(1)事業概要
○ 地方自治体:山形県・鶴岡市
○ 課題:「機能評価システムの構築と地域農産物を活用した高機能食産業クラスターの形成」
○ 中核機関:財団法人 庄内地域産業振興センター
○ 核となる研究機関:慶應義塾大学先端生命科学研究所、山形大学、山形県農業総合研究センター、山形県工業技術センター
○ 概要:メタボローム解析をはじめとした当エリアが高いポテンシャルを有するバイオ技術を生かし、食品・医薬品産業への利用展開が可能な、有用かつ簡便な食品の機能評価システムを構築するとともに、当システムを利用した高機能農産物の安定栽培技術の開発、機能性を活かした食品加工技術開発と高機能・多機能商品群の開発を行う。
(2)総評
本事業は、世界最先端のメタボローム解析技術等を活用して、農産物の成分解析、新たな管理指標、機能性成分を前面に出した商品開発、高付加価値型の最先端農業の構築を試みた事業で、地域構想における位置付けは明確であり、一定の成果を挙げたことは高く評価できる。しかし、テーラーメイド型食品については、その成果を事業化まで進めていくステージには達しておらず、また、機能性成分が強化された素材の加工品についても研究開発段階にとどまっている。今後は、将来を期待できるシーズや試作品について、事業化に向けた成功事例を生み出すことが重要である。
事業計画については、多くの計画が予定どおり実行され、製品化に向けた成果が得られたことから、資源配分も適切であったと判断される。しかし、テーラーメイド食品など十分な成果が得られなかったテーマに関しては、産業展開に向けての戦略が不十分であり、地域資源の優先順位を付け、事業化の可能性から対象を絞り込んでいくなど、途中で計画の見直しを行うべきであった。
事業実施体制には、研究テーマの枠を超えた「研究推進委員会」や事業総括を中心とした「プロジェクト総括委員会」が設けられており、外部評価も加えることで、バランスのとれた運営が行われたが、一方で、事業計画の見直しに関する機能が十分に発揮されていないなどの課題が見られた。
産学官連携基盤については、大学、地域食品メーカー、県の公設試験研究機関、地域農業とのネットワークが形成され、さらに発展・充実させるために山形バイオクラスター推進会議が設置されており、評価できる。
研究開発については、最先端科学技術を農業、農産物加工業に応用しようとする意欲的取組として、学術論文としても5編(うち英文1編)が公表されるなどの十分な成果が得られ、様々な可能性を新たに見出したことは評価できる。今後は、食品素材の機能を明確にするためのメタボローム解析の研究が進められ、他とは差別化できる新規な食品素材の開発につながることが期待される。
地域への波及効果として、新たな産業振興の切り口を開拓したほか、柿酢飲料をはじめとして、地域特産品を利用した数多くの試作品や新商品が開発されている。商品や農業の高付加価値化に一定の成果が出ていることから、一次産業の足腰を強化し得る6次産業化(第一次産業に食品加工・流通販売を取り込んだ形態)への展開も見え始めており、今後の当該地域におけるイノベーション創出の可能性や期待を高めたことは評価できる。
一方、地域の取組として、イベントへの出展を通じて自治体のサポートが行われているが、関わりは間接的なものであり、不十分であった。今後の「山形バイオクラスター形成促進事業」への取組が、地域の特徴ある産学官連携を前面に押し出した積極的なものになることを期待したい。
今後の取組として、知事を会長とする「山形バイオクラスター形成推進会議」の設置に加えて、平成24年度からコーディネータを庄内産業振興センターへ設置するなど、継続的な取組が推進されている点は評価できる。しかし、本地域において、新たな事業を興し、産業として定着させる意思を持った企業が育っていない点が課題である。次なるステップとしては科学技術だけでなく、企業化インフラの整備が望まれる。
(3)項目別評価結果
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1.事業の目的と目標 |
(1)事業の目的 |
3.5 |
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(2)目標達成度 |
2.8 |
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2.事業計画 |
(1)事業計画の妥当性 |
3.0 |
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(2)事業実施体制 |
2.8 |
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3.事業成果 |
(1)連携基盤の構築 |
3.3 |
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(2)研究開発の成果 |
3.2 |
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(3)地域への波及効果 |
3.8 |
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4.地域の取組・主体性 |
2.5 |
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5.今後の発展の可能性 |
3.0 |
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課長 里見 朋香
電話番号:03-5253-4111(内線:3893)
ファクシミリ番号:03-6734-4172
メールアドレス:tiiki@mext.go.jp
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