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4 生徒指導主事に対して

(1) 非行防止教室の実施における生徒指導主事の役割:
   非行防止教室の実施において中心的な役割を果たすのは生徒指導主事である。
 生徒指導主事の役割としては、
1 校長のリーダーシップのもと、生徒指導部をとりまとめ、生徒指導における取組の一環として生徒指導に関する年間指導計画に組込むこと、
2 生徒指導に関する年間指導計画を学校全体の年間指導計画に位置付けること、
3 職員会議や校内研修等を通じて校内の全ての教職員の共通理解を図ること、
4 警察や保護司会等地域の関係機関との連携の促進を図ること、
5 非行防止教室の企画・運営を行うこと、
6 保護者や地域等に広報活動を行うこと、
7 事後の評価・検証を行うこと、
などがある。

(2) 生徒指導に関する年間指導計画における非行防止教室への位置付け:
   非行防止教室は、児童生徒の規範意識を醸成するための生徒指導上の取組の一環として実施するものであり、生徒指導に関する年間指導計画の中に組込むとともに、学校全体の年間指導計画の中に生徒指導上の取組の1つとして組込むことが重要である。
 その際には、
1 事前及び事後の指導と組合わせるとともに、日常的な指導との関係性に配慮すること(その際には、教務主任や学年主任等と連携し、他の教科・領域とリンクさせた形にする必要がある)、
2 児童生徒の発達段階や学校・家庭・地域等の実態を踏まえて計画されていること(特に、時事的な問題に対する指導や、金銭にかかわる指導等に関する内容や具体の指導方法については、発達段階に応じた指導のための検討が必要である。)、
3 非行防止教室の趣旨が、家庭や地域等への広報を通じて周知されていること、
などにより、その実施がより一層効果的なものとなる。
 各学校においては、実情に応じて、以下の例のようなチェック項目を作成・利用して学校の全体計画への非行防止教室の位置付けを行うことも考えられる。
  学校の全体計画の中で非行防止教室を位置付けるためのチェック項目例:
 
  学校教育目標を達成するための生徒指導目標が設定され非行防止教室が位置付けられている。
規範意識を育む取組に関して、児童生徒の実態及び家庭・地域・学校の実情を踏まえている。
社会の課題、関連法規、教育行政施策等を踏まえている。
非行防止教室の意義等について、全教職員の共通理解が図られている。
事前又は事後の生徒指導又は教科指導等との連携計画が示されている。
家庭・地域及び関係機関との連携について、具体的な内容・方法等が示されている。
年度ごとに、当該年度の取組状況を評価検証し、全体計画の見直しを行っている。

(3) 非行防止教室実施に向けた校内体制の整備・充実:
   非行防止教室の実施に向けた校内体制としては、既存の校内体制で実施可能であり、その中心となるのは生徒指導主事及び生徒指導部である。
 その生徒指導主事達の取組に対して、各学年主任を中心に各担任が積極的に協力し、非行防止教室の実施を1つの契機として、学校全体として児童生徒の規範意識が育まれるよう取組む必要がある。
 そのためには、校長が、校内の教職員の共通理解を図る観点から、学校全体の年間指導計画に位置付けるとともに、職員会議や校内研修の場を設定し、その場を活用して、生徒指導主事が、生徒指導の方針及びそこにおける非行防止教室の意義や重要性等について講話等を行うことで、全教職員に対して意識の共有化を図り、全教職員が「子ども達の規範意識を育むためである」という共通理解を持って積極的に協力するための契機とすることが重要である。

(4) 非行防止教室の実施に向けた校外関係機関との連携:
   生徒指導主事は、その職に就任した後は、生徒指導計画の策定や校内体制の整備等を整えた後に、学校の実情に応じて、できるだけ早く、管理職と共に地域の関係機関に出向き、人間関係づくりを行うことが求められる。
 関係機関の例としては、警察署、保護司会、民生・児童委員、児童相談所や子ども家庭支援センター等の児童福祉施設、精神保健福祉センター等保健・医療関係機関、又は自治会等が考えられる。
 このような日頃からの人間関係作りをもとに、地域の関係機関と連携した児童生徒の規範意識を育む取組が可能となる。また、非行防止指導を実施する上での協力の取り付けが円滑になったり、児童生徒が問題行動等を起こした場合のサポートチームの形成においても関係機関との連携がスムーズになったり、さらに、そのような問題行動を起こした子ども達の回復措置等においても、関係機関が連携することにより切れ目の無い継続的な支援が可能となったりするものである。
 このような地域の関係機関との連携強化は、生徒指導主事個人にとっての財産になるだけではなく、当該学校の生徒指導体制の強化につながり、ひいては、総合的な学習の時間等地域の教育力を活用した教科等の指導に対しても活用できることとなり、学校全体の教育活動の一層の活性化につながることである。
 校長等管理職は、このような趣旨に鑑み、生徒指導主事が行う外部機関との連携のための活動に対して、生徒指導主事が動き易くなるような時間管理等の配慮をすることが必要である。

