第101号 平成20年10月27日
初中教育ニュース
第101号
〔初等中等教育局教職員課教員免許企画室〕
シリーズ第12回となる今回のテーマは、「非常勤講師の確保」についてです。
各地の教員免許更新制の説明会に招かれた際に、「教員免許更新制の導入により、非常勤講師などの確保が一層難しくなってしまうのではないでしょうか?」といったご質問・ご意見をいただくことがあります。そこで、今回は、こうしたご懸念についてご説明したいと思います。
教員の大量退職の時代に突入し、現在でも、非常勤講師等の確保に大変ご苦労されている教育委員会や学校法人があるように伺っております。
また、来年4月から本格実施される教員免許更新制が導入されますと、これまで以上に非常勤講師の確保が困難になってしまう、といった声も伺います。
こうした点を背景に、日頃から非常勤講師の確保にご苦労されている学校関係の方々からは、非常勤講師などは、何らかの例外措置ができないものか、といったご要望をいただくことがあります。
ご承知のとおり、教員免許更新制は、非常勤講師や臨時講師などに対しても、一律に適用され、修了確認期限を過ぎた後は、30時間以上の更新講習を受講・修了しなければ教壇に立つことができないこととなっております。
このことは、教員免許更新制の導入の趣旨が、すべての先生方に、最新の知識・技能を定期的に身に付けていただくことで、自信と誇りを持って教壇に立っていただくことを目的としています。
そのため、非常勤講師の方についても、実際に教壇に立って授業を行っていただくことから、導入の趣旨に照らして、例外なく更新講習を受講・修了していただく必要があるのではないかといった考え方で、一律に適用されています。
なお、教員免許更新制が導入されても、すぐに今の免許状が使えなくなってしまうわけではありません。
教員免許更新制は、平成21年3月31日までに免許状を授与された方については、生年月日を元に割り振られた修了確認期限まで、今まで通り教壇に立つことができます。
修了確認期限は、平成23年3月31日から平成32年3月31日までの各年度末に10組に分かれて割り振られていますから、平成23年3月31日までは全員の方が教壇に立つことが可能です。その後は毎年1組ずつ10年間かけて、修了確認期限が訪れることになりますので、いきなりすべての教員に修了確認期限が訪れるものではありません。当然ながら、修了確認期限が訪れた方でも、更新講習を受講・修了すれば、教壇に立つことが可能になるわけですので、最終的(10年後)に、だれも教壇に立てなくなるということでもありません。
また、修了確認期限は、35才、45才、55才で迎える年度末が基本となりますから、例えば20才代の非常勤講師であれば、35才で迎える年度末まで、再任用の非常勤講師であれば65才で迎える年度末まで、更新講習を受けずに教壇に立つことができます。
さらに、昭和29年度以前の生年月日の方、つまり、昭和30年4月1日までに生まれた方については、そもそも修了確認期限が割り振られていませんので、更新講習を受けなくとも終身教壇に立つことができます。
これらのことを考えれば、教員免許更新制が導入されても、すぐに非常勤講師の確保が困難になる、ということではないことがご理解いただけると思います。
文部科学省では、非常勤講師の円滑な確保がなされるよう教育委員会や学校法人に対して、非常勤や臨時の講師として採用する可能性のある方をリストアップして受講ができるようにしておくことや、複数の主体が合同でリストを作成することなど、教員を任用・雇用する機関に対して、取組を促しているところです。
次回は、「教員免許管理システムと現職教員調査」について、ご説明します。
(文部科学省の教員免許更新制に関するHPをご参照ください!!)
