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青少年の野外教育の充実について(報告)

青少年の野外教育の振興に関する調査研究協力者会議

平成8年7月24日
青少年の野外教育の充実について(報告)

はじめに

1 青少年と野外教育

(1) 野外教育とは

[cir1 ] 野外教育の概念

[cir2 ] 野外教育の目標

(2) 今なぜ野外教育か

[cir1 ] 「生きる力」の育成

[cir2 ] 野外教育への期待

[cir3 ] 野外教育に期待される成果

2 野外教育の現状と課題

(1) 野外教育プログラム

[cir1 ] 野外教育プログラムの現状

[cir2 ] 野外教育プログラムの課題

(2) 野外教育指導者

[cir1 ] 野外教育指導者の養成の現状

[cir2 ] 野外教育指導者の課題

(3) 野外教育の場

[cir1 ] 野外教育の場の現状

[cir2 ] 野外教育の場の課題

(4) 野外教育の事故と安全

[cir1 ] 野外教育における事故の現状

[cir2 ] 野外教育における事故対策の現状

[cir3 ] 野外教育における安全対策の課題

3 青少年の野外教育の充実方策

(1) 青少年の野外教育振興の方向

(2) 野外教育プログラムの充実と開発

[cir1 ] 野外教育プログラムの目標の明確化

[cir2 ] 多様な野外教育プログラムの提供

[cir3 ] 現代的課題に対応したプログラム開発

[cir4 ] プログラム開発のための連携

[cir5 ] 学習教材の開発や指導のためのマニュアルの提示

[cir6 ] 学校教育における野外教育の充実

(3) 野外教育指導者の養成・確保

[cir1 ] 専門的な指導者養成システムの構築

[cir2 ] 教員や教員養成課程の大学生に対する指導者養成事業の充実

[cir3 ] 国立青少年教育施設における専門家の積極的な活用と資質向上

[cir4 ] ボランティアの養成・確保

(4) 野外教育の場の整備・充実

[cir1 ] 野外教育の場の整備

[cir2 ] 青少年教育施設の充実

[cir3 ] 情報提供・発信機能の充実

(5) 野外教育の安全確保と安全教育

[cir1 ] 安全対策の充実

[cir2 ] 野外教育と安全教育

(6) 行政の支援と調査研究の充実

[cir1 ] 国や地方自治体の支援

[cir2 ] 調査研究の充実

おわりに

〔図表〕

〔参考資料〕

1 青少年の野外教育の振興に関する調査研究について

2 青少年の野外教育の振興に関する調査研究経過

はじめに

本調査研究協力者会議は、青少年の野外教育の総合的な振興方策について調査研究を行い、その充実を図るため、平成7年6月に発足したものである。このたび、その調査研究の結果を「青少年の野外教育の充実について」(報告)として取りまとめた。

近年における都市化、核家族化、少子化等の社会環境の変化や過度の受験競争に伴い、青少年の日常生活において、自然との触れ合い、屋外での遊びなどが減少していると指摘されている。

また、一方では、週休2日制の普及や学校週5日制の導入による余暇時間の増大に伴い、家族キャンプやオートキャンプ、ハイキング、スキー、カヌー、バードウォッチングを楽しむ人々が増えるなど、自然の中で心の豊かさを求め、人間性を回復しようとするアウトドアの志向が高まっている。

自然の中で行われる総合的な学習活動である野外教育は、健全な青少年の育成にとって重要であるばかりか、生涯にわたって自然に親しみ、豊かな人生を送るための基礎や手段を学ぶものとして大きな役割を担っており、今後さらにその充実を図る必要がある。しかし、現在、野外教育プログラムの開発やその指導者の養成、野外教育に関する実践的な研究等については、必ずしも十分であるとは言い難い。

本報告は、第一に、野外教育の概念を示すとともに、青少年の健全育成を図る上で、野外教育に期待される教育的意義を明らかにした。

第二に、現在我が国で実施されている青少年の野外教育を概観し、プログラム、指導者、実施場所、事故・安全対策の現状と課題を指摘した。そして、第三に、野外教育の現状と課題を踏まえ、今後の野外教育の充実・振興を図る上で必要な方策を提言した。

本調査研究協力者会議は、本報告の提言に基づき、今後、野外教育に関係する機関や施設、団体等において、青少年の野外教育活動の充実に努められるよう要望する。また、行政においては、提言に沿って適切な条件整備等が講じられるよう望みたい。

1 青少年と野外教育

(1) 野外教育とは

[cir1 ] 野外教育の概念

野外教育については、様々な考え方があり得るが、本協力会議では、野外教育を「自然の中で組織的、計画的に、一定の教育目標を持って行われる自然体験活動の総称」と捉えた。

なお、自然体験活動とは、自然の中で、自然を活用して行われる各種活動であり、具体的には、キャンプ、ハイキング、スキー、カヌーといった野外活動、動植物や星の観察といった自然・環境学習活動、自然物を使った工作や自然の中での音楽会といった文化・芸術活動などを含んだ総合的な活動である。したがって、野外教育は、自然体験活動を取り扱う教育領域であると位置付けることもできる。

[cir2 ] 野外教育の目標

野外教育の目標としては、一般的に、自然に対する興味・関心の醸成、自然と人間の望ましい在り方の理解、自然体験活動の楽しさや技術の習得、自主性、協調性、社会性、創造力、忍耐力の育成など、様々な目標が考えられる。また、青少年を対象とした野外教育は、総じて、青少年の知的、身体的、社会的、情緒的成長、すなわち全人的成長を支援するための教育であると言える。

ただし、個々の野外教育が、どのような教育目標を持っているかは、社会の要請、組織や指導者の理念によって大きく異なり、対象者の年齢、経験、人数、関心、さらには、実施場所、活動内容等によっても左右される。

(2) 今なぜ野外教育か

[cir1 ] 「生きる力」の育成

来たる21世紀は、国際化、情報化、科学技術の発展、価値観の多様化など、これまで以上に社会の激しい変化が予想される。

平成8年7月における第15期中央教育審議会の第一次答申においては、これからの教育の在り方として、「生きる力」を育成することが重要であると指摘している。そして、「生きる力」とは、「いかに社会が変化しようと、自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質能力であり、また、自らを律しつつ、他人とともに協調し、他人を思いやる心や感動する心など豊かな人間性であり、そして、また、たくましく生きていくための健康や体力である」としている。

また同答申では、「生きる力」の育成方策の一つとして、青少年の生活体験・自然体験の機会の増加を求めている。

そのような意味で、教育として自然体験活動を捉える野外教育の充実は、青少年の「生きる力」を育成する上で極めて重要であると考える。

[cir2 ] 野外教育への期待

心身の調和のとれた青少年を育成するためには、家庭、学校、地域社会それぞれの場において、青少年が自主的、主体的な活動体験を豊富に積み重ねることが必要である。

かつては、自然との触れ合いや異年齢の交流など、日常的な遊びが、青少年の人間形成に重要な役割を果たしてきたが、今日の社会の進展や生活の変化に伴い、青少年にとってそのような遊びの機会や場が減少してきた。このため、意図的、計画的に、青少年に様々な体験の機会を提供する必要性が生じてきている。

特に、青少年にとっての野外教育は、自然の厳しさや恩恵を知り、動植物に対する愛情を培うなど、自然や生命への畏敬の念を育て、自然と調和して生きていくことの大切さを理解させる機会を与えることとなる。さらに、自然の中での組織的な活動は、きまりや規律を守ること、協力することの大切さや、自ら実践し創造する態度を学ぶなど、体験活動を通じた総合的学習の機会を提供するもので、青少年の育成にとって極めて有効である。

[cir3 ] 野外教育に期待される成果

野外教育に期待される成果には、次のようなものが考えられる。

ア 感性や知的好奇心を育む

野外教育の最大の特徴は、自然の中で、自然を活用して教育が行われる点である。自然については、自然そのものが教育力を持っていると言われる。すなわち、自然の美しさ、雄大さ、神秘性、厳しさなどは、直接人間の五感に働きかけ、人々に感動や驚きを与えるものである。野外教育におけるこうした感動や驚きの体験は、青少年の感性を育み、また、知的好奇心や探究心を育むものと言える。

イ 自然の理解を深める。

自然の中での体験的活動をとおして、青少年は、動植物、水、土、気象などに関する知識やその関連性、さらにはその重要性を学ぶことができる。こうした自然に対する理解は、日常生活における環境保全や自然愛護への積極的な態度を培い、今日問題となっている地球規模の環境問題への認識を高めることとなる。さらには、生物としての人間の内的しくみや生命の尊さを学ぶことにもつながる。

