| 第 |
1章 はじめに−本協力者会議の基本姿勢
| 1 |
不登校の現状に関する認識 |
| 2 |
正しい理解に基づく確実な取組の必要性 |
| 3 |
不登校の要因・背景の多様化と教育の果たす役割 |
| 4 |
本協力者会議の審議経過と報告のねらい |
|
| 第 |
2章 不登校の現状
| 1 |
不登校の定義や現状
| (1) |
不登校の定義や不登校児童生徒数の推移等 |
| (2) |
不登校となった直接のきっかけ |
| (3) |
不登校状態が継続している理由(不登校の態様・タイプ) |
| (4) |
不登校児童生徒への指導の結果 |
| (5) |
進路の状況等 |
|
| 2 |
不登校の要因・背景の多様化・複雑化
| (1) |
不登校の背景と一般的な社会の傾向等 |
| (2) |
不登校との関連で新たに指摘されている課題 |
| (3) |
不登校の要因・背景の特定の難しさ |
| (4) |
多様な要因・背景と適切な対応策 |
|
| 3 |
不登校の実態把握の在り方
| (1) |
適切な実態把握の必要性と調査の在り方 |
| (2) |
実態把握と対応の在り方との関係 |
|
| 4 |
高等学校における長期欠席の課題への認識 |
| 5 |
「ひきこもり」問題との関連 |
|
| 第 |
3章 不登校に対する基本的な考え方
| 1 |
将来の社会的自立に向けた支援の視点 |
| 2 |
連携ネットワークによる支援 |
| 3 |
将来の社会的自立のための学校教育の意義・役割 |
| 4 |
働きかけることや関わりを持つことの重要性 |
| 5 |
保護者の役割と家庭への支援 |
|
| 第 |
4章 学校の取組
| 1 |
魅力あるよりよい学校づくりのための一般的な取組
| (1) |
新学習指導要領のねらいの実現 |
| (2) |
開かれた学校づくり |
| (3) |
きめ細かい教科指導の実施 |
| (4) |
学ぶ意欲を育む指導の充実 |
| (5) |
安心して通うことができる学校の実現 |
| (6) |
児童生徒の発達段階に応じたきめ細かい配慮 |
|
| 2 |
きめ細かく柔軟な個別・具体的な取組
| (1) |
校内の指導体制及び教職員等の役割 |
| (2) |
情報共有のための個別指導記録の作成 |
| (3) |
家庭への訪問等を通じた児童生徒や家庭への適切な働きかけ |
| (4) |
不登校児童生徒の学習状況の把握と学習の評価の工夫 |
| (5) |
児童生徒の再登校に当たっての受入体制 |
| (6) |
児童生徒の立場に立った柔軟な学級替えや転校等の措置 |
|
| 3 |
不登校児童生徒の実態に配慮した特色ある教育課程の試み |
|
| 第 |
5章 関係機関との連携による取組
| 1 |
入所・通所型の施設の取組
| (1) |
適応指導教室の整備充実 |
| (2) |
社会教育施設の体験活動プログラムの積極的な活用 |
| (3) |
公的機関と民間施設やNPO等との積極的な連携 |
|
| 2 |
訪問型の支援の取組
| (1) |
公的な機関等による訪問型の支援の推進 |
| (2) |
訪問型の支援の実施に当たっての配慮 |
|
| 3 |
ITの活用 |
|
| 第 |
6章 中学校卒業後の課題
| 1 |
高等学校に関する取組
| (1) |
高等学校入学者選抜等の改善 |
| (2) |
高等学校における長期欠席・中途退学への取組の充実 |
|
| 2 |
中学校卒業後の就学・就労や「ひきこもり」への支援
| (1) |
中学校卒業後の青少年の進路の相談や受け皿づくりへの期待 |
| (2) |
中学校卒業後のひきこもり傾向にある青少年への支援 |
|
|
| 第 |
7章 教育委員会に求められる役割
| 1 |
不登校や長期欠席の早期の把握と対応 |
| 2 |
学校等の取組を支援するための教育条件等の整備
| (1) |
教員の資質向上 |
| (2) |
きめ細かな指導のための適切な人的措置 |
| (3) |
保健室や相談室等の整備 |
|
| 3 |
学校における指導等への支援
| (1) |
モデル的な個別指導記録の作成 |
| (2) |
転校のための柔軟な措置 |
|
| 4 |
適切な対応の見極め(「アセスメント」)及びそのための支援体制づくり |
| 5 |
学校外の公的機関等の整備充実
| (1) |
適応指導教室の整備充実やそのための指針づくり |
| (2) |
教育センターや教育研究所等における教育相談機能の充実 |
|
| 6 |
訪問型支援など保護者への支援の充実 |
| 7 |
官民の連携ネットワークの整備の推進
| (1) |
他部局との連携協力のためのコーディネート |
| (2) |
関係機関のネットワークづくりと不登校対策の中核的機能の整備充実 |
| (3) |
民間施設等との連携協力のための情報収集・提供等 |
|
|
| 第 |
8章 国に求められる役割
| 1 |
不登校の実態把握のための概念整理や調査の在り方の検討 |
| 2 |
不登校への対応に関する全国の情報収集・情報提供 |
| 3 |
関係省庁との連携協力 |
| 4 |
不登校施策の改善へ向けた不断の取組 |
|
| 別 |
添
|
| 1 |
不登校の現状に関する認識
| |
文部科学省の調査によると、我が国の小・中学校の不登校児童生徒数は、平成13年度には約13万9千人に上っており、過去最多を更新し続けている。
このように不登校が増加し続けている現状にあって、豊かな人間性や社会性、生涯学習を支える学力を身につけるなど、すべての児童生徒がそれぞれ自己実現を図り、また、社会の構成員として必要な資質・能力の育成を図るという義務教育制度の趣旨から、不登校に関する取組の改善を図ることは、我が国社会にとって喫緊の課題であって、早急に具体的な対応策を講じ、実行する必要がある。
不登校については、特定の子どもに特有の問題があることによって起こることとしてではなく、どの子どもにも起こりうることとしてとらえ、当事者への理解を深める必要がある。一方で、不登校という状況が継続すること自体は、本人の進路や社会的自立のために望ましいことではなく、その対策を検討する重要性についても認識を持つことが求められる。
