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日本語教育のための教員養成について(報告)(抄)

日本語教員の養成に関する調査研究協力者会議

平成一二年三月三〇日

日本語教育のための教員養成について(報告)(抄)

目次

はじめに

[Roman1 ] 日本語教員養成の教育内容について

一 日本語教員養成における教育内容の現状と課題

(一) 日本語教員養成と教育内容の現状について

[cir1 ] 国内における日本語教員養成と教育内容

[cir2 ] 海外における日本語教員養成

(二) 日本語教員養成の教育内容の課題について

二 日本語教員養成における教育内容について

(一) 日本語教員養成機関における教育課程編成の基本的な在り方

(二) 日本語教員養成の新たな教育内容

[cir1 ] 日本語教員として望まれる資質・能力

[cir2 ] 新たに示す教育内容

[Roman2 ] 日本語教育能力検定試験について

一 日本語教育能力検定試験の現状と課題

(一) 日本語教育能力検定試験の現状について

(二) 日本語教育能力検定試験の課題について

[cir1 ] 日本語教育能力検定試験の大臣認定について

[cir2 ] 日本語教育能力検定試験の内容等について

二 日本語教育能力検定試験の今後の在り方

(一) 日本語教育能力検定試験の継続について

(二) 日本語教育能力検定試験の内容等の改善方向について

[cir1 ] 日本語教育能力検定試験の出題範囲について

[cir2 ] 日本語教育能力検定試験のレベルについて

参考資料(略)

はじめに

国際化が進展しつつある中、国内外の日本語学習者の増加や多様な学習需要に対応し、日本語教員の活躍する場も現在多様化している。

日本語教員の養成は、昭和六〇年に文部省の日本語教育施策の推進に関する調査研究会報告「日本語教員の養成等について」において示された「日本語教員養成のための標準的な教育内容」を基本的な指針として進められてきたが、日本語学習者の多様な学習需要や日本語教育を取り巻く状況を踏まえたとき、その内容の改善等の必要性が指摘されている。

このような状況に鑑み、本協力者会議では、日本語教員の資質向上とその養成に関し一層の改善を図るため、教育内容の意義や在り方について幅広い観点から議論を行い、その結果を「日本語教育のための教員養成について」として報告をまとめた。

今後、この提言の実現に向けた取組が行われ、日本語教育の一層の振興が図られることを期待したい。

[Roman1 ] 日本語教員養成の教育内容について

一 日本語教員養成における教育内容の現状と課題

(一) 日本語教員養成と教育内容の現状について

[cir1 ] 国内における日本語教員養成と教育内容

日本語を母語としない者を対象とする日本語教育のための教員を養成する課程・コース等は、国内では平成一〇年一一月現在、国公私立の大学学部では一五五、同じく大学院では二五、短期大学では三七、大学以外の一般の日本語教員養成機関では一六七が設けられている(文化庁国語課調査)。また、国内において日本語教員養成に携わる教員数は、平成一〇年においては二、八五二人、課程・コース等の受講者総数は二九、二八九人となっている。

また、平成元年から平成一〇年までの推移を見ると、課程・コース数は一二一から三八四(三・二倍)に、教員数は一、四八九人から二、八五二人(一・九倍)に、受講者数は九、二七二人から二九、二八九人(三・二倍)にそれぞれ増加している。

このように受講者数の増加がみられる一方で、養成課程・コース等を修了した日本語教員の活躍する場も現在多様化している。従来からの大学における留学生や日本語教育施設における就学生に対する予備教育としての日本語教育のみならず、外国人研修生や地域において居住する成人外国人、外国人児童生徒など、多様な学習者に対しての日本語教育が行われるようになってきている。

一方、これまで日本語教員養成を進めるに当たっての基本的な方針とされていたものに、昭和六〇年五月に文部省の日本語教育施策の推進に関する調査研究会から出された報告「日本語教員の養成等について」がある。

この報告では、国内外の日本語学習者の増加への対応、特に我が国への留学生の着実な増加が予想され、留学生が日本語学習者総数の増加の重要な要因になると予想された昭和六〇年の当時において、将来の目安として国内において必要となる日本語教員数を試算し、それに対応した日本語教員養成の量的・質的な整備・充実を図ることを提言している。

報告では、日本語教員養成における教育内容・水準の基本が明確にされていない状況における改善方策として、教育内容の指針とされる枠組みとして、「日本語教員養成のための標準的な教育内容」(以下「標準的な教育内容」という。)を示している。この「標準的な教育内容」が示されて以来、大学等の大部分の日本語教員養成課程においては、この枠組みによる区分に対応した内容の教育が行われてきた。

[cir2 ] 海外における日本語教員養成

海外における日本語教員数は、平成一〇年で二七、四二八人(仮集計値)となっており、五年前の平成五年調査の二一、〇三四人と比べ一・三倍に増加している(国際交流基金調査)。

