自己の営業上の利益を図って,送信者に同行為をさせていたことから,同サービス提供者を,侵害の主体であると判示している。ここでは,前記カラオケ法理と基本的に共通するb),c)の点に加えて,a)の点を考慮要素としている点,また,これらの3つの要素につき,「総合斟酌」するとしている点が注目される。

 なお,同事件の控訴審の〔6〕東京高判平成17年3月31日最高裁ホームページ(平16(ネ)405)(注104)〈ファイルローグ事件控訴審判決〉は,単に一般的に違法な利用もあり得るというだけにとどまらず,同電子ファイル交換サービスが,その性質上,具体的かつ現実的な蓋然性をもって特定の類型の違法な著作権侵害行為を惹起するものであり,同サービス提供者がそのことを予想しつつ同サービスを提供して,そのような侵害行為を誘発し,しかもそれについての同者の管理があり,同者がこれにより何らかの経済的利益を得る余地があるとみられる事実があるときは,同者はまさに自らコントロール可能な行為により侵害の結果を招いている者として,その責任を問われるべきことは当然であり,同者を侵害の主体と認めることができるというべきであると判示している。その上で,a)同サービスの性質,b)管理性,c)同サービス提供者の利益の存在の各点につき検討し,これら各点を総合考慮すれば,同サービス提供者は,同サービスによる本件管理著作物の送信可能化権及び自動公衆送信権の侵害主体であると認めることができるとしている。

(2)  侵害行為の幇助者に対する差止請求の可否

   〔7〕大阪地判平成15年2月13日判時1842号120頁〈通信カラオケ装置リース事件(ヒットワン事件)〉は,著作権法第112条第1項にいう「著作権を侵害する者又は侵害するおそれがある者」は,一般には,侵害行為の主体たる者を指すと解されるが,侵害行為の主体たる者でなく,侵害の幇助行為を現に行う者であっても,a)幇助者による幇助行為の内容・性質,b)現に行われている著作権侵害行為に対する幇助者の管理・支配の程度,c)幇助者の利益と著作権侵害行為との結び付き等を総合して観察したときに,幇助者の行為が当該著作権侵害行為に密接なかかわりを有し,当該幇助者が幇助行為を中止する条理上の義務があり,かつ当該幇助行為を中止して著作権侵害の事態を除去できるような場合には,当該幇助行為を行う者は侵害主体に準じるものと評価できるから,「著作権を侵害する者又は侵害するおそれがある者」に当たるとして,一定の場合において幇助者に対する差止請求を肯定している。

 これに対して,〔8〕東京地判平成16年3月11日最高裁ホームページ(平15(ワ)15526)〈2ちゃんねる小学館事件第一審判決〉は,著作権法第112条第1項は,著作権の行使を完全ならしめるために,権利の円満な支配状態が現に侵害され,あるいは侵害されようとする場合において,侵害者に対し侵害の停止又は予防に必要な一定の行為を請求し得ることを定めたものであって,いわゆる物権的な権利である著作権について,物権的請求権に相当する権利を定めたものであるが,同条に規定する差止請求の相手方は,現に侵害行為を行う主体となっているか,あるいは侵害行為を主体として行うおそれのある者に限られると解するのが相当であるとして,特許法第101条や商標法第37条のような規定を要するまでもなく,権利侵害を教唆,幇助し,あるいはその手段を提供する行為に対して,一般的に差止請求権を行使し得るものと解することはできないと判示する(注105)(注106)。
 また,現に著作権等の侵害が行われている場合,あるいは行われるおそれの高い場合に,権利を侵害された者において侵害行為を行った主体に対する差止請求を行うことが容易ではない一方で,幇助者の行為が著作権等の侵害行為に密接な関わりを有し,かつ幇助者が被害の拡大を容易に防止することができる立場にあるような場合には,当該幇助行為を行う者は著作権等の侵害主体に準ずる者として,著作権法第112条第1項に基づく差止請求の相手方になり得るという前記大阪地判の立論とほぼ同様の主張については,採用することができないと明確に判示している(注107)。

(3)  その他

   前記〔8〕事件の控訴審である〔10〕東京高判平成17年3月3日最高裁ホームページ(平16(ネ)2067)〈2ちゃんねる小学館事件控訴審判決〉は,前記〔8〕地裁判決とは逆に,差止めと損害賠償の双方を肯定している。この〔10〕高裁判決は,「自己が提供し発言削除についての最終権限を有する掲示板の運営者は,これに書き込まれた発言が著作権侵害(公衆送信権の侵害)に当たるときには,そのような発言の提供の場を設けた者として,その侵害行為を放置している場合には,その侵害態様,著作権者からの申し入れの態様,更には発言者の対応いかんによっては,その放置自体が著作権侵害行為と評価すべき場合もあるというべきである。」等とした上で,掲示板運営者は,著作権法第112条にいう「著作者,著作権者,出版権者・・・を侵害する者又は侵害するおそれがある者」に該当するとして,掲示板運営者に対する差止請求を肯定している。
 この〔10〕判決については必ずしも判然としない面もあるが,上記判示部分からすると侵害行為の放置自体をもって著作権侵害行為と評価すべきものとしているようであり(注108),少なくとも,カラオケ法理に立脚して侵害行為主体性を肯定したものとは言い難く,また,掲示板運営者を侵害行為の幇助者と位置付けた上で幇助者に対する差止請求を肯定したものとは言い難いように見受けられる。上記判断においては,掲示板ないしその運営者の特殊性が重要性を有しているように窺われる(注109) (注110)。

