庁保伝第一四三号
平成八年八月三〇日
各都道府県・指定都市・中核市教育委員会教育長あて
文化庁次長通知
文化財保護法の一部を改正する法律等の施行について
「文化財保護法の一部を改正する法律」(別冊)が、さきの第一三六回国会において成立し、平成八年六月一二日、法律第六六号をもって公布され、同法は、「文化財保護法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」(別紙一)(平成八年政令第二六一号。同年八月三〇日公布、同年一〇月一日施行)により同年一〇月一日から施行されることとなりました。
この改正は、文化財保護審議会の下に設置された文化財保護企画特別委員会により平成六年七月にとりまとめられた『時代の変化に対応した文化財保護施策の改善充実について』及び文化庁長官の諮問機関として設置された文化政策推進会議により平成七年七月にとりまとめられた『新しい文化立国をめざして』において提言された事項を踏まえたものであり、近年における文化財を取り巻く社会状況の急激な変化に対応して文化財保護施策の充実を図るとともに、地方公共団体の果たすべき役割の強化の必要性にかんがみ、主として左記の点について制度的な充実を図ったものであります。
一 文化財登録制度の導入
二 指定都市等への権限の委任等及び市町村の役割の明確化
三 重要文化財等の活用の促進
また、この改正に伴い、次のとおり文部省令の制定等が行われました。
一 登録有形文化財に係る登録手続及び届出書等に関する規則(別紙二)
(平成八年文部省令第二九号。同年八月三〇日公布、同年一〇月一日施行)
二 国宝、重要文化財等の管理、修理等に関する技術的指導に関する規則の一部を改正する省令(別紙三)
(平成八年文部省令第三〇号。同年八月三〇日公布、同年一〇月一日施行)
三 国宝、重要文化財又は重要有形民俗文化財の出品又は公開の申出及び費用負担に関する規則の一部を改正する省令(別紙四)
(平成八年文部省令第三一号。同年八月三〇日公布、同年一〇月一日施行)
四 登録有形文化財登録基準(別紙五)
(平成八年文部省告示第一五二号。同年八月三〇日告示)
ついては、左記事項を御了知の上、遺漏のないよう措置されるとともに、関係機関及び管下市(区)町村等に対し趣旨の徹底方につきよろしくお取り計らい願います。
記
第一 文化財保護法の一部を改正する法律関係
一 文化財登録制度の導入
近年、近代の多様かつ大量の文化財について、その歴史的重要性の認識が定まりつつあり、また、他方では、開発の進展、生活様式の変化等により、これら貴重な国民的財産である文化財が社会的評価を受ける間もなく、消滅の危機にさらされているという状況にあることにかんがみ、国民の貴重な文化財を幅広く後世に継承していくために、今回の法改正においては、文化財の保護手法の多様化を図り、国及び地方公共団体の重要文化財等としての指定とそれに伴う保護制度(以下「指定制度」という。)を補完するものとして、保護対象の登録、届出制と指導・助言・勧告を基本とする緩やかな保護措置を内容とする文化財登録制度を導入することとした。
(一) 有形文化財の登録(文化財保護法の一部を改正する法律(平成八年法律第六六号)による改正後の文化財保護法(以下「法」という。)第五六条の二関係)
ア 文部大臣は、重要文化財以外の有形文化財(地方公共団体が条例の規定により有形文化財の保護のための指定を行っているものを除く。)で建造物であるもののうち、その文化財としての価値にかんがみ保存及び活用のための措置が特に必要とされるものを文化財登録原簿に登録することができることとしたこと。
イ 文部大臣は、登録をしようとするときは、あらかじめ、関係地方公共団体の意見を聴くこととしたこと。
ウ 文化財登録原簿に記載すべき事項は、文部省令で定めることとしたこと。
(注)
[cir1 ] 文化財登録制度は、近年の都市の開発や近代化の進展等により、文化財の中でも特に近代の建造物について、社会的評価を受ける間もなく、取壊しの危機にさらされているものが多いこと等の理由から、有形文化財のうち建造物の分野を対象として導入することとした。
[cir2 ] 登録制度は国及び地方公共団体による指定制度を補完するものであることから、国又は地方公共団体が現に重要文化財等として指定している文化財が登録されることはない。したがって、登録された文化財が国又は地方公共団体により重要文化財等に指定された場合、登録は抹消されることとなる。
[cir3 ] 登録の対象となる建造物の選択の基準については、登録有形文化財登録基準(平成八年八月三〇日文部省告示第一五二号)及び本通知「第五登録有形文化財登録基準関係」を参照されたい。
[cir4 ] 登録に当たっては、あらかじめ関係地方公共団体(当該建造物の所在する都道府県及び市(区)町村をいう。以下同じ。)の意見を聴くことにより、登録制度の円滑かつ適切な運用に資することとした。
これは、(ア)当該地方公共団体において、将来、当該文化財を条例に基づいて、保護すべき文化財として指定する予定の有無を含め、法による登録が適切であるかどうかを確認する必要があること、(イ)地方公共団体が独自の登録制度をもっている場合、国の登録と地方公共団体による登録が重複して行われることを避ける必要があること、(ウ)登録しようとする建造物の保護については、他の公益あるいは安全の観点(例えば都市計画、河川管理、道路管理等)からの諸行政等と調整を図りつつ行う必要があること、等から、あらかじめ関係地方公共団体の意見を聴くこととしたものである。
