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国際物理オリンピック参加生徒の成績について

平成21年7月20日

文部科学省では、独立行政法人科学技術振興機構を通じて、国際的な科学技術コンテストに参加する若者を支援する事業を実施しておりますが、このたび、メキシコ(メリダ)で開催された「第40回国際物理オリンピック」に参加した生徒が、金メダル等を獲得したとの連絡を受けましたので、報告いたします。
(共同発表:物理チャレンジ・オリンピック日本委員会)

受賞状況等

1.受賞状況

金メダル2名、銀メダル1名、銅メダル2名

2.参加者

5名の高校生(日本からは4回目の参加)

3.受賞者詳細 

金メダル 蘆田 祐人(あしだ ゆうと)さん 慶應義塾高等学校(神奈川県)3年
金メダル 東川 翔(ひがしかわ しょう)さん 茨城県立水戸第一高等学校(茨城県)3年
銀メダル 難波 博之(なんば ひろゆき)さん 岡山県立岡山朝日高等学校(岡山県)3年
銅メダル 安藤 孝志(あんどう たかし)さん 愛知県立旭丘高等学校(愛知県)3年
銅メダル 横田 猛(よこた たける)さん 西南学院高等学校(福岡県)3年

4.参加国数/人数

72カ国・地域/317名

5.場所/期間

メキシコ(メリダ)/2009年7月11日~19日(現地時間)

6.派遣機関

物理チャレンジ・オリンピック日本委員会

◆大会概括

○国際物理オリンピックは1967年にポーランドにて第一回大会が開催された。
○2009年のメキシコ大会は、第40回目。
○日本は、2006年から参加を開始し、毎年5名の選手を派遣。
○昨年のベトナム大会は、82ヶ国・地域、370名の選手が参加し、日本の成績は金メダル1名、銀メダル1名、銅メダル1名であった。
○本年は、72ヶ国・地域から317名の選手が参加し、日本は金メダル2名、銀メダル1名、銅メダル2名と全員がメダルを受賞する好成績であった。

○今回のオリンピックで出された試験問題
 理論問題試験は7月13日(月曜日)に実施された。地球と月の運動の問題、レーザー冷却の原理に関する問題、恒星の大きさと核融合反応に関する問題であった。
 実験問題試験は7月15日(水曜日)に実施され、回折と複屈折など標準的な光学実験課題であったが、実験装置の設置・調整など実験技術の要求が多く、与えられた実験装置に迅速に慣れることが要求された。

○エクスカーションなど試験以外の大会プログラム
 今回は比較的ゆっくりしたスケジュールの中で、メキシコ・ユカタンの歴史的文化遺産に触れた。また、同行した役員は、物理教育にかかわる世界の友人たちと再会し、若者の教育における国の事情や特徴について情報交換を行った。

◆日本代表の日程

7月9日(木曜日) 結団式、成田発
7月10日(金曜日) メキシコ着
7月11日(土曜日) 大会登録
7月12日(日曜日) 開会式・エクスカーション
7月13日(月曜日) 理論問題試験・エクスカーション
7月14日(火曜日) エクスカーション
7月15日(水曜日) 実験問題試験・エクスカーション
7月16日(木曜日) エクスカーション
~18日(土曜日)  
7月19日(日曜日) 閉会式・フェアウェルパーティ
7月20日(月曜日) メキシコ発
7月21日(火曜日) 成田着

◆日本代表の出身地

蘆田 祐人 東京都
東川 翔 茨城県 
難波 博之 岡山県
安藤 孝志 愛知県
横田 猛 福岡県

 ◆派遣生徒のコメント

蘆田 祐人さん 慶應義塾高等学校(神奈川県)3年
 例年より易しめだった反面、問題数が多く、テキパキと答えられるかどうかで明暗が分かれました。理論では第3問を除いて頻出の問題であり、易しめであったと思います。実験は易しい内容でしたが、使用する器具が単純なものばかりでやや困惑しました。全体として、ミスが多く、ベストは尽くしたつもりですが、IPhOや世界のレベルの高さを思い知らされました。結果として、チーム全員がメダルを獲ることができ、また、個人としては金メダルを獲ることができ、“淡い期待”に応えられたことが素直に嬉しいです。

