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生涯学審議会

1998/10/27 答申等
図書館の情報化の必要性とその推進方策について  −地域の情報化推進拠点として−(報告)   (生涯学習審議会社会教育分科審議会  計画部会図書館専門委員会  平成10年10月27日)

  
図書館の情報化の必要性とその推進方策について
−地域の情報化推進拠点として−
(報告)



平成10年10月27日

生涯学習審議会社会教育分科審議会
計画部会図書館専門委員会


はじめに
  高度情報通信社会の進展に伴い,公立図書館のサービスは,新たな展開を求められている。生涯学習審議会の答申「社会の変化に対応した今後の社会教育行政の在り方について」(平成10年9月17日)においても,「図書館サービスの多様化・高度化と負担の在り方」として次の指摘がなされたところである。
  「近年の情報化の進展には目を見張るものがあり,社会のあらゆる領域に情報化が浸透しつつある。図書館についても,例えば,コンピュータネットワークを通じて,自宅にいながら図書館の提供する情報を得ることや,図書館において館の内外の様々な情報を得ることが可能になるなど,今後図書館の提供するサービスは多様化・高度化することが予想される。
  一方,公立図書館は,入館料その他図書館資料の利用についてはいかなる対価をも徴収してはならないと法定されているが,今後公立図書館が高度情報化時代に応じた多様かつ高度な図書館サービスを行っていくためには,電子情報等へのアクセスに係る経費の適切な負担の在り方の観点から,サービスを受ける者に一定の負担を求めることが必要となる可能性も予想される。
  このようなことから,地方公共団体の自主的な判断の下,対価不徴収の原則を維持しつつ,一定の場合に受益者の負担を求めることについて,その適否を検討する必要がある。」
  このことを踏まえて,生涯学習審議会社会教育分科審議会計画部会の下に設置された図書館専門委員会では,平成10年5月以来,情報化の進展に対応した図書館の新しい情報サービスの在り方等について,ヒアリングと討議を重ねてきた。この報告書は,その審議の結果を取りまとめたものである。

1.現状

(1)  資料の電子化の動向
  近年,図書館資料の電子化の試みが各地で始まっている。文部省においては,平成9年度から,図書館が所蔵する古文書・古絵図等の郷土資料,郷土が生んだ偉人関係資料等をマルチメディアデータベース化し,これらをインターネットを介して社会教育施設や学校において共有・活用するための研究開発事業を全国5ヶ所で実施している。(資料2)
  学術情報センターにおいては,平成9年度から,電子図書館サービスの提供を行っている(平成9年度は試行期間)。同サービスでは,学協会の発行する学術雑誌の各ページの画像データと書誌情報の文字データをデータベースとして蓄積し,インターネットを介して,キーワード等から論文を検索し,論文を表示,印刷できる機能を提供している。(資料3)
  筑波大学,京都大学,奈良先端科学技術大学院大学など,各大学においても,電子図書館の取り組みが行われている。
  国立国会図書館においては,独自に電子図書館構想を策定している。また,通商産業省所管の情報処理振興事業協会(IPA)と共同でパイロット電子図書館プロジェクトを行っている。同プロジェクトにおいては,印刷物やマイクロフィルムに記録された情報をデータベース化し,ネットワークを介して検索や閲覧を可能とするモデル電子図書館システムを試験的に構築し,将来的に電子図書館を実現するための様々な実験を行っている。(資料4)
  一方,民間においては,出版社のほか,多様な製作者が出版物や音楽・映像情報をインターネットで配信したりするなど,各種のコンテンツ(情報の内容)を提供,利用する動きが始まっている。また,有名作家等がその著作物を直接インターネット上で公開する例も見られる。
  さらに,米国をはじめ諸外国においては,電子化された多様な情報の発信源が急速に拡大発展しており,インターネットによって接続利用できる世界的な「サイバースペース」が実現しつつある。

