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キャリア教育における外部人材活用等に関する調査研究協力者会議中間取りまとめ

1.なぜ「キャリア教育」が必要なのか(本会議が発信するメッセージ)

(1)キャリア教育の理解の共有(「キャリア教育」とは何か、子どもの教育に関わる者が共有するために)

 ○中央教育審議会では、平成20年12月に行われた文部科学大臣による諮問を受け、2年間に及ぶ議論を経て、本年1月「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」を答申した。その答申では、キャリア教育について、「一人一人の教員の受け止め方や実践の内容・水準に、ばらつきがある」と指摘している。まずは「キャリア教育」という言葉の意味するところを、子どもの教育に関わる者同士で共有することが不可欠と考えられる。

○答申では、「キャリア教育」を「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達(※)を促す教育」と定義した。その上で、一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度として「基礎的・汎用的能力」を提示している。また、学校でのキャリア教育が、子どもたち一人一人の発達や社会人・職業人としての自立を促す視点から学校教育を構成していくための理念と方向性を示すものであり、したがって特定の活動や指導内容・方法に限定されるものではなく、学校の教育活動全体で様々な教育活動を通して、教育意図に基づき、体系的・系統的に取り組まれるものであるとしている。

(※)キャリア発達:社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現していく過程。

○また、次代の我が国を担う子どもたちが、どのような状況にあっても、これに適応したり、置かれている状況を自分で打ち破ったりしながら、社会の中で自分の能力を発揮できるように育成することが必要であり、そのために後期中等教育修了までに、生涯にわたる多様なキャリア形成に必要な能力や態度を培うとともに、それらを通して、とりわけ勤労観・職業観を自ら形成・確立できるようになることを目標とすべきとしている。

○本「中間取りまとめ」においても、中央教育審議会答申において示されたキャリア教育にかかわる理解と認識を共有するものであるが、より分かりやすく言えば、「キャリア教育」とは、子どもたちが、社会の一員としての役割を果たすとともに、それぞれの個性、持ち味を最大限発揮しながら、自立して生きていくために必要な能力や態度を育てる教育であるということができる。

 (2)学校、教育界へのメッセージ

●学校での生活や学び、進路選択に対する目的意識の希薄さ

○高校生に対し、今自分が通っている高等学校に入学した動機について尋ねたところ、普通科の生徒の約6割は「自分の学力にあっている」と回答し、「自分の個性を伸ばすことができると思う」、「自分のやりたい勉強ができると思う」と答えた生徒はそれぞれ15%に満たないとの結果となった。
(平成18年文部科学省委託財団法人日本進路指導協会「中学校・高等学校における進路指導に関する総合的実態調査」)

○また、職業を意識しはじめた時期の違いに応じて、大学生に大学への進学理由を調べた調査では、職業を意識した時期が遅い者ほど、大学への進学理由を「すぐに社会に出るのが不安」、「自由な時間を得たい」、「周囲の人がみな行く」と考える傾向があるとの結果もある。
(Benesse教育研究開発センター「平成17年度経済産業省委託調査 進路選択に関する振り返り調査-大学生を対象として5-」)

○さらに、子どもたちの学習意欲という観点からは、国際的な調査(TIMSS調査、PISA調査)において、我が国の子どもたちは、他国に比べ、将来就きたい仕事や自分の将来のために学習をしようとする意識が低いということが明らかとなっている。

○こうした調査結果から、目的がはっきりしないまま高等学校へ進学したり、「とりあえず」大学へ進学したりする生徒が多くいること、また、学校での生活や学び、進路選択に、子どもたちがはっきりとした目的意識を持って取り組めていないということが、キャリア教育にかかわる問題として浮かび上がってくる。

 

●社会の「本物」に触れさせること、“働くことの喜び”を伝えることの重要性

○上述の問題状況を踏まえて、子どもたちが、学校で学んでいることと自分の将来を結びつけて考えたり、自分の興味や資質に気付いて、それを伸ばすにはどうしたら良いかと自ら考えたりできるようになるためには、実際に社会で働いている人や、社会で行われていることの本質や意義に触れ、理解すること、またそれを通して働くことの意義や喜びについて理解することが重要である。

○中央教育審議会答申においても「社会や職業に関わる様々な現場における体験的な学習活動の機会を設け、それらの体験を通して、子ども・若者に自己と社会の双方についての多様な気付きや発見を得させることが重要」との記載がなされている。

○こうした観点に立って改めて学校での諸活動を捉え直してみると、キャリア教育の場面は、学校で行われている職場体験活動やインターンシップ活動に限らない。最先端の研究を行っている研究施設や大学等を訪れ、第一線の研究者から施設や研究について説明を受けたりするなどのスーパーサイエンスハイスクールにおける取組、社会の第一線で活躍する卒業生の職場を訪ねてその仕事について説明を受けたり、見学したりする取組、あるいは地域の企業の技術者を学校に招いて最新技術の指導を受ける専門高校での取組などは、正に社会の「本物」に触れさせる教育であり、キャリア教育そのものと言える。

○これらの活動を通して、多様化する社会・産業の環境に対して興味・関心を広げることができ、学びの意味や働くことの意義を体得することを通じて、自らの興味や資質に応じた多様な進路の可能性を拓くこともできるのである。

 

