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美術品の美術館における公開の促進に関する法律等の施行について

庁文地第一五七号

平成一〇年一一月二七日
各都道府県知事、各都道府県教育委員会教育長、各国立博物館長、各国立近代美術館長、国立西洋美術館長、国立国際美術館長あて
文化庁次長通知

美術品の美術館における公開の促進に関する法律等の施行について

このたび、「美術品の美術館における公開の促進に関する法律」(別紙一)(以下「法」という。)が、さきの第一四二回国会において成立し、平成一〇年六月一〇日、法律第九九号をもって公布され、同年一二月一〇日から施行されることとなりました。

この法律は、人類の共有財産ともいうべき貴重な美術品については、文化的社会資本として、公開・活用することが重要であることにかんがみ、主として[cir1 ]登録美術品制度の創設及び[cir2 ]登録美術品による相続税の物納の特例措置の導入を図ったものであります。

また、法の施行のため、「美術品の美術館における公開の促進に関する法律施行規則」(別紙二)(平成一〇年文部省令第四三号。同年一一月二七日公布、同年一二月一〇日施行。以下「施行規則」という。)及び「登録美術品登録基準」(別紙三)(平成一〇年文部省告示第一五八号。同年一一月二七日告示、同年一二月一〇日実施。以下「登録基準」という。)が制定されました。

ついては、左記事項を御了知の上、域内市区町村長及び市区町村教育委員会並びに美術館に対し法の趣旨及び内容等を御周知くださいますようお願いします。

一 法制定の趣旨(法第一条関係)

近年、美術に対する国民の関心は高まっており、我が国に所在する優れた美術品を広く公開していくことが求められていること。また、国民の鑑賞機会を拡大するためには、それらの優れた美術品をその専門的な施設である美術館において積極的に公開するよう促していくことが必要となっていること。

本法はこれらの状況を踏まえ、美術品について登録制度を実施し、登録美術品の美術館における公開を促進することによって、国民の美術品を鑑賞する機会の拡大を図り、もって文化の発展に寄与することを目的とするものであること。

二 法の内容及び留意事項

一 定義(法第二条関係)

この法律において、次に掲げる用語の意義は、次に定めるところによること。

[cir1 ] 美術品 絵画、彫刻、工芸品その他の有形の文化的所産である動産をいう。

[cir2 ] 美術館 博物館法第二条第一項に規定する博物館又は同法第二九条の規定により博物館に相当する施設として指定された施設のうち、美術品の公開及び保管を行うものをいう。

[cir3 ] 登録美術品 文化庁長官の登録を受けた美術品をいう。

[cir4 ] 登録美術品公開契約 登録美術品の所有者が美術館の設置者に対して登録美術品を引き渡すことを約し、美術館の設置者が美術館において当該登録美術品を公開することを約する契約であって、次の要件を満たすものをいう。

イ 五年以上の期間にわたって有効であること。

ロ 当事者が解約の申入れをすることができない旨の定めがあること。

[cir5 ] 公開 公衆の観覧に供することをいう。

(注一)

[cir4 ]の登録美術品公開契約は、美術館の内部規程等により契約権限が館長等に適正に授権されている場合は、当該館長等の名義で所有者と締結しても差し支えない。

(注二)

公開契約の書類の標題は、必ずしも「○○公開契約書」と表記する必要はなく、美術館で美術品を公開するという両当事者の意思が確認できるものであれば差し支えない。

なお、保管中あるいは輸送中等の危険負担を誰が負うかについても事前に合意し、可能な限り契約書類に記述しておくことが望まれる。

二 美術品の登録(法第三条関係)

(一) 美術品の所有者は、その美術品について文化庁長官の登録を受けることができること。

(二) 文化庁長官は、(一)の登録の申請があった場合において、当該申請に係る美術品が次のいずれかに該当するものであり、かつ、当該美術品に係る登録美術品公開契約が確実に締結される見込みがあると認めるときは、登録をしなければならないこと。

[cir1 ] 文化財保護法第二七条第一項の規定により重要文化財に指定されたものであること。

[cir2 ] [cir1 ]に掲げるもののほか、世界文化の見地から歴史上、芸術上又は学術上特に優れた価値を有するものであること。

(三) 文化庁長官は、(一)の登録をしたときは、遅滞なく、その旨を申請者に通知しなければならないこと。

(注一)

(一)の登録の申請については、施行規則第一条によるものとし、登録申請書の様式については施行規則別記様式第一号によるものとする。この申請様式には、美術品に関する専門的な知識が必要な項目も含まれているため、所有者が申請書を作成するにあたっては、契約予定美術館の助力を得ることが望まれる。

(注二)

(二)[cir2 ]の「世界文化の見地から歴史上、芸術上又は学術上特に優れた価値を有するもの」に該当する美術品については、登録基準第二条第二項によるものとする。

(注三)

