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不登校への対応の在り方について

一五文科初第二五五号

平成一五年五月一六日
各都道府県・指定都市教育委員会教育長・各都道府県知事・附属学校を置く各国立大学長・国立久里浜養護学校長・独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター理事長・独立行政法人国立青年の家理事長・独立行政法人国立年自然の家理事長あて
文部科学省初等中等教育局長通知

不登校への対応の在り方について

児童生徒の不登校への対応につきましては、関係者において様々な努力がなされているところですが、不登校児童生徒数は過去最多を更新するなど、憂慮される事態となっております。

文部科学省におきましては、このような状況を踏まえ、平成一四年九月に「不登校問題に関する調査研究協力者会議」を発足させ、[cir1 ]不登校問題の実態の分析、[cir2 ]学校における取組の在り方、[cir3 ]学校と関係機関の連携の在り方、[cir4 ]その他不登校問題に関連する事項について総合的・専門的な観点から検討を願い、本年三月に「今後の不登校への対応の在り方について」の報告を取りまとめていただいたところです。

報告においては、不登校に対応する上で持つべき基本的な姿勢として、

[cir1 ] 不登校については、特定の子どもに特有の問題があることによって起こることではなく、どの子どもにも起こりうることとしてとらえ、関係者は、当事者への理解を深める必要があること。同時に、不登校という状況が継続すること自体は、本人の進路や社会的自立のために望ましいことではなく、その対策を検討する重要性について認識を持つ必要がある。

[cir2 ] 不登校については、その要因・背景が多様であることから、教育上の課題としてのみとらえて対応することが困難な場合があるが、一方で、児童生徒に対して教育が果たすことができる、あるいは果たすべき役割が大きいことに着目し、学校や教育委員会関係者等が一層充実した指導や家庭への働きかけ等を行うことにより、不登校に対する取組の改善を図る必要がある。

という観点から提言がなされているところです。

本通知は、平成四年三月に取りまとめられた有識者による「登校拒否(不登校)問題について」報告に関する同年九月二四日付けの文部省初等中等教育局長通知(文初中第三三〇号)を踏まえ、今回新たに取りまとめられた報告に基づき見直しを図り、不登校へ対応する上での留意点等につきまとめたものです。

文部科学省としては、この報告の趣旨を踏まえ、今後さらに施策の充実に取り組むこととしておりますが、貴職におかれましても、下記により不登校に対する取組の充実に一層努められるようお願いします。また、都道府県教育委員会にあっては、所管の学校及び域内の市町村教育委員会に対して、都道府県知事にあっては、所轄の学校に対して、この趣旨について周知を図るとともに、適切な対応がなされるよう御指導をお願いします。なお、本通知に関しては、その内容について、内閣府、警察庁、法務省及び厚生労働省と協議済であり、また、これらの府省庁に対し、それぞれの関係機関等に本通知の内容の周知方を依頼済であることを申し添えます。

一 不登校に対する基本的な考え方

[cir1 ] 将来の社会的自立に向けた支援の視点

不登校の解決の目標は、児童生徒の将来的な社会的自立に向けて支援することであること。したがって、不登校を「心の問題」としてのみとらえるのではなく、「進路の問題」としてとらえ、本人の進路形成に資するような指導・相談や学習支援・情報提供等の対応をする必要があること。

[cir2 ] 連携ネットワークによる支援

学校、家庭、地域が連携協力し、不登校の児童生徒がどのような状態にあり、どのような支援を必要としているのか正しく見極め(「アセスメント」)を行い、適切な機関による支援と多様な学習の機会を児童生徒に提供することが重要であること。その際には、公的機関のみならず、民間施設やNPO等と積極的に連携し、相互に協力・補完し合うことの意義が大きいこと。

