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文化芸術振興基本法の施行について

13庁房第三三〇号

平成一三年一二月七日
各都道府県教育委員会・各都道府県知事・各国公私立大学長・各国公私立高等専門学校長・国立久里浜養護学校長・放送大学長・日本芸術院長・国立教育政策研究所長・日本芸術文化振興会長・文化庁関係各独立行政法人の長・独立行政法人女性教育会館理事長・独立行政法人教員研修センター理事長・文化庁所管各公益法人の長あて
文化庁長官通知

文化芸術振興基本法の施行について

第一五三回臨時国会において、「文化芸術振興基本法」(以下「法」という。)が平成一三年一一月三〇日に成立し、別添のとおり、同年一二月七日に法律第一四八号として公布され、同日から施行されました。

本法の制定の目的、内容及び留意事項は左記のとおりですので、十分に御了知の上、文化芸術の振興に向けた一層の御理解とお取り組みをお願いします。

都道府県教育委員会及び都道府県知事におかれては、域内の市町村教育委員会及び市町村長、文化芸術関係団体等の関係者に対し、本法の目的、内容等を御周知くださいますようお願いします。

なお、本法については、附帯決議がなされておりますので、併せて通知いたします。

[Roman1 ] 制定の目的(第一条関係)

本法制定の目的は、文化芸術が人間に多くの恵沢をもたらすものであることにかんがみ、文化芸術の振興に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、文化芸術の振興に関する施策の基本となる事項を定めることにより、文化芸術に関する活動(以下「文化芸術活動」という。)を行う者(文化芸術活動を行う団体を含む。以下同じ。)の自主的な活動の促進を旨として、文化芸術の振興に関する施策の総合的な推進を図り、もって心豊かな国民生活及び活力ある社会の実現に寄与することであること。

[Roman2 ] 内容

1 文化芸術の振興に当たっての基本理念(第二条関係)

(一) 文化芸術活動を行う者の自主性が十分に尊重されなければならないこと。(第一項関係)

(二) 文化芸術活動を行う者の創造性が十分に尊重されるとともに、その地位の向上が図られ、その能力が十分に発揮されるよう考慮されなければならないこと。(第二項関係)

(三) 文化芸術を創造し、享受することが人々の生まれながらの権利であることにかんがみ、国民がその居住する地域にかかわらず等しく、文化芸術を鑑賞し、これに参加し、又はこれを創造することができるような環境の整備が図られなければならないこと。(第三項関係)

(四) 我が国において、文化芸術活動が活発に行われるような環境を醸成することを旨として文化芸術の発展が図られ、ひいては世界の文化芸術の発展に資するものであるよう考慮されなければならないこと。(第四項関係)

(五) 多様な文化芸術の保護及び発展が図られなければならないこと。(第五項関係)

(六) 地域の人々により主体的に文化芸術活動が行われるよう配慮するとともに、各地域の歴史、風土等を反映した特色ある文化芸術の発展が図られなければならないこと。(第六項関係)

(七) 我が国の文化芸術が広く世界へ発信されるよう、文化芸術に係る国際的な交流及び貢献の推進が図られなければならないこと。(第七項関係)

(八) 文化芸術活動を行う者その他広く国民の意見が反映されるよう十分配慮されなければならないこと。(第八項関係)

2 国及び地方公共団体の責務(第三条及び第四条関係)

(一) 国は、一の基本理念にのっとり、文化芸術の振興に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有すること。(第三条関係)

(二) 地方公共団体は、一の基本理念にのっとり、文化芸術の振興に関し、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有すること。(第四条関係)

3 国民の関心及び理解(第五条関係)

国は、現在及び将来の世代にわたって人々が文化芸術を創造し、享受することができるとともに、文化芸術が将来にわたって発展するよう、国民の文化芸術に対する関心及び理解を深めるように努めなければならないこと。

4 法制上の措置等(第六条関係)

政府は、文化芸術の振興に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならないこと。

5 基本方針(第七条関係)

(一) 政府は、文化芸術の振興に関する施策の総合的な推進を図るため、文化芸術の振興に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならないこと。(第一項関係)

(二) 基本方針は、文化芸術の振興に関する施策を総合的に推進するための基本的な事項その他必要な事項について定めるものとすること。(第二項関係)

