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第1次答申・附属資料 (教育職員養成審議会) |
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文教教第42号 教育職員養成審議会
次の事項について、別紙理由を添えて諮問します。
新たな時代に向けた教員養成の改善方策について
平成8年7月29日
文部大臣 奥田幹生 (理由) 1.21世紀を展望して、国民の信頼に応え得る生き生きした学校教育を実現していくためには、その直接の担い手である教員の役割が極めて重要である。 2.また、このたび中央教育審議会から「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」第1次答申がなされ、学校・家庭・地域社会における教育の改善充実方策が示されるとともに、教員の資質能力の向上を図ることの必要性について指摘されている。 3.このため、大学等における教員養成の改善方策をはじめとする今後の教員養成の在り方について、貴審議会に検討願うものである。
(検討事項) 1.教員養成課程のカリキュラムの改善について (1) 教育相談(カウンセリングを含む。)、国際化・情報化、理科教育、環境教育、特殊教育等に係る教員養成課程の教育内容の在り方について (2) 教育実習の期間、内容等の在り方について (3) 教科に関する科目・教職に関する科目のバランスの在り方について (4) 体験的実習等効果的な教育方法の導入の在り方について 2.修士課程を積極的に活用した養成の在り方について 3.その他関連する事項 (1) 養成と採用・研修との連携の円滑化 (2) 教員養成に携わる大学教員の指導力の向上 (3) 特別非常勤講師制度の改善 (4) その他
平成8年7月29日 教育職員養成審議会総会
1.教育職員養成審議会総会の開催に当たり、一言諮問の趣旨を御説明申し上げます。 2.日頃、教員の資質能力の向上に多大なる御尽力をいただいていることに関し、まずもって敬意を表する次第であります。 3.さて、このたび、貴審議会に「新たな時代に向けた教員養成の改善方策について」諮問申し上げることといたしました。この際、具体的に検討いただきたい事項について私の考えを申し述べ、御理解を賜りたいと存じます。 4.我が国の学校教育については、個性を生かす教育の実現や社会の変化への対応、児童生徒の問題行動への対処など、様々な課題が指摘されております。 とりわけ、いじめが関係したと考えられる自殺が繰り返し生じていることは、教育行政を司る者として痛恨の極みであり、深く憂慮するところであります。 5.こうした中で、子どもたちと日々直接ふれあい、指導に当たる教員の責任は重大であり、私は、教育界に優れた人材を確保することの重要性を痛感しているところであります。 6.教員には、教育者としての使命感と教育的愛情に裏打ちされた実践的な指導力と、その基礎となる幅広い豊かな人間性や専門的知識が求められます。 このような教員の資質能力の向上を図る上で、特に大学を中心とした教員の養成段階は、教職の基礎を培う大切な時期であると認識しており、今回の諮問も、この観点から申し上げた次第であります。 7.この際、御審議に当たって、御留意いただきたい点を若干申し上げます。 第一は、教員養成課程のカリキュラムについてであります。 質の高い教員を養成するためには、社会的要請を踏まえ必要な教育内容の改善を図るとともに、効果的な教育方法を工夫することが不可欠であると考えます。 また、教育実習の期間、内容等の見直しを図り、教員志望者が児童生徒とふれあう機会をより豊かなものとする必要があります。 さらに、教科・教職に関する科目のバランスについても、とりわけ心身の発達の特性により、課題の多くなる中学校段階を中心に、検討する必要があると考えます。 8.第二に、教員養成に対する種々の要請に応えるため、大学院修士課程を積極的に活用した養成の在り方について、検討する必要があると考えます。 9.第三には、既に申し上げた点にも関わりますが、例えば、養成段階と採用・研修段階との連携や、教員養成に携わる大学教員の指導力の向上など、広く関連する事柄についても議論を深めていただきたいと存じます。 10. なお、今後の教員養成を考える際、緊急に解決すべき問題には早急に対応しなければならないと考えます。このため、今回の諮問事項につきましては、結論の得ら れたものから順次答申をいただければ幸いであります。 11. 以上、諮問に当たり私の基本的な考えを申し述べました。答申をいただいたあかつきには、実現に向け全力を尽くす所存であります。 ご多忙の中恐縮でありますが、今後の審議に当たり格別の御協力を賜りますようお願いを申し上げ、諮問の趣旨の説明とさせていただきます。
平成8年7月29日 教育職員養成審議会総会
ただいま大臣から、今回の諮問に関する基本的な考え方を御説明申し上げましたが、検討事項の内容及びその考え方について、補足させていただきます。