海外における日本語教員の養成は、母国の大学等で日本語を学び、当該国の教員免許を取得して教壇に立つケースが多いが、日本国内の養成課程で学んだり、関連領域で学位を取得した留学生が帰国して母国の日本語教員になっている場合もある。また、国際交流基金日本語国際センターや国際協力事業団等においては、海外における日本語教員を対象とした研修が実施されている。

(二) 日本語教員養成の教育内容の課題について

昭和六〇年に前記の報告が出され、日本語教員養成が着実に推進されてきた現在、日本語教員養成における最も大きな問題として、「標準的な教育内容」に示された主専攻・副専攻の区分やそこに掲げられている教育事項が、現在の日本語教育において求められている課題に対して、次に述べるように適切に対応したものとなっていないことがあげられる。

まず、第一点として、日本語教育の内容については、昭和六〇年以降の社会状況の変化や日本語教育学をはじめとした関係学問の成果を踏まえ、例えば社会言語学やコミュニケーション学、情報メディアの活用などに関する教育内容を取り入れたり、実践的な教育能力の育成を図るなど、日本語学習者の多様な学習需要に適切に対応した教育内容へと改善を図っていくことを検討する必要に迫られている。

次に、第二点として、「標準的な教育内容」により日本語教員養成課程が整備されてきたことは、各日本語教員養成機関がそれぞれの持つ日本語教員養成の理念や目的に沿った課程を整備しようとするとき、「標準的な教育内容」が硬直的な指針として受け止められ、各養成機関の創意工夫によった教育課程を編成する上での制約になっている嫌いがあると指摘されている。

前述したような日本語学習者の学習需要の多様化や日本語教員養成課程修了者の活躍の場の拡大が見られる現在、大学等の創意工夫による多様なコース設定を図り、例えば海外において日本語教員として活躍することを希望する者や日本語教育専攻の留学生を対象としたコースを設けることなどが求められるようになってきている。

大学審議会答申「二一世紀の大学像と今後の改革方策について―競争的環境の中で個性が輝く大学―」(平成一〇年一〇月)においても、今後各大学は自主性・自律性を高め、個性や特色を発揮していくことが提言されている。

このような大学改革の動向も踏まえ、昭和六〇年に出された「標準的な教育内容」が、前記のような問題を抱えるようになったことに照らした場合、日本語教員養成においては、「標準的な教育内容」の意義や在り方を見直すことが必要になってきている。

二 日本語教員養成における教育内容について

(一) 日本語教員養成機関における教育課程編成の基本的な在り方

昭和六〇年の「標準的な教育内容」との関連で、現在の大学等の日本語教育課程編成の実態を見たとき、大部分の日本語教員養成課程では、昭和六〇年の「標準的な教育内容」をそのまま適用するのではなく、単位の読み替えをしながら活用している場合が多くなっている。

このことは、主専攻・副専攻の区分や標準単位数にこだわらない方が各大学等の教育目的の現状とも合致しており、大学等が多様な学習需要に応えた教育をしようとする場合に、このような制約を課すことの必要性が乏しくなってきていることを示すものと考えられる。

むしろ、標準単位数を示すことや主専攻・副専攻という区分よりも、日本語教員として実際に教育活動に臨むに当たって、基礎的に身に付けておくべき内容、日本語教授法など必須の内容、学習者の属性に応じて選択的に習得すべき内容などを明確にしておくことが必要であると言えよう。

以上、述べてきたような状況を踏まえたとき、教育課程編成の基本的な在り方としては、次のような方針が適当であると考える。

[cir1 ] 日本語教育における現代的な課題や日本語学習者の学習需要の多様化に対応し、今後の日本語教員養成における教育内容として、画一的な「標準的な教育内容」ではなく、「基礎から応用に至る選択可能な教育内容」を示すことを基本とする。したがって、それぞれの日本語教育機関においては、そこに示された教育内容を基に、教育目的や学習者のレベル等の属性に応じていろいろな組み合わせをし教育課程が編成できるようにするものである。

[cir2 ] 各養成機関においてどのような教育課程を編成するかは、今回新たに示す教育内容を参考としてそれぞれの日本語教員養成機関の自主的な判断に委ねようとするものである。したがって、教育課程編成に際しての枠組みとなる標準単位数や、従来設けられていた主専攻・副専攻の区分は設けず、今後は、各大学等の教育目的がより一層実現しやすいようにするものである。

各日本語教員養成機関においては、この教育内容を参考とし、適切な教育課程の編成を図っていくことが望まれる。

なお、その際、特定の先端的な分野や特化した分野だけに力点を置くことなく、日本語教員として基本的に必要とされる内容や各項目相互の関連性についても十分に考慮する必要がある。また、日本語教員としての実践的な教育能力を習得させるために、教育実習が極めて重要であることに特に留意しなければならない。

さらに、大学の日本語教員養成に係る教育課程の在り方としては、各大学の創意工夫によって、日本語教育と関連する他の領域についても履修する次のような専攻・コースの在り方も考えられる。