なお、関係地方公共団体が意見を述べるに際しては、教育委員会は、前記の各観点に関わる関係部局と十分な調整を図ることとされたい。
[cir5 ] なお、各地方公共団体が条例により、それぞれ文化財の登録制度を設けることは可能であり、その際、法に基づく制度の内容にかかわらず、対象文化財の範囲、登録文化財に係る保護措置の内容等は当該地方公共団体の独自の判断で設定できるものである。
[cir6 ] 文化財登録原簿の記載事項を定める文部省令の規定については、登録有形文化財に係る登録手続及び届出書等に関する規則(平成八年八月三〇日文部省令第二九号)第一条を参照されたい。
なお、文化財登録原簿は、請求があれば閲覧できるよう公開することとしている。
(二) 告示、通知及び登録証の交付(法第五六条の二の二関係)
ア 文部大臣は、登録をしたときは、速やかに、その旨を官報で告示するとともに、当該登録有形文化財の所有者に通知することとしたこと。
イ 登録は、官報の告示があった日から効力を生じることとしたこと。ただし、当該登録有形文化財の所有者に対しては、通知が到達した時から効力を生ずることとしたこと。
ウ 登録をしたときは、文部大臣は、当該登録有形文化財の所有者に登録証を交付することとしたこと。
エ 登録証に記載すべき事項その他登録証に関し必要な事項は、文部省令で定めることとしたこと。
(注) 登録証の記載事項等を定める文部省令の規定については、登録有形文化財に係る登録手続及び届出書等に関する規則(平成八年八月三〇日文部省令第二九号)第二条から第四条までを参照されたい。
(三) 登録有形文化財の登録の抹消(法第五六条の二の三関係)
ア 文部大臣は、登録有形文化財について、重要文化財に指定したとき、又は地方公共団体が条例の規定により有形文化財の保護のための指定を行ったときは、その登録を抹消することとしたこと。
イ 文部大臣は、登録有形文化財についてその保存及び活用のための措置を講ずる必要がなくなった場合その他特殊の事由があるときは、その登録を抹消することができることとしたこと。
ウ 文部大臣は、登録の抹消をしたときは、その旨を官報で告示するとともに、所有者に通知することとし、この通知を受けたときは、所有者は、三〇日以内に登録証を文部大臣に返付しなければならないこととしたこと。
エ 登録の抹消は、官報の告示があった日から効力を生じることとしたこと。ただし、当該登録有形文化財の所有者に対しては、通知が到達した時から効力を生ずることとしたこと。
(注)
[cir1 ] 「その保存及び活用のための措置を講じる必要がなくなった場合」とは、非常災害又は建替え等の現状変更によって、登録有形文化財が滅失し、又は原状に大きな改変を受け、登録有形文化財としての価値が失われた場合である。
[cir2 ] 「その他特殊の事由があるとき」とは、登録有形文化財の保護に優先する他の公益や安全の確保のために登録有形文化財としての存続を期し難い事情がある場合である。
(四) 登録有形文化財の管理(法第五六条の二の四関係)
ア 登録有形文化財の所有者は、法及びこれに基づく文部省令に従い、登録有形文化財を管理しなければならないこととしたこと。
イ 登録有形文化財の所有者は、特別の事情があるときは、適当な者を専ら自己に代わり当該登録有形文化財の管理の責に任ずべき者(以下「管理責任者」という。)に選任することができることとしたこと。
ウ 文化庁長官は、登録有形文化財について、所有者が判明しない場合、又は所有者若しくは管理責任者による管理が著しく困難若しくは不適当であることが明らかである場合で、その旨の関係地方公共団体の申出があった場合には、関係地方公共団体の意見を聴いて、適当な地方公共団体その他の法人を、当該登録有形文化財の保存のため必要な管理を行う団体(以下「管理団体」という。)に指定することができることとしたこと。
エ 登録有形文化財の管理には、法第三一条第三項、第三二条、第三二条の二第二項から第五項まで、第三二条の三及び第三二条の四の規定を準用することとしたこと。
オ 登録有形文化財の管理責任者及び管理団体は、所有者と同様に法及びこれに基づく文部省令に従い、登録有形文化財を管理しなければならないこととしたこと。
(注)
[cir1 ] 管理責任者を置く「特別の事情」とは、例えば、登録有形文化財の所有者が一定期間海外に滞在する場合、登録有形文化財の所在地を離れて居住している場合等で、その管理を十分に行うことができない状況にあること等である。
[cir2 ] 関係地方公共団体の申出があった場合に、関係地方公共団体の意見を聴いて管理団体の指定を行うこととしたのは、国が登録有形文化財の管理団体を設けて保存を図るべきか否かを判断するに当たり、登録制度においては、滅失又はき損の届出を除けば、所有者等の変更や現状変更の届出しかないため、登録有形文化財の管理の現状をより知り得る立場にある、関係地方公共団体からの情報の提供(申出)を受け、その上で文化庁長官は関係地方公共団体の意見を聴いて管理団体を指定する仕組みとすることが適当であることによる。
したがって、各地方公共団体においては、当該登録有形文化財の管理状況を把握し、管理団体の指定が必要な場合には遺漏なく申出を行うことが望ましい。