修了確認期限のご確認や教員免許更新制に関する情報が掲載されている、文部科学省HPのアドレスはこちらです。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/koushin/index.htm
(※教員免許更新制へリンク)
“教員免許更新制”でも[検索]できます。
〔生涯学習政策局生涯学習推進課〕
「放課後子ども教室推進事業」は、放課後や週末等に小学校の余裕教室等を活用して、子どもが安全・安心な場所で学習や体験活動・交流活動の取組を実施するものです。
シリーズ第9回として、宮崎県宮崎市での取組をご紹介します。
宮崎県宮崎市立檍(あおき)小学校長 今門 幸藏
檍小学校は、宮崎市のほぼ中央に位置する伝統のある学校です。卒業生も1万5千名を超えており、地域にも大勢の卒業生が住んでいらっしゃいます。そして檍小学校を愛してくださっています。
本校の「放課後子ども教室」は、平成16年度に宮崎市の「子どもの居場所づくり推進事業」として始まりました。PTAの役員を長年努め、また様々な社会活動に熱心に取り組んでくださっていた地域の方がコーディネーターを引き受けてくださいました。そして、檍地区青少年育成協議会、子供連絡協議会、小学校PTA、中学校PTAの代表等9人の方々の協力を得て、コーディネーターを含めた10人体制で活動を始めました。
現在、檍小学校の運動場や体育館、地域の公民館等でスポーツや夏休みの工作教室、団子作り、グランドゴルフなど多種にわたる活動を行っています。平成19年度は、平日48回、休日に5回、計53回実施し延べ1,132名の小学生が参加しました。かかわっていただいた安全管理指導員、学習アドバイザー、ボランティアの方々は延べ321名に上ります。
活動をいくつか紹介します。子どもたちが楽しみにしている活動に団子作りがあります。例年100名以上が参加しており、調理室の関係で2回に分けて活動していますが、子どもたちは歓声を上げながら実に楽しそうに作っています。そして笑顔いっぱいで試食をしています。
グランドゴルフやしめ縄作りは、三世代交流を兼ねています。学校周辺の高齢者クラブの方々に指導していただいています。参加する子どもたちやボランティアの方々も年々増えてきており、コーディネーターの「地域の子どもは地域で育てる」「心豊かでたくましい子どもを育てていきたい」という強い思いは地域の方々の間で確実に広がってきています。
子どもたちも、「違う学年の友達ができた。」「地域の方と知り合いになった。」「今までしたことのない経験ができた。」と喜んでいます。わたしも、楽しそうに活動する子どもたちの様子を見て嬉しくなってきます。同時に、本校の子どもたちにこのような体験を実施してくださるコーディネーターやボランティアの方々に頭の下がる思いでいっぱいです。かかわってくださっている方々の中には卒業生も多くいらっしゃいます。「放課後子ども教室」を通して先輩が後輩をお世話してくださる、そうした活動を通して、檍小の子どもたちも、必ず、地域を愛し地域を支える大人になってくれると信じています。これからも、「放課後子ども教室」の活動を支え活性化させていきたいと思っています。
「放課後子ども教室」の情報は、以下の「放課後子どもプラン」のホームページをご覧ください。 http://www.houkago-plan.go.jp(※放課後子どもプランホームページへリンク)
〔初等中等教育局教育課程課〕
本年3月に改訂した小・中学校の新学習指導要領は、平成21年度から算数・数学、理科を中心に内容の一部を先行して実施することとしています。
例えば、小学校6年生理科の場合、平成21年度は現行学習指導要領の内容に加えて「月と太陽」などを指導することになります。平成22年度はさらに「てこの規則性」や「電気の利用」が加わります。新学習指導要領に対応した教科書ができるのは、小学校は平成23年度、中学校は平成24年度からになりますので、それまでは教科書に掲載されていない内容を指導しなければなりません。
このため、文部科学省では、算数・数学、理科について、指導に支障が生じないよう、平成21年度に指導内容が追加される学年(算数・数学:小1~小6、中1、理科:小3~小6、中1、3)のすべての児童生徒・担当の先生方等に対し、教科書を補完する補助教材を作成し、配付することとしています。
補助教材は、先生方の指導のしやすさ、児童生徒の使いやすさの観点から、各学校で使用されている教科書のスタイルに準拠したもの(補遺)となるように、教科書会社に作成を依頼することとしています。