こうした観点から、本協力者会議は、教育行政上の課題として「不登校問題」の解決に向けて調査研究を行うことを設置の趣旨としている。しかし、個々の不登校の事例に着目すると、その要因・背景は多様であり、そうした児童生徒の行為すべてを「問題行動」と決め付けるかのような誤解を避けるため、本協力者会議は、「不登校問題」という語の使用を控えることとした。 |
|
| 2 |
正しい理解に基づく確実な取組の必要性
| |
不登校については、平成4年3月の「学校不適応対策調査研究協力者会議」の報告「登校拒否(不登校)問題について」(以下、「平成4年報告」という。)があるが、この報告における不登校に対応する上での基本的な視点や取組の充実のための提言自体は、今でも変わらぬ妥当性を持つものである。
しかしながら、不登校児童生徒数は、現在、調査開始以来最多となっており、この提言が、関係者の間において正しく理解され十分に実践されているのか、また、時代の変化とともに、新たに付加すべき点がないかを今一度検証し、実行に移すための方策を検討することが急務だという基本的な認識に立ち、本協力者会議は検討を行った。 |
|
| 3 |
不登校の要因・背景の多様化と教育の果たす役割
| |
不登校の要因や背景としては、後に述べるように、家庭、学校、本人に関わる様々な要因が複雑に絡み合っている場合が多く、さらに、その背後には、個人の生きがいや関心の「公」から「私」への私事化、社会における「学びの場」としての学校の相対的な位置付けの変化、学校に対する保護者・子ども自身の意識の変化等、社会全体の変化の影響力が少なからず存在している。
そのため、この課題を教育の課題としてのみとらえて対応することに限界があるのも事実である。しかしながら、そうした点も考慮した上で、義務教育段階の児童生徒に対して教育が果たすことができる、あるいは果たすべき役割が大きいこと、また現在の取組には改善の余地があることに着目し、特に教育関係者が取り組む事柄について示すのが、本協力者会議の意図である。これは、不登校児童生徒に向き合って懸命に努力し、成果を上げてきた学校関係者等の実践例等を参考に、学校や教育関係者等が一層充実した学校における指導や家庭への働きかけ等を行うことにより、不登校に関する取組の改善を図り、まずは公教育としての責務を果たそうと考えるものである。
また、言うまでもなく、不登校は、その要因・背景が多様であることから、学校のみでは解決することが困難な場合も多い課題である。その観点から、本協力者会議においては、学校の取組の強化のみならず、そのために必要な学校への支援体制や関係機関との連携協力等のネットワークによる支援、家庭の協力を得るための方策等についても検討を行った。 |
|
| 4 |
本協力者会議の審議経過と報告のねらい
| |
本協力者会議は、文部科学省初等中等教育局長の諮問機関として、平成14年9月に発足し、不登校児童生徒の学校復帰及び自立を支援する観点から、 不登校問題の実態の分析、 学校における取組の在り方、 学校と関係機関との連携の在り方、 その他不登校問題に関連する事項について調査研究を行うという役割を与えられた。
本協力者会議は、できるだけ実証的・客観的に現状と課題を検証すること、様々な立場から実践に携わっている関係者からヒアリングを行うなど幅広く意見を聴くことに特に意を用いて検討を進めてきた。また、本協力者会議の発足に先立って公表された不登校経験者に対する追跡調査(以下、「不登校経験者の実態調査」という。)の知見を積極的に生かすなど、不登校の当事者の意識や要望等に配慮するとともに、国民の幅広い理解と協力が得られるよう、会議の公開やパブリックコメントを実施するなど、開かれた会議運営に努めてきた。
本協力者会議の報告は、学校や教育関係者等における取組の充実に資するための指針となる提言である。国、各教育委員会や学校等において関係者が本報告を活用し、今後の不登校に関する取組の充実を図ることに期待したい。
なお、本報告の提言に基づく個々の学校現場における具体的な指導方法や事例の紹介、家庭との連携協力の在り方等については、今後、別の検討の場へ委ねることとした。
|
|
| 1 |
不登校の定義や現状
| (1) |
不登校の定義や不登校児童生徒数の推移等 文部科学省の「学校基本調査」及び「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」(以下、「問題行動等調査」という。)においては、「不登校児童生徒」を何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるため年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたものとして調査しており、本協力者会議においても同様に不登校を定義して検討を行った
文部科学省の調査によると、国・公・私立の小・中学校で、平成13年度に「不登校」を理由として30日以上欠席した児童生徒数は、小学生2万6,511人、中学生11万2,211人の合計13万8,722人であり、調査開始以来最多となっている。これを全体の児童生徒数との割合で見ると、小学校では275人に1人(0.36%)、中学校では36人に1人(2.81%)となっており、小・中学校の合計では全児童生徒数の約1.2%を占めている。
学校数について見てみると、全公立小・中学校中、不登校児童生徒が在籍する学校の割合は、平成3年度は約39.3%であったのが平成13年度は約57.6%となっており、半数以上の学校に不登校児童生徒が在籍しているという状況となっている。同時に、1校当たりの平均の不登校児童生徒数も平成3年度には約4.8人であったのが平成13年度には約7.0人に増加している。
また、学年別に見ると、学年が上がるにつれて不登校児童生徒数は増加しており、特に小学校6年生から中学校1年生、中学校1年生から2年生の間で大きく増加している。
(参考資料)
(1)不登校児童生徒数の推移
(2)不登校児童生徒の在籍学校数等
(3)学年別不登校児童生徒数 |
| (2) |
不登校となった直接のきっかけ
不登校となった直接のきっかけについては、「学校生活に起因するもの」が36.2%、「家庭生活に起因するもの」が19.1%、「本人の問題に起因するもの」が35.0%となっている。それぞれに含まれる事項毎に見ると、「(特に直接のきっかけとなるような事柄がみあたらない)本人に関わる問題」(28.6%)、「友人関係をめぐる問題」(19.7%)、「親子関係をめぐる問題」(9.7%)等が多い。またこれらの推移を見ると、「友人関係をめぐる問題」の比率が伸びている。
