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オリンピック・パラリンピックレガシー創出に向けた文部科学省の考えと取組

平成27年4月10日
文部科学省

1 背景

 国際オリンピック委員会(IOC)の憲法と言える『オリンピック憲章』には次のような一文がある。

 ~オリンピック競技大会の有益な遺産(いさん)(レガシー)を、開催国と開催都市が引き継ぐよう奨励する~

 現在、既に公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(組織委員会)や内閣官房2020年オリンピック・パラリンピック東京大会推進室(内閣オリパラ室)をはじめとして、様々なセクターにおいてレガシー創出に向けた活動が進められている。それらの活動と連携し、一体感を持ってレガシー創出を推進していけるよう、本資料は現時点での文部科学省の考えと取組を提案するものである。

 オリンピック・パラリンピック競技大会は、単なるスポーツイベントではなく、歴史的に見れば、開催国の人々や社会に「オリンピック・パラリンピックレガシー」とされる様々な良い影響をもたらしてきた。
 1964年の東京大会では、国立競技場や首都高速道路、新幹線等のインフラが整備されるとともに、スポーツ少年団や体育の日といった今日では社会に広く浸透している枠組みが作られている。

 また、2012年のロンドン大会は、成熟国家として「オリンピック・パラリンピックレガシー」の創出に取り組み、IOCをはじめとし国内外から高く評価されている。2020年の東京大会は、その流れを引き継ぐとともに、世界で初めてパラリンピックをオリンピックと同時に2回開催する国として、更に発展させることが国内外から注目されている。

 2020年の東京大会は5年後に開催される。文部科学省では、2020年をターゲットイヤーとして、国内外の課題に力強く立ち向かい、様々な取組により日本社会を元気にしていくことが重要であると考える。

2 文部科学省としての考え

 「オリンピック・パラリンピックレガシー」には、競技力の向上や競技施設等の競技大会に直結したレガシーをはじめとして、社会に影響をもたらす有形・無形、計画的・偶発的な幅広いレガシーがある。

 レガシーの創出を最大化していくためには、組織委員会、内閣オリパラ室をはじめとした各行政機関、企業、NPO等と連携し、一体感を持って、2016年夏に開催されるリオデジャネイロ大会の終了後から直ちに本格的な活動を推進していくことが必要である。

 その際、「「わたし」が変わる。「わたしたち」が社会を変えていく!」という共感の下、東京のみならず、全国津々浦々に大会の開催効果を波及させ、大会後も地域が力強く発展していくことに加え、東日本大震災の被災地の復興の後押しとなることが求められると考える。

 本資料は、2015年2月に組織委員会からIOCへ大会開催基本計画が提出され、様々な機関の参画の下、2016年に大会としてのアクション&レガシープランをまとめるという動き等を踏まえ、東京大会招致が決まったときより続けてきた様々な個人や組織との対話を通じ、現時点での文部科学省の考えと今後の取組をまとめたものである。文部科学省として本資料を提案し、今後、組織委員会や政府全体としてのレガシー創出に向けた動きに結実していくことを期待している。

 さらに、レガシー創出に向けた社会全体の共感をより強く醸成していく観点からも、文部科学省としては、本資料に取りまとめた取組等が全てではなく、今後も様々な個人や組織との対話を続け、取組等の内容を進化させていくという考えに基づいて、本資料を整理している。

3 文部科学省としての目標

 文部科学省としての目標を以下の通りとする。いずれの目標も、課題解決先進国日本として、日本が誇る各領域の「強み・深み」を再発見し、2020年の「締切り効果」を最大限活用して、ショーケースとして世界にアピール・発信するチャンスと捉え、その結果が「次の世代への贈りもの」として受け継がれることを大目標とする。

1. スポーツを通じて全ての人々が幸福で豊かな生活を営むことができる「スポーツ立国」を実現する(スポーツ)