なお、当該登録有形文化財の保存・管理が他の公益あるいは安全に密接に関係のある場合(例えば、都市計画、河川管理、道路管理等に関係のある場合)において関係地方公共団体が管理団体の指定につき申出を行い、又は意見を述べようとする際には、教育委員会は、関係部局と十分調整を図ることとされたい。
(五) 登録有形文化財の滅失又はき損(法第五六条の二の五関係)
登録有形文化財の全部又は一部が滅失し、又はき損したときは、所有者(管理責任者又は管理団体がある場合は、その者)は、文部省令で定める事項を記載した書面をもって、その事実を知った日から一〇日以内に文化庁長官に届け出なければならないこととしたこと。
(注)
[cir1 ] 「滅失」とは、災害等によって登録有形文化財としての価値が完全に失われることである。また、「き損」とは、登録有形文化財が相当程度破損又は損傷することである。
[cir2 ] 滅失又はき損の届出書の記載事項を定める文部省令の規定については、登録有形文化財に係る登録手続及び届出書等に関する規則(平成八年八月三〇日文部省令第二九号)第一〇条を参照されたい。
(六) 登録有形文化財の修理(法第五六条の二の六関係)
ア 登録有形文化財の修理は、所有者が行うこととしたこと。ただし、管理団体がある場合は、管理団体が行うこととしたこと。
イ 管理団体が修理を行う場合には、法第三二条の二第五項、第三二条の四及び第三四条の三第一項の規定を準用することとしたこと。
(七) 登録有形文化財の現状変更の届出等(法第五六条の二の七関係)
ア 登録有形文化財に関しその現状を変更しようとする者は、現状を変更しようとする日の三〇日前までに、文部省令で定めるところにより、文化庁長官にその旨を届け出なければならないこととしたこと。ただし、維持の措置若しくは非常災害のために必要な応急措置又は他の法令の規定による現状の変更を内容とする命令に基づく措置を執る場合は、届出を要しないこととしたこと。
イ 維持の措置の範囲は、文部省令で定めることとしたこと。
ウ 登録有形文化財の保護上必要があると認めるときは、文化庁長官は、届出に係る登録有形文化財の現状の変更に関し必要な指導、助言又は勧告をすることができることとしたこと。
(注)
[cir1 ] 「現状を変更する」とは、登録有形文化財に対し、その文化財としての価値を有する部分に直接的かつ物理的に変化を加えることである。
現状変更の届出書の記載事項等について定める文部省令の規定については、登録有形文化財に係る登録手続及び届出書等に関する規則(平成八年八月三〇日文部省令第二九号)第一二条から第一四条までを参照されたい。
[cir2 ] 「維持の措置」とは、現状変更のうち、物理的直接的な変化を生じる範囲が小規模にとどまるため、文化財としての価値に影響を及ぼすことがないものをいう。
なお、「維持の措置」については、登録有形文化財に係る登録手続及び届出書等に関する規則(平成八年八月三〇日文部省令第二九号)第一五条を参照されたい。
[cir3 ] 「他の法令による現状の変更を内容とする命令に基づく措置を執る場合」とは、登録有形文化財の所有者等に対し、他法令による命令が発せられ現状変更を内容とする所要の措置をとらなければならない義務が生じ、その結果、現状変更の三〇日前に届出を行うことが困難である場合が想定されるため、届出を要しないものとしたものである。
[cir4 ] 本条に規定する届出を必要とする現状変更を行ったため登録有形文化財が滅失又はき損した場合は、法第五六条の二の五に規定する届出を行う必要はない。
なお、非常災害のために必要な応急措置や他の法令の規定による現状変更を内容とする命令に基づく措置を執った場合でその結果、当該登録有形文化財が滅失又はき損した場合は、法第五六条の二の五に規定する届出が必要となる。
[cir5 ] 現状の変更をしようとする者に対して文化庁長官が行う必要な指導、助言又は勧告は、当該現状変更によって登録有形文化財としての価値が明らかに失われると認められる場合に、その事態を未然に防ぐことを目的としている。
(八) 登録有形文化財の管理又は修理に関する技術的指導(法第五六条の二の八関係)
登録有形文化財の所有者、管理責任者又は管理団体は、文部省令で定めるところにより、文化庁長官に登録有形文化財の管理又は修理に関し技術的指導を求めることができることとしたこと。
(注) 技術的指導を求める場合の書面の記載事項に関しては、登録有形文化財に係る登録手続及び届出書等に関する規則(平成八年八月三〇日文部省令第二九号)第一七条を参照されたい。
(九) 登録有形文化財の公開(法第五六条の二の九関係)
ア 登録有形文化財の公開は、所有者が行うこととしたこと。ただし、管理団体がある場合は、管理団体が行うこととしたこと。なお、登録有形文化財の所有者及び管理団体以外の者が、所有者(管理団体がある場合は、その者)の同意を得て、登録有形文化財を公開の用に供することを妨げるものではないこと。
イ 管理団体が行う登録有形文化財の公開には、法第四七条の二第三項の規定を準用することとしたこと。
ウ 登録有形文化財の活用上必要があると認めるときは、文化庁長官は、登録有形文化財の所有者又は管理団体に対し、登録有形文化財の公開及び当該公開に係る登録有形文化財の管理に関し、必要な指導又は助言をすることができることとしたこと。
