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ネットワークにつながれた環境全体とのインタラクションの高度化

1.目標名

  ネットワークにつながれた環境全体とのインタラクションの高度化

2.概要

  人工知能技術・ビッグデータ解析技術等が広範に用いられ、サイバー空間と現実社会が高度に融合した取組により、あらゆる人々が自然な形で最適かつ高品質なサービスを受けることが可能な「超スマート社会」の実現が求められている。このために欠かせない技術として、現在まで、「人間と人間」、また「人間と機械」等とのインタラクションに関する研究開発が多様に取り組まれてきたが、この研究分野をさらに発展・高度化させることにより超スマート社会の実現に向けた大きな飛躍が期待される。
  そのため、本戦略目標ではインタラクションの研究分野をより広く“ネットワークにつながれた環境全体との相互作用”として捉え、「人間と人間」・「人間と機械」・「人間と環境全体」の多様な形態でのインタラクションを高度に支援し、その振る舞いを理解し制御することにより、社会構造や人間行動の最適化を促すような革新的なシステムのデザインへとつなげることで、急速に進展している人工知能技術等の恩恵を誰もが最大限享受出来、高度に最適化された社会の実現に資することを目指す。

3..達成目標

  本戦略目標では、社会の様々な場面での活用に向けたインタラクション高度化のための新たな技術の創出や、インタラクションの理解の更なる深化を図ることを目的とする。具体的には、情報科学技術を中心に、認知科学、心理学、脳科学等の学問分野と連携し、以下の達成を目指す。
(1)インタラクションを支援するための、インターフェースや人間能力の拡張に関する技術開発
(2)インタラクションを理解するための、原理・機構の解明とそれに資する情報の収集・分析に関する技術開発
(3)インタラクション技術の活用による、社会構造や人間行動の最適化を促すような環境をデザインする技術開発

4.研究推進の際に見据えるべき将来の社会像

  3.「達成目標」に記載した事項の達成を通じ、以下に挙げるような社会の実現に貢献する。

・発展が進む革新的な人工知能技術・ビッグデータ解析技術・IoT技術等の社会への幅広い実装と産業化を支える基盤技術として、インタラクションの高度化が超スマート社会の実現に寄与し、様々な分野に波及している社会。
・様々なドメインにおける「人間と人間」・「人間と機械」・「人間と環境全体」との相互作用データが活用されることにより、クラウドソーシングを含む様々な人的・経済的・社会的資源の活用が最大限になされ、社会のありかた、人々の仕事の仕方、働き方等にも大規模な転換をもたらす社会。
・インタラクションの高度化によるパーソナルファブリケーションの進展により、従来の大量生産大量消費社会モデルでは不可能な、個人の多様な生活形態等に沿って自然な行動変容を促進しつつ、全体として最適化された社会。

5.具体的な研究例

(1)インタラクションを支援するための、インターフェースや人間能力の拡張に関する技術開発
  場・状況や過去の記憶に応じて人や集団と持続的に深いインタラクションを行う知的エージェントの実現に向けた研究や、人間の身体に適合したウエアラブルデバイス等を使った非言語的コミュニケーションの高度な支援のための研究開発。

(2)インタラクションを理解するための、原理や機構の解明とそれに資する情報の収集・分析に関する技術開発
  生活・医療・介護・流通・ものづくり・インフラ等の具体的ドメインにおける人々の行動に関するデータや様々な社会的な現象の過程に関するデータの収集・解析や、人間と人間のインタラクションのモデル化に関する研究開発。

(3)インタラクション技術の活用により、社会構造や人間行動の最適化を促すような環境をデザインする技術開発
  リアルタイムでインタラクティブなデザインが可能な創造的活動を支援するための研究開発や、グループやコミュニティの形成と高度な協働活動の支援に関する研究開発。

6.国内外の研究動向

(国内動向)
・脳科学研究などに基礎付けられた分析的研究に加えてインタラクションをデザインする観点からは科研費・新学術領域「認知的インタラクションデザイン学(2014年度~2018年度)」など研究コミュニティが活発化している。
・人間や人工物をエージェントとして捉えて、その集団的振る舞いの分析・構成を行うマルチエージェント・システムの研究コミュニティが従来から活発に活動を続けている。
・人間とインタラクションを行うエージェントとして、VR・音声対話技術を用いたバーチャル・エージェントだけでなく、身体を備えたコミュニケーションロボットの研究も活発に活動を続けている。

