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資料1

第15回SCCR(著作権等常設委員会)結果概要

平成18年10月27日
文化庁長官官房国際課

1. 日時、場所
  平成18年9月11日〜13日、WIPO本部(ジュネーブ)

2. 出席者
  文化庁:秋葉国際課長、千代国際著作権専門官
総務省、外務省、NGO他

3. アジェンダ
 
1 開会
2 議長と副議長の選出
3 アジェンダの採択
4 第14回会合の報告書の採択
5 NGOの認証
6 放送機関の保護
7 他の事項
8 閉会

4. 会合の概要
   本会合の目的は、昨年の一般総会の合意に従って、条約のベーシックプロポーザルを完成し、一般総会に外交会議の開催を提案することにあった。議長はこの目的を達成するため、ベーシックプロポーザルは外交会議の議論用の叩き台に過ぎず、何ら外交会議の議論を拘束しないので、内容についてコンセンサスを得る必要はない旨を強調した。この点は、前回までのSCCRにおいて、包括性の原則(すべての国の提案を平等に扱い、すべてをベーシックプロポーザルに盛り込む)が合意されたことから、さらに明確になり、論理的には、ベーシックプロポーザル作成のために、一切内容を議論する必要はないことに帰結するはずである。
 しかし、会合においては、再びベーシックプロポーザルの内容が議論となり、議長は一般総会への外交会議開催の提案を強引にまとめたものの、十分なコンセンサスが得られたとは言い難い結果となった。(その後、一般総会でSCCR合意は修正されることとなった。)
 議論の経緯は、以下の通りである。
 議長作成の修正ベーシックプロポーザル案は包括性の原則に則ったものであったため、論理的には、これに反対する理由は存在しないはずであるが、インドと米国が不支持であった。
 インドの不支持の理由は2点。1コンピュータネットワークでの再送信権が含まれているが、これは除外されるはずとなったウェブキャスティングなので、除外すべき、2そもそも放送機関が著作権者でない場合には保護すべきでない、であった。
 米国は、第2条〜第4条の一般公益条項や文化多様性の保護等が含まれるベーシックプロポーザルで外交会議に行くことは支持できないということであった。
 インドの主張は、そもそも反対と言うに等しく、米国の主張も包括性の原則に反しているので、過去の議論の蓄積を反故にするものであった。
 また、ブラジルを中心とする南米諸国は、包括性の原則を強硬に主張してきた経緯から、自らの提案が含められた修正ベーシックプロポーザル案を支持しないわけにはいかなかったものの、本来的には外交会議開催に消極的であるため、インドと米国の不支持は、ブラジル等が不支持に回る大義名分を与え兼ねないものであった。
 修正ベーシックプロポーザル案に対するインドの強硬な反対と米国の消極的不支持の中で、議長はベーシックプロポーザルを曖昧にして、外交会議開催の日程を合意しようとしたが、ベーシックプロポーザルなしでは外交会議開催を支持できないとするブラジル等の反発から合意できなかった。そこで、修正ベーシックプロポーザル案をベーシックプロポーザルとする合意を強引にまとめ、時間切れを理由に反対の機会を与えなかった。このまとめ方に対して、インドが外交会議開催日程を決める権限は一般総会にある点を確認した他、アルゼンチンが文書が翻訳されていないことから立場を留保する等、複数の国が一般総会での不支持の可能性を留保する結果となった。

【一般総会への提案の骨子】
    外交会議を2007年7月11日から8月1日までジュネーブで開催する。
修正ベーシックプロポーザル案がベーシックプロポーザルを構成する。
2007年1月に外交会議の形式に関する準備会合を開催する。
準備会合と続けて行われる2日の特別会合で重要テーマについて議論する。
WIPO事務局は加盟国の要請に基づき、情報会合を開催する。


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