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受託研究の取扱いについて

13文科振第一一七九号

平成一四年三月二九日
各国立学校長・各大学共同利用機関長・大学評価・学位授与機構長・国立学校財務センター所長あて
文部科学省研究振興局長・文部科学省大臣官房会計課長通知

受託研究の取扱いについて

このことについては、平成一三年三月三〇日付け12文科振第二九二号研究振興局長・会計課長通知「受託研究の取扱いについて」により取り扱ってきたところですが、民間機関等の多様なニーズに対応し、より一層産学連携の推進を図るため、左記のとおり取り扱うこととしますので通知します。

なお、平成一三年三月三〇日付け12文科振第二九二号研究振興局長・会計課長通知「受託研究の取扱いについて」及び昭和五九年五月八日付け文学助第一七二号学術国際局長・会計課長通知「受託研究及び民間等との共同研究に係る特許等の実施等について」は廃止します。

一 受託研究の趣旨

(一) 受託研究とは、国立学校、大学共同利用機関、大学評価・学位授与機構、国立学校財務センター(以下「各機関」という。)において民間等外部の機関(以下「委託者」という。)からの委託を受けて公務として行う研究でこれに要する経費を委託者が負担するものをいうものであること。

(二) 受託研究は、当該研究が各機関の教育研究上有意義であり、かつ、本来の教育研究に支障を生じるおそれがないと認められる場合に限り行うこと。

(三) 受託研究に要する経費は、歳入歳出予算を通して経理すること。

二 受入れの条件

受託研究の受入れに当たっては、次に掲げる条件を付すこと。

(一) 受託研究は、委託者が一方的に中止することはできないこと。ただし、委託者から中止の申し出があった場合には、各機関は、委託者と協議のうえ、決定すること。

(二) 受託研究の結果、知的所有権の権利が生じた場合には、これを無償で使用させ、又は譲与することはできないこと。

ただし、国以外の者から委託を受けて行った研究については、研究交流促進法第七条に基づきその成果に係る国有の特許権又は実用新案権の一部を、当該国以外の者に譲与することができること。

(三) 受託研究に要する経費により取得した設備等は返還しないこと。

(四) 各機関において、やむを得ない事由により受託研究を中止又はその期間を延長する場合においても、その責を負わないものとし、この場合、委託者にその事由を書面により通知するものとする。

また、受託研究を完了し、又は受託研究を中止し、もしくはその期間を変更した場合において、受託研究に要する経費の額に不用が生じ、委託者から不用となった額について返還の請求があった場合には返還すること。ただし、委託者からの申し出により中止する場合には、原則として受託研究に要する経費は返還しないこと。

なお、中止の理由が各機関が受託研究契約を履行できないことによる場合はこの限りでない。

(五) 受託研究に要する経費は、原則として当該研究の開始前に納付すること。

三 受入れの決定等

(一) 受託研究の受入れは、各機関の長が決定すること。

ただし、当該研究を行う学部(教養部を含む。)、附置研究所、附属病院(分院を含む。)、大学院の研究科、全国共同利用施設又は学内共同教育研究施設等の部局長(以下「学部等の長」という。)に、この決定を委ねることができること。

(二) 三の(一)の決定に際して、各機関の長(三の(一)ただし書きによる場合には、学部等の長とする。以下同じ。)は、当該研究を担当する職員その他の当該研究の遂行上の諸条件について配慮すること。

(三) 各機関の長は、受託研究の受入れを決定したときは、その決定の内容を契約担当官に通知すること。

四 契約の締結

受託研究の契約の締結は、契約担当官において三の(三)の各機関の長の通知により行うこと。

五 完了、中止又は期間の延長

(一) 各機関の長は、受託研究が完了したときは、その旨契約担当官に通知すること。

(二) 各機関の長は、受託研究の遂行上やむを得ないと認めるときは、これを中止し、又はその期間を延長することを決定し、その旨契約担当官に通知すること。その期間を延長する場合において、七の手続きを要するときは、支出負担行為担当官の報告をまって行うこと。