登録基準第二条第二項第四号の「文字資料」とは、「書跡(書道史上の代表と認められるもの等)、典籍(写本類等)、古文書(日記等)」など、文字に関連した資料である。

(注四)

美術品の登録は、文化庁長官が、美術品登録簿に記載してするものとし、登録をしたときは、登録通知書により申請者に対して通知される。(施行規則第三条及び第四条関係)

なお、この登録通知書は、文化庁長官が登録をしたことの事実関係の通知と位置づけており、仮に所有者が当該通知書を紛失したとしても再発行は行わない。

三 契約美術館の設置者の義務(法第四条関係)

契約美術館の設置者は、登録美術品を積極的に公開し、かつ、善良な管理者の注意をもって、その保管を行わなければならないこと。

四 承継(法第五条関係)

(一) 登録美術品の所有者について相続又は合併があったときは、相続人又は合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人は、その登録美術品の所有者の地位を承継すること。

(二) 所有者の地位を承継した者は、遅滞なく、その旨を文化庁長官に届け出なければならないこと。

(注一)

(一)の「相続」には、いわゆる相続のほか包括遺贈も含まれる。

(注二)

(一)の「登録美術品の所有者の地位を承継する」とは、文化庁長官により登録されている美術品の所有者の地位を承継することであり、新たな所有者として美術品登録簿に記載されることとなる。

(注三)

(二)の「遅滞なく」とは、承継が発生した後すみやかに届出をすることを規定したものであり、相続財産が未分割のため最終的に登録美術品を取得する者が未定の場合であっても、承継人が複数存在するものとして、承継届出書を文化庁長官に提出しなければならない。ただし、遺産の分割等によって所有権が確定したときは、その旨を記載した書類を追加的に提出する必要がある。

(注四)

登録美術品の所有者の地位を承継した者は、文化庁長官への届出が必要であるが、売買等により所有権を新たに取得した者と異なり、新たな登録申請を行う必要はない。

(注五)

(二)の届出については、施行規則第五条によるものとし、承継の届出書の様式については施行規則別記様式第四号によるものとする。

五 登録の取消し(法第六条関係)

(一) 文化庁長官は、次のいずれかに該当するとき又は登録美術品の所有者から登録の取消しの申請があったときは、登録美術品についてその登録を取り消さなければならないこと。

[cir1 ] 登録美術品が二の(二)のいずれか(重要文化財又は世界文化の見地から歴史上、芸術上又学術上特に優れた価値を有するもの)に該当しなくなったと認められるとき。

[cir2 ] 登録美術品の所有者が、登録した旨の通知を受けた日から三月以内に、当該登録美術品について美術館の設置者との間で登録美術品公開契約を締結せず、又は当該登録美術品公開契約に係る契約美術館の設置者に当該登録美術品を引き渡さないとき。

[cir3 ] 登録美術品が美術館において公開されていないと認められるとき。

[cir4 ] 登録美術品公開契約が終了したとき(その終了に際し、登録美術品の所有者が、当該登録美術品について、美術館の設置者との間で登録美術品公開契約を締結し、かつ、当該登録美術品を当該美術館の設置者に引き渡したときを除く。)。

[cir5 ] 登録美術品の所有者が不正の手段により登録を受けたとき。

(二) 文化庁長官は、登録を取り消したときは、遅滞なく、その旨を登録美術品の所有者及び契約美術館の設置者に通知しなければならないこと。

(注一)

(一)[cir3 ]の規定は、所有者が契約美術館から登録美術品の返還を受けた場合、契約美術館が登録美術品を正当な理由なく、長期間展示をしない場合等が想定される。具体的には、法第八条第二項及び第三項により契約美術館から文化庁長官へ提出される公開等計画届出書及び公開等状況報告書の記載内容等により判断することとなる。

(注二)

(一)[cir4 ]の括弧内の規定は、既に登録美術品公開契約を締結している所有者が、契約期間満了時に、時日を置かず従前の契約の更新又は他の美術館と新たな登録美術品公開契約を締結し、当該美術品を引き渡したとき(既契約の美術館にそのまま置いておくことを含む。)は、登録を取り消さない趣旨である。

(注三)

(一)の登録の取消しの詳細については施行規則第六条、(二)の登録の取消しの通知の様式については施行規則別記様式第六号によるものとする。

六 登録美術品の所有者の報告(法第七条関係)

登録美術品の所有者は、次のいずれかに該当するときは、遅滞なく、その旨を文化庁長官に報告しなければならないこと。

[cir1 ] 登録美術品(重要文化財に指定されたものを除く。)を契約美術館の設置者に引き渡す前に、当該登録美術品の全部又は一部が滅失し、若しくはき損し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたとき。

[cir2 ] 登録美術品公開契約を締結したとき。

(注一)

[cir2 ]の「契約を締結したとき」には、契約の更新を行った場合も含まれるため、契約締結の報告書を文化庁長官に提出しなければならない。ただし、契約内容に自動更新の条項がある場合には、この限りでない。