(三) 文部科学大臣は、文化審議会の意見を聴いて、基本方針の案を作成するものとすること。(第三項関係)

(四) 文部科学大臣は、基本方針が定められたときは、遅滞なく、これを公表しなければならないこと。(第四項関係)

(五) (三)及び(四)は、基本方針の変更について準用すること。(第五項関係)

6 文化芸術の振興に関する基本的施策(第八条~第三五条関係)

(一) 芸術の振興(第八条関係)

国は、文学、音楽、美術、写真、演劇、舞踊その他の芸術((二)に規定するメディア芸術を除く。)の振興を図るため、これらの芸術の公演、展示等への支援、芸術祭等の開催その他の必要な施策を講ずるものとすること。

(二) メディア芸術の振興(第九条関係)

国は、映画、漫画、アニメーション及びコンピュータその他の電子機器等を利用した芸術(以下「メディア芸術」という。)の振興を図るため、メディア芸術の製作、上映等への支援その他の必要な施策を講ずるものとすること。

(三) 伝統芸能の継承及び発展(第一〇条関係)

国は、雅楽、能楽、文楽、歌舞伎その他の我が国古来の伝統的な芸能(以下「伝統芸能」という。)の継承及び発展を図るため、伝統芸能の公演等への支援その他の必要な施策を講ずるものとすること。

(四) 芸能の振興(第一一条関係)

国は、講談、落語、浪曲、漫談、漫才、歌唱その他の芸能(伝統芸能を除く。)の振興を図るため、これらの芸能の公演等への支援その他の必要な施策を講ずるものとすること。

(五) 生活文化、国民娯楽及び出版物等の普及(第一二条関係)

国は、生活文化(茶道、華道、書道その他の生活に係る文化をいう。)、国民娯楽(囲碁、将棋その他の国民的娯楽をいう。)並びに出版物及びレコード等の普及を図るため、これらに関する活動への支援その他の必要な施策を講ずるものとすること。

(六) 文化財等の保存及び活用(第一三条関係)

国は、有形及び無形の文化財並びにその保存技術(以下「文化財等」という。)の保存及び活用を図るため、文化財等に関し、修復、防災対策、公開等への支援その他の必要な施策を講ずるものとすること。

(七) 地域における文化芸術の振興(第一四条関係)

国は、各地域における文化芸術の振興を図るため、各地域における文化芸術の公演、展示等への支援、地域固有の伝統芸能及び民俗芸能(地域の人々によって行われる民俗的な芸能をいう。)に関する活動への支援その他の必要な施策を講ずるものとすること。

(八) 国際交流等の推進(第一五条関係)

[cir1 ] 国は、文化芸術に係る国際的な交流及び貢献の推進を図ることにより、我が国の文化芸術活動の発展を図るとともに、世界の文化芸術活動の発展に資するため、文化芸術活動を行う者の国際的な交流及び文化芸術に係る国際的な催しの開催又はこれへの参加への支援、海外の文化遺産の修復等に関する協力その他の必要な施策を講ずるものとすること。(第一項関係)

[cir2 ] 国は、[cir1 ]の施策を講ずるに当たっては、我が国の文化芸術を総合的に世界に発信するよう努めなければならないこと。(第二項関係)

(九) 芸術家等の養成及び確保(第一六条関係)

国は、文化芸術に関する創造的活動を行う者、伝統芸能の伝承者、文化財等の保存及び活用に関する専門的知識及び技能を有する者、文化芸術活動の企画等を行う者、文化施設の管理及び運営を行う者その他の文化芸術を担う者(以下「芸術家等」という。)の養成及び確保を図るため、国内外における研修への支援、研修成果の発表の機会の確保その他の必要な施策を講ずるものとすること。

(一〇) 文化芸術に係る教育研究機関等の整備等(第一七条関係)

国は、芸術家等の養成及び文化芸術に関する調査研究の充実を図るため、文化芸術に係る大学その他の教育研究機関等の整備その他の必要な施策を講ずるものとすること。

(一一) 国語についての理解(第一八条関係)

国は、国語が文化芸術の基盤をなすことにかんがみ、国語について正しい理解を深めるため、国語教育の充実、国語に関する調査研究及び知識の普及その他の必要な施策を講ずるものとすること。

