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宗教法人法の一部を改正する法律(平成七年法律第一三四号)の施行について

庁文宗第一三七号

平成八年九月二日
各都道府県知事あて
文部事務次官通知

宗教法人法の一部を改正する法律(平成七年法律第一三四号)の施行について

このたび、別添のとおり宗教法人法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(平成八年政令第二三九号)が公布され、宗教法人法の一部を改正する法律(平成七年法律第一三四号)(以下「改正法」という。)の所轄庁、事務所備付け書類の見直し及び所轄庁への提出、信者その他の利害関係人の閲覧並びに所轄庁の報告徴収及び質問等、これまで未施行となっていた改正規定のすべてが、平成八年九月一五日に施行されることとなりました。

ついては、改正法の施行について左記の事項に留意の上、適切な事務処理を行うとともに、貴職が所轄する宗教法人において制度の適正な運用がなされるよう周知方ご配意願います。

一 所轄庁について

改正法によって、他の都道府県内に境内建物を備える宗教法人及び当該宗教法人を包括する宗教法人の所轄庁が新たに文部大臣とされたところであるが、その趣旨及び留意点については、以下のとおりである。

(一) 複数の都道府県において活動を行う宗教法人(他の都道府県内に境内建物を備える宗教法人)については、所轄庁が宗教法人法に定められた責任をより適切に果たすことができるよう、その所轄庁を都道府県知事から文部大臣としたものである。

(二) 所轄庁の変更期日については、以下のとおり取り扱うものとする。

[cir1 ] 改正法の公布の日(平成七年一二月一五日)において、他の都道府県内に境内建物を備えている宗教法人及び当該宗教法人を包括する宗教法人の所轄庁が変更となる日は平成八年九月一五日である。

[cir2 ] 平成七年一二月一六日以後に他の都道府県内に境内建物を備えることとなり、平成八年九月一五日において引き続き当該境内建物を備えている宗教法人及び当該宗教法人を包括する宗教法人の所轄庁が変更となる日は、文化庁から当該宗教法人に対して所轄庁が変更となる旨の通知を行った日とする。

[cir3 ] 平成八年九月一六日以後において、他の都道府県内に境内建物を備えることとなった宗教法人及び当該宗教法人を包括する宗教法人、又は他の都道府県内に境内建物を備えないこととなった宗教法人及び当該宗教法人を包括する宗教法人の所轄庁が変更となる日は、文化庁から当該宗教法人に対して所轄庁が変更となる旨の通知を行った日とする。

二 事務所備付け書類について

改正法によって、宗教法人は、毎会計年度終了後三月以内に収支計算書を作成し、これを事務所に備えるとともに、財産目録に記載されていない境内建物がある場合には、境内建物に関する書類を事務所に備えなければならないとされたところであるが、その留意点については、以下のとおりである。

(一) 収支計算書について

[cir1 ] 宗教法人が、収支計算書を作成しなければならないのは、平成八年九月一五日以後に開始する会計年度からである。

[cir2 ] 当分の間、公益事業以外の事業を行っていない宗教法人であって、その一会計年度の収入の額が八、〇〇〇万円以内である場合は、収支計算書の作成義務を免除することとされているが、これは、従来収支計算書を作成していなかった収入規模の小さな宗教法人について直ちにその作成を義務づけることは、その事務負担などから困難が予想されるための経過措置であり、一会計年度の収入の額が八、〇〇〇万円以内の宗教法人に収支計算書を作成しないことを奨励するものではない。

[cir3 ] 収支計算書の作成義務に係る「一会計年度の収入の額」については、宗教活動収入、会費収入、寄附金収入、助成金収入、資産運用収入等のいわゆる恒常的な外部からの収入の総額をもって判断するものであり、臨時的な資産の売却収入、前年度からの繰越金、会計単位間の振替、借入金、各種引当金等の取り崩し等は含まない。

なお、公益事業を行っている宗教法人にあっては、これに係る収入を含む収入の総額で判断する。

[cir4 ] 収支計算書の作成義務が免除される場合であっても、収支計算書以外の宗教法人法(以下「法」という。)第二五条に規定する書類及び帳簿に係る作成等の義務は免除されるものではない。