(注) 登録有形文化財である建造物の外観が公共空間から通常望見できれば、適正な公開が行われているものと考えられる。
(一〇) 登録有形文化財の現状等の報告(法第五六条の二の一〇関係)
文化庁長官は、必要があると認めるときは、登録有形文化財の所有者、管理責任者又は管理団体に対し、登録有形文化財の現状又は管理若しくは修理の状況につき報告を求めることができることとしたこと。
(注) 本規定により報告を求める場合は、例えば、災害が発生した場合において、登録有形文化財の状況を確認する必要がある場合、滅失、き損が生じ、又は現状変更が行われたにもかかわらず所要の手続がとられておらず、状況確認の必要がある場合、登録有形文化財の管理が適切に行われているかどうかを確認する必要がある場合などである。
(一一) 所有者変更に伴う登録証の引渡し(法第五六条の二の一一関係)
登録有形文化財の所有者が変更したときは、旧所有者は、当該登録有形文化財の引渡しと同時にその登録証を新所有者に引き渡さなければならないこととしたこと。
(一二) 審議会への諮問(法第八四条の二第一項第一号の二関係)
文部大臣は、登録有形文化財の登録及びその登録の抹消(法第五六条の二の三第一項の規定による登録の抹消を除く。)については、あらかじめ文化財保護審議会に諮問しなければならないこととしたこと。
(一三) 登録有形文化財についての国に関する特例(法第九七条の二~第九七条の五関係)
国の所有に属する有形文化財で建造物であるものについて登録有形文化財に登録したときの通知又は登録証の交付は、当該登録有形文化財を管理する各省各庁の長に対して行うこととすること、関係各省各庁の長が登録有形文化財を取得したときの通知等、登録有形文化財についての国に関する特例を定めたこと。
(一四) 文化財登録制度における地方公共団体の事務
今回の法改正による文化財登録制度の導入により、地方公共団体においては、次の事務を新たに行うこととなるので、その円滑・適正な執行に配慮されたい。
ア 文部大臣が登録を行おうとする際の関係地方公共団体としての意見に係る事務(法第五六条の二第二項関係)
イ 当該地方公共団体の区域内における登録有形文化財について、所有者が判明せず、又は所有者若しくは管理責任者による管理が著しく困難若しくは不適当であることが明らかである旨の文化庁長官への関係地方公共団体の申出及び意見に係る事務(法第五六条の二の四第三項関係)
ウ 管理団体に指定された場合においては所定の管理義務に係る事務(法第五六条の二の四第三項及び第五項関係)
エ 登録有形文化財の所有者等が文部大臣又は文化庁長官に提出すべき届書等の都道府県教育委員会の経由及び意見具申に係る事務並びに登録有形文化財の所有者等に対して文部大臣又は文化庁長官が発する勧告等の都道府県教育委員会の経由に係る事務(法第一〇三条関係)
二 指定都市等への権限の委任等及び市町村の役割の明確化
今回の法改正においては、近年における地方公共団体の文化財保護に係る体制の充実及び地方分権の推進等の状況に対応し、従来都道府県の教育委員会に対してのみ行われていた文化庁長官の権限の委任等のうち、その一部については、指定都市及び中核市(以下「指定都市等」という。)の教育委員会に対しても行うことができることとした。また、従来都道府県の教育委員会についてのみ置かれていた、文化財の保存及び活用に関する文部大臣又は文化庁長官への意見具申及び文化財保護審議会の設置に関する規定について、市町村(市町村の組合及び特別区を含む。)の教育委員会に関して規定を整備することとした。
(一) 指定都市等が、発掘調査により発見した文化財の取扱いの特例(法第九八条の三関係)
指定都市等の教育委員会が行った発掘調査により文化財を発見した場合については、指定都市等は、法第五九条第一項及び第六二条の規定の準用により、当該文化財の所有者が判明している場合の所有者への返還、所有者が判明しない場合における文化財を発見した旨の警察署長への通知及び所有者から返還の請求があった場合における当該文化財の警察署長への引渡しを行うこととしたこと。
(注) 従来、都道府県教育委員会の行った発掘調査により発見された文化財に関し、都道府県教育委員会について認められていた特例を、指定都市等の教育委員会にも認めることとしたものである。
(二) 次に掲げる文化庁長官の権限の指定都市等への委任(法第九九条関係)
ア 国が補助金を交付した重要文化財等の管理・修理等の指揮監督(法第九九条第一項第一号関係)
イ 重要文化財等の現状変更等の許可・許可の取消し・現状変更行為等の禁止命令(法第九九条第一項第二号関係)
ウ 所有者等による重要文化財等の公開の停止・中止命令(法第九九条第一項第三号関係)
エ 所有者等以外の者による重要文化財の公開の許可・許可の取消し・公開の停止命令(法第九九条第一項第四号関係)
オ 重要文化財等の保存のための調査・史跡等の調査のため必要な措置の施行(法第九九条第一項第五号関係)
カ 発掘調査の停止命令(法第九九条第一項第六号関係)
(注) 従来、今回の改正前の文化財保護法第九九条第一項の規定に基づく告示(昭和二九年九月一五日文化財保護委員会告示第三八号、昭和三九年六月二七日文化財保護委員会告示第四三号及び昭和五〇年一〇月九日文化庁告示第一四号)により、各都道府県の区域内に所在する文化財につき各都道府県教育委員会に委任することとされている事務を、各指定都市等に対しても委任することができることとしたものである。