(国外動向)
・米国ではマルチモーダルインタラクションの研究として、鬱・不安・PTSDなど精神的苦痛の緩和支援システムSimSensei(南カリフォルニア大)、看護師・患者を支援するカウンセリング・行動変容を促すバーチャル・エージェント(ノースイースタン大)等がDARPAやNIHなどの資金によって継続的に支援されている。
・欧州では職を得るために必要な社会的スキル強化を支援するTARDIS(仏UPMCが幹事機関)、ソーシャルシグナルのモデリング・解析・活用の技術基盤を整備・共有するSSPNET(英グラスゴー大が幹事機関)等がフレームワークプログラムにより支援されている。実用的な研究とともに認知科学・発達科学など学術的アウトカムも狙った取り組みが活発である。

7.検討の経緯

「戦略目標等策定指針」(平成27年6月8日科学技術・学術審議会戦略的基礎研究部会決定)に基づき、以下のとおり検討を行った。

(科学研究費助成事業データベース等を用いた科学計量学的手法による国内外の研究動向に関する分析資料の作成)
  科学研究費助成事業データベース等を用いて、研究論文の共引用関係又は直接引用関係の分析等の科学計量学的手法を活用することにより、国内外の研究動向に関する分析資料を作成した。

(分析資料を用いた専門家へのアンケートの実施及び注目すべき研究動向の作成)
  「科学技術振興機構研究開発戦略センターの各分野ユニット」、「日本医療研究開発機構のプログラムディレクター等」及び「科学技術・学術政策研究所科学技術動向研究センターの専門家ネットワークに参画している専門家」に対し、作成した分析資料を用いて今後注目すべき研究動向に関するアンケートを実施した。その後、アンケートの結果の分析等を行い、注目すべき研究動向として「ネットワークにつながれた環境全体とのインタラクションの高度化」を特定した。

(ワークショップの開催及び戦略目標の作成)
  注目すべき研究動向「ネットワークにつながれた環境全体とのインタラクションの高度化」に関係する産学の有識者が一堂に会するワークショップを開催し、特に注目すべき国内外の動向、研究や技術開発の進展が社会的・経済的に与え得るインパクトやその結果実現し得る将来の社会像、研究期間中に達成すべき目標等などについて議論を行い、ワークショップにおける議論等を踏まえ、戦略目標を作成した。

8.閣議決定文書等における関係記載

「日本再興戦略2016 -第4次産業革命に向けて-」(平成28年6月2日閣議決定)
第2 1-1.(2)-1)<2>オ)
複数のロボットが周囲の環境等も認識した上で、自律的に連携していくといった新たなロボット社会の実現に向け、緊急時を含む人の移動・物の輸送、災害対応、インフラ維持管理などをはじめ、幅広い分野における技術開発・実証を進める。

「第5期 科学技術基本計画」(平成28年1月22日閣議決定)
第2章(2)2
(中略)超スマート社会の実現には、様々な「もの」がネットワークを介してつながり、それらが高度にシステム化されるとともに、複数の異なるシステムを連携協調させることが必要である。それにより、多種多様なデータを収集・解析し、連携協調したシステム間で横断的に活用できるようになることで、新しい価値やサービスが次々と生まれてくる。

 「科学技術イノベーション総合戦略2016」(平成28年5月24日閣議決定)
第1章(3)[A]2)
ヒューマンインターフェース技術:仮想現実(VR)や拡張現実(AR)、感性工学、脳科学等に加え、個々のデバイスや技術の進展を考慮し、ロボットに代表される知的機械と人間が共生するために、人間と同等なのか道具なのか、といった社会的受容の相違などの研究も重要となる。

9.その他

○平成21年度戦略目標「人間と調和する情報環境」や平成26年度戦略目標「知的情報処理技術」では人間や集団の高度な把握技術の研究開発の取組がなされてきた。
○また、ERATO「浅田共創知能システム」(平成17年度~平成22年度)やグローバルCOE「認知脳理解に基づく未来工学創成」(平成21年度~平成26年度)において高度なインタラクションの基礎となる人間理解の研究が取り組まれてきた。
○さらに、これらを支える基盤として生体と調和するハードウエアやロボットの研究がERATO「染谷生体調和エレクトロニクス」(平成23年度~平成28年度)やERATO「石黒ヒューマンロボットインタラクション」(平成26年度~平成31年度)において取り組まれている。

  本戦略目標では、これらの取組における成果を活用しつつ、マルチモーダル化や言語・非言語の統合化の取組等、インタラクションの高度化と統合化により、人・集団・環境・社会全体との持続的インタラクションと行動変容を実現する取組が進展することが期待される。

お問合せ先

研究振興局基礎研究振興課

課長:渡辺 正実、基礎研究推進室長:斉藤 卓也、室長補佐:田川博雅、基礎研究・機構係:後藤 裕
電話番号:03-5253-4111(内線4386)、03-6734-4120(直通)

-- 登録:平成29年03月 --