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微小エネルギーの高効率変換・高度利用に資する革新的なエネルギー変換機能の原理解明、新物質・新デバイスの創製等の基盤技術の創出

1.目標名

微小エネルギーの高効率変換・高度利用に資する革新的なエネルギー変換機能の原理解明、新物質・新デバイスの創製等の基盤技術の創出

2.概要

 自然界の中で未利用のエネルギーは数多くあり、これらを電気エネルギーに変換して利用する技術が盛んに研究されている。その中でも、微小なエネルギーからマイクロワットからミリワット程度の出力ができる電気エネルギーへの変換技術の開発が欧米諸国で注目を集め、環境に存在するエネルギーを常に利用可能とすることで、社会の中で数億~数兆と利用されることが想定されるセンサーや、更には系統電源からの電源供給が不可能な環境下で用いることが想定されるモビリティ用デバイスや生体用デバイス等の自立的な電源として活用することを目的とした投資が強化されている。
 一方、自然界の中で未利用の微小エネルギーを電気エネルギーに高効率に変換するための新原理と、それに基づく新たな物質の創製が必要とされている中で、我が国は、新しい原理(一例として、スピンゼーベック効果など)や、新物質創製(一例として、高ZT物質、マルチフェロイック物質など)に関する革新的な研究シーズを有している。
 そのため、本戦略目標では、我が国の強みを活かし、微小エネルギーの高効率変換・高度利用に資する革新的なエネルギー変換機能の原理解明及び新物質・新デバイスの創製等の基盤技術の創出に取り組むことで、大量のエネルギーを必要としないセンサー等の様々な環境への普及を加速し、世界に先駆けたInternet of Things(IoT)、ビッグデータの活用による次世代型の環境保全・ものづくりの実現を目指す。

3.達成目標

 本戦略目標では、基本的な原理の解明や新物質・新構造デバイスの創製だけでなく、基盤的解析・設計技術や理論的アプローチを含めて戦略的に研究を推進することで、現在ある原理や変換材料を凌駕する、微小なエネルギーから電気エネルギーへの変換技術を創出することを目的とする。具体的には、以下の達成を目指す。
(1)微小エネルギーの高効率変換・高度利用技術に資する新原理の解明及び革新的な物質・デバイスの創製
(2)微小エネルギーの高効率変換・高度利用技術創出のための理論及び基盤的解析・設計技術の開発

4.研究推進の際に見据えるべき将来の社会像

 3.「達成目標」に記載した事項の達成を通じ、以下に挙げるような社会の実現に貢献する。

  • 微小エネルギーからの電気エネルギー創出が可能となることにより、系統電源への接続による電源供給には適さないものの大量のエネルギーを必要としないセンサー、モビリティ向けデバイス、生体デバイス等の普及が加速し、IoT、ビッグデータの活用による次世代型の環境保全・ものづくりが実現している社会。

5.具体的な研究例

(1)微小エネルギーの高効率変換・高度利用技術に資する新原理の解明及び革新的な物質・デバイスの創製
 熱、光、電波、振動、生体やフォノン、スピン等のエネルギーを電気エネルギーに高効率に変換または高度に利用するための基盤技術の構築とその源となる基本的な原理の解明を行い、従来の特性や機能を飛躍的に凌駕する、優れた物性を有する新物質・デバイスを創生する。具体的には、スピンとトポロジーの相関等革新的なエネルギー変換に資する原理の解明及びそれらを活用した新物質の創製や、無機化合物や有機化合物または無機・有機ハイブリッド化合物による機能性物質の創製、環境負荷の軽減を考慮した革新的なエネルギー変換に資する新物質の創製等を行う。

(2)微小エネルギーの高効率変換・高度利用技術創出のための理論及び基盤的解析・設計技術の開発
 新原理の解明や革新的な材料創製のために必要な、エネルギー変換時における物理現象(材料物性、界面、輸送現象等)の解析基準や新しい解析技術を創出する。具体的には、新原理・新物質創製に貢献する理論計算・計算機シミュレーション手法の確立や、新原理や新物質に基づいた革新的なデバイスの原理や設計指針の創成を行う。また、2つのエネルギー形態(例えばフォノンとスピン流の輸送)を独立に制御するなど相互作用の制御や、電子とフォノン、マグノンとフォノンの分離による解析等を行う。

6.国内外の研究動向

(国内動向)
 我が国では微小エネルギーの活用に注目した大型プロジェクトは実施されておらず、研究投資は大幅に出遅れている。一方で、我が国は、強誘電体等の物理分野や熱電変換をはじめとした変換材料等の基礎的研究開発に強みを持っていることから、異分野の融合、基礎分野と応用分野の融合により、革新的技術を創出するポテンシャルを有している。

(国外動向)
 欧州では、多数の微小エネルギーの活用に関連する事業が進行中である。2014年、英国ではエマージング・テクノロジー7分野に対し、4年間で5,000万ポンド(約89億円)のファンディングを決定している。7分野にはエナジー・ハーベスティングが含まれており、ワイヤレスセンサーや自立電源等の商品化を目指している。また、米国では、2013年にFairchild Semiconductor、University of California, Berkley校等が、毎年1兆個規模のセンサーを使う社会を目指すプロジェクト「Trillion Sensors Universe」を立ち上げ、産学連携の取組が加速している。