また、収支計算書の作成義務が免除される場合であっても、収支計算書を作成していれば、事務所に備え付け、かつ、その写しを所轄庁へ提出しなければならない。

(二) 境内建物に関する書類について

財産目録に記載されない境内建物がある場合には、平成八年九月一五日に境内建物に関する書類を事務所に備えなければならない。

(三) 事務所備付けの期間等について

事務所に備え付ける書類等は、原則として作成された最新のものである。

ただし、法第二五条第二項第一号の認証書に関しては、設立時からのものをすべて備え付ける必要がある。

また、同項第五号の書類及び帳簿に関しては、少なくとも前年度分以降のものは備え付ける必要がある。

三 事務所備付け書類及び帳簿に関する信者その他の利害関係人による閲覧について

改正法によって、宗教法人は、法第二五条第二項の規定により備付けが義務づけられている書類又は帳簿に関して、信者その他の利害関係人であって、閲覧することについて正当な利益があり、かつ、閲覧の請求が不当な目的によるものでないと認められる者から請求があったときは、これを閲覧させなければならないとされたところであるが、その趣旨及び留意点は以下のとおりである。

(一) この制度は、宗教法人に関して、財務会計等の管理運営の側面については、より民主的運営や透明性を高めることが期待されていることから、閲覧することについて正当な利益のある信者その他の利害関係人に対し、事務所備付け書類等の閲覧を認めることにより、これらの者の一層の利便を図るとともに、より適正な運営が行われることを目的としたものである。

(二) 法第二五条第三項の「信者その他の利害関係人」は、法第一二条、第二三条、第二六条、第三四条、第三五条及び第四四条の「信者その他の利害関係人」と同義である。

(三) 法第二五条第二項の備付け書類の閲覧請求権が認められる信者その他の利害関係人であって正当な利益を有する者については、各宗教法人の特性及び慣習などにかんがみ、宗教法人が判断し、決定すべきことである。

この場合、閲覧請求権が認められる信者その他の利害関係人であって正当な利益を有する者については、以下のようなものが考えられるので参考とされたい。

なお、これらはあくまで例示である。

[cir1 ] 宗教法人と継続的な関係を有し、宗教法人の財産基盤の維持形成に貢献している寺院における檀徒や神社における氏子など

[cir2 ] 宗教法人の管理運営上の一定の地位が規則等で認められている総代など

[cir3 ] 宗教法人と継続的な雇用関係にあり、一定の宗教上の地位が認められている宗教教師

[cir4 ] 債権者

[cir5 ] 保証人

[cir6 ] 包括・被包括関係にある宗教団体

(四) 閲覧請求があった場合、各宗教法人において、当該閲覧請求者が現にどのような利害関係を有する者であるかを具体的に勘案して、閲覧に関する内部規則等がある場合はそれに基づき、閲覧に係る書類ごとに、書類によってはその一定部分ごとに閲覧することに正当な利益があるか否か判断すべきものである。

(五) 「不当な目的」とは、閲覧の目的が閲覧請求の規定を設けた趣旨に沿わない目的のことを意味し、例を挙げれば以下のようなものが考えられるので参考とされたい。

[cir1 ] 宗教法人を誹謗中傷するための資料を得る目的(第三者への提供目的を含む。)

[cir2 ] 宗教法人が一般に公開していない情報を第三者に売却する目的

[cir3 ] 恐喝等、宗教法人から不当に財産的利益を得ようとする目的

(六) 閲覧に際して、請求者が書類等が備え付けられた場所において、謄写等を行うことを希望する場合は、宗教法人の判断により、特段の支障がない限り、これを認めることが適当である。

(七) 閲覧の対象は、現に事務所に備え付けられている書類等のみであって、その作成の元となっている帳簿等の資料に関しては対象とならない。

四 事務所備付け書類の写しの所轄庁への提出及びその取扱いについて

改正法によって、宗教法人は、毎会計年度終了後四月以内に事務所備付け書類の一部(法第二五条第二項第二号から第四号まで及び第六号の書類をいう。)の写しを所轄庁に提出しなければならないとされたところであるが、その趣旨及び留意点は以下のとおりである。

