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学校における毒物及び劇物の適正な管理について

文初高第五〇一号

平成一二年一月一一日
各都道府県教育委員会教育長、各指定都市教育委員会教育長、各都道府県知事あて
文部省初等中等教育局長依頼

学校における毒物及び劇物の適正な管理について

学校における毒物及び劇物の適正な管理については、平成一〇年一〇月二三日付け一〇初高第二五の二号「学校における毒物及び劇物の適正な管理について」などにより、保管・管理の徹底、管理体制の点検強化等が図られるようお願いしたところですが、一部の大学、高等学校に対して行われた総務庁の「毒物及び劇物の保管管理に関する地方監察」(別添)において、未だ法令を遵守していない等の不適切な状況がみられる旨の指摘を受けました。

各学校においては、毒物及び劇物について、授業中等における適正な取扱いの確保をはじめとして、その保管・管理の徹底、管理体制の点検・強化等を図る必要があります。また、授業等において毒物又は劇物を扱う際には、児童生徒に対し、その危険性や適正な取扱いについて十分指導する必要があります。

ついては、貴管下の各学校において、別紙一の点検項目を参考に点検等を実施するとともに、貴職におかれては、その対応状況を把握し、状況に応じて、必要な措置を講じるようお願いします。また、域内の市町村教育委員会においても、管下の学校において同様の点検等を行うとともに、対応状況の把握を行い、状況に応じて、必要な措置を講じるよう指導願います。なお、学校で学習指導上一般的に扱われている主な毒物及び劇物の例を別紙二のとおり添付します。

(参考)

一 学校における毒物及び劇物の管理に関するこれまでの通知

(一) 学校における毒物及び劇物の適正な管理について

(平成一〇年八月一一日 一〇初高第二五号初等中等教育局高等学校課長通知)

(二) 学校における毒物又は劇物の適正な管理について

(平成一〇年一〇月二三日 一〇初高第二五の二号初等中等教育局高等学校課長依頼)

二 毒物又は劇物の保管管理に関する地方監察結果報告書(平成一一年九月)における高等学校関係の指摘の概要

(一) 監察の対象となった高等学校六校のうち一校で、毒劇物の保管庫の一部に「医薬用外」等の表示がされていなかった。

(二) 監察の対象となった高等学校六校のすべてにおいて、毒劇物の使用量及び在庫量を把握していないなどの不適切な状況がみられた。

三 毒物及び劇物取締法(昭和二五年法律第三〇三号)により学校に課せられている義務の概要

(一) 毒物又は劇物の盗難や紛失を防ぐのに必要な措置を講じなければならない。(第一一条第一項)

(二) 毒物又は劇物等が外に飛散したり、漏れたり、地下にしみ込んだりすることなどを防ぐのに必要な措置を講じなければならない。(第一一条第二項、第三項)

(三) 毒物又は劇物の容器として、飲食物の容器を使用してはならない。(第一一条第四項)

(四) 毒物又は劇物の容器、貯蔵場所には、毒物については「医薬用外毒物」、劇物については「医薬用外劇物」と表示しなければならない。(第一二条第一項、第三項)

(五) 毒物又は劇物等については、法令に定められた基準に適合する方法によらなければ、廃棄してはならない。(第一五条の二)

(六) 毒物又は劇物等が飛散したり、漏れたり、地下にしみ込むなどした場合、盗難にあったり紛失した場合には、直ちに、保健所、警察署、消防機関への届出等の措置を講じなければならない。(第一六条の二第一項、第二項)

(別紙1)

学校における毒物及び劇物の保管管理に関する点検項目


点検項目

対応状況

整備等がなされていない場合の今後の改善計画

1 専用保管庫の設置

 

 

[cir1 ] 専用保管庫が整備されているか。

ア 整備されている

イ 整備されていない

 

[cir2 ] 保管庫は鍵のかかるものとしているか。

ア 鍵のかかるものである

イ 鍵はかからない

 

[cir3 ] 保管庫は毒劇物専用のものとし、一般薬品等との区分収納がなされているか。

ア 区分収納している

イ 区分収納していない

 

[cir4 ] 保管庫以外のものに保管されていないか。

ア 保管庫以外にはない

イ 保管庫以外にもある

 

2 保管庫の施錠

 

 

[cir1 ] 保管庫の施錠に関する確認や点検は責任ある者が行っているか。

ア 責任ある者が行っている

イ 各教職員が個々に行っている

 

[cir2 ] 鍵の保管について管理責任者を定めて管理しているか。

ア 管理責任者が管理している

イ 管理責任者を定めていない

 

[cir3 ] 保管庫の施錠に関して、教職員に注意喚起を行っているか。

ア 注意喚起している

イ 特に行っていない

 

3 保管庫及び容器への表示

 

 

