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3.再発防止策等

1.背景・要因

(ア)本件に係る背景・要因

  •  本事案は、大島が倉重に対し、国立大学法人等の施設整備予定事業の一覧を提供するなどの有利便宜な取り計らいをした謝礼等として現金を収受していたというものであり、これに関連して、大島及びその他の一部の職員等が、倉重とゴルフ・会食等の不適切な関係を継続していたことが明らかになったものである。
     調査結果では、関係者と倉重の不適切な関係は、倉重と大島との関係に起因するところが大きいと考えられるが、それに加えて、下記の要因が複合的に絡み合った状況が背景にあったと考えられる。

1予算関連情報の管理の不徹底

  •  倉重に提供されていた資料は、いずれも予定価格や入札過程に関する直接的な資料ではなく、プレス発表による公表資料、又はプレス発表による公表資料のように外部に提供するものではないが、個々の記載内容については、外部の者からの問い合わせがあれば個別に情報提供を行うものである。
  •  しかしながら、各資料の外部の者への提供に関して、外部の者への提供が「できるもの」と「できないもの」についての明確な区別がなされていなかったこと、提供可能なものである場合の提供が可能となる時期が明確でなかったこと、これらにより、資料の取扱いが一貫したものとなっていなかったことには問題があったと考えられる。

2硬直的な人事

  •  大島は入省以来、3年間の金沢大学施設部建築課勤務を除き、一貫して本省文教施設企画部に勤務している中で、倉重とも継続的に接触し、親しい関係が継続され日常化しており、関係を修正・解消する契機もつかみにくい状況にあったと考えられる。
  •  また、文教施設企画部では、その業務の専門性もあり、狭い範囲に人事が限定される傾向があった。このようなことが一因となって、上司と部下の間に、休日の活動等を含めて、上司に誘われれば断りにくい固定化された人間関係が形成されやすい状況があったと考えられる。

3服務規律の不徹底

  •  大島の現金収受は論外として、現職職員等のゴルフ・会食等については、
    •  倉重は、文教施設企画部内では、個別企業の社員であるとの認識が薄く、また、上司である大島に誘われてゴルフに行ったといった形から始まって、次第に恒例化したものであること、
    •  このため、服務規律上の問題発生への認識が曖昧になっていたこと、
    が背景にあり、外部の者との関係において、自分の相手が利害関係者であるかどうかの確認など、具体的な場面で服務規律が十分に働かなかったと考えられる。

(イ)本件が長期間継続していた背景

  •  現職職員等によるゴルフ・会食等が長期間にわたり発覚せず継続していた背景としては、上記(ア)と密接に関連するものであるが、
    •  倉重とゴルフ等を継続して共にしていた職員が限られた者に固定されていたこと、
    •  倉重と大島らとは、職場で接触することは必ずしも多くなく、主として休日などの勤務時間外にゴルフ・会食等を行っており、こうした形での交際により職場では気付かれにくい状況になっていたこと、
    •  関係者間において、服務規律上問題があるとの認識が希薄であったこと
    などの要因もあるものと考えられる。

2.再発防止策等

(ア)国立大学法人等の施設整備事業のプロセスにおける情報管理の改善等

  •  本事案においては、施設整備事業に係る関係資料の取扱いに一貫性が欠け、その結果、外部の者にとってはそれらが実際に入手困難なものになっていたか、または少なくとも入手困難であるとの印象を与え、情報の価値についても誤解を生じさせる余地があった。このため、外部の者の情報へのアクセスのしやすさに可能な限り差異が生じないような仕組みを構築するなどの観点から、以下のような措置を講ずる。
    • 1  資料の外部への提供の可否、提供時期を明確化する。
      •  施設整備事業に係る関係資料については、各々の資料の性格・用途等に応じ、プレス発表や外部からの問い合わせがあった場合の対応などを含め、外部の者への提供の可否の区別や提供可能な場合の提供時期について、明確化しわかりやすく整理する。
      •  その際、ホームページの積極的な利用を図る。
    • 2  実施予定事業一覧の公表を早期化するとともに、建物配置図の公表を行う。
      •  現在、当該年度予算が成立し、財務省との実施計画協議を終了した後に行っている個別事業の一覧のプレス発表の時期を早期化し、毎年12月末ころ行われる政府予算案決定時に実施予定事業として行うこととする。
      •  これまでプレス発表していなかった実施事業の建物配置図については、個別事業の実施計画協議の終了時にプレス発表することとする。
    • 3  外部の者へ提供することができない資料の管理を徹底する。
      •  外部の者への提供ができないもの及び提供できるものであっても提供が可能な時期以前は、事業についてのいかなる問い合わせに対しても情報提供を行わないことを徹底する。
      •  外部の者への提供ができないものについては、部内における配付者を限定してコピー数を必要最低限にし、また、施錠が可能な保管庫等に確実に保管する。電子データについてもパスワードの設定等による管理を徹底する。
    • 4  「国立大学等施設整備に関する検討会」の運営を改善する。
      •  同検討会については、今回の事案との関係は認められない。しかしながら、その運営についての透明性が不十分との指摘があったことを踏まえ、
        • 委員の任期
        • 委員の氏名等の公開
        • 会議資料、議事概要(要旨)の公開
        などの取扱いについて見直しを行い、審査の透明性を高めることとする。