(一) 宗教法人の事務所備付け書類の一部の写しの所轄庁への提出が義務づけられた趣旨は、当該宗教法人が規則等に従ってその目的に沿った活動を行っていることを、所轄庁が継続的に確認するためである。

(二) 提出された書類は内容を把握の上、必要な情報が欠落して書類から宗教法人の管理運営の実態が把握できない場合、書類の記載内容について不明な事項がある場合等においては、必要に応じ、当該宗教法人の協力を得て、問い合わせ、訂正、追加を求めるなど、正確な情報の把握に努める。

なお、書類の提出を怠っている場合、当該宗教法人に速やかに提出するよう督促を行う等必要な措置を講ずる。

(三) 所轄庁に提出された書類の内容には、職務上の秘密に値するものが含まれていると考えられるが、公務員には、守秘義務が課せられている。そのような秘密を外部に漏らすことは、宗教法人法上書類の提出を義務づけた趣旨、目的に反し、ひいては、宗教法人の所轄庁への信頼を損ない、宗教行政の適正な遂行を損なうおそれがあるので、厳に許されないものである。

また、所轄庁は、提出された書類を取り扱う場合においては、宗教法人の宗教上の特性及び慣習を尊重し、信教の自由を妨げることがないよう特に留意しなければならない旨、法第二五条第五項に規定されており、提出された書類の取扱いには十分留意し、慎重を期するべきである。

(四) 貴都道府県において、情報公開条例が制定されており、宗教法人から所轄庁へ提出された書類について、当該条例に基づき開示が求められた場合、その決定に当たっては、法第二五条第三項に規定する閲覧請求権者が、閲覧することについて正当な利益があり、かつ、不当な目的をもたない信者その他の利害関係人に限定されている趣旨及び法第二五条第五項の規定を踏まえ、十分慎重に対処すべきものである。

なお、当該書類は、宗教法人の内部情報であって、開示することにより宗教法人の活動に支障が生じるおそれがあること等に十分留意しなければならない。

五 所轄庁の報告徴収及び質問について

改正法によって、所轄庁が、宗教法人について、公益事業以外の事業の停止命令等を行うべき事由に該当する疑いがあると認めるときには、宗教法人審議会の意見を聞いた上で、当該宗教法人に対し報告を求め、又は当該職員に当該宗教法人の代表役員など関係者に対し質問することができることとされたところであるが、その趣旨及び留意点は以下のとおりである。

(一) この制度は、所轄庁が、公益事業以外の事業の停止命令、認証の取消し又は解散命令の請求の事由に該当する疑いがあると認めるときに、当該権限を適正に行使するための判断の基礎となる客観的な資料を把握できるようにしたものである。

(二) 宗教法人に対して報告を求め、質問を行おうとする場合には、法第二五条第四項の規定により提出された書類の内容を精査するとともに、当該宗教法人の協力を得て不明な点を照会するなど、事前の情報収集に努めるべきである。

(三) 宗教法人に対して報告を求め、質問を行おうとする場合には、その権限行使についての慎重を期する必要があるため、あらかじめ宗教法人審議会に諮問することとされており、宗教法人審議会に諮問する場合には、別紙の様式により、該当する事項及び理由を示して、文部大臣あて願い出る。

(四) 宗教法人に対して報告を求める場合は、書面をもって行うものとし、宗教法人審議会に諮問した事項とその意見を添付する。

(五) 宗教法人に対して貴職の職員に質問をさせる場合は、当該職員の身分を示す証明書を携帯させるとともに、質問事項を書面で示し、かつ、宗教法人審議会に諮問した事項とその意見を添付する。

なお、代表役員等当該宗教法人の関係者の同意がなければ、職員が質問するために当該宗教法人の施設に立ち入ることはできない。

(六) 宗教法人に対して報告を求め、質問を行おうとする場合には、宗教法人の宗教上の特性及び慣習を尊重し、信教の自由を妨げることがないよう特に留意しなければならない。

(七) この制度は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

別紙1

 

 

 

 

-- 登録:平成21年以前 --