 なお,不法行為に基づく損害賠償請求権に関するものではあるが,〔15〕最判平成13年2月13日民集55巻1号87頁〈ときめきメモリアル事件〉は,専らゲームソフトの改変のみを目的とするメモリーカードを輸入,販売し,他人の使用を意図して流通に置いた者は,他人の使用により,ゲームソフトの同一性保持権の侵害を惹起したものとして,ゲームソフトの著作者に対し,不法行為に基づく損害賠償責任を負うと判示している(注111)。ちなみに,これも不法行為に基づく損害賠償請求権に関するものではあるが,前記の〔2〕最判平成13年3月2日民集55巻2号185頁〈カラオケリース事件(ビデオメイツ事件)〉は,カラオケ装置のリース業者は,カラオケ装置のリース契約を締結した場合において,当該装置が専ら音楽著作物を上映し又は演奏して公衆に直接見せ又は聞かせるために使用されるものであるときは,リース契約の相手方に対し,当該音楽著作物の著作権者との間で著作物使用許諾契約を締結すべきことを告知するだけでなく,同相手方が当該著作権者との間で著作物使用許諾契約を締結し又は申込みをしたことを確認した上でカラオケ装置を引き渡すべき条理上の注意義務を負うと判示して,カラオケ装置のリース業者に対する損害賠償請求権を肯定している。

(注103)  そして,本文上記の点から,上記経営者が,権利者の許諾を得ないで,ホステス等従業員や客にカラオケ伴奏により上記経営者の管理にかかる音楽著作物たる楽曲を歌唱させることは,当該音楽著作物についての著作権の一支分権たる演奏権を侵害するものというべきであり,当該演奏の主体として演奏権侵害の不法行為責任を免れないとしている。
(注104)  東京高判平成17年3月31日最高裁ホームページ(平16(ネ)446)も同旨。
(注105)  なお,「もっとも,発言者からの削除要請があるにもかかわらず,ことさら電子掲示板の設置者が,この要請を拒絶して書き込みを放置していたような場合には,電子掲示板の設置者自身が著作権侵害の主体と観念されて,電子掲示板の設置者に対して差止請求を行うことが許容される場合もあり得ようが,そのような事情の存在しない本件において,被告に対する差止請求を認める余地はない。」とも判示する。
(注106)  なお,上記のような差止請求のほか,損害賠償請求については,作為義務も過失も否定されるとして否定している。
(注107)  特許法に関するものではあるが,〔9〕東京地裁平成16年8月17日判時1873号153頁〈切削オーバーレイ工法事件〉は,「特許法100条は,特許権を侵害する者等に対し侵害の停止又は予防を請求することを認めているが,同条にいう特許権を侵害する者又は侵害をするおそれがある者とは,自ら特許発明の実施(特許法2条3項)又は同法101条所定の行為を行う者又はそのおそれがある者をいい,それ以外の教唆又は幇助する者を含まないと解するのが相当である。」として同旨を明確に判示する。
(注108)  ちなみに,この視点自体は,前記〔8〕地裁判決も示唆していたところではあるといえよう。前掲注106参照。
(注109)  ちなみに,本文上記の掲示板とは全く異なる事案についてであるが,〔11〕東京地決平成17年5月31日(平16(モ)15793)〈録画ネット事件仮処分異議決定〉は,「録画ネット」という名称で運営している放送番組の複製・送信サービスにおいて,同サービスの利用者と同サービスの提供者が,当該放送の複製を共同行為者として行っているとして,同提供者への差止めを肯定している(原決定認可)。なお,同事件の原仮処分決定である〔12〕東京地決平成16年10月7日(平16(ヨ)22093)〈録画ネット事件仮処分決定〉においては,同サービスにおける複製の主体は,同サービスの提供者であるとして,同者への差止めを肯定していた。
(注110)  なお,商標法に関するものではあるが,〔13〕大阪地判平成2年3月15日判時1359号128頁〈小僧寿し事件(大阪)〉は,フランチャイジーが商標権侵害をした場合において,その指導をしているフランチャイザーを被告として,フランチャイジーに商標権侵害をさせないように求める請求について,当該フランチャイザーは,フランチャイジーの商号,商標の使用に関し指導,監督し得る法的地位を有しており,実際にも,当該フランチャイザーは,フランチャイザーとして,各フランチャイジーに対し店舗店頭の正面看板等の表示の仕方について指導していることに鑑みると,当該フランチャイザーには,フランチャイジーをして,商標権侵害をさせないようにする義務があるとして,上記請求を認めている。〔14〕高知地判平成4年3月23日判タ789号226頁〈小僧寿し事件(高知)〉も,同種の事案につき,基本的に同様の理由から,当該フランチャイザーには,フランチャイジーをして,商標権侵害をしないように指導する義務があるとして,上記と同様の請求を認めている。
(注111)  〔16〕東京高判平成16年3月31日判時1864号158頁〈DEAD OR ALIVE事件控訴審判決〉も,上記〔15〕最判を引用して,専らゲームソフトの改変のみを目的とする編集ツールプログラム収録したCD-ROMを販売し,他人の使用を意図して流通に置いた者は,他人の使用により,ゲームソフトの同一性保持権の侵害を惹起したものとして,ゲームソフトの著作者に対し,不法行為に基づく損害賠償責任を負うと判示している(〔17〕東京地判平成14年8月30日判時1808号111頁〈DEAD OR ALIVE事件第一審判決〉も同旨)。

3  外国法からのアプローチ

 
(1) ドイツ法

   ドイツ著作権法には,同法第97条に差止め及び不作為請求権並びに損害賠償請求権に関する規定が定められている。
 同条第1項の規定によれば,著作者の権利その他のドイツ著作権法上の権利を違法に侵害された者は,加害者に対して,侵害の排除を,反復のおそれがあるときは不作為を請求することができるとともに,加害者に故意又は過失があるときは損害賠償を請求できるものと定められている。
 いわゆる「間接侵害」に関しては,同条に基づく請求の相手方という形で議論がなされている。そして,著作権法上の権利侵害について責任を負うのは,権利侵害を自ら行う者か,又はこれに関与する者でその行為と権利侵害との間に相当因果関係が存在する場合であると解するのが一般的である。
 もっとも,こうした責任が第三者に過度に拡大しないように,同条に基づく責任が肯定されるためには,一定の義務違反があったことが前提とされており,最近の判例においても,不作為請求を否定して,同条に基づく請求の相手方の範囲を限界付けたものが見受けられる。
 こうした点を含めて,今後ドイツ法と日本法との比較検討を進めるに当たっては,著作権法のみならず,不法行為に対する民法上の救済方法等,民事救済一般における基本理念を含めた幅広い検討が必要となろう。