[cir3 ] 将来の社会的自立のための学校教育の意義・役割

義務教育段階の学校は、自ら学び自ら考える力なども含めた「確かな学力」や基本的な生活習慣、規範意識、集団における社会性等、社会の構成員として必要な資質や能力等をそれぞれの発達段階に応じて育成する機能と責務を有しており、関係者はすべての児童生徒が学校に楽しく通うことができるよう、学校教育の一層の充実のための取組を展開していくことがまずもって重要であること。

[cir4 ] 働きかけることや関わりを持つことの重要性

児童生徒の立ち直る力を信じることは重要であるが、児童生徒の状況を理解しようとすることもなく、あるいは必要としている支援を行おうとすることもなく、ただ待つだけでは、状況の改善にならないという認識が必要であること。

[cir5 ] 保護者の役割と家庭への支援

保護者を支援し、不登校となった子どもへの対応に関してその保護者が役割を適切に果たせるよう、時機を失することなく児童生徒本人のみならず家庭への適切な働きかけや支援を行うなど、学校と家庭、関係機関の連携を図ることが不可欠であること。

二 学校における取組の充実

(一) 児童生徒が不登校とならない、魅力あるよりよい学校づくりのための一般的取組

[cir1 ] 新学習指導要領のねらいの実現

新学習指導要領の下、創意工夫に満ちた教育課程を編成し、各教科、道徳、特別活動はもとより、新設された「総合的な学習の時間」も有効に活用し、自己理解を深め、自己選択能力の育成を目指すとともに、社会性の育成や人間関係づくりを目指した様々な取組を一層積極的に展開することが望まれること。

[cir2 ] 開かれた学校づくり

教育活動の実施に当たっては、地域の様々な場で活動を展開するとともに、指導者についても外部の多様な人材の協力を得るなど、地域社会の教育力を積極的に生かし、学校と社会とのつながりを強め、開かれた学校づくりを推進すること。

[cir3 ] きめ細かい教科指導の実施

児童生徒への指導に当たっては、一人一人の個性が異なることを常に意識し、具体的な指導の方法や進度につき、児童生徒の側に立った配慮が必要であること。

[cir4 ] 学ぶ意欲を育む指導の充実

児童生徒が学ぶ意欲を持って主体的に学校に通うことができるよう、発達段階に応じて自らの生き方や将来に対する夢や目的意識について考えるきっかけを与えることのできる指導を行うことが重要であること。

[cir5 ] 安心して通うことができる学校の実現

いじめや暴力行為を許さない学級づくり、問題行動への毅然とした対応が大切であること。また、教員による体罰等の人権侵害行為等があってはならないこと。

[cir6 ] 児童生徒の発達段階に応じたきめ細かい配慮

各学校種と児童生徒の発達段階に応じた配慮を行うことが重要であること。また、小・中学校間の接続の改善を図る観点から、小・中連携を一層推進する等の配慮が重要であること。

(二) きめ細かく柔軟な個別・具体的な取組

[cir1 ] 校内の指導体制及び教職員等の役割

ア 学校全体の指導体制の充実

校長の強いリーダーシップの下、教頭、学級担任、生徒指導主事、教務主任、学年主任、養護教諭、スクールカウンセラー、相談員等がそれぞれの役割について相互理解した上で日頃から連携を密にし、一致協力して対応にあたること。

イ コーディネーター的な不登校対応相当の役割の明確化

不登校児童生徒に対する適切な対応のために、各学校において中心的かつコーディネーター的な役割を果たす教員を明確に位置付けることが必要であること。

ウ 教員の資質向上

児童生徒の教育指導については、教員がその中心的な存在であり、教職員、特に学級担任は、自らの影響力を常に自覚し、指導に当たる必要があること。

また、各教員が児童生徒に対する共感的理解の基本姿勢を持つことが重要であること。

さらに、初期での判断を誤まらないよう、関連する他分野についての基礎的な知識、例えば、精神医学の基礎知識や、学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)等に関する知識、児童虐待の早期発見や「ひきこもり」に関する知識も身につけておくことが望ましいこと。