具体的な事務の委任については、別途、官報に告示するとともに事務処理に関して通知することとしているので、それらに即して円滑かつ適切な事務の執行に当たることとされたい。
(三) 埋蔵物として提出された物件の鑑査の事務等の委任(法第一〇〇条の二関係)
指定都市等の区域内において発見され、遺失物法(明治三二年法律第八七号)第一三条で準用する同法第一条の規定により埋蔵物として提出された物件に係る法第六一条の規定による文化庁長官の鑑査、文化財であると認めた場合の警察署長への通知及び文化財でないと認めた場合の当該物件の警察署長への差戻しの事務を、各指定都市等へ委任することができることとしたこと。
(注) 従来、今回の改正前の文化財保護法第一〇〇条の二第一項の規定に基づく告示(昭和四六年九月一〇日文化庁告示第一五号)により、各都道府県の教育委員会に委任することとしている事務を、各指定都市等に対しても委任することができることとしたものである。
具体的な事務の委任については、別途、官報に告示するとともに事務処理に関して通知することとしているので、それらに即して円滑かつ適切な事務の執行に当たることとされたい。
(四) 文化財保護審議会への諮問(法第八四条の二第二項第一六号関係)
重要文化財等の現状変更等の許可・許可の取消しの権限の委任については、都道府県教育委員会への委任に加えて、指定都市等への委任についても、文化庁長官はあらかじめ文化財保護審議会に諮問しなければならないこととしたこと。
(五) 指定都市等への権限の委任に伴う関係規定の整備(法第八〇条第四項及び法第八〇条の二関係)
史跡名勝天然記念物の現状変更又はその保存に影響を及ぼす行為に関する文化庁長官の許可の権限について、指定都市等の教育委員会へ委任することができることとされることに伴い、関連する規定の整備を行ったこと。
(六) 文部大臣又は文化庁長官に対する意見具申(法第一〇四条の二関係)
都道府県の教育委員会と同様に、市町村(市町村の組合及び特別区を含む。以下同じ。)の教育委員会について、当該都道府県又は市町村の区域内に存する文化財の保存及び活用に関し、文部大臣又は文化庁長官に対して意見を具申することができることとしたこと。
(注) 市町村の区域内の文化財の保存及び活用について、文化財に最も密接な関わりを有する市町村の意向を国の施策に反映させていくことが、我が国の文化財保護を充実させていく上で重要であり、市町村教育委員会からの積極的な意見具申が期待される。なお、この意見については、法第一〇三条の規定により、都道府県教育委員会を経由することとなり、都道府県教育委員会には広域的な観点からの意見を具すことが期待される。
(七) 地方文化財保護審議会(法第一〇五条関係)
都道府県の教育委員会と同様に、市町村の教育委員会について、条例の定めるところにより、地方文化財保護審議会を置くことができることとしたこと。
(注) この規定は、相当数の市町村において文化財保護審議会が設けられている状況を踏まえ設けられたものであるが、この規定により、必ずしも各市町村に地方文化財保護審議会の設置を義務付けるものではない。また、当該審議会の名称・所掌については、各地方公共団体の条例の定めるところによる。
三 重要文化財等の活用の促進
今回の法改正においては、手続を簡素化するなどにより、公開等による重要文化財等の活用をより一層推進することとした。
(一) 重要文化財の所有者等による公開(法第五一条第七項関係)
国庫負担により、重要文化財をその所有者又は管理団体が公開しようとする場合について、文化庁長官への申出及び文化庁長官の承認を要しないこととしたこと。
(注) 今回の改正前の文化財保護法第五一条第七項の規定においては、所有者等が重要文化財の公開のため国庫による費用負担を求めるには、まず、文化庁長官に対しその旨の申出を行い、その承認を得た後に、さらに、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律に基づく交付申請を行い、その交付決定を経ることとなっており、二重の手続が必要とされているところである。
今回の法改正においては、所有者等による重要文化財の公開の一層の促進を図るため、文化庁長官への申出及び文化庁長官の承認を要しないこととすることによって手続を簡素化し、これに伴い、国庫負担を行うに際して、文化庁長官による指示や公開の停止命令・中止命令も行わないこととするものである。
また、重要無形文化財及び重要有形民俗文化財の公開(法第五六条の七第二項、法第五六条の一六)、並びに、重要無形文化財、重要無形民俗文化財及び選定保存技術の記録の公開(法第五六条の七第三項、法第五六条の一九第二項、法第八三条の一一)についても同様の観点から改正を行うこととした。なお、重要有形民俗文化財の公開について規定する法第五六条の一六及び選定保存技術の記録の公開について規定する法第八三条の一一については、それぞれ法第五一条、法第五六条の一九の規定を準用していることから、同様の改正が行われることとなるものである。