これを小・中学校別に見ると、小学校においては「本人の問題に起因するもの」のほか、「家庭生活に起因するもの」の割合が高い。中学校においては「学校生活に起因するもの」の割合が最も高く、「本人の問題に起因するもの」が続く。また、個別の事項では、小学校と比して中学校では「学校生活に起因するもの」のうち「学業の不振」の割合や「友人関係をめぐる問題」の割合が高くなっている。
また、調査方法等が異なるため単純な比較は困難であるが、不登校経験者に直接聞いた「不登校経験者の実態調査」においては、「友人関係をめぐる問題」が最も多く、44.5%を占めており、続いて「学業の不振」が27.6%、「教師との関係をめぐる問題」が20.8%であるなど学校生活に関わるものが顕著となっている。さらに、同じ調査の中で行われたインタビュー結果では、いじめや体罰等の存在を指摘する声があった。
(参考資料)
(4)不登校となった直接のきっかけ別の推移
(5)本人に尋ねた不登校のきっかけ |
| (3) |
不登校状態が継続している理由(不登校の態様・タイプ) 文部科学省においては、不登校の要因や背景についても可能な限り把握し、適切な対応を図るために、不登校状態が継続している理由(不登校の態様・タイプ)についても調査をしており、平成13年度においては、「不安など情緒的混乱」が26.1%、「複合(複合的な理由によりいずれの理由が主であるか決めがたい)」が25.6%、「無気力」が20.5%となっている。推移を見ると近年「複合」の割合が伸びており、不登校の要因・背景の複合化や多様化がうかがわれる。また、小・中学校別に見ると、小学校においては、「あそび・非行」型の占める割合が0.7%であり最も少ないのに対して、中学校においては13.6%を占めている。
(参考資料)
(6)不登校状態が継続している理由別推移 |
| (4) |
不登校児童生徒への指導の結果
不登校の増加に対して、学校関係者は手をこまねいていたわけではもちろんない。様々な取組によって、平成13年度では、不登校児童生徒のうち25.6%の者が登校する(できる)ようになっており、21.4%の者が「登校には至らないものの好ましい変化がみられるようになった」との報告がなされている。また、「『指導の結果登校するようになった児童生徒』に特に効果のあった学校の措置」としては、小・中学校とも「家庭訪問を行い、学業や生活面での相談にのるなど様々な指導・援助を行った」、「登校を促すため、電話をかけたり迎えに行くなどした」が多く挙げられている。
(参考資料)
| (7) |
不登校児童生徒への指導結果の状況
|
| (8) |
「指導の結果登校するようになった児童生徒」に特に効果のあった学校の措置
|
|
| (5) |
進路の状況等 不登校生徒の進路の状況については、中学校卒業後5年間にわたって追跡調査した「不登校経験者の実態調査」から、様々な知見が得られる。その結果によれば、不登校経験者は、総じて進学率が低く(高等学校等65%、大学等13%)、就職率や高等学校中退経験の割合が高いといった傾向が示されている。また、中学校卒業から5年後の時点(約20歳)では、「就学・就労ともにしていない者」が23%であり、同年齢全体のいわゆる「無業者」の割合に比して高い数値となっている。意識調査の結果と併せて考察すると、就職・就労の経験を通じて、夢や希望を見出して生活している者が少なくない一方で、それらを経験する機会を逸したまま、進路を模索する状態が続いている者が見られる。
(参考資料) (9)不登校生徒の卒業後の進路
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|
| 2 |
不登校の要因・背景の多様化・複雑化
| (1) |
不登校の背景と一般的な社会の傾向等
| ア |
不登校の実態について考える際の背景としては、近年の子どもたちの社会性等をめぐる課題、例えば、自尊感情に乏しい、人生目標や将来の職業に対する夢や希望等を持たず無気力な者が増えている、学習意欲が低下している、耐性がなく未成熟であるといった傾向が指摘されている。
また、学校に行かなければならないといった義務感や学校へ行かないことに対する心理的負担感が薄れてきている傾向も指摘されている。「不登校経験者の実態調査」では、「学校へ行きたかったが、行けなかった」という葛藤を抱える事例は依然として少なくなく、不登校当事者自身も悩み苦しんでいることが分かるが、一方で、「学校へ行かないことに何ら心理的負担はなかった」、「自分自身は不登校を悪いこととは思わないが、他人の見方が気になった」といった者が相当の割合を占めている。なお、こうした回答の中に、家庭や地域などの「他人の見方」によって不登校児童生徒が心理的に強い圧迫を感じるような事例や様々な事情でやむを得ず欠席に至っている事例が含まれているということを忘れてはならない。
「平成4年報告」が指摘するように、不登校は、特定の子どもに特有の問題があることによって起こるという固定的な概念でとらえるのではなく、「どの子どもにも起こりうる」ものとなっているという現代の社会状況等も視野に入れ、近年の子どもたちの状況を正しく把握した上で総合的かつ効果的に対策を講じることが必要である。
(参考資料)
| (10) |
同世代の人達について問題だと思う点
|
| (11) |
低年齢少年の価値観 「自分に自信がある」か、 「自分がだめな人間だと思うことがよくある」か
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| (12) |
学校を休んでいたときの気持ち
|
|
| イ |
保護者の側については、近年の都市化、核家族化、少子化、地域における人間関係の希薄化などを背景に、一部では、無責任な放任や過保護・過干渉、育児への不安、しつけへの自信喪失など、家庭の教育力の低下が指摘されている。これらは、アで述べた子どもたちの社会性等をめぐる問題の背景ともなっている。また、保護者自身にゆとりがない等の傾向や、学校に通わせることが絶対ではないとの保護者の意識の変化等についても指摘されているところである。
