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大学審議会

1999/12/16 議事録
大学審議会  総会 ((第89回)議事要旨)

大学審議会総会(第89回)議事要旨


1  日  時  平成11年12月16日(木)10時30分〜13時00分


2  場  所  霞が関東京會舘エメラルドルーム


3 出席者
(委    員)鳥居泰彦(会長),青山佳世,阿部充夫,天野郁夫,猪口邦子,川口順子,北城恪太郎,黒田玲子,小出忠孝,小林陽太郎,櫻井孝頴, 島田あき子,蓮實重彦,平澤貞昭,山崎正和,吉川弘之の各委員
(オブザーバー)末松安晴大学設置・学校法人審議会会長
(文 部 省)佐々木高等教育局長,遠藤高等教育局審議官,井上学術国際局審議官,木谷企画課長,合田大学課長,岩本専門教育課長,高塩学生課長,和氣学校法人調査課長,萩原計画課長,芝田留学生課長,中岡大学審議会室長  他



4  議  事
(1)前回議事要旨(案)については,修正意見等があれば,1週間以内に事務局に連絡いただき,修正後は会長の責任において,確定・公開することとなった。

(2)会長から,本日は,「グローバル化時代に求められる高等教育の在り方について」検討いただきたいとの提案があり,次のような意見交換が行われた。


○  議論は抽象的であってはいけない。具体性のある議論を行うことが必要。

○  日本でインターネットなど電子媒体による通信の利用が進まない理由の一つは,学校教育において,タイピングレッスンを受けていないことにあると思う。

○  日本の学生は,一様にプレゼンテーションの能力等が乏しいという訳ではなく,中にはそれらの能力に優れた者もいる。乏しい傾向が強いと表記するなど表現の仕方に注意が必要。本来学生が有している能力を十分に発揮できる教育機会が与えられていないといったような教育する側の在り方を問うような表現の方がいいのではないか。

○  今後の審議の進め方については工夫する必要があるが,一つの方法として,日本の大学の教育面,研究面,組織運営面について,国際標準に合わせて変えていった方がよい点,もうこれで十分な点,あるいは日本の独自性を出す点はどこかということを検討してはどうか。

○  教育政策立案のグローバルスタンダード化という問題がある。外国では知識をいかに使える社会にするかということを目的としてあらゆる政策を行っているが,このように,教育政策は一般の社会政策の中に位置付けられるべきもの。今,世界中で「マス」(一般大衆)の教育が大きな問題となっているが,具体的にどのような教育を行い,これが社会の需要にどう対応し,社会をどう変革するかまで言及した教育政策が必要。

○  今までに行われた提言について,例えば任期制の導入状況が少ないのならば,その理由は何かについての議論を深めることが大切。

○  「情報化」とは目的ではなくあくまで手段。インターネットの活用は日本の教育が世界に影響を与えることができるという広がりを持たせ,その逆も可能とすることから,教育の質を上げる上で有効。インターネットは単に通信教育の延長ではなく,双方向性と同時性にとらわれることなく教育に活用できるという特質を備えたツールであることを考慮することが必要。

○  教員の流動性を高めるためにはもう少し積極的に手段を講じなければならない。大学だけで流動性を高めようとしても無理。大学や国立研究所や民間企業等で職が繋がるような社会システムの在り方を考えることが必要。

○  大学の状況について,数値的データのみで判断するのではなく,質の違いを考慮することも必要。全国にある大学を一つにして議論することは不可能であり,大学の特質ごとにどのようなことが起きているかを議論する必要がある。

○  国際的に影響を与えるような,世界トップレベルの大学を日本に作ることが必要。海外に行かなくても国内で活発にレベルの高い研究ができ,これを通じて国際的に影響を与え,外国から研究者が集まってくるような,良い研究を行うことが重要。

○  日本で良い研究成果をあげた外国人研究者がそのまま日本の大学や企業などに残りやすいような社会の受入れ体制も必要。

○  大学審議会と生涯学習審議会における審議内容は重複するところがあるので連携が必要。

○  知識・情報伝達の手段としてのインターネットは大きなインフラとなる可能性があるため,その存在を前提として物事を考えることが必要。社会人などが教室に行かなくても教育を受けられる仕組みを考えることが必要。国内や海外を問わず,それぞれの分野で先進的な取組を行っている大学等があるはずであり,最も良い成果をあげている大学では何が行われていて,これと比較して他大学が改善すべき点は何か等を論点としてまとめれば,今後審議すべき方向がよりわかりやすくなると思う。例えばバーチャルユニバーシティはなぜ日本ではまだ実現していないのか等を論点として出してはどうか。

○  留学生問題は,受入れるだけではなく送り出すことも重要な課題。ユネスコの統計では日本から海外への留学生は約6万人となっているが,どういう形の留学が含まれているかその内訳をはっきりさせることが必要。また,日本人学生の短期留学ついて,今や国が決定するものの他にも多くの私立大学などが短期留学のプログラムを持っており,それをきちんと調査しないと実態はわからない。どこが遅れていてどこが進んでいるか,実態を把握した上で検討し政策提言をすることが必要。