エ 養護教諭の役割

養護教諭が行う情緒の安定を図る等の対応や予防のための健康相談活動の果たす役割は大きいこと。また、養護教諭と不登校に対応する校内の組織が情報を共有化することが望ましいこと。

オ スクールカウンセラー等との連携協力

スクールカウンセラーには、「学校におけるカウンセラー」という性格上、学校の組織・機能、校風等についてよく承知した上で、独自の資質や対応が求められること。スクールカウンセラーと教職員が円滑に連携協力していくために、研修等を通じて、スクールカウンセラーと教職員それぞれの職務内容等の理解を深める必要があること。

[cir2 ] 情報共有のための個別指導記録の作成

校内・関係者間で情報を共有し、共通理解の下で指導・対応に当たる体制を確立することが重要であること。そのために、個人情報の取扱いに十分配慮しつつ、保護者や関係機関との連携、学年間や小・中学校間、転校先等との引継ぎ、教育委員会への連絡等において活用することができる不登校児童生徒の個別の指導記録づくりを行うことが有効であること。

[cir3 ] 家庭への訪問等を通じた児童生徒や家庭への適切な働きかけ

不登校児童生徒が学校外の施設に通う場合や家庭にいる場合であっても、学校は当該児童生徒が自らの学級・学校の在籍児童生徒であることを自覚し、関わりを持ち続けるよう努めるべきであること。学級担任等の教職員が児童生徒の状況に応じて家庭への訪問を行うこと等を通じて、その生活や学習の状況を把握し、児童生徒本人やその保護者が必要としている支援をすることは大切であること。

[cir4 ] 不登校児童生徒の学習状況の把握と学習の評価の工夫

不登校児童生徒が適応指導教室や民間施設等の学校外の施設において指導を受けている場合には、当該児童生徒が在籍する学校がその学習の状況等について把握することは、学習支援や進路指導を行う上で重要であること。学校が把握した当該学習の計画や内容がその学校の教育課程に照らし適切と判断される場合には、当該学習の評価を適切に行う指導要録に記入したり、また、評価の結果を通知表その他の方法により、児童生徒や保護者、当該施設に積極的に伝えたりすることは、児童生徒の学習意欲に応え、自立を支援する上で意義が大きいこと。

なお、評価の指導要録への記載については、必ずしもすべての教科・観点について観点別学習状況及び評定を記載することが求められるのではないが、児童生徒の学習状況を文章記述するなど、次年度以降の児童生徒の指導の改善に生かすという観点に立った適切な記載に努めることが求められるものであること。

[cir5 ] 児童生徒の再登校に当たっての受入体制

不登校児童生徒が再登校をしてきた場合には、温かい雰囲気の下に自然な形で迎え入れられるよう配慮するとともに、徐々に学校生活への適応を図っていけるような指導上の工夫を行うことが重要であること。

その際には、保健室や相談室等の教室以外の学校の居場所を積極的に活用することが考えられること。

[cir6 ] 児童生徒の立場に立った柔軟な学級替えや転校等の措置

いじめが原因で不登校となっている場合等には、いじめを絶対に許さない毅然とした対応をとることがまずもって大切であること。また、いじめられている児童生徒に対する緊急避難としての欠席が弾力的に認められてもよいことはもとより、そのような場合には、その後の学習に支障がないよう配慮が求められること。そのほか、いじめられた側の生徒に対して柔軟に学級替えや転校の措置を活用することが考えられること。

また、教員による体罰や暴言等、不適切な言動や指導が不登校の原因となっている場合は、不適切な言動や指導をめぐる問題の解決に真剣に取り組むとともに、保護者等の意向を踏まえつつ、十分な教育的配慮を持った上で学級替えや転校を柔軟に認めていくことが望まれること。

保護者等から学習の遅れに対する不安により、進級時の補充指導や原級留置に関する要望がある場合には、児童生徒の進路選択へ資するよう補充指導等の実施に関して柔軟に対応するとともに、校長の責任において原級留置の措置をとるなど、適切な対応をとることも考えられること。また、こうした措置が考えられる際には、予め保護者等の意向を聴いて参考とするなどの配慮が望まれること。