(2) フランス法

   フランス知的財産法典には,我が国著作権法第112条のような差止請求権を定めた明文の規定は見られない。そのため,いわゆる「間接侵害」に関しても民事救済の一般原則が参照されることになる。
 フランス法においては,不法行為に対する民事上の救済方法は「現物賠償」が原則と言われており,これには差止めと原状回復が含まれると解されている。こうした点も踏まえつつ,今後フランス法と日本法との比較検討を進めるに当たっては,民事救済一般における基本理念を含めた幅広い検討が必要となろう。

(3)  アメリカ法

   アメリカ著作権法は,著作権法第106条から第121条に規定する排他的権利を侵害した者を著作権の侵害者と規定する(第501条(a))。一方,著作権法には,特許法における積極的誘引行為や寄与侵害行為を規制する条文は直接には存在しない(注112)。しかし判例法上,一定の要件の下で,直接の侵害者以外の者に対する侵害責任が肯定されている。すなわち,「代位責任(vicarious liability)」と「寄与侵害(contributory infringement)」の法理である。
 「代位責任」とは,1侵害行為を監督する権限と能力を有し,2侵害行為に対して直接の経済的利益を有する者に対して侵害責任を問う法理であり,使用者責任に関する一般的な法理にその根拠を有している(注113)。代位責任においては,侵害行為があることについての認識は必要ない。代位責任の根拠は,侵害者に対する監督権限を最大限行使して侵害状態を抑止すべきであったのにこれをしなかったという点に求められる。
 一方,「寄与侵害」とは,1直接侵害が成立する場合に,2侵害行為があることを知りながら,3他人の侵害行為を惹起し,又は重要な関与を行っていることをいう(注114)。
 寄与侵害は,悪意で不法行為に加担した者は有責であるとする不法行為法にその根拠を有している。そのため,寄与侵害の成立には侵害者の「侵害の認識」が必要である。「侵害の認識」とは,実際に知っている場合(actual knowledge)に加えて,知っていると考えるのが合理的である場合(constructive knowledge,擬制的認識)も含まれる。例えば,侵害にのみ用いられる専用品の提供については「擬制的認識」が認められ,寄与侵害が成立する。一方,「実質的に非侵害用途(substantially non infringing use)」に適した汎用品や流通商品の提供する行為には「擬制的認識」が認められない(注115) (注116)。後者の場合に,寄与侵害を肯定するためには,侵害に寄与した時に特定の侵害を合理的に知っており,かつ侵害を防ぐためにその知識に基づいて行動していないことが証明されなければならない(注117)。
 代位責任と寄与侵害は重畳的に成立し得る。いずれも,差止めによる救済が認められるという点で効果は同じである。

(4) イギリス法

   イギリス1988年著作権法(CDPA1988)は,著作権者の排他的権利を規定し(第16条第1項(a)〜(f)),これら権利の対象となる行為を著作権者に無断で行うこと,ないし他人がそれを行うことに許諾を与えること(注118)(a person who, without the licence of the copyright owner,does, or authorizes another to do, any of the acts restricted by the copyright)を「一次侵害(primary infringement)」としている(第16条第2項)。一次侵害は著作権者の排他権の内容となる行為を著作権者の許諾を得ずに行うものであるため,行為者の侵害の認識の有無に関わらず,差止めによる救済が可能である。
 一方,イギリス著作権法は,一次侵害に加えて,「二次侵害(secondary infringement)」を規定している。「二次侵害」は,侵害複製物の取引に関与する行為と,著作権を侵害する複製物の作成や実演に関与する行為とがある(第22条〜第26条,第296条)。本報告の検討対象である侵害の予備的・幇助的行為の規制は,後者である(第24条〜第26条・第296条・第298条)。具体的には,1侵害複製物を作成するために特別に設計され,適応された物品(articles specifically designed or adapted for making infringing copies of that work)の製造等(注119)(第24条第1項),2著作物の受信者に侵害複製物を作成させるために著作物を公衆送信する行為(第24条第2項),3文芸・演劇・音楽の著作物を侵害する実演のために公の場所の使用を許可すること(第25条),4著作権侵害となる実演のために機器・録音物等を提供すること,また建物占有権者が当該建物に当該機器の持込を許可すること(第26条),5コピープロテクションの回避装置ないし回避情報の提供(第296条),6著作物の無許諾受信を可能とする機器の製造等(第298条)がある。これらの行為は厳密な意味で著作権の排他的権利の内容に抵触するものではないが,著作権者の実効的な救済を可能とするために侵害行為として差止めによる救済の対象となっている。
 二次侵害では,一次侵害とは異なり,侵害を構成する事実についての侵害者の認識が要求される。「侵害者の認識」とは,「行為者が著作権侵害行為が行われたことを知っているか,もしくはそう信じる合理的な理由があること(knowing or having reason to believe)」をいう。「侵害の認識」がない場合には,二次侵害は成立しない。

