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日本語教育推進施策について―日本語の国際化に向けて―

平成五年七月一四日
日本語教育推進施策に関する調査研究協力者会議

日本語教育推進施策について―日本語の国際化に向けて―

[目次]

一 はじめに

二 日本語教育のあゆみ

三 日本語教育の現状

(一) 日本語学習者数の増大と学習目的の多様化

(二) 日本語教育施設

(三) 日本語教員の養成

(四) 教育内容・方法の改善、教材の開発

(五) 日本語教育に関係する機関等

(六) 海外における日本語の普及

四 日本語教育の課題と今後の方向

(一) 日本語学習者のニーズ等

[cir1 ] 就学生

[cir2 ] 留学生

[cir3 ] 外国人研修生

[cir4 ] インドシナ難民、中国帰国者

[cir5 ] ビジネスマン、研究者

[cir6 ] 外国人子女

[cir7 ] 地域における日本語教育

[cir8 ] 日本語能力試験

(二) 日本語教育施設の質的向上

(三) 日本語教員の養成の推進

[cir1 ] 日本語教員養成機関における養成の推進

[cir2 ] 日本語教育能力検定試験の改善

(四) 教育内容・方法の改善、教材の開発の推進

(五) 一体的な日本語教育施策の推進

(六) 海外における日本語教育に対する需要の増大への対応

○別添

○参考資料

日本語教育推進施策について

―日本語の国際化に向けて―

平成五年七月一四日

日本語教育推進施策に関する調査研究協力者会議


本協力者会議は、日本語学習者の増大や学習目的の多様化などを踏まえ、中・長期的観点に立った日本語教育の振興方策の検討を行うため、平成二年一一月に設置されて以来、日本語教育推進に関する諸課題について討議を重ねてきたところであるが、ここにその討議の結果を取りまとめたので報告する。

一 はじめに

我が国の経済発展、科学技術の進展及び国際社会における我が国の役割の増大を背景として、我が国に対する外国人の関心がますます高まっていることに伴い、国内外の日本語学習者数は著しく増加するとともに、その学習目的も多様化している。

特に、海外の日本語学習数は目を見張るばかりの増加傾向を示し、各国の日本語教育機関等において、一九九〇年の時点で約九八万人が学習しており、一〇年前の約二・五倍となっている。さらに、テレビ・ラジオ講座等を通じての学習者を加えると、その数は二〇〇万人とも三〇〇万人とも言われている。

国内においても、留学生受入れ一〇万人計画の進展などに伴い、日本語の学習を希望する外国人の数が急増し、平成三年一一月現在、約六三、〇〇〇人と一〇年前の約三倍となっている。また、日本語学習の目的も高等教育機関への留学や日本の文学、芸術、芸能等の研究のためのみではなく、科学技術の分野における日本との共同研究、日本におけるビジネスへの参入や技術研修、あるいは日本企業への就職のためなど極めて多様化している。さらには、日本に定住するための日本語を学習している難民、我が国の社会や学校教育に対応できるように日本語を学んでいる在日外国人子女や日系南米人などもいる。

このように、現在、世界の諸言語の中で急激な国際化に直面している言語は日本語以外にはないと言ってもよく、日本語が日本人だけのものではなくなった事態を改めて認識する必要がある。また、こうした状況は、我が国の社会が国際化する中にあって、日本語が国際社会において通用する言語、いわゆる「国際語」として認められるプロセスであるとも考えられる。

ある言語を学習しようとする場合、その言語の話されている国や民族の文化、さらに考え方を十分把握しておくことが効果的である。このことは逆に、自国に対する諸外国の永続的な理解を求めようとする場合、自国語の普及が非常に大きな手段となり得ることを物語っている。先進各国が自国語の世界への伸張に熱心で、少なからぬ財政的支援を怠ることなく続けているのはこのためであることは言うまでもない。今日、我が国は、世界第二の経済大国と言われるに至っているが、日本語の普及を含めてこれまで我が国を理解してもらうための努力が相対的に少なかったためか、日本人が何を考え、日本が今後どのような方向に進もうとしているのかなどについて、各国の理解を得られているとは必ずしも言い難い状況にある。今後、世界の中の日本として、各国、諸民族と友好的な関係を発展させていくには、今まで以上に我が国に関する情報の発信が求められており、なかでも日本人の思考の基礎となっている日本語について理解を深めてもらうための努力をする必要がある。このことにより、大きな経済力を持つに至った我が国と各国との無用の摩擦を少しでも減らすことが可能となり、世界の安定に寄与し得るものと思われる。

日本語教育については、従来、日本語学習者の増大に対応して、日本語教員の養成や日本語学習者を受け入れる教育施設の質的向上など、その基礎整備が進められてきたところではあるが、今後、我が国の社会の一層の国際化や国際社会に占める役割の増大を踏まえて、中・長期的展望に立った格段の振興が求められている。

2 日本語教育のあゆみ

我が国における戦後の日本語教育を振り返ると、昭和二〇年代に宣教師等限られた外国人を対象として大学や民間機関で発足し、昭和三七年に(社)日本語教育学会の前身である「外国人のための日本語教育学会」が創設されたが、大きな広がりを見せたのは昭和四〇年代の高度経済成長期以降であった。

昭和四〇年代半ばに入ると、日本と海外との文化交流事業の必要性が内外から叫ばれるようになり、昭和四七年に五〇億円の政府出資を受けて設立された国際交流基金は、海外における日本語の普及や日本研究の援助のほか日本文化の海外紹介をはじめ幅広い文化交流事業を推進しており、平成四年八月現在の資本金は、約九五〇億円となっている。また、国際交流基金は、特に海外における日本語教育の発展に協力する体制を強化拡充するため、平成元年七月には国内に日本語国際センターを開設したほか、現地の日本語教育を総合的に支援するため、現在までに4か所の海外日本語センターを設置したところである。

昭和四七年一一月、対外経済協力審議会が、教育内容・方法の実践的研究の促進のため、日本語教育センター的機関の早急な設置の必要性等を盛り込んだ「開発協力のための言語教育の改善について」を取りまとめ、また、昭和四九年二月には、文化庁に設けられた日本語教育推進対策調査会が、日本語教育に関する各種の充実施策を総合的かつ効率的に推進するため、日本語教育推進のための中核となる日本語教育センターの設置の必要性を盛り込んだ「外国人に対する日本語教育の推進の具体策について」の報告書を取りまとめた。さらに、同年五月、中央教育審議会は「教育・学術・文化における国際交流について」の答申の中で、日本語教育施策を総合的かつ効果的に推進する機関として日本語教育センター的な中核となる機関の設置が急務である旨の提言を行った。

これらを踏まえ、昭和五一年、日本語教育センターが国立国語研究所に設置され、外国人に対する日本語教育の質的向上及び充実を図るため日本語教育に関する研究及び研修などの関連諸事業を行ってきている。

昭和五四年三月には、文化庁に設けられた日本語教育推進対策調査会が日本語学習者の日本語能力の標準の設定と能力の測定の必要性を盛り込んだ、「日本語教育の内容・方法の整備充実に関する調査研究について」を取りまとめ、日本語学習者の日本語能力を測定することを目的とした日本語能力試験が、昭和五八年度に国内において(財)日本国際教育協会の主催により開始され、翌年度からは国際交流基金も加わり海外においても実施されている。

また、昭和五九年六月、留学生問題調査・研究に関する協力者会議がまとめた「二一世紀への留学生政策の展開について」においては、西暦二〇〇〇年における留学生の受入れ数を一〇万人まで引き上げることを想定して諸施策を講ずべきであるとし、その一環として日本語教育体制を整備することが必要であることを提言した。

日本語教員の養成については、昭和五一年三月、日本語教育推進対策調査会が文化庁長官に提出した「日本語教員に必要な資質・能力とその向上策について」の報告書の中で、日本語教員に期待される資質と能力を規定するとともに、その向上等については、日本語教員の養成・研修等の制度的、内容的改善を進める一方、将来、日本語教員の資質・能力に関して何らかの基準を設けて能力検定を行うことなども考慮すべきであることを提言した。

さらに、昭和六〇年五月、日本語教育施策の推進に関する調査研究会は、二一世紀初頭の国内における日本語学習者数を一四二、五〇〇人、さらにその教育のために必要な日本語教員数を二四、九〇〇人とする試算を行った上で、計画的な日本語教員養成機関の整備・充実策を提言した。この提言においては、国立大学に日本語教員の養成を主目的とする学科等を設けるほか、日本語教員養成の副専攻課程や民間の教員養成機関を含めた各日本語教員養成機関の目的に応じた日本語教員養成のための標準的な教育内容の基準、さらには日本語教員検定制度の必要性についても言及している。

ここで提言された日本語教員養成のための教育内容に基づいて、国立大学においては昭和六〇年度に筑波大学及び東京外国語大学に日本語教員養成のための学科等が設置されたのをはじめとして、以降、大学の教員養成学科等の整備が図られてきている。

昭和六二年四月には、日本語教員検定制度に関する調査研究会が、日本語教育に関する知識・能力が日本語教育の専門家として必要とされる水準に達しているかどうかを測るため、大学の日本語教員養成の副専攻課程レベルの知識・能力に水準を置いた日本語教員検定試験の実施についてその出題範囲など具体的な提言を行い、昭和六二年度から、外国人に日本語を教える日本語教員の専門性の確立と日本語教育の水準の向上に資することを目的とした日本語教育能力検定試験が毎年実施されている。

昭和六三年、中国・上海における就学希望者の授業料等返還問題を始めとして、日本語教育施設の在り方が社会的な問題を投げかけたことに伴い、昭和六三年一二月には、文部省の「日本語学校の標準的基準に関する調査研究協力者会議」が、日本語教育施設における授業時間数、教員数、教員の資格等の要件を定めた「日本語教育施設の運営に関する基準」を策定した。さらに、平成元年五月には、日本語教育関係者によって日本語教育振興協会が設立され(平成二年二月、財団法人化)、この「基準」に基づく日本語教育施設の審査・認定事業が開始された。

平成五年六月、国語審議会は「現代の国語をめぐる諸問題について」の報告の中で、国際社会における日本語の在り方について検討するとともに、日本語教育に対する需要の増大と多様化に伴い、指導内容、指導方法の研究開発等の推進を図るべきである旨の提言を行った。

三 日本語教育の現状

(一) 日本語学習者数の増大とその学習目的の多様化

日本語学習者は、前述のとおり飛躍的に増大しており、国際交流基金の調査によると、一九九〇年の時点で、韓国、中国、オーストラリア、インドネシア、米国など海外七八か国で九八一、四〇七人となっている。これは二〇年前と比較すると約一七倍に増加しており、特に、最近一〇年間で約五八万人も急増している。また、学習者層については、初等・中等教育及び高等教育機関の学生が圧倒的に多いものの、様々なレベルで日本語を学習する人々が増えている状況にある。

国内における日本語学習者数は、文化庁国語課の調査によると、平成三年一一月現在で六二、八九五人となっており、主として日本語教育施設における日本語の学習を目的として我が国に滞在する就学生や大学、大学院、短期大学、高等専門学校及び専修学校の専門課程で学ぶ留学生をはじめ、外国人研修生、インドシナ難民、中国帰国者、ビジネスマン、研究者など様々な学習者がいる。このほかに公立学校等において外国人子女が日本語を学習している。これらの者は、各々の学習目的を持ち、それぞれに密接な関係を有する施設等において日本語の学習を行っている。

今後の日本語学習者数あるいは学習希望者数は、外国人の入国・在留管理及び外国人労働者等に関連する施策などの諸要因により大きく影響を受けることから、正確に予測することは困難であるが、留学生一〇万人計画の進展や外国人技能実習制度の展開、さらに日本の国際社会における地位の向上等を考慮すると、一層増加することが予想されるので、適切な対応が求められる。

なお、これら国内外の日本語学習者数の増加傾向については、日本語学習者の能力を判定する「日本語能力試験」の受験者数の伸び率(過去五年間平均三〇%増)にも顕著に現れている。ちなみに、平成四年度の実施状況は、国内四都市、応募者三三、二二二人、合格者一六、二七二人、海外二四か国・地域、五二都市、応募者四七、四一九人、合格者二二、六七九人となっている。

本試験は、聴解、読解・文法、文字・語彙の内容で出題され、学習時間に応じて四段階を設定し、毎年一回実施されているが、日本語学習者や大学等関係者から試験回数の複数化が強く求められている一方、さらに日本語教育関係者からは上級又は下級の段階の創設等についても要望が出されている。

(参考) 日本語学習者数の推移



(二) 日本語教育施設

文化庁の調査によると、平成三年一一月現在の国内における日本語教育機関・施設数は、八八二と一〇年前の約三倍に増加しており、このうち、留学生対象の大学等が四一三、就学生やビジネスマン等を対象とする一般の日本語教育機関・施設が四六九となっている。

就学生を対象とする国内の日本語教育施設は、専修学校や各種学校のようにそれぞれの公的な設置基準により設立されたものも一部あるが、ほとんどが個人や株式会社などの民間の事業体により任意に設立されたものであった。このため、比較的自由に運営に当たっていたが、昭和六〇年代に入っての学習者の急激な増加を背景として、これらの施設の中には、教育水準や経営に問題があると指摘されるものも見受けられるようになった。このような状況にかんがみ、教育的な観点に立って、日本語教育施設の質的向上を図り、真に日本語の学習を希望する外国人が安心して日本語を学習できるような環境を整備することが緊急の課題となったため、前述のとおり昭和六三年一二月、日本語教育施設として備えるべき要件を定めた「日本語教育施設の運営に関する基準」が策定された。さらに平成元年五月には、日本語教育振興協会が設立され、この「基準」に基づく日本語教育施設の審査・認定事業をはじめ日本語教育施設要覧の作成、研修会の開催等日本語教育施設の充実・発展を図るための事業が実施されている。

(財)日本語教育振興協会によって認定された現存の日本語教育施設は、平成五年三月末現在四三三施設、収容定員数は合計約七一、〇〇〇人となっており、首都圏に集中しているきらいはあるものの量的な面での受け皿は整っている。これらの施設において、約三六、〇〇〇人の就学生が日本語を学習しているが、最近、社会環境の変化等に伴い、各施設の経営は厳しい状況となっている。

(三) 日本語教員の養成

国内の日本語教員の養成は、特に昭和六〇年五月に出された日本語教育施策の推進に関する調査研究会の報告「日本語教員の養成等について」により日本語教員養成のための具体的な教育内容が提示されて以降順調に推移しており、文化庁国語課の調査によれば、平成三年一一月現在、国公私立の大学学部における日本語教員養成課程・コース等は七四機関(コース)、同じく大学院は一一機関(コース)、短期大学は一二機関(コース)に設けられている。これらの機関(コース)において、日本語教育に関わる理論的、実践的研究が関連領域の研究とともに進められてきており、平成三年度における受講者数は、一二、七一四人となっている。

さらに、大学以外の一般の日本語教員養成機関(平成三年一一月一日現在、六八機関、受講者数五、三七一人)においても、様々な形態により教員養成のための講座・コース等が設けられており、教員養成の一翼を担っている。

外国における日本語教員の養成については、留学生が帰国して母国の日本語教員になっているのに加え、海外の大学等においても日本語教員の養成が取り組まれ始めているほか、国際交流基金が平成元年に設置した日本語国際センターにおいて海外の日本語教員を対象とした研修・再研修が行われている。