●“世の中の実態や厳しさ”を伝えることの重要性

○中学校、高等学校におけるキャリア教育においては、生徒に、経済・社会・雇用等の基本的な仕組みについての知識や、税金・社会保険・年金や労働者としての権利・義務等についての知識等、社会人職業人として必ず必要な知識を得させるとともに、男女共同参画社会の意義や仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の重要性等について、自己の将来の在り方生き方に関わることとして考察を深めさせることが必要である。

○一方、誤解を恐れずに分かりやすい言葉で言えば、“世の中の実態や厳しさ”を子どもたちに学ばせることも重要である。

○具体的には、今日、我が国の産業界が、経済のグローバル化とそれに伴う激しい国際競争の下で、これまでにない厳しい環境におかれており、産業等の状況の変化に伴い雇用形態も変化するなど、子どもたちや若者の社会的・職業的自立、ひいては将来の生き方にかかわる環境に大きな変化が生じている。

○また、そのような環境の変化の一つとして、就職先が決まらないまま卒業した場合や就職後早期に離職した場合に、正規労働者として就職が困難となる状況が見られる。

○加えて、男女共同参画社会への移行が我が国社会の大きな課題とされながら、女性の社会的・職業的自立については、結婚後、特に出産後において、男性の家事や育児の分担が不十分であることや、また、女性が働き続けるための社会的インフラの整備が不十分であることなどから、働き続けることに困難が伴っている現実などがあり、これらについて理解させる必要がある。

 

●“働くことの喜び”と“世の中の実態や厳しさ”の両面を学ぶ

○教員の中には、こうした“世の中の実態や厳しさ”の下で、子どもたちに夢や希望を育むことや、実現困難な進路希望を抱く生徒に進路計画の立案を指導することは虚しいという声がある。

○しかし、子どもたちや若者のキャリア形成をめぐる厳しい環境があるがゆえに、子どもたちが現実に立ち向かい、意欲を持って、様々な課題を克服し、自らの目標に向かって努力して、社会的・職業的に自立するために、“働くことの喜び”と“世の中の実態や厳しさ”の両面を同時に伝えていくことが、一層重要になっているといえる。

○現に、今日の厳しい状況の中でも、働くことの意義や喜びを感じつつ、これに立ち向かい活力ある社会の構築に奮闘する経営者や従業員、研究者や技術者、商店経営者や農業・漁業従事者、福祉施設で働く人などが、少なからず子どもたちの周りにいる。学校・教員は、そのような地域の人々と手を携えて、“働くことの喜び”と“世の中の実態や厳しさ”の両面を伝えることが大切であると考える。

 

●「キャリア教育」で「なぜ学ぶか」を学ぶ

○子どもたちが、社会の「本物」、“働くことの喜び”、“世の中の実態や厳しさ”などを知った上で、将来の生き方や進路に夢や希望を持ち、その実現を目指して、学校での生活や学びに意欲的に取り組むようになること、これが「キャリア教育」を行うことの意義であるといっても過言ではない。

○さらに、キャリア教育を行う意義として、中央教育審議会答申も、「学校生活と社会生活や職業生活を結び、関連付け、将来の夢と学業を結び付けることにより、生徒・学生等の学習意欲を喚起することの大切さを確認できる」としている。

正に子どもたちは、今自分が勉強していることと、将来自分が巣立っていくであろう社会との関係を見いだし、結び付けることで、自分が勉強している理由やその重要性が分かってくるということである。

○学校生活や学び、進路選択に取り組む際、子どもたちが目的意識を持っているか否か、あるいは目的意識に裏打ちされた学習意欲を持っているか否かは学校教育の成否を揺るがす根源的な問題である。「なぜ学ぶのか」、「なぜ学ばなければならないのか」、「何を学ぶべきか」を学ぶ教育として、「キャリア教育」は学校教育において最重要課題に位置付けられるものとも言えよう。

 

(3)地域・社会、産業界へのメッセージ

○先に述べたような、現在の子どもたちについて、学校での生活や学び、進路選択に対する目的意識が希薄であるなどの問題点を指摘したが、それらは学校段階で生じている問題であるとして、その責任を学校教育のみに帰してよいものであろうか。

○そもそもほとんど全ての子どもたちは、近い将来において地域・社会へと巣立ち、何らかのかたちで我が国の社会、経済を担っていくこととなる。地域・社会や産業界は、人材育成という観点だけからしても、子どもたちの育成に、無関心でいることができない。

○より長期的に見れば、例えば、国立社会保障・人口問題研究所の予測によると、社会保障の観点から、平成22年では4人の生産人口(15歳~64歳)で1人の高齢者(65歳~)を支えていたが、平成32年には2人の生産人口が1人の高齢者を支えなければならなくなり、加速度的に生産人口が減少することが予測されている。以上のことが現実となった場合、国を支える一人一人の力は今まで以上に重要になり、将来の日本を支える人材を育てることは、地域・社会、産業界にとっても一層重要な課題となることは自明である。

○また地方では、地元で育てた子どもたちが高等学校を卒業した後、首都圏や大都市圏の大学に通い、地元に戻って来ないことなど、子どもたちが地元を離れていってしまうことについて、危機感を抱いている。地方社会や地方経済を支える若者を育てるため、子どもたちに、自分たちの住む地元の社会や経済の魅力について教えていくことも重要であろう。