[cir1 ] 国内において日本語指導が必要な外国人児童生徒が、また、海外においては初等中等教育機関における日本語学習者が増加している状況を踏まえ、国語、外国語、社会などに関する初等中等教員免許取得に必要な科目と日本語教員養成に係る科目とを組み合わせ、共通に履修させる横断的な教育課程編成

[cir2 ] 外国人に対する日本語教育や初等中等教育における国語教育、外国語教育を包含したより包括的な言語教育専攻

[cir3 ] 国際化が進展し、互いに異なる言語・文化を有する者との異文化間接触が増大する中で、これからの日本語教員にますます求められる異文化適応能力の基盤となる異文化心理学や対人コミュニケーションなどの主要科目と日本語教育の関連科目を包含するコミュニケーション教育専攻

(二) 日本語教員養成の新たな教育内容

[cir1 ] 日本語教員として望まれる資質・能力

今後の日本語教員養成における新たな教育内容を提示するに当たって、日本語教員に求められる資質・能力として、次のような点が重要であると考える。

ア 日本語教員としての基本的な資質・能力について

日本語教員として望まれる資質・能力として、まず基本となるのは、日本語教員自身が日本語を正確に理解し的確に運用できる能力を持っていることである。

その上で、これからの日本語教員の資質・能力として、次のような点が大切であると考える。

(ア) 言語教育者として必要とされる学習者に対する実践的なコミュニケーション能力を有していること。

(イ) 日本語ばかりでなく広く言語に対して深い関心と鋭い言語感覚を有していること。

(ウ) 国際的な活動を行う教育者として、豊かな国際的感覚と人間性を備えていること。

(エ) 日本語教育の専門家として、自らの職業の専門性とその意義についての自覚と情熱を有すること。

イ 日本語教員の専門的能力について

次に、日本語教育の専門家として、個々の学習者の学習課程を理解し、学習者に応じた適切な教育内容・方法を判断し、それに対応した効果的な教育を行うための、次のような能力を有していることが大切である。

(ア) 言語に関する知識・能力

外国語や学習者の母語(第一言語)に関する知識、対照言語学的視点からの日本語の構造に関する知識、そして言語使用や言語発達及び言語の習得過程等に関する知識があり、それらの知識を活用する能力を有すること。

(イ) 日本語の教授に関する知識・能力

過去の研究成果や経験等を踏まえた上で、教育課程の編成、授業や教材等を分析する能力があり、それらの総合的知識と経験を教育現場で実際に活用・伝達できる能力を有すること。

(ウ) その他日本語教育の背景をなす事項についての知識・能力

日本と諸外国の教育制度や歴史・文化事情に関する知識や、学習者のニーズに関する的確な把握・分析能力を有すること。

[cir2 ] 新たに示す教育内容

ア 新たに示す教育内容とコミュニケーションとの関係

日本語教育とは、広い意味で、コミュニケーションそのものであり、教授者と学習者とが固定的な関係でなく、相互に学び、教え合う実際的なコミュニケーション活動と考えられる。また、このような包括的概念としてのコミュニケーションは、今回新たに示す教育内容のすべてに共通しその根底をなすものであり、教育内容の基本となるものである。そこで、その核となるコミュニケーションと、新たに示す教育内容を構成する諸領域・区分との関係を表すと次のようになる。

新たに示す教育内容の領域は、「社会・文化に関する領域」「教育に関わる領域」「言語に関わる領域」の三つの領域からなり、それぞれはあえて明確な線引きは行わず、段階的に緩やかな関係ととらえ、また優先順位を設けず、いずれも等価と位置付ける。さらに、その領域の区分として、「社会・文化・地域」、「言語と社会」、「言語と心理」、「言語と教育」、「言語」の五つの区分を設ける。

イ 日本語教員養成において必要とされる教育内容

前述したような資質や専門的能力を有する日本語教員の養成を目指し、本協力者会議において提示する日本語教員養成において必要とされる教育内容は、次のとおりである。

(以下別添)



新たに示す教育内容の領域・区分とコミュニケーションとの関係図

別添

日本語教員養成において必要とされる教育内容


 

領域

区分

内容

キーワード

コミュニケーション

社会・文化・地域に関わる領域

社会・文化・地域

世界と日本

歴史/文化/文明/社会/教育/哲学/国際関係/日本事情/日本文学……

世界史/日本史/文学/芸術/教育制度/政治/経済/貿易外交/人口動態/労働政策/日本的経営/グローバルスタンダード/社会習慣/時事問題……

 

異文化接触

国際協力/文化交流/留学生政策/移民・難民政策/研修生受入政策/外国人児童生徒/帰国児童生徒/地域協力/精神衛生……

国際機関/技術移転/出入国管理/外国人就労/共生社会/難民条約/子どもの権利条約/国籍/小数民族/異文化適応/カウンセリング/ODA/NGO/NPO……

 

 

