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文化審議会

2001/12/11 議事録
文化審議会   第17回総会議事要旨

   
文化審議会   第17回総会議事要旨
   
1. 日   時 平成13年12月11日(月)15時00分〜17時00分
           
2. 場   所 東海大学校友会館   阿蘇の間
           
3. 出席者    
    (委   員) 高階会長、北原副会長、市川、井出、岡田、川村、北川、関口、津田、富沢、中村、乳井、野村、藤原、黛、の各委員
    (文部科学省・文化庁) 佐々木文化庁長官、銭谷文化庁次長、天野文化庁審議官、遠藤文化部長、木谷文化財部長、高塩政策課長ほか関係者
           
4. 概   要    
    (1)配付資料についての確認があり、前回議事要旨については、意見がある場合は1週間以内に事務局に連絡することとされた。
    (2)北川著作権分科会長より、著作権分科会「審議経過の概要」について報告があった。
    (3)文化審議会中間まとめ(案)について、次のような意見交換が行われた。
       
   今後の社会は、発展中心の思想から、循環という考え方が基礎になるべきであり、「発展」という表現は安易に多用しないほうがよい。
       
   負の部分から生じたエネルギーを評価することは大切だが、豊かな芸術を生み出す源泉とまでは言わなくてもいいのではないか。
   自己を確立する上での基礎を培うために重要なのは、高校段階のみではなく、生まれたときからである。
       
   負の文化については、記述する位置はよいが、もう少し分量を削ってもよい。
       
   人間性の喪失や倫理観の欠如は最近に限ったことではなく、人間にとって本質的な部分である。重要なのは、人類がこれまで経験したことのない速さで急激に社会環境が変化しているからこそ、文化の機能・役割について、今、改めてえなおすという視点である。
   野球、サッカー、武道等のスポーツも文化の重要な構成要素であると言える。
       
   経済や科学技術と文化は、対立ではなく相互関係にあり、文化がそれらをリードしていく意識が流れ出るのがよい。
       
   経済の発展に文化が貢献するということだけではなく、経済の発展を犠牲にしても文化を守ることの重要性も訴えるべきである。一見役に立たない音楽や美術などの文化の厚みが、長期的に国力を支えるのである。
       
   文化と経済のところでは、経済発展にどれだけ文化が役立つかという側面のみになってしまっている。効率性や合理性になじまない文化を市場機能にゆだねるべきではないということを主張すべきである。
       
   例えばウォークマンのように、文化の創造性は、新しいものを作る契機になるものである。文化は、想像し、また創造するものであり、文化を育てていくことで、単にデザインやファッションということのみではなく、創造的な経済活動も生み出されるのである。
   ブロードウェイがニューヨークという都市を豊かにしているように、文化を中心に国づくりをしていくことが必要である。
       
   人間の存在そのものが文化であり、文化を議論する際には、その背骨に人間を置かなければならない。
       
   文化を支えるものの一つとして自然があるところが、日本文化の特色である。自然と共にある日本文化ということを強調したい。
   相撲などスポーツは感動を与えるものであり、文化の一部として捉えるべきである。
       