2.我が国の多様な文化の十分な理解を促進し、文化資源の積極的な活用を図る(カルチャー)

3.我が国の科学研究の蓄積や科学技術の発展・成果を国内外へ発信するとともに、最新の科学技術の社会実装・実証を加速する(イノベーション)

4.若者が地域、社会やグローバルの課題解決に自ら考え行動する活動を促進・支援する(ヒューマン)

5.年齢、性別、障害の有無等にかかわらず、活躍できるコミュニティを実現する(ユニバーサル)

4 文部科学省としての取組

 成熟国家においてレガシーの創出を最大化していくには、様々な個人や組織が、対話によりそれぞれの理想を実現していこうという思いやアイディアを積み重ね、協働によるシナジーを発揮していくことが重要である。

上記の考え方の下、以下の具体的な取組を推進するほか、別添にまとめた様々な取組を実施する。

キックオフイベント

 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会、ラグビーワールドカップ2019に向けて、オリンピック・パラリンピックムーブメントを国際的に高めるためのキックオフイベントとして、2016年秋に、スポーツ・フォー・トゥモローなどスポーツ・文化を通じた国際貢献、スポーツ・文化が生み出す有形・無形のレガシー等について、我が国から国際的に情報発信するための国際会議を、文部科学省が中心となり日本政府が主催する。
 世界のトップアーティストやアスリート、国際機関、各国関係閣僚、企業、地方公共団体等の参加を想定し、官民協働で準備を進め、スポーツや文化の力を最大限生かし、本行事をジャパン・ブランドのショーケースとすることで、世界に対し、日本の魅力の効果的な発信を行う。

スポーツ

 スポーツ庁を2015年10月に設置する法案を国会に提出しており、スポーツ施策を総合的に推進していく。2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会、ラグビーワールドカップ2019等の開催を絶好の機会と捉え、スポーツを通じて全ての人々が幸福で豊かな生活を営むことができる「スポーツ立国」を実現するため、オリンピック・パラリンピックの精神の浸透、スポーツによる健康増進や地域活性化等の取組を実施し、スポーツを「する」「観(み)る」「支える」国民の増加につなげる。

カルチャー

 魅力ある文化プログラムを、2016年リオデジャネイロ大会後から、4年間にわたり日本全国で大々的に展開することで、2020年以降の「真の文化芸術立国の実現」への基盤を構築するとともに、我が国の文化を外国人が理解・体験するための取組を、内閣官房や観光庁等と連携して実施することにより、訪日外国人の増加にも寄与する。
 その結果として、1.国内外の様々な文化を理解し認め合う、包容力のある社会の実現、2.文化芸術の持つ創造性により、魅力あふれる社会の創出、3.多様な主体の英知を結集し、観光・地場産業等との連携や最先端技術の活用促進により文化芸術が成長戦略の加速化をけん引することを目指す。
 文化芸術の力により、このような未来を創造するために、組織委員会や東京都と連携して、地域の文化イベント等を「文化プログラム」として全国展開し、国内外に積極的に発信・強化する。また、世界の人々を引き付ける「新しく、奇想天外な芸術」が生まれ、外国人が「ホンモノの伝統文化に触れ、訪日・周遊する」ための環境整備を推進する。さらに、組織委員会や東京都と連携し、国立文化施設も活用しつつ、リーディングプロジェクトとしての世界の人々を引き付ける文化プログラムを主催する。