日本語教育の歴史と現状

日本語教育史/言語政策/教員養成/学習者の多様化/教育哲学/学習者の推移/日本語試験/各国語試験/世界各地域の日本語教育事情/日本各地域の日本語教育事情……

第二次世界大戦/国際共通語/日本語教員養成講座/留学生/就学生/技術研修生/中国帰国者/難民/出入国管理及び難民認定法(入管法)/地域の日本語教育/日本語教育能力検定試験/日本語能力試験/ジェトロビジネス日本語能力テスト/ACTFL/TOEFL/TOEIC/英検……

 

 

言語と社会

言語と社会の関係

ことばと文化/社会言語学/社会文化能力/言語接触/言語管理/言語政策/言語社会学/教育哲学/教育社会学/教育制度……

世界観/宗教観/法意識/自己概念/個人主義/集団主義/公用語/方言/言語生活/外国語・第二言語教育/ピジン・クレオール/ダイグロシア/二言語併用……

 

 

 

言語使用と社会

言語変種/ジェンダー差・世代差/地域言語/待遇・ポライトネス/言語・非言語行動/コミュニケーション・ストラテジー/地域生活関連情報……

語用論ルール/ウチ・ソト/やりもらい/会話のルール/メタ言語/沈黙/意志決定/交渉/根回し/稟議/時間・空間意識/ホンネとタテマエ/人称代名詞・親族名称・呼称/メタファー/発話行為(依頼・言い訳・感謝・約束・謝罪等)/指標/終助詞……

 

 

 

異文化コミュニケーションと社会

異文化受容・適応/言語・文化相対主義/自文化(自民族)/中心主義/アイデンティティ/多文化主義/異文化間トレランス/言語イデオロギー/言語選択……

意味付け/コードスイッチング/翻訳/通訳/バイカルチャリズム/エスノリンギスティック・バイタリティ(ethnolinguistic vitality)/イクイティ(equity)/共生/コンテキスト/異文化交渉/国際協力……

 

教育に関わる領域

言語と心理

言語理解の過程

言語理解/談話理解/予測・推測能力/記憶/視点/言語学習……

記憶(エピソード記憶・意味記憶)/スキーマ/トップダウン・ボトムアップ・処理/推論……

 

 

 

言語習得・発達

幼児言語/習得過程(第一言語・第二言語)/中間言語/言語喪失/バイリンガリズム/学習過程/学習者タイプ/学習ストラテジー……

第一言語・第二言語/相互依存仮説/帰納的・演繹的学習法/言語転移/意味フィルター/発達障害/学習障害(LD)/言語病理/沈黙期……

 

 

 

異文化理解と心理

異文化間心理学/社会的スキル/集団主義/教育心理/日本語の学習・教育の情意的側面……

カルチャーショック/文化摩擦/判断停止(エポケー)/文化化/異文化トレーニング/自己開示……

 

 

言語と教育

言語教育法・実習

実践的知識/実践的能力/自己点検能力/カリキュラム/コースデザイン/教室活動/教授法/評価法/学習者情報/教育実習/教育環境/地域別・年齢別日本語教育法/教育情報/ニーズ分析/誤用分析/教材分析・開発……

教室研究(クラスルームリサーチ)/アクションリサーチ/グループダイナミクス/ドラマ/ロールプレイ/スピーチ/ディベート/ディスカッション/多言語・多文化/インタラクション/教師の自己研修(ティーチャー・ディベロップメント)/コミュニケーション・テスト/アセスメント/ポートフォリオ/シラバス/レディネス……

 

 

 

異文化間教育・コミュニケーション教育

異文化間教育/多文化教育/国際・比較教育/国際理解教育/コミュニケーション教育/スピーチ・コミュニケーション/異文化コミュニケーション訓練/開発コミュニケーション/異文化マネージメント/異文化心理/教育心理/言語間対照/学習者の権利……

異文化トレーニング/母語保持/エンパワメント/加算・減算的バイリンガリズム/言語転移/相互学習/体験学習/イマージョン教育/クリティカル・インシデント(危機事例)/カルチャー・アシミレータ/判断停止(エポケー)/ファシリテータ……

 

 

 

言語教育と情報

教材開発/教材選択/教育工学/システム工学/統計処理/メディア・リテラシー/情報リテラシー/マルチメディア……

教材/教具/メディア/コンテンツ/ネットワーキング/視聴覚情報/言語コーパス/CAI・CALL・CMI/衛生通信/ファシリテータ/知的所有権/著作権……

 

言語に関わる領域

言語

言語の構造一般

一般言語学/世界の諸言語/言語の類型/音声的類型/形態(語彙)的類型/統語的類型/意味論的類型/語用論的類型/音声と文法……

語族/SOV・SVO言語/モーラ言語/膠着語/高文脈/相対敬語/発話行為/ポライトネス/パラ言語/非言語/表音・表意文字/タイポロジー……

 

 

 

日本語の構造

日本語の系統/日本語の構造/音韻体系/形態・語彙体系/文法体系/意味体系/語用論的規範/表記/日本語史……

南方・北方説/音素/アクセント/イントネーション/形態素/語構成/文節/品詞分類/文法/命題/モダリティ/文章談話構造/語用論的機能/発話行為/位相/待遇表現/方言/性差……