三 教育委員会の取組の充実

各都道府県及び市町村教育委員会は、自ら不登校に対する認識を深めるとともに、それぞれの立場から積極的に施策を展開し、各学校における取組が効果的に行われるよう支援する必要があること。

(一) 不登校や長期欠席の早期の把握と対応

各市町村教育委員会においては、不登校や長期欠席は、義務教育制度に関わる重大な課題であることを認識し、学校等の不登校への対応に関する意識を高めるとともに、学校が家庭や関係機関等と効果的に連携を図り、課題の早期の解決を図るための体制の確立を促すことが重要であること。

(二) 学校等の取組を支援するための教育条件等の整備

[cir1 ] 教員の資質向上

教育委員会における教員の採用・研修を通じた資質向上のための取組が今後一層充実されることが期待されること。

教員採用については、熱意があり人間性豊かな人材が確保されるよう、採用選考方法の工夫改善に引き続き努めていく必要があること。

また、初任者研修をはじめとする教職経験に応じた研修、生徒指導・教育相談といった専門的な研修、管理職や生徒指導主事を対象とする研修などの体系化とプログラムの一層の充実を図ること。

[cir2 ] きめ細かな指導のための適切な人的措置

不登校を未然に防ぐ魅力ある学校づくり、「心の居場所」としての学校づくりを進めるためには、少人数授業やティームティーチング、習熟度別指導などのきめ細かな指導が可能となるよう、適切な教員配置を行うことが必要であること。

また、小・中学校さらには高等学校の間の連携を推進するため、異校種間の人事交流や兼務などを進めていくことが期待されること。

不登校児童生徒が多く在籍する学校については、教員の加配等、効果的かつ計画的な人的配置に努める必要があること。そのためにも日頃より各学校の実情を把握し、また加配等の措置をした後も、この措置が効果的に活用されているか等の検証を十分に行うこと。

さらに、教員による体罰や暴言等、不適切な言動や指導が不登校の原因となっている場合は、人的措置を含め、厳正な対応をとることが必要であること。

[cir3 ] 保健室や相談室等の整備

養護教諭の果たす役割や「保健室登校」・「相談室登校」の意義に鑑み、養護教諭の複数配置や研修機会の充実、保健室等の環境整備、情報通信機器の整備等が望まれること。

(三) 学校における指導等への支援

[cir1 ] モデル的な個別指導記録の作成

各市町村教育委員会においては、各学校で活用できるよう個別指導記録のモデル案を作成することが求められること。また、当該個別指導記録が効果的に活用されるよう適切な指導が望まれること。

[cir2 ] 転校のための柔軟な措置

いじめや教員による不適切な言動や指導等が不登校の原因となっている場合等には、市町村教育委員会においては、保護者等の意向を踏まえつつ、学校と連携した適切な教育的配慮の下に、就学すべき学校の指定の変更や区域外就学を認める措置を講じることが望まれること。また、他の児童生徒を不登校に至らせるような深刻ないじめや暴力行為があった場合は、必要に応じて出席停止措置を的確に講ずる必要があること。

(四) 適切な対応の見極め(「アセスメント」)及びそのための支援体制づくり

不登校の要因・背景の多様化へ対応するため、各学校が、児童生徒の初期段階のアセスメントに当たり、専門知識をもつ外部の者等の協力を得られる地域の体制を構築する必要があること。