(注112)  アメリカ特許法(1952年法)は,271条(b)において,「何人も,積極的に特許侵害を誘引した者は侵害者としての責を負う」と規定する。また,271条(c)において,「何人も,特許された機械,製造物,組み合わせ,もしくは混合物の構成部分,または特許された方法を実施するために使用する物質もしくは装置であって当該発明の不可欠な部分を構成するものを,それが当該特許を侵害して使用するための特別に製造されたものであること,又は,特別に変形されたものであって実質的な非侵害の用途に適した汎用品または流通商品でないことを知りながら,合衆国内で販売の申込みをし,もしくは販売し,又は合衆国内にこれらを輸入する者は,寄与侵害者としての責任を負う」と規定する。
(注113)   Shapiro , Bernstein & Co., v. H.L.Green Cp., 316 F.2d 304 ( 2d Cir.1963)では,被告から営業のライセンスを得てレコード店を経営していた者が海賊版レコードを販売していたという事案で,被告がレコード店の総売上高の10パーセントないし12パーセントをライセンス料として徴収しており,ライセンスの合意に基づきレコード店を指揮監督し得る立場にあったことを理由として,代位責任を肯定した。
(注114)  著作権法上の「寄与侵害」には,特許法における侵害の積極的誘引(271条(b))と侵害に不可欠な物品の提供(第271条(c))の双方が含まれている。寄与侵害に該当する「重要な関与」とは,典型的には,直接侵害のための敷地や設備を提供することである。例えば,Fonovisa, Inc. v. Cherry Auction, Inc., 76 F.3d 259(9th Cir. 1966))は,フリーマーケットの店舗で海賊版が販売されていたという事案で,ブースの場所,施設,駐車場,広告を提供している者は重要な寄与があるとし,侵害品の販売につき警察から警告を受けていることから侵害の認識もあったとして,寄与侵害の成立が肯定されている。
(注115)   Sony Corp. of America v. Universal City Studios, Inc., 464 U.S. 417 (1984)では,Sonyの家庭用ビデオテープレコーダー(VTR)が,一般消費者の違法な録画行為を誘発しているとして,差止め・損害賠償が請求されたが,VTRが実質的に非侵害用途に利用し得ることを理由として,寄与侵害が否定された。
(注116)   A&M Records, Inc. v. Napster, Inc., 239 F.3d 1004(9th Cir.2001)では,中央管理型P2Pファイル交換ソフトの提供業者の行為が寄与侵害になるかどうかが争われた。被告は,Sony判決を援用し,ユーザー間で違法なファイル交換がなされるかもしれないという程度の認識では寄与責任を問うのに不十分だと争ったが,裁判所は,具体的な侵害物がシステム上で利用可能となっているのを知りつつ,これを除去し得るのに放置していた場合には寄与侵害が成立し得るとした(代位責任も肯定されている)。一方,非中央管理型P2Pファイル交換ソフトの提供業者の寄与侵害が問題となった事案で,下級審(MGM Studios, Inc. v. Grokster Ltd., 380 F.3d 1154 (9th Cir. 2004)は侵害を否定したが,ごく最近出された最高裁判決(2005 U.S. LEXIS 5212(U.S. June 27, 2005))は,「著作権侵害のために機器を使用することを促す目的を持って機器を頒布する者は,第三者による侵害行為の結果に対して責任を負う」と結論した上で,控訴審判決を取り消し,事件を差し戻した。
(注117)   A&M Records, Inc. v. Napster, Inc., 239 F.3d 1004, at 1027 (9th Cir.2001).
(注118)  「他人に著作権侵害の許諾を与える行為」とは,「直接の侵害者の行為を制御するための一定の権限を有する者(a grantor who has some degree of actual or apparent right to control the relevant actions of the grantee)の行為」をいう。
(注119)  対象となる物品は,打ち抜き型や鋳型など,特定の著作物の複製に用いられるものに限定される。複写機やテープレコーダーなどの汎用品は含まない。

4  特許法からのアプローチ

 
(1) 特許法第101条の趣旨・概要

   特許法におけるいわゆる直接侵害とは,特許権者に無断で特許発明を業として実施することをいう(第68条・第2条第3項各号)。一方,特許法におけるいわゆる間接侵害とは,直接侵害の予備的・幇助的行為のうち,直接侵害を誘発する蓋然性の高い行為として第101条に規定されたものをいう。具体的には,1特許発明の実施にのみ用いられる物の生産・譲渡等する行為(第1号・第3号)及び,2発明の実施に用いられる物でその発明の課題の解決に不可欠なものを情を知りつつ生産・譲渡等する行為(第2号・第4号)が間接侵害として規制されている。特許法が間接侵害を規制している趣旨は,直接侵害に該当しない行為であっても,例えば専用部品の提供行為のように,直接侵害を惹起する危険性の高い行為を規制することで直接侵害が生じることを事前に防止し,特許権の実効性を高めるという点にある。間接侵害が成立すれば,差止め・損害賠償等の民事上の救済の他,刑事罰の適用も受けることになる(第196条)。

(2) 特許法上の間接侵害と差止請求権

   特許法に間接侵害規定が導入されたのは昭和34年法による。昭和34年法では,発明の実施にのみ用いる物(=専用品)の提供行為が専ら規制の対象となっていた(旧特許法第101条第1号・第2号)。立法検討過程では,アメリカの寄与侵害のように,規制対象を専用品に限定することなく侵害に不可欠な物品まで広げる代わりに,行為者の侵害発生への認識を要求するという案も検討されていたが(注120),行為者の主観的認識を立証することに困難があることから,主観的認識を要件としない代わりに規制対象品を専用品に限定するということで解決をみた。
 しかし昭和34年法では,他の実用的な用途がある物品については悪意で提供した場合も間接侵害とはならないため(注121),間接侵害の成立範囲が狭すぎるという問題点が指摘されていた。この問題は特にソフトウェア関連技術の発達に伴い,深刻化していった。例えば,ソフトウェア関連発明については,ソフトウェアの部品である各モジュールが一般的に他のソフトウェアにも転用可能な汎用性を有しているため,ソフトウェアの侵害物品を構成する部品の提供行為に間接侵害の成立を認めることは困難となるという点が懸念された(注122)。一方,諸外国に目を転じると,アメリカ・ドイツ等では,規制対象品を専用品以外の物品にまで拡大しつつ,侵害者の主観的認識を要求することで規制範囲が不当に拡大していくことを防止している(注123)。そこで,我が国でも同様の方向で,間接侵害規定を拡充することが検討され,平成14年法改正により,従来の専用品に対する規制に加えて(現第101条第1号・第3号),「発明による課題の解決に不可欠な物品(注124)」を「その発明が特許発明であること,及び,それが発明の実施に用いられることを知りながら(注125)」提供する行為が間接侵害として新たに規制されることとなった(現第101条第2号・第4号)。もっとも,ねじ,釘等「日本国内において広く一般的に流通しているもの」は,「発明による課題の解決に不可欠な物品」に含まれない。これらの物の生産・譲渡等まで間接侵害行為に含めることは取引の安全性の確保という観点から望ましくないので,対象外としている。