 

 

 

言語研究

理論言語学/応用言語学/情報学/社会言語学/心理言語学/認知言語学/言語地理学/対照言語学/計量言語学/歴史言語学/コミュニケーション学……

調査・分析法/リサーチ・ツール/リサーチ・クエスチョン/論文作成法/発表形態/学会……

 

 

 

コミュニケーション能力

受容・理解能力/表出能力/言語運用能力/談話構成能力/議論能力/社会文化能力/対人関係能力/異文化調整能力……

4技能/葛藤処理(管理)/プレゼンテーション/対人関係構築・維持/関係修復/判断停止(エポケー)/日本語能力/外国語能力……

(備考)

1 領域:コミュニケーションを核として、「社会・文化に関わる領域」、「教育に関わる領域」、「言語に関わる領域」の3つの領域からなり、それぞれはあえて明確な線引きは行わず、段階的に緩やかな関係ととらえ、また優先順位を設けず、いずれも等価と位置付ける。

2 区分:上記3領域の区分として、「社会・文化・地域」、「言語と社会」、「言語と心理」、「言語と教育」、「言語」の5区分を設ける。また、各々の下位の区分として、3~4区分を設定し、教育内容の位置付けや、日本語教員養成課程等で具体的に開設される科目等との対応付けを行うための目安とした。

3 内容・キーワード:下位の区分として16区分を設け、各々に、日本語教員養成において必要とされる教育内容を記述した。また、各々の教育内容について具体的な教育細目をイメージしやすくするため、キーワードを設定した。なお、内容及びキーワードは、大学・日本語教育施設等での日本語教員養成課程において開設される科目等とのマッチングを行う際の目安として記述したものであり、教育養成における教育課程編成に際して、教育内容の諸項目を網羅的に行うことを前提としたものではない。

4 その他:想定される教育課程編成の例(参考)

想定される教育課程編成の例(大学学部 その1) (参考)

※印:教免(教科に関する科目)


 

領域

区分

大学学部 日本語教育専攻

 

 

自由科目

基礎科目

共通科目

課程共通科目

専攻必修科目

専攻選択科目(A)

専攻選択科目(B)

コミュニケーション

社会・文化・地域に関わる領域

社会・文化・地域

世界と日本

 

 

 

現代世界論

文化比較論

 

* 日本文学概論、演習

教育開発と教育協力

 

 

 

 

 

 

* 日本文学史1、2

* 中国文学概論

 

異文化接触

 

 

 

国際教育論

 

 

 

 

 

日本語教育の歴史と現状

 

 

 

 

 

* 日本語史1

* 日本語史2

言語教育の課題(政策)

在日外国人教育

留学生教育

海外帰国子女教育論

 

 

言語と社会

言語と社会の関係

 

 

 

社会と文化の理論

 

 

メディアと多文化社会

 

 

 

言語使用と社会

 

 

 

 

 

社会言語学

異文化理解とジェンダー

 

 

 

異文化コミュニケーションと社会

 

 

 

他者と異文化

 

 

 

 

教育に関わる領域

言語と心理

言語理解の過程

 

 

 

日本語の理解と誤解

 

 

 

 

 

言語習得・発達

 

 

 

 

 

心理言語学

文化間移動と認知発達

 

 

 

異文化理解と心理

 

 

 

 

 

 

 

 

 

言語と教育

言語教育法・実習

 

 

 

 

日本語教育概論

日本語教育方法論

日本語教育法演習

日本語教育実習1

日本語教育実習2

 

 

 

 

異文化間教育・コミュニケーション教育

 

 

 

 

 

 

異文化間教育学

 

 

 

言語教育と情報

 

 

 

 

日本語教育工学1、2

評価測定法

教材開発論、計量言語学

 

 

言語に関わる領域

言語

言語の構造一般

 

 

 

 

言語学概論1

言語学概論2

対照言語学

言語学特論

 

 

 

日本語の構造

 

 

 

 

*現代日本語学概論1

*現代日本語学概論2

*現代日本語学A

*現代日本語学B

*現代日本語学C

現代日本語学演習A

*現代日本語学演習B

*現代日本語学演習C

*日本語文法演習1

*日本語文法演習2

*日本文法A、B

*国語学概論A、B

*国語学演習A、B

*漢語語法研究

 

 

 

言語研究

 

 

 

 

 

言語研究法

 

 

 

 

コミュニケーション能力

 

 

課程共通外国語

 

 

 

(注1) 以上のほか教職科目として、選択科目に「*児童文学、*書写2」を開設。(注2)「情」は情報処理関連科目、「外」は外国語科目。

想定される教育課程編成の例(大学学部 その2)


 

領域

区分

大学学部 日本語学科

 

 