(参考資料)
(13)家庭の教育力が低下していると思う理由
|
| ウ |
学校については、1で触れたように学業不振や友人関係等に関する学校生活上の問題、例えば、学校におけるいじめや暴力等の問題、更には個を大切にし、学ぶ意欲を喚起する等の配慮が十分に行き届かないような教育活動や教職員の児童生徒に対する共感的理解の不十分な例なども指摘されており、学校の取組として改善すべき余地があると考えられる。特に、いじめについてはいじめを苦にした自殺が相次いで発生するといった深刻な様相を呈した後、改善の兆しが最近見られるようになったものの依然として発生件数は相当数に上っている(平成13年度25,037件)。また、暴力に関しては、近年増加傾向が続き、平成13年度は初めて減少したものの、取組の一層の充実が求められている(平成13年度33,130件)。
また、このように学校をめぐる様々な課題が存し、不登校児童生徒が増加してきている一方で、多くの児童生徒は、学校生活を楽しいと感じている(小学生約92.4%、中学生約89.2%)。学校関係者には、こうした児童生徒の声の背後にある期待や切実な願いに応えていくことが求められる。
なお、一部では受験競争等のストレスが不登校の増加の背景にあるとの指摘もなされている。両者の関連性は明らかではないが、こうしたストレスの問題については、学校・行政それぞれの立場から、教育相談体制や進路指導の充実、入学者選抜の改善等の取組を進めることによって適切に対応していくことが望まれる。
(参考資料)
(14)いじめ、暴力行為の発生件数の推移
(15)学校生活への満足感
|
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| (2) |
不登校との関連で新たに指摘されている課題
児童生徒をめぐる課題の中には、最近の社会的な関心の高まりに伴って、不登校との関連性が注目されるようになってきているものが見られる。
学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)等の児童生徒については、周囲との人間関係がうまく構築されない、学習のつまずきが克服できないといった状況が進み、不登校に至る事例は少なくないとの指摘もある。最近文部科学省が教員を対象に行ったアンケート調査の結果によれば、LD、ADHD等の児童生徒は、小・中学校の通常の学級の在籍者の約6%に達するとの見方もあるところである。
また、保護者による子どもの虐待については、近年深刻の度を増してきており、平成13年度の児童相談所における相談処理件数は23,274件に達している。虐待を受けた子どもの約半数は小・中学生が占めており、虐待の内容は、身体的虐待、性的虐待、保護の怠慢・拒否(ネグレクト)、心理的虐待と様々である。このうち、ネグレクトには、保護者が学校へ行かせないなど登校を困難にするような事例が含まれており、不登校の背景にそうした疑いがあるものも見られる。また、いずれの種類の虐待であっても、子どもの心身の成長に重大な影響を及ぼすものであり、人間関係をつくれなかったり、非行に走る要因になることなどが懸念される。
もちろん、LD、ADHD等の発達障害のある児童生徒や虐待を受けた子どもが直ちに不登校になるということでは決してないが、これらの課題に適切な対応をとることは、不登校対策上、重要な意味を持つものと考える。
|
| (3) |
不登校の要因・背景の特定の難しさ
このように、個々の児童生徒が不登校となる背後にある要因や直接的なきっかけは様々であり、また、不登校の状態が継続している間にもその要因や背景が時間の経過と共に変化する、本人にもはっきりとした理由がわからない場合が少なくない等、不登校の要因や背景は一つに特定できないことも多い。こうした点は、個々の不登校の事例についてはもちろん、社会全体の不登校児童生徒数の増加を論じる上でも留意する必要がある。
|
| (4) |
多様な要因・背景と適切な対応策
不登校への対策を考える上では、その背後にある要因・背景と、最初に不登校を引き起こすことになった直接のきっかけ等を整理してとらえ、その対応にあたっては、不登校児童生徒やその保護者等の状況や支援のニーズへ配慮した上で、効果的な対策を講じることが求められる。
その際、多様な不登校の要因や背景に応じた対策を講じることが必要である。すなわち、不登校は、「学校に行きたいけれども行けない」等の心の問題としてとらえられることが多いが、不登校としてとらえられている中には、あそび・非行による怠学、LD、ADHD等による不適応、病気、虐待等を要因としたものも含まれ、不登校対策はそれらの多様な実態を視野に入れたものでなければならない。例えば、あそび・非行型の不登校といじめにより心に悩みを抱える不登校とでは対応策は大きく異なる。多様な要因や背景のある不登校を一括りに扱い、論じることは問題であり、個々の要因に応じた適切な対応策が求められる。
|
|
| 3 |
不登校の実態把握の在り方
| (1) |
適切な実態把握の必要性と調査の在り方
| |
多様な不登校の実態への対応策を検討するためには、まず適切な実態把握を行う必要がある。
不登校の実態把握に当たっての問題点としては、例えば心因性の病気、虐待等の家庭の問題、保護者の考え方や事情による意図的な長期欠席等、調査上における取扱いが必ずしも十分に明確にされておらず、結果として不登校の概念規定やそれに基づく実態把握が曖昧となっている点や、LD、ADHD等の判断や診断を受けた場合の調査上の取扱いが明確でない点、また、対策が異なるあそび・非行による欠席等を不登校として整理することについての疑問等が指摘されている。また、不登校が継続する理由については、「問題行動等調査」の中で、単一の選択肢の回答を求めている関係上、近年の調査結果においては、「複合」(特定できない等)が占める割合が高く、不登校の要因や背景の実態が見えにくくなっている等の指摘がなされているところである。
今後、国や各教育委員会における実態調査の在り方について、「不登校」の概念規定も含め、必要に応じて見直しのための検討を行っていくべきであると考える。
|
|
| (2) |
実態把握と対応の在り方との関係