[cir1 ] 保管庫及び容器に毒物・劇物等の表示をしているか。

ア 表示している

イ 表示していない

 

[cir2 ] 毒劇物の名称等について明示されているか。

ア 明示されている

イ 明示されていない

 

4 管理記録の整備

 

 

[cir1 ] 管理簿等を備えているか。

ア 備えている

イ 備えていない

 

[cir2 ] 管理簿等に品名、数量、取得年月日、使用日時、使用量、使用目的、使用者及び残量が適切に記入されているか。

ア すべて記入されている

ウ 記入していない

イ 一部記入している

 

[cir3 ] 毒劇物が適正に使用されたかどうかの確認が行われているか。

ア 確認している

イ 確認していない

 

[cir4 ] 定期的に数量と管理簿等の照合を行っているか。

ア 定期的に行っている

ウ 行っていない

イ 随時行っている

 

5 地震等の災害に対する対策

 

 

[cir1 ] 地震等による転倒の可能性のある保管庫について、転倒防止措置を講じているか。

ア 措置済みである

イ 措置していない

 

[cir2 ] 保管容器に転倒防止措置を講じているか。

ア 措置済みである

イ 措置していない

 

6 管理体制の充実

 

 

[cir1 ] 取扱要領等校内規程の整備が行われているか。

ア 校内規程を定めている

イ 特に定めていない

 

[cir2 ] 管理責任者の指定等が行われているか。

ア 指定している

イ 指定していない

 

[cir3 ] 保管状況の確認などの定期的検査が行われているか。

ア 定期的に検査している

ウ 検査していない

イ 随時検査している

 

[cir4 ] 保管管理や理科の実験などの授業中の取扱いについて、教職員に啓発・指導は行われているか。

ア 行っている

イ 行っていない

 

[cir5 ] 毒物及び劇物の危険性や適正な取扱いについて、児童生徒に指導は行われているか。

ア 指導している

イ 指導していない

 

7 廃棄処理

 

 

長期間保存されている毒物・劇物等で今後も使用の見込みがないものについて、適正な方法により、速やかに廃棄しているか。

ア すべて廃棄している

ウ 廃棄していない

イ 一部廃棄している

 

(注) 「整備等がなされていない場合の今後の改善計画」の欄には、今後、いつまでにどのような整備等の改善を行う予定であるかを記入すること。

(別紙2)

学校で学習指導上一般的に扱われている主な毒物及び劇物について

〔◎は小・中・高等学校、○は中・高等学校、無印は高等学校に多いものを示している〕

理科

【毒物に指定されているもの】


薬品名

実験例

黄燐

同素体の観察・実験

フッ化水素酸

ガラスの溶解

水銀

トリチェリーの実験(大気圧の測定)

【劇物に指定されているもの】


薬品名

実験例

◎塩酸

水素の発生、金属との反応、中和反応、アンモニアの検出

◎アンモニア水

水溶液の性質、塩化水素の検出

◎過酸化水素水

酸素の発生

◎水酸化ナトリウム

水の電気分解、金属との反応、中和反応

◎メタノール

アルコールランプの燃料、アルコールの性質

○硫酸

水素の発生

○ヨウ素

ヨウ素デンプン反応

○塩化バリウム

イオンの反応

○硫酸銅、塩化銅

電気分解

酢酸鉛

タンパク質の性質

硝酸銀

銀鏡反応、電気分解

硝酸

窒素酸化物の発生

水酸化カリウム

中和反応

ナトリウム

アルカリ金属の性質

ホルマリン

銀鏡反応、高分子化合物の合成

塩化亜鉛

イオンの反応、乾電池の製作

カリウム

アルカリ金属の性質

四塩化炭素

気体の分子量の測定

臭素

酸化還元反応

フェノール

フェノール樹脂の合成

ニクロム酸カリウム

アセトアルデヒドの生成

アニリン

芳香族化合物の性質

農業

【劇物に指定されているもの】


薬品名

実験例

塩酸

カルシウムの定量

硫酸

タンパク質の定量、炭水化物の定量

硝酸

アミノ酸・タンパク質の反応

アンモニア水

脂質の定量

水酸化ナトリウム

タンパク質の定量、炭水化物(繊維)の定量

氷酢酸

ビタミンの定量、アミノ酸・タンパク質の反応

硫酸銅

脂質の定量、炭水化物の定量

工業

【毒物に指定されているもの】


薬品名

実験例

水銀

圧力の測定

【劇物に指定されているもの】


薬品名

実験例

塩酸

銀の有無の判定、オレンジ[Roman2 ]の合成(染料)

硫酸

カドミウムの分離操作、安息香酸の合成、スルファニル酸の合成

硝酸

銅の有無の確認、重曹の合成、ニトロベンゼンの合成

アンモニア水

ニッケル、亜鉛等の有無の判定、尿素の合成(肥料)