また、移行期間中に追加して指導すべき内容は年度ごとに異なるため、それぞれの年度ごとに補助教材を作成・配付する予定です。去る10月16日に成立した平成20年度補正予算では、平成21年度に使用する補助教材の編集・印刷・配付等に必要な経費(約13億円)を認められています。(平成22年度用補助教材の印刷・配付等の経費は平成21年度予算に計上(概算要求中))
これを受け、文部科学省では、平成21年度に使用する補助教材について、平成21年3月末までに各学校に配付できるよう現在準備を進めているところです。具体的な配付方法については、今後決まり次第すみやかにお知らせします。
このように補助教材が作成・配付されることをまだご存じなく、教材をどのように準備すればよいか悩んでいる先生がいらっしゃるというお話を伺いました。
各教育委員会や学校におかれましては、算数・数学、理科の補助教材が今年度中にすべての児童生徒・担当教師に配付されることについて、各学校の先生方にお知らせいただくとともに、来年度からの移行措置の開始に向けた準備を進めてくださいますようお願いします。
〔特別支援教育課〕
障害のある子ども一人一人の教育的ニーズに応じた適切な指導や必要な支援を行う「特別支援教育」が昨年度よりスタートしました。子どもたちの自立と社会参加に向け、学校・家庭・関係機関などが一体となって、特別支援教育を一層推進していくことが、今強く求められています。文部科学省では、広く国民の皆様に特別支援教育についての理解と認識を深めていただくため、平成20年12月6日(土曜日)、第3回特別支援教育全国フォーラムを開催いたします。
今回のフォーラムでは、特別支援教育の充実のための連携・協力をテーマとして、教育、医療、保護者のそれぞれの立場からのてい談を行います。午後の分科会は、
小・中学校における特別支援教育の取組、
地域における特別支援教育の充実・発展、
地域で暮らしていくための支援について、講義や実践事例紹介を踏まえた意見交換を行います。このほか会場では、特別支援学校や小・中学校特別支援学級の学習状況などを紹介したポスター展示を行うなど、多彩なプログラムを御用意しております。
多くの皆様の御来場をお待ちしております。
▼お申し込み、詳細はこちらを御覧ください。(文部科学省HPへリンク)
http://www.mext.go.jp/b_menu/gyouji/2008/08100909.htm
(※行事・開催案内へリンク)
〔大臣官房政策課評価室〕
文部科学省では、昨年11月、経済財政諮問会議から提示された
少子化社会対策に関連する子育て支援サービス及び
若年者雇用対策の2つの政策評価の重要対象分野のうち、文部科学省関係部分について総合的な評価を実施し、平成20年9月19日に公表しました(本評価書は、今後、総務省において政府全体として取りまとめられた上、経済財政諮問会議に報告される予定です)。
少子化社会対策に関連する子育て支援サービスにおいては、認定こども園制度、幼稚園の子育て支援活動の推進事業、預かり保育推進事業、及び放課後子ども教室推進事業の4施策について、それぞれの施策の効果や問題点等の分析を行いました。
若年者雇用対策においては、主に、中学校・高等学校、専門高校、大学等、専修学校それぞれにおける関連施策について、職業意識の醸成、学び直しといった効果に結びついているかや、施策の問題点等について分析を行いました。
それぞれの評価結果の詳細は、以下のURLからご覧になれます。
なお、文部科学省では、別途、文部科学省実績評価書―平成19年度実績―及び文部科学省事業評価書―平成21年度新規・拡充事業等―を、平成20年8月29日に公表しています。
(参照URL:http://www.mext.go.jp/a_menu/hyouka/main_a11.htm(※文部科学省の政策評価制度についてへリンク))
〔生涯学習政策局「早寝早起き朝ごはん」国民運動プロジェクトチーム〕
近年、家庭における食事や睡眠などの基本的生活習慣の乱れと、学習意欲や体力、気力との相関関係が指摘されています。このような中、各地域の学校等において、子どもの基本的生活習慣の確立の重要性についての認識が高まるとともに、「早寝早起き朝ごはん」運動や子どもの生活リズムの向上に向けた取組が広がりをみせています。