(2)情報通信技術を利用した新しい図書館サービス
  生涯学習局学習情報課の行った調査によれば,平成10年8月1日現在の全国の公立図書館の情報通信技術を利用した新しいサービスに関する状況は次のとおりである。(資料5)
    i)コンピュータ等の導入状況
      都道府県立98.3%(平均台数27.6台),市(区)立90.4%(同10.7台),町村立77.5%(同3.9台)であり,大半は業務用として使用されている。
      業務用の内訳を見ると,貸出・返却用,発注・整理用,検索用と,いずれも同程度である。業務用検索で使用している内訳をみると,都道府県立では,OPAC用が最も多く,CD−ROM検索用がこれに次ぐが,市(区)立及び町村立ではその逆となっている。
      利用者用については,大半が検索用としての利用であり,内訳は,館種を問わず,OPAC用が最も多くなっている。なお,町村立においては,利用者用台数が全体平均で1台を満たしていなかった。
    ii)有料のオンラインデータべースの利用
      代行検索として有料データベースを導入している例はまだ少ない状況である。その費用について料金を徴収している例が,わずかではあるが見られた。
    iii)インターネット接続コンピュータの利用者への開放
      図書館全体でみるとその比率は,3.5%である。館種別では,町村立(6.0%)が市(区)立(2.0%)を上回っているが,町村立においては,複合施設での共用という例が見られた。また,接続料金を徴収している例もわずかではあるが見られた。
    iv)自館からの情報発信(ホームページ上で所蔵情報の検索が可能な館)
      インターネット上にホームページを作り,所蔵情報が検索できるのは,都道府県立21.7%,市(区)立4.7%,町村立0.5%であった。
    v)新しい情報サービスに対する職員の研修
      新しい情報サービスに対して研修を実施している館は,都道府県立56.6%,市(区)立31.0%,町村立18.3%であり,国や地方公共団体に,当該研修の実施を希望する館は,それぞれ,75.0,55.6,48.2%(全体では53.8%)であった。