(3) 特許法第101条と著作権法第112条の解釈

   特許法は,第100条において,「特許権者が自己の特許権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し,その侵害の停止又は予防を請求できる」と規定し,第101条において,侵害の予備的・幇助的行為のうち特に重要なものを「侵害とみなす」と規定する。このことから,特許法は,侵害の教唆者・幇助者は原則として「特許権を侵害する者」に当たらないという理解を前提としつつ,他方で専用品の提供など,侵害を惹起する蓋然性の極めて高い特定の行為に差止めを認めるべく,これらの行為を行った者を特に第100条の「特許権を侵害する者」として取り扱うこととされている。したがって,逆に言えば,特許権侵害の教唆者・幇助者であっても,特許法第101条で捕捉できない場合には,特許法上,差止めによる救済を認めることは困難であり,不法行為法によって対処するしかないことになる(民法第719条第2項)。
 一方,著作権法第112条は,「著作権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し,侵害の停止又は予防を請求できる」との規定のみを置き,特許法の間接侵害に相当する規定を置いていない。そのため,「著作権を侵害する者」に,教唆者・幇助者が含まれるかどうかが問題となる。この点については,判例学説上,積極的に解するものと消極的に解するものが分かれている(判例学説の対立について詳しくは,2.裁判例からのアプローチを参照)。
 いずれの立場をとるにせよ,著作権者の利益と著作物利用者の自由とのバランスを考慮した結果,侵害の予備的・幇助的行為を規制する必要があると考えられる場合には,著作権法においても,特許法に対応する規定を導入することを検討する必要がある。
 既述の通り,特許法第101条における間接侵害の規定は,専用品の提供行為に関する規制(厳格な客観的要件一本のみの規制)と,専用品以外の物品等を情を知りつつ提供する行為に関する規制(客観的要件を緩和する代わりに主観的要件を加重する規制)との二本立てとなっているため,今後,著作権法において間接侵害に関する規定を導入する場合には,特許法のように,厳格な客観的要件のみの規制と緩和された客観的要件プラス主観的要件の二本立ての規定を導入するのか,あるいはどちらか一方を選択的に導入するのか,それともまた著作権法独自の別個の規制を導入するのか,という点について,検討する必要が生じよう。

(注120)  特許庁編『工業所有権制度改正審議会答申説明書』108頁(発明協会・1957年)。立法検討過程では主にアメリカ法が参考にされ,アメリカ法における積極的誘引行為(active inducement of infringement)や寄与侵害(contributory infringement)の規制の導入が検討されていた。
(注121)  なお,裁判例では,101条における「発明の実施にのみ使用する物」の解釈について,対象物品が単に特許発明の本来の用途以外の用途に使用される抽象的ないし試験的な可能性があるというだけでは足りず,社会通念上経済的,商業的ないしは実用的であると認められる用途がある場合に特許発明の実施「にのみ」用いられる物品とはいえず,間接侵害が否定されるとしている(東京地判昭和56年2月25日無体集13巻1号139頁〈一眼レフカメラ事件〉,大阪地判平成12年10月24日判タ1081号241頁〈製パン器事件〉)。
(注122)  特許庁総務部総務課制度改正審議室編『平成14年・産業財産権法の解説』(発明協会・2002年)。
(注123)  アメリカ特許法(1952年法)は,第271条(c)において,「何人も,特許された機械,製造物,組み合わせ,もしくは混合物の構成部分,または特許された方法を実施するために使用する物質もしくは装置であって当該発明の不可欠な部分を構成するものを,それが当該特許を侵害して使用するための特別に製造されたものであること,又は,特別に変形されたものであって実質的な非侵害の用途に適した汎用品または流通商品でないことを知りながら,合衆国内で販売の申込みをし,もしくは販売し,又は合衆国内にこれらを輸入する者は,寄与侵害者としての責任を負う」と規定する。
 ドイツ特許法(1981年法)第10条は,第1項において,「特許権は,全ての第三者が,特許権者の許諾を得ずして,本法施行の地域内において,特許発明を実施する権限を有しない者に対して,特許発明の本質的要素に関する手段を,特許発明の実施のために用いられることを知っているか,もしくは特許発明の実施に適しており,かつ実施のために用いられることを予定していることが明らかな状況の下において,供給し,又は供給することを申し出ることを禁止する効力を有する」とし,間接侵害の一般的成立要件を規定する。続いて,第2項において,「第1項の規定は,その手段が取引される必需品である場合においては適用されない。ただし,提供者が提供を受ける者に対して第9条第2文によって禁止された行為(特許権の直接侵害のこと)を行わしめた場合はこの限りでない」とする。
(注124)  「発明による課題の解決に不可欠な物品」とは,請求項に記載された発明の構成要素の他,発明の実施に使用される道具,原料なども含まれる(前掲『平成14年・産業財産権法の解説』27頁)。
(注125)  「知りながら」とは,実際に知っていることであり,過失により知らなかった場合は対象外である。自ら供給する部品等が複数の用途を有する場合に,それらが供給先においてどのように使われるかについてまで注意義務を負わせることは,部品等の供給者に酷であり,取引の安全を著しく阻害するおそれがあるというのがその理由である(前掲『平成14年・産業財産権法の解説』31頁)。