○さらに先述したように、社会の「本物」に触れさせること、また“働くことの喜び”を伝えること、さらに“世の中の実態や厳しさ”などを伝えることは極めて重要であると考えるが、そのことを伝えることを学校・教員だけに担わせるには限界がある。

○学校でのキャリア教育は学校・教員が担うべきであるが、こうしたことを子どもたちに伝える場面においては、教員以外の人材の協力があって初めて子どもたちの心に迫ることができるようになる。近い将来、日本の社会・経済を支えることになる子どもたちに、社会の「本物」、“働くことの喜び”、“世の中の実態や厳しさ”などを伝え、学校での生活や学び、進路選択に気付きや考えるきっかけを与えることは、学校や家庭とともに、地域・社会や産業界も連携して担うべき役割であろう。

○学校、家庭そして地域・社会や産業界が「協働」して、キャリア教育を推進していくことが、今正に必要とされているのである。

2.どうすれば学校で「キャリア教育」が行われるようになるのか

(1)現状認識

●この中間取りまとめにおけるキャリア教育の現状認識

○小学校、中学校、高等学校の全ての学校段階において、発達段階に応じた形でキャリア教育を行う必要がある。

○小学校段階においては、社会生活の中で自らの役割や、働くこと、夢を持つことの大切さの理解、興味・関心の幅の拡大、自己及び他者への積極的関心の形成等、社会性、自主性・自立性、関心・意欲等を養うことが重要である。

○中学校段階においては、社会における自らの役割や将来の生き方・働き方等についてしっかりと考えさせるとともに、目標を立てて計画的に取り組む態度を、体験を通じてその重要性について理解を深めさせつつ育成し、進路の選択・決定へと導くことが重要である。

○また、社会人・職業人としての自立が迫られる時期である18歳までに、生涯にわたる多様なキャリア形成に共通して必要な能力や態度を身に付けさせ、これらの育成を通じて、価値観、とりわけ勤労観・職業観を自ら形成・確立させることが必要であることに鑑みると、中等教育におけるキャリア教育、とりわけ高等学校段階におけるキャリア教育が極めて重要であると言えよう。

○中央教育審議会答申では、キャリア教育を進めていくためには、キャリア教育を「学校の特色や教育目標に基づいて、教育課程に明確に位置付けるべきであり、これらを通じて全体的な方針や計画を明らかにしておくことが必要である。」としているが、加えて「初等中等教育においては、キャリア教育の全体計画やそれを具体化した年間指導計画を作成している学校が少ない」と取組の不十分さについて指摘している。

○また、中学校における職場体験活動の実施率は、95%前後の数値をあげるなど、外形的にはキャリア教育の取組が少しずつ整い始めていると見て取ることができるが、職場体験活動の実施期間を見てみると、文部科学省が推奨する5日を実施している学校の割合は2割に満たず、自治体によってその取組はまちまちである。

○他方、高等学校においては、先進的な取組も一部で見られるものの、インターンシップの実施率(全日制・定時制、全学科)は学校数で7割を少し超えたところでとどまっている。さらに中学校においては、職場体験活動を原則全ての生徒が体験するようになっているが、高等学校においては長期休業期間中等において希望者がインターンシップに参加する形となっていることが多いことから、インターンシップを体験した生徒の割合は30%を少し下回っており、中でも普通科においては16.7%となっている。
(「平成21年度職場体験・インターンシップ実施状況等調査結果(概要)」(国立教育政策研究所・平成22年8月))
 このように見ると、各学校段階においてそれぞれに特有の課題が見られるというのが実態であると考えられる。また、上述した高等学校段階におけるキャリア教育の重要性と、全国の高校生で普通科に通う生徒の割合が70%を超えているという現状を踏まえれば、高等学校普通科におけるキャリア教育を、これから関係者が一丸となって、どのように作り上げていくかということが大きな課題となるとも考えられる。

○また、先にも述べたように、キャリア教育を十分に展開するためには、学校が家庭や地域・社会、企業、経済団体・職能団体や労働組合等の関係機関、NPO等と連携することが不可欠である。しかしながら、例えば、職場体験活動やインターンシップ活動に見られるように、学校からは『受入先の確保が困難』という課題が多く挙げられる一方、企業からは教育支援活動を行わない理由として『学校側から企業への支援要望がない』ということが最も多く上げられている調査がある。学校外部の人材と連携・協働していくにあたり、その調整に課題がある場合が多く見られるのである。

 

(2)誰が本気になってキャリア教育を行っていくのか

●学校長や教員

○キャリア教育は、学校と地域・社会や産業界等との協働により進めていくものであるが、その場合であってもやはり、学校が主体となってキャリア教育を行っていかなければならないことに変わりはない。その中で、高等学校一つをとっても、設置形態や学科、地域や目指す生徒像、生徒の卒業後の進路の割合などによって、様々なキャリア教育の実施内容・方法がある。一人の教員が日々の教育活動の中で感じた気付きを基に学校の目指すべき姿を作り上げ、校長のリーダーシップの下、全ての教員でキャリア教育に取り組んでいる実践事例もあれば、高等学校においては当該専門学科にしか取り組むことのできないようなキャリア教育の実践事例もある。