2.今後の課題

(1)図書館の新しい役割
   今日の高度情報通信社会において,発信者側からの情報量は爆発的に増大しつつある。受信者側は,膨大な情報の中から必要な情報を的確に取り出さなければならない。
  しかし,今日の高度な情報環境の中で,その情報活用能力については,年齢別,性別等で顕著な格差が見られる(「通信白書」平成10年度版)。このような格差によって社会生活における平等が損なわれる恐れは,高度情報通信社会の進展にとっての重大な問題として指摘されている。
  図書館は,地域住民の教養,調査研究,レクリエーション等に資することを目的として,図書,記録その他必要な資料を収集・蓄積し,求められた資料や情報は誰にでも公平に利用する機会を与える役割を担ってきた。
  今後の高度情報通信社会においても,図書館は,電子化された情報に対する住民のニーズに対して,適切に対応していくことが求められる。資料や情報の提供というサービスを通して,人々の様々な活動を支援してきた図書館は,地域の情報拠点として,電子化された情報を含めた幅広い情報を提供するとともに,人々の情報活用能力の育成を支援する体制をも整備する必要がある。
    i)地域の情報拠点としての図書館
      図書館は,今まで図書など紙媒体を中心として収集・蓄積し,来館者への閲覧・貸出をはじめ,相互貸借や移動図書館車等による巡回など様々な手段を通して,地域住民を中心とする利用者へのサービスを行ってきた。地域住民の情報要求に所蔵資料の提供という形で対応してきた図書館は,今後の高度情報通信社会においても,様々な情報を入手することのできる情報通信ネットワークへの地域の窓口としての役割を果たす必要がある。
      「通信白書」によれば,インターネットの世帯普及率は6.4%(平成9年)となっており,通信系メディアを活用している者が,我が国ではまだ少ない状況である。したがって,行政情報や学習活動に関する情報を含めた各種情報の総合的な入手窓口として,また,地域住民の公平で自由な情報アクセスを保障・支援する公的機関として,図書館は,これまでのいわゆるパッケージ系メディアとともに,インターネット等の通信系メディアへの対応をも充実させる必要がある。なお,米国においては,来館者が自由に利用できる端末を百台単位で置いている例が見られる。
      このような新しい情報サービスは,これまで実施してきたサービスと別個のものとして存在するものではなく,図書館が蓄積してきた情報の組織化等に関わるノウハウ(例えば,目録,分類,索引など資料や情報を効率的に組織化・提供するためのシステム化や,資料について専門知識を持った司書による利用者の要望に的確に対応できる技能など)等を活かすことによって有効に実施されうるものであり,これまでの図書館サービスの延長線上に位置づけることができよう。
      地域住民の身近な生涯学習の中核施設である図書館が,高度情報通信社会における新しい情報サービスを提供する上で,司書には,情報通信ネットワークを利用しようとする地域住民に対する案内役としての役割が期待される。
    ii)地域住民の情報活用能力の育成支援
      インターネットの普及によるネットワーク環境の充実やマルチメディア技術の進展は,人々の情報活用の幅を広げて日常生活を豊かにする可能性を持っている。
      しかし,このような高度情報通信社会をより主体的に,そしてより豊かに生きるためには,だれもが,急速に拡大する情報環境において無数の情報の中から真に必要な情報を選択・整理して自分のものとする能力,すなわち「情報活用能力」を身につけることが求められている。
      さらに,情報機器の操作能力に加えて,個人情報の保護,著作権法制に対する知識などを含めた幅広い情報モラルを身につけることなどが必要である。また,近年,子どもに対する有害情報の影響が議論されているが,子ども自身に高度情報通信社会における情報の適切な選択の仕方を学習する機会を与える必要もあろう。
      情報活用能力については,年齢別,性別で格差が見られ,図書館としては,情報活用能力の修得を望んでいながらそうした機会を得にくい高齢者や女性に対する支援に特に配慮すべきと考えられる。
(2)具体的な推進方策
    i)情報通信基盤の整備
      近年,科学技術の発達により,新しいメディアが開発され,急速に普及しつつある。図書館においては,(1)で述べた機能を果たすため,これらのメディアを選択的に導入し,その情報通信基盤の整備を図っていく必要がある。なお,基盤整備に当たっては,高齢者や障害者等に対する配慮が望まれる。
      ア.コンピュータの設置
        パソコンは,いわゆるスタンドアロンでの使用でも応用範囲が広い。初歩的な情報活用能力育成のためには,住民が自由に利用できるコンピュータの設置が望まれる。
      イ.インターネット等の利用
         パソコンのインターネットへの接続により,図書館の地理的環境や規模に関係なく,世界中の情報を自由に取り出すことが可能となる。利用可能なコンテンツは多種多様で,従来の図書館において充分な対応が難しかった,最新の行政情報や学習活動に関する情報などの幅広い情報も含まれる。ただし,最新の情報が手に入る反面,信頼性が低い情報や誤った情報も混在しているなど,その特性に十分留意する必要があろう。
      ウ.CD−ROM等の活用
        CD−ROM等のパッケージ系ソフトウェアについては,インターネット等と比較すると,情報の即時性では及ばないものの,映像の水準や内容の安定性や信頼性で勝る部分がある。また,商用のオンラインデータベースの多くが接続時間などに応じて使用料が課金されるのに対して,パッケージ系のデータベースは使用時間に拘束されないといった長所がある。
      エ.衛星通信システムの活用
        衛星通信システムを利用することにより,質の高い研修や講座を全国で多人数が同時に受講でき,リアルタイムでの質疑応答が可能になる。例えば,文部省においては,平成10年度の新任図書館長研修を,東京の主会場のほか,全国8ヶ所の副会場においても衛星通信を通じて同時に受講する形態で実施した。
        平成10年度補正予算で整備される文部省の衛星通信を利用した教育情報通信ネットワークの一環として,全国各地の公立図書館等で受信環境の整備が進められているが,地方公共団体においてもこのシステムへの参加に関して積極的な取り組みを期待したい。
      オ.TV会議システムの活用
        TV会議システムは,各種講座等を分館や公民館等へも送信することができるなど,手軽にリアルタイムでの館外との交流を可能にする。また,協力関係にある複数の館で外国人サービスの担当を分担し,同システムによりレファレンス等に対応したり,衛星通信システムと組み合わせ,講師への質問等に用いたりするなど様々な活用方法が考えられる。
    ii)資料の電子化の利点とその活用
      従来の紙媒体を中心とした資料を電子化するメリットは,一般的には,
    (ア)  必要な情報を広い範囲から選択することができる(検索性の向上),
    (イ)  音声や画像などと組み合わせて編集したものを自ら発信・提供することが容易にできる(再編集性の向上),
    (ウ)  一つしかない資料でも,数多くの人々が同時に利用できる,
    (エ)  画質等の劣化を招くことなく,複製することができる,
    などの点である。
      さらに,電子化された資料をインターネット等を通じて,利用に供することは,時間帯や場所に関係なく,その情報を入手することができることを意味する。
      図書館に直接足を運ばなくとも,自宅等から自由に図書館の機能を利用できれば,特に高齢者や障害者等へのサービス提供としても有効である。人々が,生涯のいつでも自由に学習機会を選択して学ぶことができる生涯学習社会を構築する上で,学習資源としての所蔵資料の電子化は,重要な課題である。
      また,地域において,電子媒体を用いて発表されている非商業ベースの作品・資料等の中には,地域の文化的資産として収集・保存する価値の高いものも見られる。これらについても,公立図書館の取り扱うべき資料として視野に入れていく必要があろう。
      現在,21世紀を担う子どもたちに情報活用能力や国際性を養うため,中学校,高等学校,特殊教育諸学校については平成13年度までに,小学校については平成15年度までに,全ての学校をインターネットに接続する計画が進められているが,情報通信ネットワークを利用した学習システムが,より効果的に活用されるためには,電子化された教育情報(コンテンツ)の充実が必要である。図書館の所蔵資料は,こうした教育情報として重要なものの一つである。
    iii)司書等の研修及び住民の情報活用能力育成
      司書の情報活用能力育成については,司書有資格者を養成する現行の司書講習において,「情報サービス概説」,「情報検索演習」(必修),「情報機器論」(選択)といった科目が履修されている。また,現職の司書を対象とした現行の研修においては,情報化に対応したプログラムが考慮されることが望ましい。
      今後においては,住民の情報活用能力育成を支援できる高度な資質を持った司書の養成が重要である。その方法としては,例えば,高度な内容の現職研修プログラムを用意し,それを発信し,利用に供することなどが考えられる。
      一方,住民の情報活用能力育成については,目的やレベルに合わせた住民向けの講座等の開催が望まれるところである。住民に対する支援については,地域の司書有資格者やコンピュータ操作能力を有する者から,基礎的なコンピュータの操作等の支援に従事する「情報ボランティア」を募り,協力してもらうことも考えられる。
    iv)著作権,肖像権等を保護する体制
      今日,様々な学習資源を技術的には手軽に利用できるようになってきているが,これらの学習資源は著作物である場合が多く,その利用に当たっては,著作権等の処理に十分注意を払う必要がある。特に,利用者がインターネット上で情報収集し,再編集して発信する場合など,それぞれの情報について適切な著作権処理を行う必要があるものも少なくない。
      衛星通信等を活用した講座においては,質疑等の際に画面上に受講者の映像が表示されることがあるが,個々の受講者にも肖像権が発生しており,講座の開講前に受講者の了解を得るなどの配慮が必要となる。
      これらを踏まえ,図書館においては,著作権,肖像権等の保護等について慎重に対応するとともに,利用者に対しても十分な啓発を行う必要がある。

