| 教育職員養成審議会総会(第13回)議事要旨 |
教育職員養成審議会総会(第13回)議事要旨
1.日 時:平成9年6月20日(金)10:00〜12:00
2.場 所:フロラシオン青山「はごろも」
3.出 席:
(委員)麻生,市村,大野,小林,斎藤,佐々木,薩日内,四方,島田,瀬尾,高倉,永井,中川,野中,野村,橋口,蓮見,平出,宮本,村崎,森,山極,渡辺,の各委員
(文部省)小林教育助成局長,工藤助成局審議官,松元教職員課長,北見学校健康教育課長,高橋教育大学室長,外関係官
4.議 事:
(1)松元教職員課長より関係資料の説明があった。
(2)審議及び資料の公開について
審議及び資料の公開について,当日の議事及び資料についても公開となる旨の確認が行われ,以下公開された。
(3)蓮見会長より,平成9年6月9日総会の議事要旨について報告があり,欠席者に照会の上会長が確定することで了承された。
(4)関係団体からの意見聴取が行われた。主な意見は以下のとおり。(○:関係団体,△:委員)
ア)日本私立大学団体連合会
清水 司 教育改革委員会委員長,山本 襄治 副会長/教育改革委員会委員、日下 晃 教育改革委員会委員
(主な意見発表内容)
○ 教職に関する科目に係る単位の増加には賛成できない。開放制教員養成は,画一的な教員像から脱却し多様な知識・能力を持った教員の養成など,教員の得意分野づくりを 実現するものであり,教員養成の中心的な役割を果たすべきである。しかし,今回の審議経過報告の提言は,一般学部の学生が教員免許を取得する開放制の教員養成課程から 「ゆとり」を奪い,結果として教員への道が閉ざされることを危惧する。一般学部における学科目において達成される内容を十分に活用し,「教職に関する科目」については,教職に就くための原理的・理論的な知識・能力を修得させることに徹するべき。
○ 教育実習期間の延長には賛成できない。期間を延長することによって,一般学部における教職課程履修者の「ゆとり」を奪い,開放制教員養成の良さを失わせ,ひいては開放制の否定につながる。また教育実習校の確保がさらに難しくなり,実習校を確保できないために教職に就くことを断念せざるを得なくなる状況も予測される。
○ 教員の資質・能力の強化をカリキュラムや基準において数量的に規制するのではなく,弾力化を諮り,各大学の創意工夫を促すことが期待される。
○ 学校現場におけるいじめ等の諸現象への対応を意図した提言は,初任者研修をはじめとする現職研修の在り方に対する問題提起として位置付けられるべきであり,研修の全面的な点検評価を行い,改善策を提言することがまず行われるべき。また,こうした学校現場における問題は教育体制や教員の指導力にのみその原因を求めるべきではなく,学校現場のみで解決できる問題でもない。むしろ学校と協力して家庭及び社会の教育力をいかに高めるかを大所高所から検討することが重要。
○ 今国会において成立した「小学校及び中学校の普通免許状授与に係る教育職員免許法の特例等に関する法律」についても十分配慮して答申を作成すべき。
(質疑等)
△ 教職重視のカリキュラムとなると,具体的にどのような点で,どの程度負担となるのか。
○ 実習が増えると一般の教科に負担がかかる。また一般大学では専門科目,人間性を豊かにする教養のための科目に加えての教職科目となるので,カリキュラムが過密になり,学生から「ゆとり」を奪うことになる。
△ 資料中「実証的調査がなされたとはいえない」とあるが,審議会としてはヒアリングとともに大学・教育委員会を対象とした調査も行っている。
○ 一般大学の学生は,専門科目等を学ぶ課程で将来の進路を考えるのであり,最初から教員を目指すとは受けとめていない。専門科目を通じて広く社会を学ぶことにより,多様な教員を養成することは大切であり,こうした学生の教員への道を閉ざすべきではな い。
△ いい教員を養成して欲しいというのが世論であり,そのための方策を受け入れられな い理由が大学のカリキュラムの過密や学生の負担軽減では,世間に受け入れられないのではないか。