日本語教員の養成とともに、日本語教員の資質・能力の判定は極めて重要なものであり、その資質・能力を判定するものとして、昭和六三年一月から(財)日本国際教育協会によって実施されている「日本語教育能力検定試験」を位置付けることができる。同試験の出題範囲は日本語学、言語学、日本語教授法、日本事情にわたり聴解も含まれている。同試験の過去五回の実施状況を見ると、一回の平均受験者数は約五、〇〇〇人、合格者数はほぼ一、〇〇〇人となっており、この傾向で推移すると二一世紀初頭には本試験による合格者数の合計は一〇、〇〇〇人を超えることになる。

(四) 教育内容・方法の改善、教材の開発

各大学等においては、学術的な研究成果と留学生に対する実践的な教授活動から生み出された理論・技術を基盤にして、教育内容・方法の改善及び教材の開発が行われている。

昭和五一年度以降、国立国語研究所に設置された日本語教育センターにおいて、日本語教育の教授法等に関する基礎的な研究のほか、日本語学習辞典、日本語教育映像補助教材等各種の日本語教育の教材の開発が行われている。

また、昭和六一年度以降、東京外国語大学の留学生日本語教育センター(平成四年度に、同大学の留学生教育教材開発センターを発展的改組)は、同大学旧附属日本語学校の二〇年余にわたる教育現場の成果を生かしつつ、学内外の教科の専門家と日本語担当教官がプロジェクトを組み、協力して各種の教材開発に当たっている。

さらに、平成元年七月に開設された国際交流基金日本語国際センターにおいても、各国の要望に応じた日本語教育用の教材開発に当たるとともに、海外における教材制作に対する助成や教材の寄贈を行っている。

一方、文部省及び文化庁は、大学や日本語教育機関等に日本語教育の内容・方法の改善等の研究開発を委嘱している。

これら以外にも、(社)日本語教育学会やその他多くの日本語教育機関等が、それぞれの分野で自主的に教育内容や方法等の改善のための調査研究や教材の研究開発に当たっているほか、民間の日本語教育施設においても主任教員が中心となって教育現場の経験を生かして、教材開発を行っているところも見受けられる。

このように、教材開発については様々な機関で研究されており、国内において入手可能な教材は、現在では主だったものでも七〇〇点以上ある。

(五) 日本語教育に関係する機関等

日本語教育に関係する機関等には文部省、文化庁、外務省、法務省、国立国語研究所などのほかに、海外における日本語普及や日本語能力試験を担当する国際交流基金、国内における日本語能力試験や日本語教育能力検定試験などを実施する(財)日本国際教育協会、日本語教育施設の審査・認定等を行う(財)日本語教育振興協会などがあるが、その他に特定の対象者に対して日本語教育を行う(財)中国在留孤児援護基金、(財)アジア福祉教育財団、(財)海外技術者研修協会、日本貿易振興会及び国際協力事業団、さらに各大学や民間の日本語教育施設等多種多様な日本語教育関係機関がある。

文部省及び文化庁は、外国人に対する日本語教育についての施策等について、主な日本語教育機関の代表者等による協議を行うため、日本語教育機関連絡協議会を毎年開催している。また、日本語教育施設の審査・認定事業等に当たっている(財)日本語教育振興協会の運営に関し、文部省、法務省及び外務省の関係省は、定期的な連絡協議を行う場を設け、その指導に当たっている。

一方、大学においても日本語教員養成の学科等教育研究体制の整備が徐々に進むに伴い、日本語教育の実践及び日本語教員の養成をめぐって大学関係者の横断的・自主的な組織である大学日本語教員養成課程研究協議会などが生まれ、研究連絡体制が確立されつつある。また、(社)日本語教育学会は、約三、五〇〇人の会員を擁するに至り、研究集会や研究講演会も盛んになるなど日本語教育関係者相互間の情報交換も活発になってきている。

(六) 海外における日本語の普及

海外における日本語学習熱の高まりと学習目的の多様化については著しいものがあるが、各国の関係者から我が国に対して、様々な日本語教育に関する要請が寄せられている。最近、米国やオーストラリア、ニュージーランドなどの初等・中等教育段階の学校の一部で日本語が正規の科目として導入されていることに伴い、若手の日本語教育専門家を求める声が高まっている。

前述のとおり、国際交流基金日本語国際センターは、主として外国人の日本語教員の研修事業、日本語教材の作成・寄贈及び情報収集やネットワーク作り等の事業の充実を図るほか、従来実施されてきた海外の日本語教育機関への日本語専門家の派遣に加えて、平成二年から海外の高等学校へ若手の日本語専門家を助手として派遣し、現地の日本語教育に協力する青年日本語教師派遣計画(TAP計画)を実施している。また、平成四年度には、同基金日米センターが、米国の高等学校を中心とする初等・中等教育機関へ若手の日本語専門家をティーチング・アシスタントとして派遣する計画(JALEX計画)を発足させている。

文部省においても、海外における日本語学習需要に対応し、我が国の学校教育の国際化と地域レベルの国際交流を促進するため、中・高等学校教員を海外の中途教育施設に派遣し、日本語教育に従事させる外国教育施設日本語指導教員派遣事業(REX計画)を平成二年度から実施している。派遣教員は、派遣先の所属長の指揮監督の下に、日本語授業の担当、日本の文化や社会の紹介等を行っている。また、海外の日本人学校及び補習授業校の中には、国際学級を併設し、現地の人々を対象とした日本語教育を行っているものもある。

さらに、国際協力事業団においても、昭和四〇年代からの青年海外協力隊派遣事業などを通じて日本語教師や指導的教員を海外に派遣するほか、現地日本語教師等を招へいし、研修等を行っている。また、民間の各種の国際交流団体の中にも、日本語教員派遣等の日本語教育関連事業を行っているところがある。

四 日本語教育の課題と今後の方向

(一) 日本語学習者のニーズ等

国内外において実際に日本語を使用している外国人が、どのような場で、どのような日本語を使っているのか、また、どのような日本語が求められているのかなどについての実態を適切に把握する必要がある。

このため、従来の調査を一層充実するとともに、日本語に関する総合的な調査研究を推進し、個々の日本語学習者の学習目的に応じた日本語教育の推進方策を確立することが必要である。

[cir1 ] 就学生

真に日本語の学習に励もうとする就学生については、これを積極的に受け入れ、質の高い学習の機会を提供していくことが必要である。就学生の多くは、我が国の大学等への進学を目的として日本語教育施設において日本語を学習しているが、なかには日本語そのものの学習を目的としている者も見受けられる。このため、就学生を留学のための準備教育を受けている者としてのみ捉えるのではなく、留学生と並ぶ我が国の良き理解者として位置づけ、安心して学習できる環境をつくることが必要である。一方、就学生の一部の者による過度のアルバイトなどが社会的な問題を惹起しており、我が国における日本語教育の健全な発展のためにも、入学段階でまじめに日本語の学習を希望している者のみを受け入れるよう努力することが肝要である。

その方法としては、就学生が日本語教育施設に入学する条件として一定水準の日本語能力を身に付けておくことを要求することも考えられる。ただし、そのためには、海外における日本語の普及を一層推進する必要がある。

真に日本語を学習する意欲のある者に対して勉学意欲の高揚を図るため、次のような措置を講じる必要がある。

ア 就学生として、日本語教育施設に入学するための要件として、例えば五〇~六〇時間程度の学習を必要とする日本語能力を有することを求めることの実現可能性について検討する。

イ 大学等への入学を条件として学習奨励費の支給を予約する制度など、優秀な就学性に対する支援方策を検討する。

ウ 大学等への進学を希望する就学生に対して、我が国の大学等に関する情報を提供する進学説明会を開催する。

エ 海外から日本国内にある日本語教育施設に入学しようとする者に対し、日本における学習環境や生活環境、資格外活動の許可の範囲など就学に係る正確な情報の提供に努める。

[cir2 ] 留学生

留学生が我が国において真に充実した教育・研究指導を受けるためには、入学前の予備教育としての日本語教育と入学語の日本語教育の有機的な運携が極めて重要である。

正規の課程への入学前の日本語教育については、現地での日本語教育と入国後の予備教育に分けることができる。後者については、国立大学の留学生センターや公・私立大学の留学生別科などにおいて日本語教育が行われれているが、その教育内容の一層の充実が望まれる。また、留学生の中には短期に集中的に日本語を学習することを希望する者もいる。一方、前者については、現地教育機関との連携などにより、我が国への留学準備のために必要となる日本語について、入国後の予備教育との連続性にも配慮しつつ、その教育体制の整備を図る必要がある。

大学等への入学後においても、各大学において日本語能力が不足している留学生に対する補講の実施や「日本語・日本事情」の学科目を開設しているが、個人の日本語教育のニーズと提供される日本語教育の内容が一致しない場合や、学習者に便利な時間に日本語学習時間が設定されていない場合が見受けられる。留学生の日本語能力の一層の向上のため、大学等においては、次のような配慮が求められる。

ア 留学生の母語、専門分野、留学前における日本語学習経験を勘案しつつ、留学生が備えるべき必要最低限の日本語能力の洗い出しを行うとともに、その望ましい到達度の水準・ガイドラインの設定やその評価の方法を検討する。

イ 入学前の予備教育としての日本語教育と入学後の「日本語・日本事情」の教育や専門分野の教育とが有機的に関連するようなシステムを確立する必要がある。

ウ 大学院生や学部生等のうち、日本語能力が不足している者が補足的・補習的に日本語が受講できるような柔軟な体制をより一層整備する必要がある。

[cir3 ] 外国人研修生

外国人研修生に対する日本語教育については、職場内研修又は企業から委託を受けた日本語教育施設において行われている。これらの者は、職場において当面必要な日本語を習得することが目標であり、受講時間数も五〇時間から一〇〇時間と比較的に少ない学習時間が中心であると思われるが、一定期間、我が国社会における円滑な日常生活を営むものにも十分な日本語教育は必要不可欠のものであり、また、これらの者にとって、技術のみならず滞日を機にある程度の日本語能力を身に付けることは、我が国に対する理解を深めてもらう上からも有意義なことである。このため、外国人研修生にとって必要となる日本語能力の効果的な教育内容・方法について検討をすすめる必要がある。

[cir4 ] インドシナ難民、中国帰国者

インドシナ難民で定住を希望する者については定住促進センターにおいて、また、中国帰国者については定着促進センターにおいてそれぞれ四か月間の日本語教育と生活指導が行われているほか、退所後においても引き続き日本語の学習を継続することを希望する者に対する教材の提供などの支援が行われている。

インドシナ難民や中国帰国者の学習ニーズを踏まえて、これらの者に対して引き続き支援する必要がある。

[cir5 ] ビジネスマン、研究者

我が国の企業などで働く外国人ビジネスマンにとって、商談を円滑に進め社内におけるコミュニケーションを十分図るために日本語は極めて重要なものであり、各企業においても日本語の研修が行われているほか、各自が日本語教育施設において学習している状況にある。

また、我が国の科学技術水準の向上に伴って、わが国の研究機関で研究に従事する外国人研究者が増加しており、文部省と米国科学財団(NSF)との間で科学日本語の教育方法・教材に関する共同研究などが行われたほか、日本学術振興会が受け入れる外国人研究者のうち希望する者に対して日本語教育施設に委託して日本語研修が行われている。

これらの者にとって、我が国におけるそれぞれの目的に対応した活動を円滑かつ効果的にするため、日本語の運用能力を高めあるいは教育研究に必要な専門分野に係る日本語能力の向上を引き続き図るための日本語教育が必要である。

[cir6 ] 外国人子女

外国人子女については、公立の義務教育諸学校への就学を希望する場合には受け入れることとしており、学校の実情に応じ日本語の特別な指導が行われている。これら外国人子女の増加に伴い、学校に教員の加配や教材の作成配付などの施策を講じているところであるが、これの施策を一層推進するとともに、日本語指導担当教員に対する研修の充実並びに教員採用時における日本語教員養成課程の修了者や日本語教育能力検定試験の合格者の登用も望まれる。

[cir7 ] 地域における日本語教育

我が国の国際化の進展に伴い、外国人配偶者や日系南米人、その他外国人が地域社会で生活するようになってきており、これらの者が円滑に地域における生活に溶け込むことができるように、積極的な日本語学習の機会の提供が求められている。一部の地方自治体、ボランティア団体などにより日本語教室が開設されるなど除々に学習機会の提供が行われるようになってきているが、未だ十分とは言えない状況であり、今後一層の進展が望まれる。また、ボランティア等が日本語教授法等の基礎的な知識・技能を身につけることができる機会を提供することが望まれる。

[cir8 ] 日本語能力試験

日本語学習者の学習の到達度を的確に測定し、日本語学習者に対する効果的な教育の在り方を検討する観点からも、「日本語能力試験」は極めて重要なものである。また、今後、日本語の国際化に伴い、この試験を私費外国人留学生の大学入試時の評価以外にも各種の採用試験や資格要件等の一つとして一層活用するなどその使途範囲の拡大により、本試験の需要は増大するものと考えられる。

これらの状況に適切に対応するためには、「日本語能力試験」との実施機関である(財)日本国際教育協会及び国際交流基金は、国立国語研究所などの協力を得て、試験問題の作成方法などの改善を図るとともに、実施回数の複数化、時期、方法等について検討することが必要である。

(二) 日本語教育施設の質的向上

日本語教育施設は、外国人の日本語学習の場として国際交流の観点から重要な役割を担っている。これらのうち、(財)日本語教育振興協会によって認定された教育施設は、そのほんどんが留学の準備段階の教育施設としての機能を持っている。これらの施設は、量的な面では整備されているが、質的な面での充実については、同協会の認定事業等が開始されてから日が浅いこと、規制を急激に厳しくしていくことの難しさや民間の教育事業としてその自主性に委ねられてきた背景の下で施設の充実を図つていくことの難しさ等から、一部の施設についてはその質的向上が十分図られているとは言い難い面もある。

特に、最近、経営困難のため廃校するものも出ていることや一部の日本語教育施設では経営上の不祥事を起こしたり、就学生の不法就労の「かくれみの」になっているとの厳しい指摘を未だ受けているところもある。

これらに対応し、日本語教育施設の運営を適正にするためには、法務省における入国・在留管理のより一層の適正化を図るとともに、(財)日本語教育振興協会における従来の審査・認定事業の経験を十分に生かして、日本語学校の標準的基準に関する調査研究協力者会議が昭和六三年一二月二三日に取りまとめた「日本後教育施設の運営に関する基準」(以下「運営基準」という。)を見直し、この事業を一層厳正かつ適切に実施する必要がある。また、同協会の基盤整備と日本語教育施設の質的向上を図るための各種事業の充実が必要である。

ア 現行の「運営基準」については、策定後四年を経過しており、前記の問題をを踏まえて、日本語教育施設の適正な運営を確保するため、左記の観点から設置者及び主任教員の資格要件などを中心に改訂を加え、別添のとおりとすることが適当である。

a 設置者の資格

適正な日本語教育を提供するために、施設運営の適切性、継続性及び社会的信用性を確保する必要がある。そのため、新たに日本語教育施設を設置しようとする者に対しては、より一層適切な施設の運営を確保するため、より厳密な経済的基礎を備えることを義務付ける必要がある。