5  検討結果

   前記1の立法的検討事項につき,裁判例の研究(前記2),主要国の比較法研究(前記3),特許法における間接侵害規定との対比(前記4)の3点を軸に,鋭意検討を進めてきた。

 裁判例としては,前記2(1)のようなカラオケ法理(クラブ・キャッツアイ法理)に基づき侵害主体性を肯定した一連の裁判例があるが,他方,侵害行為の幇助者に対する差止請求については,前記2(2)のように,これを肯定する裁判例と否定する裁判例との間で鋭い解釈論上の対立が存する。また,比較法としては,ドイツ法,フランス法,アメリカ法,イギリス法の主要4法制につき検討を開始した。これらの法制の検討に当たっては,もちろん法律(制定法)と判例の双方を対象としたが,著作権法ないし知的財産法のみならず,各国における民事法一般等も視野に入れた総合的な比較法研究を心掛けるようにした。特許法の間接侵害規定(特許法第101条)との対比においては,現行法(昭和34年法)の当初から存する同条第1号・第3号と,平成14年改正で付加された同条第2号・第4号の双方を検討の対象とした。

 前記1の検討事項は,著作権法において,差止請求をいかなる範囲で肯定すべきかの問題にほかならず,差止請求権と損害賠償請求権との関係や刑事法との関係といった,一般法上の論点も本格的に視野に入れる必要のある複雑困難な論点であるが,本格的な先行研究は必ずしも豊富とはいえない状況にある。このような中で,前記の3点を軸として,最大限努力して検討作業を進めてきたが,現時点までの検討期間が対象事項の複雑困難性に比すと非常に短いものであるために,前記各検討,特に比較法研究は,いまだ緒に就いたばかりといっても過言ではない状況にある。今後これらの検討を行うこととしたい。

 以上のような現時点までの検討状況を踏まえた上でも,特許法第101条第1号・第3号に対応するような間接侵害の規定を著作権法にも何らかの形で盛り込むという基本的方向性については特に異論はなかったが,それを超えるような規定の導入の当否の点については,前述のような比較法研究を含めた徹底的な総合的研究を踏まえた上で,更に検討を継続すべきものとされ,平成19年を目途に結論を得るべきものとされた。

 なお,司法救済に関するもう一つの検討項目である損害賠償・不当利得等については,「間接侵害」についての検討が相当程度進んだ時点で,並行して検討を開始することとして,これについても,平成19年を目途に結論を得るべきものとされた。

  【参照条文】

 
日本法

○著作権法(昭和45年5月6日法律第48号)(抄)
 (差止請求権)
第112条 著作者,著作権者,出版権者,実演家又は著作隣接権者は,その著作者人格権,著作権,出版権,実演家人格権又は著作隣接権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し,その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2  著作者,著作権者,出版権者,実演家又は著作隣接権者は,前項の規定による請求をするに際し,侵害の行為を組成した物,侵害の行為によつて作成された物又は専ら侵害の行為に供された機械若しくは器具の廃棄その他の侵害の停止又は予防に必要な措置を請求することができる。

 (侵害とみなす行為)
第113条 次に掲げる行為は,当該著作者人格権,著作権,出版権,実演家人格権又は著作隣接権を侵害する行為とみなす。
 
 国内において頒布する目的をもつて,輸入の時において国内で作成したとしたならば著作者人格権,著作権,出版権,実演家人格権又は著作隣接権の侵害となるべき行為によつて作成された物を輸入する行為
 著作者人格権,著作権,出版権,実演家人格権又は著作隣接権を侵害する行為によつて作成された物(前号の輸入に係る物を含む。)を情を知つて頒布し,又は頒布の目的をもつて所持する行為
2  プログラムの著作物の著作権を侵害する行為によつて作成された複製物(当該複製物の所有者によつて第47条の2第1項の規定により作成された複製物並びに前項第一号の輸入に係るプログラムの著作物の複製物及び当該複製物の所有者によつて同条第一項の規定により作成された複製物を含む。)を業務上電子計算機において使用する行為は,これらの複製物を使用する権原を取得した時に情を知つていた場合に限り,当該著作権を侵害する行為とみなす。
3  次に掲げる行為は,当該権利管理情報に係る著作者人格権,著作権,実演家人格権又は著作隣接権を侵害する行為とみなす。
 
 権利管理情報として虚偽の情報を故意に付加する行為
 権利管理情報を故意に除去し,又は改変する行為(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約による場合その他の著作物又は実演等の利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる場合を除く。)
 前二号の行為が行われた著作物若しくは実演等の複製物を,情を知つて,頒布し,若しくは頒布の目的をもつて輸入し,若しくは所持し,又は当該著作物若しくは実演等を情を知つて公衆送信し,若しくは送信可能化する行為
4  第95条第1項若しくは第97条第1項に規定する二次使用料又は第95条の3第3項若しくは第97条の3第3項に規定する報酬を受ける権利は,前項の規定の適用については,著作隣接権とみなす。この場合において,前条中「著作隣接権者」とあるのは「著作隣接権者(次条第4項の規定により著作隣接権とみなされる権利を有する者を含む。)」と,同条第1項中「著作隣接権」とあるのは「著作隣接権(同項の規定により著作隣接権とみなされる権利を含む。)」とする。
5  国内において頒布することを目的とする商業用レコード(以下この項において「国内頒布目的商業用レコード」という。)を自ら発行し,又は他の者に発行させている著作権者又は著作隣接権者が,当該国内頒布目的商業用レコードと同一の商業用レコードであつて,専ら国外において頒布することを目的とするもの(以下この項において「国外頒布目的商業用レコード」という。)を国外において自ら発行し,又は他の者に発行させている場合において,情を知つて,当該国外頒布目的商業用レコードを国内において頒布する目的をもつて輸入する行為又は当該国外頒布目的商業用レコードを国内において頒布し,若しくは国内において頒布する目的をもつて所持する行為は,当該国外頒布目的商業用レコードが国内で頒布されることにより当該国内頒布目的商業用レコードの発行により当該著作権者又は著作隣接権者の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合に限り,それらの著作権又は著作隣接権を侵害する行為とみなす。ただし,国内において最初に発行された日から起算して七年を超えない範囲内において政令で定める期間を経過した国内頒布目的商業用レコードと同一の国外頒布目的商業用レコードを輸入する行為又は当該国外頒布目的商業用レコードを国内において頒布し,若しくは国内において頒布する目的をもつて所持する行為については,この限りでない。
6  著作者の名誉又は声望を害する方法によりその著作物を利用する行為は,その著作者人格権を侵害する行為とみなす。