なお、国庫負担による重要文化財の所有者等による公開の際の文化庁長官への申出及び文化庁長官の承認を要しないこととしたことから、行政手続法第五条の規定に基づく審査基準及び同法第六条の規定に基づく標準処理期間が該当しないこととなるので、先に通達した「行政手続法の施行及びこれに伴う文化財保護法の一部改正等について」(平成六年一一月二五日付け庁保伝第一四一号)のうち、別紙二の「五 重要文化財の国庫の費用負担による公開の承認(文化財保護法第五一条第七項)に係る審査基準について」及び別紙三の「五 国庫の費用負担による重要文化財の公開の申出に対する承認(文化財保護法第五一条第七項)に係る標準処理期間について」は廃止する。
(二) 重要文化財の所有者等以外の者による公開(法第五三条第一項及び第二項関係)
重要文化財の公開について、文化庁長官以外の国の機関及び地方公共団体があらかじめ文化庁長官の承認を受けた博物館その他の施設(公開承認施設)において展覧会その他の催しを主催する場合に加えて、当該公開承認施設の設置者が主催する場合にも、重要文化財の公開について許可を要しないこととし、観覧に供した期間の最終日の翌日から二〇日以内に文化庁長官に届け出ることとすること。
(注) なお、公開承認施設の承認の基準等については、先に告示した「重要文化財の所有者及び管理団体以外の者による公開に係る博物館その他の施設の承認に関する規程」(平成八年八月二日文化庁告示第九号)及び先に通知した「重要文化財の所有者及び管理団体以外の者による公開に係る博物館その他の施設の承認に関する規程について」(平成八年八月二日付け庁保美第三の三号)並びに「重要文化財の所有者及び管理団体以外の者による公開に係る博物館その他の施設の承認に関する規程の一部を改正する規程」(平成八年八月三〇日文化庁告示第一二号)及び「重要文化財の所有者及び管理団体以外の者による公開に係る博物館の施設の承認に関する規程の一部を改正する規程について」(平成八年八月三〇日付け庁保美第一六六号)を参照されたい。
また、所有者等以外による公開の許可に係る行政手続法第五条の規定に基づく審査基準及び同法第六条の規定に基づく標準処理期間は先に通達した「行政手続法の施行及びこれに伴う文化財保護法の一部改正等について」(平成六年一一月二五日付け庁保伝第一四一号)のとおりであるが、公開承認施設の承認については、先に通達した「重要文化財の所有者及び管理団体以外の者による公開に係る博物館その他の施設の承認に関する規程について」(平成八年八月二日付け庁保美第三の三号)のとおり、当該規程のうち第三条(承認の基準)の規定が行政手続法第五条の規定に基づく審査基準となり、また、同法第六条に基づく標準処理期間については、申請後一か月となる。
(三) 重要無形文化財の公開(法第五六条の七第二項及び第三項関係)
重要無形文化財の保持者若しくは保持団体が重要無形文化財を国庫負担により公開しようとする場合について、及び重要無形文化財の記録をその所有者が国の補助を受けて公開しようとする場合について、文化庁長官への申出及び文化庁長官の承認を要しないこととしたこと。
(四) 重要有形民俗文化財の公開(法第五六条の一六関係)
国庫負担により、重要有形民俗文化財をその所有者又は管理団体が公開しようとする場合について、文化庁長官への申出及び文化庁長官の承認を要しないこととしたこと。
(五) 重要無形民俗文化財の記録の公開(法第五六条の一九第二項関係)
国庫負担により、重要無形民俗文化財の記録をその所有者が公開しようとする場合について、文化庁長官への申出及び文化庁長官の承認を要しないこととしたこと。
(六) 重要有形民俗文化財の所有者等以外の者による公開(法第五六条の一五関係)
重要有形民俗文化財の公開について、国の機関若しくは地方公共団体があらかじめ文化庁長官から事前の届出の免除を受けた博物館等の施設(公開事前届出免除施設)において展覧会その他の催しを主催する場合、又は公開事前届出免除施設の設置者が展覧会その他の催しを主催する場合には、従来は事前の届出が必要であったのを、観覧に供した期間の最終日の翌日から起算して二〇日以内に、文化庁長官に届け出ることをもって足りることとしたこと。
(注) なお、公開事前届出免除施設の事前の届出の免除の基準等については、別途文化庁告示で定め、通知することとする。
(七) 選定保存技術の記録の公開(法第八三条の一一関係)
国庫負担により、選定保存技術の記録をその所有者が公開しようとする場合について、文化庁長官への申出及び文化庁長官の承認を要しないこととしたこと。
(八) 重要文化財の輸出についての文化財保護審議会への諮問(法第八四条の二第二項第三号関係)
重要文化財の輸出について、文化庁長官の許可に際して文化財保護審議会への諮問を要しないこととした。
四 その他
(一) 罰則関係(法第一〇六条~第一一一条関係)
罰金、科料及び過料の額の最高額について、五〇万円を一〇〇万円に、二〇万円を三〇万円に、一〇万円を二〇万円に、五万円を一〇万円に引き上げることとしたこと。
また、登録制度に関し、次に掲げるものについて過料を新たに設けたこと。
ア 一〇万円以下の過料(法第一一〇条第五号関係)
登録有形文化財の現状等の報告義務違反、虚偽の報告
イ 五万円以下の過料(法第一一一条関係)
[cir1 ] 登録有形文化財の登録証の返付義務違反、引渡し義務違反
[cir2 ] 登録有形文化財の管理責任者の選任・解任の届出義務違反、虚偽の届出
[cir3 ] 登録有形文化財の所有者又は管理責任者の変更の届出違反、虚偽の届出
[cir4 ] 登録有形文化財の滅失・き損の届出違反・虚偽の届出