○  情報通信技術の活用においては,同時性と双方向性の確保が課題。

○  今後,学生や教員を含めた社会の流動化が進み,また多様なメディアが活用されるようになっていく中で,高等教育全体がどうなるのかを考えることも必要。

○  グローバル化は高等教育段階だけで考える問題ではなく,初等中等教育段階でどのようなことを行うのかということがあり,これを踏まえて高等教育の在り方を考えていかなければならない。

○  大学が増え多様化しているなかでは,これらを一括りに考えて提言するのは困難。例えば,施設や教官等は既存の大学のものを利用するバーチャルな大学,すなわち,講座単位で国公私を問わず参加大学を募り,国際的基準の審査をクリアするもっとも優れたところを採用し形成する大学院大学を一つ作ってはどうか。この大学では,教員には任期制を導入する一方で,研究費を非常に手厚くするなどの措置を行い,成果が不十分ならば,次の年には違う大学の講座を採用していく。このような大学を作ることで,各大学が目指すべき水準を示すという方法はどうか。

○  これまでいろいろな答申がある中で,新たに何を答申すればよいか,従来の答申で不十分な点などを把握できるよう,これまでの提言について措置済みのものなどを整理することが必要。

○  グローバル化は今に始まったことではない。100年前はグローバル化といえば英国化だった。その頃途上国はみんなイギリス経済のまねをして,植民地化を行い,反省も点検もしないで結局失敗してしまった。グローバル化時代というものを冷静に捉え判断する思考力を国民が養えるようにすることが2度目のグローバル化時代に求められる高等教育の役割なのではないか。

○  グローバル化時代においてはいろいろな競争にさらされるため,自分は何において優れているかを発見することが重要。このことから,学生に自らの能力を認識させ,それをどう引き出すかということが課題となる。これを通じて国のいいところは何かということも発見できるようになる。固有文化の発展ということについて,伝統文化の保存や発展も考えねばならないが,自分の能力等の蓄積等をどう増やすかという戦略を考えることも必要。
  グローバル化時代においては,自らの蓄積を皆と分かちあうという面が強まることから,ホームページなどで自分の意見等を「発信」することも必要となってくる。よってホームページの作成を助ける人材を大学が提供することも必要。 

○  大学は多様化してきているが,例えば授業方法の改善などは各大学が等しく努力すべきことであり,全大学に共通して考えるべきこともある。

○  最近の教授は海外研修に行きたがらない。教授がこういう姿勢では国際化の推進も心許ない。教授は海外研修を積む努力が必要。

○  外国語教育について,会話の授業はその言語を母国語とする教員が担当することが必要。

○  先進的な取組を行っていると思う大学や学部を公募しそれを公表して,どのような取組を行っているかを示してはどうか。優れた例や,取組の過程で困難だった点等を見聞きすることは,各大学が改善を行っていく上で有効な方法。

○  日本人の留学を促進することが重要。学生は留学したいと思っているがお金がないのが現状。日本から海外へ留学する人への奨学金が不十分。個人として海外に留学するための資金を得ることができる方途が必要。

○  グローバルと目しているものと比較して現在どの程度まで達しているのかを把握することが必要。我が国の高等教育機関が世界のトップクラスの高等教育機関と親和性を持つような仕組みを有しているかどうか,具体的に詰めていくことが必要。高等教育のアウトプットとしての教育や研究のレベルが,世界のトップクラスの高等教育機関と比較してどの程度なのかもきちんと評価をしていかなればならない。

○  教育におけるグローバル化というと,それぞれの大学や学問の個性や多様性がなくなるということになりはしないかという疑問を感じる。グローバル化が社会のニーズとしてあり,これを目的として良い高等教育を作り出していくという観点もあるが,文科系における日本固有の学問などとの関係をどう考えていくべきか。また,大学の個性化とグローバル化との関係はどう考えるべきか。

○  日本にとってのグローバル化という場合,まずアジアグローバル化が構想されなければならない。アジアは様々な共通性を持っており,「マス」(一般大衆)の教育レベルが比較的高く,教育を手段として,一つの共同体になることができると思う。教育のグローバル化ということを考えた場合にアジアは非常に大きな核になりうる。日本はアジア地域といかに関わっていくべきかということについて議論が必要。

○  教育について教育界の中だけで議論してはいけないと思う。日本全体がこれからどうなるのかという視点の中で考えていくことが必要。また,現在,政府全体で様々なことを自由にしていこうという発想にある中,教育の方向性などについて,大学等教育を担う主体がどこまで自由に考え実行していけるようになっているか,という議論が大事。大学審議会においては,細部ではなく,基本的な部分を議論すべき。


(4)会長から,「グローバル化時代に求められる高等教育の在り方について」は諮問内容が幅広いものであり,かつ相互に関連深い事項であることから,総会委員に特別委員を加えて基本問題検討部会を設置してはどうかとの提案があり,了承された。特別委員については,大学審議会令(第2条第3項及び第4項)により文部大臣が任命することになっていることから,文部省と相談し,部会の開催までに会長が指名することとなった。


(5)「大学入試に関する専門委員会」及び「短期大学及び高等専門学校の在り方に関するワーキンググループ」に所属する委員について,大学審議会令(第4条第2項)及び大学審議会運営規則(第5条第7項)に基づき,会長から指名が行われた。


5  次回の日程
  次回の日程については,事務局から後日連絡することとなった。

(高等教育局企画課)

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