○ 免許取得に関する単位の総枠は変わらなくとも,教職科目の比重が高まれば,その単位は卒業単位の枠外になるため,結果として学生の取得単位数は増加することになる。
イ)日本私立短期大学協会
川並 弘昭 副会長,栗坪 良樹 理事
主な意見発表内容)
○ 「教科に関する科目」・「教職に関する科目」のバランスについて,「教科に関する科目」の削減は,学力の低下を招きかねず,視野の狭い教員の養成につながるおそれがある。他方,「教職に関する科目」の増加は,今日の教育界の現状からして適切な措置とも考えられるが,学生にとっては卒業要件単位数を越える単位の修得を余儀なくされ,負担増になり必ずしも賛成しかねる。なお,「教科又は教職に関する科目」の活用の仕方によっては,「教職に関する科目」を増加しなくても十分その要を果たすこともできると考える。
○ 教育実習期間の延長について,4年制大学と短期大学とで教育実習期間に差異が出て,採用選考にあたって教育実習の期間の長短を条件とすることも考えられる。実践的指導 力を一層養う観点からも,短大生の教育実習期間についても,4年制大学と同じとすることが妥当。
○ 学位授与機構の認定を受けた短期大学の専攻科において,一種免許状が取得できるようにとの内容が盛り込まれたことは朗報。しかし,高等学校が除かれているため,高等学校一種免許状についても併せて取得できるよう,引き続き審議願いたい。
○ 今国会で成立した「小学校及び中学校の教諭の普通免許状授与に係る教育職員免許法の特例等に関する法律」について,実習先確保,施設での受け入れ体制,施設内での指 導体制等の諸条件を整える必要がある。このため,学生全員を対象としたものではなく,教員採用試験に合格した者に限定して,教員に就職するまでの間に介護実習を義務づけてはどうか。
(質疑等)
△ 1種免許所有の場合も2種免許所有の場合も学校では同様に教育活動を行うのであり,この点から両者の教育実習期間が異なることには矛盾があるのではないか。
△ 成立した特例法は,免許状取得希望者全てに介護等体験を義務づけるものであり,もはや御提案の様にはならない。
ウ)社団法人日本PTA全国協議会
薄田 泰元 会長
主な意見発表内容)
○ 日本PTAでは平成7年度に教育に対する親の意識調査を行った。そのうち教員について関係する内容は以下のとおり。
○ 学校に望むこととしては,「成績本位ではなく人間性を培う教育」「自然に接し,自然に親しむ機会」「郷土を愛し,日本を愛する教育」が上位となっており,このことは教育改革が目指している「21世紀に生きる日本人の育成」の教育理念が国民各層に理解されつつあると解することができる。
○ 家庭と学校の協力体制の確立に必要なものとしては,「教師と親が気やすく話し合える機会を持つようにして欲しい」「PTAにすすんで参加する」「教師は母親ばかりでなく,父親とも話し合う機会を多くする。」等が挙げられている。
○ 学校の教育効果を高めるための,親から見た学校教育の条件整備の課題としては,「指導力があり,人格の優れた先生を多くすること」「保護者が学校教育を理解し,十分協力することすること」「教科内容を理解し,基本的なことに時間をかけること」が挙げられている。
○ 望ましい教員像としては,「厳しさと優しさをわきまえて指導してくれる先生」「どんな子供にもよく目をかけて公平に愛情を注いでくれる先生」「社会的視野が広く,地域社会に溶けこめる先生」が挙げられている。子供と保護者の期待する社会性ある人間的魅力のある教員の育成を強く望む。
○ 諮問に掲げられた検討課題については,今回の報告書のとおり是非進めていって欲しい。
○ 親はあまり若すぎる教員を望んではいない。この意味で,短大レベルの免許状についてはその廃止を検討すべきではないか。
○ 教職員定数について,発達段階や教員の資質等に応じた弾力的な基準であってもよいのではないか。
(質疑等)
○ 親も高学歴になっており,あまり若い教員に対しては不安を抱くことがある。個人差はあるのであるが,人生経験を通じた人間らしさを教員に求めるのは自然なことではないか。