○神奈川県川﨑市立苅宿小学校では、学校外部の教育資源である地域の商店会などの全面的な協力を得ながら、学校の校長や教員が一体となって、キャリア教育を実践している。特徴的な取組は、小学校3年生で行っている、社会科の学習を踏まえて実践する、地域の商店街へ出向いて行っての「お手伝い活動」である。商店の人や顧客との触れ合いを通して、自分の町のことを理解し、地域の一員としての自覚をはぐくむとともに、商店で働く人の様子や工夫・努力に実際に触れることで自分の役割を果たすことの大切さや相手のことを考えた言動の重要性などを実感し自分の生活に生かすことを目指している。

○秋田県立能代高等学校では、知識詰め込み型の進学指導に疲労感の見える生徒の姿を見て違和感を覚えた教員らが校長と協議し、始めたのが「Will Project」であった。学ぶ目的を明確にし、目的実現に必要な能力を理解し、意欲的に挑戦する気概を育てることを目的に、高校1年次から将来の夢や志について考えさせ、2年次には近い将来についての計画「Willプラン」を作成させるなど、能代高校独自のキャリア教育を実践している。

○神奈川県立田奈高等学校では、「キャリア教育の充実」「授業改善の研究」「学習を支える条件の整備」の3つを柱立てし、生徒の学習への意欲を引き出し、学力の向上へつなげる取組を実施している。特に、高校1年次、2年次に設ける学校設定科目「総合A」・「総合B」を柱に、学校教育全体でキャリア教育を展開している。教員と生徒が対話できる環境作りを工夫するなど一人一人の生徒に合わせたきめ細やかな指導を通じ、生徒が自らの将来に希望を持てるよう支援を行っている。これらの取組の実践を通じ、中途退学率や進路未決定率を低下させる効果を上げている。

 

●教育委員会

○学校を支える立場としての教育委員会や教育委員会が設置する教育センターが率先して、管下の学校のキャリア教育の牽引役となっている事例も多い。

○宮城県教育委員会では、今後10年間を見据え、宮城県の教育を総合的かつ計画的に進めるための基本方向を示した「宮城県教育振興基本計画」を策定し、その重点取組の一つとして宮城県独自のキャリア教育である、子どもたちが将来、職業人や社会人として自立する上で必要な能力や態度を育てるとともに主体的に学ぶ意欲と目標を持って努力していけるよう、小学校、中学校、高等学校の発達段階に応じ、人間としての在り方や生き方の探求を促していく「志教育」の推進を掲げている。正に県教育委員会がリーダーシップをとりながら、県内全ての小・中・高等学校で宮城県独自のキャリア教育「志教育」を進めている。

○兵庫県教育委員会では、平成7年に起きた阪神・淡路大震災などで心に傷を負った子どもたちに、夢を持ち、しっかりと将来を見据えてもらおうと、「生きる力」を育むことを目的に、県内全ての中学校2年生で職場体験活動を5日間行う「トライやる・ウィーク」を平成10年から実施している。教育委員会の強力なリーダーシップの下、10年以上経った今も管下の全ての学校で連綿と続いている活動である。

○新潟県立教育センターでは、キャリア教育推進ステーションを立ち上げ、新潟県の地域・社会、産業に根ざした小・中・高等学校一貫のキャリア教育プログラム「新潟っ子をはぐくむキャリア教育」を開発した。またそのプログラムを普及・推進するために、学校のサポート役になったり、地域組織の立ち上げなどを手助けしたりしている。

 

●知事・市区町村長等

○首長部局などがその地域全体の行政を行う立場として、教育委員会や学校と連携しながら、あるいは産業界等と手を携えながらキャリア教育を実践し、大きな成果(効果)を上げている例もある。

○埼玉県の事例は、知事がキャリア教育を進めた例として非常に興味深い。埼玉県における「産業人材育成プラットフォーム」を作り上げ、教育委員会・学校や知事部局、地域・社会、産業界等との協議の下、埼玉県の将来を担う人材の育成に取り組んでいる。インターンシップの手配や、学校への社会人講師の派遣、学校で通常行われている三者面談に企業の経営者が一人加わって行う四者面談など、様々な取組を行っている。

 

●産業界等

○さらには産業界が未来の地域、社会、産業を支えていく人材を育てるべく、自らの手でキャリア教育を行っている例もある。

○福井商工会議所青年部や福井青年会議所では、教育界や行政の参加・協働を得ながら、産業界提案型のキャリア教育を実践している。平成23年には、「ふくいキャリア教育フォーラム」を立ち上げ、そのフォーラムの中で、教育界と行政、産業界のさらなる協働の在り方を探り、福井県民であることの誇りの増進、グローバル人材育成、将来の生産・消費人口の維持拡大、地域力強化と発展的で持続可能なまちづくりに貢献するとしている。

 

(3)教育課程の中にキャリア教育をどのように位置付けていくべきか

●様々な教育活動を通して

○中央教育審議会答申では、「各学校のキャリア教育の基本的な在り方を内外に示すとともに、学校の特色や教育目標に基づいて教育課程に明確に位置付けるべきであり、これらを通じて全体的な方針や計画を明らかにしておくことが必要である」としている。