学部共通科目

学科必修科目

学科選択必修科目

自由科目

コミュニケーション

社会・文化・地域に関わる領域

社会・文化・地域

世界と日本

国際政治学、EU経済論

地球環境論

日本文化A~D(文化、文化史、文学、文学史)

日本文化研究G、H(日本文化)

英米文化A~F

フランス文化A~F

中国文化A~F

 

異文化接触

応用倫理学

 

日本語研究A(社会言語学)

 

 

 

日本語教育の歴史と現状

 

日本語教育事情

日本語研究G(日本語史)

 

 

言語と社会

言語と社会の関係

倫理学、政治学、経済学、政治過程論、地球環境論

日本文化E、F(宗教・社会、政治・経済)

日本語研究A(社会言語学)

 

 

 

 

言語使用と社会

応用倫理学、人類学マスコミ論、社会学日本語表現論

 

日本語研究A(社会言語学)

 

 

 

 

異文化コミュニケーションと社会

応用倫理学

 

日本語研究A(社会言語学)

 

 

教育に関わる領域

言語と社会

言語理解の過程

人類学

 

 

 

 

言語習得・発達

人類学

 

日本語研究B(言語習得論)

 

 

 

 

異文化理解と心理

心理学

 

 

 

 

 

言語と教育

言語教育法・実習

 

日本語教育入門教授法

日本語教育実習1

日本語教育実習2

 

 

 

 

異文化間教育・コミュニケーション教育

比較教育

国際コミュニケーション

 

 

 

 

 

 

言語教育と情報

情報処理論

情報倫理

コンピュータ実習

コースデザイン・評価

日本文化研究D~F(日本語教育)

 

 

言語に関わる領域

言語

言語の構造一般

言語学

言語学

 

 

 

 

日本語の構造

日本語学

音声学

日本語表現論

日本語学

日本語研究C、D(対照・誤用、時制・相・法)

日本文化研究A、B(日本語学)

文法、音韻

 

 

 

 

言語研究

音声学

日本語分析

日本語研究E(文体)

日本語研究F(話法)

 

 

 

 

コミュニケーション能力

 

日本語(口頭表現、文章表現、弁論・討論、創作)

英語(会話・作文、講読・文法、総合演習)

日本文化研究C(日本語運用)

外国語(フランス語、ドイツ語、スペイン語、中国語)

 

(注1)以上のほか、1年次に、共通ゼミナールを必修科目として開設。

想定される教育課程編成の例(大学院研究科・修士課程 その1)


 

領域

区分

大学院研究科 修士課程

 

 

自専攻

他専攻

コミュニケーション

社会・文化・地域に関わる領域

社会・文化・地域

世界と日本

比較人間観概論、比較文化論、比較芸術論

キリスト教伝播論、先端文化思想論、先端映像社会論、前衛芸術論、現代文化思想分析演習、現代先端文化分析演習、現代中南米社会文化論、アメリカ環境思想論、漢民族文化論、地域言語文化特殊講義[Roman2 ]、現代ヨーロッパ文化表象論、神秘思想論、現代ヨーロッパ文化芸術論、比較言語文化特殊講義[Roman2 ]

 

 

異文化接触

 

主体形成論、文化摩擦現象分析演習、多文化社会思想論、多元文化表象論、文化様式分析演習、国際言語文化特殊講義[Roman2 ]、比較言語文化特殊講義[Roman1 ]

 

 

 

日本語教育の歴史と現状

 

 

 

 

言語と社会

言語と社会の関係

言語文化学原論、言語文化学方法論

多元文化表現論、中南米言語表現論演習、現代英語文化表現論演習、現代英語表現論演習、現代フランス文化表現論演習、現代ドイツ文化表現論演習

 

 

 

言語使用と社会

言語運用論

 

 

 

 

異文化コミュニケーションと社会

言語文化学交流論

 

 

教育に関わる領域

言語と心理

言語理解の過程

 

 

 

言語習得・発達

 

 

 

 

異文化理解と心理

 

民族意識論、地域言語文化特殊講義[Roman1 ]

 

 

言語と教育

言語教育法・実習

日本語教育学原論、日本語教授法及び実習、対照表現論演習[Roman2 ]、日本語教授法特殊講義[Roman1 ]、日本語教授法特殊講義[Roman2 ]

現代英語教育論演習

 

言語に関わる領域

 

異文化間教育・コミュニケーション教育

 

国際言語文化特殊講義[Roman1 ]

 

 

言語教育と情報

日本語教育評価論

 

 

 

言語

言語の構造一般

 

 

 

 

 

日本語の構造

日本語教育文法論、日本語音声学、現代日本語学概論、日本語談話分析論

 

 

 

 

言語研究

応用言語学概論、対照言語学、言語記号論、応用言語科学特殊講義[Roman1 ]、応用言語科学特殊講義[Roman2 ]

 

 

 

 

コミュニケーション能力

対照表現論演習[Roman1 ]

現代中国語表現論演習、中国語表現論、現代ロシア語表現論演習

想定される教育課程編成の例(大学院研究科・修士課程 その2)