3.提言

(1)地域における図書館と情報通信基盤の整備

  これからの公立図書館は,地域住民の公平で自由な情報アクセスを保障・支援する公的機関であり,地域の情報拠点として一層重要な役割が求められる。したがって,地域間に情報格差を生じないためにも,図書館の未設置地域に公立図書館を設置していくことは今後も必要である。
  そして,図書館がコンピュータやネットワークを介して利用できる膨大な情報資源の窓口となり,地域の人々が自分の求める情報を自ら探し出すことができるよう支援していくためには,何よりもまず,情報機器や通信回線といった情報通信基盤の整備を進めることが不可欠であり,住民が自由に使えるコンピュータの整備,インターネットへの接続,衛星通信システムの受信環境の整備についての取り組みが重要である。

(2)地域電子図書館構想
  米国の議会図書館は,民間団体と協力しつつ,自らが保有する文献・地図・写真・手稿・録音・映像資料などを含む米国の貴重な歴史的資料を電子化して蓄積し,利用に供する電子図書館構想を推進している。「アメリカン・メモリー」と称する電子化コレクションは,その重要な構成要素であり,教育関係者の利用を支援する観点から,教育関係者向けの学習用ページを開設し,学校の授業での活用事例等を提供している。
  古い歴史的文書・地図・写真・手稿などの資料は,直接利用することは困難な場合が多いが,電子化することで,人々が自由に見ることができる。これらの資料の電子化が進めやすいのは,多くの場合,公表や複製に伴う著作権などが既に消滅していたり,その処理が容易であったりするためである。このことから,地域の図書館においては,郷土の歴史的資料を教育利用の観点から体系的に電子化し,活用していくことが期待される。
  また,歴史的資料のほか,地域の生活にかかわる各種の新しい情報についても,他の公的及び私的機関との連携協力を含め,可能なものから電子化していくことが望まれる。国においては,我が国全体としての構想を検討する必要があろう。
  なお,ここで「地域電子図書館」として構想されているものは,資料の全てを電子化する図書館ではなく,従来の図書館資料や既存の電子化された資料の提供に加え,適当と考えられる資料を自ら電子化し,提供する事業をも推進する図書館である。