また、過去に日本語教育施設の廃校又は認定の取消しの措置を受けたことのある者については、一定の期間を経なければ、新たな日本語教育施設の設置に当たっての申請を認ないことを明確にする必要がある。

b 主任教員等の資格

現行の運営基準においては教育課程の編成の中心となる「主任教員」に関する規定はないが、各施設における教育内容の充実と教員の資質向上の観点から必ず配置することが適当であるので、その役割の重要性にかんがみ、「主任教員」の配置について明記する必要かある。

c 同時に授業を行う生徒数

日本語教育施設における授業は会話等表現活動を中心とした教育内容である点にかんがみ、「一クラス当たり二〇人以下とする」旨明記する必要がある。

イ (財)日本語教育振興協会が行う日本語教育施設の質的向上を図るための事業の重要性にかんがみ、同協会に対する支援の一層の拡充を図る。

さらに、我が国における日本語教育の均衡ある振興を図る観点から、就学生以外のビジネスマンや短期学習者等を対象とした日本語教育施設についてもその実態を把握し、その果たすべき役割を明確にするとともに、教員組織や教育内容等について何らかの基準を設定することなどを含め、中・長期的に検討する必要がある。

(三) 日本語教員の養成の推進

[cir1 ] 日本語教員養成機関における養成の推進

日本語教員の養成については、養成課程・コース等を設ける大学及び日本語教員機関は着実に増加し、教員養成の量的拡大は進んできているが、教育実習を含めた教育内容について十分でないものも見受けられる。一方、一部大学などにおいては、日本語教育と隣接する分野の教員の充当などによる応急的措置がとられているような状態が続いているところもあるので、今後、日本語教員の養成に当たる指導的教員の育成に重点を置くことも必要である。

また、大学における留学生の増加や留学生の出身地域の拡大への対応という観点からも、現職日本語教員の教育能力向上のほか、他分野の教員などに日本語教育に関する理解を一層深めてもらうことが大切であると考えられる。

さらに、日本語学習者の目的の多様化に対応するためには、大学のみならずそれ以外の日本語教員養成機関の役割についても十分配慮し、これらの充実に努める必要がある。

ア 大学や一般の日本語教員養成機関における教育の実態について調査し、日本語教員養成機関の教育実習を含めた教育内容の在り方等について検討する。

イ 現職の日本語教員の能力向上を図るため、国立国語研究所など関係機関で行われている研修の充実を図る。

[cir2 ] 日本語教育能力検定試験の改善

日本語教員としての知識・能力の有無を判定する日本語教育能力検定試験は、日本語教員の資質の向上を図るのみならず、日本語教員の専門性の確立と社会的地位の向上を図る上で重要な役割を果たすものとなってきている。

この試験については、一部の関係者から出題範囲について検討すべき点がある旨の指摘や日本語教員としてのより高度な教育能力を測るための試験、さらに外国人用の特別の試験などを求める声があるが、この試験が緒についたところであり、また、この試験の内容は、大学や一般の日本語教員養成機関の教育課程と密接に連動することとなっているため、現時点における急激な変化は好ましくないと考えられる。しかし、今後の日本語学習ニーズの多様化や日本語教育学の進展に対応して、将来的に本試験の内容について検討していく必要があると考えられる。

また、優秀な日本語教員の日本語教育施設への受入れ及び海外への派遣を可能にするため、大学等における日本語教員養成の状況も踏まえて、本試験の実施時期等についても検討する必要がある。

(四) 教育内容・方法の改善、教材の開発の推進

日本語学習者が多様化している現在、日本語の教育内容に関してその対象に応じた標準的な指針を作成することが必要であり、これをもとに個々具体的な状況により弾力的な対応を行うことが期待される。

特に、米国をはじめ諸外国からは初等・中等教育課程における日本語教育の教育内容・方法及び教材の開発等の援助が求められており、相手国の事情を十分に把握したうえでの共同研究・開発の推進が望まれる。

国内に在住する外国人の数が増加し、その国籍や母語の種類が著しく増加している。また、居住する地域が近年特に全国的に広がる傾向を見せ、各地域ではこれらの外国人の日本社会への適応を容易にするために、地方自治体や民間の国際交流団体が支援の方法を摸索している。このため、学習者のニーズ、地域的な条件・環境を考慮した日本語教育の在り方と学習内容の検討が求められている。

これまで、日本語教員養成課程を有する大学、東京外国語大学留学生日本語教育センター、国立国語研究所及び国際交流基金などの関係者が中心となって教育内容・方法の改善、教材の開発や教材分析等の研究などを行っているが、学習者のニーズや教育現場の多様な要請に対応できるように、これらの事業の一層の充実を図る必要がある。また、最近、録音技術や映像技術の進歩、パソコン使用の一般化により新しい教材開発が可能となっており、これらの開発の一層の促進も求められている。

日本語教育に関する研究については、科学研究費補助金の分科細目の一つに「日本語教育」が平成五年度から設定されるなどの進展をみているところであるが、日本語教育に係る教育内容・方法の改善や教材の開発等については、言語学のみならず情報工学、電子工学などの他分野の研究者を含めた総合的な研究を推進するとが望まれる。

ア 学習者のニーズ、学習段階に応じた標準的な教授項目(シラバス)の作成や教授方法の形成に努める必要がある。

イ 学習者の母語の特性及び日本語学習の目的に応じた教材の研究・開発に努める必要がある。

ウ 国内外の日本語教育関係者が、教育内容・方法や教材などの情報を容易に入手できる方法を検討する必要がある。

(五) 一体的な日本語教育施策の推進

我が国における外国人の増大や海外における日本語教育に対する需要の増大等に対応して、日本語教育に関係する機関も多様なものとなっている。日本語教育を効果的に実施するためには、これらの機関が相互に連絡調整を行い一体的な施策を進めることが望まれるが、そのためにも中核的な機関の育成が必要である。

国立国語研究所日本語教育センターは、「二 日本語教育のあゆみ」でも述べたように、日本語教育施策を総合的かつ効果的に推進する機関として、昭和五一年に設立され、以来教育内容・方法の研究、教材の開発、教員の研修、情報資料の収集・提供等を行っている。多様化しかつ増加している日本語教育機関の教育研究面の指導・援助要請に応えるため、我が国における日本語教育の中核的な機関として同センターのより一層の充実を図る必要がある。

(六) 海外における日本語教育に対する需要の増大への対応

我が国に対して日本語教育の専門家派遣や研修等のための受入れ、教材開発などに関する協力が求められている今日、これらの需要に適切に応えることは我が国の責務である。これらの需要の増大に対応する方法として、日本人を日本語教員として派遣する方法と、その国の人を日本語教員として育てる方法があるが、日本語教育をそれらの国に根付かせるためには、各国の日本語教員の育成が求められる。

前者については、現地において多くの外国人が直接日本人の日本語に接する機会が多くなるほか、派遣されるのが大学及び中学校・高等学校等に所属する教員の場合、教員の国際性の涵養の上からも有意義である。

後者については、高度な専門性を持った外国人の指導的・中核的な日本語教員を養成するため、「日本文化・日本事情」、「日本語教授法」及び「日本語教材開発」などに関する教育研究を日本ばかりでなく現地の大学等で推進することが望まれる。

また、平成二年現在、海外における日本語教員は約一三、〇〇〇人となっており、そのほとんどが外国人の教員であることを考慮すれば、これらの者に対して適切な日本語指導方法に関する情報を提供するなど、きめ細やかな支援が求められている。さらに、海外におけるより一層の日本語の普及を考えた場合、衛星放送の積極的な利用も将来的に検討されてしかるべきであろう。

ア 外国人日本語教員の育成に関しては、国際交流基金の研修事業の充実を図るとともに、現行の留学生制度の「日本語・日本文化研修留学生」など日本語教育に関連する新規採用数を拡充するなど、大学等への受入れ数を増加させる必要がある。

また、これらの者が帰国後、当該国において活躍できるように博士号の授与の円滑化等を含めた人材養成や継続的な支援方策を併せて検討する必要がある。

イ 海外への日本語教員の派遣を抜本的に拡充するとともに、日本語教員を組織的、継続的に海外へ派遣できるように、海外派遣日本語教員希望者登録制度などを検討する必要がある。

別添

(一) 「日本語教育施設の運営に関する基準について」

(日本語教育推進施策に関する調査研究協力者会議)

(二) 「日本語教育施設の運営に関する基準について」(新旧対照表)

二 「日本語教育施策に関する調査研究について」(事務次官裁定、名簿)

三 日本語教育推進施策に関する調査研究協力者会議の経過(会議開催状況)

日本語教育施設の運営に関する基準について

(趣旨)

1 この基準は、日本語の学習を主な目的として来日し滞在する外国人を対象に日本語教育を行う教育施設(以下「日本語教育施設」という。)がその目的を達成するために備える必要があると考えられる要件を明らかにし、もって我が国における日本語教育施設の質的水準の向上に資することを目的とする。

(修業期間)

2 日本語教育施設の修業期間は、一年以上とする。ただし、必要に応じ、六か月以上とするものとする。

(学年の始期及び終期)

3 日本語教育施設の学年の始期及び終期は、各日本語教育施設においてその規則で定めるものとする。

ただし、学年の始期は原則として二度までとするものとする。

(授業時数)

4 日本語教育施設の授業時数は、一年間にわたり七六〇時間以上で、かつ、一週間当たり二〇時間以上とするものとする。

(生徒数)

5 日本語教育施設の収容定員は、教員数、施設及び設備その他の条件を考慮して、当該日本語教育施設の規則で定めるものとする。

(同時に授業を行う生徒数)

6 日本語教育施設において、日本語の一の授業科目について同時に授業を行う生徒数は、二〇人以下とするものとする。

(授業科目)

7 日本語教育施設においては、日本語学習の目的に応じて日本語教育を施すにふさわしい授業科目を開設するものとする。

(教員数)

8 日本語教育施設には、校長、主任教員及び次の表に定める数の教員(主任教員を含む)を置くものとする。


生徒定員の区分

教員数

生徒数60人まで

3

生徒数61人以上

3+((生徒定員"60)/30)

[cir2 ] 前項で必要とされる教員の数の二分の一以上は、専任の教員(常勤の校長が教員を兼ねる場合は、当該校長を含む。)であることが望ましいが、当分の間三分の一以上とするものとする。ただし、専任教員は最低二人以上とするものとする。

[cir3 ] 校長が一〇に規定する主任教員の資格を有する場合、校長は主任教員を兼ねることができるものとする。

(校長の資格)

9 日本語教育施設の校長は、教育に関する職見を有し、かつ、教育、学術又は文化に関する業務に原則として五年間以上従事した者であるものとする。

(主任教員の資格)

10 主任教員は、日本語教育に関する教育課程の編成など教育的知識・能力を備えた者とし、常勤の日本語教員又は日本語研究者として三年以上の経験を有する者であるものとする。

[cir2 ] 主任教員は専任教員のうちから選任するものとする。

(教員の資格)

11 日本語教育施設の教員は次の各号の一に該当するものとする。

一 大学(短期大学を除く。)において日本語教育に関する主専攻(日本語教育科目四五単位以上)を修了し、卒業した者

二 大学(短期大学を除く。)において日本語教育に関する科目を二六単位以上修得し、卒業した者

三 日本語教育能力検定試験に合格した者

四 次のいずれかに該当する者で日本語教育に関し、専門的な知識、能力等を有するもの

(一) 学士の学位を有する者

(二) 短期大学又は高等専門学校を卒業した後、二年以上学校、専修学校、各種学校等(以下「学校等」という。)において日本語に関する教育又は研究に関する業務に従事した者

(三) 専修学校の専門課程を修了した後、学校等において日本語に関する教育又は研究に関する業務に従事した者であって、当該専門課程の修業年限と当該教育に従事した期間とを通算して四年以上となる者

(四) 高等学校において教論の経験のある者

五 その他これらの者と同等以上の能力があると認められる者

(校長・教員の欠格事由)

12 日本語教育施設の校長又は教員となる者は次の各号に該当する者ではないものとする。

一 禁治産者又は準禁治産者

二 禁固以上の刑に処せられた者

三 教員免許状取上げの処分を受け、二年を経過しない者

四 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者

五 外国人の入国又は在留に関する不正行為を行い、三年を経過しない者

(位置及び環境)

13 日本語教育施設の位置及び環境は、教育上及び保健衛生上適切なものであるものとする。

(校地)

14 日本語教育施設には、その教育の目的を実現するために必要な校地を備えるものとする。

(校舎)

15 日本語教育施設には、その教育の目的を実現するために必要な校舎を備えるものとする。

(校舎の面積等)

16 日本語教育施設の校舎の面積は、同時に授業を行う生徒一人当たり二・三m2以上とするものとする。ただし、一一五m2を下回らないものとする。

[cir2 ] 日本語教育施設の校舎には、教室、教員室、事務室、図書室、保健室その他必要な附帯施設を備えるものとする。

[cir3 ] 日本語教育施設の教室は、同時に授業を行う生徒数に応じ、必要な面積を備えるものとする。

(設備)

17 日本語教育施設は、生徒数などに応じ、必要な種類及び数の視聴覚教育機器、図書その他の設備を備えるものとする。

(設置者)

18 日本語教育施設を設置する者は、国及び地方公共団体のほか、次の各号に該当する者とする。

一 日本語教育施設を経営するために必要な経済的基礎を有すること。

二 設置者(法人の場合は、当該日本語教育施設の経営を担当する役員とする。)が日本語教育施設を経営するために必要な知識又は経験を有すること。

三 設置者(法人の場合は、当該日本語教育施設の経営を担当する役員を含む。)が社会的信望を有すること。

[cir2 ] 次の各号に該当する者(法人の場合は、当該日本語教育施設の経営を担当する役員を含む。)は、設置申請できないものとする。

一 申請時において、過去三年以内に日本語教育施設の審査事業の認定に関する規程(平成元年一〇月三日文部省告示第一三九号)第一条第一項の規定に基づき認定を受けた審査等事業を実施する公益法人(以下「認定法人」という。)から日本語教育施設の認定の取消しを受けた者又は廃校をした者

二 一二に規定する校長・教員の欠格事由の各号に該当する者

(経営の区分)

19 日本語教育施設の経営は、その設置者が認定法人の認めた日本語教育施設以外の事業を行う場合には、その事業の経営と区分して行われるものとする。

(生活指導担当者)

20 日本語教育施設には、生活指導担当者を置くものとする。

[cir2 ] 生活指導担当者は、生徒の生活指導及び進路指導に関する知識を有するとともに、一二に規定する校長・教員の欠格事由の各号に該当しない者であるものとする。

(健康管理)

21 日本語教育施設は、生徒の入学後できるだけ早期にその健康診断を行うものとし、一年経過後、再度健康診断を行うよう努めるものとする。

(名称)

22 日本語教育施設の名称は、日本語教育施設として適当なものであるものとする。

(規則)

23 日本語教育施設は、その規則を定め、少なくとも次の事項を記載するものとする。

一 修業期間、学年、学期及び授業を行わない日に関する事項

二 教育課程、学習の評価及び授業日時数に関する事項

三 収容定員及び教職員組織に関する事項

四 入学資格に関する事項

五 授業料、入学料、その他の費用徴収に関する事項

六 寄宿舎に関する事項

七 その他必要な事項

(附則)

14(校地)、15(校舎)の規定の適用については、新規申請の日本語教育施設に限るものとし、従前の基準により認定を受けた日本語教育施設の更新申請又は変更申請についてはなお従前の例によるものとする。

<従前の例>

(校地)

日本語教育施設には、その教育の目的を実現するために必要な校地を備えることが望ましい。

(校舎)