不登校の要因や背景を把握することは、適切な対策を考える上で必要である。一方で、不登校の継続する理由や態様(タイプ)は、時期によって変わることもあり、また、対応は個人個人でそれぞれ異なることから、不登校の要因や背景につき把握することはあくまでも一つの目安であるととらえ、固定観念に基づく対応や安易なタイプ分類による硬直的な対応とならないよう注意する必要がある。 |
|
| 4 |
高等学校における長期欠席の課題への認識
従来は、不登校については、主に義務教育段階の課題としてとらえられ、高等学校における生徒の長期欠席については、行政として必ずしも十分に実態把握がなされてこなかった。しかし、高等学校進学率が約97%に達する現状においては、高等学校における長期欠席の実態があることを認識することは、高等学校における生徒の不適応への対応を図る観点からも、また、中学校時に不登校であった生徒のその後の支援を考える観点からも重要である。高等学校における不適応への対策を検討するために、まずは、高等学校における長期欠席の実態を把握することが今後必要であると考えられる。
|
| 5 |
「ひきこもり」問題との関連
近年社会的な関心が高まってきている、いわゆる「ひきこもり」については、様々なとらえ方がされており、公的な定義はないが、ある調査(社団法人青少年健康センター調査、平成12年11月実施)では、「6ヶ月以上自宅でひきこもって社会参加しない状態(学校や仕事に行かないまたは就いていない)が持続しており、統合失調症等ではないと考えられるもの」とされている。この調査結果によれば、年齢層は、一部に学齢児童生徒を含むが、多くはそれ以上の者であり、20歳代や30歳代の者も相当の割合を占めている。この「ひきこもり」は、児童生徒の社会的な自立を目指すという、本協力者会議の基本的な考え方に照らして、見過ごしにできない問題である。
不登校と「ひきこもり」の関連性については、前述の調査によると、「ひきこもり」の1年間の相談件数のうち約40%が小・中・高等学校での不登校の経験を持つといった結果が示されている。これは現在「ひきこもり」状態にある者の経験について分析したデータであり、不登校から必ず「ひきこもり」状態になると誤解してはならない。しかし、一方で、不登校の深刻化からその後長期にわたる「ひきこもり」につながるケースもあり、「ひきこもり」を防止する観点からも、不登校への早期の適切な対応は重要であり、また、社会全体で不登校に関する課題に取り組む意義は大きい。
なお、「ひきこもり」については、家族の不安・焦燥感が本人への圧力や叱咤激励につながり、更にそれが本人の焦りを招き「ひきこもり」状態を継続させるといった悪循環が生じることがあり、これを脱するためには、本人や家族の努力のみに任せるのではなく、専門家等の第三者の関わりが欠かせないという指摘がある。この点は「ひきこもり」状態を示す不登校児童生徒やその保護者への対応を考える上でも示唆となろう。
|
| 1 |
将来の社会的自立に向けた支援の視点
| ア |
不登校の解決の目標は、児童生徒が将来的に精神的にも経済的にも自立し、豊かな人生を送れるよう、その社会的自立に向けて支援することである。その意味においても、学校に登校するという結果のみを最終目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的にとらえ、社会的に自立することを目指すことが必要である。
|
| イ |
不登校の時期は児童生徒にとって、場合により、いじめによるストレスから回復するための休養期間としての意味や、進路選択を考える上で自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つこともある。しかし、同時に、現実の問題として、不登校による進路選択上の不利益や社会的自立へのリスクがある場合もある。
こうした点は、不登校経験者の声からも確かめることができる(「不登校経験者の実態調査」)。既に中学校卒業後の進路の状況については触れたが、自らの不登校経験に対する意識を見ると、成長した点等を積極的に評価する回答がある一方で、「生活リズムの崩れ」、「学力・知識不足」、「人間関係に不安」等を理由に、後悔したり、様々な苦労を経験したという回答も相当数ある。なお、卒業後に進学や就労など様々な体験を経ることによって、多くの者が進路の形成を図りつつ将来への夢や希望を持ってきているということにも留意しておきたい。
関係者はこうした点を認識した上で、児童生徒の将来の自立に向けた支援をする必要がある。その意味から、不登校を「心の問題」としてのみならず「進路の問題」としてとらえ、どのように対応するかが大切な課題である。
(参考資料)
(16)不登校経験に対する評価
(17)不登校経験に伴う苦労の内容
|
| ウ |
こうした観点から、義務教育段階にある不登校児童生徒、更には中学校卒業後に「ひきこもり」状態にあるなど、進学も就労もしていない青少年に対し、「心の問題」の解決を目指した支援のみならず、本人の進路形成に資するような指導・相談や、それに必要となる学習支援や情報提供等を積極的に行うことが重要であると考える。 |
|
| 2 |
連携ネットワークによる支援
| ア |
不登校への対応に当たっては、多様な問題を抱えた児童生徒に、態様に応じてきめ細かく適切な支援を行うこと及び社会的自立へ向けて、進路の選択肢を広げる支援をすることが大切である。そのためには、学校、家庭、地域が連携協力し、不登校の児童生徒がどのような状態にあり、どのような支援を必要としているのか正しく見極め(「アセスメント」)を行い、適切な機関による支援と多様な学習の機会を児童生徒に提供することが重要である。
連携ネットワークによる支援に関しては、不登校の解決を中心的な課題とする新たなネットワークを組織することもあろうが、学校や関係機関等からなる既存の生徒指導・健全育成等の会議等の組織を生かすなどし、効果的かつ効率的に連携が図られるよう配慮することが重要である。
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| イ |
その際に、学校や教育行政機関が、公的機関のみならず、多様な学習の機会や体験の場を提供する民間施設やNPO等と積極的に連携し、相互に協力・補完し合うことの意義は大きい。