六 一の受託研究に要する経費については、次により取り扱うこと。

(一) 受託研究を受け入れるに当たって委託者が負担する額は、謝金、旅費、研究支援者等の人件費、設備費等の当該研究遂行に直接必要な経費に相当する額(以下「直接経費」という。)及び当該研究遂行に関連し直接経費以外に必要となる経費(以下「間接経費」という。)の合算額とすること。なお、当該間接経費は、競争的資金による研究費においては直接経費の三〇%に相当する額とされているところであるが、委託者側の事情により三〇%に相当する額と異なる額となる場合には、委託者と各機関が合意した額とすること。また、競争的資金以外の研究費においては、各機関が算定して定める額とすること。

ただし、次に該当する場合は、直接経費を受け入れること。

[cir1 ] 委託者が国(国以外の団体等で国からの補助金等を受け、その再委託により研究を委託することが明確なものを含む。以下同じ。)である場合

[cir2 ] 次の各号いずれかに該当する場合で、各機関の長が真にやむを得ないと認める場合

ア 委託者が特殊法人、認可法人、独立行政法人又は地方公共団体であって、財政事情で間接経費がない場合

イ 委託者が[cir1 ]以外の場合であっても、従前より直接経費のみを受け入れていた研究課題で、継続して受け入れる場合

ウ 競争的資金による研究費のうち、当該研究費にかかる間接経費が措置されていない場合

(二) 受託研究費として各機関に示達する額は、競争的資金について、間接経費がある場合は直接経費と間接経費の合算額とし、間接経費がない場合は直接経費とする。また、競争的資金以外について、民間企業から受け入れる受託研究にあっては、直接経費と間接経費の一部を合算した額とし、それ以外は直接経費とする。

(三) 六の(一)により競争的資金以外の研究費について委託者の負担する額を算定する場合は、間接経費は直接経費の三〇%に相当する額を標準とし、三〇%に相当する額と異なる額とする必要がある場合には、あらかじめ研究振興局長に協議すること。

七 繰越し

支出負担行為担当官は、受託研究の期間を延長することがやむを得ないと認められるときは、必要に応じ、歳出予算の繰越し、又は繰越明許費にかかる翌年度にわたる債務負担の手続きを行うこと。

八 進行状況の報告等

(一) 各機関においては、受託研究の進行状況の把握等を行うこと。

(二) 各機関においては、研究期間中、必要に応じて報告会を開催するなど、進行状況について報告を行うとともに、進行その他について委託者と協議すること。

九 研究成果の報告

各機関においては、受託研究実施期間中に得られた研究成果について、報告書を取りまとめるものとする。

一〇 研究成果の公表

受託研究による研究成果は、公表を原則とするものであること。

なお、その公表の時期・方法について、必要な場合には、特許権等の取得の妨げにならない範囲において、各機関の長は委託者との間で契約書等において適切に定めること。

一一 特許出願等

(一) 各機関の長は、受託研究に伴い発明が生じた場合には、帰属の決定、出願事務等が迅速かつ円滑に行われるよう努めること。なお、委託者より特許出願(外国出願を含む。)の要望があった場合には、委託者と協議のうえ、決定することができる。

(二) 各機関の長は、速やかに発明の帰属を決定できるよう、受託研究の契約時に、各機関内の役割分担等を定めておくこと。

なお、各機関の長又は学部等の長は、各機関に設置されている発明委員会に、当該発明の帰属の決定を審議させるものとし、発明があった都度同委員会を開催するなど、その迅速な処理に努めること。

(三) 各機関の長は、国が承継した特許を受ける権利又はこれに基づき取得した特許権(以下「特許権等」をいう。)について、例えば、「大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律」に基づく技術移転事業者(以下「技術移転事業者」という)等外部の機関を活用(技術移転に関する情報提供等)するなど、民間機関等への技術移転の促進が図られるよう努めること。