(3)司書等の研修の充実
  司書には,人々の求める多様な情報を適切にかつ迅速に提供する能力が求められている。このため,今後,コンピュータ,インターネット,各種のデータベース等の活用能力の向上が一層必要となってくる。
  さらに,住民の情報活用能力を育成するためには,司書にはこれらを支援していく能力も求められる。このため,図書館サービスの充実の観点から,司書を対象とした質の高い研修プログラムを衛星通信システムを用いて配信することについて検討する必要がある。

(4)住民の情報活用能力の育成
  公立図書館は,コンピュータやインターネット等を活用する能力を中心にした住民向けの講座を実施していくことが期待される。なお,講座は習熟度別にして住民が気軽に受講できるようにする必要がある。
  このため,「情報ボランティア」の協力により,図書館開館中,住民のコンピュータやインターネット等の利用を援助する体制を整備することも考えられる。そのためには,「情報ボランティア」に対する研修の場を提供することも必要であろう。
  また,公立図書館における地域住民を対象とする講座等を行うプログラムを開発し,その成果を普及していく方策について検討することが適当であろう。

(5)図書館サービスの多様化・高度化と負担の在り方
  公立図書館においてインターネット等通信系メディアを介して,有料の商用データベースを利用者の求めに応じて職員が代行検索している場合,通信料金,データベース使用料を徴収している例が見られる。また,インターネットに接続したコンピュータを利用者に開放している場合,使用時間に応じた通信料金を徴収している図書館もある。
  図書館法第17条は,「公立図書館は,入館料その他図書館資料の利用に対するいかなる対価をも徴収してはならない。」と規定している。この対価不徴収は,図書館が地域住民の情報や知識の入手など最低限の文化的基盤を保障するという原則の尊重から来ているものである。
  ここにいう「図書館資料」とは,図書館法第3条及び平成4年5月の生涯学習審議会図書館専門委員会報告「公立図書館の設置及び運営に関する基準について」などを勘案すれば,通常,図書館によって主体的に選択,収集,整理,保存され,地域住民の利用に供されている資料を指すと考えられる。したがって,図書館においてインターネットや商用オンラインデータベースといった外部の情報源へアクセスしてその情報を利用することは,図書館法第17条にいう「図書館資料の利用」には当たらないと考えるのが妥当である。
  また,著作権法第31条に基づく資料の複写物の提供について,これまで図書館界において利用者への対価徴収が定着してきたのは,やはり「図書館資料の利用」を越えるサービスと考えられてきたことによる。
  このような観点から,電子化情報サービスに伴う通信料金やデータベース使用料などの対価徴収については,それぞれのサービスの態様に即して,図書館の設置者である地方公共団体の自主的な裁量に委ねられるべき問題と思われる。
  以上のことにかんがみ,公立図書館における新しい電子化情報サービスとの関係においては,図書館法第17条を上記の方向で解釈・運用していくことが適当である。

(6)インターネット接続に係る通信料金等の負担の軽減
  インターネットは,利用者にとって,地理的に離れた場所にある情報を統合的に利用できる効果的なメディアで,図書館での積極的な利用が求められている。しかし,インターネットの利用において,通信料金が米国等と比較して割高であり,これが図書館のインターネット利用の障害となっているという指摘がある。
  米国においては,連邦通信委員会(FCC)が,学校や図書館に対して,電気通信事業者から徴収する資金により,地域の貧困の度合いに応じて,インターネット等への接続に必要な設備の整備費,通信料を20%から90%の範囲で割引する制度(一般にE−rateと呼ばれている。)を1997年5月に開始している。
  我が国においても,通信料金の割引や時間を気にせず自由に利用できる定額料金制度など,図書館を含めた教育施設に対する通信料金の負担の軽減措置について早期の実現を期待したい。


<文中の資料については省略>


(生涯学習局学習情報課)

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