日本語教育施設には、その教育の目的を実現するために必要な校舎を備えるものとする。ただし、校舎の自己所有が困難な場合には、賃借権が適切に設定され教育施設として安定的に確保されているものとする。

〔留意事項〕

なお、この日本語教育施設の基準に示したもののほか、日本語学校の質的水準の向上の観点から、本協力者会議が留意すべきであると考えた点は次のとおりである。

一 昭和六〇年五月一三日付の「日本語教員の養成等について」(日本語教育施策の推進に関する調査研究協力者会議)及び昭和六二年四月一〇日付の「日本語教員検定制度について」(日本語教員検定制度に関する調査研究会)の両報告でそれぞれ示されているとおり、日本語教育には国際的感覚と幅広い教養、豊かな人間性、日本語教育に対する自覚と情熱、日本語教育に関する専門的な知識・能力などが求められていること。特に、日本語教育施設においては、その専任教員の採用に当たって大学の学部における日本語教員養成の主専攻課程又は副専攻課程を修了した者や日本語教育能力検定試験の合格者などの確保についての配慮が望まれること。

二 日本語教育施設における教育課程の編成に当たっては、現在、(財)日本国際教育協会及び国際交流基金が共同して実施している「外国人日本語能力試験」の級別認定基準の各項目を参考とすること。

三 日本語教育施設においては、その対象とする外国人の多くが、日本の事情等を十分に理解するに至っていない者であることを考慮し、生活指導を含め十分な配慮の下にその教育を行う必要があること。

四 日本語教育施設における一日当たりの授業時間数については、その対象とする外国人の主たる来日目的が日本語の学習であることを考慮して、適切に配当すること。

「日本語教育施設の運営に関する基準について」新旧対照表(改訂部分)


日本語教育施設の運営に関する基準について(新)

日本語教育施設の運営に関する基準について(旧)

(同時に授業を行う生徒数)

6 日本語教育施設において、日本語の一の授業料科目について同時に授業を行う生徒数は、20人以下とするものする。

(同時に授業を行う生徒数)

6 日本語教育施設において、一の授業科目について同時に授業を行う生徒数は、会話等表現活動を中心とする授業科目については、20人以下が望ましい。その他の授業科目については原則として40人以下とするものとする。

(教員数)

8 日本語教育施設には、校長、主任教員及び次の表に定める数の教員(主任教員を含む)を置くものとする。

(教員数)

8 日本語教育施設には、校長及び次の表に定める数の教員を置くものとする。

[cir3 ] 校長が10に規定する主任教員の資格を有する場合、校長は主任教員を兼ねることができるものとする。

[cir3 ] 追加

(校長の資格)

9 日本語教育施設の校長は、教育に関する職見を有し、かつ、教育、学術又は文化に関する業務に原則として5年間以上従事した者であるものとする。

(校長の資格)

9 日本語教育施設の校長は、教育に関する職見を有し、かつ、教育、学術又は文化に関する業務に相当期間従事した者であるものとする。

(主任教員の資格)

10 主任教員は、日本語教育に関する教育課程の編成など教育的知識・能力を備えた者とし、常勤の日本語教員又は日本語研究者として3年以上の経験を有する者であるものとする。

(主任教員の資格)

追加

[cir2 ] 主任教員は専任教員のうちから選任するものとする。

 

(教員の資格)

11

(教員の資格)

10

(校長・教員の欠格事由)

12

五 外国人の入国又は在留に関する不正行為を行い、3年を経過しない者

(校長・教員の欠格事由)

11

五 追加

(位置及び環境)

13

(位置及び環境)

12

(校地)

14 日本語教育施設には、その教育の目的を実現するために必要な校地を備えるものとする。

(校地)

13 日本語教育施設には、その教育の目的を実現するために必要な校地を備えることが望ましい。

(校舎)

15 日本語教育施設には、その教育の目的を実現するために必要な校舎を備えるものとする。ただし以下、削除

(校舎)

14 日本語教育施設には、その教育の目的を実現するために必要な校舎を備えるものとする。ただし、校舎の自己所有が困難な場合には、賃借権が適切に設定され教育施設として安定的に確保されているものとする。

(校舎の面積等)

16

[cir2 ] 日本語教育施設の校舎には、教室、教員室、事務室、図書室、保健室その他必要な附帯施設を備えるものとする。

(校舎の面積等)

15

[cir2 ] 日本語教育施設の校舎には、教室、教員室、事務室その他必要な附帯施設を備えるものとする。

[cir4 ] 削除

[cir4 ] 日本語教育施設の校舎には、第2項の施設のほか、なるべく図書室、保健室等を備えるものとする。

(設置者)

18 日本語教育施設を設置する者は、国及び地方公共団体のほか、次の各号に該当する者とする。

(設置者)

17

二 設置者(法人の場合は、当該日本語教育施設の経営を担当する役員とする。)が日本語教育施設を経営するために必要な知識又は経験を有すること。

二 設置者(設置者が法人の場合は、その経営を担当する当該法人の役員とする。次号において同じ。)が日本語教育施設を経営するために必要な知識又は経験を有すること。

三 設置者(法人の場合は、当該日本語教育施設の経営を担当する役員を含む。)が社会的信望を有すること。

三 設置者(追加)が社会的信望を有すること。

[cir2 ] 次の各号に該当する者(法人の場合は、当該日本語教育施設の経営を担当する役員を含む。)は設置申請できないものとする。

一 申請時において、過去3年以内に日本語教育施設の審査事業の認定に関する規程(平成元年10月3日文部省告示第139号)第1条第1項の規定に基づき認定を受けた審査等事業を実施する公益法人(以下「認定法人」という。)から日本語教育施設の認定の取消しを受けた者又は廃校をした者

二 12に規定する校長・教員の欠格事由の各号に該当する者

追加

(経営の区分)

19 日本語教育施設の経営は、その設置者が認定法人の認めた日本語教育施設以外の事業を行う場合には、その事業の経営と区分して行われるものとする。

(経営の区分)

18 日本語教育施設の経営は、その設置者が教育以外の事業を行う場合には、その事業の経営と区分して行われるものとする。

(生活指導)

20

[cir2 ] 生活指導担当者は、生徒の生活指導及び進路指導に関する知識を有するとともに、12に規定する校長・教員の欠格事由の各号に該当しない者であるものとする。

(生活指導)

19

[cir2 ] 生活指導担当者は、生徒の生活指導に当たるものとする。

(健康管理)

21 日本語教育施設は、生徒の入学後できるだけ早期にその健康診断を行うものとし、1年経過後、再度健康診断を行うよう努めるものとする。

(健康管理)

20 日本語教育施設は、生徒の入学後できるだけ早期にその健康診断を行うものとする。

(名称)

22

(名称)

21

(規則)

23 日本語教育施設は、その規則を定め、少なくとも次の事項を記載するものとする。

(規則)

22

四 入学資格に関する事項

四 追加

五 授業料、入学料、その他費用徴収に関する事項

六 寄宿舎に関する事項

七 その他必要な事項

(附則)

14(校地)、15(校舎)の規定の適用については、新規申請の日本語教育施設に限るものとし、従前の基準により認定を受けた日本語教育施設の更新申請又は変更申請についてはなお従前の例によるものとする。

<従前の例>

(校地)

日本語教育施設には、その教育の目的を実現するために必要な校地を備えることが望ましい。

(校舎)

日本語教育施設には、その教育の目的を実現するために必要な校舎を備えるものとする。ただし、校舎の自己所有が困難な場合には、賃借権が適切に設定され教育施設として安定的に確保されているものとする。

(附則)

追加

日本語教育推進施策に関する調査研究について

平成二年一一月三〇日

文部事務次官裁定

一 趣旨

外国人に対する日本語教育の具体的推進施策の改善を図るため、学識経験者の協力を得て必要な調査研究を行い、もって日本語教育の推進に資する。

二 調査研究事項

外国人に対する日本語教育の推進について

三 実施方法

別紙の学識経験者の協力を得て、二の事項について調査研究を行う。なお、必要に応じ、別紙以外の者の協力を求めることができる。

四 実施期間

実施期間は、平成二年一一月三〇日から平成四年三月三一日までとする。

五 その他

この調査研究に関する事務は、省内関係局課の協力を得て、学術国際局国際企画課教育文化交流室において処理する。

(注) 本裁定は、平成四年度、平成五年度に更新した。

(別紙)

日本語教育推進施策に関する調査研究協力者名簿

五十嵐耕一 財団法人日本語教育振興協会理事長

岡田泰男 慶應義塾大学経済学部教授

奥田邦男 広島大学教育学部教授

片倉邦雄 国際交流基金専務理事

加藤彰彦 実践女子短期大学教授

川瀬生郎 拓殖大学外国語学部教授

佐藤武揚 専門学校神田外語学院事務局長

篠沢公平 学校法人成城学園常務理事

鈴木堯 財団法人国際教育振興会日本語研修所長

土田將雄 上智大学名誉教授

徳川宗賢 学習院大学文学部教授

永尾正章 日本貿易振興会理事

長沼守人 財団法人言語文化研究所理事長

西尾珪子 社団法人国際日本語普及協会専務理事

(座長)野元菊雄 松蔭女子学院大学教授

姫野昌子 東京外国語大学留学生日本語教育センター教授

水谷修 国立国語研究所長

森田良行 早稲田大学日本語研究教育センター所長

山崎春之 学校法人駿河台学園理事長・全国専修学校各種学校総連合会副会長

山本清 高松工業高等専門学校長

平成五年四月一日現在

日本語教育推進施策に関する調査研究協力者会議の経過

一 文部事務次官裁定

平成二年一一月三〇日

平成四年四月一日

平成五年四月一日

二 協力者会議の実施状況

第一回 平成三年一月二一日

第二回 平成三年三月二二日

第三回 平成三年五月八日

第四回 平成三年六月一〇日

第五回 平成三年七月一〇日

第六回 平成三年九月九日

第七回 平成三年一〇月一六日

第八回 平成三年一二月四日:ワーキンググループの設置を了承

第九回 平成四年三月二七日

第一〇回 平成四年六月二二日

/:計画検討ワーキンググループ/試験改善等ワーキンググループ/調査ワーキンググループ/の設置を了承

第一一回 平成四年一〇月二八日:報告書起草委員会の設置を了承

第一二回 平成五年三月一一日

第一三回 平成五年六月二九日

三 ワーキンググループの実施状況

第一回 平成四年一月二〇日

第二回 平成四年二月三日

第三回 平成四年二月二四日

第四回 平成四年三月一七日

四 計画検討ワーキンググループの実施状況

第一回 平成四年七月八日

第二回 平成四年九月八日

第三回 平成五年五月二四日

五 試験改善等ワーキンググループの実施状況

第一回 平成四年七月二九日

第二回 平成四年八月二八日

第三回 平成四年九月二八日

六 調査ワーキンググループの実施状況

第一回 平成四年七月二一日

第二回 平成四年八月二六日

第三回 平成四年九月二二日

七 報告書起草委員会の実施状況

第一回 平成五年二月二四日

参考資料

一 国内における日本語学習者の概要

二 機関別日本語学習者数・教員数

三 日本語教育が必要な外国人児童・生徒の受入れ状況

四 海外における日本語学習者の概要

五 海外における日本語学習者の状況

六 日本語教育機関・施設数の推移

七 日本語教員数の推移

八 設置主体別日本語教育機関・施設数

九 就学生の外国人登録者数、新規入国者数の推移

一〇 本邦における在留資格別不法残留者数

一一 外国人日本語能力試験の状況

一二 日本語教育能力検定試験の状況

一三 文化交流機関の概要

一四 日本語教育施設において使用されている主な教材例

一五 留学生受入れ数の推移

一六 関係提言・報告の概要

1) 日本語教育の在り方

(昭和三九年三月、日本語教育改善の方策に関する意見)

2) 外国人に対する日本語教育の推進の具体策について

(昭和四九年二月一九日、日本語教育推進対策調査会報告)

3) 教育・学術・文化における国際交流について

(昭和四九年五月二七日、中央教育審議会答申)

4) 日本語教員に必要な資質・能力とその向上策について

(昭和五一年三月三一日、日本語教育推進対策調査会報告)

5) 日本語教育の内容・方法の整備充実に関する調査研究について

(昭和五四年三月一九日、日本語教育推進対策調査会報告)

6) 外国人留学生の日本語能力の標準と測定(試案)に関する調査研究について

(昭和五七年二月、外国人の日本語能力に関する調査研究協力者会議報告)

7) 二一世紀への留学生政策に関する提言

(昭和五八年八月三一日、二一世紀への留学生政策懇談会)

8) 二一世紀への留学生政策の展開について

(昭和五九年六月二九日、留学生問題調査・研究に関する協力者会議報告)

9) 日本語教員の養成等について

(昭和六〇年五月一三日、日本語教育施策の推進に関する調査研究会報告)

10) 日本語教員検定制度について

(昭和六二年四月一〇日、日本語教員検定制度に関する調査研究会)

11) 日本語教育施設の運営に関する基準について

(昭和六三年一二月二三日、日本語学校の標準的基準に関する調査研究協力者会議報告)

12) 二一世紀を展望した留学生交流の総合的推進について

(平成四年七月一七日、二一世紀に向けての留学生政策に関する調査研究協力者会議報告)

13) 現代の国語をめぐる諸問題について

(平成五年六月八日、国語審議会)

1 国内における日本語学習者の概要(文化庁国語課調べ)

(1) 出身地域別日本語学習者数



(2) 出身国(地域)別日本語学習者数


国(地域)名

日本語学習者数

国(地域)名

日本語学習者数

中国

19,513(18,684)人

インドネシア

801(650)人

韓国

12,046(8,577)

フランス

718(729)

アメリカ

7,113(7,790)

オーストラリア

685(527)

台湾

5,809(6,412)

ドイツ

611(532)

マレーシア

1,683(1,547)

カナダ

510(396)

香港

1,330(1,030)

ミャンマー

437(324)

イギリス

1,220(1,029)

ブラジル

396(304)

タイ

1,168(916)

インド

353(319)

フィリピン

961(1,430)

シンガポール

323(213)

日本

960(939)

バングラデシュ

235(316)

(注)

1 日本語学習者数が上位20位までの国(地域)を示した。

2 ( )内の数は前年の日本語学習者数である。

2 機関別日本語学習者数・教員数

(平成3年11月1日現在)


区分

主な学習対象等

機関数

日本語学習者数

日本語教員数

1 大学院

ア 日本語学等の専攻がある研究科で行っている大学院

2

34

23

(5)

 

イ その他補習として行っている大学院

19

572

116

(75)

 

大学院合計

21

606

139

(80)

2 大学

国立

ア 日本語学科、日本語教育学科等において行っている大学

3

216

33

(11)

 

イ 大学、専門学校等への進学のための予備教育として行っている大学

4

382

197

(99)

 

 

ウ 大学等での学習のための補習教育として行っている大学

18

1,980

130

(81)

 

 

エ 正規の授業科目として日本語の科目を開講して行っている大学

71

1,446

260

(90)

 

 

オ 交換プログラムの中で行っている大学

13

247

136

(55)

 

 

カ その他

1

25

28

(25)

 

 

小計

110

4,296

784

(361)

 

公立

ア 日本語学科、日本語教育学科等において行っている大学

 

 

 

 

 

イ 大学、専門学校等への進学のための予備教育として行っている大学

 

 

 

 

 

ウ 大学等での学習のための補習教育として行っている大学

2

57

4

(3)