7.検討の経緯

 「戦略的な基礎研究の在り方に関する検討会 報告書」(平成26年6月27日)に基づき、以下の通り検討を行った。

(サイエンスマップ及び科学研究費助成事業データベースを用いた国内外の研究動向に関する分析資料の作成)
 「サイエンスマップ2012&2010」(平成26年7月31日科学技術・学術政策研究所)及び科学研究費助成事業データベースにおける情報を用いて、国内外の研究動向に関する分析資料を作成した。

(分析資料を用いた専門家へのアンケートの実施及び注目すべき研究動向の作成)
 「科学技術振興機構研究開発戦略センター」や「科学技術・学術政策研究所科学技術動向研究センターの専門家ネットワークに参画している専門家」に対し、作成した分析資料を用いて今後注目すべき研究動向に関するアンケートを実施した。その後、アンケートの結果の分析等を行い、注目すべき研究動向として「小型・分散型電源構築に向けた高効率エネルギー変換・利用に係る基盤的技術の創出」を特定した。

(ワークショップの開催及び戦略目標の作成)
 注目すべき研究動向「小型・分散型電源構築に向けた高効率エネルギー変換・利用に係る基盤的技術の創出」に関係する産学の有識者が一堂に会するワークショップを開催し、特に注目すべき国内外の動向、研究や技術開発の進展が社会的・経済的に与え得るインパクトやその結果実現し得る将来の社会像、研究期間中に達成すべき目標などについて議論を行い、ワークショップにおける議論等を踏まえ、戦略目標を作成した。

8.閣議決定文書等における関係記載

第4期科学技術基本計画(平成23年8月19日閣議決定)
3.2.(2)ⅰ)
付加価値率や市場占有率が高く、今後の成長が見込まれ、我が国が国際競争力のある技術を数多く有している先端材料や部材の開発及び活用に必要な基盤技術、高機能電子デバイスや情報通信の利用、活用を支える基盤技術など、革新的な共通基盤技術に関する研究開発を推進するとともに、これらの技術の適切なオープン化戦略を促進する。

科学技術イノベーション総合戦略(平成26年6月24日閣議決定)
第2章第1節1.3.(7)<1>
さらなるエネルギー利用効率の向上のため、熱と電気を併産するコージェネレーションの活用や、これまで利用されていなかった低温排熱等のエネルギーを活用する技術の向上に取り組む。

9.その他

○以下の関連する研究開発と本戦略目標下で行われる研究の連携を確保しながら、微小エネルギーの高効率変換・高度利用に資する基盤技術の創出及び成果の実用化を目指すことが重要である。

  • 平成23年度戦略目標「エネルギー利用の飛躍的な高効率化実現のための相界面の解明や高機能界面創成等の基盤技術の創出」、平成24年度戦略目標「環境・エネルギー材料や電子材料、健康・医療用材料に革新をもたらす分子の自在設計『分子技術』の構築」、平成25年度戦略目標「選択的物質貯蔵・輸送・分離・変換等を実現する物質中の微細な空間空隙構造制御技術による新機能材料の創製」の下で行われている一部の研究では、エネルギー変換・輸送に関わる基盤的科学技術の創出に取り組んでいる。また、平成26年度戦略目標「二次元機能性原子・分子薄膜による革新的部素材・デバイスの創製と応用展開」の下で行われている一部の研究では、トポロジカル絶縁体を用いたデバイス設計技術の創出に取り組んでいる。その他、平成25年度戦略目標「情報デバイスの超低消費電力化や多機能化の実現に向けた、素材技術・デバイス技術・ナノシステム最適化技術等の融合による革新的基盤技術の創成」の下で行われている研究では、新機能性材料・電子デバイス・システム最適化を連携・融合することに取り組んでいる。
  • 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)においては、「クリーンデバイス社会実装推進事業」(2014年から2年間)が実施されている。この事業の目的は、省エネルギーに資するクリーンデバイス(環境発電デバイス等の省エネルギーに資する革新的デバイス)が、従来利用を想定してきた機器等だけではなく、様々な製品・サービスへと新規用途の拡大を図ることにより、省エネルギー効果を最大限に活用することであり、デバイスの実装・実証および信頼性・安全性や標準化・共通化の方針策定がターゲットとなっている。
  • センター・オブ・イノベーション(COI)プログラムにおいては、「さりげないセンシングと日常人間ドックで実現する理想自己と家族の絆が導くモチベーション向上社会創生拠点」等でナノセンシングデバイスの開発及び活用などに取り組んでいる。

お問合せ先

研究振興局基礎研究振興課

課長:行松 泰弘、基礎研究推進室長:岩渕 秀樹、室長補佐:浅井 雅司、基礎研究・機構係長:春田 諒
電話番号:03-5253-4111(内線4386)、03-6734-4120(直通)

-- 登録:平成27年05月 --