野外教育は、自然現象や自然のしくみを総合的に学び、環境問題への認識を高める最良の機会である。

ウ 創造性や向上心、物を大切にする心を育てる

野外教育は、非日常的な自然の中での素朴な生活や活動が伴う。物質的な豊かさや便利さの中で暮らす青少年にとって、こうした素朴な生活や活動は、不便なものであり、時には苦痛を感じることもある。

しかし、このような環境の下での困難を乗り越える体験は、青少年に成就感や達成感をもたらし、向上心や忍耐力を培う。

また、自然の中での素朴な生活は、水や火の大切さ、物を工夫して使うことの楽しさなど、創造性や物を大切にしようとする心を育てるとともに、素朴な生活の楽しさなどを実感する場ともなる。

エ 生きぬくための力を育てる

青少年は、自然の中での様々な活動の実践・反復を通じて、知識や技術を単なる理解としてではなく、いわば生活の知恵として身に付ける。また、このような知恵は、災害などの緊急時において、生きぬくための力ともなる。

さらに、自然の中での各種活動は、危険を回避したり、安全を確保したりする能力や、自らの安全は自らが守るという意識を高める。

オ 自主性や協調性、社会性を育てる

野外教育では、一般的に小グループでの生活や活動が主体となる。こうした生活や活動では、自分のことは自分でする、仲間とよく相談し協力する、弱い者を助ける、といった態度や行動が求められる。このような生活や活動の実践・反復は、青少年の自主性や協調性、社会性の育成に大いに役立つものである。

カ 直接体験から学ぶ

近年のめざましい情報化の進展は、人々の生活に豊かさをもたらしている。しかし、その一方で、子どもたちのテレビゲームへの没頭に見られるように、間接体験や擬似体験の増加など、情報化の「影」と言われる負の影響が生じており、今後は直接的な体験が必要となってくる。様々な直接体験の機会を提供する野外教育は、こうした情報化の「影」の部分を補う機会として重要である。

キ 自己を発見し、余暇活動の楽しみ方を学ぶ

野外教育で取り扱われる各種の自然体験活動は、青少年にとって新鮮であり、印象深い体験となることが多い。こうした新しい体験によって、青少年は、これまで気が付かなかった自己の長所や能力を発見することができる。また、この時期の体験は、生涯にわたって余暇活動を楽しむための新たな興味・関心を喚起し、健全で豊かなライフスタイルの形成にも資するものとなる。

ク 心身をリフレッシュし、健康・体力を維持増進する

今日のような複雑な人間関係や時間に追われるゆとりのない生活から、自然の中に足を踏み入れると、時間的にも空間的にも、落ち着きやすがすがしさを感じさせる。自然の中での生活や活動は、心身をリフレッシュさせ、健康・体力の維持増進にも役立つものである。

2 野外教育の現状と課題

(1) 野外教育プログラム

野外教育プログラムは、ややもすると、自然の中で行われる各種の活動種目の選択や、その活動種目を時系列に並べた日程と考えがちである。しかし、野外教育プログラムは、単に活動種目や日程を指すものではなく、教育目的、指導方法・指導形態、活動種目等が一体となったものとして考えるべきである。すなわち、プログラムは、単に何をするかだけではなく、何のために、どのような方法で行うかという視点が必要である。したがって、同じ活動種目であっても、ねらいや指導方法等が異なれば、全く違ったプログラムとなる。

また、プログラムをさらに広く捉えれば、そこには、評価や成果の活用といった視点を持つことも大切である。

[cir1 ] 野外教育プログラムの現状

従来から、学校、地方自治体、青少年教育施設、民間団体等で、様々な野外教育プログラムが展開されてきた。ここでは、野外教育プログラムを実施している学校、地方自治体、青少年教育施設、民間団体という実施主体別に、その現状を取り上げてみる。

ア 学校が実施する野外教育プログラム

学校教育においては、集団宿泊学習、林間学校などの野外教育プログラムが、学校行事の一環として実施されている。これらの多くは、通常、1泊か2泊の宿泊を伴い、学年単位で、青年の家・少年自然の家等の施設・設備が比較的整った青少年教育施設等を利用して行われている。昭和59年度から開始した文部省の国庫補助事業である「自然教室推進事業」(5泊6日程度)の創設を契機に、小中学生の長期の野外教育プログラムが、学校において実施されている。長期間のプログラムとしては、この自然教室以外に、兵庫県の「自然学校」(県下の全小学校5年生を対象にした4泊5日)、東京都江戸川区の「セカンドスクール」(小学校6年生を対象にした6泊7日)などがある。

このような期間の長期化とともに、野外教育プログラムの実施形態などにも工夫が見られるようになってきた。例えば、参加者全員の一斉指導による活動だけでなく、小グループによる選択活動や、個人別の自由選択活動、複数学年が参加し、異なる学年の児童生徒の縦割りグループによる活動などである。

また最近では、理科や社会などの教科との関連に留意し、活動種目によっては、それぞれの教科に位置付けた取り組みも見られる。

イ 地方自治体が実施する野外教育プログラム

地方自治体では、教育委員会の生涯学習・社会教育担当部局や首長部局等において、青少年を対象とした各種の野外教育プログラムが実施されている。

昭和63年度から開始した文部省の国庫補助事業である「自然生活へのチャレンジ推進事業」は、10泊程度の長期にわたる原生活体験や冒険活動を中心にしたものであった。また、この事業の成果を踏まえ、平成5年度から開始された「青少年自然体験活動推進事業」は、原生活体験や冒険活動に加え、環境教育の視点に立った野外教育プログラムや、登校拒否児童生徒、障害のある児童生徒を対象にしたものへと野外教育プログラムの拡大を図ったものであった。

これらのモデル事業の全国展開を契機に、教育委員会が実施する冒険的活動、環境学習活動、登校拒否児童生徒への対応など、青少年の現代的課題を捉えた野外教育プログラムが増加した。

また、首長部局においても、青少年対策や環境対策の観点から、自然と触れ合う活動などが行われている。

ウ 青少年教育施設が実施する野外教育プログラム

青年の家、少年自然の家といった青少年教育施設は、青少年を対象に、集団活動を通して、その健全育成を図るための教育施設であり、自然環境の豊かな場所に設置されているものが多い。

青少年教育施設は、学校、地方自治体、青少年団体等の野外教育プログラムの場として活用される一方、施設自らが企画・実施する主催事業として、その立地条件を生かし、青少年を対象とする様々な野外教育プログラムを提供している。

また、平成4年9月の学校週五日制の導入に伴い、休みとなる土曜日に親子の野外教育プログラムなども積極的に実施されている。

エ 民間団体が実施する野外教育プログラム

野外教育プログラムを実施している民間団体の例としては、第一に、青少年団体があげられる。青少年団体では、青少年の健全育成を図るため、キャンプなどの野外教育プログラムを中心に実施している団体が多い。これらの団体のいくつかは、野外教育に関して、長い歴史と実績を持ち、指導者養成のための独自のプログラムや施設を有して、先駆的な野外教育プログラムを実施しており、これまでの我が国の野外教育に多大な影響を与えてきた。

次に、キャンプ、ホステリング、バードウォッチングといった各種の自然体験活動の普及・振興を図る民間団体も数多くある。このような団体では、それぞれ専門とする活動の特色を生かした野外教育プログラムを実施している。

さらに近年は、野外教育プログラムの提供や指導者養成を専門とする民間教育事業者も生まれてきた。これらの民間教育事業者の特徴は、年間を通して、様々な野外教育事業を恒常的に実施するとともに、事業者の中には、学校や地方自治体の要請を受けて、その野外教育プログラムの企画や実施に積極的に参画しているところもある。

また、企業がその社会貢献の一つとして、近年、交通遺児のための自然体験キャンプや親子の自然教室など、野外教育プログラムを実施しつつある。

[cir2 ] 野外教育プログラムの課題

野外教育プログラムについて、実施主体別にその現状を簡単に紹介したが、全国的観点で、現在の我が国における野外教育プログラム全体を見渡すと、様々な問題点や課題がある。

ア 実施期間の短さ

第一の問題点は、実施期間の短さである。文部省の社会教育調査(平成5年度)によれば、全国の公立青少年教育施設の宿泊期間別利用者数は、1泊が全体の約70%、2泊が全体の約22%で、1~2泊の利用が全体の9割以上を占めている。青少年教育施設の利用状況をもって、野外教育プログラムの実施期間をすべて表しているとは言い難いが、全体的傾向として、短期間に止まっているのが現状である。