そこで、今回、教育現場等に携わる方々を対象として、効果的な学校・家庭・地域での取組の成果について事例発表会を開催します。皆さまのご参加をお待ちしております。
なお、参加については、FAX事前申込が必要です。詳細及び、開催案内・FAX申込書のダウンロードについては、
http://news.hayanehayaoki.jp/2008/10/11g-52f1.html
(※早寝早起き朝ごはん全国協議会[事務局ニュース]ホームページへリンク)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/10/08102220.htm
(※報道発表へリンク)
をご覧ください。
〔生涯学習政策局参事官(学習情報政策担当)付〕
文部科学省では、映画その他の映像作品及び紙芝居について、教育上価値が高く、学校教育又は社会教育に広く利用されることが適当と認められるものを選定し、あわせて教育に利用される映像作品等の質的向上に寄与するために、教育映像等審査規程(昭和29年文部省令第22号)に基づいて映像作品等の審査を行っています。
9月の文部科学省選定作品等(学校教育教材)の紹介
〔国立教育政策研究所教育課程研究センター〕
国立教育政策研究所教育課程研究センターでは,学習指導要領に基づく教育課程が円滑に実施されるために,特に重要な課題についてテーマを示し,指定校や指定地域で実践的な研究を進めています。今回,各学校における指導や評価の改善等に活用していただくことを目的とし,平成19、20年度指定事業の研究成果を公開します。
〔内閣府 食育推進室〕
内閣府では、食育基本法に基づいて定められた食育推進基本計画に則り、国民運動として食育の推進に努めています。
その一環として、今般、内閣府では、小学生、中学生、高校生を対象として、食育推進のためのポスターを公募することとしました。
小学生、中学生、高校生ごとに金賞、銀賞、銅賞を選出します。金賞の作品には、食育推進全国大会開会式(平成21年6月13日(土曜日))で、内閣府特命大臣から表彰状が授与されます。また、大臣表彰作品は「食育月間」又は「食育の日」のためのポスター、パンフレットに使用するほか、食育に関する催しに当たって展示会を開催することとしています。
詳しい募集案内は内閣府ホームページに掲載している食育推進のページをご覧ください。
http://www8.cao.go.jp/syokuiku/more/promotion/poster/21/bosyuu.html
(※内閣府ホームページへリンク)
〔初等中等教育局初等中等教育企画課〕
学校で必要な公費や、給食費などの保護者負担金などを適切に管理することは、学校の教育活動の基盤を支え、信頼される学校づくりを進める上でも大切なものです。
今回は、学校の財務管理を適切に行うために、様々な取組を行っている教育委員会の事例をご紹介します。
市民みんなで教育を考えることを目的とした「教育を考える集い」を毎年開催しています。この集いの中で、学校事務職員が担当しているコーナーで、学校財務についての展示や情報提供を行います。
(11月22日~23日、上越市民プラザ等で開催(上記コーナーは22日のみ開設)。詳しくはこちらから→http://portal.jmix.jp/info/detail.php?no=1(※上越市みんなの広場ホームページへリンク))
学校の財務を担う学校事務職員を対象に、財務マネジメント等についての学校財務研修会を11月の間に5回開催し、適切な財務管理を推進します。
毎月各学校で学校財務の点検・確認を行う「学校経理の日」を実施しており、その結果をいくつかの学校では中間決算報告として教育委員会へ報告する取組を行うなど、財務管理の適正化に努めています。
また、学校預り金(保護者負担金)を管理する新しいシステムの導入に関する研修会などを実施しています。
これらの教育委員会の取組は、本年度から、学校財務の適正な管理を目指し、全国公立小中学校事務職員研究会が教育委員会や教育関係団体に呼びかけ、「教育の日」が設定されている11月第1週を中心に行われる「学校財務ウィーク」の取組と連携して行われます。
文部科学行政の“今”が読みやすく分かる、総合政策マガジン!
http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/jihou/011001.htm
(※出版物案内へリンク)
特別支援教育に関する最新情報や実践事例等をわかりやすくお届けします!