一二 特許権等の実施

(一) 各機関の長は、受託研究の結果生じた発明につき、特許権等を委託者又は委託者の指定する者に限り、出願したときから一〇年を超えない範囲内において優先的に実施させることができること。

(二) 一二の(一)の場合における優先的実施期間については、必要に応じて更新することができること。なお、更新する場合の取扱いに当たって、特許権等の実施は、国の財産の運用であることに留意し、公共性・公平性を著しく損なわないことなどについて考慮のうえ取り扱うこと。

(三) 一二の(一)の場合において、委託者若しくは委託者の指定する者が当該特許権等を優先的実施の期間中、一定期間(各機関の長と委託者が協議して定めた期間)を超えて、正当な理由なく実施しないとき、各機関の長は、委託者及び委託者の指定する者以外の者に対し、委託者又は委託者の指定する者の意見を聴取のうえ、当該特許権等の実施を許諾することができること。

(四) 一二の(一)又は(三)により、当該特許権等の実施を許諾したときは、別に実施契約で定める実施料を徴収するものとすること。

一三 実用新案権等の取扱い

受託研究の結果生じた考案に係る実用新案権及び実用新案登録を受ける権利については、一一及び一二に準じて取り扱うこと。

一四 秘密の保持

各機関の長及び委託者は、受託研究契約の締結に当たり、相手方より提供又は開示を受け、もしくは知り得た情報について、あらかじめ協議のうえ、非公開とする旨、定めることができること。

一五 学内組織の整備

(一) 各機関の長は、受託研究の受入れを迅速かつ適切に行うため、受託研究の受入れに関し審議し、受託研究の円滑な実施を促すための組織を整備するとともに、必要に応じ当該研究を行う学部等の長に対する受入れの決定の委任を積極的に行う等措置を講ずること。また、必要に応じ、技術移転事業者等との連携を図ること。

(二) 各機関の長は、受託研究契約を締結するにあたっては、外部の専門家の活用を図るなど、柔軟かつ迅速な対応に努めること。

一六 各機関の長は、受託試験、病理組織検査および国立大学附属病院における医薬品等の臨床研究の受託を除く、各年度の受託研究の受入れ実績を別紙様式により翌年度の六月一〇日までに研究振興局長へ報告すること。なお、受入れ実績のない場合にもその旨報告すること。

(注) 一 「知的所有権」とは、次に掲げるものをいう。

イ 特許法に規定する特許権、実用新案法に規定する実用新案権、意匠法に規定する意匠権、商標法に規定する商標権、半導体集積回路の回路配置に関する法律に規定する回路配置利用権、種苗法に規定する育成者権及び外国における前記各権利に相当する権利

ロ 特許法に規定する特許を受ける権利、実用新案法に規定する実用新案登録を受ける権利、意匠法に規定する意匠登録を受ける権利、商標法に規定する商標登録を受ける権利、半導体集積回路の回路配置に関する法律に規定する回路配置利用権の設定の登録を受ける権利、種苗法に規定する品種登録を受ける地位及び外国における上記各権利に相当する権利

ハ 著作権法に規定するプログラムの著作物及びデータベースの著作物の著作権並びに外国における前記各権利に相当する権利

ニ 秘匿することが可能な技術情報であって、かつ、財産的価値のあるものの中から、委託者と協議の上、特に指定するもの(ノウハウ)

二 委託者が、国の機関若しくは公社、公庫、公団等政府関係機関、地方公共団体又は独立行政法人である場合には二の(三)及び(五)の条件は付さないことができること。

(様式表示)

別紙様式

別紙様式

【別添資料】

(一) ライフサイエンス分野

二一世紀は「生命の世紀」と言われるように、生命への理解が深まることによって、医学の飛躍的な発展や食料・環境問題の解決に寄与することが期待できる。この分野は、我が国で今後本格化する少子高齢社会において、健康で活力に満ちた安心できる生活を実現するために重要な分野である。