○民法(明治29年4月27日法律第89号)(抄)
 (不法行為による損害賠償)
第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は,これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 (共同不法行為者の責任)
第719条 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは,各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも,同様とする。
2  行為者を教唆した者及び幇助した者は,共同行為者とみなして,前項の規定を適用する。

○特許法(昭和34年4月13日法律第121号)(抄)
 (差止請求権)
第100条 特許権者又は専用実施権者は,自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し,その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2  特許権者又は専用実施権者は,前項の規定による請求をするに際し,侵害の行為を組成した物(物を生産する方法の特許発明にあつては,侵害の行為により生じた物を含む。第102条第1項において同じ。)の廃棄,侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。

 (侵害とみなす行為)
第101条 次に掲げる行為は,当該特許権又は専用実施権を侵害するものとみなす。
 
 特許が物の発明についてされている場合において,業として,その物の生産にのみ用いる物の生産,譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
 特許が物の発明についてされている場合において,その物の生産に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)であつてその発明による課題の解決に不可欠なものにつき,その発明が特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら,業として,その生産,譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
 特許が方法の発明についてされている場合において,業として,その方法の使用にのみ用いる物の生産,譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
 特許が方法の発明についてされている場合において,その方法の使用に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)であつてその発明による課題の解決に不可欠なものにつき,その発明が特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら,業として,その生産,譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為


ドイツ法

○著作権法(1965年9月5日の著作権及び著作隣接権に関する法律)(抄)
 【『外国著作権法令集(16)―ドイツ編―』(社団法人著作権情報センター,1995年)〔斉藤博訳〕(1993年一部改正)55頁より】

 第二節 権利侵害
 第一款 民事規定,訴訟方法

第97条 不作為及び損害賠償の請求
1  著作権又はこの法律によつて保護を受けるその他の権利を,違法に侵害する者に対して,被害者は,侵害の排除を,反復のおそれがあるときは不作為を,加害者に故意又は過失があるときは損害賠償をも,請求することができる。被害者は,損害賠償に代えて,加害者が権利の侵害によつて得た利得の返還及びこの利得に関する会計報告を請求することができる。


イギリス法

○著作権法(1988年の著作権,意匠及び特許法)(抄)
 【『外国著作権法令集(34)―英国編―』(社団法人著作権情報センター,2004年)〔大山幸房訳〕(1990年,1992年,1994年,1995年,1996年及び1997年一部改正)23-25頁,247-249頁,251-252頁より】
 著作権の二次侵害

 (二次侵害―侵害複製物の輸入)
第22条 著作物の著作権は,著作物の侵害複製物である物品であって,侵害複製物であることを知り,又はそう信じる理由を有しているものを,私的及び家庭内の使用以外のために,著作権者の許諾を得ずに連合王国に輸入する者により侵害される。

 (二次侵害―侵害複製物の所持又は利用)
第23条 著作物の著作権は,著作物の侵害複製物である物品であって,侵害複製物であることを知り,又はそう信じる理由を有しているものについて,著作権者の許諾を得ずに次の行為を行う者により侵害される。
 
(a)  業務の過程において所持すること。
(b)  販売し,若しくは賃貸させ,又は販売若しくは賃貸のために提供し,又は陳列すること。
(c)  業務の過程において公に展示し,又は頒布すること。
(d)  業務の過程以外において,著作権者を害する程度にまで頒布すること。

 (二次侵害―侵害複製物の作成のための手段の提供)
第24条
  (1)  著作物の著作権は,その著作物の複製物を作成することを特に意図され,又はそのために適応される物品について,それが侵害複製物を作成するために使用されることを知りつつ,又はそう信じる理由を有しつつ,著作権者の許諾を得ずに次の行為を行う者により侵害される。
 
(a)  作成すること。
(b)  連合王国に輸入すること。
(c)  業務の過程において所持すること。
(d)  販売し,若しくは賃貸させ,又は販売若しくは賃貸のために提供し,又は陳列すること。
(2)  著作物の著作権は,連合王国その他における送信の受信により著作物の侵害複製物が作成されることを知りつつ,又はそう信じる理由を有しつつ,電気通信設備(放送すること又は有線番組サービスに挿入すること以外の)により著作物を著作権者の許諾を得ずに送信する者により侵害される。

 (二次侵害―侵害実演のための構内の使用の許可)
第25条
  (1)  文芸,演劇又は音楽の著作物の著作権が公の興行の場所における実演により侵害される場合には,その場所が実演に使用されることに許可を与えたいずれの者も,その者が許可を与えた時に実演が著作権を侵害しないことを合理的な根拠により信じていた場合を除き,侵害について責任を有する。
(2)  この条において,「公の興行の場所」は,主として他の目的のために占有されている構内であって,随時公の興行を目的とする賃貸のために提供されるものを含む。

 (二次侵害―侵害実演等のための機器の提供)
第26条
  (1)  次のことを行うための機器を用いて著作物を公に実演し,又は著作物を公に演奏し,若しくは上映することにより著作物の著作権が侵害される場合には,以下の者も,侵害について責任を有する。
 
