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文化審議会

2002/03/19 議事録
文化審議会第21回総会議事要旨

   
文化審議会第21回総会議事要旨
   
1. 日   時 平成14年3月19日(火)10時30分〜13時
           
2. 場   所 虎ノ門パストラル   葵
           
3. 出席者    
    (委   員) 高階会長、北原副会長、市川、北川、齊藤、乳井の各委員
    (文部科学省・文化庁) 河合文化庁長官、銭谷文化庁次長、丸山文化庁審議官、遠藤文化部長、木谷文化財部長、鈴木文化財鑑査官、高塩政策課長ほか関係者
           
4. 概要    
   
(1)    配付資料についての確認があり、前回議事要旨については、意見がある場合は1週間以内に事務局に連絡することとされた。

(2)    事務局より、文化審議会中間まとめに対し寄せられた意見等について説明があった。

(3)    その後、次のような意見交換が行われた。

   本審議会の答申までのスケジュールについて伺いたい。

   昨年12月に文化芸術振興基本法が成立し、基本方針を政府が定めるにあたり文化審議会の意見を聴くこととなっている。4月中に答申をいただき、その後、基本方針の案を作成するに当たって御意見を伺いたい。

   基本方針の策定にあたって、文化審議会は大変重要な役割を与えられている。中間まとめについては特に大きな意見も見受けられなかったようなので、ただいまのスケジュールに沿ってまとめたい。そのような方針も含めて意見を伺いたい。

   各地域などの文化の特色を阻害しないようにすることは大切であるが、個々の文化について特別に記述するのか。

   文化は民間が主役とういう認識であるが、本審議会は国の審議会であるので、国の施策が中心になるのはやむを得ない。また、芸術文化への公的支援について、アームレングスの原則を明確にすべきという意見が多かったが、支援に際して、専門家等による評価は重要である。

   4点ほど意見、感想がある。第1点は個と全体の問題で、これは、地域と国の関係、また、国と世界の関係になると思うが、地域については、文化あるいは個性、多様性などの指摘があった。しかし、地域の個性を出すために人為的に何かを作らなければならないという切迫感があるとすると、これは逆のものになる。また、国と世界の関係では、意見の中に組織の価値観というよりも個人の軸をしっかり持てというものがあったが、これはボーダレス的な発想によるものではないか。中間まとめの中ではネットワークという言葉があったが、ネットワークというよりも、世界全体が1つの単位として、その文化を語るという場合もある。第2点は、公立文化施設の改修に対する国の補助が必要という意見があったが、それ以前の問題として、設置者は将来の維持費まで念頭に入れて設ける必要がある。第3点は、学芸員の配置について、教員養成大学等を活用して、養成・確保することが考えられないか。第4点は、文化権、アクセス権について、一般的に「権利」という言葉には、情緒的な面又は鼓舞する面がある。理念としては良いが、安易に「権利」という言葉を使って良いのかどうか。それからアクセス権については、既に使われている権利との整合性も考慮すべきである。

   答申を4月中にまとめたいということか。それは、基本方針に反映する形でということか。

   「文化を大切にする社会の構築について」という昨年4月の諮問については、4月中に答申をいただければと思う。基本方針の諮問の際には、改めて踏襲しつつ原案をお示ししたい。

   中間まとめに対する意見については、すでに盛り込まれているものが多い。個別の民族の文化については、文化の多様性が重要であるということについて強調することでどうか。市民の意向を尊重すべきというところも同様にしてはどうか。アクセス権については、表現はともかくできるだけ表に出して行くような方向が望ましい。「中間まとめ」では、民間、地方、国の役割分担について、これまでは国が主導だったものを、各々が連携しつつ、主体性をもってほしいという趣旨で記述されている。しかし、寄せられた意見は、国に補助金を求めたりと、主体性が乏しく感じる。文字メディアについての意見があるが、これは中間まとめには反映されているのではないか。文化専門職制度を確立すべきという意見があったが、これは具体的にどういうものか。

   日本の美術館では、学芸員があらゆる仕事をやっているが、諸外国では、学芸員が教育担当、企画担当など専門化している。例えば、子供に対して美術を説明する専門のスタッフがいて、その人は美術はもちろん、心理学にも熟知している。

   地方で文化施設の建設に当たって、施設を利用する専門家等の意見が反映されていないため、結果として中途半端なものができるということがある。文化施設の設置運営に専門家が参加できる仕組みが必要である。

   美術館でも同様の問題になる。建築の際には、利用する立場からの専門スタッフは入らない。そのために出来上がってみてから、使い勝手が悪い。専門的なスタッフの重視、意見が生きる方法をハード面でもソフト面でも考えなくていけない。

   寄せられた意見は、中間まとめに入っているものがほとんどである。ただ、意図が十分に伝わっていない面があると思うので、そこは修正していく必要があろう。文化芸術振興基本法が中間まとめと非常に似ており、もう1年早くこれが出て、それを踏まえてこの基本法が出来るのが我々の立場としては望ましかった。「おわりに」において、この答申が文化芸術振興基本法に基づく政府の基本方針を策定する際の、バックボーンになるものだということを記述してはどうか。

   確かにこの答申は、国にも、一般の方にも理解してもらって、実際の施策に反映して行っていただきたいという点を強く出した方が良い。中間まとめに対する意見の全体の傾向として、1つ目は、表現の自由に関する問題、つまり、中身に対する制約であっては困るということ。2つ目は、文化権、アクセス権の問題。3つ目は、多様性、個性を地域、個々人も含めての強調ということが求められている。文化を大切にする心を育てる中で、伝統文化とか歴史の継承、尊重することは同時に世界の多様性の文化の理解に繋がるという点に対しては、十分に理解されているととって良いのではないか。文化政策は、あらゆる面に関わっており、国の全ての政策の基本となる。本来ならば文化庁が主体となって、国全体の文化政策の舵を取っていくような方向にもっていければと考えている。今後は、今日の意見を活かす形で答申にもっていくようにしたい。事務局と副会長、私で答申(案)をまとめて再度ご意見を伺いたい。

   寄せられた意見もこの中間まとめに正面から反対というのではないので、この線でやってくだされば非常にありがたい。
   
(4)    事務局より、答申に向けた事務手続き、次回総会の日程についての説明があり、閉会した。

 

(文化庁政策課)

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