[cir5 ] 登録有形文化財の現状変更の届出違反・虚偽の届出
[cir6 ] 登録有形文化財の管理団体が行う管理又はその管理のため必要な措置に対する所有者等の拒否等
(二) 附則関係
ア 法の施行期日(第一項関係)
今回の法改正においては、新たな制度を設ける等の措置がとられているため、法施行の準備と地方公共団体及び国民への周知を図るための必要な期間を見込み、公布の日から起算して九か月以内で政令で定める日としたこと。本規定に基づき制定された「文化財保護法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」(平成八年政令第二六一号)により、法の施行期日は、平成八年一〇月一日とすることとしたこと。
イ 重要文化財等の公開の届出に関する経過措置(第二項から第四項関係)
[cir1 ] 法の施行の際現に改正前の文化財保護法(以下「旧法」という。)第五三条第一項の規定による許可を受け、又はその申請を行っている法第五三条第一項ただし書に規定する公開承認施設の設置者であって当該公開承認施設において展覧会その他の催しを主催するものは、同条第二項の規定による届出を行ったものとみなすこと。
[cir2 ] 法の施行前に旧法第五三条第一項ただし書の規定による届出を行った文化庁長官以外の国の機関又は地方公共団体であって、法第五三条第一項ただし書に規定する公開承認施設において展覧会その他の催しを主催するものは、同条第二項の規定による届出を行ったものとみなすこと。
[cir3 ] 文化庁長官以外の国の機関若しくは地方公共団体であって法第五六条の一五第一項ただし書に規定する公開事前届出免除施設において展覧会その他の催しを主催するもの又は公開事前届出免除施設の設置者であって当該公開事前届出免除施設においてこれらを主催するもののうち、法の施行前に旧法第五六条の一五第一項の規定による届出を行ったものは、法第五六条の一五第一項ただし書の規定による届出を行ったものとみなすこと。
ウ 罰則に関する経過措置(第五項関係)
法の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例によることとすること。
エ 検討(第六項関係)
政府は、法の施行後一〇年を経過した場合において、法の実施状況、保護すべき文化財の状況等を勘案し、有形文化財の登録に係る制度について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとすること。
(注) 今回の法改正による登録制度の導入に当たり、平成六年二月閣議決定「今後における行政改革の推進方策について」及び平成七年三月閣議決定「規制緩和推進計画」を踏まえ、法の附則に見直し条項を置くこととした。これは、今回の法改正により導入する登録制度において、登録有形文化財の保存を図るため、所有者等に対して、現状変更、滅失・き損、所有者等の変更等の場合の届出義務や登録証の返付義務等一定の規制を課すなど、規制の新設を行うことに伴う措置である。
第二 登録有形文化財に係る登録手続及び届出書等に関する規則関係
一 文化財登録原簿及び登録証
(一) 文化財登録原簿の記載事項について定めたこと。(登録有形文化財に係る登録手続及び届出書等に関する規則(以下「第二」において「省令」という。)第一条関係)
(二) 登録証の記載事項及び形式について定めたこと。(省令第二条及び第三条関係)
(三) 登録証を亡失し、若しくは盗み取られ、又はこれが滅失し、若しくは破損した場合には、その事実を証明するに足りる書類又は破損した登録証を添えて、その再交付を申請することができることとしたこと。(省令第四条関係)
二 管理に関する届出書
(一) 管理責任者選任の届出書の記載事項について定めたこと。(省令第五条関係)
(二) 管理責任者解任の届出書の記載事項について定めたこと。(省令第六条関係)
(三) 所有者変更の届出書の記載事項等について定めたこと。(省令第七条関係)
(四) 管理責任者変更の届出書の記載事項について定めたこと。(省令第八条関係)
(五) 所有者又は管理責任者の氏名若しくは名称又は住所変更の届出書の記載事項について定めたこと。(省令第九条関係)
(注) 所有者又は管理責任者の住居表示が変更となった場合においても、本条の規定による届出を行うこととなる。
(六) 滅失又はき損の届出書の記載事項について定めたこと。(省令第一〇条関係)
(七) 国の所有に属する登録有形文化財の管理に関する通知の書面の記載事項等について定めたこと。(省令第一一条関係)
三 現状変更に関する届出書等
(一) 現状変更の届出書の記載事項について定めたこと。(省令第一二条関係)
(二) 現状変更の届出書の添付書類等について定めたこと。(省令第一三条関係)
(三) 文化庁長官に提出した現状変更の届出書又は添付書類等の記載事項又は表示事項を変更しようとするときは、あらかじめ文化庁長官にその旨を届け出なければならないこととしたこと。(省令第一四条関係)
(四) 現状変更のうち次のいずれかに該当する場合は、法第五六条の二の七第二項の維持の措置の範囲に該当することとしたこと。(省令第一五条関係)
ア 登録当時の原状(登録後において現状変更の届出を行ったものについては、当該現状変更後の原状)の通常望見できる外観を損なう範囲が当該外観の四分の一以下である場合(移築の場合を除く。)