など
URL:http://www.toyokan.co.jp/zassi1/tokushi.htm(※東洋館出版社ホームページへリンク)(株式会社 東洋館出版社)
義務教育の財源保障はいかにあるべきか
この問題は、平成14年から18年にかけての三位一体の改革の中で、盛んに議論されたが、現時点でもう一度考えてみるのも無駄ではあるまい。
義務教育にはおおむね毎年10兆円ほどの公財政支出が行われている。国・都道府県・市町村の比率は、おおむね2
5
3くらいだと見てよい。国と都道府県の支出は、その大部分が人件費だ。市町村の支出は、施設整備費(施設整備のための債務の償還費を含む)、教材・備品・図書・パソコン等の整備費、光熱水料、それに一部の人件費が含まれる。
義務教育は地方自治法上「自治事務」とされているが、それは地方公共団体が実施の責任を負っているということであって、地方の裁量でやってもやらなくてもいいという事務ではない。義務教育は、憲法がすべての国民に保障する「教育を受ける権利」の中核をなすものだ。市町村は小中学校を、都道府県は特別支援学校を設置しなければならないという法律上の義務を課されている。義務教育の年限は9年と法定されており、地方の裁量で8年にしたり10年にしたりはできない。憲法で義務教育は無償と定められているから、その経費を授業料として受益者負担に転嫁する余地はない。国民の教育を受ける権利を保障し、教育の機会均等を確保するため、指導内容、授業時数などの教育課程や学級編制、教職員定数などの教育条件については、一定のナショナル・スタンダードが必要だ。自治体の財政が苦しいからといって、勝手に教育水準を下げてよいというものではない。
もちろん、義務教育における分権改革は重要な課題だ。市町村や学校への権限移譲、学校の自主性・自律性の確立、地域に開かれ地域に支えられる学校づくり、地域や児童生徒の実情に応じた特色ある教育など、分権改革として取り組むべき課題は沢山ある。しかし、それらはすべて上に述べた義務教育の基本的な枠組みの中での取組である。
義務教育の水準を全国的に確保し、地域間格差が生じないようにするためには、義務教育費の全額が何らかの方法で保障され、各自治体の財政力や財政状況によって教育条件・教育水準が左右されないようにしなければならない。義務教育費国庫負担制度はそのための制度であり、義務教育諸学校の教職員の給与費の財源を、国が定率(現在は3分の1)で負担することによって、都道府県負担分と合わせて給与費の全額を保障しようとするものである。
しかし、現行制度上、義務教育費国庫負担金だけでは10兆円規模の義務教育費全額の確実な財源保障にはなっていない。教職員の給与費のうち3分の2は都道府県の一般財源、すなわち税収と地方交付税交付金を足したものでまかなわれている。かつて国庫負担金の対象経費だった教材費、旅費、教職員の退職手当などは、現在はすべて地方の税収と交付税でまかなわれている。学校図書館の図書整備費やパソコン・校内LAN等のICT環境整備費なども、すべて市町村の税収プラス交付税の中でまかなわれている。
地方交付税交付金は「財源保障機能」を持っていると言われているが、実際には確実な財源保障になっているとは到底言えない。それは、図書整備状況やICT環境整備状況の市町村間格差がきわめて大きいという現実が証明している。
新進気鋭の財政学者である赤井伸郎氏や土居丈朗氏は、現行制度上の国庫負担金と地方交付税交付金を大胆に再編し、「ナショナルミニマムの財源保障のためのブロック補助金」と「地域間財政調整のための水平的財政移転」(赤井氏)又は「基礎的サービスの財源保障のための使途特定交付金」と「財政調整だけのための新交付税」(土居氏)に分けるべきであると主張している。そして義務教育は、生活保護、警察、消防などと並んで、「ナショナルミニマム」又は「基礎的サービス」にあたるものとされている。すなわち、義務教育費はその全額を「ブロック補助金」又は「使途特定交付金」(呼び方は異なるが、義務教育にのみ充てる国庫支出金で、客観的な算定方法で額が決められ、その具体的な使い方は各自治体に任せられるものという意味で、ほぼ同じ)によって確実に保障すべきだというのだ。
こうした見解に従えば、現行の義務教育費国庫負担制度は、その対象経費を教職員給与費だけでなく教材、図書、ICT環境整備など義務教育に要する経費全体に拡大し、その負担率を3分の1ではなく3分の3(つまり全額)に拡大した上で、現行の総額裁量制を義務教育費全体に拡大し、国庫負担金を義務教育のために具体的にどのように使うかは地方の裁量に任せるよう改革すべきだということになる。この「義務教育費全額国庫負担金」は義務教育費全体をカバーするのだから、その額は当然10兆円規模のものになる。
これは非現実的な夢物語だろうか?
〔大臣官房審議官(初等中等教育局担当) 前川 喜平〕
発行元 文部科学省初等中等教育局内 「初中教育ニュース」編集部
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