(注二)

所有者の文化庁長官への報告ついては施行規則第八条及び第九条によるものとする。[cir1 ]の滅失等の報告書の様式は施行規則別記様式第七号、[cir2 ]の契約締結の報告書の様式は同第八号によるものとする。

七 契約美術館の設置者の報告等(法第八条関係)

(一) 契約美術館の設置者は、次のいずれかに該当するときは、遅滞なく、その旨を文化庁長官に報告しなければならないこと。

[cir1 ] 登録美術品の引渡しを受けたとき。

[cir2 ] 登録美術品の引渡しを受けた後に、当該登録美術品の全部又は一部が滅失し、若しくはき損し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたとき。

[cir3 ] 登録美術品公開契約の内容を変更したとき。

[cir4 ] 登録美術品公開契約が終了したとき。

(二) 契約美術館の設置者は、毎年度、登録美術品の公開及び保管の計画を作成し、文化庁長官に届け出なければならないこと。これを変更したときも、同様とすること。

(三) 契約美術館の設置者は、毎年度、登録美術品の公開及び保管の状況を文化庁長官に報告しなければならないこと。

(注一)

(一)[cir3 ]の「契約内容の変更」とは、契約期間の変更等を意味するものである。契約の更新や一方当事者の変更は新たな契約を締結するものであり、この場合に該当しない。

(注二)

(一)[cir4 ]の「契約が終了したとき」には契約の更新を行う場合も含まれるため、契約終了の報告書を文化庁長官に提出しなければならない。ただし、契約内容に自動更新の条項がある場合には、この限りでない。

(注三)

(二)及び(三)の「毎年度」とは契約美術館の毎事業年度のことである。計画については毎事業年度開始前に、報告については毎事業年度終了後三月以内に、施行規則で定める様式を文化庁長官に提出しなければならない。(施行規則第一四条及び第一五条関係)

(注四)

美術館の設置者の文化庁長官への報告及び届出については、施行規則第一〇条から第一五条までによるものとする。それぞれの報告書及び届出書の様式は施行規則別記様式第九号から第一五号までによるものとする。

八 美術館の設置者のあっせん(法第九条関係)

文化庁長官は、必要があると認めるときは、登録美術品公開契約が締結されるよう、登録美術品の所有者に対し、美術館の設置者のあっせんに努めなければならないこと。

九 情報の提供等(法第一〇条関係)

文化庁長官は、国民の登録美術品を鑑賞する機会の拡大を図るため、登録美術品の所在に関する情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(注)

登録美術品の所有者の氏名又は名称については、登録美術品を鑑賞する機会の拡大を図るために必要な情報とはいえないこと、また、開示を希望しない所有者がいるものと予想されることから、登録申請時に登録申請書において所有者の意思確認を行い、それに従って文化庁において開示又は不開示を決定することとする(施行規則第一条第一項関係)。

一〇 登録美術品の公開等に関する指導等(法第一一条関係)

文化庁長官は、契約美術館の設置者に対し、登録美術品の公開又は保管に関し必要な指導又は助言を行うことができること。

一一 国が所有権を取得した登録美術品の公開(法第一二条関係)

国は、登録美術品の所有権を取得したときは、当該美術品を美術館において積極的に公開するよう努めるものとすること。

一二 文化財保護法の特例(法第一三条関係)

(一) 届出のあった公開及び保管の計画に従って契約美術館の設置者が行う登録美術品(重要文化財に指定されたものに限る。)の公開に関する文化財保護法の規定の適用については、当該計画又はその変更の届出があったことをもって、同法第五三条第一項本文の許可(所有者等以外の者による公開についての文化庁長官の許可)があったものとみなすこと。

(二) 契約美術館が文化財保護法第五三条第一項ただし書に規定する公開承認施設である場合において、届出のあった公開及び保管の計画に従って当該契約美術館の設置者が当該契約美術館において行う登録美術品の公開については、同法第五三条第二項の規定(文化庁長官への届出)は適用しないこと。

一三 施行期日(法附則第一項関係)

この法律は、公布の日から起算して六月を経過した日(平成一〇年一二月一〇日)から施行すること。

一四 検討(法附則第二項関係)

政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況、美術品を取り巻く状況の変化等を勘案し、美術品の登録に係る制度について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること。

一五 相続税の物納の特例(法附則第三項関係)

租税特別措置法の一部を改正し、登録美術品について、相続税の物納が認められる場合の優先順位を第一位としたこと。

一六 価格の評価(施行規則第一六条関係)

文化庁長官は、登録美術品について相続又は遺贈(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。以下同じ。)があった場合において、当該相続又は遺贈により当該登録美術品を取得した個人から申請があったときは、当該登録美術品の価格の評価を行うことができること。

別紙 略

 

 

 

 

-- 登録:平成21年以前 --