△ 親は口では人間性の育成を口にするが,やはり学力をつけることを望み,教員はそれにより評価されることが多く,多くの教員がその狭間で苦しんでいる。「教員が病んでいる」とあるが,病ましているのは社会自体なのではないか。
○ 一人一人の個性を豊かにすることの大切さの認識を通じて,家庭の教育力の向上に努めたい。
エ)全日本中学校長会
安斎 省一 総務部長
(主な意見発表内容)
○ 中学校の教員養成カリキュラムは中学校の現場に対応したものでなければならない。したがって,「教職に関する科目」の単位数を増やし,今日の中学校教育が抱えるいじめ,不登校等の生徒指導に関する課題,国際化・情報化への対応といった今日的課題,人権教育といった普遍的な課題等に関する内容を充実する必要がある。
○ 理科離れよりもむしろ学習離れといった現状がある。こうした課題に対応するため,生徒の意欲を喚起する指導,ティームティーチングによる指導,具体的な実験・実習の指導等に直結した「教職に関する科目」を充実する必要がある。
○ 教員に必要な「教育愛」は若い時代の体験を通じて培われるものであり,「教職に関 する科目」を充実し,カウンセリングマインドの修得やボランティア活動の体験等を積ませる必要がある。
○ 教員養成は現職研修とセットで考えられなければならない。このため,大学における教員養成カリキュラムは教職に関する基本的な知識や態度の修得に力点をおくとともに,現職研修との関わりを一層重視することが大切。
○ 中学校における教育実習では,教科指導の他に学級の指導,道徳,クラブ・部活動,生徒会・委員会活動等に関する実習が極めて重要。しかし現行の2週間では教科の指導だけで手一杯といった現状であり,教育実習期間は延長すべき。また教育実習の評価を受け入れ校の校長にゆだねるといった抜本的方策を検討すべき。
○ 教員養成と教員採用は表裏の関係にあり,採用者数の平準化のための計画的採用を実 施すべき。
(質疑等)
△ 教育実習の期間延長について,受け入れる学校としてどう考えるか。
○ 全ての学校が,4週間の期間で受け入れ,充実した実習を行うことはこのままのやり方では困難。しかし各学校において受け入れ体制の整備を図ることにより,4週間受け入れることは十分に可能と考える。教員養成を充実するためには大学の努力を促すとともに,教育実習を受け入れる学校の在り方についても検討する必要がある。
△ かつては学校には後輩たる初任者を育て,バックアップする雰囲気があったが,今もそういった体制はあるのか。また学校週5日制になると研修の機会も限られてくるのではないか。
○ 学校全体が初任者を育てる姿勢については,学校により差はあるが現在でも行われており,また教員配置上も考慮されている。なお初任者の配置については,できれば1校に2人配置とし,互いに支えあえる体制が望ましいのではないか。
○ 自主研修の機会については,いかなる職種においても勤務時間以外での研鑽は必要であり,自主的に行われているのではないか。
△ 教育実習期間を延長しても負担となるため充実した実習は行えないと言っている限り,教員養成は悪循環に陥り,永遠によくならない。
○ 教育実習生を受け入れることは,学校にとっても教育指導改善のための研修の機会となる。例えば校内での研修計画と照らし合わせながら,実習受け入れ希望教科や人数を調整し,教育実習を校内での研修に生かすなど,教育実習を学校側が積極的に活用していく発想が必要と考える。
(5)今後の審議の進め方について
事務局より,「答申に向けての論点整理メモ(その2)」について説明があった。その概要は以下のとおり。
○ 答申に向けての討議においては,教科・教職のバランス,教育実習期間等が論点と認識されるところ。
○ 今後の議論を進めるにあたっては,特別委員会報告書をもとにした修正案・修文案等 を用意しながら議論を進めるなど,円滑な議事進行にご配慮いただきたい。
(6)次回の日程について
蓮見会長より,次回総会については6月27日に開催される旨,報告があった。
また,議事進行効率化のため,各委員からのプレゼンテーションを歓迎すること,また進行について改善意見等あれば会長又は事務局まで提出して欲しい旨発言があった。
5.閉 会:
(教育助成局教職員課)