東川 翔さん 茨城県立水戸第一高等学校(茨城県)3年
 理論はよく出る問題でしたが、近似が荒く戸惑いました。実験では干渉をうまく出すことに時間を浪費してしまいました。あまりよくできなかったと思います。日本も中国や韓国のようにものすごい強化訓練をすべきだと思います。結果として、思った以上の成績がとれて驚いています。上はまだまだ高いので、満足することなく自分に厳しくしていこうと思います。

難波 博之さん    岡山県立岡山朝日高等学校(岡山県)3年
 理論問題の内容は、研修などで経験したもので、とっつきやすかったのですが、問題数が多くて苦労しました。また、使い慣れた電卓が使えないという急なルール変更に上手く対応できませんでした。実験の第1問が難しく戦意喪失気味で、その影響が第2問にも影響してしまいました。せっかく鍛えていただいたのに、実力が発揮できず申し訳ありません。チーム全体としても個人としても良い成績を残すことができ、非常に嬉しく思っていますが、現状に満足せずこれからも精進していきたいです。

安藤 孝志さん 愛知県立旭丘高等学校(愛知県)3年
 理論問題は研修時の訓練問題より簡単に感じられました。しかし、一方でこれは解かねばという焦りが生じてしまいました。昨年のようなとても難しい問題なら逆に気楽にできたと思うのですが。実験は第1問がとても難しく、ひどい結果に終わったようです。今後の実験研修の質や内容を高めてください。“淡い期待”に応えられなくてすみません。結果として、ぎりぎりで銅メダルにたどりつくことができ、嬉しいですが、もう少し上を意識して挑戦したかったなあと思いました。

横田 猛 さん 西南学院高等学校(福岡県)3年
 多くの人は、今年の問題は簡単と思っていますが、僕はできなかったです。本番では何が起きるか分からないと実感しました。実験はこれまで受けた研修に比べて難しかったのですが、根気強くやることが大切であると実感しました。まさか自分がメダルをとれるとは思っていなかったので、非常に嬉しいです。いい経験ができたので、これからも頑張っていきたいと思っています。

◆同行役員のコメント

原田 勲/日本チームリーダー(岡山大学大学院自然科学研究科教授)
 メキシコにより組織された今回の国際物理オリンピック2009(IPhO2009)は、初期の新型インフルエンザ騒ぎにもかかわらず、72カ国から317人のコンテスタントをメリダに集め盛大に開催された。メリダの文化的雰囲気にマッチしたこの大会もまた歴史に残る大会の1つとなるであろう。我が日本チームがコンテストに十分な力を発揮してくれることを信じながら、役員としての仕事に精を出した。結果、全員メダル受賞の快挙を素直に喜んでいる。この快挙は、厳しい努力の積み重ねと最後までやり抜く精神力の成果であることを強く若者にアピールしたい。文部科学省をはじめとする関係者のご支援に心から感謝する。

光岡 薫/日本チームサブリーダー(独立行政法人産業技術総合研究所)
 今年の理論問題は、「月が静止衛星になるまで」、「レーザー冷却」、そして「恒星の質量と核融合」であった。オーソドックスな問題だが、設問数が多く、時間が限られる中で、どれだけ効率的に取り組めるかが問われる内容だった。一方、実験問題は、同じくオーソドックスな光学問題(回折と複屈折)だったが、実験装置の設置・調整が難しく、実験装置への慣れが要求される内容だった。理論問題、実験問題ともに、オリンピックへの準備時間が限られる日本の代表生徒には、点数がとりにくい問題だったかもしれない。

杉山 忠男/日本チームオブザーバー(河合塾)
 新型インフルエンザを心配しながらの参加であったが、代表者に健康を害する者もなく、また、成績もそれなりの結果を残すことができたと喜んでいる。日本代表の高校生に乾杯!!

