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文化審議会

2001/04/18議事録

文化審議会著作権分科会情報小委員会著作物等の教育目的の利用に関するワーキング・グループ(第1回)議事要旨

文化審議会著作権分科会情報小委員会著作物等の教育目的の利用に関するワーキング・グループ(第1回)議事要旨

平成13年4月18日(月)
10:30〜13:00
三田共用会議所大会議室

出席者

(委員)

紋谷座長、荒谷委員、海野委員、金本委員、金原委員、神山委員、久保田委員、齊藤委員、関口委員、田名部委員、中村委員、水島委員、三田委員、山地委員

(事務局)

林長官官房審議官、岡本著作権課長、尾崎マルチメディア著作権室長、その他の担当官

1.開会

2.委員及び文化庁出席者紹介

  事務局から委員及び事務局の紹介が行われた。

3.議事

1著作物等の教育目的の利用に関するワーキング・グループ概要について

  事務局より、本ワーキング・グループの設置の趣旨や所掌事務等について説明が行われた。

2著作物等の教育目的の利用に関するワーキング・グループの議事の公開の対応方針の制定について

  事務局より、著作物等の教育目的の利用に関するワーキング・グループの議事の公開の対応方針について説明が行われ、了承された。

3著作物等の教育目的の利用の実態について

  中村委員から学校側説明資料に基づいて発表が行われ、各委員による以下のような意見交換が行われた。

【委員】

 学習者に対する著作権教育は現状どうなっているのか。

【中村委員】

 検定教科書をすべて把握しているわけではないが、中学・高校の教科書に著作権という用語はあると認識している。教科書にあればとりあえず、学習すると思うが、小学校に関しては先生が著作権に対する意識を持って指導しないといけないだろう。

【委員】

 権利制限規定を拡大・縮小をするにしても、著作権教育がしっかりしてなければ意味がない。よって著作権思想の普及という観点から著作権教育が重要と認識する。10年ぐらい前に文化庁が各小中高等学校に対し、学校での無断複製を防止する意味でのペーパーを出していたと思うが、どうだったのか。

【事務局】

 学校内でのコンピュータ・プログラムの違法複製に関する文書だったと思う。一般的なものは出していないが、中学3年生向けに漫画を用いた著作権に関するパンフレットを全員に配布している。また著作権情報センターにおいては、小学6年生を対象に漫画を用いた著作権の解説書を頒布している。学校において著作権教育をどうするかは、学校・教師であり、文化庁が特に指導するわけではない。

【委員】

 新学習指導要領での情報教育の位置付けについては、各教科の点についてクローズアップしないと総合的な学習の位置付けはできないだろう。

【委員】

 学校教育における著作物等の利用に関する提案の前提で教育活動の多様性に対応する区分けが9通りあるが、果たして現実にこのような区分けはできるのか。

【中村委員】

 著作権法35条に関してどうこうしようという提案でなくて、それを考える糸口として出した提案である。

【委員】

 著作権そのものの教育についてだが、著作権について単独の教育を行うのではなく、著作物を複製したり、頒布したりするときに、その都度、この行為には複製権がかかるとか、著作権法35条により、権利が制限されているとか、具体的な局面で教師が認識して生徒に教えることが重要だと考える。
  著作物をコンピュータに蓄積して高速プリンタでプリントするのはどうか。一度蓄積したものが何回でも利用できるし、学校全体で副教材として利用することも可能になる。来年度の新学習指導要領により、教科書が薄くなる分、副教材に対するウエイトが多くなり、著作物をコンピュータに蓄積して利用する度合いが高くなると思われる。教科書なら、補償金制度があるが、副教材がシステマチックに作られた場合、著作権者の利益が損なわれるので、それに対する補償が必要であろう。どこが払うにしろ、きちんとした補償をしていただきたい。

【委員】

 著作権教育をする場合において、契約社会の入口として、いわゆるリーガルマインドの育成が必要と思うが、そういった法律教育をどの程度教えていくのか。

【中村委員】

 難しい点だと思うが、まず、教師の段階において、しっかりと教育をすることが必要だと思う。それから、各学習過程において著作権に関する教育をすることが望ましい。

【委員】

 このWGは著作権教育をどうするのかではなく、教育の場で著作物の利用をどうするのかということであり、その点を議論すべきである。

【委員】

 教育活動の多様性に対応する区分けというものは、権利制限を認める方向にするか、認めない方向にするかという区分けと理解してよろしいか。

【中村委員】

 そういうわけではなく、権利制限を拡大するのか、縮小するのかということをこの区分けを使って考えていけばいいのではないかと提案をしているのである。

【委員】

 義務教育段階と他の校種という区分けがあるが、これが義務教育段階においては児童・生徒の発達段階ということもあり、また義務教育は無償であるということなので、義務教育に関しては権利を制限してもいいのでないか、高校・大学とは別の扱いをした方がいいと理解していいのか。

【中村委員】

 義務教育の区分けは主に費用の面に関してであり、義務教育は無償なので、権利者に対しても使用料を無料でいいといっているわけではない。この点では、例えば学習者に対して権利制限を認めたとして、その後学習者が研究成果を外に出したときにはどうするのか、という問題がある。

【委員】

 現行法とのインターフェースも必要である。全く無地のところで考えるのではなく、現行制度との突合せで考える。そこで現行制度と不都合な部分が出てきたら、法改正などの必要な措置をすべきであろう。
  著作権というものを観念的に教えるではなく、学校生活の日常的なところで、言葉は出てこなくとも、自然に教えたりすることが必要だと思う。よって、前提として教える側がいかに著作権に対する教育を行うかということで、教員研修の充実という観点も重要になってくると思われる。
  ビデオ・DVDなどを用いれば充実した副教材を作成することができるわけであり、それを学校単位で保存する、地域単位で保存したい、保存して毎年利用したいという要請もあるが、それをするのは制限規定、補償金といったものではなく、通常の利用の許諾によって処理すべきであり、その筋道をどうつくるかが問題である。

【事務局】

 情報教育というのは、情報の収集・判断・創造・発信に関する知識及び態度を養うことであり、新聞の記載記事を鵜呑みにしないで批判的に読んだり、パソコンやインターネットを使う、また漢字の書き取りも入ることになる。教育WGにおいては、いきなり第何条に関して検討ではなくて、そもそも今、学校・社会教育・大学において何が起きているのかといった情報を出していただき、その部分で著作権がどう関わっているのかを議論していただきたい。法制定当時には想定されていなかったので、権利制限規定の対象に入れるとか、逆に権利制限規定の対象に入っていたが、社会情勢の変化によって、外したほうがいいのではないかといったこともあると思われる。
  よって、教育現場で実際に何が起きているのかということを踏まえて、契約でできるところ、集中管理でできるところ、各々でやるべきところ、又は法改正が必要なところを検討したいただきたいと考えている。

4.閉会

  事務局から今後の日程について説明があった後、閉会となった。

(文化庁長官官房著作権課)

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