○各学校の子どもたちの実態を踏まえつつ、自らの学校にとってキャリア教育とは何なのか、自らの学校ではキャリア教育の実践を通してどのような生徒を育てていくのかなどの議論を深め、学校ごとに育成しようとする力の目標を定め、明文化しておくことは重要であり、まずもって各学校においてキャリア教育全体計画や年間指導計画を作成する必要がある。

○このような各学校における計画の策定を促すためには、教育委員会の支援も重要となる。例えば、埼玉県教育委員会では、高等学校向けに「『キャリア教育』指導資料」を作成し、キャリア教育全体計画の作成例を示すことで学校への支援を行っている。その上で、管下の全ての高等学校にキャリア教育全体計画の作成を求めている。

○さらに中央教育審議会答申では、キャリア教育は「様々な教育活動を通して実践されるもの」であると述べられている。

○教科教育の中で扱われる単元や題材等の内容が生活や社会、職業や仕事に関連するものである場合、社会や職業とのつながりを生徒に明示することなどを留意した指導は、当該単元・題材等のねらいを実現するための有効な手立てになり、積極的な取組が強く期待される。

○指導手法を工夫・改善することも、キャリア教育の効果を高めることにつながるものと考えられる。コミュニケーション力が未熟であるとか、計画性に乏しいなど、基礎的・汎用的能力の視点から見た子どもたちの実態から、例えば、新しい学習指導要領において重視されている言語活動を積極的に各教科に取り入れ、繰り返し発表の機会を設ける手法や話合い活動を重視する手法、少人数のグループ活動によって明確な役割分担を行う手法など、実態に応じた多様な取組を通じて授業の効果を高めていくことが考えられる。

○また学校では、子どもたちの実態を受けて、日常の生活や学習についての習慣を指導している。時間の遵守、準備物の徹底、あいさつや発言・傾聴のルール、片付けの仕方など、多くの教育活動において、多様な約束ごとや規範が指導されている。

○このように、キャリア教育実践の機会となり得る「断片」は様々な教育活動に存在するが、それらを丁寧につなぎ合わせ、意図的・体系的・系統的にキャリア教育に取り組んでいくことが重要である。

 

●特別活動や総合的な学習の時間、道徳について

○特別活動や総合的な学習の時間、道徳は、各教科の学習で学んだ成果等を様々な体験活動や話し合い活動等を通して、深化・発展、統合させたり、逆に、その成果を教科の学習に還元し反映させたりしていくというねらいをもっている。このため、そこで展開される学習活動は、様々な教育活動に存在する「断片」を丁寧につなぎ合わせ、意図的・体系的・系統的に取り組んでいく必要があるキャリア教育を進める上で、中核的な役割を担うものであり、その計画等をキャリア教育の視点から改善、充実することが求められている。

○各学校段階においては、これらの時間を、バランスよく、効果的に活用しながらキャリア教育を行っていくことが重要である。その際、特別活動、総合的な学習の時間、道徳については、学習指導要領において全体計画を作成することとされているため、各教科等との関連を考慮しながら、発達の段階に応じた教育活動を展開することが重要である。このようなことを踏まえ、キャリア教育が学習意欲を支えるものであるとの認識に立てば、全ての学校の特別活動や総合的な学習の時間、道徳である程度の時間を割いて、取り組むことが求められるものと考えられる。

○なお、総合的な学習の時間については、夏季、冬季、学年末等の休業日の期間に授業日を設定する場合を含め、特定の期間に授業を行うことができるとされている。このため、例えば、連続して数日間行う職場体験など、特定の期間に集中的に実施することにより効果的である場合がある。このような特徴を活かし、学校外での体験活動を盛り込むなど、学校外部との接点を子どもたちに与えることが期待されている。

 

●教員がキャリア教育に取り組みやすい材料、すぐにでも使用することの出来るような実践例、授業例や指導案などの提供について

○上記のとおり、教育課程の中でキャリア教育に取り組んでいく必要があるが、他方、学校の教員は極めて多忙な状況にある。

○したがって、多忙な教員でもキャリア教育に取り組むきっかけとなるような各教科等、特に総合的な学習の時間や特別活動において活用できる題材を集め、またすぐにでも使用できるような実践例、授業例、指導案などの指導用資料を、文部科学省として全国単位で提供することも考えられよう。

○ただし、真の意味でキャリア教育が学校教育に根付いたものとなるためには、先述したように、自らの学校におけるキャリア教育はどのようなものなのか、という議論を深め、身に付けさせたい力を焦点化し、実践していくことが、特に重要であることを言及しておきたい。

 

●高等学校普通科において「産業社会と人間」又はそれに類する教科・科目等のような中核となる時間を明確に位置付けることについての検討

○また、高等学校総合学科では、自己の進路への自覚を深めさせるとともに、将来の職業生活の基礎となる能力や態度等を育成するため、原則として履修させるべき科目として「産業社会と人間」が設けられている。

○文部科学省が行った「総合学科、学校設定科目『産業社会と人間』に関する調査」では、「産業社会と人間」の実施について、実施することの意義を認めている学校、教育委員会がほとんどを占めている。

○中央教育審議会答申が示すように、今後、高等学校の教育課程に、「産業社会と人間」又はそれに類する教科・科目等のような中核となる時間を明確に位置付けることについて、学校の協力も得ながら、検討を進めていくことが必要である。