(一二) 日本語教育の充実(第一九条関係)

国は、外国人の我が国の文化芸術に関する理解に資するよう、外国人に対する日本語教育の充実を図るため、日本語教育に従事する者の養成及び研修体制の整備、日本語教育に関する教材の開発その他の必要な施策を講ずるものとすること。

(一三) 著作権等の保護及び利用(第二〇条関係)

国は、文化芸術の振興の基盤をなす著作者の権利及びこれに隣接する権利について、これらに関する国際的動向を踏まえつつ、これらの保護及び公正な利用を図るため、これらに関し、制度の整備、調査研究、普及啓発その他の必要な施策を講ずるものとすること。

(一四) 国民の鑑賞等の機会の充実(第二一条関係)

国は、広く国民が自主的に文化芸術を鑑賞し、これに参加し、又はこれを創造する機会の充実を図るため、各地域における文化芸術の公演、展示等への支援、これらに関する情報の提供その他の必要な施策を講ずるものとすること。

(一五) 高齢者、障害者等の文化芸術活動の充実(第二二条関係)

国は、高齢者、障害者等が行う文化芸術活動の充実を図るため、これらの者の文化芸術活動が活発に行われるような環境の整備その他の必要な施策を講ずるものとすること。

(一六) 青少年の文化芸術活動の充実(第二三条関係)

国は、青少年が行う文化芸術活動の充実を図るため、青少年を対象とした文化芸術の公演、展示等への支援、青少年による文化芸術活動への支援その他の必要な施策を講ずるものとすること。

(一七) 学校教育における文化芸術活動の充実(第二四条関係)

国は、学校教育における文化芸術活動の充実を図るため、文化芸術に関する体験学習等文化芸術に関する教育の充実、芸術家等及び文化芸術活動を行う団体(以下「文化芸術団体」という。)による学校における文化芸術活動に対する協力への支援その他の必要な施策を講ずるものとすること。

(一八) 劇場、音楽堂等の充実(第二五条関係)

国は、劇場、音楽堂等の充実を図るため、これらの施設に関し、自らの設置等に係る施設の整備、公演等への支援、芸術家等の配置等への支援、情報の提供その他の必要な施策を講ずるものとすること。

(一九) 美術館、博物館、図書館等の充実(第二六条関係)

国は、美術館、博物館、図書館等の充実を図るため、これらの施設に関し、自らの設置等に係る施設の整備、展示等への支援、芸術家等の配置等への支援、文化芸術に関する作品等の記録及び保存への支援その他の必要な施策を講ずるものとすること。

(二〇) 地域における文化芸術活動の場の充実(第二七条関係)

国は、国民に身近な文化芸術活動の場の充実を図るため、各地域における文化施設、学校施設、社会教育施設等を容易に利用できるようにするための措置その他の必要な施策を講ずるものとすること。

(二一) 公共の建物等の建築に当たっての配慮(第二八条関係)

国は、公共の建物等の建築に当たっては、その外観等について、周囲の自然的環境、地域の歴史及び文化等との調和を保つよう努めるものとすること。

(二二) 情報通信技術の活用の推進(第二九条関係)

国は、文化芸術活動における情報通信技術の活用の推進を図るため、文化芸術活動に関する情報通信ネットワークの構築、美術館等における情報通信技術を活用した展示への支援、情報通信技術を活用した文化芸術に関する作品等の記録及び公開への支援その他の必要な施策を講ずるものとすること。

(二三) 地方公共団体及び民間の団体等への情報提供等(第三〇条関係)

国は、地方公共団体及び民間の団体等が行う文化芸術の振興のための取組を促進するため、情報の提供その他の必要な施策を講ずるものとすること。

(二四) 民間の支援活動の活性化等(第三一条関係)

国は、個人又は民間の団体が文化芸術活動に対して行う支援活動の活性化を図るとともに、文化芸術活動を行う者の活動を支援するため、文化芸術団体が個人又は民間の団体からの寄附を受けることを容易にする等のための税制上の措置その他の必要な施策を講ずるよう努めなければならないこと。

(二五) 関係機関等の連携等(第三二条関係)