イノベーション

 課題解決先進国である我が国の先端科学技術を社会実装し、社会的課題の解決・システムソリューションを世界市場に輸出する。
 世界に共通する社会的課題が解決された、ユニバーサル未来社会、レジリエントな社会、エネルギー制約のない社会、衣食住等における豊かな生活社会、フロンティア開拓社会、革新的なものづくり社会、健康長寿社会という七つの社会イメージ及び東北復興の実現に向け、それぞれ強みのあるエリアを中核として日本全国のポテンシャルを結集することにより革新的技術の社会実証・実装を加速するとともに、2020年のオリンピック・パラリンピック開催期間をショーケースの機会として捉え、我が国の科学技術によるシステムソリューションを世界に発信する。
 また、次代を担う国際的な科学技術人材の育成に資するとともに、我が国の科学技術の水準の高さをアピールする機会を創出する。
 さらに、在京の科学館と全国の企業、大学、科学館等の連携により、我が国の科学研究の蓄積と、それを基盤とした科学技術の発展や成果を日本発のイノベーションとして国内外に広く発信する。

ヒューマン

 高校生が”2020年を越えて未来を創っていくヒューマン・レガシー”になっていくことを目指し、高校生による地域や社会、グローバルの課題解決活動を促進・支援するため、アイディアのプレゼンイベントや活動の全国アワードの開催等の取組を官民共創で検討・推進する。

ユニバーサル

 レガシー創出に向けた組織や個々人の一体感を醸成するため、多くの関心や共感が集まる公益性の高い取組に関して、「みんなで支える政策や事業」の実現等を目指し、クラウドファンディングに係る勉強会を立ち上げる。

 以上の取組の実施に当たっては2020年に向けて文部科学省全体が一体となり、しっかりした責任体制の下、取組の着実な実行と効果のフォローアップを行うとともに、組織委員会や内閣官房等と緊密な連携を図るものとする。

 

(別添)

文部科学省として取り組む施策一覧

1 スポーツを通じて全ての人々が幸福で豊かな生活を営むことができる「スポーツ立国」を実現する(スポーツ)

・ スポーツ・文化・ワールド・フォーラム(仮称)(2016年日本で開催予定)との連携
・ 2020年オリンピック・パラリンピック東京大会やラグビーワールドカップ2019などの国際競技大会や国際会議を通じた国際交流や地域活性化の促進
・ スポーツ・フォー・トゥモローによるスポーツ国際貢献の推進
・ オリンピック・パラリンピック教育の全国展開
・ 総合的な国際競技力の向上による魅せるスポーツの振興
・ 「する」「観(み)る」「支える」スポーツの多様な関わりを通じたスポーツ参画人口の増大
・ スポーツを通じた健康な都市づくりの推進
・ 地域スポーツコミッション等の活動支援によるスポーツを観光資源にした地域活性化の促進
・ 障害者スポーツの普及促進
・ 学校と地域における子供のスポーツ機会の充実
・ 新しい時代にふさわしいコーチング・イノベーションの促進
・ 我が国の国際競技力向上に向けた戦略的な選手強化
・ スポーツ医・科学、情報を活用したアスリート支援、研究開発
・ ナショナルトレーニングセンター(NTC)、国立スポーツ科学センター(JISS)の機能強化
・ アスリートの現役時からの「デュアルキャリア」と「引退後のキャリア形成」を両面から支援
・ 国際競技団体の要職ポストの獲得を目指したサポート、人材育成支援
・ アンチ・ドーピングの推進や競技団体等のガバナンス向上等を通じた「スポーツ・インテグリティ(健全性・高潔性)」の確保

2 我が国の多様な文化の十分な理解を促進し、文化資源の積極的な活用を図る(カルチャー)

・ スポーツ・文化・ワールド・フォーラム(仮称)(2016年日本で開催予定)との連携
・ 各地域の文化資源の魅力の再発見や活用・発信の促進
・ 観光地・文化施設等における訪日外国人の受入れ環境の整備
・ 文化プログラムの全国展開
・ 地域の様々な魅力ある文化芸術の取組や文化芸術の担い手の育成などの支援
・ 芸術団体や劇場・音楽堂等によるトップレベルの舞台芸術活動等の支援
・ 「日本遺産(Japan Heritage)」の認定(文化財版クールジャパン)など、地域に点在する文化財を総合的・一体的に活用した地域活性化
・ 伝統文化から現代の文化芸術活動に至る、多彩な文化芸術の世界への発信
・ ICOM大会(世界博物館大会)の招致