水酸化ナトリウム

酸の中和剤、重曹の合成、ニトロベンゼンの合成(染料など)

トルエン

各種有機化合物の原料

臭素

鉄とクロムの分離、臭化銀の合成(写真フィルム)

アニリン

スルファニル酸の合成(医薬品、洗剤等をつくる化学反応の学習)

水産

【劇物に指定されているもの】


薬品名

実験例

塩酸

カルシウムの定量

硫酸

タンパク質の定量

硝酸

糖の性質

アンモニア水

水質検査

水酸化ナトリウム

中和反応

ヨウ素

ヨウ素デンプン反応

カリウム

脂質の酸化

水酸化カリウム

脂質の酸化

硝酸銀

食品中の塩分の測定

塩化バリウム

食品中の塩分の測定

酸化銅

食品中の塩分の測定

クロム酸カリウム

食品中の塩分の測定

家庭

【劇物に指定されているもの】


薬品名

実験例

亜ジチオン酸ナトリウム

染色

水酸化ナトリウム

染色

炭酸ナトリウム

染色

(別添)

毒物及び劇物の保管管理に関する地方監察結果報告書

平成11年9月

総務庁行政監察局

第2 監察結果

(問題点及び所見)


厚生大臣又は都道府県知事の登録を受けた毒物又は劇物(以下「毒劇物」という。)の製造業者、輸入業者又は販売業者(以下「毒物劇物営業者」という。)、学術研究のための特定毒物の製造又は使用ができる者として都道府県知事の許可を受けた者(以下「特定毒物研究者」という。)、業務上毒劇物を取り扱う者(以下「業務上取扱者」という。)は、毒物及び劇物取締法(昭和25年法律第303号。以下「法」という。)に基づき、毒劇物が盗難に遭い、又は紛失することを防ぐのに必要な措置、毒劇物の容器や貯蔵場所、陳列場所への「医薬用外」や「毒物」、「劇物」の文字の表示、毒劇物を直接取り扱う製造所、営業所又は店舗ごとの専任の毒物劇物取扱責任者の配置等を行うこととされている。

また、厚生省は、法令の趣旨の徹底を図る観点から、「毒物及び劇物の保管管理について」(昭和52年3月26日付け薬発第313号厚生省薬務局長通知。以下「薬務局長通知」という。)により、各都道府県知事に対し、毒劇物を貯蔵、陳列等する場所は、その他の物を貯蔵、陳列等する場所と明確に区分された毒劇物専用のものとし、かぎをかける設備等のある堅固な施設とすることなどについて毒物劇物営業者、特定毒物研究者及び業務上取扱者を指導するよう指示している。

さらに、厚生省は、平成10年7月に飲食物への毒物混入事件が発生したのを受け、「毒物及び劇物の適正な保管管理等の徹底について」(平成10年7月28日付け医薬発第693号厚生省医薬安全局長通知。以下「医薬安全局長通知」という。)により、各都道府県知事に対し、毒物劇物営業者、特定毒物研究者及び業務上取扱者において、毒劇物の適正な保管管理等が行われているかについて早急に点検を行うことなどについて毒物劇物営業者等を指導するよう指示している。

一方、文部省においても、業務上取扱者としての立場から、国立大学等に対し、「毒物及び劇物の適正な管理について」(平成10年7月31日付け文会用第135号文部省高等教育局長・学術国際局長・大臣官房会計課長連名通知。以下「文部省連名通知」という。)により、毒劇物の適正な保管管理を指示するとともに、公立大学、私立大学等に対しても、平成10年10月22日に、同様の趣旨の要請を行っている。

また、各都道府県教育委員会に対しても、平成10年8月に「学校における毒物及び劇物の適正な管理について」(平成10年8月11日付け10初高第25号文部省初等中等教育局高等学校課長通知)を発出するとともに、同年10月には改めて各都道府県の教育委員会及び私立学校主管課に対し、「学校における毒物及び劇物の適正な管理について」(平成10年10月23日付け10初高第25の2号文部省初等中等教育局高等学校課長通知)を発出し、管下の各学校に対し同様の趣旨で指導するよう要請を行っている。

今回、青森県、栃木県、石川県、大阪府並びに福岡県の5府県内において154事業者等(毒物劇物営業者122事業者、特定毒物研究者8事業者、届出を要する業務上取扱者(以下「要届出業務上取扱者」という。)12事業者及び届出を要しない業務上取扱者である6大学・6高等学校)を抽出して、毒劇物の保管管理状況等を調査した結果、次のとおり、法令、通達に照らし保管管理等が適切に行われていない状況にある。