ライフサイエンス分野の研究開発水準については、我が国は、イネゲノム・微生物ゲノムの解読・研究では欧米をリードするとともに家畜のクローン技術でも欧米に並ぶなど一部は高い水準にあるが、全般的に欧米に比して遅れを取っている。米国は、NIH(国立衛生院)に代表される国家的取組とベンチャービジネスの活動の両面において、世界をリードしている。欧州は、遺伝性のアルツハイマー病研究、ゲノム情報などのデータベース構築技術などで、米国に劣らない実力を持つ。

今後、ゲノム科学をはじめとする先端生命科学研究が急速に進展する中、我が国の国情を踏まえ、重点的・戦略的に取り組むこととする。具体的には、

● プロテオミクス、たんぱく質の立体構造や疾患・薬物反応性遺伝子の解明、それらを基礎とした新薬の開発とオーダーメイド医療や機能性食品の開発等の実現に向けたゲノム科学

● 移植・再生医療の高度化のための細胞生物学

● 研究開発成果を実用化する臨床医学・医療技術

● 食料安全保障や豊かな食生活の確保に貢献するバイオテクノロジーや持続的な生産技術等の食料科学・技術

● 脳機能の解明、脳の発達障害や老化の制御、神経関連疾患の克服、脳の原理を利用した情報処理・通信システム開発等の脳科学

● 前記の技術革新を支えるとともに、膨大な遺伝子情報等を解析するための情報通信技術との融合によるバイオインフォマティクス

等の推進に重点を置く。

ライフサイエンス分野の推進に当たって、国は、基礎的・基盤的な研究開発の実施に加え、融合領域等で必要となる研究者・技術者の養成・確保、生物遺伝資源等の知的基盤の整備と幅広い利用の促進、特許を巡る国際的な課題への対応、科学的知見に基づく安全性の確保とそのための基盤の整備、国民の理解の増進、倫理面のルール整備等を推進する。

(二) 情報通信分野

情報通信分野における研究開発の進展は、情報通信産業やハイテク産業など知識集約的な産業の創出・拡大や、ものづくり技術の新たな展開など既存産業の革新のために重要である。また、電子商取引、電子政府、在宅勤務、遠隔医療及び遠隔教育の実現・普及など、産業のみならず日常生活までの幅広い社会経済活動に大きな変革をもたらすもので、国民が安心して安全な生活を送るための重要な基盤となりつつある。

情報通信分野の研究開発水準については、我が国は、携帯電話、光通信技術、情報通信端末などで欧米より優位であると言われているが、米国は、パーソナルコンピュータ関連技術等での標準化戦略で先行し、またソフトウェア技術で我が国より優位である。

特に、この分野はニーズが多様で、技術革新が急速に進行しているため、機動的な研究開発を推進する。また、誰もが、自由な情報の発信・共有を通じて、個々の能力を創造的かつ最大限に発揮することが可能となる高度な情報通信社会の実現に必要な基盤技術に関する研究開発を推進することが重要である。具体的には、

● ネットワーク上であらゆる活動をストレスなく時間と場所を問わず安全に行うことのできるネットワーク高度化技術

● 社会で流通する膨大な情報を高速に分析・処理し、蓄積し、検索できる高度コンピューティング技術

● 利用者が複雑な操作やストレスを感じることなく、誰もが情報通信社会の恩恵を受けることができるヒューマンインターフェース技術

● 前記を支える共通基盤となるデバイス技術、ソフトウェア技術

等の推進に重点を置く。

情報通信分野の推進に当たって、国は、この分野は多様性と技術革新のスピードの速さといった特性を持つことを踏まえつつ、市場原理のみでは戦略的・効果的に達成し得ない基礎的・先導的な領域の研究開発に重点を置く。さらに、革新的なアイディアを有する研究者個人に着目した研究開発にも重点を置くとともに、民間の優れた人材の教育現場での活用などにより、優れた研究者・技術者の養成・確保を図る。また、ネットワーク上での安全・安心な活動を担保するための制度等の整備、技術開発のためのテストベッドの提供、標準化等の国際的な取組、国民が情報通信技術を活用することができるようにするための教育及び学習の振興等に取り組む。さらに、コンピュータの誤作動・機能不全による災害、ネットワークを介した不正行為による社会システムの機能停止への対策や、プライバシー等の情報管理の在り方の検討、デジタル・ディバイド(情報格差)の是正について留意する。