○具体的には、キャリア教育を実践することで、どのような能力がどれくらい身に付くのかなど、実際にキャリア教育を実践している学校に協力を求めながら、キャリア教育の実践の効果について調査を進めていくことが必要となろう。

○更に、「産業社会と人間」を実際に指導する教員についても、どのように配置していくべきか検討していくことが望まれる。

 

(4)学校、教育委員会は何をすべきなのか

●現職教員のキャリア教育についての理解促進、能力の向上

○キャリア教育は、地域・社会や産業界との協働により進めていく必要があるが、主体となって進めていくのは、やはり子どもたちに毎日接している学校の教員である。

○しかしながら、例えば、高等学校の教員にキャリア教育に対する考えを聞いたある調査(※)では、「キャリア教育の主旨が見えない」や「キャリア教育において教員が果たすべき役割が見えない」と回答した教員は、年を重ねる毎に増えている。近年のキャリア教育に対する関心の高まりなども背景にはあると考えられるが、学校現場の戸惑いがこの調査からも見て取れる。
(※株式会社リクルート「高校の進路指導・キャリア教育に関する調査」平成18年、平成20年、平成22年)

○このような現状も踏まえれば、まずは学校現場の教員にキャリア教育について理解を深めてもらうことから始める必要があると考えられる。ゼロから新しいことを始めるようなものではなく、今既に行っている様々な教育活動をキャリア教育の視点で捉え直し、キャリア教育の視点で焦点化し、意図的・体系的・系統的に行える、理解を深める場の設定が必要と考える。

○教育委員会においては、その重要性・必要性から、キャリア教育に関する研修の機会を設定し、各学校におけるキャリア教育の中核となる人材を育てていくことに尽力して欲しい。

○さらに、地域社会や民間企業と学校を繋ぎ、協働による教育活動を推進していくことは、校長に求められる仕事の一つであり、また校内においてキャリア教育を進めていくためには校長のリーダーシップの発揮が極めて重要であることから、教育委員会では校長会や管理職研修などにおいても、キャリア教育の重要性を伝えていくことが期待される。

○加えて文部科学省においては、自ら全国へ出掛けていき、その重要性や必要性だけでなく、実施方法まで言及しながら伝える努力を惜しむべきではない。

 

●学校現場においてキャリア教育に組織的に取り組む態勢について

○学校現場、例えば中学校においては、キャリア教育の実践が学年団(ある学年を担当する担任や副担任などの教員集団)ごとで行われているものが多く、学校全体で組織立って行われていなかったり、学年団ごとにまちまちの取組が行われていたりするような課題が指摘されている。

○また高等学校においては、教科の壁が存在し、小・中学校に比べて教員同士の横のつながりが少ないとの指摘がある。キャリア教育の取組についても、個々の教員が属人的にキャリア教育を実施している場合があるなど、情報共有が少ない、もしくは、なされていない等の課題がある。

○キャリア教育は、前述のとおり、キャリア教育全体計画や年間指導計画の下、学校教育全体で行われていくものであり、また教科横断的に進めていくことが効果的でもあることから、学校全体で一つの方向性を持って進めていくことが重要である。

○例えば、校内でキャリア教育推進委員会を立ち上げることも一つの手法である。委員長に副校長や教頭などを据え、主幹教諭や進路指導主事などに加え、教務主任や研究主任、生徒指導主事、学年主任、特別活動主任、道徳教育推進教師、総合的な学習の時間主任などもメンバーとして、委員会を組織し、学校全体で共有を図りながら進める方法もあろう。

○その際は、校長のリーダーシップが重要であることは言うまでもないが、キャリア教育担当の専任者を置いて、その者を中心に、誰が何を担い、どのような責任を負うのかを明らかにしながら、また学校全体(職員会議など)で共有を図りながら、進めていくことが極めて肝要であり、文部科学省において、このような推進組織や役割分担について、一つのモデルを示すことも有効である。

 

●教員養成の観点から

○現在、教員免許状取得に必要な科目の中に「キャリア教育」という用語は規定されていない。教職に関する科目としては、「生徒指導、教育相談及び進路指導等に関する科目」が設定されており、その中では、「進路指導の理論及び方法」のほか、「生徒指導の理論及び方法」、「教育相談(カウンセリングに関する基礎的な知識を含む。)の理論及び方法」と合わせて、4単位以上の修得が必要とされている。

○キャリア教育を学校教育の中に根付いたものにするためには、教員養成課程においてキャリア教育をどう位置付けていくべきかを検討していく必要がある。

○教員は今後、キャリア教育を通し子どもたちに基礎的・汎用的能力を育成していくことも求められるが、更に学校外部の教育資源と学校とを結び付け、コーディネートをする役割なども求められる。加えて体験活動や職業人講話などでの気付きや考えるきっかけなどを、子どもたちの知的、情緒的、社会的な発達につなげていくことも教員に必要な役割の一つである。

○現在、中央教育審議会では、教員養成の検討が行われているが、その検討の中で、キャリア教育の重要性や必要性に鑑み、大学の教員養成課程における位置付けについても検討することが期待される。

 

●教育委員会の「キャリア教育」への実施体制について

○現在、教育委員会において、キャリア教育を担当する指導主事はいるが、その必要性や重要性について真に理解する間もないぐらい、キャリア教育の担当者が毎年変わるなど、業務分担の変更が頻繁に行われることも多く、ノウハウの蓄積が阻害される要因となっている。

