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「児童の権利に関する条約」について

文初高第一四九号

平成六年五月二〇日
各都道府県教育委員会、各都道府県知事、各国立学校長、各大学共同利用機関長、大学入試センター所長、学位授与機構長、国立学校財務センター所長、各公私立大学長、放送大学長、各公私立高等専門学校長、各文部大臣所轄学校法人理事長、文部省各施設等機関長、日本ユネスコ国内委員会長、日本学士院長、文化庁各施設等機関長、日本芸術院長、各文部省関係特殊法人の長、公立学校共済組合理事長あて
文部事務次官通知

「児童の権利に関する条約」について

このたび、「児童の権利に関する条約」(以下「本条約」という。)が平成六年五月一六日条約第二号をもって公布され、平成六年五月二二日に効力を生ずることとなりました。本条約の概要及び全文等は別添のとおりです。

本条約は、世界の多くの児童(本条約の適用上は、児童は一八歳未満のすべての者と定義されている。)が、今日なお貧困、飢餓などの困難な状況に置かれていることにかんがみ、世界的な視野から児童の人権の尊重、保護の促進を目指したものであります。

本条約は、基本的人権の尊重を基本理念に掲げる日本国憲法、教育基本法(昭和二二年三月三一日法律第二五号)並びに我が国が締約国となっている「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(昭和五四年八月四日条約第六号)」及び「市民的及び政治的権利に関する国際規約(昭和五四年八月四日条約第七号)」等と軌を一にするものであります。したがって、本条約の発効により、教育関係について特に法令等の改正の必要はないところでありますが、もとより、児童の人権に十分配慮し、一人一人を大切にした教育が行わなければならないことは極めて重要なことであり、本条約の発効を契機として、更に一層、教育の充実が図られていくことが肝要であります。このことについては、初等中等教育関係者のみならず、広く周知し、理解いただくことが大切であります。

また、教育に関する主な留意事項は左記のとおりでありますので、貴職におかれましては、十分なご配慮をお願いします。

なお、各都道府県教育委員会にあっては管下の各市町村教育委員会及び関係機関に対して、また、各都道府県知事にあっては所管の私立学校及び学校法人等に対して、国立大学長にあっては管下の学校に対して、趣旨の徹底を図るようお願いします。

一 学校教育及び社会教育を通じ、広く国民の基本的人権尊重の精神が高められるようにするとともに、本条約の趣旨にかんがみ、児童が人格を持った一人の人間として尊重されなければならないことについて広く国民の理解が深められるよう、一層の努力が必要であること。

この点、学校(小学校、中学校、高等学校、高等専門学校、盲学校、聾学校、養護学校及び幼稚園をいう。以下同じ。)においては、本条約の趣旨を踏まえ、日本国憲法及び教育基本法の精神にのっとり、教育活動全体を通じて基本的人権尊重の精神の徹底を一層図っていくことが大切であること。

また、もとより、学校において児童生徒等に権利及び義務をともに正しく理解させることは極めて重要であり、この点に関しても日本国憲法や教育基本法の精神にのっとり、教育活動全体を通じて指導すること。

二 学校におけるいじめや校内暴力は児童生徒等の心身に重大な影響を及ぼす深刻な問題であり、本条約の趣旨を踏まえ、学校は、家庭や地域社会との緊密な連携の下に、真剣な取組の推進に努めること。

また、学校においては、登校拒否及び高等学校中途退学の問題について十分な認識を持ち、一人一人の児童生徒等に対する理解を深め、その個性を尊重し、適切な指導が行えるよう一層の取組を行うこと。

三 体罰は、学校教育法第一一条により厳に禁止されているものであり、体罰禁止の徹底に一層努める必要があること。

四 本条約第一二条から第一六条までの規定において、意見を表明する権利、表現の自由についての権利等の権利について定められているが、もとより学校においては、その教育目的を達成するために必要な合理的範囲内で児童生徒等に対し、指導や指示を行い、また校則を定めることができるものであること。

校則は、児童生徒等が健全な学校生活を営みよりよく成長発達していくための一定のきまりであり、これは学校の責任と判断において決定されるべきものであること。

なお、校則は、日々の教育指導に関わるものであり、児童生徒等の実態、保護者の考え方、地域の実情等を踏まえ、より適切なものとなるよう引き続き配慮すること。

五 本条約第一二条一の意見を表明する権利については、表明された児童の意見がその年齢や成熟の度合いによって相応に考慮されるべきという理念を一般的に定めたものであり、必ず反映されるということまでをも求めているものではないこと。

なお、学校においては、児童生徒等の発達段階に応じ、児童生徒等の実態を十分把握し、一層きめ細かな適切な教育指導に留意すること。

六 学校における退学、停学及び訓告の懲戒処分は真に教育的配慮をもって慎重かつ的確に行われなければならず、その際には、当該児童生徒等から事情や意見をよく聴く機会を持つなど児童生徒等の個々の状況に十分留意し、その措置が単なる制裁にとどまることなく真に教育的効果を持つものとなるよう配慮すること。

また、学校教育法第二六条の出席停止の措置を適用する際には、当該児童生徒や保護者の意見をよく聴く機会を持つことに配慮すること。

七 学校における国旗・国歌の指導は、児童生徒等が自国の国旗・国歌の意義を理解し、それを尊重する心情と態度を育てるとともに、すべての国の国旗・国歌に対して等しく敬意を表する態度を育てるためのものであること。その指導は、児童生徒等が国民として必要とされる基礎的・基本的な内容を身につけるために行うものであり、もとより児童生徒等の思想・良心を制約しようというものではないこと。今後とも国旗・国歌に関する指導の充実を図ること。

八 本条約についての教育指導に当たっては、「児童」のみならず「子ども」という語を適宜使用することも考えられること。

 

 

 

 

-- 登録:平成21年以前 --