 

 

エ 正規の授業科目として日本語の科目を開講して行っている大学

9

122

16

(12)

 

 

オ 交換プログラムの中で行っている大学

 

 

 

 

 

カ その他

 

 

 

 

 

小計

11

179

20

(15)

 

私立

ア 日本語学科、日本語教育学科等において行っている大学

3

72

16

(9)

 

 

イ 大学,専門学校等への進学のための予備教育として行っている大学

17

1,025

273

(140)

 

 

ウ 大学等での学習のための補習教育として行っている大学

8

93

18

(8)

 

 

エ 正規の授業科目として日本語の科目を開講して行っている大学

121

6,621

603

(247)

 

 

オ 交換プログラムの中で行っている大学

24

1,063

192

(143)

 

 

カ その他

2

21

8

(4)

 

 

小計

175

8,895

1,110

(551)

 

大学合計

296

13,370

1,914

(927)

3 短期大学

ア 短期大学等への進学のための予備教育として行っている短期大学

3

85

29

(11)

 

イ 短期大学での学習のための補習教育として行っている短期大学

3

36

7

(5)

 

ウ 正規の授業科目として日本語の科目を開講して行っている短期大学

39

414

105

(39)

 

エ その他

5

125

27

(4)

 

短期大学合計

50

660

168

(59)

4 高等専門学校

46

157

115

(31)

5 一般の日本語教育機関・施設

ア 成人一般対象

79

7,122

1,415

(1,220)

イ 宣教師対象

6

289

55

(49)

ウ 技術研修生対象

18

1,611

252

(198)

 

エ 学術研究者対象

2

107

21

(16)

 

オ 大学等入学志望者対象

332

30,316

4,466

(3,538)

 

カ 外国人子弟対象(キを除く)

22

6,013

136

(116)

 

キ 在日米軍関係者対象

3

2,297

7

(5)

 

ク 米国国務省関係者対象

3

113

26

(18)

 

ケ その他

4

234

139

(122)

 

一般の日本語教育機関・施設合計

469

48,102

6,517

(5,282)

総計

882

62,895

8,853

(6,379)

(注) 日本語教員数欄の( )内は女性の数で内数

(文化庁国語課調べ)

3 日本語教育が必要な外国人児童・生徒の受入れ状況

文部省調べ:平成3年9月1日現在

(1) 学年別・男女別児童・生徒数


学年

小学校

1年生

410人

367人

777人

 

2年生

372

297

669

 

3年生

344

319

663

 

4年生

326

333

659

 

5年生

324

295

619

 

6年生

326

265

591

 

小計

2,102

1,876

3,978

中学校

1年生

261

331

592

 

2年生

240

261

501

 

3年生

174

218

392

 

小計

675

810

1,485

合計

2,777

2,686

5,463

(2) 言語別児童・生徒数


区分

ポルトガル語

中国語

スペイン語

韓国語、朝鮮語

ベトナム語

英語

小学校

1,665人

999人

451人

139人

170人

118人

中学校

267

625

145

187

93

37

1,932

1,624

596

326

263

155


区分

フィリピノ語

その他

小学校

94人

342人

3,978人

中学校

27

104

1,485

121

446

5,463

4 海外における日本語学習者の概要(出身地域別機関数、講師数、学習者数)


地域名

初・中等教育

高等教育

その他

合計

機関数

講師数

学習者数

機関数

講師数

学習者数

機関数

講師数

学習者数

機関数

講師数

学習者数

東アジア

842

2,314

524,677

573

3,085

107,061

287

1,915

116,067

1,702

7,314

747,805

東南アジア

228

319

42,281

55

298

8,494

66

384

13,609

349

1,001

64,384

南アジア

2

2

51

10

39

800

26

116

2,559

38

157

3,410

太洋州

450

785

66,242

72

355

7,995

15

36

596

537

1,176

74,833

北米

284

416

15,013

153

641

18,479

52

202

2,685

489

1,259

36,177

中南米

8

73

5,098

28

62

1,667

253

864

20,568

289

999

27,333

西欧

104

137

4,089

161

494

13,959

188

455

6,351

453

1,086

24,399

東欧

6

7

128

24

128

897

8

18

591

38

153

1,616

中近東・アフリカ

0

0

0

11

39

559

11

30

891

22

69

1,450

総計

1,924

4,053

657,579

1,087

5,141

159,911

906

4,020

163,917

3,917

13,214

981,407

海外日本語教育機関動向調査〔1990年(平成2年)〕結果概要―地域別総表(国際交流基金調べ)



 学習者は、各日本語教育機関への在籍者数を集計している。



 調査未了分や、中国における業余(余暇)教育・民間日本語学校・通信教育での学校者数を加えると、学習者数は200万~300万に上ると推定される。

5 海外における国別日本語学習者の状況

海外日本語教育機関動向調査〔1990年(平成2年)〕結果概要(国際交流基金調べ)


区分

学校教育

学校以外の教育

合計

 

初等・中等教育

高等教育

 

 

 

機関

教師

学習者

機関

教師

学習者

機関

教師

学習者

機関

教師

学習者

韓国

428

759

(577)

403,744

71

521

(259)

31,329

92

385

(261)

12,537

591

1,665

(1,097)

447,610

中国

413

1,553

(1,391)

120,899

495

2,522

(2,184)

74,507

167

1,145

(370)

92,771

1,075

5,220

(3,945)

288,177

オーストラリア

348

627

(356)

55,091

61

301

(139)

6,387

13

34

(6)

545

422

962

(501)

62,023

インドネシア

194

248

(148)

36,596

12

113

(91)

1,454

17

72

(55)

2,264

223

433

(294)

40,314

アメリカ

247

369

(178)

12,667

136

587

(321)

16,818

4

6

(2)

126

387

962

(501)

29,611

ブラジル

1

4

(3)

0

5

14

(5)

244

184

557

(328)

14,657

190

575

(336)

14,901

ニュージーランド

99

154

(103)

10,844

9

52

(31)

1,525

0

0

(0)

0

108

206

(134)

12,369

タイ

20

29

(23)

3,234

30

115

(68)

5,065

13

130

(17)

3,570

63

274

(108)

11,869

香港

0

0

(0)

0

5

32

(19)

1,126

27

383

(83)

10,739

32

415

(102)

11,865

フランス

27

32

(27)

2,104

55

142

(60)

4,553

25

52

(26)

1,089

107

226

(113)

7,746

カナダ

37

47

(19)

2,346

17

54

(33)

1,661

48

196

(81)

2,559

102

297

(133)

6,566

シンガポール

1

11

(9)

784

2

33

(12)

860

11

62

(32)

4,800

14

106

(53)

6,444

ドイツ

38

54

(24)

993

31

119

(65)

3,498

44

98

(13)

1,616

113

271

(102)

6,107

ペルー

5

23

(18)

3,902

0

0

(0)

0

8

61

(31)

1,540

13

84

(49)

5,442

マレーシア

13

31

(25)

1,667

5

18

(18)

703

20

94

(24)

2,409

38

143

(67)

4,779

イギリス

27

37

(13)

647

29

80

(52)

1,127

70

198

(29)

1,788

126

315

(94)

3,562

イタリア

0

0

(0)

0

13

42

(30)

2,141

3

12

(2)

216

16

54

(32)

2,357

メキシコ

1

21

(21)

892

9

29

(8)

731

9

30

(20)

603

19

80

(49)

2,226

アルゼンチン

1

25

(15)

304

2

4

(0)

197

20

56

(33)

1,219

23

85

(48)

1,720

インド

0

0

(0)

0

7

30

(20)

623

9

33

(6)

784

16

63

(26)

1,407

(注)

1 日本語学習者数が上位20位までの国(地域)を示した。

2 集計の対象とする機関には、教師数ないし学習者数について回答がなかった機関も含む。

3 ( )内は専任教師数

6 日本語教育機関・施設数の推移(国内・海外)

(1) 国内



(2) 海外



7 日本語教員数の推移(国内・海外)

(1) 国内



(2) 海外



8 設置主体別日本語教育機関・施設数

(財)日本語教育振興協会認定施設

(平成5年3月31日現在)


設置形態

施設数

学校教育法上の位置付け

施設数

学校法人

23

専修学校(専門課程)

12

 

 

専修学校(附帯教育)

2

 

 

各種学校

5

 

 

その他

4

準学校法人

25

専修学校(専門課程)

14

 

 

専修学校(附帯教育)

4

 

 

各種学校

7

財団法人

27

専修学校(専門課程)

6

 

 

専修学校(附帯教育)

2

 

 

各種学校

5

 

 

その他

14

社団法人

1

その他

1

宗教法人

5

専修学校(専門課程)

1

 

 

各種学校

1

 

 

その他

3

職業訓練法人

1

その他

1

企業組合

1

その他

1

株式会社

235

その他

235

有限会社

59

その他

59

合資会社

1

その他

1

任意団体

9

各種学校

1

 

 

その他

8

個人

46

専修学校(専門課程)

3

 

 

各種学校

6

 

 

その他

37

433

専修学校(専門課程)

36

 

 

専修学校(附帯教育)

8

 

 

各種学校

25

 

 

その他

364

9 就学生の外国人登録者数、新規入国者数の推移

(1) 就学性の外国人登録者数の推移


 

 

 

 

 

 

 

 

 

国籍・出身地

 

昭和61年(1986)

構成比(%)

昭和63年(1988)

構成比(%)

平成元年(1989)

構成比(%)

平成2年(1990)

構成比(%)

対前年比(%)

総数

15,144

100.0

47,827

100.0

44,097

100.0

35,595

100.0

"19.3

中国

7,614

50.3

35,388

74.0

31,058

70.4

24,251

68.1

"21.9

韓国

2,418

16.0

4,427

9.2

5,886

13.4

5,970

16.8

1.4

フィリピン

834

5.5

2,157

4.5

1,855

4.2

1,389

3.9

"25.1

イギリス

603

4.0

609

1.3

517

1.2

519

1.5

0.4

バングラデシュ

596

3.9

1,043

2.2

930

2.1

512

1.4

"44.9

その他

3,079

20.3

4,203

8.8

3,851

8.7

2,954

8.3

"23.3

(注) 「英国」には、香港を含む。

(各年12月末日現在 法務省入国管理局調査)

(2) 就学を目的とする外国人新規入国者数の推移


 

昭和60年

昭和61年

昭和62年

昭和63年

平成元年

平成2年

平成3年

平成4年

中国

1,199

2,126

7,178

28,256

9,143

10,387

8,099

16,263

韓国

2,064

1,702

1,470

1,733

3,858

5,346

6,487

5,704

台湾

2,184

4,029

1,839

1,113

1,279

1,563

1,877

1,612

アメリカ

767

615

646

494

632

488

368

334

イギリス

393

487

389

326

376

485

635

579

マレーシア

181

239

137

322

502

374

598

436

フィリピン

250

757

741

1,349

808

373

243

142

オーストラリア

198

231

249

239

295

281

333

359

タイ

177

258

249

229

234

231

317

432

その他

1,529

2,193

1,017

1,046

1,056

1,323

1,697

1,506

合計

8,942

12,637

13,915

35,107

18,183

20,851

20,654

27,367

(法務省入国管理局調査)

10 本邦における在留資格別不法残留者数

(法務省入国管理局調 平成4年11月1日現在)


在留資格

不法残留者数

全不法残留数に占める割合

短期滞在

242,679人

82.9%

就学

18,112

6.2

興行

6,296

2.2

留学

5,124

1.7

研修

1,471

0.5

その他

19,109

6.5

合計

292,791

100.0

11 外国人日本語能力試験の状況

((財)日本国際教育協会、国際交流基金調べ)

(1) 応募者数、受験者数及び認定者数の過去の推移


 

年度

昭和62年度

昭和63年度

平成元年度

平成2年度

平成3年度

平成4年度

試験地

 

 

 

 

 

 

 

国内

応募者

6,781人

10,153人

16,551人

21,341人

28,790人

33,222人

 

受験者

6,026

8,996

14,183

18,167

25,032

28,970

 

認定者

2,164

3,183

5,765

7,805

12,534

16,272

海外

応募者

17,345

20,509

24,853

28,673

39,854

47,419

 

受験者

15,214

17,859

21,426

24,620

33,462

39,595

 

認定者

9,107

10,749

12,549

14,030

18,915

22,679

応募者

24,126

30,662

41,404

50,014

68,644

80,641

 

受験者

21,240

26,855

35,609

42,787

58,494

68,565

 

認定者

11,271

13,932

18,314

21,835

31,449

38,951

場所数

国内

2ケ所

2ケ所

3ケ所

4ケ所

4ケ所

4ケ所

 

海外

40ケ所

41ケ所

46ケ所

46ケ所

49ケ所

52ケ所

(2) 平成4年度応募者数、受験者数及び認定者数


試験地

1級

2級

3級

4級

国内

応募者

24,349人

5,360人

2,635人

878人

33,222人

 

受験者

21,498

4,490

2,248

734

28,970

 

認定者

11,043

2,638

1,982

609

16,272

海外

応募者

12,262

11,342

11,827

11,988

47,419

 

受験者

10,194

9,284

9,965

10,152

39,595

 

認定者

5,577

5,112

6,474

5,516

22,679

応募者

36,611

16,702

14,462

12,866

80,641

 

受験者

31,692

13,774

12,213

10,886

68,565

 

認定者

16,620

7,750

8,456

6,125

38,951

(注) 国内の大学では私費外国人留学生の選考資料として1級の成績が一般に利用されており、1級受験者で日本の大学を出願しているか、又は予定している者については、その成績を大学に提供している。

(3) 平成4年度地域別受験者数


区分

アジア

中近東

アフリカ

オセアニア

北米

中南米

ヨーロッパ

不明

合計

国内

24,262人

70人

41人

698人

1,848人

691人

1,357人

3人

28,970人

海外

29,894

44

0

1,213

232

7,089

1,123

0

39,595

54,156

114

41

1,911

2,080

7,780

2,480

3

68,565

12 日本語教育能力検定試験の状況

((財)日本国際教育協会調べ)

応募者数・受検者数・合格者数の推移


 

区分

応募者数

受検者数

合格者数

年度

 

 

 

 

昭和62年度

5,837

4,758

935

昭和63年度

5,794

4,597

827

平成元年度

6,783

5,405

999

平成2年度

6,367

5,143

908

平成3年度

7,815

6,224

1,153

平成4年度

8,723

6,846

1,272

13 文化交流機関の概要


区分

国際交流基金

ブリティッシュ・カウンシル

ゲーテ・インスティテュート

沿革・目的

1 1972年設立(外務省所管の特殊法人)

2 諸外国の日本に対する理解を深め国際相互理解を増進するとともに、国際友好親善を促進するため、国際文化交流事業を効果的に行い、もって世界の文化の向上及び人類の福祉に貢献することを目的

1 1934年設立(英国の教育、文化、科学技術の諸外国への伝播・提供を図る民間のイニシアティブと外務省の協力による)

2 海外における英国の長期的利益に有益な環境の醸成、諸外国の理解の促進を通じ、英国の政治的・経済的・学術的対外関係を強化することを目的

1 1932年設立、その後、1951年ドイツ語教師養成機関として再建、1963年政府より文化普及事業を移管

2 相手国のニーズに合わせ相互の利益を増大するため、パートナー機関との協力によりドイツ語を普及し、国際文化協力の推進を図ることを目的

事業内容

1 人物交流

派遣者 年間670人

招聘者 年間650人

2 日本語普及

海外教師招聘研修

年間270人

海外拠点機関の支援 等

3 日本研究

招聘者 年間400人

海外拠点機関の支援 等

4 日本文化の海外紹介

5 海外文化の日本紹介

6 出版文化の交流

7 映画・テレビ番組の交流

1 直接英語教育(海外のみ)