ゆとりある充実した野外教育プログラムを実施するためには、期間の長期化が必要である。

イ 一貫したプログラム作りの欠如

第二の問題点は、ねらいの曖昧さ、指導方法・指導形態の画一性である。先にも述べたように、プログラムは、単に活動種目や日程を指すものではなく、目的、指導方法・指導形態、活動種目が一体となったものとして考えるべきである。しかしながら、一般的には、子どもたちが喜べば良いとか、単に体験することが大切であるとして、どのような種目の活動ができるのかという点だけが先行してしまい、何のために、どのような方法でという点が軽視されがちである。すなわち、プログラムが、活動種目の羅列になってしまうのと同時に、実際の指導の場面でも、時間内に次々と活動をこなすことに力が注がれるきらいがある。

プログラム全体の大きなねらいがあり、それに基づいて個々の活動のねらいがあってしかるべきであり、そのねらいを達成するのに最も適した指導方法・指導形態を考えるべきである。実施可能な活動種目を羅列するだけのプログラムであってはならない。

また、野外教育のプログラムは、単発的、行事的な活動と考えられがちである。しかし、その事前準備や事後の学習等も重要であり、今後は、これら前後の学習等も視野にいれたプログラム作りが必要である。

ウ プログラムの開発の不足

第三の問題点は、野外教育プログラムに対する認識の固定化であり、プログラム開発の不足である。例えば、キャンプ活動は、総合的で最も親しまれている野外教育プログラムであるが、依然として、テントを張り、寝袋で宿泊し、飯盒で自炊することがキャンプであると考えている人々が多い。さらに、夜は、キャンプファイアーをしなければならないと考えている人々も多い。野外教育プログラムに対するこうした固定観念は、多様なプログラムの開発を阻害するものである。

また、我が国には、四季というすばらしい自然の営みがあるにもかかわらず、夏季のプログラムが多い。年間を通した恒常的なプログラムをもっと開発すべきである。さらに、大自然の中だけでなく、都市部の公園等でも実施可能なプログラムや、青少年の心身の発達段階に応じたプログラムなども今後開発していく必要がある。

エ 効果分析・評価研究の不足

第四の問題点は、野外教育がどのような成果をもたらすのかといった効果分析や、プログラムのねらいが達成できたか、指導方法や内容は適切であったかという評価研究などが、あまり行われていないということである。

すなわち、野外教育プログラムの参加者からは、「感動した」「楽しかった」「自分のためになった」などという感想がよく聞かれ、また、指導者からは、「有意義な活動ができた」「子どもがひとまわり大きくなった」などという感想が多く聞かれる。こうした主観的な満足感や経験論的な評価は、野外教育の成果を裏付ける重要な要素の一つではあるが、残念ながら、これ以上の効果分析や評価がなされていないのが一般的である。

また、野外教育は、客観的な成果の分析が極めて難しい領域であるため、標準化された効果分析・評価研究の手法が必ずしも確立されていないという問題点、さらには、一部の大学等で行われている調査研究の内容や情報の所在が広く知られていないという問題点もある。

(2) 野外教育指導者

野外教育の多くは、非日常的な自然の中で、行動半径の広い活動と1日24時間の生活が伴う。このため、青少年の野外教育の指導者は、青少年が親しめる優れた人間性とともに、様々な役割を担う指導者が数多く必要となる。

野外教育の指導者の役割は、その実施規模や実施主体等によって異なるが、一般的な例を示してみると、第一に、実施場所の選定、プログラムの作成、人員の配置、広報、会計、渉外、装備や食料の手配など、全体の企画・運営に携わる専門的な能力を有した指導者がいる。第二に、プログラムの進行や生活面の管理などの役割を指揮統括する指導者がいる。第三に、特定の活動種目を指導するための専門的な知識や技術を持った指導者がいる。さらに、子どもを対象とした野外教育プログラムでは、子どもたちと生活や活動を共にしたり、指導・運営の援助を行ったりするグループリーダー、カウンセラーなどと呼ばれる指導者がいる。

野外教育指導者として実際の事業に携わっている人は、実施主体によって様々であるが、学校の教員、青少年教育施設の職員、社会教育・体育・スポーツ行政担当者、野外教育関連団体の指導者が多く、場合によっては、各種自然体験活動に造詣の深い社会人が携わることもある。また、グループリーダー、カウンセラーなどと呼ばれる指導者は、大学生等の青年が、ボランティアとして参画している場合が多い。

このほか、医療や健康管理、資材の運搬、調理に携わる特殊な資格や能力を有した人々の協力を得ている場合もある。

[cir1 ] 野外教育指導者の養成の現状

現在、大学や青少年教育施設、民間団体などにおいて、それぞれ野外教育指導者の養成・研修が行われている。

ア 大学の指導者養成

我が国では、一部の教育系・体育系の大学や学部、大学院において、野外運動学、環境教育学などの野外教育に関連する専門分野が置かれており、野外教育の専門的な知識・技術を有した指導者を育成しているが、全体として、野外教育関連の専門コースを設置している大学等の高等教育機関は、極めて少ない。

イ 国や地方自治体、青少年教育施設の指導者養成

国が実施する野外教育の指導者養成・研修事業としては、文部省の小中学校の教員を対象とした「自然体験活動担当教員講習会」、都道府県教育委員会の野外活動担当者や野外活動団体の指導者等を対象に、民間の野外活動団体と連携した「野外活動指導者研修会」などが行われている。

さらに、国立オリンピック記念青少年総合センター、国立青年の家、国立少年自然の家などの国立青少年教育施設では、前述した文部省が実施する養成・研修事業の場となっているほか、野外教育や環境教育に関する指導者研修、登山、スキーなどの各種目別の指導者研修など、施設周辺の自然環境や宿泊機能を活用し、数多くの指導者養成・研修事業が実施されている。

また、都道府県教育委員会や公立青少年教育施設においても、様々な指導者の養成・研修事業が実施されている。

ウ 民間団体の指導者養成

民間団体が実施している野外教育指導者の養成は、二つに大別できる。一つは、野外教育関連団体が、広く一般の人々を対象に実施する養成・研修事業である。この場合、キャンプ、ホステリング、バードウォッチングといった各団体の特定の種目ごとに実施されていることが多く、また、経験や能力、年齢等に応じて、初心者対象、上級者対象などの段階を設けて実施されている場合が多い。

もう一つは、主たる活動として野外教育を実施している青少年団体等が、自らの団体活動を担う指導者のために行う養成・研修事業である。この場合は野外教育に加え、各団体の活動目的に沿った研修が実施される。

また、近年は、野外教育に関連する各民間団体が相互に連携し、合同で指導者の養成に取り組む事例も出てきている。

[cir2 ] 野外教育指導者の課題

野外教育は、先に述べたように、組織的、計画的に、一定の教育目標を持って行われるものである。そのため、野外教育の実施には、指導者の存在が不可欠であり、当然のことながら、指導者の資質や量は、野外教育の成果を大きく左右するものである。また、これら指導者の養成、確保も重要な課題である。我が国における野外教育指導者に関しては、以下のような問題点・課題がある。

ア 専門的な能力を持った指導者の不足

現在、各種自然体験活動の高度な知識・技術を有した指導者はいるものの、野外教育の総合的な専門性を持った指導者が、量的に不足しているという問題点がある。ここでいう専門性とは、野外教育の意義や特性をよく理解し、対象者の年齢、経験、関心、実施場所の自然環境、施設・設備、指導者の資質や人数などの様々な条件に応じて、適切かつ安全に野外教育プログラムを企画、運営し、的確な評価ができる経験に裏打ちされた能力である。

我が国には、こうした能力を持ち、野外教育の総括的な企画運営ができる指導者が少ない。

イ 体系的な指導者養成・研修事業の不足

総合的な能力を持った指導者の不足は、現在行われている指導者養成・研修事業のあり方にも問題がある。

野外教育指導者の養成・研修事業は、全国各地で実施されているが、全体的傾向としては、知識・技術の習得や各種活動の体験が中心になっていることが多い。それは、例えば、野外教育の意義、自然環境の理解、青少年の発達課題などの講義であり、テントの立て方、野外炊事の仕方、キャンプファイヤーの進め方、天体観察の仕方などの実習である。これらの研修内容は、総じて、これから指導者になろうとする人々、あるいは、指導者として活躍し始めた人々にとって、重要なものである。

しかし、先に述べた野外教育の総括的な企画運営ができる指導者の育成を図る事業はあまり実施されていないのが現状である。

ウ 専門家の活躍の場の不足

野外教育の専門家の不足という問題点がある一方、専門家であっても、その専門性を十分に生かし、年間を通じて活躍できる場や機会に恵まれていないという問題点もある。この問題は、野外教育の専門家を求める社会の潜在的な需要があるものの、広く社会一般が、その専門性を職業として認めるまでには至っていないということでもある。

しかし、野外教育の重要性が広く社会に認められつつあり、各地で野外教育プログラムが実施されつつあることは、先に述べたとおりであり、野外教育の専門家が必要とされる機会や場は、今後さらに多くなると思われる。