また、義務教育段階の児童生徒の進路形成を支援する観点から、児童生徒と関わりを持ち続けるよう、例えば、学校の教員等が民間施設と連絡を取り合い、互いに訪問する等の具体的行動をとる等の公的機関と民間施設等との連携協力は重要である。
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| ウ |
また、連携ネットワークにおいては、不登校への事後的な対応のみならず、幼稚園・保育所・小学校間、小・中学校間、中・高等学校間等の連携を重視して、個々の児童生徒が抱える課題に関する情報交換や対策の協議を日常的に行うなどして、不登校を生むことのない、一人一人の児童生徒が自己の存在感や自己実現の喜びを実感できる学校教育の実現に向けて日頃より連携を図ることが望まれる。 |
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| 3 |
将来の社会的自立のための学校教育の意義・役割
| ア |
不登校対応の最終的な目標である児童生徒の将来の社会的自立を目指す上で、対人関係にかかわる能力や集団における社会性の育成などの「社会への橋渡し」、あるいは学びへの意欲や学ぶ習慣を含んだ生涯学習の基盤となる学力を育てることを意図する「学習支援」の視点が重要である。
そのような「社会への橋渡し」や「学習支援」の観点から、特に義務教育段階の学校は、基礎学力や基本的な生活習慣、規範意識、集団における社会性等、社会の構成員として必要な資質や能力等をそれぞれの発達段階に応じて育成する機能と責務を有しており、その役割は大きい。
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| イ |
したがって、学校・教育関係者は、すべての児童生徒が学校に自己を発揮できる場があると感じ、楽しく通うことができるよう、一層の学校教育の充実のための取組を展開していくことがまずもって重要である。同時に、児童生徒の不登校のきっかけとなった問題等には学校に起因するものも多くあることを、危機感を持って認識し、その解消に向けて最大限の努力をすることが必要である。
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| 4 |
働きかけることや関わりを持つことの重要性
| ア |
個々の不登校児童生徒に対しては、主体的に社会的自立や学校復帰に向けて歩み出せるよう、周囲の者が状況をよく見極めて、そのための環境づくりの支援をするなどの働きかけをする必要がある。児童生徒の自分の力で立ち直る力を信じることが重要であることは当然であるが、自分の力で立ち直るのを何も関わりを持つことなく、また児童生徒の状況を理解しようとすることもなく、あるいは必要としている支援を行おうとすることもなく、ただ待つだけでは、状況の改善にならないという認識が必要である。
不登校の背景や態様は様々であり、働きかけの方法自体は個々の児童生徒によってそれぞれ異なる。例えば、無気力傾向が見られる場合には、児童生徒が達成感や満足感を繰り返し味わううちにエネルギーが蓄積され、元気になるといったきっかけづくりを支援すること、また、非行による怠学傾向がある場合には、規則的な生活のリズムを身に付けさせたり、学ぶ意欲を出させるきっかけづくりを行うことや、状況に応じては毅然とした教育的指導を行うこと、あるいは、保護者による虐待等の問題がある場合には、地域の民生委員や児童相談所等との連携を図り、家庭に対して必要な関与をすることなど、本人の状態やその環境を踏まえた上での適切な働きかけを行うことが重要である。
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| イ |
なお、一部では、「平成4年報告」における「登校拒否(不登校)はどの子どもにも起こりうるもの」、「登校への促しは状況を悪化してしまうこともある」という趣旨に関して誤った理解をし、働きかけを一切しない場合や、必要な関わりを持つことまでも控えて時機を失してしまう場合があるということも指摘されており、そのような対応については、見直すことが必要である。
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| ウ |
言うまでもなく、登校への働きかけの在り方を短絡的にとらえ、画一的に「する」とか「しない」といったように対応するべきではない。児童生徒を全人的に受け止めることなく、また状況への配慮や理解し共感しようとする姿勢なしに、強引な登校への促しを行うことが不適切であることは当然であり、そのような機械的な働きかけにより児童生徒やその保護者等追い詰めるようなことがあってはならない。
登校への働きかけの適否を考える上で大切なのは、不登校児童生徒の状態や不登校となった要因・背景等を把握した上で、適時・適切に、かつ個々の状況に応じて対応するといった視点である。
また、このように児童生徒と関わりを持とうとしたり、働きかけをする際には、ことさらに、登校への促しということだけを強調するのではなく、人間関係等の悩みを克服し、社会とのつながり等を通じて児童生徒が主体的に立ち上がっていくための支援をするという視点を忘れてはならない。
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| エ |
登校への働きかけの在り方を考えるに当たっては、不登校の当事者の声に耳を傾けることも大切である。既に指摘したとおり、不登校経験者に対する調査結果において、不登校経験に対する様々な自己評価がなされる中、後悔したり、現在の状況に及ぼすマイナスの影響を感じたりする者がいることを踏まえると、個々の不登校の状況に即した対応が大切であることが改めて確認される。また、しばしば不登校児童生徒が、「そっとしておいて欲しい」という気持ちと、「放っておかれると淋しい」という相反する複雑な感情を抱いているということにも留意しておくべきであろう。 |
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| 5 |
保護者の役割と家庭への支援
| ア |