(三) 環境分野

環境分野は、多様な生物種を有する生態系を含む自然環境を保全し、人の健康の維持や生活環境の保全を図るとともに、人類の将来的な生存基盤を維持していくために不可欠な分野である。

環境分野の研究開発水準については、我が国は、地球温暖化対策技術では、全般的に欧米と同等の水準である。地球科学の領域では、観測の量などは欧米(特に米国)より劣るが、測定技術そのものは同等である。我が国は、化学物質総合評価管理技術などでは、欧米とほぼ同等の水準である。

国土が狭隘で資源にも乏しい我が国にとって、環境分野の重要性は高く、他国に先駆けて取り組むことは極めて重要である。具体的には、

● 資源の投入、廃棄物等の排出を極小化する生産システムの導入、自然循環機能や生物資源の活用等により、資源の有効利用と廃棄物等の発生抑制を行いつつ資源循環を図る循環型社会を実現する技術

● 人の健康や生態系に有害な化学物質のリスクを極小化する技術及び評価・管理する技術

● 人類の生存基盤や自然生態系にかかわる地球変動予測及びその成果を活用した社会経済等への影響評価、温室効果ガスの排出最小化・回収などの地球温暖化対策技術

等の推進に重点を置く。その際、環境負荷の低減に配慮して総合的に技術評価を行う必要があり、ライフサイクルアセスメント手法の開発、データベースの整備、消費者等への情報提供を推進することが重要である。

環境分野の推進に当たって、環境対策自体は経済的な付加価値を評価しにくいものであるため、国は、環境対策が経済社会に適切に組み込まれるよう、地球規模の観測や共通基盤技術開発、知的基盤整備、標準化の取組、モデル的な実証評価等を推進するとともに、環境対策の制度設計、初期需要創出のための各種導入促進策、消費者等への環境教育等を行う。

(四) ナノテクノロジー・材料分野

ナノテクノロジー・材料分野は、前記三分野を含め、広範な科学技術分野の飛躍的な発展の基盤を支える重要分野であるとともに、特にナノテクノロジーは、二一世紀においてあらゆる科学技術の基幹をなすものとして期待される。

○ 物質・材料

物質・材料の研究開発水準については、我が国は、既存材料技術では欧米より優勢である。

物質・材料は、広範な分野での飛躍的発展の鍵を握るという意味において重要であり、かつ、これまで我が国は高い研究開発水準を維持してきており、今後とも重点的に投資を行うことにより積極的に研究開発を進め、世界に先駆け技術革新をリードしていくこととする。具体的には、

● 情報通信や医療等の基盤となる原子・分子サイズでの物質の構造及び形状の解明・制御や、表面、界面等の制御等の物質・材料技術

● 省エネルギー・リサイクル・省資源に応える付加価値の高いエネルギー・環境用物質・材料技術

● 安全な生活空間を保障するための安全空間創成材料技術等の推進に重点を置く。

なお、材料は、使われてこそその真価を発揮するものであり、研究者の生み出すシーズが利用者側のニーズに的確に応えるものとなるように十分に配慮しつつ研究開発を推進する。また、シミュレーション技術等の情報通信技術との融合による革新的材料開発、国際標準化の促進、知的基盤の充実、環境・安全等の総合的評価技術等の確立に取り組む。

材料技術の推進に当たって、国は、基礎的・先導的な研究開発や産業化をも視野に入れた基盤的技術の研究開発といった、市場原理のみでは戦略的・効果的に達成し得ない領域の研究開発を重点的に推進する。

