『令和元年版 人権教育・啓発白書』の概要

【はじめに】
・ 法務省の人権擁護機関が平成30年中に新規に救済手続を開始した人権侵犯事件数は約1万9,000件であり,中でもインターネット上の人権侵害情報に係る事件数が高い水準で推移しているほか,子どもの人権に関し,児童相談所における児童虐待に関する相談対応件数が増加の一途をたどっていることに加え,深刻な結果に至った虐待事案も相次いで発生
・ 平成30年12月に開催されたユニバーサルデザイン2020関係閣僚会議において,「心のバリアフリー」やユニバーサルデザインの街づくりに向けた取組の加速化を確認


【平成30年度に講じた人権教育・啓発に関する施策】
● 人権一般に関わる教育・啓発活動等の施策
・学校教育においては,人権教育の指導方法の改善充実のための「人権教育研究推進事業」,人権教育の在り方等について調査研究を行う「学校における人権教育の在り方等に関する調査研究」等を実施
・社会教育においては,地方公共団体において社会教育の指導者として中核的な役割を担う社会教育主事の養成講習等において,人権問題などの現代的課題を取り上げ,指導者の育成及び資質の向上を促進
・第70回人権週間において,世界人権宣言の採択及び人権擁護委員制度の発足から70周年を記念した行事を開催したほか,第38回全国中学生人権作文コンテスト(7,342校から93万3,992編),人権教室,人権の花運動,Jリーグ等スポーツ組織と連携・協力した啓発活動,企業における人権研修等,各種活動の展開

● 女性の人権に関する取組
・平成29年5月に関係府省庁対策会議において策定された「いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・『JKビジネス』問題等に関する今後の対策」に基づき,教育・啓発の強化,相談体制の充実などの取組を推進
・職場等におけるセクシュアルハラスメントや妊娠・出産等に関するハラスメントを防止するため,専用相談電話「女性の人権ホットライン」を活用して相談に対応するとともに,冊子や動画による啓発活動を実施

● 子どもの人権に関する取組
・全国一斉「子どもの人権110番(フリーダイヤル)」強化週間の実施,「子どもの人権SOSミニレター(全国の小・中学生に配布)」等,相談体制の充実

● 障害のある人の人権に関する取組
・平成30年3月に閣議決定した「障害者基本計画(第4次)」に基づき,障害のある人の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進

● 同和問題(部落差別)に関する取組
・部落差別のない社会の実現に資するため,各種啓発活動を実施するとともに,「部落差別解消推進法リーフレット」により,国民に対し,部落差別解消推進法の施行を周知

● 外国人の人権に関する取組
・平成31年4月からの,新たな外国人材の受入れ制度の開始を踏まえ,平成30年12月に関係閣僚会議において了承された「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」に基づき,外国人との共生社会の実現に必要な施策を推進
・外国人等からの人権相談について,全国の法務局に「外国人のための人権相談所」を設置し,英語・中国語・韓国語・フィリピノ語・ポルトガル語・ベトナム語の6言語により対応
・「ヘイトスピーチ,許さない。」をメインコピーとした啓発活動の実施

● インターネットによる人権侵害に関する取組
・携帯電話会社等の実施するスマホ・ケータイ安全教室と連携した人権教室の実施,インターネットと人権をテーマとしたフォーラムの開催,啓発教材「あなたは大丈夫?考えよう!インターネットと人権」の改定・配布
・「プロバイダ責任制限法名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン」等を活用した削除要請の実施

● 性的指向・性自認を理由とする差別に関する取組
・性的指向・性自認をテーマとした人権啓発動画のYouTube法務省チャンネルでの配信

● 東日本大震災に伴う人権問題に関する取組
・シンポジウム「震災と人権人権に配慮した被災者支援・避難所運営の在り方-私たちにできること-」(高知県)の開催
・被災した子どもの心のケア等への対応のため,学校などにスクールカウンセラー等を派遣


【特集 児童虐待防止のための取組】
・児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議において,平成30年7月に「児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策」を,平成31年2月に「「児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策」の更なる徹底・強化について」を,同年3月に「児童虐待防止対策の抜本的強化について」を決定

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総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課

(総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課)