31か国に59の英語教育センター 講師1,200人、受講者数 60,000人

2 人物交流

派遣者 年間約3,100人

招聘者 年間約28,000人

3 図書・出版

82か国、116図書館、蔵書数 200万冊

4 芸術交流

海外主催事業 年間約600件

5 海外開発援助

1 ドイツ語教育

受講者数 国内約30,000人

海外約80,000人

2 文化交流

海外におけるシンポジウム、セミナー、映画上映、舞台芸術等 年間約14,000件

3 図書・情報

海外センター

蔵書総数約120万冊

年間予算

計19,237百万円(1991~1992年)

計85,537百万円(1990~1991年、1£=243円)

計27,388百万円(1991~1992年、1DM=82円)

14 日本語教育施設において使用されている主な教材例


初級クラス

中級クラス

上級クラス

教科書名

校数

教科書名

校数

教科書名

校数

日本語の基礎[Roman2 ]

66

日本語表現文型中級[Roman1 ]

93

外国学生用日本語教科書上級[Roman1 ](早稲田)

50

日本語の基礎[Roman1 ]

43

日本語表現文型中級[Roman2 ]

80

外国学生用日本語教科書上級[Roman2 ](早稲田)

35

日本語初歩

38

日本語中級[Roman1 ]

32

日本語表現文型中級[Roman2 ]

12

新日本語の基礎[Roman1 ]

34

中級から学ぶ日本語

16

朝日新聞で日本を読む

11

文化初級日本語[Roman1 ]

15

日本語作文[Roman1 ]

13

日本語テスト問題集

11

日本語[Roman1 ](国際学友会)

13

ニュースで学ぶ日本語

12

日本語作文[Roman2 ]

10

絵入り日本語作文入門

11

日本語[Roman2 ](国際学友会)

12

日本語実力養成問題集(1級)

9

文化初級日本語[Roman2 ]

10

自然な日本語

11

「朝日新聞の声」を聴く

7

日本語かな入門

8

日本語中級読解入門

10

INTENSIVE COURSE IN JAPANESE

6

絵とタスクで学ぶ日本語

7

中級からの日本語

8

長文総合問題集

4

BASIC KANJI BOOK[Roman1 ]

4

日本語中級[Roman1 ](国際交流基金)

6

インタビューで学ぶ日本語

4

BASIC KANJI BOOK[Roman2 ]

4

日本語で話そう(3~4)

5

ニュースで学ぶ日本語

4

わかる日本語[Roman1 ]

4

現代日本語コース中級[Roman1 ]

5

日本語総合問題集

4

わかる日本語[Roman2 ]

4

テーマ別中級から学ぶ日本語

5

中級からの日本語

4

留学生の日本語会話

4

An Introduction to Advanced Spoken Japanese

4

検定試験用問題集

3

日本語で話そう(1~2)

3

An Introduction to Advanced Spoken Japanese

3

日本語初歩応用会話

3

現代日本語コース中級[Roman2 ]

3

オリジナル教材

3

日本語いろいろ[Roman1 ]

3

わかる日本語V

3

 

 

日本語いろいろ[Roman2 ]

3

新聞・雑誌・ビデオ等

6

 

 

わかる日本語[Roman3 ]

3

オリジナル教材

9

 

 

わかる日本語[Roman4 ]

3

 

 

 

 

日本語の聴解

3

 

 

 

 

総合日本語中級前期

3

 

 

 

 

日本語でビジネス会話(中級編)

3

 

 

 

 

日本語能力試験問題集

3

 

 

 

 

INTENSIVE COURSE IN JAPANESE

3

 

 

 

 

オリジナル教材

5

 

 

注:この表は、平成4年度の日本語教員研究協議会に参加した施設(142校)で使用されている教材を集計したものである。

15 留学生受入れ数の推移



一六 日本語教育に関する各種答申、報告の概要

1) 日本語教育の在り方(日本語教育改善の方策に関する意見)

(文部省調査局、昭和三九年三月)


(意見内容の骨子)

一 学習させるべき日本語についての基礎的な調査研究を充実することが必要である。

二 科学的な日本語教授方法の調査研究をすることが必要である。

三 日本語教授者の育成と研修を行うことが必要である。

四 外国人が日本語を学習するための資料を整備することが必要である。

五 外国人が日本語を自学自習するための環境及び条件を整備することが必要である。

2) 外国人に対する日本語教育の推進の具体策について

(日本語教育推進対策調査会報告、昭和四九年二月一九日)


(報告内容の骨子)

今後日本語教育に関する各種の充実方策を総合的かつ効果的に推進していくためには、その中核となる「日本語教育センター」(仮称)の設置が必要である。

同センターは、一 教育内容・方法の研究 二 教材及び教育機器の開発・提供 三 教員の研修 四 情報資料の収集・提供 五 日本語教育機関等との連携・協力体制の整備及び関係者への協力援助を行うべきである。

3) 教育・学術・文化における国際交流について

(中央教育審議会答申、昭和四九年五月二七日)


(答申内容の要約)

一 外国人に対する日本語教育を一層振興するためには、日本語教育に関する高度の研究者を養成する必要があり、そのため、大学院段階の組織の新設・整備を検討し大学において日本語教員の組織的な養成を図ること。

二 日本語教育施策を総合的かつ効果的に推進する機関として「日本語教育センター」(仮称)を早急に設置すること。

三 留学生に対する大学進学前及び進学後の日本語教育を一層充実させるとともに、渡日前に必要な水準の日本語を学習しておくことを奨励すること。

4) 日本語教員に必要な資質・能力とその向上策について

(日本語教育推進対策調査会報告、昭和五一年三月三一日)


(報告内容の要約)

一 日本語教員に必要な資質・能力について

(一) 日本語教員に期待される資質等としては、ア 国際的な教育者として国際的感覚を有し、イ 言語の教師として広く言語に関し深い関心を持ち、ウ 日本語教育の専門家としての国際的意義への自覚と情熱をもつことが期待される。

(二) 日本語教員に期待される能力としては、学習者の模範となる日本語の使い方ができ、かつ、日本語教育の多様性に応じて必要と考えられる応用的能力を有していること。

二 日本語教員の資質・能力の向上について

日本語教員の養成・研修等の制度的、内容的改善を進める一方、将来、日本語教員の資質・能力に関し何らかの基準を設けて能力検定を行うこと、あるいは資格や学位の付与について検討することなども考慮すべきであり、このことは、日本語教員の専門性の確立と処遇の改善のためにも必要である。

5) 日本語教育の内容・方法の整備充実に関する調査研究について

(日本語教育推進施策調査会報告、昭和五四年三月一九日)


(報告内容の要約)

一 母語別教材の作成・提供

学習者が正しく日本語を理解し、修得する上で重要な影響を与える学習者の母語の違いを配慮して作成された教材については、英語以外の言語を使用したものは著しく不足しているので母語別教材の作成の推進を図る必要があり、対照研究の充実は、外国人に対する適切な教授法の開発の上で不可欠のものである。

二 学習者の日本語能力の標準と測定

学習者の日本語能力の標準を設定することは、充実した指導を行う上での目安としても学習者の学習意欲を高める上での到達目標としても必要であり、学習者のための適切な教材を用意するためにも重要である。

日本語教育の学習目的、学習段階に応じてそれぞれの標準を設定することは、教育内容の一層の改善と適切で効果的な日本語教育の推進のための重要な課題である。

また、外国人学習者の日本語能力を的確に測定することの必要性は、大学への留学生受入れや企業等において痛感されている。

三 調査研究体制の整備充実

母語別教材の作成・提供や学習者の日本語能力の標準と測定等の教育内容・教育方法の充実のためには、各種の調査研究の促進とこれに必要な体制の整備が必要である。

6) 外国人留学生の日本語能力の標準と測定(試案)に関する調査研究について

(外国人の日本語能力に関する調査研究協力者会議報告、昭和五七年二月)


(報告内容の要約)

一 日本語を学習しようとする外国人は、その目的、その年齢・経歴、その母国語等において極めて多様であり、それぞれの期待する到達水準も単純ではない。その中から日本の大学(教養課程)で勉強しようとする留学生を当面の対象とし、日本人学生として大学生活に適応するために身に付けていることが望ましいと思われる日本語能力の標準について一通りの試案をまとめたものである。

二 この能力の標準表は大学(教養課程)で勉強しようとする外国人留学生に必要な日本語能力の項目としては、ほぼ尽くしていると考えるが、専門課程で必要な能力については、考慮していない。

三 測定に関しては、一般的な能力を測定することを考えており、教授した内容がどのくらい獲得できたかを知ろうとするアチーブメント・テストとは全く違う。

ただし、測定方法については、すべての能力の項目について考察するまでには至っていない。

7) 二一世紀への留学生政策に関する提言

(二一世紀への留学生政策懇談会、昭和五八年八月三一日)


(日本語教育関係提言内容の要約)

二一世紀を望む日本にとって留学生政策は、その文教政策、対外政策の中心に据えてしかるべき重要国策の一つであるといっても過言ではない。

一 留学生教育を進める上での基本的な条件として、日本語教育機関の整備充実を図るなど日本語学習の機会を大幅に増やし、その体制を整備することが望まれる。

ア 日本への留学者が母国で多少なりとも日本語能力を身につけて来日し得るとすれば、日本での学習効果は画期的に高まるであろう。そのためには日本語教師の養成を初め、その処遇の改善、帰国後の身分保障も含め、養成、派遣の体制の運営のための措置が必要となる。

イ 留学生の母国語別等の配慮も含め、教育方法、教材等の一層の改善を進める必要がある。また、外国人に対する日本語能力試案の推進も意義あることであり、外国人に対する日本語教育体制については、抜本的な改善を図る必要がある。

二 当面の政策としては大学院レベルの国費留学生のうち、日本語の修得が必要とされる者に対する日本語の予備教育については、地域ごとにその中心となる大学で実施するよう体制の整備を促進する必要がある。

なお、留学生に対する日本語教育の充実のためには、海外における日本語の普及・教育体制の整備拡充が基本的に重要である。

8) 二一世紀への留学生政策及び展開について

(留学生問題調査・研究に関する協力者会議報告、昭和五九年六月二九日)


(日本語教育関係報告内容要約)

我が国で学ぶ外国人留学生が、専攻する学問分野で学習成果をあげるとともに、日本についての理解を深めて帰国することが留学の重要な意義であり、日本語の修得はその基礎となるものである。日本語修得のための条件整備は、その意味で留学生政策の根幹をなすものであり、海外における日本語の普及・教育体制の一層の整備拡充に努めつつ、留学生のニーズに応じた多彩な日本語教育体制を整備する必要がある。

(一) 海外における日本語教育

日本語の海外での普及を図るため、外国政府派遣留学生予備教育への積極的協力や日本語普及のために国際交流基金が行っている事業等の充実を図る。

(二) 国内における日本語教育

国内で行われる留学生を対照とする日本語教育については次のような態様があるが、それぞれの目的、性格に即した整備充実を図る必要がある。

A 予備教育としての日本語

学部の正規課程、高専・専修学校に入学する者や、大学院段階への留学生で日本語能力のほとんどない者を対象とするもので、六ケ月~一年間集中的に日本語を教える。

B 専門教育と同時並行的な日本語教育

日本語既習者、学部の短期留学者、自然科学系を専攻する者で学習上必ずしも日本語を必要としない者を対象とするもので、専門の学習と並行して履修することが適当なもの。

日本語教育の内容等から考えて、大学においては、A類のうち大学院段階の留学生を対象とするもの及びB類のもの、日本語学校専門教育機関においては、A類のうち学部・高専等への留学生を対象とするものを行うのが適切である。

9) 日本語教員の養成等について

(日本語教育施策の推進に関する調査研究会報告、昭和六〇年五月一三日)

[Roman1 ] 日本語教員養成の必要性

日本語を学習する外国人(以下「日本語学習者」という。)は、国内において昭和五〇年に一〇、四二九人であったのに対して昭和五八年には、二五、九三八人と年平均一二・一%の伸び率で著しく増加している。このような傾向は、今後、我が国と諸外国の相互関係が一層緊密化するとともに引き続き継続するものと考えられる。なお、留学生問題調査・研究に関する調査研究協力者会議がまとめた「二一世紀への留学生政策の展開について」(昭和五九年六月)においては、二〇〇〇年(昭和七五年)における留学生の受け入れ数を一〇〇、〇〇〇人まで引き上げることを想定して諸施策を講ずることとしている。今後、これらの諸施策が実施されていくとともに留学生の着実な増加が予想され、留学生が日本語学習者の総数の増加の重要な要因になると予想される。

このような状況を考慮して将来の目安として国内の日本語学習者数を試算すると表一のとおりである。

(表一)国内の日本語学習者数の試算 (人)


目的別日本語学習者

昭和五八年(実数)

昭和六七年

昭和七五年

留学生

五、八〇〇

二六、一〇〇

六五、〇〇〇

その他(一般成人、技術研修を目的とする者等)

六、四〇〇

二四、〇〇〇

七七、五〇〇

合計

一二、二〇〇

五〇、一〇〇

一四二、五〇〇

(備考)

一 留学生については、留学生問題調査・研究に関する協力者会議「二一世紀への留学生政策の展開について」における想定数である(なお、この想定数は、留学生総数のうち日本語の学習を必要とする者の数を試算したものであり、大学等に入学するための予備教育として日本語教育を受ける者を含む。)。

二 その他(一般成人、技術研修を目的とする者等)については、文化庁「国内の日本語教育機関の概要」に基づき、昭和五四年から五八年まで年平均伸び率(一五・八%)を用いて試算した。

三 外国人子弟で日本語を学習する者が昭和五八年現在約一三、七〇〇人いるが、その性格を異にするので、この試算においては除外した。

このような日本語学習者の増加を反映して、国内の日本語教員は、昭和五〇年に一、〇三一人であったのに対して昭和五八年には、二、三四一人と年平均一〇・八%の伸び率で著しく増加している。

前述した表一の試算に基づいて、将来の目安として国内において必要となる日本語教員数を試算してみると表二のとおりである。

(表二)国内において必要となる日本語教員数の試算 (人)


 

昭和五八年(実数)

昭和六七年

昭和七五年

留学生を対象とする教員

一、〇〇〇

四、三〇〇

一〇、六〇〇

その他(一般成人、技術研修を目的とする者等)を対象とする教員

一、二〇〇

四、四〇〇

一四、三〇〇

合計

二、二〇〇

八、七〇〇

二四、九〇〇

(備考)

一 留学生を対象とする日本語教員については、前出の「「二一世紀への留学生政策の展開について」における想定数である。

二 その他(一般成人、技術研修を目的とする者等)を対象とする教員については、日本語教員一人当たり日本語学習者数の昭和五四年から昭和五八年までの平均によって試算した。

三 なお、昭和五八年の場合、日本語教員の約三割が専任教員で、その他は兼任又は非常勤である。

一方、海外において日本語を学習する者についても近年、諸外国の我が国に対する関心が極めて高くなっていることを反映して増加しており、外務省・国際交流基金の調べによれば昭和四九年に七七、八二七人であったのに対して、昭和五七年には、四〇五、七七九人と年平均二二・九%の伸び率で急増している(このほか、中国ではラジオ講座等による日本語学習者が二〇〇万人を超えると推定されている。)。