○教育委員会においてキャリア教育を継続的に実施していくためには、キャリア教育担当の組織を設けたり、中核人材を育成する観点からキャリア教育担当の指導主事の研修の強化、指導力の向上とともに、在任期間について配慮したりするなどの取組のほか、地域の企業や経済界等との協力など外部機関との連携も期待される。

○例えば仙台市においては、「仙台市自分づくり教育(仙台市におけるキャリア教育)」を推進していく観点から、「確かな学力育成室」という担当部署を設置して、キャリア教育施策を体系的・系統的に実施しており、大きな成果をあげている。

 

(5)地域全体でキャリア教育に取り組むようになるには何が必要か


●各自治体単位で、キャリア教育のための産学官の連携を進めるべき(知事・市区町村長等を含めた首長部局、教育委員会、産業界等の連携)

○先述した通り、キャリア教育を地域全体、社会総がかりで進めていくためには、知事や市区町村長等を含めた首長部局や産業界等に協力を得ながら実施していくことは極めて重要である。このためには、教育界、首長部局や産業界等が一体となった協議の場を設けることが必要である。

○先に示した様な埼玉県の実例などがこれにあたるが、このような協議の場を、どの都道府県や市区町村においても、教育委員会、または首長部局が主体となって立ち上げることが必要である。そして、学校のみならず教育委員会、首長部局、産業界等がそれぞれ当事者として具体的な行動を起こすことが重要である。

 

(6)全国規模でキャリア教育を後押しするためには何が必要か

●国におけるキャリア教育コンソーシアムの設置について

○キャリア教育関連事業は、文部科学省だけでなく、経済産業省や厚生労働省も行っている。また多くの民間団体等(一般社団法人やNPO法人、大学間連携組織など)がキャリア教育関連事業を行っている。さらに、民間企業においても、CSR活動(企業の社会的責任を果たすための活動)の一環として、学校教育へのサポートを始める企業が多くなってきている。

○上記のようにキャリア教育に関係する人たちが多様になってきていることを踏まえれば、学校関係者(教育委員会や学校現場の教員)や上記の関係者が一同に会し、研究・先進事例の発表を行うとともに、参加者が情報交換を行い、行政からの情報提供も行うなど、情報の一元化と発信を目的としたキャリア教育コンソーシアムを全国レベルで設置することは、今後期待されることの一つである。

 

●キャリア教育ポータルサイトの設営について

○キャリア教育に関する情報は数多く存在するが、先にも述べたように様々な関係機関が存在すること、様々な地域で行われていることなどにより、情報が散在している。

○これでは、多忙な学校の教員がキャリア教育を行おうと思っても、情報をすぐに取り出すことができず、学校教育に関する情報を持っていない学校外部の人材が協力をしようと思っても、必要な情報にたどり着くことができない。せっかく湧き上がったやる気をそいでしまう一因にもなりかねない。

○多忙な教員や学校外部の地域・社会、産業界等からも簡単にアクセスすることができるような、情報が一元化されたポータルサイトを、学校の教員が利用しやすい文部科学省ウェブページ上に作成することが強く望まれる。

○さらに、「学校側が望む支援」と「地域・社会や産業界等が提供できる支援」をそれぞれ書き込むことができ、それをマッチングさせる機能を持つことができるとなお良い。学校側が持っている「どこに支援を頼めばいいのか分からない」といった思いと、地域・社会や産業界等が持っている「学校で支援を行いたいが、どこに持って行けばいいのか分からない」といった思いのミスマッチを解消する方法として期待されよう。

 

●キャリア・コンサルタントやキャリア教育コーディネーターなどの外部人材の活用について

○小中高等学校段階におけるキャリア教育に関する取組や関心が高まるにつれ、学校と学校外の教育資源とを結び付ける役割を果たそうとする活動が行われつつある。その担い手として、キャリア・コンサルタントやキャリア教育コーディネーターがその代表例として挙げられよう。

○キャリア・コンサルタントやキャリア教育コーディネーターのような人材が学校におけるキャリア教育の実践を支援する存在として活躍し始めているが、小・中・高等学校におけるキャリア教育の現場でキャリア・コンサルタントやキャリア教育コーディネーターにどのような活躍を期待できるのか、実際に学校で活躍できるキャリア・コンサルタントがどこにどの程度いるのか、また、どこにキャリア教育コーディネーターが存在しているのかなどが、学校現場からは見えにくいという課題もある。

○学校がこうした支援人材を活用しキャリア教育を推進していくためには、例えば、これらの人材がどこにいて、どのような活動実績や得意分野を持っていて、どのような支援が可能かなどの情報を、ウェブ上等で学校現場が利用しやすい形で一元的に提供できる情報提供体制を整えていくことが、有効な手段であると考えられる。