3 我が国の科学研究の蓄積や科学技術の発展・成果を国内外へ発信するとともに、最新の科学技術の社会実装・実証を加速する(イノベーション)

・ 課題先進国である我が国の先端科学技術を社会実装し、社会的課題の解決・システムソリューションを世界市場に輸出するShowcase of innovation Project
(七つの社会イメージと二つの施策)
-ユニバーサル未来社会:先端ロボット技術により高齢者・障害者をはじめ、誰もが生き生きと活躍できるユニバーサル未来社会体験プロジェクト
-レジリエントな社会:自然災害に対するレジリエントな都市実現プロジェクト
-エネルギー制約のない社会:エネルギー制約の脱却に向けた技術革新プロジェクト、次世代蓄電池研究加速プロジェクト
-衣食住等における豊かな生活社会:生物共生の解明・利用による国産農作物の高機能化・高付加価値化推進プロジェクト
-フロンティア開拓社会:技術力による宇宙フロンティアの開拓、海のジパング計画(ジパングメダル)、次世代航空機プロジェクト
-革新的なものづくり社会:ビッグコンピューティングによる技術革新プロジェクト
-健康長寿社会:再生医療の実現化ハイウェイ構想
-東北復興:サイエンスによる東北復興計画
-次代を担う国際的な科学技術人材の育成
+高水準な科学技術をアピール:国際科学オリンピックの日本開催
・ 在京の科学館と全国の企業、大学、科学館の連携により、我が国の科学研究の蓄積と、科学技術の発展や成果を「日本発のイノベーション」として国内外に発信するRoots of Innovation Project
・ 「Research in Japan」として、日本の魅力(高い研究レベル、研究環境等)をアピールし、外国人研究者の呼び込みを推進
・ 地域がもつ未来志向のビジョンに基づいた研究開発拠点に若者が参画し、魅力あふれる豊かで元気な地域を創出
・ 臨床研究の促進、社会の中で技術実証を行うための規制改革等、イノベーションを加速する制度改革
・ 大学等の研究成果を基にした力強いベンチャーの創業・拡大

4 若者が地域や社会、グローバルの課題解決に自ら考え行動する活動を促進・支援する(ヒューマン)

・ 留学生交流の推進(「トビタテ!留学JAPAN」等による日本人の海外留学の推進、外国人留学生の戦略的な受入れの推進)
・ 小学校段階からの課題の解決に向けた主体的・協働的な学びの推進
・ 専修学校における地域産業をけん引する専門人材の創出
・ 持続可能な社会を実現するために、地球規模の課題を自ら見いだし、その解決に向けて自分で考え、行動を起こす力を育てるESDの推進
・ 課題発見・解決能力等グローバル化に対応した国際的な教育プログラムを行う「国際バカロレア」認定校等の大幅拡大
・ 高校生による地域や社会の課題解決活動を促進・支援する「高校生ヒューマン・レガシープロジェクト(仮称)」の推進
・ 地域の協力を得て実施する土曜学習等の推進

5 年齢、性別、障害の有無等にかかわらず、活躍できるコミュニティを実現する(ユニバーサル)

・ 競技施設・公共施設等のバリアフリー対策の強化
・ 障害者と子供の交流・共同学習の推進
・ 特別支援教育の充実
・ 外国人が、言葉の壁を越え、地域で活躍するための日本語教育の充実
・ レガシー創出に向けた活動を促進・支援するクラウドファンディング・メカニズムの構築等を目指した勉強会の立ち上げ
・ 寄附文化の醸成
・ 対話型政策形成によるプロジェクトの推進を通じた官民共創社会の実現 

お問合せ先

大臣官房政策課対話型政策形成室

(大臣官房政策課対話型政策形成室)

-- 登録:平成27年04月 --