[cir1 ] 国は、(一)から(二四)までの施策を講ずるに当たっては、芸術家等、文化芸術団体、学校、文化施設、社会教育施設その他の関係機関等の間の連携が図られるよう配慮しなければならないこと。(第一項関係)

[cir2 ] 国は、芸術家等及び文化芸術団体が、学校、文化施設、社会教育施設、福祉施設、医療機関等と協力して、地域の人々が文化芸術を鑑賞し、これに参加し、又はこれを創造する機会を提供できるようにするよう努めなければならないこと。(第二項関係)

(二六) 顕彰(第三三条関係)

国は、文化芸術活動で顕著な成果を収めた者及び文化芸術の振興に寄与した者の顕彰に努めるものとすること。

(二七) 政策形成への民意の反映等(第三四条関係)

国は、文化芸術の振興に関する政策形成に民意を反映し、その過程の公正性及び透明性を確保するため、芸術家等、学識経験者その他広く国民の意見を求め、これを十分考慮した上で政策形成を行う仕組みの活用等を図るものとすること。

(二八) 地方公共団体の施策(第三五条関係)

地方公共団体は、(一)から(二七)までの国の施策を勘案し、その地域の特性に応じた文化芸術の振興のために必要な施策の推進を図るよう努めるものとすること。

7 施行期日

この法律は、公布の日から施行すること。

[Roman3 ] 留意事項

1 国においては、文化芸術の振興に関する施策を総合的に推進するための文化芸術の振興に関する基本方針を作成し、文化芸術の振興のための施策を展開していくこととしているが、各地方公共団体においても、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた文化芸術の振興のための施策を推進するよう努められたいこと。

2 国においては、国民の文化芸術に対する関心及び理解を深めるように努めることとしているが、各地方公共団体、関係団体等においても、それぞれの活動等を通して、国民の文化芸術に対する関心及び理解が深まるよう努められたいこと。

[Roman4 ] 附帯決議

1 衆議院文部科学委員会における附帯決議

政府は、本法施行に当たり、次の事項について配慮すべきである。

一 文化芸術の振興に関する施策の策定及び実施に当たっては、必要な財政上の措置等を適切に講ずること。

二 本法は文化芸術のすべての分野を対象とするものであり、例示されている分野のみならず、例示されていない分野についても、本法の対象となるものである。文化芸術の振興に関する施策を講ずるに当たっては、その取扱いに差異を設けることがないようにすること。

三 我が国において継承されてきた武道、相撲などにおける伝統的な様式表現を伴う身体文化についても、本法の対象となることにかんがみ、適切に施策を講ずること。

四 文化芸術の振興に関する施策の実施に当たっては、文化芸術活動を行う者等広く国民の意見を適切に反映させるよう努めること。

五 文化芸術の振興に関する施策を講ずるに当たっては、文化芸術活動を行う者の自主性及び創造性を十分に尊重し、その活動内容に不当に干渉することのないようにすること。

2 参議院文教科学委員会における附帯決議

政府及び関係者は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。

一 文化芸術の振興に関する施策の策定及び実施に当たっては、必要な財政上の措置等を適切に講ずること。

二 本法は文化芸術のすべての分野を対象とするものであり、例示されている分野のみならず、例示されていない分野についても、本法の対象となるものである。文化芸術の振興に関する施策を講ずるに当たっては、その取扱いに差異を設けることがないようにすること。

三 文化芸術の振興に関する施策の実施に当たっては、文化芸術活動を行う者等広く国民の意見を適切に反映させるよう努めること。

四 文化芸術の振興に関する施策を講ずるに当たっては、文化芸術活動を行う者の自主性及び創造性を十分に尊重し、その活動内容に不当に干渉することのないようにすること。

五 我が国において継承されてきた武道、相撲などにおける伝統的な様式表現を伴う身体文化についても、本法の対象となることにかんがみ、適切に施策を講ずること。

六 我が国独自の音楽である古典邦楽が、来年度から学校教育に取り入れられることにかんがみ、古典邦楽教育の充実について配慮すること。

七 小中学校における芸術に関する教科の授業時数が削減されている事態にかんがみ、児童期の芸術教育の充実について配慮すること。

別添〔略〕

 

 

 

 

-- 登録:平成21年以前 --