 

領域

区分

大学院研究科 修士課程

コミュニケーション

社会・文化・地域に関わる領域

社会・文化・地域

世界と日本

文明批判論、文化変容論1、国際協力論、国際法、比較日本研究、文化変容論2、人権論、比較文芸・思想1、比較文芸・思想2、比較文芸・思想3、比較文芸・思想4、世界観論1、世界観論2、文化と政治、文化施設経営論[Roman1 ]・美術館・博物館、文化空間論[Roman1 ]・技術・遊技・飲食施設、文化形態論[Roman1 ]・メディア論、文化形態論[Roman2 ]・コピー論、文化施設経営論[Roman2 ]・公共文化施設、文化空間論[Roman2 ]・生活環境・技術・流行、文化保存再生論、対照言語文化論2・文芸表現、対照言語文化論3・史的表現、対照言語文化論6・文芸表現、対照言語文化論7・史的表現

 

 

異文化接触

多文化社会論

 

 

日本語教育の歴史と現状

 

 

 

言語と社会

言語と社会の関係

言語多文化論、言語政治学[Roman2 ]・言語管理論

 

 

言語使用と社会

 

 

 

 

異文化コミュニケーションと社会

境界論3・マイノリティ

 

教育に関わる領域

言語と心理

言語理解の過程

 

 

言語習得・発達

 

 

 

異文化理解と心理

境界論1・ジェンダー、境界論2・アイデンティティ、境界論4・皮膚論、文化と経済1・欲望論、文化と経済2・広告論、文化と経済3・身体感覚論、文化と経済4・消費論、文化と経済5・メセナ論

 

 

言語と教育

言語教育法・実習

言語教育政治学2・日本語教育学1、言語教育政治学3・日本語教育学2、言語教育政治学4・日本語教育集中演習1、言語教育政治学6・日本語教育集中演習2、言語教育政治学5・日本語教育学3

 

 

 

異文化間教育・コミュニケーション教育

言語政治学[Roman1 ]・表象表現論、言語教育政治学1・多文化言語教育論、言語政治学4・リテラシー・ディスコース論

 

 

 

言語教育と情報

 

 

言語に関わる領域

言語

言語の構造一般

文化形態論3・文字論、対照言語文化論1・言語構造、対照言語文化論4・音声表現、対照言語文化論5・言語構造

 

 

日本語の構造

 

 

 

 

言語研究

 

 

 

 

コミュニケーション能力

言語政治学[Roman1 ]・表象表現論、言語政治学3・翻訳通訳論

想定される教育課程編成の例(日本語教育施設)


 

領域

区分

日本語教員養成講座

 

 

理論

実技・実習

コミュニケーション

社会・文化・地域に関わる領域

社会・文化・地域

世界と日本

日本語学概論、異文化理解

 

異文化接触

 

 

日本語教育の歴史と現状

日本語教育事情、日本語教育史、日本語学史

 

言語と社会

言語と社会の関係

社会言語学

 

 

言語使用と社会

言語の変種

 

 

 

異文化コミュニケーションと社会

多言語社会

 

教育に関わる領域

言語と心理

言語理解の過程

 

 

 

言語習得・発達

子供の言語獲得

 

 

 

異文化理解と心理

 

 

 

 

言語と教育

言語教育法・実習

外国語教授法、評価法、指導法、教材教具論、コースデザイン、文字・表記

実技・実習

 

 

 

異文化間教育・コミュニケーション教育

聞く・話す

 

 

 

 

言語教育と情報

教材開発

 

 

言語に関わる領域

言語

言語の構造一般

音声学、言語学の基礎

 

 

 

日本語の構造

日本語文法、文章・談話、語彙論、意味論、日本語史

 

 

 

 

言語研究

対照言語学、類似語分析

 

 

 

 

コミュニケーション能力

 

レポート作成

[Roman2 ] 日本語教育能力検定試験について

一 日本語教育能力検定試験の現状と課題

(一) 日本語教育能力検定試験の現状について

日本語教育能力検定試験は、日本語教員の専門性の確立と日本語教育の水準の向上、日本語教員の待遇の改善を図ることを目的に、日本語教員の知識・能力を判定するものとして、(財)日本国際教育協会によって実施されている。

昭和六二年度(昭和六三年一月)の第一回試験以来、毎年一、〇〇〇人前後が合格しており、平成一一年度までの合格者総数は一三、八一四人に達する。これにより、試験創設時において課題とされていた最低限必要な日本語教育専門家を確保することについては、量的には達成しつつあると言える。

また、日本語教育能力検定試験は、日本語教員を目指す人たちの学習到達目標として活用されている実態があるとともに、日本語教育施設に教員として採用されるための条件とされることが多く、日本語教育施設における教育水準を高める上において大きな役割を果たしてきた。