したがって、専門的な能力を持った指導者の養成とともに、その指導者が活躍できる場の確保にも目を向けなければならない。

エ 教員の資質

学校の教員は、学校が実施する野外教育プログラムの指導者であり、同時に、野外教育の専門的な指導者となり得る素養を持った人材でもある。しかし、今日の青少年だけでなく、教員を目指す大学生や教員自身に、豊富な自然体験や生活体験が不足していると指摘する教育関係者が少なくない。

野外教育の指導を担う者は、指導者となる以前に、自ら自然体験活動の楽しさや喜びを数多く経験していることが必要である。こうした体験があってこそ、その重要性や意義が理解でき、指導者として、青少年にその楽しさや喜びを伝授することができると言える。

また、青少年が野外教育プログラムに参加する機会は、圧倒的に学校が多い。これは、学校の実施する野外教育プログラムの質的向上が、我が国全体の野外教育の振興に大きな役割を果たすことを意味する。

教員や教員を目指す大学生の自然体験活動等の充実は、野外教育を振興する上で重要な問題点である。

オ 青少年教育施設職員の資質

青少年教育施設は、青少年の健全育成を図ることを目的に、国や地方自治体が設置している施設であるが、豊かな自然環境に恵まれた場所に設置されていることが多く、各種の野外教育ブログラムが行われている場である。

したがって、青少年教育施設には、野外教育に関する様々な専門的指導者が数多く配置されるべきであるが、現状は、教員等との人事異動によって、数年で交替する場合が一般的である。

青少年教育施設は、我が国における青少年の野外教育の拠点施設として、さらにその充実が期待される。こうした観点から、特に、青少年教育施設における指導系職員として、今後野外教育に関する専門的な能力を持った職員が配置されるよう配慮する必要がある。また、同時に、この養成のためのシステムを確立することが大切である。

カ 青年リーダーの資質

子どもたちを対象とした野外教育を実施する場合、グループリーダー、カウンセラーなどと呼ばれる大学生等の青年リーダーが、ボランティアとして携わることが多い。若い世代の指導者は、子どもたちにとって最も身近な模範であり、良き相談役であり、その存在は極めて重要である。また、リーダーとして参加する青年にとっても、自らの豊かな人間形成を図る上で、貴重な体験を積むことができる。

こうした青年リーダーについては、各種自然体験活動の指導技術とともに、カウンセリングやグループワークに関する知識・技術を持っていることが望ましいが、このような知識・技術を学ぶ研修が行われている例は少ない。

専門的指導者の養成とともに、優秀な青年リーダーの養成・確保も重要な課題である。

(3) 野外教育の場

[cir1 ] 野外教育の場の現状

野外教育が実施される場は、国立公園、国定公園、都道府県立自然公園などの豊かな自然が残された地域や、その近隣に設置された青少年教育施設、キャンプ場などが考えられる。この中でも、青少年を対象とした野外教育は、宿泊や活動のための施設設備が整った青少年教育施設・キャンプ場などで実施されることが多い。

青少年の野外教育の場として考えられる青少年教育施設は、文部省の社会教育調査(平成5年度)によれば、全国に公立少年自然の家が294施設、宿泊型の公立青年の家が249施設で、宿泊定員は、少年自然の家で平均220人程度、宿泊型青年の家で平均120人程度となっている。また、国立青年の家・少年自然の家は、比較的規模が大きく、300人~500人の宿泊が可能で、敷地面積等も20万~100万m2という広大な環境を保有している。

さらに、キャンプ場については、国立南蔵王青少年野営場のほか、同調査によれば、地方自治体や公益法人等が設置運営するものとして1,219か所ある。

[cir2 ] 野外教育の場の課題

ア 自然環境の保全・活用

近年の都市化や過度の森林開発等により、豊かな大自然が減少しつつある。国土の保全、動植物の保護という観点からだけでなく、青少年の野外教育のための場を確保するという観点からも、豊かな自然環境作りに目を向けていくことが必要である。特に、青少年教育施設は、豊かな自然環境に恵まれた場所に立地していることが多い。これは、青少年の野外教育を展開するための、数少ない貴重な場であると言ってもよい。現在の施設の自然環境の保全と活用に一層努力する必要がある。

なお、自然の中で実施される各種の活動自体が、自然環境を破壊する要因の一つであるという指摘があるが、万が一にも、野外教育の各種活動が、自然環境を破壊するようなことがあってはならない。自然環境保全のために、野外教育の指導者は、最大限の努力と細心の注意を払うことが必要である。本来野外教育は、自然に親しみ、自然に対する理解を深めるとともに、自然を守り、大切な自然を次代に引き継ごうとする態度を育てるものであり、このような資質は、子どものうちにしっかりと身に付けることが必要である。

イ 野外教育の場の整備・活用

野外教育の場を確保するとともに、より積極的に新たな場を整備することも必要である。

これまで、青少年の野外教育の場は、ややもすると、青少年教育施設に偏りがちであったが、今後は、国立公園のビジターセンターや営林署といった国レベルの施設や機関、自然博物館、動物園、水族館といった各種社会教育施設、さらには、民間のキャンプ場、牧場、農園など、幅広い機関・施設等と有機的連携を図り、実施場所の活用に努めることが必要である。

また、青少年にとって、豊かな自然が残されている場所への移動には、多くの時間と経費がかかるようになってきている。野外教育の場として、青少年の身近にある空き地や公園、川や池、学校の校庭や寺社の森などを今後一層活用していくことも必要である。

ウ 青少年教育施設の充実

青少年教育施設は、青少年の野外教育の場として、最も活用されており、今後、青少年の野外教育の拠点施設として、その充実が期待されている。

青少年教育施設には、それぞれ特色ある自然環境、施設設備、人的条件を活用し、学校や民間団体等が参考となるようなモデル的なプログラムの開発、教材や指導マニュアルの開発、野外教育の啓発、調査研究の充実、各種の情報収集・提供機能の充実などが求められる。

(4) 野外教育の事故と安全

[cir1 ] 野外教育における事故の現状

近年、週休2日制の普及や学校週5日制の導入等に伴い、自然の中で余暇活動を楽しむ人々が増えてきていると言われている。こうした状況の下、自然体験活動中に、死亡に至るような重大な事故も発生している。

野外教育の諸活動中に起きた過去の重大事故には、川遊び中に小学生が誤って深みに落ちて溺死した例、河原でのキャンプ中、川が増水し激流に押し流されて中学生が溺死した例、サイクリング中に転倒し、バスにひかれて死亡した中学生の例などがある。特に、河川や海など、水辺での事故、落雷や集中豪雨など、急激な気象条件の変化に起因しての事故等が、生命をおびやかすような重大事故となることが多い。このような事故では、指導者の刑事責任や損害賠償責任等を問われる場合もめずらしいことではない。

[cir2 ] 野外教育における事故対策の現状

野外教育を実施する際の事故対策には、事故を未然に防ぐための対策と事故の発生に備えた対策に大きく分けられる。

ア 事故を未然に防ぐための対策

事故を未然に防ぐための対策として、最も一般的に実施されているものは、現地の事前踏査・下見による危険個所等の確認や情報収集である。宿泊地や活動コースにおいて、転落の危険性のある場所はないか、鉄砲水・がけ崩れ・雪崩が発生する可能性はないか、毒ヘビ・ハチ・ウルシなど人体に危害を及ぼすような動植物の存在はないか、さらには、飲料水や食材料の保管などの衛生状況はどうか、などといった確認や情報収集がその例である。

このほか、参加者の事前の健康診断や体力・運動能力の把握、現地での健康状態の把握、使用する道具の点検・補修、服装や持ち物の点検・指導、事故防止のための体制作り、さらには、落雷や集中豪雨等の前兆の察知、参加者への直接的な注意・指導などが、事故を未然に防ぐための対策として行われている。

イ 事故の発生に備えた対策

万一の事故の発生に備えては、無線機・携帯電話などの緊急用連絡手段の確保、緊急連絡網の作成、指示連絡経路の徹底、事故記録の作成といった事故発生時における連絡体制の整備、現地の医療機関・救助機関の確認、医師や看護婦の協力、応急処置ができる指導者の配置といった救急・医療体制の整備などの安全対策が講じられている。

また、保険制度の活用も事故の発生に備えた対策として重要である。近年、各種の傷害事故に対応した保険の補償制度が整備され、野外教育においても、参加者の傷害保険への加入が一般的になりつつある。

[cir3 ] 野外教育における安全対策の課題

ア 情報収集の不足

野外教育で実施されている事故対策の事例をいくつか示したが、これらの対策は、どれも欠くことのできない重要なものである。しかし、野外教育事業全体を見渡すと、必ずしもこうした対策が十分に実施されているとは言い難い状況がある。