向田 昌志/日本チームオブザーバー(九州大学大学院工学研究院)
 金メダルは山巓の空気に似ている。どちらも不断の努力なしには得ることが出来ない。

◆過去の国際物理オリンピックにおける日本代表の成績

2006年(第37回)シンガポール大会(参加規模:93カ国・地域、398名) 銀メダル1個、銅メダル3個
2007年(第38回)イラン大会(参加規模:69カ国・地域、327名) 金メダル2個、銀メダル2個、銅メダル1個
2008年度(第39回)ベトナム大会(参加規模:82カ国・地域、370名) 金メダル1個、銀メダル1個、銅メダル1個

◆「国際物理オリンピック(International Physics Olympiad)」について

 国際物理オリンピックは、1967年にポーランドのワルシャワで第1回大会が開催された物理の国際的なコンテスト。各国から高校生等が参加し、物理学に対する興味関心と能力を高め合うとともに、参加国における物理教育が国際的な交流を通じて一層発展することを目的としている。科学・技術のあらゆる分野において増大する物理学の重要性、次代を担う青少年の一般的教養としての物理学の有用性に鑑み、開催国を持ちまわりとして毎年開催されている。国際大会の参加資格は、20歳未満で且つ大学などの高等教育を受けていないこと。
 各国内で選抜された最大5名の代表選手たちが、リーダーやオブザーバーからなる引率役員とともに参加する。10日間という長い会期の間、選手は理論問題・実験問題にそれぞれ5時間をかけて挑戦するほか、開催国の文化に根ざした様々なイベントに参加することを通じて、他の国々からの参加者や主催者と国際的な交流を深めることができるように構成されている。引率役員は、試験問題についての討論会に参加、自国語への翻訳作業、試験結果についての調整などが仕事である。これらを通して、引率役員にとっても国際的な理科教育推進のネットワークを形成し、自国の理科教育を国際標準に照らして見直す良い機会になる。

◆全国物理コンテスト「物理チャレンジ」について

 「物理チャレンジ」は、大学等に入学する前の青少年を対象として物理の持つ面白さと楽しさを体験してもらうことを目的とする全国規模のコンテストで、国際物理オリンピック日本代表選考を兼ねている。
 「物理チャレンジ」は、2つの段階から構成されており、はじめの「第1チャレンジ」は、「理論問題コンテスト」と「実験課題レポート」からなる。理論問題コンテストは全国一斉の会場試験、実験課題レポートは自宅や学校で課題実験に取り組み、そのレポートを郵送で提出する。二段階目の「第2チャレンジ」は、第1チャレンジの総合成績により選抜された100名が、夏休みに一堂に会する3泊4日の合宿形式のコンテスト。理論問題と実験問題についてそれぞれ5時間の試験を実施する。ここでは成績上位6名に金賞、続く12名に銀賞、続く12名に銅賞、さらに続く約20名に優良賞等を授与する。
 第2チャレンジで優秀な成績をおさめた参加者から、翌年の国際物理オリンピック参加資格を持つ日本代表候補者を10~15名程度選出し、5ヶ月間にわたる通信添削、大学等を会場とした実験実習、冬休み及び春休みの合宿研修等の教育研修を実施したのち、最終選考を行い5名の日本代表を決定する。
 なお、第2チャレンジは、国際物理オリンピックを模して合宿形式のメリットを活かし、コンテストばかりでなく第一線の研究者との対話、先端研究施設の見学、そして参加者同士ならびに参加者と実行委員(物理学研究者)との交流を深める機会なども織り込んであり、物理に興味を持つ若者にとって充実した4日間となる構成としている。

◆参考資料に関するお問い合わせ先◆

物理チャレンジ・オリンピック日本委員会 
(財団法人日本科学技術振興財団内)大野、谷本
TEL03-3212-8518/FAX03-3212-7790
URL http://www.phys-challenge.jp/

お問合せ先

文部科学省科学技術・学術政策局基盤政策課

堀田、福島、西田、古屋
電話番号:03-6734-4191(直通)/03-5253-4111(内線3881,4192,4193,3890)

物理チャレンジ・オリンピック日本委員会(財団法人日本科学技術振興財団内)

大野、谷本
電話番号:03-3212-8518
ファクシミリ番号:03-3212-7790

(文部科学省科学技術・学術政策局基盤政策課)