(二) 日本語教育能力検定試験の課題について

[cir1 ] 日本語教育能力検定試験の大臣認定について

日本語教育能力検定試験は、第一回試験以来、「日本語教育に係る知識・能力審査事業の認定について」(昭和六二年八月二六日文部大臣裁定)に基づき、日本語教育に係る専門的知識・能力の水準についての審査及び証明を行う事業のうち奨励すべきものとして文部大臣により認定されている。

一方、このような公益法人が行う事業に対する所管庁の推薦・認定等の行為については、平成八年九月二〇日に閣議決定された「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」(以下「公益法人基準」という。)において、「各官庁が、特に公益法人が独自に行っている検査等の推薦・認定等を行う必要がある場合、以下の要件がすべて整っていることを要するものとする」として「(一)推薦等が法令に基づくものであること」のほか全六項目をあげ、それについて必要な措置が平成一二年度末までに講じられなければならないものとしている。

このため、制度の根拠が省令以上の規程に基づくものではない日本語教育能力検定試験に対する文部大臣認定の扱いをはじめ、同試験の実施形態について、早急に検討することが必要になっている。

[cir2 ] 日本語教育能力検定試験の内容等について

日本語教育能力検定試験の内容については、出題範囲や試験方法が日本語教育に関する知識を測ることに偏重しているのではないかと指摘されている。特に、出題範囲にあげられている主要項目の各事項ごとの先端的・断片的な知識問題に対して短い時間で効率的に答えていく受験能力が必要とされていることや、日本語教育に必要な実践的な教育能力について十分に測ることができないなどの問題が言われている。

また、日本語教育能力検定試験は、大学学部の日本語教員養成副専攻課程修了者のレベルを想定した一種類の試験となっているが、日本語教員がより専門的な能力を必要とする教育の場で活躍するためには、現在の検定試験の合格レベル程度での知識や能力だけでは十分に対応できないという問題も指摘されている。

もとより、日本語教育能力検定試験の出題範囲は前述の日本語教員養成における「標準的な教育内容」と対応するものであり、「標準的な教育内容」の見直しが行われる中で、検定試験の内容等についても幅広い観点から見直していくことが必要とされている。

二 日本語教育能力検定試験の今後の在り方

(一) 日本語教育能力検定試験の継続について

日本語教育能力検定試験に対する現在の文部大臣認定については、大臣認定を行う制度の根拠が省令以上の規程に基づくものではなく、「公益法人基準」において期限とされている平成一二年度末をもって廃止されることになる。

しかし、日本語教育能力検定試験自体については、この試験が、専門性を有する日本語教育専門家の確保と日本語教育の水準の向上のため大きな役割を果たしているところであり、日本語教育関係者の間においても存続を希望する意見が圧倒的に多い。このような状況を踏まえたとき、検定試験そのものについては、今後も継続されるべきものである。

なお、継続するに当たっては、検定試験の実施が日本語教育界全体に大きく寄与している実状を踏まえ、今後とも信頼性の高い試験として実施されるよう、実施団体、日本語教育関係者及び関係団体等の積極的な連携・協力が望まれる。

(二) 日本語教育能力検定試験の内容等の改善方向について

[cir1 ] 日本語教育能力検定試験の出題範囲について

日本語教育能力検定試験の出題範囲については、昭和六〇年の「標準的な教育内容」に基本的に準拠してきたが、今回日本語教員養成において必要とされる教育内容が見直されることにより、これに対応した形で出題範囲についても見直しが行われる必要がある。また、出題範囲の見直しを行うに当たっては、前述指摘したような設問の立て方に関しても、より受験者の能力を適正に判定できるよう改善を図っていくことが必要である。

[cir2 ] 日本語教育能力検定試験のレベルについて

日本語教育能力検定試験のレベルについて、特に検討が必要とされるのは、現在大学学部の日本語教員養成副専攻課程修了者を想定したレベルとなっているものを、より高いレベル設定に変えること、又は現在のレベルとは別に一段高いレベルの試験を新たに設けることであると考える。

この問題は、日本語教育能力検定試験の合格者に何を期待するかということと関わるものである。合格者には日本語教員として最低限必要な専門的知識・能力を期待しているのが現行のレベル設定であると言えるが、日本語教員の活躍の場が多様化し、より高い知識・能力が求められる場が拡大している現在、合格者がより高い専門性を有することを担保する試験の在り方も必要ではないかと考えられる。特に、海外における日本語学習者が急増している状況の中で、海外の教育機関においての教員採用に当たって、日本語教育能力検定試験に合格していることが信頼性ある資格として通用するようなレベル設定の必要性も高まっている。

その一方で、高い能力を必要とする専門家以外に、日本語教育の世界に幅広い人々の参加を得るためには、現行の試験レベルを高めることはそれらの人々の目標を失わせるものであり、適切ではないという考えもある。

このように多角的な検討を要する日本語教育能力検定試験のレベル設定の問題については、実施形態等の検討とあわせて、日本語教育関係者及び関係団体を交えて検討に着手する必要があると考える。

参考資料(略)

日本語教員の養成に関する調査研究協力者(略)

-- 登録:平成21年以前 --