 
キャリア・コンサルタントとは

キャリア・コンサルタントは、「個人が、その適性や職業経験等に応じて自ら職業生活設計を行い、これに即した職業選択や職業訓練等の職業能力開発を効果的に行うことができるよう個別の希望に応じて実施される相談その他の支援」と定義されるキャリア・コンサルティングを担う専門家であり、社会人や大学生を主な対象に、職業生活設計や職業選択等に関する支援や相談を行うものである。
平成14年に厚生労働省による民間試験指定制度が発足し、平成20年度には国家検定が開始されている。キャリア・コンサルタントは、平成22年度末で、全国で約7万人が養成されており、ハローワークなどの公的就職支援機関や大学のキャリアセンター、企業等を主な活躍の場としている。
このように、キャリア・コンサルタントは元来児童生徒に対する指導・支援を担う者として養成されてはいないため、厚生労働省では、学校のイニシアティブのもと、キャリア・コンサルティングの理念や手法を活かすことが出来るよう、キャリア・コンサルタント等に対する講習を昨年度から開始したり、その養成モデルカリキュラムに「学校教育制度、キャリア教育に関する理解」についての内容を加えたりするなどの取組を始めているほか、「出張キャリア教室」の実施など徐々に小・中・高等学校における活動にも着手している。

 
キャリア教育コーディネーターとは

キャリア教育コーディネーターは、地域社会や産業界が有する様々な教育資源と学校を結び付け、学校教育において子どもたちが社会に触れることができる学びの場を提供することで、子どもたちの社会的自立を支援し、学校の学びの中で地域一体となったキャリア教育の実現を促す教育支援人材である。
経済産業省の事業として平成17年度から実施された「地域自律・民間活用型キャリア教育事業」や平成20年度から実施された「キャリア教育民間コーディネーター育成・評価システム開発事業」の成果を基に、平成23年3月、キャリア教育支援を行う全国の団体が「一般社団法人キャリア教育コーディネーターネットワーク協議会」を立ち上げ、キャリア教育コーディネーターの育成・研修事業や認定等を行っている。平成23年6月現在、全国で54名のキャリア教育コーディネーターが活動しており、平成23年度中には、コーディネーターの数は約100名に上る見込みである。

3.中間取りまとめ以降の本会議の議論の方向性について

○これまで本会議においては、主に今後のキャリア教育が目指すべき施策の方向性について議論を行ってきた。

○今後は、「キャリア教育を進めていく上での、教育委員会や学校内での体制整備の在り方」についてや、「キャリア教育についての様々な関係機関が、どの様な役割を担いながら、また学校に入っていくルールを守りながら、連携協働していくことが求められるか」等、本会議の設置目的に焦点を当てた議論を進めていく予定である。それらの議論を踏まえながら、年内に最終報告として取りまとめを行いたい。

 

(資料)

中間取りまとめまでの審議の経過

第一回

日時 平成23年1月31日(月曜日)10時から12時
主な議事
・関係各省の施策説明、質疑応答
・自由討議

 

第二回

日時 平成23年2月24日(木曜日)15時30分から17時30分
主な議事
・全国におけるキャリア教育の取組状況についての概要説明
・教育委員会等のキャリア教育の取組事例について
・自由討議

 

第三回

日時 平成23年4月21日(木曜日)10時から12時
主な議事
・キャリア教育コンサルタント、キャリア教育コーディネーターのキャリア教育の取組事例について
・自由討議

 

第四回

日時 平成23年5月19日(木曜日)15時30分から18時30分
主な議事
・キャリア教育に関する厚生労働省の施策説明
・全国高等学校長協会の調査からキャリア教育に関連する内容についての説明
・自由討議

 

第五回

日時 平成23年6月9日(木曜日)15時30分から18時30分
主な議事
・キャリア教育に関する調査について説明
・自由討議

 

第六回

日時 平成23年6月24日(金曜日)13時30分から15時30分
主な議事
・中間取りまとめ(案)について議長から説明
・自由討議

「キャリア教育における外部人材活用等に関する調査研究協力者会議」委員

50音順、敬称略(◎座長、□座長代理)

○特定非営利活動法人スクール・アドバイス・ネットワーク理事長
 生重 幸恵

○株式会社資生堂代表取締役執行役員副社長
 男女共同参画会議議員
 経済同友会幹事
 岩田 喜美枝

○特定非営利活動法人キャリア・コンサルティング協議会
 研修事業部マネージャー 
 江川 裕子

○仙台市教育委員会確かな学力育成室指導主事
 長田 徹
 ※人事異動のため、平成23年5月1日付で委嘱を解いた。

◎千葉商科大学教授
 鹿嶋 研之助

○清川メッキ工業株式会社専務取締役
 清川 卓二

○全国中学校進路指導連絡協議会会長
 東京都荒川区立諏訪台中学校校長
 清水 隆彦

○独立行政法人労働政策研究・研修機構キャリアガイダンス部門副主任研究員
 下村 英雄

○パナソニック株式会社常務役員
 東京都教育委員
 特定非営利活動法人おやじ日本理事長
 竹花 豊

○国立大学法人福岡教育大学准教授
 臨床心理士
 西山 久子

○埼玉県経営者協会元専務理事
 野上 武利

○大阪商工会議所人材開発部人材育成担当課長
 大阪キャリア教育支援ステーション
 廣田 雅美

○全国高等学校進路指導協議会会長
 東京都立杉並高等学校校長
 星野 文男

□立教大学大学院特任教授
 国立大学法人筑波大学特命教授
 渡辺 三枝子

計14名

(他省庁オブザーバー)

○厚生労働省

○経済産業省

※平成23年7月20日現在

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課

-- 登録:平成23年07月 --