(イ)文教施設企画部に係る人事異動のあり方の改善

  •  類似の業務を担当する部署に職員が長期間配置されることが、業者との接触の反復・継続や不適切な関係を修正・解消する契機がつかみにくい状況を生み、また組織としての機動性や柔軟性等に富んだ業務遂行に対する阻害要因となり得ることを踏まえ、文教施設企画部の職員の柔軟な人事異動を一層促進する。
    • 1  建築系職員の他局課への積極的な配置など、幅広い人事異動をより一層推進する。
      •  建築系職員も含め、これまでその配属先が文教施設企画部に基本的に限られるような人事異動が行われてきた職員について、他局課にも積極的に配置し、さらに海外や地方公共団体等との人事交流を一層積極的に推進する。
      •  また、文教施設企画部への建築系以外の職員の配置についても一層推進する。
    • 2  建築系職員の採用手続き等を改善する。
      •  建築系職員の採用については、人事課と文教施設企画部とがより密接に連携を取りつつ、採用後の配属先を含め、事務系職員と一体的な採用手続きを行う。
    • 3  国立大学法人等の施設担当部署における人事の改善を促す。
      •  国立大学法人等の施設担当部署についても、文部科学省における改善策の視点を参考にしつつ、自主的な点検・改善を行うよう促す。

(ウ)服務規律の一層の徹底

  •  職員には、国家公務員等として高い倫理感に基づく行動が常に求められていることを意識しながら職務を遂行することが必要である。
  •  国家公務員倫理法等の関係法令によって禁止されている行為はもとより、それらに直接抵触しないような行為であっても、国家公務員倫理法等が制定されている背景となっている社会的要請を認識し、国民からの疑惑を招くような行為は厳に慎むべきである。
  •  これらを踏まえ、服務規律違反には厳正な態度で臨むことを含め、服務規律の徹底について、きめ細かい取組みを進める。
  •  その一環として、本事案の関係者の処分等を、次のような方針のもとに、厳正に行う。
    •  大島については、現在司法判断に委ねられている段階となっている。国家公務員を退職した者について禁固刑以上の刑が確定した場合には、国家公務員退職手当法等に基づき、すでに支給されている退職手当の返納を求めることができることとなっており、大島に支給された退職手当の取扱いについても、今後の公判手続きの推移等を見守りながら適切に対応する。
    •  本事案に係る大島以外の者で、国家公務員倫理法に抵触している者については、行為の態様、社会的影響、その職位の責任の度合い等を勘案して、懲戒処分等を行うなど厳正に対処する。
    •  国立大学法人等の職員である者については、所属する国立大学法人等の服務関係の規程に基づき厳正な対応が行われるべきであると考える。
    • 1  服務規律の徹底について一層体系的・継続的に実施する。
      •  大島の収賄事件による逮捕を受け、4月7日(月曜日)に、綱紀の粛正と公務員倫理の向上等について、局長等会議、筆頭課長等会議や全職員に対する事務次官からの談話による周知を行った。
      •  今後、省内の各種会議、研修、情報提供の場の利用等を通じ、その効果的な推進に努めるとともに、倫理に関する相談窓口の設置などの服務規律の徹底のための取組みについて、継続的に浸透を図る。
      •  相談窓口の周知に当たっては、その利用をもって職員が不利な取扱いを受けることがないことを明確にする。
      •  また、相談窓口においては、不適切と思われる行為を断った場合の報告や、周囲で判断に迷うような事例があると思料する場合の相談についても受け付けることとする。
      •  また、毎年度の上司と部下との個人面談の際に、服務規律について必ず確認するなど、服務規律に関するわずかな懸念も抱え込まずに相談できるような機会を設ける。
    • 2  服務規律についての理解・普及を促進するきめ細かなマニュアルを作成し、その内容を周知・徹底する。
      •  従来の一般的な解説、質疑応答集等に加え、以下に掲げるような内容を含んだきめ細かなマニュアルの作成・配付等を行い、服務規律についての理解・普及を一層促進する。
        •  利害関係者とのゴルフや飲食等に関し、国家公務員倫理法に規定されている基本的なルールのわかりやすい説明、
        •  公務員倫理に関わる事例への対処方法の紹介、
        •  職員自身や周囲の職員と、利害関係者及びその他の業者との個別具体的な関係について、職員がどのように行動すればよいか判断に迷うような場合の倫理に関する相談窓口の利用のしかた、等
    • 3  服務規律についての研修等を充実する。
      •  上記マニュアルの内容の丁寧な解説などを含め、研修や省内LAN等の様々な手段を利用し、服務規律についての指導を継続的に実施する。
      •  研修においては、単に国家公務員倫理法等の内容の説明だけでなく、職務を遂行するに当たり想定される具体的な場面への対応についての事例研究や、少人数でディスカッションする機会を設けるなど、可能な限り参加型の内容も含むものとする。
      •  また、補助金・許認可等の担当部署においては、2のマニュアルの活用に加え、チェックシートの作成・活用などを含め、特に重点的に取り組む。
    • 4  施設整備担当部署における取組みを重点的に促進する。
      •  本事案の発生を踏まえ、文教施設企画部においては、すでに始まっている来年度予算の概算要求に関する業務の実施に当たり、担当部署への外部の者の入室を禁止する措置を行っている。
      •  今後は、文教施設企画部の国立大学法人等の施設整備担当部署において、「業者との応対は複数で行う」「業者への対応は個室で行わない」などの取組みを徹底するなど、予算担当職員を中心とした新たなマニュアルを策定する。
      •  国立大学法人等の施設担当部署に対して、国庫補助金等による公共工事の発注業務に関し、「文部科学省発注者綱紀保持規程・マニュアル」等に準じた国と同等の服務規律の徹底を促す。