(五) 中学校卒業後の課題への対応

[cir1 ] 高等学校入学者選抜等の改善

高等学校入学者選抜について多様化が進む中、高等学校で学ぶ意欲や能力を有する不登校生徒について、これを適切に評価することが望まれること。

また、国の実施する中学校卒業程度認定試験の活用について、不登校生徒や保護者に対して適切な情報提供を行うことが望まれること。

[cir2 ] 高等学校における長期欠席・中途退学への取組の充実

各地域の実情に応じて、中高一貫教育の推進や、総合学科や単位制高等学校等の特色ある高等学校づくり等も含め、多様な取組や工夫が行われることが期待されること。

[cir3 ] 中学校卒業後の就学・就労やひきこもり傾向のある青少年への支援

中学校時に不登校であり高等学校へ進学しなかった者、又は高等学校へ進学したものの中途退学をした者等、中学校卒業後に進学も就労もしていない者等に対して、多様な進学や職業訓練等の機会等について支援するために、関係行政機関等が連携した地域のサポートネットワークを整備することが期待されること。

(六) 学校外の公的機関等の整備充実及び活用

[cir1 ] 教育支援センター(いわゆる適応指導教室。以下同じ。)の整備充実やそのための指針づくり

いわゆる適応指導教室については、その役割や機能に照らし、より適切な呼び方を望む声があったことから、国として標準的な呼称を用いる場合は、不登校児童生徒に対する「教育支援センター」という名称を適宜併用することとした。なお、各地域においては既に様々な親しみやすい名称を付している実態があり、そうした工夫は今後ともあってよいこと。

各都道府県教育委員会においては、教育支援センターの更なる整備充実のために、域内の市町村教育委員会と緊密な連携を図りつつ、未整備地域を解消して不登校児童生徒や保護者が利用しやすい環境づくりを進め、別添一の「教育支援センター整備指針(試案)」を参考に、地域の実情に応じた指針を作成し、必要な施策を講じていくことが求められること。市町村教育委員会は、主体的に教育支援センターの整備充実を進めていくことが必要であること。もとより、市町村教育委員会は、主体的に教育支援センターの整備充実を進めていくことが必要であること。もとより、市町村教育委員会においても、「教育支援センター整備指針」を策定することも考えられること。

また、指導体制をめぐっては指導員の量的不足や専門性の不足等についての課題が指摘されているところであり、常勤職員の配置やカウンセラー等の専門家等の配置、指導員の研修の充実等が望まれること。

[cir2 ] 教育センターや教育研究所等における教育相談機能の充実

各教育委員会は、所管する教育センターや教育研究所等における教育相談機能を活用し、保護者や不登校児童生徒をはじめ、学校、教育支援センター等が身近に助言・援助を得られる体制の整備を図り、域内の不登校に関する連携ネットワークの機能の充実を図ることが望ましいこと。

[cir3 ] 社会教育施設の体験活動プログラムの積極的な活用

社会教育施設では、都市部の教育支援センターや小規模な教育支援センターでは提供しにくい野外体験活動プログラム等が実施されている場合が多いため、これらの体験活動プログラム等を実施する社会教育施設との積極的な連携が望まれること。

(七) 訪問型支援など保護者への支援の充実

各都道府県及び市町村教育委員会においては、保護者全般に対する不登校への理解を深めるための啓発を行うことや、不登校のみならず子育てについての保護者に対する支援を充実することが求められること。

なお、ひきこもりがちな不登校児童生徒やその保護者に対しては、必要な配慮の下、訪問型の支援を積極的に推進することが期待されること。さらに人間関係づくりや学校復帰等の次のステップにつながるように、十分に配慮しつつ、相談等のきっかけとしてIT等を活用することも考えられること。

また、保護者自身が悩みを抱えている場合等もあることから、積極的に保護者へ情報提供を行うことや保護者のネットワークとの連携等による支援の充実が必要であること。

(八) 官民の連携ネットワーク整備の推進

[cir1 ] 他部局との連携協力のための連絡調整(コーディネート)

各教育委員会においては、学校と関係機関との連携協力を推進するため、積極的に保健・福祉・医療・労働分野の部局等との調整役(コーディネーター)としての役割を果たす必要があること。

[cir2 ] 関係機関のネットワークづくりと不登校対策の中核的機能の整備充実

各教育委員会においては、不登校へ対応するための学校、教育支援センター、児童相談所、警察、病院、ハローワーク等の関係機関や民間施設、NPO等のネットワークづくりや、その中核的な機能の整備充実に努める必要があること。