1.検討事項の第1は、教員養成課程のカリキュラムの改善についてでありますが、その 内容は4点にわたっております。 (1) 第1点目は、教育相談(カウンセリングを含む。)、国際化・情報化、理科教育、環境教育、特殊教育等に係る教員養成課程の教育内容の在り方についてであります。 教員に求められる基本的な資質については、これまでも様々な機会に議論がなされているところであり、昭和62年の当審議会答申においても、教員には「教育者としての使命感、人間の成長・発達についての深い理解、幼児・児童・生徒に対する教育的愛情、教科等に関する専門的知識、広く豊かな教養、そしてこれらを基盤とした実践的指導力が必要」と明記されております。 このような基本的な資質を養成段階で適切に身に付けさせるため、教育職員免許法では、免許状取得に必要な「教科に関する科目」「教職に関する科目」の単位数等が総枠的に規定され、同法施行規則では、修得を要する科目及びその単位数が具体的に規定されております。さらには、これら制度上の最低基準を超えて、それぞれの大学等が工夫を凝らした科目を開設しており、これらがあいまって教員養成課程の教育内容が構築されております。 このようなことを考えると、教員養成課程の教育内容は、 i) 制度的には、免許法施行規則において免許状取得に必要な科目や単位数をどのように具体的に規定するのか、 ii) 指導上の課題としては、創意あふれる質の高い教員養成教育を実現(具体的には科目開設)する観点から、各大学等の努力をいかに促していくか、 という2点から検討がなされるべきものと考えます。 具体的な教育内容については、検討事項1(1)に例示されているように、カウンセリングを含む教育相談、国際化・情報化、理科教育、環境教育、特殊教育など、今日の学校教育を巡る諸課題を踏まえた検討が不可欠であると考えます。 昭和62年の当審議会答申に基づき免許制度等の改革がなされましたが、これら諸課題はいずれも、なお一層積極的な取組みを要する課題であり、先の中央教育審議会答申でも21世紀を展望した教育における重要な課題として指摘がなされているもの であります。 したがって、これらのうち適当なものについては、当然、教員養成課程の教育内容にも遅滞なく反映する必要があるわけでありますが、特に、今日のいじめや登校拒否などの深刻な状況にかんがみ、子どもの心を理解しその悩みを受け止める態度を教員 一人一人に身に付けさせることは極めて重要な課題であると考えます。このような観 点から、教員免許を取得するすべての者に基礎的なカウンセリング能力を身に付けさせることについて、十分にご検討いただきたいと存じます。 また、このほかにも、この際、教員養成課程の教育内容として新たに追加すべき事柄、逆に削減すべき事柄等を広く精査いただき、具体的な方向をお示しくださるようお願いいたします。 (2) 第2点目は、教育実習の期間、内容等の在り方についてであります。 教育実習については、先に御説明した教員養成課程の教育内容の在り方に関わるものでありますが、特に教員に求められる「実践的指導力」の観点から、各方面においてその重要性が指摘されているところであります。 教育実習に関する検討の第1の視点は、教育実習の期間についてであります。 現行の教育実習は、事前・事後指導1単位のほか、小学校・幼稚園の一種免許状を取得する場合は4単位が免許法施行規則において要件とされ、期間的には概ね4週間程度にわたる実習が課されておりますが、他方、中学校・高等学校の一種免許状を取 得する場合はそれぞれ2単位、2週間程度という扱いになっております。 このような各学校種ごとの現行の実習期間を見直す必要がないか、なかでも小学校と同様に義務教育段階に属し、生徒指導上様々な問題が指摘される中学校に関して、十分に検討いただきたいと存じます。 第2の視点は、教育実習の内容についてであります。 現行の教育実習は、取得を希望する免許状に係る学校種について、大学等の附属学校や出身校に教員志願者が出向き、実習担当の現職教員の指導の下、授業の進め方や学級運営の方法を中心に、一定期間集中的に実施されております。 事前・事後の指導を含む教育実習の内容に関しても、例えば、 i) 取得を希望する免許状に係る学校種以外の学校種、なかでも盲学校、聾学校や養護学校での実習も含めなくてよいか、 ii) 小学校・中学校での実習期間中に特殊学級での実習も含めなくてよいか、 iii)事前・事後指導に、専修学校や社会教育施設での体験実習のほか、広く社会福祉施設等での社会体験実習を含めることについてはどうか、 等の諸点をはじめ、制度上及び指導上の観点から多角的に検討を加える必要があると考えます。 また、教育実習の在り方とも関わり、大学等に対する指導上の課題として、教育実習以外の選択科目等も含め、教員志望の学生と子どもたちとの「ふれあい」の機会をいかにして充実していくか等についても、併せて検討いただきたいと存じます。 (3) 第3点目は、教科に関する科目・教職に関する科目のバランスの在り方についてであります。 先に御説明した教員養成課程の教育内容の在り方とも関連いたしますが、免許法に規定された、免許状取得に必要な教科に関する科目・教職に関する科目の「総枠」についても、そのバランスの在り方に関し制度的な観点から検討を加える必要があると 考えます。 現行制度上、小学校・幼稚園の教員免許状については教職に関する科目のウェイトが高く、中学校・高等学校の教員免許状については逆に教科に関する科目のウェイトが高くなっております。このことは、中等教育段階の方が教科の専門性がより高く免許状も概ね教科ごとに授与されていることにかんがみれば、一見当然のこととも考え られますが、一方では、中学校や高等学校でも、例えば生徒指導や進路指導などについて様々な課題が生じている実態があることをも踏まえ、中等教育段階の教職に関する科目のウェイトを高める必要がないか等につき、十分に御検討いただきたいと存じます。 (4) 最後の第4点目は、体験的実習等効果的な教育方法の導入の在り方についてであります。 このことは、基本的には大学等が主体的に取り組むべき事柄でありますが、教員の実践的指導力を高める観点から、極めて重要な指導上の課題であると認識しております。 教員養成課程の教育方法については、既にいくつかの大学等で、学校や教育委員会との連携によるケーススタディ等を豊富に取り入れた授業の実施や、児童生徒をはじめ様々な人々とのふれあいを通じた体験的実習の導入など、工夫を凝らした取組みが徐々に試みられるようになってきておりますが、全体的にはいまだに講義形式の授業や従来型の演習がほとんどであり、必ずしも十分とは思われません。 教育実習については既に御説明しましたが、それ以外の教員養成課程の開設科目についても、例えばケーススタディや、学校以外の施設あるいは野外での体験的実習のような形で効果的な教育方法を導入することができないか等につき、御検討いただきたいと存じます。
2.検討事項の第2は、修士課程を積極的に活用した養成の在り方についてであります。 国立教員養成大学・学部の修士課程については、指導的立場に立ち得る高度の専門性を備えた教員の養成及び現職教員の高度の研修機会の整備という観点から、積極的に設 置を進めてまいりましたが、平成8年度において、すべての国立教員養成大学・学部に 修士課程の設置が完了いたしました。 このような時期をとらえ、教員の実践的指導力を抜本的に高める観点から、修士課程を積極的に活用した教員養成の在り方について、是非闊達な御議論をいただきたいと存じます。 検討の視点としては、例えば、 i) 現行の養成制度を前提に修士課程における養成をより拡充すること、 ii) 一般学部での4年間の教育を前提に修士課程の2年間で集中的に教員養成教育を行うこと、 iii)学部・修士課程6年間一貫により教員養成教育を行うこと、 iv) 以上i)〜iii)を併せ行うこと、 など、様々な方策が考えられるものと思われます。 大学や短大における現行の教員養成のシステムは、制度的にも実態的にも既に定着を 見ており、その役割は今後とも変わらぬものと確信いたしますが、現行養成制度を前提 により質の高い教員養成を実現する観点から、この際、専修免許状制度の在り方をも含 め、現職教員の高度の研修機会としての役割にも留意しつつ、教員養成において修士課 程の果たす役割を十分に御検討いただきたいと存じます。
3.検討事項の第3は、その他関連する事項についてでありますが、その内容は更に4点にわたります。 (1) 第1点目は、養成と採用・研修との連携の円滑化についてであります。 このことは、言葉を換えれば、大学等と教育委員会・学校等の連携の在り方の問題にほかなりません。 敢えて今回この課題について検討いただくこととしたのは、教員の実践的指導力の向上を図る上で、両者の円滑な連携は不可欠であり、大学、教育委員会、学校等の関係者が一堂に会する当審議会において、是非具体的かつ効果的な連携方策をお示しいただきたいと考えたからであります。 (2) 第2点目は、教員養成に携わる大学教員の指導力の向上についてであります。 このことは、教員養成課程の教育内容が必ずしも実践的なものとなっていないので はないかとの指摘と併せ、各方面からしばしば提起される課題であります。ただいま御説明した養成と採用・研修との連携の円滑化の問題とも深く関わる課題でありますが、更に両者間の人事交流の視点等をも含め、広く具体的な方策を検討いただければ幸いであります。 (3) 第3点目は、特別非常勤講師制度の改善についてであります。 今回の中央教育審議会答申では、総合的な学習への対応や学校を活性化する観点から、学校教育への社会人の活用の必要性が提言されております。 現行免許制度におけるいわゆる免許状主義の例外として、先の免許法改正において特別非常勤講師の制度が導入されましたが、特に専科についてのみこの制度が認められている小学校について、今後制度の在り方をどのように考えたらよいか、検討いただきたいと存じます。 (4) 最後に、その他という小項目を設けたのは、上記のような教員養成に関わる諸課題に関わって更に議論が発展した場合には、必要に応じ関連する事柄を広く御検討いただきたいという趣旨であります。 この中には、例えば、学校栄養職員等免許状主義が採られている教員以外の職員の資質向上方策、採用や現職研修の改善充実方策の在り方など、種々の事柄が含まれ得るものと考えます。
4.なお、検討事項1の「教員養成課程におけるカリキュラムの改善」と3(3)の「特別非 常勤講師制度の改善」については、とりわけ、現在最も緊急の課題であるいじめ等に対 応する観点からも、早急な検討が必要であると考えます。このような事情を参酌いただ き、概ね1年後を目途に当審議会としての結論を取りまとめていただく方向で御協力く ださるようお願い申し上げます。 また、各検討事項について、養護教諭の養成の在り方に関しても併せて御検討くださ るよう念のため申し添えます。
以上、大臣の諮問理由説明を補足させていただきました。何とぞよろしく御審議をお願い申し上げます。
※:臨時委員、○:カリキュラム等特別委員会分属委員
職名は平成9年7月1日現在。 |