(a)  録音物を演奏すること。
(b)  映画を上映すること。
(c)  電子的手段により送られる視覚的影像又は音を受信すること。
(2)  機器又はそのいずれかの実質的部分を提供する者は,その者が機器又はその部分を提供した時に次のいずれかに該当するときは,侵害について責任を有する。
 
(a)  機器が著作権を侵害するように使用される可能性があることを知り,若しくはそう信じる理由を有していた。
(b)  その通常の使用が公の実演,演奏又は上映を伴う機器の場合には,その機器が著作権を侵害するように使用されないことを合理的な根拠により信じていなかった。
(3)  機器が構内に持ち込まれることに許可を与えた構内の占有者は,その者が許可を与えた時に機器が著作権を侵害するように使用される可能性があることを知り,又はそう信じる理由を有していたときは,侵害について責任を有する。
(4)  著作権を侵害するために使用された録音物又は映画の複製物を提供した者は,その者がそれを提供した時に,その提供したもの又はそれから直接若しくは間接的に作成された複製物が著作権を侵害するように使用される可能性があることを知り,又はそう信じる理由を有していたときは,侵害について責任を有する。

 複製防止を回避するための装置

 (複製防止を回避するための装置)
第296条
  (1)  この条の規定は,著作権のある著作物の複製物が,著作権者により又はその許諾を得て,複製防止の電子的形式により公衆に配付される場合に適用される。
(2)  複製物を公衆に配付する者は,それが侵害複製物を作成するために使用されることを知り,又はそう信じる理由を有しながら次のいずれかのことを行う者に対して,著作権者が著作権侵害について有する権利と同一の権利を有する。
 
(a)  用いられた複製防止の形式を回避することを特に予定され,又はそのように適応されたいずれかの装置又は手段を作成し,輸入し,販売し,若しくは賃貸させ,販売若しくは賃貸のために提供し,若しくは陳列し,又は販売若しくは賃貸のために広告すること。
(b)  ある者がその複製防止の形式を回避することを可能とし,又は援助することを意図される情報を公表すること。
(2A)  第1項に定める公衆に配付される複製物が,コンピュータ・プログラムの複製物である場合には,第2項の規定は,同項における「販売若しくは賃貸のために広告する」という用語が「販売若しくは賃貸のために広告する」という用語が「販売若しくは賃貸のために広告し,又は業務の過程において所持する」に替えられたものとして,適用される。
(3)  更に,その者は,第99条又は第100条(ある種の物品の引渡し又は押収)に基づいて,著作権のある著作物の侵害複製物を作成するために使用する意図をもってある者が所有し,保管し,又は管理するそのようないずれかの装置又は手段に関して,著作権者が侵害複製物に関して有する権利と同一の権利を有する。
(4)  この条における複製防止への言及は,著作物の複製を阻止し,若しくは制限し,又は作成された複製物の品質を害することを意図されるいずれかの装置又は手段をも含む。
(5)  この法律第1部(著作権)の目的のために定義されているこの条において使用されている表現は,同部におけると同一の意味を有する。
(6)  次の規定は,第1部(著作権)に基づく訴訟手続に関してと同様に,この条に基づく訴訟手続に関しても適用される。
 
(a)  この法律第104条から第106条まで(著作権に関するある種の事項についての推定)
(b)  1981年の最高裁判所法第72条,1985年の法改革(雑則)(スコットランド)法第15条及び1978年の裁判権(北部アイルランド)法第94条のA(知的所有権に関するある種の訴訟手続における自己負罪に対する特権の取消し)
また,この法律第114条の規定は,必要な修正を伴って,前記第3項に基づいて引き渡され,又は押収されるいずれかのものの処分に関しても適用される。

 送信の不正受信
(送信の無許諾受信のための機器等についての権利及び救済)
第298条
 
(1)  次の者は,以下の権利及び救済について資格を有する。
 
(a)  連合王国内のある場所から提供される放送又は有線番組サービスに挿入される番組の受信について代金を請求する者
(b)  連合王国内のある場所から他のいずれかの種類の暗号送信を送る者
(2)  その者は,次のことを行う者に対して,著作権者が著作権侵害について有すると同一の権利及び救済を有する。
 
(a)  ある者がそうすることについて資格を有しないときに,その者が番組その他の送信を受信することを可能とし,若しくは援助することを予定され,又はそのように適応されたいずれかの機器又は装置を作成し,輸入し,販売し,若しくは賃貸し,販売若しくは賃貸のために提供し,若しくは陳列し,又は販売若しくは賃貸のために広告すること。
(b)  ある者がそうすることについて資格を有しないときに,その者が番組その他の送信を受信することを可能とし,若しくは援助することを企図されるいずれかの情報を公表すること。
(3)  更に,その者は,第99条又は第100条(ある種の物品の引渡し又は押収)に基づいて,そのようないずれかの機器又は装置に関して,著作権者が侵害複製物に関して有すると同一の権利を有する。
(4)  1981年の最高裁判所法第72条,1985年の法改革(雑則)(スコットランド)法第15条及び1978年の裁判権(北部アイルランド)法第94条のA(知的所有権に関するある種の訴訟手続における自己負罪に対する特権の取消し)の規定は,この法律第1部(著作権)に基づく訴訟手続に適用されると同様に,この条に基づく訴訟手続にも適用される。
(5)  この条により付与される権利の侵害訴訟手続に適用される第97条第1項(著作権の善意による侵害)において,著作物に著作権が存続していたことを知らず,又はそう信じる理由を有しない被告への言及は,その者の行為がこの条の規定により付与される権利を侵害したことを知らず,又はそう信じる理由を有しないことへの言及と解釈される。
(6)  この法律第114条の規定は,必要な修正を伴って,前記第3項に基づいて引き渡され,又は押収されるいずれのものの処分に関しても適用される。

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