特に、現地の下見による事前の安全確認や情報収集は、起こりうる事故を予知するための基本となる手がかりであり、様々な事故対策を講ずるための基礎である。しかし、実際に下見に訪れる者が、部分的な内容の下見にとどまったりしている例が多く見受けられるなど、十分に行われているとは言えず、今後一層の充実が必要である。

イ 指導者の安全確保

現在の野外教育においては、参加者の安全を守るという観点から、様々な対策が講じられていることが多い。

しかし、このような参加者の安全対策に加えて、指導者の安全にも配慮することが必要である。特に、指導者の迅速かつ的確な危険予知、迅速な判断、適切な処置などが、参加者の安全を確保する上で重要な要素であることから、指導者の休息など、健康管理への配慮が必要である。

また、指導者の傷害保険や損害賠償保険の活用も忘れてはならない。

ウ 安全教育への理解の不足

野外教育における安全について考える場合、ややもすると、事故の未然防止や万一の事故における適切な対処という点に目が向けられがちである。しかし、その一方で、野外教育には、潜在的な危険を予知し、自ら進んで自らの安全を確保するという積極的な行動力や判断力を育成するという成果が期待される。野外教育では、このような安全教育に対する視点が見過ごされることが多い。

3 青少年の野外教育の充実方策

(1) 青少年の野外教育振興の方向

中央教育審議会第一次答申に示される「生きる力」は、変化の激しい社会にあって、他人と協調しつつ自律的に社会生活を送っていくために必要となる、人間としての実践的な力であり、実際的な社会生活において生かされるものでなければならない。

このような「生きる力」は、青少年期において、学校で組織的、計画的に学習する一方、家庭における親子など家族の触れ合い、地域社会における友達との遊びや人々との交流などの様々な体験や活動を通じて、はじめて身に付くものである。

総理府が平成5年に実施した「青少年と家庭に関する世論調査」によれば、「最近の子どもには、生活体験や自然体験など「体験」が不足している」という見方について「そう思う」(30.1%)、「ある程度そう思う」(37.6%)となっている。また、平成6年に文部省が実施した「学校教育と学校週5日制に関する意識調査」では、「子どもの健やかな成長のために必要な体験のための自由時間が少ない」と思う者は保護者で39.8%、教員で63.0%となっているなど、子どもたちに必要な体験が不足していると考えている者が多い。

自然の中で組織的、計画的に、一定の教育目標を持って行われる野外教育が、このような青少年の体験不足を補う活動として、高い教育的価値を有することは、これまでも述べてきたところである。今後、野外教育のさらなる振興をもって青少年の健全な育成を図るためには、第一に多様な野外教育プログラムを開発すること、第二に野外教育の指導に当たる指導者の育成・確保、第三に野外教育のフィールドの整備、第四にそこで安全を確保する対策を充実させることが必要である。また、これらの充実とともに、野外教育の意義を広く教育関係者や国民の間に周知・普及することも必要である。

以下、具体的に充実方策を示すこととする。

(2) 野外教育プログラムの充実と開発

[cir1 ] 野外教育プログラムの目標の明確化

野外教育プログラムの現状で指摘したように、野外教育プログラムは、ともすれば単なる活動種目であったり、活動種目を配列した日程表であったりする場合が多い。また、野外教育の目標も曖昧な場合が多い。したがって、まず、野外教育プログラムに対する考え方を根本的に改め、目標から活動内容、指導方法等にいたる一連のものとして理解することが必要である。そして、この目標の達成にふさわしい活動種目や指導方法が採用されるべきである。

また、同時に、プログラムは、対象とする青少年の年齢や経験、心身の状況によって活動種目が選択され、指導方法やフィールドが検討される必要がある。

[cir2 ] 多様な野外教育プログラムの提供

野外教育は、青少年の全人的成長を支援する有効な教育である。このため、今後青少年に、多様な野外教育プログラムを数多く提供する方策を講ずる必要がある。

我が国の野外教育プログラムの期間は、2泊程度と比較的短期間に止まっている。このような状況下では、限られた日程の中で、できる限り多くの活動を実施したいという要望が生じ、結果として、一つ一つの活動への時間配分が不足し、時間内に活動を終わらせるために、指導者が手とり足とり教えがちとなる。青少年に、試行錯誤の中から体験的に学ぶ時間的ゆとりを与えるためにも、実施期間の長期化や、ゆとりある活動時間の配分について改善することが必要である。

また、一般に、野外教育プログラムは1~2度体験すれば十分であると考えられる傾向にある。しかし、野外教育の成果は、その継続と反復によって定着していくものと言える。したがって、学校、青少年教育施設、民間団体等において、様々な野外教育プログラムを提供するとともに、年齢や経験・関心に応じて、青少年が、継続的、段階的に野外教育プログラムに参加することができるよう機会の拡充を図る必要がある。

さらに、野外教育プログラムを単発的、行事的な活動と捉えるのではなく、事前準備のための学習や、事後の反省会や交流などの活動を含め、一連のものとして捉えることも必要である。例えば、事前学習による適切な動機付けは、現地での成果を高めることとなる。また、事後に、思い出を文章や絵画で表現したり、体験を発表しあったりする活動は、現地での活動体験の成果を一層高め、現地で培われた態度や行動を日常化させることに役立つ。このように、野外教育プログラムを日常の家庭生活や学校での学習と関連付けていくことが大切である。

[cir3 ] 現代的課題に対応したプログラム開発

多様な野外教育プログラムの開発が必要であることは、前に指摘したとおりである。特に、青少年の現代的課題に配慮した野外教育のプログラムが、開発されることが期待される。

このような現代的課題に配慮した野外教育プログラムを例示すると、

(ア) 青少年に様々な試練・チャレンジの機会を与える冒険教育として

(イ) 自然を教材として環境問題への理解を図る環境教育として

(ウ) 自然の神秘や摂理に触れて科学的興味・関心を喚起する学習機会として

(エ) 郷土の歴史や文化の学習を通じて地域への理解を深める学習機会として

(オ) 外国人や異世代との共同生活を通してお互いを理解する機会として

(カ) 登校拒否児童生徒や障害のある児童生徒など、特別の教育上の課題やニーズを有する青少年を支援する機会として

(キ) 非行少年を対象とした矯正の機会として

(ク) 喘息児、虚弱児などを対象とした健康回復の機会として

などがある。

[cir4 ] プログラム開発のための連携

このような新しいプログラムの開発に当たっては、野外教育に関連する専門分野が置かれた大学、自然環境や施設設備が整った青少年教育施設、専門性の高い有能な人材を有している民間団体が、その中心的役割を果たすことが期待される。

その際、単独の機関や団体のプログラム開発には、おのずと限界がある。大学、青少年教育施設、民間団体がそれぞれの特色を生かしつつ、相互に連携していくことが望まれる。また、このほか、小・中・高等学校や特殊教育諸学校、都道府県や市町村の教育委員会、博物館や生涯学習センター等の社会教育施設、体育・スポーツ施設といった教育関係機関、さらには、国立公園、営林署、農協、医療・福祉機関、企業など、様々な施設や機関、団体と有機的な連携を図り、プログラムの開発を行うことが考えられる。

[cir5 ] 学習教材の開発や指導のためのマニュアルの提示

次に、それぞれの野外教育プログラムに応じた、学習教材の開発や指導のためのマニュアルの提示が必要である。

野外教育について歴史と実績のあるアメリカなどでは、大学や野外教育を実施する施設・機関において、様々な教材・指導マニュアルが考案され、活用されている。

我が国においても、近年における野外教育の普及とともに様々な野外教育プログラムが実施されていることから、これらプログラムに対する経験や成果に対する所見等が蓄積されつつある。したがって、今後これらの経験や成果を改めて検証し、各種野外教育プログラムの事例集の作成、学習教材の開発や指導のためのマニュアルの編さんが期待されるところである。

[cir6 ] 学校教育における野外教育の充実

自然体験活動や集団宿泊活動など、自然との触れ合いや人間的触れ合いを求める体験学習が学校教育において実施されている。しかし、これらの活動の多くは、従来学校行事として教育課程上位置付けられ、学年単位で実施されていることが多い。

今日、学校教育を巡っては、いじめ問題や登校拒否児童生徒への対応など、生徒指導上の課題に加え、国際化、情報化、科学技術の進展、環境問題等社会の変化に対応する教育の充実が求められている。したがって、今後これら教育の課題に対応し、野外教育は、学校行事としての集団宿泊活動などに限らず、各教科等の体験的な学習としても活用していくことを考慮することが望まれる。

