教育刷新委員会建議(昭和21年11月29日第13回総会採択 同年12月27日建議)

   教育基本法を制定する必要があると認めたこと。
   
   教育理念は、おおよそ左記のようなものとして、教育基本法の中に、教育の目的、教育の方針としてとりいれること。
  教育の目的
       教育は、人間性の開発をめざし、民主的平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義とを愛し、個人の尊厳をたつとび、勤労と協和とを重んずる、心身共に健康な国民の育成を期するにあること。
  教育の方針
       教育の目的は、あらゆる機会とあらゆる場とを通じて実現されなければならない。この目的を達成するためには、教育の自律性と学問の自由とを尊重し、現実との関連を考慮しつつ、自発的精神を養い、自他の敬愛と協力とによつて、文化の創造と発展とに貢献するように努めなければならないこと。
     
   教育基本法には、この法律の制定の由来、趣旨を明らかにするため、前文を付することとし、その内容はおおむね左のようなものとすること。
     従来の教育が画一的で形式に流れた欠陥を明らかにすること。
     新憲法の改正に伴う民主的文化国家の建設が教育の力にまつことをのべ、新教育の方向を示すこと。
     この法律と憲法及び他の教育法令との関係を明らかにすること。
     教育刷新に対する国民の覚悟をのべること。
     
   教育基本法の各条項として、おおむね左の事項をとりいれ、新憲法の趣旨を敷えんするとともに、これらの事項につき原則を明示すること。
     教育の機会均等
     義務教育
     女子教育
     社会教育
     政治教育
     宗教教育
     学校の性格
     教員の身分
     教育行政
     
   前項に示した教育基本法の各条項の内容については総会、各特別委員会の審議の結果をとり入れること。
     
   文部省において、右の趣旨に則つて、教育基本法案を作成されること。