(エ)再発防止策に関連して実施すべき事項

  •  公共工事に係る行政に対する国民の信頼の確保のためには、入札及び契約の公正さを確保する取組みの一層の徹底を図ることが極めて重要である。
     国立大学法人等が実施する施設整備工事に係る入札及び契約については、「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」等に定める措置が的確に講じられるよう、各国立大学法人等を適切に監督する。
     さらに、各国立大学法人等に対し、以下についての一層の取組みを促すこととする。なお、その際、過度に煩瑣な手続きとならないよう留意する必要がある。
    • 一般競争入札及び総合評価落札方式等の競争性の高い入札方式の対象の拡大
    • 電子入札システムの積極的な活用
    • インターネットを活用した入札・契約に関する外部への情報提供による透明性、公正性の確保
    • 入札監視委員会による監視体制の強化
    • 談合等不正行為への厳正な対応
  •  職員の再就職については、政府としてのこれまでのルールに加え、官民人材交流センターが本年10月に設置されるなど、政府全体として透明性・公正性を確保する仕組みの整備が進んでいる。また、国立大学法人等との人事交流については、社団法人国立大学協会において、国立大学法人等の幹部職員の人事交流について定めている。これらに則った適正な対応が必要であり、国民からの誤解を招くことのないよう厳正に運用することとする。
  •  社団法人文教施設協会については、今回の事案との直接の関係は確認されなかったが、社会的に強い不信感を招いており、存廃を含めた厳しい見直しが求められていることから、同協会に対し、1文部科学省出身常勤理事の退任、2文部科学省発注事業への応募の自粛を含め、抜本的な見直しを要請することが必要である。

(オ)再発防止策のフォローアップ等

  •  今後、本調査チームが取りまとめた再発防止策の具体的な実施及びそのフォローアップを行うため、1年間を目途として、事務次官をトップとする実施本部を設置する。
  •  実施本部においては、再発防止策が着実に実施されるとともに、実施に移された再発防止のための取り組みが効果的に機能するようフォローアップを行い、必要に応じ更なる改善策を検討する。
  •  なお、7月7日(月曜日)の本収賄事件に係る第1回公判の冒頭陳述において、本件犯行に至る経緯として、倉重が入手していた情報は、当時、国立大学等の文教施設についての工事の受注に際して行われていた談合において建設業者のとりまとめをしていた者や、建設業者に渡されていたとの指摘があった。
     このようなことも踏まえ、本事案について各国立大学法人等に対し情報提供するとともに、引き続き各国立大学法人等における施設整備事業に係る契約手続きや、服務規律の保持に関する取組みの状況について点検を要請し、文部科学省においてその状況を把握するとともに、必要に応じ所要の措置を講ずることとする。