○ ナノテクノロジー

ナノテクノロジーは、情報通信、環境、ライフサイエンス、材料等広範な分野にわたる融合的かつ総合的な科学技術であり、ナノ(一〇億分の一)メートルのオーダーで原子・分子を操作・制御すること等により、ナノサイズ特有の物質特性等を利用して全く新しい機能を発現させ、科学技術の新たな領域を切り拓くとともに、幅広い産業の技術革新を先導するものである。ナノテクノロジーの活用により、情報通信、エネルギー、バイオテクノロジー、医療などに新しい材料、デバイス、革新的システム等を提供することが可能となる。

ナノテクノロジーの研究開発水準については、我が国は、欧米と対等ないしリードしているが、米国等諸外国の国策的取組が急速に進みつつある。このため、我が国における産学官の英知を結集した戦略的な取組が急務である。ナノテクノロジーの具体的な課題としては、例えば、ナノレベルで物質構造等を制御することで、超高強度化、超軽量化、超高効率発光等の革新的機能を有するナノ物質・材料、超微細化技術や量子効果の活用等により、次世代の超高速通信、超高速情報処理を実現するナノ情報デバイス、体内の患部に極小のシステムを直接送達し、診断・治療する医療技術などの研究開発が挙げられる。

ナノテクノロジーの推進に当たっては、基礎的・先導的な研究開発と産業化を視野に入れた研究開発をバランス良くかつ重点的に推進することが重要である。また、異分野間や研究者間の融合及び情報交換を促進する研究ネットワークの構築や新たな融合領域における人材養成などが重要である。

前記四分野以外にエネルギー、製造技術、社会基盤、フロンティアの四分野があるが、これらの分野においても、国の存立にとって基盤的であり、国として取り組むことが不可欠な領域を重視して研究開発を推進する。

(五) エネルギー分野

エネルギー分野では、将来的に懸念されるエネルギー供給不安に備え、エネルギー・セキュリティを確保する観点から現在の主力である化石燃料への依存の低下を目指すとともに、地球温暖化防止等の地球環境保全や効率化の要請に対応しつつ、安全で安定したエネルギー需給構造の実現を目指す。

具体的には、燃料電池、太陽光発電、バイオマス等の新エネルギー技術、省エネルギー・エネルギー利用高度化技術、核融合技術、次世代の革新的原子力技術、原子力安全技術等が挙げられる。

(六) 製造技術分野

製造技術は、我が国の生命線ともいうべき経済力の源泉であり、我が国でしかできない高精度加工技術が存在するなど、世界的にも最高水準にある。今後、これらの高度な技術を基に、革新的な技術の開発を行うことが重要である。

具体的には、高精度技術、精密部品加工技術、マイクロマシン等の高付加価値極限技術、環境負荷最小化技術、品質管理・製造現場安全確保技術、先進的ものづくり技術(特に情報通信技術・生物原理に立脚したものづくり革新に資する次世代技術)、医療・福祉機器技術等が挙げられる。

(七) 社会基盤分野

社会基盤分野は、防災科学技術、危機管理に関する技術、自動車・船舶・航空機等の輸送機器、地理情報システム、淡水製造・管理技術等、国民生活を支える基盤的分野であり、豊かで安心・安全で快適な社会を実現するために、社会の抱えているリスクを軽減する研究開発や国民の利便性を向上させ、質の高い生活を実現するための研究開発を推進する。

具体的には、地震防災科学技術、非常時・防災通信技術等の防災・危機管理関連技術、ITS(高度道路交通システム)等の情報通信技術を利用した社会基盤技術等が挙げられる。

(八) フロンティア分野

新たな活用領域として更なる展開が期待される宇宙、海洋等のフロンティア開拓型の研究開発に取り組む。人工衛星による通信・地球観測等の宇宙利用、多様な資源・空間を有する海洋利用等により、国民生活の質の向上など経済社会への貢献を目指す。

具体的には、高度情報通信社会に貢献する宇宙開発、新たな有用資源の利用を目指した海洋開発が挙げられる。

 

 

 

 

-- 登録:平成21年以前 --