   欧米においては、人間が自然を克服してきた。これに対し、我が国は文化の中に自然を取り込み、生かしてきたという視点は大切である。
       
   俳句は自然を読むものであるが、これは日本固有の文化である。自然と文化のかかわりは大切な視点である。
       
   科学技術に比べ、これまで文化の重要性に対する認識が弱かった。社会に対して文化の重要性を訴えていくことが必要である。
       
   文化の一つとして捉えることができる自然科学が、文化と対立するものとして述べられているなど、文化の定義があいまいな部分もある。
       
   文化を最も幅広く捉えれば、人間と人間の生活にかかる様式と内容のすべてと定義できる。答申をまとめるに当たっては、文化を広く捉えることが必要。
       
   前半部分では文化を広い概念で捉えた上で、なぜ文化が大切なのかを述べ、後半では狭義の文化に焦点を当て、具体的な施策を記述していくと分かりやすいのではないか。
       
   なぜ文化が必要なのかという理念の部分と、具体的施策の部分のつながりを分かりやすくしたほうがよい。
       
   第1章はもう少しインパクトのあるものにできないか。
       
   全体的に重複している箇所が多く、分量を絞ったほうがよい。
       
   メリハリを付けながら、訴えたいことに焦点を絞るほうがよい。
   また、強調すべきところは、例えば「1.ネットワーク、税制」、「2.教育」、「3.創造活動」、「4.国際文化交流」のように分かりやすくしたほうがよい。
       
   今回の素案について、新聞等では国語の重要性のみが取り上げられているが、他の提言にも目を向けてもらうよう、シンプルにまとめていくことが大切である。
       
   国の大きな役割として、宮大工など特別な技術を持った人を育て、伝統文化の保存技術を継承していくことは大切であり、強調して提言したほうがよい。
       
   地域における文化振興についての政府の役割として、全国的なモデル事業の実施は、画一性を招くおそれがあり、むしろ、地域の個性ある事業を支援していくことが重要である。
       
   個々人が行政のできることを見極めて行動するのではなく、個人ができないことを行政が担っていくのである。
   企業からお金を引き出すための税制上の措置を講じていくことは文化の育成に大きく貢献するものであり、極めて重要である。
       
   寄附をした場合の税制上の措置については、ぜひ強調したい。
   従来の文化に関する提言よりも、文化の範囲を広く捉えていることは評価したい。
       
   税制措置の必要性の記述が複数に分散しているが、提言が散漫になってしまわないよう、まとめて書いたほうがよい。
   国を「政府」と表記しているが、地方分権の中では地方も政府である。
       
   税制はあくまで手段であり、寄附への優遇措置と同時に、文化の大切さが社会に認識され、文化への支援を行おうという空気が醸成されることが必要である。
   文化において、図書館は子どもだけでなく大人にとっても重要である。
       
   西洋という手本のない時代だから未来を切り拓く人間が望まれるというのでは消極的である。我々は高度な科学技術や文化を有する国であるとのプライドを持つことが大切である。
       
   現在の日本は自らの文化に対して自信を喪失してしまっている。読んだ人に対して自信を与えるような答申にしていきたい。
       
   国際文化交流は国と国との交流のみならず、現在では地方公共団体や民間同士の交流も進んでいる。
   施策の効果を評価していくことは必要であるが、文化施策は効果が明白には見えにくく、固有の評価システムを確立することが望まれる。
   税制措置については強調して記述していくべきである。
       
   特に提言する事項としては、文化遺産の保存・活用についても必要ではないか。
       
   外国語能力を身に付けるためには、その前提として、自分の意見を母語で論理的に伝えるための言語能力を養うことが必要である。
   日本語教育の推進については、学習需要が増加している理由も併せて記述したほうが、日本文化の押し付けとの誤解を避けられる。日本の高度な科学技術や映像文化の魅力に対するまなざしが日本語学習需要をかつてなく大きくしているのである。
       
   芸術文化の振興としては、壁画や彫刻の制作への支援や、我が国の優れた文学作品の外国語への翻訳・出版への支援なども必要である。
       
   芸術には、幼稚園、小学校の段階からの早期教育が求められる分野があり、そのための教育環境について検討していくことが必要である。
       
   教員の文化性がされるためには、豊かな教養を身に付けると同時に、美しいものを美しいと感じる感性なども求められる。
       
   大切な時期の子どもたちに文化的な素養を身に付けさせるためには教員のみならず、教育環境全般を文化的なものにすることが大切である。
   自国の文化を大切にし、アイデンティティーを確立することが必要である。
       
    (4)事務局より、次回総会の日程についての説明があり、閉会した。

 

(文化庁政策課)

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