イ 登録有形文化財がき損している又はき損することが明らかに予見される場合において、当該き損の拡大又は発生を防止するため応急の措置をする場合
(注)
[cir1 ] 内装に限定される模様替え・修繕は、その規模・内容にかかわらず、「維持の措置」に該当する。また、外装についても、形質・色彩を変更しない行為は、その規模にかかわらず「維持の措置」に該当する。
[cir2 ] 「通常望見できる外観」とは、例えば建築物の場合では、四周の垂直投影面積をいうが、ただし、当該建築物を建設した当初にその両隣が他の建築物と接していた等の理由により通常望見できる外観の範囲が限られているものについては、当該範囲に限る。
[cir3 ] 増築の場合については、増築部分の通常望見できる外観の範囲が当該増築前の通常望見できる外観の四分の一を超える場合も、法第五六条の二の七第一項の規定による届出を行うこととなる。
[cir4 ] 「応急の措置」とは、非常災害のために必要な応急措置以外の応急措置であり、登録有形文化財がき損している又はき損することが明らかに予見される場合において、所有者等(公物管理関係法令に基づき適正に施設を管理する者を含む。)が、当該き損の拡大又は発生を防止するために、緊急に行う必要があると判断して実施する行為をいう。
(五) 国の機関による現状変更を行う場合について、通知の書面の記載事項及び維持の措置の範囲等について定めたこと。(省令第一六条関係)
(六) 技術的指導を求める場合の書面の記載事項について定めたこと。(省令第一七条関係)
第三 国宝、重要文化財等の管理、修理等に関する技術的指導に関する規則の一部を改正する省令関係
国宝、重要文化財以外の有形文化財の技術的指導に関する規定から登録有形文化財を除くものとしたこと。(国宝、重要文化財等の管理、修理等に関する技術的指導に関する規則の一部を改正する省令第二条関係)
第四 国宝、重要文化財又は重要有形民俗文化財の出品又は公開の申出及び費用負担に関する規則の一部を改正する省令関係
(一) 国宝、重要文化財又は重要有形民俗文化財の出品又は公開の申出及び費用負担に関する規則(以下「第四」において「省令」という。)の題名を「国宝、重要文化財又は重要有形民俗文化財の出品及び公開に関する規則」に改めること。
(二) 法第五一条第七項の国庫負担により重要文化財を公開する場合の文化庁長官への申出及び文化庁長官の承認を要しないものとしたことに伴い、公開の申出に関する事項を削除したこと。
(三) 所有者又は管理団体以外の者が、あらかじめ文化庁長官の承認を受けた博物館その他の施設で重要文化財を展覧会その他の催しにおいて公衆の観覧に供した場合に行う届出の書面の記載事項を定めたこと。(省令第五条関係)
(注) なお、重要有形民俗文化財の公開の届出については、「重要有形民俗文化財の現状変更等、輸出及び公開の届出等に関する規則」(昭和五〇年九月三〇日文部省令第三〇号)第七条の規定による。
第五 登録有形文化財登録基準関係
有形文化財を文化財登録原簿に登録する場合の基準を、建築物、土木構造物及びその他の工作物(重要文化財及び文化財保護法第九八条第二項に規定する指定を地方公共団体が行っているものを除く。)のうち、原則として建設後五〇年を経過し、かつ、
(一) 国土の歴史的景観に寄与しているもの
(二) 造形の規範となっているもの
(三) 再現することが容易でないもの
のいずれかに該当するものとしたこと。
(注)
[cir1 ] 「建設後五〇年を経過」とは、当該建造物が竣工した期日から五〇年を経過したことをいう。
[cir2 ] 「原則として建設後五〇年を経過」とは、着工から竣工まで長期間を要する複合的施設等でその竣工期日を施設全体の竣工又は利用開始の期日としている場合において、当該施設のうち登録の対象となる建造物については施設全体の竣工期日以前の期日(当該建造物の竣工期日)から五〇年の経過をもって五〇年の経過に代えることをいう。
[cir3 ] 「国土の歴史的景観に寄与しているもの」とは、国土を形成する地方独自の歴史的景観を認識する上で特に必要な存在となっているものをいう。
例えば、絵画、写真、映画、文学、歌謡等にその存在が引用されているもの、地名の由来となるなど土地の理解と密接な関係を有するもの、特別な愛称等があるものなど、当該地方において広く親しまれているものである。
[cir4 ] 「造形の規範となっているもの」とは、現在又は過去の一時点において、建設行為を行うに当たり、規範として認識されるものをいう。
例えば、建造物を構成する各部の比例や意匠が優れているもの、建設に名のある設計者又は施工者等が携わったもの、後に類型化するものの初期の作品であるもの、各時代又は類型に特色的にみられる性格を有しているものである。
[cir5 ] 「再現することが容易でないもの」とは、建設後相当の年数(一〇〇年を目途とする。)を経過したことにより、現在同様のものを建設するには多大な経費が必要なもの又は同様のものを建設することが困難であるものをいう。
例えば、建設する際に採用された技術や技能の水準が高いもの、現在において希少な技術や技能を用いているもの、形態や意匠が特殊又は特異で類例が少ないものである。
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