また、青少年教育施設を活用して行われている自然教室や集団宿泊活動などについては、主として学年単位によって実施されていることが多い。こうした学年単位の実施については、学年全体の連帯感の高揚や平等な経験の提供という利点がある一方で、多人数の集団が同じ活動を一斉に行うことによる弊害も指摘されている。例えば、多人数の集団による登山では、隊列等全体の団体行動が強調されるあまり、個々の児童生徒が自然に親しむ余裕や時間がないといったこと、また、多勢が自然の中に分け入ることによって自然の破壊を生じさせるといった指摘などがある。したがって、学校教育における野外教育の実施に当たっては、多様な活動種目を設定して参加者の分散を図るとか、クラス単位や小グループ単位の活動とするといったことに配慮することが求められる。

(3) 野外教育指導者の養成・確保

[cir1 ] 専門的な指導者養成システムの構築

野外教育の一層の充実・振興を図るためには、専門的な資質能力を持った指導者の養成を図ることが極めて重要である。しかし、様々な指導者養成事業が各地で実施されているものの、このような指導者を養成するための標準的なカリキュラムが、十分に検討・提供されていない。

このような標準的なカリキュラムの検討と、体系的かつ総合的な研修の実施は、各種の条件が整っている国立青少年教育施設において実施されることが期待される。国立青少年教育施設が、それぞれ山岳、海浜、河川、森林といった立地条件や四季の自然条件を生かし、大学や民間団体等の専門家の協力を得て、野外教育の専門的な指導者養成システムとして構築することが望まれる。

また、こうした指導者の養成システムとともに、そこで学んだ者がその専門性を職業として生かすことのできる場を確保することも重要な課題である。

[cir2 ] 教員や教員養成課程の大学生に対する指導者養成事業の充実

我が国全体の野外教育の質的向上を図る上で、教員の野外教育に関する資質能力を高めることは重要である。また、各種自然体験活動の経験や野外教育における指導の経験は、教員自身の資質能力を高める上で、極めて貴重なものであると考える。

現在、青少年教育施設では、教員を対象とした「集団宿泊指導者研修」や「生活科担当教員研修会」などが数多く実施されている。また、社会教育主事養成課程を設けている大学等においては、社会教育演習や同実習を青少年教育施設で実施している場合が多々見受けられる。今後、これら青少年教育施設等において、教員や社会教育の指導者を目指す大学生の研修機会の拡大を図るとともに、引き続き研修内容の充実に努めることが必要である。

また、大学の教員養成においては、教育実習の一部である事前事後指導の一環として、学校以外の社会教育に関する施設において実施することができるようになっているが、その例は極めて少ない。今後、青少年教育施設が、このような教育実習の事前事後指導の場として活用されることが望まれる。また、野外教育の活動体験や指導体験については、特別活動に関する科目として教職課程上すでに位置付けられているが、さらに、このような体験的活動が、大学の教員養成課程において一層推進されることが望まれる。

なお、文部省においては、教員が社会の構成員としての視野をさらに広げるとの観点に立って、長期間にわたり企業、社会教育施設、社会福祉施設、ボランティア団体等で研修を行う、教員の長期社会体験研修に関する実践的調査研究が実施されている。このような教員の研修の場として、青少年教育施設や野外教育に関連した民間団体が、積極的に活用され、野外教育に関する教員の資質能力を高めるための取り組みが行われることも望まれる。

[cir3 ] 国立青少年教育施設における専門家の積極的な活用と資質向上

現在、国立青少年教育施設には、主催事業の企画・実施や青少年の指導に当たる専門職員が配置されている。これら専門職員は、主に、教員との人事交流によって確保され、いずれも3年程度の在任期間となっている。専門職員の多くは、以前学校教員として児童生徒の教育に携わった経験はあるものの、必ずしも野外教育に関する専門的な知識や経験を有しているわけではない。

したがって、今後国立青少年教育施設における専門職員の確保に当たっては、教員との人事交流だけでなく、それぞれの施設における専門職員全体のバランスに留意しつつ、野外教育の専門分野からの人材確保についても積極的に検討することが必要である。

なお、これらの課題は、先に述べた体系的・総合的な指導者研修の実施や、養成された専門家の活躍の場の確保という点での国立青少年教育施設における役割とも大きく関連するものである。

[cir4 ] ボランティアの養成・確保

生涯学習社会の構築を目指す我が国において、ボランティア活動の支援・推進は重要な課題である。野外教育の分野においても、大学生・高校生、一般社会人、高齢者など、多くのボランティアがその教育活動を支えており、その役割は大変重要である。

特に、大学生・高校生等の若いボランティアについては、野外教育を推進する側からすれば、充実したプログラムを実施する上で、その協力は必要不可欠であり、また、ボランティアとして活動する青年の側からすれば、野外教育は、自らの全人的な人格形成を図る上で、貴重な体験の機会となるものである。

今後、これら人材の一層の確保や研修の拡大に配慮していくことが求められる。

(4) 野外教育の場の整備・充実

[cir1 ] 野外教育の場の整備

青少年の野外教育の場は、青少年教育施設やキャンプ場の敷地内に止まるものではない。野外教育は、こうした施設をベースとしながらも、広範囲に実施されるものであり、特にその周辺の森林、海岸、河川などは、野外教育のための重要な場として、さらに活用されなければならない。

国や地方自治体で行われてきた造林・育林事業、海岸や河川の整備事業などにおいては、これまでの環境保全、防災、地域振興などという観点とともに、今後は、野外教育の場という観点をも視野にいれた総合的な整備を図ることが望ましい。

また、各省庁が設置している公園や宿泊施設等を野外教育の場として活用していくことも重要である。

[cir2 ] 青少年教育施設の充実

青少年の野外教育の振興を図る上で、その実施場所として最も活用されている青少年教育施設は、その拠点施設として、今後さらに充実が期待されていることは、前に述べたとおりである。

特に、国立オリンピック記念青少年総合センターや国立南蔵王青少年野営場、全国に整備されている13か所の国立青年の家、14か所の国立少年自然の家は、公立青少年教育施設の中核・モデルとしての役割を担っている。これら国立青少年教育施設は、今後、様々な関係機関と連携を密にし、我が国の野外教育の充実に向け努力することが極めて重要である。

[cir3 ] 情報提供・発信機能の充実

我が国において、様々な教育機関や民間団体が野外教育プログラムの開発や実施に取り組んできたが、これまで、その情報を集約し、幅広く提供できる機能を持った機関の存在は、ほとんどなかったと言える。すなわち、個々の野外教育プログラムの開発やその成果が、広く関係者の共通の情報として生かされることがなく、また、野外教育に関する様々な情報を入手したくても、その手段がほとんどないという現状がある。

したがって、今後、各国立青少年教育施設は、地域の拠点として、野外教育活動に関する様々な情報を収集・提供・発信する機能を強める必要がある。

さらに、国立オリンピック記念青少年総合センターは、学習・情報諸施設の整備と併せて、各国立青少年教育施設との連携の下に、我が国の青少年の野外教育に関する情報ネットワークにおける中核としての役割を一層発揮すべきである。

また、同時に、民間教育事業者を含め、青少年の野外教育に携わる関係者が一堂に会し、情報交換や交流を深める場を設けることも必要である。

(5) 野外教育の安全確保と安全教育

野外教育を実施する上で、「事故はどこでも起こり得る」という認識を持って、様々な対策を講じる必要がある。しかし、その一方で、野外教育の重要な要素である冒険性や自由性を阻害しないように配慮しなければならない。

[cir1 ] 安全対策の充実

今後、野外教育の振興がさらに図られれば、野外教育事業の長期化・多様化、参加者の増大・低年齢化というような具体的な事象が相まって生じてくる。このことは、主催者側の事故に対する責任の度合いも、今後さらに大きくなることを意味するものであり、野外教育の安全対策が、これまで以上に確立されなければならない。

すなわち、先に述べた事故の未然防止や事故の発生に備えた事故対策を充分に行うことに加え、参加者の行動上の特性の把握、現地の特殊な気象状況や危険箇所等の詳細な情報の入手、指導者の労働時間や健康管理への配慮、さらには、事故発生後の誠意ある対応など、様々な安全対策が必要となる。このためには、これまでのような経験論的な対策だけではなく、今後、総合的な安全マニュアルを開発していくことなども求められる。

また同時に、例えば、指導者が日本赤十字社の水難救助員といった救命・救急に関する資格を取得することなどにも配慮していくべきである。

[cir2 ] 野外教育と安全教育

阪神・淡路大震災の際、青少年団体における野外教育活動の体験が、非常事態の中で、的確な判断・行動をするのに大いに役立ったという報告がある。

野外教育での各種活動は、潜在的な危険に対し、自らの安全を確保するために、自分で考え、行動し、判断する能力などを育成するための有効な活動である。このような積極的な行動力や判断力の育成は、安全教育の中心的なねらいであり、野外教育の果たす重要な役割でもある。