(5) 非行防止教室の実施上のポイント
   非行防止教室の実施に際しては、教職員が実施する場合や補導職員等の外部講師を活用する場合など、学校の実態や児童生徒の発達段階に応じて様々な形態があると考えられるが、外部講師を活用して非行防止教室を行う場合には、以下の点に留意することが考えられる。
【参考】外部講師を活用した非行防止教室のための留意点:
1 学校側からの外部講師依頼
   学校(校長、教頭等又は生徒指導主事)から外部講師を依頼する際には、ア:開催趣旨・背景・事情、イ:対象学年・人数、ウ:児童生徒の予備知識の有無等を事前に連絡する。
2 学校側担当者との打合せ
   外部講師と学校側担当者(生徒指導主事等)との事前の打合せについては、対面の形で行うことが有効である。特に、外部講師が初めて訪れる学校の場合には、会場、使用機材の状況、学校の雰囲気、児童生徒の状況等を確認しておくため、学校を訪問してもらい、打合せを行うことが望ましい。
 事前の打合せにおいては、実施会場の様子、使用可能な機材といった物理的な事項のほか、当日の流れ(教員による補助・共同実施(ティームティーチング)の有無)、指導に当たっての留意事項(特に取り上げてほしい話題、避けるべき話題等)について確認をし、併せて学校側への要望事項(事前指導の実施等)があれば伝えてもらっておくことが必要である。
3 学校や地域の実情に応じたテーマの選択:現在の少年をめぐる問題状況への対応という観点からは、各学校における非行防止教室等のねらいと併せて、現実の児童生徒をめぐる問題についても考慮した上で、児童生徒の実情等も踏まえつつ、適宜テーマを選択することが有効である。
   特に、昨今の規範意識の低下や深刻な犯罪被害の状況に鑑みると、
ア: 初発型非行や非行の前兆的な問題行動に関する意識付け、
イ: 被害の類型に応じた被害防止方策、
ウ: 携帯電話等を使用した性非行防止方策、などが重要となっている。

(6) 家庭への働きかけ(児童生徒の生活習慣の改善):
   非行防止教室を含め、児童生徒の規範意識を育むための学校の生徒指導上の取組に関しては、保護者会や学校便り等を通じて保護者等に対して周知を図り、学校の活動に対する理解を増進するとともに、家庭での教育においても足並みを合わせた指導をしてもらうよう働きかけることが重要である。
 特に、規範意識は、家庭における躾、規則正しい睡眠や食事等の基本的な生活習慣、又は家庭の手伝い等に関する教育を土台とし、その家庭教育での土台のもとに、学校教育における教育活動が蓄積されていくものであることから、保護者等の理解増進は非常に重要である。
 具体的には、校長のリーダーシップのもと、生徒指導主事が中心となって、年度のできるだけ早い時期に、保護者会等を通じて、校則等の学校の規則とそれに違反した場合の対応、生徒指導方針と非行防止教室等をはじめとした生徒指導の取組、学校への相談経路等について説明することが必要である。
 また、各家庭での教育について、各教職員から2(7)のような事項を働きかけ、理解してもらうことが重要であるが、これらの事項が実施できないような家庭(例:児童虐待、犯罪被害、保護者・子どもの障害、経済的な困窮、又は子育てに関する知識や経験不足等があるような家庭など。)がありうる。そのような場合を考え、あらかじめ、保護者全体に、地域の関係機関又は家庭教育に困った際の相談機関の一覧を紹介しておくことも1つの工夫として考えられる。

(7) 評価・検証:
   非行防止教室の実施に際しては、事後の評価・検証が必要である。
 この評価・検証については、非行防止教室に関して実施するとともに、生徒指導上の他の取組と合わせて総合的に判断することが重要であり、その評価・検証は、生徒指導主事が中心となって実施する必要がある。
 評価・検証に当たっては、実施計画や校内体制等の「実施運営上の評価・検証」とともに、非行防止教室を実施した「効果についての評価・検証」の両面から実施することが重要である。
 ただし、非行防止教室を実施した「効果」を評価することは、本来、多様な視点から総合的に行う必要があるものであり、単純に判断することが困難である。
 そのため、その実施の効果について、事後(場合によっては事前にも)に、教職員又は児童生徒等に対してアンケート調査を実施することも評価のための1つの方法として考えられる。その成果については、児童生徒や保護者等にフィードバックするとともに、年度末には、生徒指導上の他の取組と合わせて、生徒指導全体で総合的に評価・検証し、次年度の改善に生かしていくことが大切である。
 一方、非行防止教室の「実施運営上の評価・検証」の視点として、各学校の実情に応じて、以下の例のようなチェック項目を作成・利用して学校の全体計画の中での非行防止教室の評価検証を行うことも考えられる。
  学校の全体計画の中での非行防止教室の評価検証のためのチェック項目(例):
 
  規範意識を育む取組に関する生徒指導上の目標の達成状況。
非行防止教室の取組状況(狙いの達成、教材、指導方法など)。
事前又は事後の生徒指導又は教科指導との連携状況。
校内実施体制の整備状況。
学校・学年ごとの継続性の確保。
家庭・地域及び関係機関との連携状況。

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