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文化審議会

2002/09/25議事録
文化審議会第29回総会議事要旨

文化審議会第29回総会議事要旨

1.日  時: 平成14年9月25日(水)10時30分〜13時

2.場  所: 霞が関東京會舘シルバースタールーム

3. 出席者:
  (委員) 高階会長,北原副会長,内館,岡田,齊藤,関口,津田,富沢,野村,藤原,渡邊の各委員
  (文部科学省・文化庁) 池坊大臣政務官,河合文化庁長官,銭谷文化庁次長,寺脇文化部長,木曽文化財部長,鈴木文化財鑑査官,高塩政策課長ほか関係官

4.概要
(1)   配付資料についての確認があり,前回議事要旨については,意見がある場合は1週間以内に事務局に連絡することとされた。

(2)   事務局による文化芸術の振興に関する基本的な方針について(答申案)の説明後,質疑応答が行われた。(以下,○:委員,△:文化庁)

全体的にはバランスがとれているが,重点的に何を行うのかをもう少し明確にしてはどうか。「文化」と「文化芸術」との関係をわかりやすくしてはどうか。国語は日本文化の中核であり,注視すべきである。国語と日本語教育の並立は,整理上異ならせるべきである。また,寄附に対する税制は非常に重要である。世界への文化発信は国益にかなうものであり,「国際交流」との用語ではなく,世界への文化発信と明確に記述すべきである。

日本の技術や経済力などで,例えば文化遺産の修復等に国際協力していくこともあり,一方的な日本文化の発信ではなく,文化上の国際協力,交流が必要ではないか。

基本方針は法律の規定に基づき策定するものとされており,基本理念は踏襲する必要がある。また,法律上の基本施策を実施する責務があり,ある程度条文に沿って記述する必要がある。

海外の文化遺産の修復は資金や技術者の安全などの難点が多く,原則としてその国の技術者が修復するのがよい。

文化の定義はよくできているが,「文化」と「文化芸術」の違いがわかりにくい。「文化芸術」はどのように定義されているのか。

文化芸術振興基本法に「文化芸術」の定義規定はなく,少なくとも第3章の基本的な施策に書かれているものは含まれているとの解釈である。文化芸術の定義を基本方針に明記しようとすると,まとまらないのではないか。

「文化芸術は自己認識の基点」とあるのはよいが,ここも「文化」としたほうがよいのではないか。国語については「国語力の向上」だけでなく,発言力,討論能力,論理的思考力などを明確に書いてほしい。

どこに重点が置かれているのかわかりにくい。国は民間や地方自治体にできないことを重点的に行い,民間や地方自治体などが行うものは誘導していくなどのメリハリをつけるのはどうか。文化で消費すれば,経済の活性化にもなり,文化芸術を国民の身近なものにしなければならない。また,外国からの日本のイメージが「文化を愛する国」となるならば,基本方針を出す意義がある。

第3章の各施策のどこに重点をおくかを明確にすべきではないか。また,表現力の涵養が国語以外の教科でも重要であるということを,国語教育のところで記述してほしい。

自然と文化の関わりや豊かな自然の美しさについて,短い形容でもよいから記述してほしい。

産業デザイン,都市デザイン,自然などに触れると他省庁に関わるが,多少踏み込んでもよいのではないか。全てを同じ密度にするのは難しいかもしれないが,もう少し具体的に書けばアピールになるだろう。

日本は経済的成功を追及して精神面の充実が遅れ,かえって経済が脆くなっている。文化行政も資金面で遅れてきたので,過去の分を積み重ねて支援していく必要があるだろう。地方では文化予算を削減する傾向があるので,国が激励するとよい。民間にも文化が経済活動を強くするとして,税制等の具体策を示すのはどうか。

今回の答申案を生かして,もう少し政策的課題をまとめたものをつくるとよい。優先課題を決める際,ヒアリングの結果を踏まえれば恣意的にならないだろう。

最初にインパクトを与えることが肝心である。最も優先しなければならないものを挙げ,最初に書くのがよい。

文化芸術振興基本法に基づく基本方針であるとの制約があるが,本年4月の文化審議会答申の内容はできるだけ盛り込みたい。本審議会でのヒアリングでは教育の充実,芸術家の地位向上,国民の意見の反映,支援及び評価の充実について多くの意見が出たので,特に留意すべき事項として整理した。「文化芸術の振興の意義」や「文化芸術の振興の基本的方向」には,税制,国語,教育などを盛り込めないか工夫したい。「文化芸術の振興に関する基本的施策」は他の基本法等の例にも倣い,できるだけ網羅的に書く必要があると考えている。

「質の高い経済活動の実現」は数行にとどめるべきである。また,文章の整理に気を付けてほしい。

基本方針は施策を推進するための方針であり,根本的な方針は強調しておく必要があるだろう。次回は第3章についても検討したい。

(3) 事務局より次回総会の日程についての説明があり,閉会した。


(文化庁政策課)

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