このような日本語学習者の増加に伴い、海外の日本語教員数は昭和四九年に二、二五四人であったのに対して、昭和五七年には五、八九〇人と年平均一二・八%の伸び率で増加している。

このように今後必要となる国内における日本語教員数は、著しく増加すると予想されるうえ、海外における日本語学習者の増加に伴い相当数の海外の日本語教員の養成や研修も我が国で行われると考えられることから、今後計画的に日本語教員養成機関の整備・充実を図る必要がある。その第一歩として国立大学において、日本教員の養成を主目的とする学科等を設け、日本語教員養成の中核的役割を果たすほか日本語教員養成の副専攻課程を設けるなどの方途により、日本語教員の養成確保に努めることが肝要である。

一方、日本語教員養成機関として、昭和五八年現在、大学・大学院が一九機関、一般の日本語教員養成機関が二一機関あるが、その教育内容・水準や養成の期間等はまちまちであり、標準的な基準も設けられていない。例えば、大学(大学院)では、日本語教員養成のための時間数を五〇〇時間以上かけているものが多いのに対して、一般の機関では、その時間数は多様で三〇時間未満から六〇〇時間まで幅がある。また、これら機関全体で昭和五八年度に教育を受けた者は、約二、〇〇〇人程度であるが、そのうち日本語教員養成のために最低限必要な時間数と考えられる四二〇時間([Roman2 ]の四参照)を満たすものは、約一六〇人程度にすぎない。

このような状況にかんがみると、日本語教員の養成に当たり量的な整備・充実とともに質的な整備・充実を図ることが急務である。

[Roman2 ] 日本語教員養成のための標準的な教育内容等

一 日本語教育は、我が国と諸外国との国際交流を活発化し、我が国に対する理解を深めるための基盤を培うものであり、これを推進する日本語教員には、国際的感覚と幅広い教養、豊かな人間性、日本語教育に対する自覚と情熱、日本語教育に関する専門的な知識・能力などが要求される。

日本語教育の一層の充実のためには、日本語教育の専門家として必要な知識・能力を有する優れた日本語教員の養成が不可欠であり、このためには、日本語教員養成における教育内容・水準の基準が明確にされることが必要である。

二 日本語教育の専門家として必要とされる知識・能力は、次のとおりである。

(一) 基礎的な知識・能力

大学(四年制)卒業又はそれと同等程度の知識・能力

(二) 日本語教育に係る知識・能力

・日本語の構造に関する体系的、具体的な知識

・日本人の言語生活等に関する知識・能力

・言語学的知識・能力

・日本語の教授に関する知識・能力

・表現・理解力等の日本語能力

・日本事情に関する知識

・外国語及び外国事情に関する知識・能力

三 日本語教員の養成は、その要請される知識・能力の水準に応じて次のとおり行われるべきである。

(一) 一般の日本語教員

ア 大学の学部に、日本語教員として最低限必要な知識・能力を習得させることを目的として、他の専門分野の教育(国語教員養成課程、英語教員養成課程等)と併せて日本語教員の養成を行う副専攻課程を設ける。

イ 一般の日本語教員養成機関においては、大学卒を基礎資格として、大学の学部の副専攻課程と同等程度の教育内容・水準を確保する。

(二) 指導的教員又は教員の養成にあたる者

ア 大学の学部に、日本語教員として必要な相当程度の知識・能力を習得させることを目的として日本語教員の養成を主として行う主専攻課程を設ける。

イ 大学院修士課程に、日本語教員の養成に携わる者を養成するコースを設ける。この場合、学部における日本語教員養成の主専攻課程を終了した者を対象とするコースとそれ以外の者を対象とするコースを設けるものとする。

なお、日本語教育に関する高度な研究能力を備えた者を養成するための博士課程の設置を検討する必要がある。

四 各日本語教員養成機関の目的に応じた日本語教員養成のための標準的な教育内容は、次のとおりである。


日本語教員に必要な知識・能力

一般の日本語教員養成機関

大学の学部日本語教育副専攻

大学の学部日本語教育主専攻

大学院修士課程AコースBコース

一―(一) 日本語の構造に関する体系的、具体的な知識

(科目名例示)

日本語学(概論、音声、語彙・意味、文法・文体、文字・表記)

一五〇時間

一〇単位

一八単位

四単位 一一単位

 

 

 

 

 

 

 

一―(二) 日本人の言語生活等に関する知識・能力

(科目名例示)

言語生活、日本語史

三〇時間

二単位

四単位

 

 

四単位 二単位

二 日本事情

一五時間

一単位

四単位

 

 

 

 

 

 

 

三 言語学的知識・能力

(科目名例示)

言語学概論、社会言語学、対照言語学、日本語学史

六〇時間

四単位

八単位

七単位 五単位

四 日本語の教授に関する知識・能力

(科目名例示)

日本語教授法、日本語教育教材・教具論評価法、実習

一六五時間

九単位

一一単位

九単位 一〇単位

合計

四二〇時間

二六単位

四五単位

二四単位 二八単位

(備考)

一 上記の知識・能力の他に表現・理解力等の日本語能力、外国語に関する知識・能力、世界の諸地域に関する知識の習得を図る必要がある。なお、日本事情には学習者の背景により古典及び文芸を含み得る。

二 大学院修士課程のAコースは、大学の学部における日本語教員養成の主専攻を終了した者を、Bコースはそれ以外の者を対象としている。

三 一般の日本語教員養成機関の授業時数は、大学の学部における副専攻課程の一単位を一五時間とし、実習については四五時間として算出したものである。

[Roman3 ] 日本語教員検定制度

一 前述のとおり、日本語教員は、高い資質・能力を必要とする専門職であり、このような日本語教員の資質・能力の向上に資するため、日本語教員検定制度を設ける必要がある。この制度は、日本語教員となるための要件を限定しようとするものではないが、これにより、日本語教員の専門性の確立と待遇の改善が図られ、日本語教員の社会的地位の向上にも資することが期待される。

二 日本語教員検定は、受験者の知識・能力が日本語教育の専門家として必要とされる知識・能力の水準に達しているかどうかを審査し、証明するものとする。この検定は、公益法人で検定を実施するにふさわしい団体として文部大臣から認定された者が試験の方法により実施し、その水準は大学の学部における日本語教員養成の副専攻課程修了と同程度のものとすることが望ましい。

なお、日本語教育に関する経験、業績等を持つ者や、一定の水準以上の日本語教員養成の課程を修了した者に対する検定上の配慮についてはその方途を検討することが望ましい。

10) 日本語教員検定制度について

(日本語教員検定制度に関する調査研究会報告、昭和六二年四月一〇日)

[Roman1 ] 基本的考え方

日本語教員には、国際的感覚と幅広い教養、豊かな人間性、日本語教育に対する自覚と情熱、日本語教育に関する専門的知識・能力等の資質・能力が要求されるが、日本語教員検定は、これらの資質・能力のすべてについて審査するものではなく、日本語教育に関する知識・能力が日本語教育の専門家として必要とされる水準に達しているかどうか、その到達度を試験の方法により審査し、証明するものとして実施することとする。

このことから、試験の実施にあたっては、その名称を、例えば、日本語教育能力試験とする等、日本語教員として必要な資質・能力のすべてについて審査するものではないことを明らかにする必要がある。

この検定は日本語教員となるための資格を付与するものではないが、これにより日本語教員の専門性の確立とその待遇の改善が図られ、もって日本語教育の水準の一層の向上に資することが期待される。

[Roman2 ] 具体的方策

一 試験のレベル

この試験の内容・水準は、日本語教員として最低限必要な専門的知識・能力を習得させることを目的とする大学の学部における日本語教員養成副専攻課程と同等程度する。

なお、将来は、日本語教員として相当程度の知識・能力を習得させることを目的とする大学の学部における主専攻課程と同等程度の内容・水準の試験を、例えば、この試験の合格者や相当程度の日本語教育に関する経験、業績等を持つ者等を対象として行うことも考えられる。

二 受験資格

この試験は、受験者の専門的知識・能力が日本語教員に最低限必要な知識・能力の水準に達しているかどうかを審査するものであること、また、今日実施されている多くの国家試験やその他の資格試験の例からも、学歴によって受験資格を限定することなくできるだけオープンにすることが望ましい。ただし、例えば二〇歳以上とする等年齢による制約を設けることは考えられる。

なお、一部に存する日本人であればだれでも日本語教員になれるという安易な考え方を是正し、日本語教員の専門性を確立するために、試験の実施にあたっては、この試験のレベルが大学の学部における日本語教員養成副専攻課程と同等程度であることを広く周知する必要がある。

三 試験の内容、方法

日本語教員の資質・能力のすべてについて審査するためには、一般教養科目、教職専門科目及び日本語教育専門科目の三分野について総合的に審査することが必要であるが、この試験は日本語教育の専門家として必要とされる知識・能力について審査するものであること、また、一般教養や教員として必要な一般的知識・能力については、むしろ、日本語教育機関の設置者等が日本語教員を採用する際審査することが適当であると考えられることから、この試験は日本語教育専門科目に関して実施することとし、その出題範囲については、おおむね別紙のとおりとする。

また、試験の方法としては、筆記試験のほかに面接試験や実技試験を加え、多角的に審査することが望ましいが、このことについては実施機関における検討にゆだねることとする。ただし、面接試験や実技試験を実施しない場合においても、筆記試験に、例えば、話す、聞く等の日本語の実際的能力等を含めるようできるだけ工夫することが望まれる。

なお、外国人がこの試験を受験する場合であっても、そのために試験の内容、方法について特別の措置は講じないこととする。

この試験は、日本語教育の専門家として必要とされる知識・能力の水準に達しているかどうか、その到達度を試験の方法により審査するものとすることにかんがみ、例えば、日本語教育に関する経験、業績等を持つ者や一定の水準以上の日本語教員養成の課程を修了した者であっても試験の一部を免除する等の特別の措置は講じないこととする。

このことに関連して、この試験の実施機関が一定の水準以上の日本語教員養成の課程を認定し、その修了者に対し、試験を行うことなく合格者として認定するような措置は講じないこととするが、将来主専攻課程レベルの試験を行うことを検討する場合には併せて検討することが望ましい。

出題範囲


領域

主要項目

1―1 日本語の構造に関する体系的、具体的な知識

 

日本語学

 

概論

1 世界の中の日本語

2 日本語の特質

音声、語彙・意味、文法・文体、文字・表記、言語生活等について

(1) 対照言語学的に見た特質

(2) 社会言語学的に見た特質

音声

1 音声器官と発音

名称と機能

調音法、調音点、調音者

2 単音レベル

音素と異音

異音の分布

音素記号と音声記号

母音の分類

半母音

子音の分類

五十音図とその拡大表

3 音節レベル

音節構造

音節(拍)

特殊音節

4 単語レベル

母音の無声化、その他環境による音声変化

アクセントの感覚・規則・表記

縮約形など、話し言葉の語形

5 文レベル・談話レベル

イントネーション

プロミネンス(卓立)

ポーズ

速さ

語彙・意味

 

語彙

1 基本語彙と基礎語彙

2 語彙の類別

使用者別・場面別・語種別・言語活動別・分野別・音声的特徴別・文法的機能別等

3 語構成

4 辞書

意味

1 語の意味

2 句の意味

3 文の意味

4 文章・談話の意味

文法・文体

1 語・文節のレベル

(1) 品詞

名詞、動詞、形容詞、副詞、(助詞、助動詞、複合助辞、その他)

(2) 活用などの変化形式とその用法

名詞、動詞、形容詞

(3) 文節の構成

2 文のレベル

(1) 文の種類

(2) 文の成分

(3) 単文の構成

(4) 複文の構成

(5) 構文と意味

3 文章・談話のレベル

(1) 旧情報、新情報等

(2) 話者の視点

(3) 話法

(4) 文章・談話における文の選択

4 言語生活と文体

(1) 敬体と常体

(2) 書き言葉、話し言葉

(3) 男性語、女性語

(4) 地域語と共通語

(5) フォーマル、インフォーマル

文字・表記

1 文字・記号の種類

2 文字・記号の使い方

(1) 漢字仮名まじり文

(2) 仮名遣い

(3) 送り仮名

(4) 外来語の表記

(5) 漢字の書き方

(6) 漢字の読み方

(7) 記号の使い方

(8) 辞書の使い方

3 文字表記の選択

4 文章の表記

1―2 その他日本語に関する知識

 

言語生活

1 コミュニケーション

(1) パーソナル・コミュニケーションの場面、条件、様式、媒体等

(2) マス・コミュニケーションの形態、媒体等

2 技能

(1) 聞く

(2) 話す

(3) 読む

(4) 書く

3 第2言語としての言語生活

(1) 母語による言語生活との比較

(2) バイリンガリズム・マルチリンガリズム

日本語史

1 古代語と近・現代語

2 近・現代語の成立

(1) 近代語

(2) 現代語

2 日本事情(古典と文芸を含む。)

1 日本の歴史・地理

(1) 日本の歴史

(2) 日本の地理

2 現代日本事情

(1) 現代日本の政治・社会

(2) 現代日本の文化

3 言語学的知識・能力

 

言語学概論

1 言語の本質

2 言語能力と言語運用

3 言語の普遍性と個別性(類型論を含む。)

4 言語学と関連領域

5 世界の言語

6 各論

(1) 文法論

(2) 意味論

(3) 音韻論

(4) 語彙論

(5) 文字・表記論

社会言語学

1 言語変種

(1) 階層言語

(2) 地域言語

(3) 言語変化

2 場面と言語

(1) 敬語と非敬語

(2) 男性語、女性語

(3) フォーマル、インフォーマル

4 言語使用・言語生活

5 言語政策・言語教育

対照言語学

1 比較言語学・歴史言語学と対照言語学

2 言語体系と運用の対照

音声、語彙・意味、文法・文体、文字・表記

言語生活等について

(1) 類似点と相異点

(2) 母語の干渉、誤用分析

3 言語行動・言語生活の対照

日本語学史・日本語教育史

1 日本語学史

(1) 明治以前の研究の概略

(2) 明治以後の研究の概略

2 日本語教育史

(1) 戦前の教育史の概略

(2) 戦後の教育史

(3) 日本語教育と国語教育

4 日本語の教授に関する知識・能力

 

教授法

1 日本語教育の目的・方法

2 言語教育と言語研究の関係

(心理言語学的観点を含む。)

3 外国語教授法

4 日本語教育の基本語彙・基本漢字・基本文型

5 習得過程

6 指導手順・カリキュラム作成

7 練習指導技術

8 技術別指導法

9 対象別・母語別指導法

10 能力差・クラスサイズに対応する教授法

11 学習段階による指導法

12 添削技術

教育教材・教具論

1 教材教具概論

(1) 目的

(2) 期間

(3) 場面

(4) レディネス

(5) カリキュラム

2 教材の具体的使用法

(1) 教材

(2) 教育条件

(3) 環境

3 教育機器・教具

評価法

1 評価の対象

2 評価の目的と効果

3 テストの作り方

4 評価の方法

5 結果の分析

実習

1 コース・デザイン

2 教案作成と教材選定

(1) 教壇実習に備えての教案作成

(2) 具体的指導案の作成

11) 日本語教育施設の運営に関する基準について

(日本語学校の標準的基準に関する調査研究協力者会議報告、昭和六三年一二月二三日)