[cir1 ] 毒物劇物営業者、特定毒物研究者及び要届出業務上取扱者142事業者における毒劇物の保管管理状況をみると、専用の貯蔵場所、陳列場所の未設置等法令を遵守していないものが79事業者(56パーセント)あり、また、他の薬品との混置等薬務局長通知からみて不適切なものが74事業者(52パーセント)あり、これらを合わせた104事業者(重複分を除いた実数。73パーセント)において不適切な状況にある。

[cir2 ] 6大学・6高等学校における毒劇物の保管管理に関する法令の遵守状況をみると、文部省連名通知を受け全学的取組が行われている3国立大学においては、保管管理の適正化が進められているが、公立・私立大学及び高等学校においては、文部省連名通知の内容が十分浸透されておらず、貯蔵場所、陳列場所に「医薬用外」等の表示のないもの等法令を遵守していないものが、3公立・私立大学27研究室のうち12研究室(44パーセント)、6高等学校のうち1校においてみられた。

また、毒劇物の使用量及び在庫量を把握していない等文部省連名通知からみて不適切なものが、3国立大学68研究室のうち18研究室(26パーセント)、3公立・私立大学27研究室のうち19研究室(70パーセント)及び6高等学校のすべてにおいてみられた。

[cir3 ] 毒物劇物営業者及び特定毒物研究者における登録、許可及び届出の手続状況をみると、1)営業の廃止の伴う届出が励行されておらず、在庫の有無や在庫品の処分状況が不明となっているもの(11事業者)、2)登録更新手続が行われないまま、無登録状態で営業を続けているもの(4事業者)、3)登録された品目以外の品目を製造しているもの(2事業者)や許可を受けた研究者以外の研究者が特定毒物を使用しているものなど(4事業者)がある。

このように、毒物劇物営業者等及び大学等教育研究機関において毒劇物の保管管理等が不適切な状況にあるのは、次のようなことによるものとみられる。

[cir1 ] 毒物劇物営業者等及び大学等教育研究機関における毒劇物の適正な保管管理についての認識がいまだ低いこと、また、毒物劇物営業者等に対する登録等の法制度上必要な手続についての周知が依然として図られていないこと。

[cir2 ] 毒劇物の適切な保管管理等を推進するためには、指揮監督機関の適時、適切な立入検査による是正指導及び是正指導に基づく改善確保措置が必要とされている。しかし、5府県における医薬安全局長通知を受け緊急に実施した立入検査及び毎年度実施している通常の立入検査の実施状況をみると、1)通常の立入検査は、毒物劇物監視員の体制が十分ではないとして、数年で対象事業者を一巡する目標の下に行われており、必ずしも取扱数量、事故発生のおそれのある業種等により対象事業者を絞った重点的かつ計画的な実施方針の下に行われていない、2)立入検査の結果、改善を指摘した事項について、対象事業者に対する改善状況の報告の徴収や改善状況の確認が十分に行われていない、3)大学等教育研究機関に対する立入検査はほとんど実施されていないなど、立入検査が的確かつ重点的に行われていないこと。

[cir3 ] 都道府県は、法令違反の毒物劇物営業者等に対して、登録等の取消し、業務停止等の行政処分をほとんど実施しておらず、法令違反を繰り返している事業者に対しても文書・口頭指導にとどまっており、法令違反の抑制効果が上がっていないこと。

したがって、厚生省は、毒物劇物営業者等及び大学等教育研究機関における毒劇物の保管管理等の適正化の徹底を図るため、以下の事項について、都道府県を指導する必要がある。

[cir1 ]

1) 立入検査の実施に当たっては、対象事業者の取り扱う毒劇物の種類、数量、過去に実施した立入検査結果の状況等を踏まえた立入検査計画(方針)を定めた上で、重点的かつ効率的な立入検査を行うこと。

2) 立入検査の結果、改善を指摘した事項については、対象事業者から改善状況の報告を徴収するなどして改善確保措置を講ずること。

3) 届出を要しない業務上取扱者については、これまでほとんど立入検査の対象としていない大学等教育研究機関を含めた必要な業種を機動的に検査対象に組み入れるとともに、関係機関と連携し、関係団体を通じて法令等の周知徹底を図る等の方法により、更に保管管理の適正化を図るよう指導すること。

[cir2 ] 毒物劇物営業者の登録の有効期間が経過しても一定期間手続が未了の事業者については、廃止の有無の確認を行い、必要な手続を行わせるとともに、廃止の場合には在庫品の処分等についても適切な指導を行うこと。

[cir3 ] 行政処分又は告発を法に則して的確かつ厳正に行う方針を明示すること。

また、文部省は、公立・私立の大学・高等学校を含む教育研究機関において、毒劇物の適正な保管管理の徹底及び管理体制の強化が図られるよう必要な措置を講ずる必要がある。

-- 登録:平成21年以前 --