[cir3 ] 民間施設等との連携協力のための情報収集・提供等

不登校児童生徒への支援については、民間施設やNPO等においても様々な取組がなされており、学校、教育支援センター等の公的機関は、民間施設等の取組の自主性や成果を踏まえつつ、より積極的な連携を図っていくことが望ましいこと。そのために、各教育委員会においては、日頃から積極的に情報交換や連携に努めること。

公的機関と民間施設等との連携を進めている観点から、平成四年九月の初等中等教育局長通知(文初中第三三〇号)の別記「民間施設についてのガイドライン(試案)」を改訂したこと(別添二)。

なお、義務教育諸学校の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについては、別記によるものとすること。

(別記)

不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて

一 趣旨

不登校児童生徒の中には、学校外の施設において相談・指導を受け、学校復帰への懸命の努力を続けている者もおり、このような児童生徒の努力を学校として評価し支援するため、我が国の義務教育制度を前提としつつ、一定の要件を満たす場合に、これら施設において相談・指導を受けた日数を指導要録上出席扱いとすることができることとする。

二 出席扱いの要件

不登校児童生徒が学校外の施設において相談・指導を受けるとき、下記の要件を満たすとともに、当該施設への通所又は入所が学校への復帰を前提とし、かつ、不登校児童生徒の自立を助けるうえで有効・適切であると判断される場合に、校長は指導要録上出席扱いとすることができる。

(一) 保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること。

(二) 当該施設は、教育委員会等が設置する適応指導教室等の公的機関とするが、公的機関での指導の機会が得られないあるいは公的機関に通うことが困難な場合で本人や保護者の希望もあり適切と判断される場合は、民間の相談・指導施設も考慮されてよいこと。

ただし、民間施設における相談・指導が個々の児童生徒にとって適切であるかどうかについては、校長が、設置者である教育委員会と十分な連携をとって判断するものとすること。このため、学校及び教育委員会においては、「民間施設についてのガイドライン(試案)」(別添二)を参考として、上記判断を行う際の何らかの目安を設けておくことが望ましいこと。

(三) 当該施設に通所又は入所して相談・指導を受ける場合を前提とすること。

三 指導要録の様式等について

上記の取扱いの際の指導要録の様式等については、平成一三年四月二七日付け文科初第一九三号「小学校児童指導要録、中学校生徒指導要録、高等学校生徒指導要録、中等教育学校生徒指導要録並びに盲学校、聾学校及び養護学校の小学部児童指導要録、中学部生徒指導要録及び高等部生徒指導要録の改善等について」のとおりとする。

(別添一)

教育支援センター(適応指導教室)整備指針(試案)

一 趣旨

○ 教育委員会は、教育支援センター(以下、センターという。)の整備に当たって、この指針の定めるところに留意し、不登校児童生徒に対する適切な支援を行わなければならない。

二 設置の目的

○ センターは、不登校児童生徒の集団生活への適応、情緒の安定、基礎学力の補充、基本的生活習慣の改善等のための相談・適応指導(学習指導を含む。以下同じ。)を行うことにより、その学校復帰を支援し、もって不登校児童生徒の社会的自立に資することを基本とする。

三 自己評価・情報の積極的な提供等

○ センターは、その目的を実現するため、その相談・適応指導、その他のセンターの運営状況について改善・充実を図るとともに、自ら点検及び評価を行い、その結果を公表するよう努めるものとする。

○ センターは、その相談・適応指導、その他のセンターの運営の状況について、保護者等に対して積極的に情報を提供するものとする。

四 対象者

○ 入室や退室等に関する方針や基準が明らかにされていること。

○ 不登校児童生徒の入退室等の決定については、その態様等を踏まえ、センターにおける指導の効果が達せられるよう児童生徒の実情等の的確な見極め(アセスメント)に努めるものとする。その際には、当該児童生徒が在籍する学校関係者はもとより、専門家を含めて検討を行うことが望ましい。