一 近年における我が国の国際的地位の向上や、留学生受入れ十万人計画の推進などに伴い、日本語の学習を希望する外国人の数が急増している。また、その日本語学習の目的も、高等教育機関への留学や、日本の文学、芸術、芸能等の研究などのためのみではなく、実務的な知識の習得や技術研修、あるいは日本企業への就職のためなど極めて多様化している。

二 このような事情を背景として、最近、日本国内においてこれらの者を受け入れ、日本語教育を行う施設の数や学習者数が急増しつつある。文化庁国語課の調査によれば、昭和六二年一一月一日現在、日本国内において日本語教育を行っている機関の数は四九六機関に上っており、合計四万三千人に上る者がこれらの機関で日本語を学習している。このうち、過半数の二五五機関が大学等を除くいわゆる一般の日本語教育機関であり、全学習者数の約八〇%に当たる約三万五千人が、これらの日本語教育機関で日本語を学習している状況にある。これを五年前の昭和五七年一〇月一日現在と比較すると、機関数で約五八%の増、学習者数で約七七%の増となっている。なお、これらの中には、大学入学志望者を対象とするものから成人一般、技術研修生、外国人子弟、宣教師等を対象とするものまで、多様なものが含まれている。特に、最近においては、大学進学希望者以外の日本語学習希望者が急増しているのが実情である。

三 二一世紀に向けての教育の国際化の進展の中で、真に我が国での勉学を希望し、日本語の学習に励もうとする外国人は積極的に受け入れて行く必要があるが、それを受け入れる日本語教育施設は、名実ともに外国人に日本語を教育する施設としてふさわしいものでなければならない。従来、これらの一般の日本語教育機関のうち相当部分のものは、自由な民間事業として、日本語教育施設としての基準もなく、その自主性にゆだねられてきたところであり、急増する日本語教育施設の中には、教育水準や経営に問題があると指摘されるものや就学生の不法就労等の「かくれみの」となっているのではないかと指摘されるような状況も出てきている。

四 このような状況にかんがみ、教育的観点に立って、日本語教育施設の質的向上を図り、真に日本語の学習を希望する外国人が安心して日本語を学習できるような環境を整備するためには、これらの日本語教育施設の運営に関する何らかのガイドラインを設けることが必要であると考える。

五 本協力者会議は、このような観点から、本年七月に第一回会議を開催し、以来これまでワーキング・グループ会合を含め八回の会議を重ねるとともに、日本語施設の現地視察や文部省、法務省、外務省、東京都等関係行政機関から説明を受けるなど鋭意検討を進めてきた。

六 本協力者会議としては、現在様々な目的で設置されている日本語教育施設のうち、特に大学進学を希望する者を含め日本語の学習を主な目的として我が国に滞在する外国人を対象として日本語教育を行っているもの及びビジネス目的等で来日した外国人にビジネスや日常生活上必要とされる日本語等を教育するものを対象として調査研究を進めてきたが、一一月初旬からの中国の「上海市における就学生問題」の深刻化などの事態も踏まえ、とりあえず関係の深い、日本語学習を主目的として我が国に滞在する外国人を対象に日本語教育を行う教育施設の在り方について、当面のガイドラインとして別紙のとおりとりまとめることとした。

政府としては、これを活用され、これらの日本語教育施設の今後の質的充実のための適切な措置を講ぜられることを期待する。

(別紙)

日本語教育施設の運営に関する基準

(趣旨)

1 この基準は、日本語の学習を主な目的として来日し滞在する外国人を対象に日本語教育を行う教育施設(以下「日本語教育施設」という。)がその目的を達成するために備える必要があると考えられる要件を明らかにし、もって我が国における日本語教育施設の質的水準の向上に資することを目的とする。

(修業期間)

2 日本語教育施設の修業期間は、一年以上とする。ただし、必要に応じ、六か月以上とするものとする。

(学年の始期及び終期)

3 日本語教育施設の学年の始期及び終期は、各日本語教育施設においてその規則で定めるものとする。ただし、学年の始期は原則として二度までとする。

(授業時数)

4 日本語教育施設の授業時数は、一年間にわたり七六〇時間以上で、かつ、一週間当たり二〇時間以上とするものとする。

(生徒数)

5 日本語教育施設の収容定員は、教員数、施設及び設備その他の条件を考慮して、当該日本語教育施設の規則で定めるものとする。

(同時に授業を行う生徒数)

6 日本語教育施設において、一の授業科目について同時に授業を行う生徒数は、会話等表現活動を中心とする授業科目については、二〇人以下が望ましい。その他の授業科目については原則として四〇人以下とするものとする。

(授業科目)

7 日本語教育施設においては、日本語学習の目的に応じて日本語教育を施すにふさわしい授業科目を開設するものとする。

(教員数)

8 日本語教育施設には、校長及び次の表に定める数の教員を置くものとする。


生徒定員の区分

教員数

生徒数60人まで

3

生徒数61人以上

3+((生徒定員"60)/30)

[cir2 ] 前項で必要とされる教員の数の二分の一以上は、専任の教員(常勤の校長が教員を兼ねる場合は、当該校長を含む。)であることが望ましいが、当分の間三分の一以上とするものとする。ただし、専任教員は最低二人以上とするものとする。

(校長の資格)

9 日本語教育施設の校長は、教育に関する識見を有し、かつ、教育、学術又は文化に関する業務に相当期間従事した者であるものとする。

(教員の資格)

10 日本語教育施設の教員は次の各号の一に該当するものとする。

一 大学(短期大学を除く。)において日本語教育に関する主専攻(日本語教育科目四五単位以上)を修了し、卒業した者

二 大学(短期大学を除く。)において日本語教育に関する科目を二六単位以上習得し、卒業した者

三 日本語教育能力検定試験に合格した者

四 次のいずれかに該当する者で日本語教育に関し、専門的な知識、能力等を有するもの

(一) 学士の称号を有する者

(二) 短期大学又は高等専門学校を卒業した後、二年以上学校、専修学校、各種学校等(以下「学校等」という。)において日本語に関する教育又は研究に関する業務に従事した者

(三) 専修学校の専門課程を修了した後、学校等において日本語に関する教育又は研究に関する業務に従事した者であって、当該専門課程の修業年限と当該教育に従事した期間とを通算して四年以上となる者

(四) 高等学校において教諭の経験のある者

五 その他これらの者と同等以上の能力があると認められる者

(校長・教員の欠格事由)

11 日本語教育施設の校長又は教員となる者は次の各号に該当する者ではないものとする。

一 禁治産者又は準禁治産者

二 禁固刑以上の刑に処せられた者

三 教員免許状取上げの処分を受け、二年を経過しない者

四 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者

(位置及び環境)

12 日本語教育施設の位置及び環境は、教育上及び保健衛生上適切なものであるものとする。

(校地)

13 日本語教育施設には、その教育の目的を実現するために必要な校地を備えることが望ましい。

(校舎)

14 日本語教育施設には、その教育の目的を実現するために必要な校舎を備えるものとする。ただし、校舎の自己所有が困難な場合には、賃借権が適切に設定され教育施設として安定的に確保されているものとする。

(校舎の面積等)

15 日本語教育施設の校舎の面積は、同時に授業を行う生徒一人当たり二・三m2以上とするものとする。ただし、一一五m2を下回らないものとする。

[cir2 ] 日本語教育施設の校舎には、教室、教員室、事務室その他必要な附帯施設を備えるものとする。

[cir3 ] 日本語教育施設の教室は、同時に授業を行う生徒数に応じ、必要な面積を備えるものとする。

[cir4 ] 日本語教育施設の校舎には、第二項の施設のほか、なるべく図書室、保健室等を備えるものとする。

(設備)

16 日本語教育施設は、生徒数などに応じ、必要な種類及び数の視聴覚教育機器、図書その他の設備を備えるものとする。

(設置者)

17 日本語教育施設を設置する者は、国及び地方公共団体のほか、次の各号に該当する者とする。

一 日本語教育施設を経営するために必要な経済的基礎を有すること。

二 設置者(設置者が法人の場合は、その経営を担当する当該法人の役員とする。次号において同じ。)が日本語教育施設を経営するために必要な知識又は経験を有すること。

三 設置者が社会的信望を有すること。

(経営の区分)

18 日本語教育施設の経営は、その設置者が教育以外の事業を行う場合には、その事業の経営と区分して行われるものとする。

(生活指導)

19 日本語教育施設には、生活指導担当者を置くものとする。

[cir2 ] 生活指導担当者は、生徒の生活指導に当たるものとする。

(健康管理)

20 日本語教育施設は、生徒の入学後できるだけ早期にその健康診断を行うものとする。

(名称)

21 日本語教育施設の名称は、日本語教育施設として適当なものであるものとする。

(規則)

22 日本語教育施設は、その規則を定め、少なくとも次の事項を記載するものとする。

一 修業期間、学年、学期及び授業を行わない日に関する事項

二 教育課程、学習の評価及び授業日時数に関する事項

三 収容定員及び教職員組織に関する事項

四 授業料、入学料その他の費用徴収に関する事項

五 寄宿舎に関する事項

六 その他必要な事項

〔留意事項〕

なお、この日本語教育施設の基準に示したもののほか、日本語学校の質的水準の向上の観点から、本協力者会議が留意すべきであると考えた点は次のとおりである。

一 昭和六〇年五月一三日付の「日本語教育の養成等について」(日本語教育施策の推進に関する調査研究協力者会議)及び昭和六二年四月一〇日付の「日本語教員検定制度について」(日本語教員検定制度に関する調査研究会)の両報告でそれぞれ示されているとおり、日本語教員には国際的感覚と幅広い教養、豊かな人間性、日本語教育に対する自覚と情熱、日本語教育に関する専門的な知識・能力などが求められていること。特に、日本語教育施設においては、その専任教員の採用に当たって大学の学部における日本語教員養成の主専攻課程又は副専攻課程を修了した者や日本語教育能力検定試験の合格者などの確保についての配慮が望まれること。

二 日本語教育施設における教育課程の編成に当たっては、現在、(財)日本国際教育協会及び国際交流基金が共同して実施している「外国人日本語能力試験」の級別認定基準の各項目を参考とすること。

三 日本語教育施設においては、その対象とする外国人の多くが、日本の事情等を十分に理解するに至っていない者であることを考慮し、生活指導を含め十分な配慮の下にその教育を行う必要があること。

四 日本語教育施設における一日当たりの授業時間数については、その対象とする外国人の主たる来日目的が日本語の学習であることを考慮して、適切に配当すること。

12) 二一世紀を展望した留学生交流の総合的推進について

(二一世紀に向けての留学生政策に関する調査研究協力者会議報告、平成四年七月一七日)

(日本語教育関係部分要約)

一 我が国への留学生が真に充実した教育・研究指導を受け、十分な留学の成果をあげて帰国することが円滑な留学生交流の促進に不可欠であり、このためには、我が国の的確な留学関係情報に基づき、日本語の学習等、事前の留学準備が十分になされるとともに、留学前の学習の成果が適切に評価される仕組みを整備していくことが望まれる。このことは、大学等への入学を目的として日本語等を学習しているいわゆる就学生の負担軽減の観点からの課題でもある。

このため、次のような体制の整備に努める必要がある。

(一) 海外における日本語学習者の増加に対応し、国際交流基金を中心とする日本語普及事業の推進と外国政府や現地の教育機関との連携による日本語予備教育体制の整備

(二) 我が国への留学希望者の日本語能力及び学力に関する望ましい到達度の水準・ガイドラインの設定

(三) 政府派遣留学生に対する現地予備教育への協力等

二 現在、多くの私費留学生については、入学先未定のまま来日し、日本語等を日本語教育施設等で勉強した後、それぞれの希望大学等の入試を受け、初めて留学先大学等が決まることとなっている。その間の日本滞在は精神的にも経済的にも極めて不安定な状態となっており、このことが日本留学の阻害要因の一つになっていると考えられる。日本の留学については、以上の問題に対し、当面、次のような措置を講ずる必要がある。

(一) 我が国の大学等への進学を目指して我が国で日本語等の学習をしている優秀な就学生に対し、大学等への入学許可を条件に学習奨励費支給を予約する制度の開始

(二) 我が国の大学等に関する情報資料の整備・収集・提供機関の整備及び進学希望者を対象とする進学説明会の開催

三 留学生受入れの拡大のためには、我が国の大学等が世界に開かれた高等教育機関として高い国際的評価を受けるようになることが重要であり、教育・研究水準の向上と施設・設備の改善に一層の努力が必要である。加えて、留学生の特性に配慮した教育・研究指導上及び生活上の世話体制の整備が必要である。

以上の問題に対し、次のような措置が必要である。

(一) 今後の留学生数の増加に対応して、入学予定の各大学等において十分な予備教育ができるよう、日本語教育教員の養成、日本語予備教育体制の整備及び予備教育と有機的な関連を有する入学後の日本語・日本事情教育実施体制の計画的な整備。国費高等専門学校留学生及び専修学校(専門課程)留学生については、現在、六か月間の予備教育期間であるところを学部学生並に一年間の期間を確保

(二) 大学設置基準の改正による一般教育科目、専門教育科目等の区分廃止後における日本語・日本事情科目の在り方等、留学生を対象とした教育プログラムの整備等

13) 現代の国語をめぐる諸問題について

(国語審議会報告、平成五年六月八日)

(日本語教育関係部分抜粋)


第一 基本的な認識

三 社会状況の変化と国語

また、我が国の国際的役割の増大や諸外国との国際交流の進展に伴い、諸外国の人々の日本語に対する関心が高まっており、内外における外国人の日本語学習者の数も急速に増加している。それとともにその学習の動機や目的も多様化してきている。日本語を母語としない人々との接触・交際の機会は日常的なものとなりつつある。外国人の日本語学習を支援し、効果的な学習を可能とするような日本語教育上の積極的な対策を講じるなど、日本語の国際的な広がりに対応するための努力が必要となっている。一方、日本語の中での外国語の過度の使用については何らかの歯止めが必要であるとする声も上がっている。しかし、総じて言えば、国際社会への対応は我々自身に国語の在り方を考えさせる良い契機にもなり得るものである。

以上のように、現代の社会状況の変化は、国語や人々の言語生活・言語意識に様々な影響を及ぼしている。国語は、国民の生活と意識の共同の紐帯としてこの上なく大切なものであると同時に、日本及び日本人を国際的に理解させ国際的な有効を深める手段としてこの上なく重要なものである。

第二 現代の国語をめぐる諸問題

三 国際社会への対応に関すること

(一) 国際社会における日本語の在り方

日本語が日本人のものだけではなくなってきている現在、日本語の国際的な広がりへの対応、日本語による外国人との意思疎通の在り方等について検討する必要があるのではないか。

また、外来語の増加や日本語の中での外国語の過度の使用の問題についても検討する必要があるのではないか。

(二) 日本語教育の推進

日本語教育に対する需要の増大と多様性に伴い、指導内容、教材、指導方法等の研究開発、各種情報機器の活用、優れた指導者の養成等を積極的に進めるべきである。

四 国語の教育・研究に関すること

(三) 国語研究の振興

国語研究はそれ自体重要な価値を有するとともに、国語施策の立案や国語教育の基礎として重要であり、一層の振興を図る必要がある。特に、国立国語研究所は我が国の国語研究の中核を成す機関であり、一層の整備・充実を図るべきである。

-- 登録:平成21年以前 --