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◎ | 本条の趣旨 |
・ | 憲法第14条第1項及び第26条第1項の精神を具体化したもの。 |
・ | 第1項前段は、国民がその能力に応じて教育を受ける機会を均等に与えられなければならないものであり、国はそれを妨げてはならないことを、後段は、単に教育を受ける機会を均等にするのみならず、教育のあらゆる場合において能力以外の事由によって差別的取り扱いをしてはならないことを示したもの。 なお、憲法第14条と比べて、「経済的地位」が列挙に追加されている。 |
・ | 第2項は、憲法第26条第1項の精神を拡充して、能力がありながら経済的理由によって修学困難な者に対して、国及び地方公共団体は奨学の方法を講じる義務を負うことを明らかにしたもの。具体的には、義務教育段階及び盲・聾・養護学校への就学援助・奨励、日本育英会奨学金、授業料免除措置等がある。 |
◯ | 「ひとしく、その能力に応ずる」 人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地のいかんにかかわらず等しく教育の機会を提供することをいうが、すべての児童生徒に同一の教育を与えることを意味するものではなく、個人差に応じる教育を施すものである。 |
第14条第1項 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。 | |
第26条第1項 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。 |
【教育の機会均等をいかに実現するつもりか】 | |
○昭和22年3月14日衆議院・教育基本法案委員会 <辻田政府委員答弁> この第三条は、第一項の前段におきましては、教育の機会均等の本質を述べ、次に人種、信条、性別以下は、これは教育を実施する上におきまして、こういう風な事項によつて差別をされてはならないということをうたつたものであります。入学の際、あるいは入学の後の教育実施にあたつての問題を、すべてここに包含しておるつもりであります。次に第二項におきまして、特に能力があるにもかかわらず、経済的理由によつて修学困難な者に対しましては、奨学の方法を国及び地方公共団体において講じなければならないのであります。これにつきましては現在も行われておりますが、一層義務教育におきましては修学奨励ということの方面に力を尽くしたい。また義務教育以外の教育におきましては、育英事業を拡充いたしまして、その徹底を期するようにいたしたいと存ずるのであります。 |
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【第3条を規定した理由】 | |
○昭和22年3月14日衆議院教育基本法案委員会 <辻田政府委員答弁> 教育の機会均等につきましては、文部省として最も大切に考えておりまして、従ってこの教育の方針の次に第3条に特に提示した次第でございます。 |