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文部科学省政策会議(臨時会)(平成21年11月27日)

1.日時

平成21年11月27日(金曜日)8時~

2.場所

文部科学省13F 1~3会議室

3.議題

講演
「国際比較で明らかになる日本の教育の特徴及び教育政策に関する提言
(特に生徒の学習到達度調査(PISA)及び奨学金政策について)」
(アンドレア・シュライヒャーOECD教育局指標分析課長)

4.概要

 【鈴木副大臣挨拶】

鳩山政権は、人々の学ぶ権利をきちんと保証するという教育政策を掲げているが、OECDのこれまでの調査、分析、提言等を参考に作り上げてきたところである。中でもPISA調査(生徒の学習到達度調査)は、世界の教育界にとって近年最もインパクトのある調査であると言える。順位結果は問題ではなく、調査のねらいが示しているように、21世紀の人類、人間社会に何が必要かの教育像を目指していくことが重要である。

【アンドレアス・シュライヒャーOECD教育局指標分析課長 講演「国際比較で明らかになる日本の教育の特徴及び教育政策に関する提言(特に生徒の学習到達度調査(PISA)及び奨学金政策について】

(1)高等教育財政について

世界は急速に変化しており、1995年にはアメリカが世界で一位の高等教育卒業率を誇っていたが、この10年間で多くの国はアメリカを追い越して高等教育の拡大を図った。高等教育が拡大する中、高等教育の費用を誰が負担するのか、ということが重要である。一つの見方ではあるが、高等教育から得られる私的及び社会的な便益とコストを比較すると、いずれも便益がコストより高いことがわかる。つまり、高等教育に投資することのメリットは大きい。では、コストがどのように負担されているかというと、授業料を家計(学生及び家族)が負担しているほか、給与型奨学金や学生ローンを通じて政府が家計を支援している場合もある。金融危機の影響により、より高い資格と技能を身に付ける必要が生じていることと、失業後の労働市場への再参入が難しくなっていることから、今こそ教育に投資すべき時である。日本は高等教育段階において世界で2番目に家計の負担が大きく、授業料も高額な国のひとつであるが、学生支援システムを再構築することによって、高等教育へのアクセスを改善することができるであろう。その中で、奨学金については所得連動型の返還方式を取り入れることも一考である。

(2)学校教育の成果向上について

近年、社会において要求される技能は変化してきている。アメリカにおける職能需要の変化を見ると、単純手作業の需要が下がっており、知識を創造的に適用することが求められる非単純分析的作業及び非単純相互作用的作業の需要が高まっている。PISA調査では、知識や技能のみならず複雑な問題に答えることができるかどうかということを教育の成果として測定しているが、日本の教育システムは世界の中でも最も成功しているものの一つであると言える。生徒の成績も良く、社会的な公平性も確保できている。また、優秀な人材を教員として採用した上で良い給与を与え、学級規模を小さくしない方法は、費用対効果の面において優れている。しかし、一方で多くの生徒が学校で学んだことを将来につなげようと思っていないなど、生徒の学習に対するモチベーション、姿勢、態度の面で改善できる面もある。また、決まり切った知識を与えるだけでなく、様々な変化や今までにないような問題に対応できるような教育に取り組むことが必要である。

【質疑応答】

○ まだ起こっていない問題への解決ができるような子どもたちを育てる教育へ日本が転換するにあたっての、教員研修、教員養成の改善点は何か。

○ 日本、韓国、台湾など、アジアでは受験のために予備校に通うなど、受験が大きな負担となっている。OECDでは、アジアにおける予備校や受験などが教育システムに与える影響を考慮した分析を行っているか。

○ 高等教育の拡大については、卒業率という量ではなく、質を評価することが重要なのではないか。

○ 日本のゆとり教育についての見解如何。また、学習塾が日本の教育の下支えをしているのではないか。

○ 日米の大学を比較して見ていると、大学で学んだことは必ずしも職業に結びつかないのではないかと思うが、いかがか。

○ 日本では教育格差は広がっているのか。OECD加盟国ではどうか。

○ PISA調査では、私立の学校も対象としているのか。

○ 最適な学級規模についての意見をお聞かせ願いたい。

○ これまで日本では終身雇用制の下で会社が社員教育に投資を行ってきた。近年これは変化しつつあるが、実業界が教育の場でどの程度のコストを負担してきたかというデータはあるか。

(回答)
○ 教員は、社会の変化及び生徒の多様化に対応するために、教員養成課程だけではなく、教職に就いてからも継続的な学習を行うことによって知識やスキルを高めていくことが重要である。

○ 予備校や受験などが教育システムに与える影響に関して、日本についてのデータはないが、韓国に関するデータならある。フランスなどでも同じようなことにお金をかけている。フィンランドの例を見ると、学習が自分の将来に直結していることを生徒に理解させることができれば、学習時間が少なかったとしても優れた結果を得られることがわかる。

○ 高等教育の質の評価をすることは非常に難しく、現時点で高等教育におけるPISAのような調査はできていない。その代わりに、労働市場における経済的効果を測定することによって高等教育の成果を計っており、限定的ではあるが質の評価にはなると思う。

○ PISA調査では塾の影響を計っていないので、判断することは難しい。日本のゆとり教育について詳細は知らないが、アイデアだけで見ればPISA調査で最も成績の良い国の制度で取り入れられている傾向にある。これらの国では、単に知識を詰め込むのではなく、知識をいかに活用するかと言う点に重点を置いた教育を行っている。

○ アメリカでは労働市場の流動性が高く、一度社会に出た人間が大学に戻るということが頻繁に行われているため、大学での専攻と労働市場における成果との関連が薄い。

○ 日本では家庭的背景による格差よりは学校間の格差が見られるが、欧米に比べれば大した問題ではない。ただし、格差は一度広がると縮めることが困難であることに注意が必要である。

○ PISA調査では私立の学校も対象としている。社会経済的な背景を排除して考えると、日本の場合は私立よりも公立の方が成績が良く、学校による付加価値は公立の学校の方が大きいと言える。

○ クラスの規模は小さい方が目の行き届いた良い教育ができるが、同時にコストも高くなる。公共政策の中では、コストも考慮しながら、効率性・質にも配慮する必要があるので、バランスよく投資することが重要である。

○ 各個人が学習へのインセンティブを持ち、身に付けた技能を労働市場がきちんと評価することが重要である。また、スウェーデンでは、国費で個々人の生涯学習を支えており、生涯にわたる学習へのインセンティブづけができているとても良い例である。 

5.配付資料

お問合せ先

大臣官房総務課法令審議室

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