家庭はすべての教育の出発点であり、人格形成の基礎を培う重要な役割を担っており、家庭の教育力の充実を目指して様々な施策の推進を図ることは極めて重要である。しかし、不登校の解決を目指す上では、不登校の原因を特定の保護者の特有の問題のみに見出そうとするのでなく、子育てを支える仕組みや環境が崩れている社会全体の状況にも目を向けつつ、不登校児童生徒の保護者の個々の状況に応じた働きかけをしていくことが大切であると考える。
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| イ |
不登校の要因・背景は多様化しており、虐待等の深刻な家庭の問題を抱えて福祉や医療行政等と連携した保護者への支援が必要な場合もあれば、子どもの非行への対応、基本的な生活習慣や教育環境の改善のための支援を必要としている場合や、保護者自身がしつけや子育てに対する自信がなく支援を必要としている場合等もある。また、不登校となった子どもへ対応するための十分な情報を保護者が持たず悩んでいる場合もある。
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| ウ |
このような保護者を支援し、不登校となった子どもへの対応に関してその保護者が役割を適切に果たせるよう、時機を失することなく児童生徒本人のみならず家庭への適切な働きかけや支援を行う観点から、学校と家庭、関係機関の連携を図ることが不可欠である。
その際に、保護者への働きかけが、保護者の焦りや保護者自身を追い詰めることにつながり、かえって事態を深刻化させる場合もあることから、保護者に対しては、児童生徒への支援等に関して、共通する課題意識を持って取り組むという基本的な関係をつくることが重要である。その意味から、不登校に関する相談窓口に関する情報提供、不登校児童生徒への訪問等における保護者への助言、不登校児童生徒の保護者が気軽に相談できる体制を整えること等が教育関係者等に求められる。また、その際に、「親の会」等の既存の保護者同士のネットワークとの連携協力を図ることや、そのような保護者同士のネットワークづくりへの支援をすることにより保護者を支援すること等も考えられる。なお、保護者との関係においては、「支援する」といったことだけではなく、「親の会」に学校の教員やスクールカウンセラー等が積極的に参加し、保護者の経験から学ぶなど、関係者が相互に意見交換をするという姿勢も大切である。
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| エ |
また、不登校となった児童生徒の保護者のみならず、保護者全般に対する不登校への理解を深めるためのセミナー等による啓発を行うことや、就学時検診や乳幼児検診等の保護者が集まる機会を活用した子育て講座、思春期の子どもを持つ保護者向けに作成された資料等の活用など、子育てについての悩みや不安を持つ保護者に対する支援の充実を図ることが期待される。 |
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| 1 |
不登校や長期欠席の早期の把握と対応 各市町村教育委員会においては、不登校や長期欠席は、義務教育制度に関わる重大な課題であることを認識し、学校等の不登校への対応に関する意識を高めるとともに、学校が家庭や関係機関等と効果的に連携を図り、課題の早期の解決を図るための体制の確立を促すことが重要である。
例えば、児童生徒が連続して欠席している等、不登校傾向が見られた場合には、各学校が速やかに市町村教育委員会へ報告をし、それを受けて市町村教育委員会が学校の指導計画づくりを促すとともに、フォローアップを行う等、早期の把握と対応に関する学校や教育行政関係者等の意識を高めている例もあり、そうした取組を広げていくことが望まれる。
また、不登校の背景に児童虐待があると疑われる事例に際しては、その実情に応じ、教育委員会として出席督促を行うとともに児童相談所への通告について学校を指導するなど、適切な対応をとることが求められる。
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| 2 |
学校等の取組を支援するための教育条件等の整備 各教育委員会においてはまず、不登校に対する正しい認識の下に、適切な取組が各学校において行われるよう方針を立て、指導・啓発を行うことが求められる。
| (1) |
教員の資質向上 教育委員会においては、従来より、教員の採用・研修を通じて、その資質向上に取り組んでいるところであるが、こうした取組が各教員の不登校への適切な対応に資することが期待される。
教員採用については、熱意があり人間性豊かな人材が確保されるよう、採用選考方法の工夫改善に引き続き努めていく必要がある。
また、初任者研修をはじめとする教職経験に応じた研修、生徒指導・教育相談といった専門的な研修、管理職や生徒指導主事を対象とする研修などの体系化とプログラムの充実を図り、教員に対して、例えば不登校に関する知識や理解、児童生徒に対する理解、関連する分野の基礎的な知識などを身に付けさせていくことが必要である。加えて、視野を広げたり、知識・能力の専門性を高めたりするためには、様々な機関や施設等へ教員を派遣する長期研修の推進も重要である。例えば、関係機関との連携を推進する観点からは、児童相談所などへの長期派遣研修を積極的に進めることも意義あることと考える。また、教員の現職教育の機会を提供している大学・大学院との連携を図り、指導的な教員を対象にカウンセリングなどの専門的な能力の育成を図っていくことも望まれる。その他、例えば放送大学を利用した学習など、教員の自己啓発を促すことも大切である。
なお、教員のみならず、スクールカウンセラー等を対象とした研修等の充実も望まれる。 |
| (2) |
きめ細かな指導のための適切な人的措置 不登校を未然に防ぐ観点から、魅力ある学校づくり、「心の居場所」としての学校づくりを進めるためには、少人数授業やティームティーチング、習熟度別指導などのきめ細かな指導が可能となるよう、適切な教員配置を行うことが必要である。また、小・中学校さらには高等学校の間の連携を推進するため、異校種間の人事交流や兼務などを進めていくことも期待される。
また、不登校児童生徒が多く在籍する学校については、教員の加配等、効果的かつ計画的な人的配置に努める必要がある。そのためにも、日頃より各学校の実情を把握し、また加配等の措置をした後も、校内指導体制の確立、家庭や関係機関との連携の強化等に向け、この措置が効果的に活用されているか等のフォローアップを十分に行うことが大切である。
