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文化審議会

2002/10/24  議事録
文化審議会著作権分科会国際小委員会(第4回)議事要旨

文化審議会著作権分科会国際小委員会(第4回)議事要旨

1  日  時     平成14年10月24日(木)10時30分〜13時

2  場  所     文部科学省分館201,202会議室

3  出席者
    (委員) 齊藤、今村、上原、大山、加藤、久保田、児玉、関口、前田、増山、山地、山本の各委員
    (文化庁) 丸山長官官房審議官、吉尾国際課長ほか

4  配付資料  
資料1      文化審議会著作権分科会国際小委員会(第3回)議事要旨(案)
資料2 アジア地域におけるレコードの侵害状況について
(今村委員説明資料)
資料3 わが国のコンピュータソフトウェア(プログラム)についてのアジア各国・地域における著作権侵害の実態
(久保田委員説明資料)
資料4 国際私法の検討状況の整理について
資料5 インタラクティブ配信に関する音楽著作権管理団体間の合意
(加藤委員説明資料)
資料6 著作権侵害事件における裁判管轄・準拠法の問題点等について
(山地委員説明資料)
資料7 第37回WIPO総会について
資料8 中国・台湾に係るTRIPS法令レビューへの対応について
資料9コンテンツ海外流通促進機構の活動状況について

5  概  要
(1)   海賊版対策について
  今村委員及び久保田委員から資料に基づき説明があった後、各委員より以下のような意見交換が行われた。

(○:委員  △:事務局)
  資料2の1ページ目について、正規品市場規模は小売価格で計算したものか。また、侵害品市場規模は海賊版の価格で計算したものなのか、それとも小売価格で計算したものか。

  正規品市場規模、侵害品市場規模両方が小売価格で計算されている。

  中国、香港、台湾、韓国における正規品の価格を教えてほしい。

  韓国、香港、台湾は日本の定価のほぼ半分である。さきほどお見せしたCDは台湾がWTOに加盟する前に作成したもので、条約違反には当たらないものである。日本国内では千円台で売られていたが、台湾では500円くらいで売られている。

  海賊版の捉え方だが、海賊版は安いから買っているわけであり、正規品だったら買わない場合もある。したがって海賊版数に正規品の価格をかけて侵害品市場規模を計算すると、実態以上の数字になってしまうのではないか。

  台湾の場合には価格の良さだけでなく、歌手の異なる売れている曲だけを集めたコンピレーションアルバムを海賊版でつくっている、という内容の良さもあって海賊版が売れている。中国の場合には価格の良さだけで売れていると思う。

  日本がプレス契約しているレコード製作会社が契約枚数以上に作成して売っているような正規品の海賊版市場が水面下に存在している。したがって、ここでの侵害品市場の計算は妥当ではないか、と考える。

  海賊版を駆逐するために正規品を安くすればいいではないか、との議論もある。タイで実験的に行ってみたことはあるが、継続的に行うのは難しい。従って、何らかの取締りにより対応することが必要になってくる。

  現地で作成するなど、レコード、ゲームソフト等が海外ではどのような方式で売られているのか。

  資料2の図表6にあるとおり、日本のレコード会社が現地のレコード会社に原盤を渡して現地で作成させる、という原盤ライセンスが多い。この場合、先ほどもお話にあったとおり、過剰生産という問題があるので、日本からの現品を輸出する会社もあるが、原盤ライセンスよりも価格が高くなる。

  「プレイステーション2」のハードウェアについては、韓国では売られている。また中国ではまだ売られていないが、ハードウェアの海賊版が流通している。その他のハードウェア、ソフトウェアについて、正規品の販売状況が不明なので、調査したい。またハードウェアに関わらずパソコンで起動できるように改造されたゲームソフトの海賊版も流通していることも補足したい。

  侵害規模の試算は正確には難しい。もし正規品だったらという遺失利益の考え方を取って通常計算している。先ほどのお話にもあったとおり、過剰生産による海賊版の量もかなりあると思われるので、このような計算方法をとっている。

(2)インターネット時代の著作権を巡る国際私法上の課題について
  加藤委員及び山地委員から資料に基づき説明があった後、各委員より以下のような意見交換が行われた。

(○:委員  △:事務局)
  資料6の「著作権侵害事件における裁判管轄(3)」について、第1案では、合意管轄に関する懸念が解消されないと思うが、どうか。

  懸念は解消されないが、解消される代替案がない上に、合意管轄を否定する、あるいは除く案というのも難しいと考えている。また、例えば日本国内の企業間で外国の特許について問題が起こった際等、合意管轄のほうが都合がいい場合もある。

  ライセンス契約における米国の強硬な姿勢を考えると、合意管轄を適用範囲に明示することでかえって米国にお墨付きを与えてしまう恐れがある。どうしても入れるのであれば、承認執行そのものを著作権に関してははずしてしまうくらいの強い姿勢をもって臨まなければ、米国に世界が制せられてしまうという強い懸念をもっている。

  条約から合意管轄をはずしても、契約に入っていれば米国の裁判所は裁判を行うと思うので、結果的に合意管轄は残ることになってしまうと思う。米国の裁判所では、日本の文化政策が反映された著作権法が全く無視されてしまう可能性が高いので、日本の国益からみると、専属管轄であることを真正面から打ち出すべきではないか、と思う。

  外国とのライセンス契約について、日本もさらに強い特許を得るとともに、それらの行使についても強い姿勢で臨んでほしい。米国との関係については、弱腰で対応する日本側にも責任があると思う。

6.   閉会
  事務局から、次回日程等について説明があった後、閉会となった。

(文化庁長官官房国際課)

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