一つ一つの小さな成功体験や失敗体験の積み重ねが、青少年の課題解決能力や危険を回避する力を高めるものである。しかし、その一方において、野外教育における安全管理の過度な徹底は、これら能力を伸長させる芽を摘み取ることにもなりかねない。野外教育の展開に当たっては、このようなバランスにも十分配慮しなければならない。

(6) 行政の支援と調査研究の充実

我が国の野外教育は、欧米諸国に比べて歴史が浅いため、その振興を図るためには、民間における研究成果の活用はもとより、国や地方自治体が積極的にその支援方策を講ずるとともに、大学等の高等教育機関、国立青少年教育施設などにおいて、野外教育に関する調査研究を一層充実させる必要がある。

[cir1 ] 国や地方自治体の支援

これまで、野外教育の充実のために、いくつか具体的な指摘をしてきたが、これ以外に、国や地方自治体は、様々な施策を通じて、野外教育の啓発に努めなければならない。そのような意味で、例えば、国において「青少年のための野外教育推進月間」などを提唱し、様々な野外教育に関連する事業等をこの時期に集中して実施するなどして、野外教育に対する理解と積極的な参加を求めることも有意義である。

さらに、野外教育を振興するためには、国レベルの連携も必要である。文部省以外の省庁においても、それぞれの施策推進に携わる人材育成事業が実施されている。これらの指導者養成は、いずれも特定分野において、それぞれ専門的な資質能力の向上を図ろうとするものであるが、中には、林野庁の森林インストラクターや環境庁の自然解説活動の指導者のように、野外教育に関連したものもある。野外教育の指導に当たる者の指導分野の拡大や指導力の向上を図るためには、これらの事業に参加することも有意義である。しかし、野外教育の振興という点において、相互の関連が配慮されているとは言い難く、さらなる情報の交換等、連携が必要である。

また、従来、国や地方自治体は、野外教育に関連した民間教育事業者の取り組みを十分視野に入れてこなかったきらいがある。今後は、民間教育事業者による青少年を対象とした野外教育の取り組みも期待し、適切な連携を図っていくことが必要である。

[cir2 ] 調査研究の充実

野外教育の重要性への理解を深め、その普及・定着を図るためには、これまでのような主観的、経験論的な評価だけではなく、例えば、野外教育プログラムにおける体験が、日常生活への意識・態度に及ぼす影響や交友関係の変化など、教育学、心理学、社会学等、それぞれ専門分野からの客観的な効果分析・評価研究が積極的に実施されることが必要である。

これまで、大学、国立青少年教育施設等でも調査研究が実施されているが、今後は、平易な効果測定法の開発や、大学、青少年教育施設、学校、民間団体等との連携による共同研究プロジェクトを設け、野外教育の効果や方向性等について継続的な研究を実施することなどが求められる。また、このような野外教育の調査研究に対して、行政が積極的な支援策を講じるなど、さらなる調査研究の充実を図る必要がある。

おわりに

本調査研究協力者会議では、我が国における青少年の野外教育の現状や課題を明らかにし、その上で多様な野外教育プログラムの開発や、野外教育の指導者養成など、野外教育を充実・振興するための方策等について検討した。この中では、野外教育の意義や考え方についても十分議論し、今後の方向性や指針をも提言したつもりである。

野外教育は、青少年の全人的成長を支援するために必要な教育であり、また、青少年を巡る今日的な課題に対処する上でも極めて有効な教育である。

現在、自然を活用した教育活動としては、野外活動、冒険教育、野外レクリエーションなど、様々な用語を使った取り組みが各地で行われるようになってきている。これら自然を活用した各種の活動は、用語や手法は異なるものの、その基本となる目標は共通と思われる。その意味で、本報告が、野外教育にかかる全ての機関や施設、団体において参考として、活用されることを期待する。

また、いかに野外教育プログラムが綿密に計画・実施されたとしても、参加した青少年の一人一人の態度・行動の変容等の成果の定着を図るためには、家庭や学校における事前、事後の適切な援助・指導が必要である。本報告の趣旨が、広く保護者や学校関係者にも理解されることを望むものである。

図表

図表1 余暇活動参加希望率上位20種目

図表2 「余暇に求める楽しみや目的」の時系列推移

図表3 自由時間をどのような時間にしたいか

図表4 子どもの体験不足

図表5 体験をするための自由時間不足

図表6 公立青少年教育施設の現状について

図表7 キャンプ場の設置状況について

図表8 活動内容別傷害発生率

図表1 余暇活動参加希望率上位20種目

(複数回答等)


男性

 

女性

順位

余暇活動種目

 

順位

余暇活動種目

1

国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)

72.8

 

1

国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)

80.1

2

ドライブ

56.6

 

2

外食(日常的なものを除く)

62.5

3

外食(日常的なものを除く)

52.1

 

3

ドライブ

52.3

4

海外旅行

46.7

 

4

海外旅行

51.7

5

カラオケ

41.7

 

5

ピクニック、ハイキング、野外散歩

45.8

6

バー、スナック、パブ、飲み屋

37.7

 

6

カラオケ

45.0

7

宝くじ

37.3

 

7

動物園、植物園、水族館、博物館

41.5

8

ピクニック、ハイキング、野外散歩

37.2

 

8

音楽会、コンサートなど

38.8

9

釣り

35.6

 

9

園芸、庭いじり

36.5

10

ビデオの鑑賞(レンタルを含む)

34.6

 

10

映画(テレビは除く)

35.2

11

スポーツ観戦(テレビは除く)

33.5

 

11

音楽鑑賞(CD、レコード、テープ、FMなど)

34.9

12

動物園、植物園、水族館、博物館

33.3

 

12

催し物、博覧会

33.3

13

海水浴

32.3

 

13

編物、織物、手芸

32.2

14

音楽鑑賞(CD、レコード、テープ、FMなど)

31.8

 

14

宝くじ

31.7

15

園芸、庭いじり

30.6

 

15

遊園地

30.3

16

ゴルフ(コース)

29.1

 

16

水泳(プールでの)

29.5

17

映画(テレビは除く)

28.6

 

17

ビデオの鑑賞(レンタルを含む)

28.8

18

日曜大工

27.4

 

18

体操(器具を使わないもの)

28.0

19

催し物、博覧会

26.7

 

19

海水浴

27.8

20

パチンコ

26.4

 

20

料理(日常的なものを除く)

27.2

*調査対象:全国15歳以上男女4000人

出典:「レジャー白書’96」(平成8年4月 財団法人余暇開発センター)

図表2 「余暇に求める楽しみや目的」の時系列推移(複数回答)

(単位:%)


 

昭和62年

平成3年

平成7年

サンプル数

3,205

3,529

3,467

(1) 友人や知人との交流を楽しむこと

59.4

59.6

59.6

(2) 心の安らぎを得ること

58.2

58.6

58.7

(3) 身体を休めること

43.3

48.9

47.3

(4) 家族との交流を楽しむこと

40.0

44.5

44.5

(5) 健康や体力の向上をめざすこと

43.7

43.2

42.3

(6) 自然に触れること

33.3

36.6

36.6

(7) 日常生活の解放感を味わうこと

33.4

36.4

34.0

(8) 知識や教養を高めること

28.5

26.2

26.3

(9) 自分で作れる喜びを満たすこと

23.5

23.5

20.1

(10) 芸術や美的な関心を満たすこと

14.8

15.9

17.4

(11) 好奇心を満たすこと

10.2

12.1

11.9

(12) ぜいたくな気分にひたること

9.5

10.6

10.3

(13) 社会や人のために役立つこと

10.3

10.6

10.1

(14) 技術や腕前の向上をめざすこと

10.1

11.0

9.9

(15) 仕事や学習への新しい意欲を得ること

10.2

9.6

9.3

(16) 仕事や学習に役立つこと

8.7

8.9

8.7

(17) 賭けや偶然を楽しむこと

4.6

6.4

7.0

(18) 創造力を発揮すること

6.1

6.1

6.2

(19) 実益(収入)に結びつくこと

7.6

6.9

5.6

(20) 腕を競い競争すること

4.7

4.9

4.6

(21) 推理、想像を楽しむこと

3.8

4.1

4.4

(22) スリルを味わうこと

4.5

4.5

4.0

出典:「レジャー白書’96」(平成8年4月 財団法人余暇開発センター)

図表3 自由時間をどのような時間にしたいか(3つまで複数回答)



出典:「レジャー白書’96」(平成8年4月 財団法人余暇開発センター)