さらに、教員による体罰や暴言等、不適切な言動や指導が不登校の原因となっている場合は、人的措置を含め、厳正な対応をとることが必要である。
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| (3) |
保健室や相談室等の整備 不登校児童生徒への対応に当たり、養護教諭の果たす役割や「保健室登校」・「相談室登校」の意義に鑑み、養護教諭の複数配置や研修機会の充実、保健室等の環境整備、情報通信機器の整備等が望まれる。 |
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| 3 |
学校における指導等への支援
| (1) |
モデル的な個別指導記録の作成 各市町村教育委員会においては、各学校で不登校児童生徒に対する個に応じたきめ細かい指導を行うために活用できるよう個別指導記録のモデル案等を作成することが求められる。また、当該個別指導記録が効果的に活用されるよう適切な指導が望まれる。
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| (2) |
転校のための柔軟な措置 いじめや教員による不適切な言動や指導等が不登校の原因となっている場合等には、市町村教育委員会においては、保護者等の意向を踏まえつつ、学校と連携した適切な教育的配慮の下に、就学すべき学校の指定の変更や区域外就学を認める措置を講じることが望まれる。また、他の児童生徒を不登校に至らせるような深刻ないじめや暴力行為があった場合は、必要に応じて出席停止措置を的確に講ずる必要がある。 |
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| 4 |
適切な対応の見極め(「アセスメント」)及びそのための支援体制づくり 不登校の要因・背景が多様化しているため、対策を検討する上で、初期に適切な対応の見極め(「アセスメント」)を行うことは極めて重要である。そのためには、児童生徒の状況によっては、個別の教員や校内の関係者のみが対応するのではなく、専門知識を持つ外部の者等の協力を得ることが必要であり、そのような初期段階のアセスメント機能に関し、各学校等をサポートする地域の体制を構築することにつき、各教育委員会は今後具体的に検討していく必要がある。その際に、適応指導教室の機能を充実してそうした役割を担わせたり、あるいは学校と関係機関等のコーディネートを行わせることも考えられる。
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| 5 |
学校外の公的機関等の整備充実
| (1) |
適応指導教室の整備充実やそのための指針づくり 各都道府県教育委員会においては、適応指導教室の更なる整備充実のために、域内の市町村教育委員会と緊密な連携を図りつつ、未整備地域を解消して不登校児童生徒や保護者が利用しやすい環境づくりを進めたり、別添1の「適応指導教室整備指針(試案)」を参考に、地域の実情に応じた指針を作成し、必要な施策を講じていくことが求められる。もとより、市町村教育委員会は、主体的に適応指導教室の整備充実を進めていくことが必要である。
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| (2) |
教育センターや教育研究所等における教育相談機能の充実 教育委員会は、所管する教育センターや教育研究所等における教育相談機能を活用し、保護者や不登校児童生徒をはじめ、学校、適応指導教室等が身近に助言・援助を得られる体制の整備を図り、域内の不登校に関する連携ネットワークの機能の充実を図ることが望ましい。その際、ITの有効な活用方法について研究を進め、教育相談の実践に生かしていくことが期待される。 |
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| 6 |
訪問型支援など保護者への支援の充実 各都道府県・市町村教育委員会においては、保護者全般に対する不登校への理解を深めるための啓発を行うことや、不登校のみならず子育てについての保護者に対する支援を充実することが求められる。
また、不登校の対応にあたっては、ひきこもりがちな不登校児童生徒やその保護者等に対し、必要な配慮の下、訪問型の支援を積極的に推進することが期待される。その際には、家庭の協力を得ることが不可欠であり、また、保護者自身が悩みを抱えている場合等もあることから、情報提供や保護者のネットワークとの連携等による支援の充実が必要である。
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| 7 |
官民の連携ネットワークの整備の推進
| (1) |
他部局との連携協力のためのコーディネート 各教育委員会においては、学校と関係機関との連携協力を推進するため、積極的に他の保健・福祉・医療・労働分野の部局等とのコーディネーターとしての役割を果たす必要がある。
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| (2) |
関係機関のネットワークづくりと不登校対策の中核的機能の整備充実 各教育委員会においては、不登校へ対応するための学校、適応指導教室、児童相談所、警察、病院、ハローワーク等の関係機関や民間施設、NPO等のネットワークづくりや、その中核的な機能の整備充実に努める必要がある。
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| (3) |
民間施設等との連携協力のための情報収集・提供等 教育委員会においては、情報公開を適切に行っている健全な民間施設やNPO等との連携協力を推進するため、積極的に情報収集に努めるとともに、学校や保護者等への情報提供を適切に行うことが必要である。また、各民間施設等は、設置者の判断によりそれぞれ自らの責任で自主的に運営されていることを前提に、各公的機関や保護者等へその情報提供を行うことが望ましい。 |
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