(1)事業概要
○ 地方自治体:福岡県・福岡市
○ 課題:「ナノ構造制御材料を活用した自動車分野における高機能部品開発拠点の形成」
○ 中核機関:財団法人 福岡県産業・科学技術振興財団
○ 核となる研究機関:九州大学、佐賀大学、福岡女子大学、福岡県工業技術センター
○ 概要:県工業技術センターの橋渡し機能と、九州大学が有するナノ構造制御材料技術を活用し、次世代自動車にも対応できる高機能部品の開発に取り組み、研究機関が集積する県中央部「ふくおか筑紫エリア」に自動車分野における高機能部品の開発拠点を形成する。
(2)総評
本事業は、北部九州地域の自動車産業の集積を背景に、自動車生産150万台、地元調達率70%を目標とした「高機能部品開発拠点の形成」を目的に掲げ、地域構想上の位置付けは明確である。
目標達成度について、試作品、特許出願件数及びプロジェクト化研究会は、当初目標を達成している。しかし産業化という視点から見ると、事業化数を目標にしていない点、事業推進にあたってメーカーのニーズを十分把握していないという点及びグローバル市場で熾烈な競争が展開される分野で国際特許出願がない点は今後の課題である。
事業計画は、大学が保有するナノ構造制御材料を活用し、蓄電デバイスや複合フィルタを開発して高機能部品開発拠点形成を図るもので、地域産業構造や地域のシーズを生かした適切なものとなっている。
事業実施体制は、研究開発段階から弁理士を配して知的財産アドバイスを得ている点及び川下企業のニーズを汲み上げるために外部から専門家を招へいしている点が評価できる。しかし、共同研究の構成テーマ間の連携が弱く、プロジェクト化研究会の研究テーマとの結びつきも弱少ないため、シナジー効果を発揮できていない。
自動車産業を戦略産業に見据えた産学官連携が活発なという土壌の中で、周囲の機関との適切な連携体制をの構築してに務めており、連携基盤は効果的に確立構築されたと判断できる。しかし産から学へのニーズ提示とニーズの研究課題へのブレイクダウンが不十分であった。
「蓄電デバイス」研究開発においては、新しい原理に基づくものを開発し、エネルギー密度としては目標値を達成しているが、実用化開発を進めていくためには、長期信頼性、安全性、コスト見通し等ユーザーであるメーカーの評価を受ける必要がある。「複合フィルタ」に関しては、そのプロセッシングに特長があり、試作や試験に参画企業が意欲的であった点を評価する。事業創出の可能性が高いので今後に期待したい。
地域への波及効果については、プロジェクト化研究会を組織し、実用化に向けたマッチングを実施するなど、地域の産業界からも関心を集めている。しかし、2つの研究課題及びその関連技術は、未だに事業化前の段階に留まってとどまっており、地域社会への具体的な貢献としては今後これからの課題である。
地域の取組・主体性については、福岡県の「ふくおか新世紀計画」の中での位置付けや、自主事業との関係性が明確であり、効果的に事業が実施された。しかし、実用化研究が地域中小企業との連携にまで発展しきれていない。今後、自動車メーカーをはじめとする産業界のニーズを取り上げ、産業界を巻き込んだ仕組みづくりを行う必要がある。
今後の発展の可能性について、北部九州には我が国を代表する自動車産業の集積が既にあること及びグリーンアジア国際戦略総合特区が本事業の受け皿となり得ることから、本事業の地域への波及が期待できる。本事業により、研究基盤及びネットワークの基礎は構築され基礎技術は確立できたが、未だ地域産業への展開は不十分であることから、今後はシーズ展開型からニーズ解決型への思考の転換が求められる。
(3)項目別評価結果
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1.事業の目的と目標 |
(1)事業の目的 |
3.0 |
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(2)目標達成度 |
3.0 |
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2.事業計画 |
(1)事業計画の妥当性 |
3.3 |
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(2)事業実施体制 |
2.5 |
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3.事業成果 |
(1)連携基盤の構築 |
2.8 |
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(2)研究開発の成果 |
3.0 |
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(3)地域への波及効果 |
2.3 |
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4.地域の取組・主体性 |
3.0 |
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5.今後の発展の可能性 |
3.0 |
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課長 里見 朋香
電話番号:03-5253-4111(内線:3893)
ファクシミリ番号:03-6734-4172
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