図表4 子どもの体験不足



出典:「青少年と家庭に関する世論調査」(平成5年5月 総理府)

図表5 体験をするための自由時間不足



出典:「学校教育と学校週5日制に関する意識調査」(平成6年3月 文部省委託調査)

図表6 公立青少年教育施設の現状について


 

少年自然の家

青年の家

(宿泊型)

施設数

294

249

宿泊定員

99人以下

15.3%

54.9%

100人以上199人以下

14.3%

29.7%

 

200人以上299人以下

48.1%

10.2%

 

300人以上

22.3%

5.3%

 

平均宿泊定員

220

120

出典:「社会教育調査」(平成5年度 文部省)

図表7 キャンプ場の設置状況について


 

施設数

地方公共団体の長が管理運営するもの

591

教育委員会が管理運営するもの

340

民法第34条法人が管理運営するもの

121

その他の法人等が管理運営するもの

167

合計

1,219

出典:「社会教育調査」(平成5年度 文部省)

図表8 活動内容別傷害発生率


順位

活動内容

加入者数

発生例数

発生率

1

アメリカンフットボール

9,533

717

7.52

2

ラグビー

33,369

934

2.80

3

トライアスロン

1,046

28

2.68

4

バレーボール

885,908

19,168

2.16

5

インディアカ

45,515

982

2.16

6

山岳登はん

375

8

2.13

7

柔道

101,142

2,018

2.00

8

ビーチバレー

30,228

517

1.71

9

バドミントン

212,080

3,054

1.44

10

自動車操縦

212

3

1.42

11

硬式野球

41,017

526

1.28

12

バスケットボール

256,014

3,205

1.25

13

ハンドボール

9,905

123

1.24

14

レスリング

3,899

45

1.15

15

サッカー

731,212

8,247

1.13

16

ホッケー

2,922

33

1.13

17

アイスホッケー

12,453

139

1.12

18

ボクシング

1,929

20

1.04

19

体操競技

42,399

410

0.97

20

馬術

8,579

81

0.94

21

ソフトボール

824,720

7,750

0.94

22

相撲

4,120

38

0.92

23

テニス

92,859

782

0.84

24

軟式野球

994,500

8,147

0.82

25

ソフトテニス

55,685

411

0.74

26

自転車競技

10,634

77

0.72

27

銃剣道

1,447

10

0.69

28

ジョギング

3,215

22

0.68

29

ゲートボール

81,969

535

0.65

30

空手

136,250

846

0.62

31

合気道

15,654

86

0.55

32

フェンシング

2,086

11

0.53

33

スキー

50,720

261

0.51

34

卓球

97,861

490

0.50

35

スケート

20,321

98

0.48

36

ボート

1,446

6

0.41

37

少林寺挙法

44,816

180

0.40

38

剣道

334,154

1,344

0.40

39

なぎなた

7,680

30

0.39

40

スキューバダイビング

263

1

0.38

41

指導活動

38,730

137

0.35

42

ハイキング

55,052

182

0.33

43

ジャズダンス

14,594

39

0.27

44

ボウリング

1,516

4

0.26

45

健康美容体操

86,839

212

0.24

46

陸上競技

50,085

119

0.24

47

鼓笛バンド

2,663

6

0.23

48

ボーイスカウト

24,175

50

0.21

49

ダンス(日舞・洋舞)

38,398

67

0.17

50

海洋少年団

2,342

4

0.17

51

ゴルフ

12,116

21

0.17

52

武術太極拳

4,358

7

0.16

53

カヌー

3,850

6

0.16

54

ヨット

5,961

9

0.15

55

水泳

162,772

201

0.12

56

ウエイトリフティング

3,561

4

0.11

57

子供会活動

575,105

652

0.11

58

文化活動

63,804

64

0.10

59

エアロビクス

18,973

18

0.09

60

弓道

10,241

9

0.09

61

釣り

4,378

3

0.07

62

ボランティア活動

19,359

13

0.07

63

アーチェリー

2,689

1

0.04

64

リュージュ

317

0

0.00

65

クレー射撃

759

0

0.00

66

ガールスカウト

160

0

0.00

67

みどりの少年団

881

0

0.00

68

ワンダーフォーゲル

489

0

0.00

69

旅行

180

0

0.00

70

ライフル射撃

596

0

0.00

 

全活動内容合計

8,648,399

76,514

0.88

※ 平成4年度中に、(財)スポーツ安全協会の傷害保険金の支払を受けたものの調査である。

出典:「スポーツ等活動中の傷害調査」(平成4年度 財団法人スポーツ安全協会)

参考資料

1 青少年の野外教育の振興に関する調査研究について

2 青少年の野外教育の振興に関する調査研究経過

青少年の野外教育の振興に関する調査研究について

平成7年6月8日

生涯学習局長裁定

(最近改正 平成8年4月3日)

1 趣旨

都市化、核家族化等の社会環境の変化の中で、青少年の健全な育成を図るため、野外における体験活動等野外教育の果たす役割が大きくなっている。このため、青少年の野外教育の総合的な振興方策について調査研究を行い、その一層の充実を図る。

2 調査研究事項

[cir1 ] 社会環境の変化等に対応した野外教育プログラムの在り方

[cir2 ] これからの野外教育指導者の養成・研修の在り方

[cir3 ] その他必要な事項

3 実施方法

(1) 別紙の学識経験者等の協力を得て、2に掲げる事項について調査研究を行う。

(2) 必要に応じ、その他関係者の協力を求めることができる。

4 実施期間

平成8年4月3日から平成9年3月31日までとする。

5 その他

この調査研究に関する庶務は、生涯学習局青少年教育課において処理する。

(別紙)

青少年の野外教育の振興に関する調査研究協力者

熱田秀夫 千葉県成東町立成東中学校長

◎飯田稔 筑波大学教授

川口博行 山口県教育委員会社会教育課社会教育主事

川嶋直 (財)キープ協会環境教育事業部長

川村協平 山梨大学教授

佐藤初雄 ジャパンアウトドアネットワーク事務局長

杉原正 (財)ボーイスカウト日本連盟総コミッショナー

世戸俊男 (財)神戸YMCA主任主事

寺門与志夫 茨城県那珂郡瓜連町立瓜連中学校長

星野敏男 明治大学教授、(社)日本キャンプ協会理事

松下倶子 国立信州高遠少年自然の家所長

(◎印は主査)

青少年の野外教育の振興に関する調査研究経過

第1回 平成7年7月3日(月)

○主査選出

○自由討議

・青少年の野外教育に関する課題について

・青少年の野外教育に関する今後の展望について

第2回 平成7年9月11日(月)

○事例紹介及び自由討議

・我が国の野外教育プログラムの現状と課題について

・諸外国の野外教育プログラムについて

第3回 平成7年11月13日(月)

○事例紹介及び自由討議

・山口県教育委員会における野外教育活動指導者養成システムについて

川口博行 (山口県教育委員会社会教育課社会教育主事)

・(財)キープ協会第4回環境教育指導者養成セミナー清里インタープリターズキャンプ概要報告について

川嶋直 (財団法人キープ協会環境教育事業部長)

・自然解説指導者養成講座 専門課程実施業務概要について

佐藤初雄 (ジャパンアウトドアネットワーク事務局長)

・(財)日本YMCA同盟における指導者養成について

世戸俊男 (財団法人神戸YMCA主任主事)

・国立青少年教育施設の取り組みについて

第4回 平成8年2月27日(火)

○事例紹介及び自由討議

・野外教育活動中の事故における過去の判例について

・傷害保険・賠償責任保険について

・山口県教育委員会における野外教育事業の安全対策について

川口博行 (山口県教育委員会社会教育課社会教育主事)

第5回 平成8年3月18日(月)

○自由討議

・我が国の野外教育の展望について

[cir1 ]野外教育事業の官民の役割分担

[cir2 ]国立青少年教育施設における野外教育プログラム開発・指導者養成

[cir3 ]野外教育充実のための文部省における他省庁、大学、民間団体との連携方策

第6回 平成8年4月23日(火)

○「青少年の野外教育の充実について」の報告書骨子案に関する討議

第7回 平成8年5月29日(水)

○「青少年の野外教育の充実について」の報告書骨子案に関する討議

第8回 平成8年6月20日(水)

○「青少年の野外教育の充実について」文案に関する討議

第9回 平成8年7月3日(水)

○「青少年の野外教育の充実について」文案に関する討議

第10回 平成8年7月24日(水)

○「青少年の野外教育の充実について」文案に関する討議


※本報告書はインターネット上の文部省のホームページ(http://www.monbu.go.jp)及び、パソコン通信ネットワーク(NIFTY―Serve、PC―VAN)に掲載しています。

-- 登録:平成21年以前 --