○ 必要に応じて、中学校を卒業した者についても進路等に関して主として教育相談等による支援を行うことが望ましい。

五 指導内容・方法

○ 児童生徒の立場に立ち、人命や人格を尊重した人間味のある温かい相談・適応指導を行う。

○ 相談に関しては、共感的な理解に立ちつつ、児童生徒の自立を支援する立場から実施する。

○ 各教科等の学習指導に関しては、在籍校とも連絡をとり、センター及び児童生徒の実情に応じて実施する。

○ 指導内容は、児童生徒の実態に応じて適切に定め、個別指導と併せて、センター及び児童生徒の実情に応じて集団指導を実施するものとする。その際、児童生徒の実情に応じて体験活動を取り入れるものとする。

○ 家庭訪問による相談・適応指導は、センター、地域、児童生徒の実情に応じて適切に実施することが望ましい。通室困難な児童生徒については、学校や他機関との連携の下、適切な配慮を行うことが望ましい。

○ センターは、不登校児童生徒の保護者に対して、不登校の態様に応じた適切な助言・援助を行うものとする。

六 指導体制

○ センターには、相談・適応指導などに従事する指導員を置くものとする。

○ 指導員は、通所の児童生徒の実定員一〇人に対して少なくとも二人程度置くことが望ましい。

○ 指導員は、相談・適応指導、学習指導等に必要な知識及び経験又は技能を有し、かつその職務を行うに必要な熱意と識見を有するものをあてるものとする。

○ 教育委員会は、指導員の資質向上のため適切な研修の機会を確保するよう努めることとする。

○ カウンセラーなどの専門家を常勤又は非常勤で配置し、児童生徒の指導方針等につき、協力を得ることが望ましい。

○ その他、年齢、職種等、多様な人材の協力を得ることが望ましい。その際、協力を得る人材の実情に応じ、適切な研修を行い、又は指導体制等を整えることが望ましい。

七 施設・設備等

○ 施設・設備は、相談・適応指導を適切に行うために、保健衛生上、安全上及び管理上適切なものとする。

○ センターは、集団で活動するための部屋、相談室、職員室などを備えることが望ましい。

○ センターは、運動場を備えるなどスポーツ活動や体験活動の実施に関する配慮がなされていることが望ましい。適切な施設を有しない場合は、積極的に他のセンター等と連携することが望ましい。

○ センターでの個別学習や、家庭との連絡のため、必要な情報通信機器・ネットワークが整備されていることが望ましい。

○ センターには、相談・適応指導を行うため、児童生徒数に応じ、保健衛生上及び安全上必要な教具(教科用図書、学習ソフト、心理検査用具等)を備えるものとする。また、これらの教具は、常に改善し、補充するよう努めなければならない。

八 学校との連携

○ 指導員等は、不登校児童生徒の態様に応じ、その支援のため、在籍校との緊密な連携を行うものとする(定期的な連絡協議会、支援の進め方に関するコーディネート等の専門的な指導等)。

○ 指導員等は、不登校児童生徒の学校復帰後においても、必要に応じて在籍校との連携を図り、継続的に支援を行うことが望ましい。

○ 指導員等は、児童生徒の実情等の的確な見極め(アセスメント)にそった児童生徒の個々の回復状況を把握し、守秘義務に配慮した上で、本人、保護者の意向を確かめて在籍校に学習成果等を連絡するものとする。

○ 指導員等は、不登校に関し、学校に対する専門的な指導・助言・啓発を行う。

九 他機関・民間施設・NPO法人等との連携

○ センターは、教育センターや社会教育施設などの教育機関や児童相談所、警察、病院、ハローワーク等の関係機関との連携を適切に図り、不登校に関する地域ぐるみのサポートネットワークづくりに努めるものとする。

