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文化審議会

2001/11/12 議事録

文化審議会著作権分科会(第2回)議事要旨

文化審議会著作権分科会(第2回)議事要旨

1  日時

平成13年11月12日(月)10時30分〜12時20分

2  場所

東海大学校友会館「望星の間」

3  出席者

(委員)

北川分科会長,齊藤副分科会長,あがた,板谷,稲葉,入江,岡田,小熊,金原,國分,酒井,迫本,里中,柴崎,辻本,永井,中山,野村,半田,松下,松村,丸島,三田,村上,紋谷,山際,山口,の各委員

(文化庁)

佐々木文化庁長官,銭谷文化庁次長,天野長官官房審議官,岡本著作権課長,村田国際課長,尾崎マルチメディア著作権室長ほか関係者

4  概要

(1)著作権に関する仲介業務に関する法律の廃止(H13.10.1付)及び著作権等管理事業法の施行(H13.10.1付)に伴う文化審議会著作権分科会運営規則第2条第1項第6号の改正について、事務局より改正案の説明があり、審議された結果、原案のとおり承認された。

(2)総括小委員会、情報小委員会、放送小委員会及び国際小委員会の審議経過の概要について各小委員会の主査の報告及び事務局からの補足説明があった。

(3)文化審議会著作権分科会審議経過の概要について、事務局から概要案の説明があり、その後、次のような意見交換が行われた。

【委員】

各小委員会の審議経過の概要はどのように公表されるのか。

【事務局】

運営規則上、各小委員会の報告は分科会に報告した後公表することができるが、今回の分科会の審議経過の概要は、各小委員会の審議経過の概要から構成されているので、記者レク等による積極的な公表は、分科会の審議経過の概要によって行う予定である。

【委員】

各小委員会の報告に対し意見がある場合や、問題があると思われる場合などは、それを考慮する時間があるということなのか。

【事務局】

小委員会をもう一度やり直すことはできないが、小委員会の報告の内容について分科会として意見があれば、別途分科会の意見を追加することになると考える。

【委員】

実演家の人格権について、音の実演に対する実演家の人格権に遡及効はもたせるのか。

【事務局】

条約上、遡及が原則となっている。遡及とは、過去の行為を問うということではなく、すでに行われた実演についても法改正後の利用に権利が及ぶということである。

【委員】

実演家に対し人格権を付与するということは結構なことだが、利用者側はオリジナルが何かということがわからない場合がある。オリジナルだと思って利用していたら実は人格権侵害、ということになりかねないのではないか。実演家側はオリジナルかどうかが分かるような表示の方策を検討すべきではないか。また、特許の権利取得過程で行われる各企業における引用文献のコピーなどについて、権利制限規定の対象を検討すべきではないか。

【事務局】

他人が改変した実演を利用する場合は人格権の侵害とはならない。表示については、円滑な利用という観点から、諸々の権利者・権利に関する情報の整理・添付を促していきたい。また、「引用」の範囲を越え、かつ法改正の必要があれば来年以降の情報小委員会でとりあげていきたい。

【委員】

契約の安定性についてだが、コンピュータプログラムにかかる契約が成立していたのにライセンサーが破産した場合、ライセンシーの地位が極端に不安定になる。これは特許などでも同様だが、会社更生法や破産法が優先適用されてライセンシーの地位が脅かされる。なんとかライセンシーの地位を安定的にする法改正はできないのか。

【事務局】

このことについては、経済産業省からも要望がでているが、現在、具体的な事案について経済産業省で整理してもらっている。

【委員】

この問題について、経済産業省から要望があるのであれば、分科会において次年度以降の検討事項として取り上げてもらいたいと考えている。

【事務局】

経済産業省もまだ整理がついていないので、さらに詰めていただいて、具体的な要望が出てくれば、来年以降の審議でとりあげていきたい。

【委員】

情報小委員会の教育WGについては、著作権保護と教育関係者の要望をすりあわせ、両立の道を模索して欲しい。ただ、議事要旨によると、今後は当事者間で具体的な協議を進める必要があるということだが、当事者間だけに任せるのは疑問に感じる。

【事務局】

当事者間の協議に全て委ねるということではない。WGで権利者側、利用者側の意見を整理したわけだが、今後は問題の優先順位などについて当事者間でもっとつめてもらうということを考えている。そこである程度の方向性がでてくれば、小委員会等にフィードバックして議論していくことになる。

【委員】

総括小委員会の基本的課題の中で、中古品流通と著作権の問題をとりあげているが、美術品における追求権も、著作物の移動に伴っておきる問題という意味では共通の問題だと認識している。総括小委員会では中古品流通の問題と関連して、この美術品の追求権についても何らかの言及があったのか。また、もし言及がなかったとすれば、今後問題として取り上げられるのか。

【事務局】

著作物ないしその複製物を流通においた後どうなるかという問題と、追及権が関連していることは承知している。総括小委員会でさらに議論される時は、この点も議論してもらうこととしたい。

【委員】

要望として、追求権の確立を実現していくような方向を目指してもらいたい。

(4)文化審議会著作権分科会審議経過の概要については、次回の著作権分科会において最終的に取りまとめることとなった。

(5)その後、著作権全般に関し次のような意見交換が行われた。

【委員】

参考資料の2として第一回分科会の議事要旨があるが、これでは、結果報告のみで、委員の発言があったのかどうかなどがわからない。

【事務局】

今後の議事要旨については、ご指摘の点を考慮して作成したい。

【委員】

現行の著作権法では音楽作品の曲と歌詞は結合著作物と判断されているが、JASRACの実務では、徴収した使用料を分配する際、共同著作物並みに曲と歌詞を一体のものとして取り扱っている。管理事業法の施行により、JASRAC以外の管理事業者が曲と歌詞を結合著作物として管理した場合、作曲者と作詞者が長い間話し合って決めた分配方式が否定されるおそれがあるので、著作権法を改正して楽曲を共同著作物として位置づけてもらいたい。

【委員】

現在普及している書籍の中古販売だが、従来の古本屋に比べ大規模でシステム化されている。買戻特約付の譲渡は現行著作権法でも貸与だと考えられている。現状の中古販売を見ると、買戻特約がついているわけではないが、特に汚れた本でなければ新古書店は一定の値段で買い取るというシステムが確立している。中古販売の問題は貸与権が関わってくる問題でもあり、来年以降もさらに議論を深めていただきたい。

【委員】

図書館の貸与について補償金を課すという例が諸外国にあるのか。

【事務局】

補償金は図書館利用者が支払うわけではなく、図書館が権利者に支払うものである。現在我が国でも図書館におけるビデオの貸与については図書館が補償金を支払わなければならないこととなっている。ヨーロッパのいくつかの国では図書館における著作物の複製物の貸与について公貸権などの名称で補償金の支払いを必要とする制度を導入している。

【委員】

国民に審議経過の情報を提供するということについてだが、インターネットの情報提供のスピードが非常に遅いと思う。一般の国民にとっても非常に重要なテーマだと捉えているのでその辺のことを考慮してもらいたい。

(6)閉会に当たり、文化庁長官より挨拶があった。

(7)事務局より、次回の日程(H13.12.10,東海大学校友会館「望星の間」)についての説明があり、閉会した。

(文化庁長官官房 著作権課)

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