○ センターは、不登校関係の民間施設、NPO法人等との連携・協力を適切に図ることが望ましい。

○ 民間施設との連携については国が示している「民間施設についてのガイドライン(試案)」等に留意するものとする。

一〇 教育委員会の責務

○ 教育委員会は、前各項の趣旨が達せられるよう、教育委員会規則の制定や指導体制の充実等、センターの整備に関し必要な方策を講じなければならない。

○ 教育委員会は管轄地域以外のセンターの連携・協力関係が、適切に図ることができるよう配慮しなくてはならない。

(別添二)

民間施設についてのガイドライン(試案)

このガイドラインは、個々の民間施設についてその適否を評価するという趣旨のものではなく、不登校児童生徒が民間施設において相談・指導を受ける際に、保護者や学校、教育委員会として留意すべき点を目安として示したものである。

民間施設はその性格、規模、活動内容等が様々であり、民間施設を判断する際の指針をすべて一律的に示すことは困難である。したがって、実際の運用に当たっては、このガイドラインに掲げた事項を参考としながら、地域の実態等に応じ、各施設における活動を総合的に判断することが大切である。

一 実施主体について

法人、個人は問わないが、実施者が不登校児童生徒に対する相談・指導等に関し深い理解と知識又は経験を有し、かつ社会的信望を有していること。

二 事業運営の在り方と透明性の確保について

[cir1 ] 不登校児童生徒の不適応・問題行動に対する相談・指導を行うことを主たる目的としていること。

[cir2 ] 著しく営利本位でなく、入会金、授業料(月額・年額等)、入寮費(月額・年額等)等が明確にされ、保護者等に情報提供がなされていること。

三 相談・指導の在り方について

[cir1 ] 児童生徒の人命や人格を尊重した人間味のある温かい相談や指導が行われていること。

[cir2 ] 情緒的混乱、情緒障害及び非行等の態様の不登校など、相談・指導の対象となる者が当該施設の相談・指導体制に応じて明確にされていること。また、受入れに当たっては面接を行うなどして、当該児童生徒のタイプや状況の把握が適切に行われていること。

[cir3 ] 指導内容・方法、相談手法及び相談・指導の体制があらかじめ明示されており、かつ現に児童生徒のタイプや状況に応じた適切な内容の相談や指導が行われていること。また、我が国の義務教育制度を前提としたものであること。

[cir4 ] 児童生徒の学習支援や進路の状況等につき、保護者等に情報提供がなされていること。

[cir5 ] 体罰などの不適切な指導や人権侵害行為が行われていないこと。

四 相談・指導スタッフについて

[cir1 ] 相談・指導スタッフは児童生徒の教育に深い理解を有するとともに、不適応・問題行動の問題について知識・経験をもち、その指導に熱意を有していること。

[cir2 ] 専門的なカウンセリング等の方法を行うにあっては、心理学や精神医学等、それを行うにふさわしい専門的知識と経験を備えた指導スタッフが指導にあたっていること。

[cir3 ] 宿泊による指導を行う施設にあっては、生活指導にあたる者を含め、当該施設の活動を行うにふさわしい資質を具えたスタッフが配置されていること。

五 施設、設備について

[cir1 ] 各施設にあっては、学習、心理療法、面接等種々の活動を行うために必要な施設、設備を有していること。

[cir2 ] 特に、宿泊による指導を行う施設にあっては、宿舎をはじめ児童生徒が安全で健康的な生活を営むために必要な施設、設備を有していること。

六 学校、教育委員会と施設との関係について

児童生徒のプライバシーにも配慮の上、学校と施設が相互に不登校児童生徒やその家庭を支援するために必要な情報等を交換するなど、学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること。

七 家庭との関係について

[cir1 ] 施設での指導経過を保護者に定期的に連絡するなど、家庭との間に十分な連携・協力関係が保たれていること。

[cir2 ] 特に、宿泊による指導を行う施設にあっては、たとえ当該施設の指導方針いかなるものであっても、保護者の側に対し面会や退所の自由が確保されていること。

 

 

 

 

-- 登録:平成21年以前 --