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一般定期健康診断検査方法の手引き等の送付について

元国政福第四五号

平成元年一二月二一日
文部省大臣官房人事課長・各国立学校厚生担当課長・各大学共同利用機関厚生担当課長・大学入試センター厚生担当課長・文部省各施設等機関厚生担当課長・日本学士院事務長あて
文部省大臣官房福利課長通知

一般定期健康診断検査方法の手引き等の送付について

標記のことについて、別添のとおり人事院事務総局職員局福祉課長から通知がありましたので送付します。

別添

職福―六一〇

平成元年一二月一九日

各省庁健康管理担当課長 殿

人事院事務総局職員局福祉課長

一般定期健康診断検査方法の手引き等の送付について

健康診断の充実を図るための一助として、健康づくり対策研究会の委員等の専門的指導を得て作成しました「一般定期健康診断検査方法の手引き」及び「問診票」を送付いたしますので、ご活用ください。その際、検査の精度管理の確保に努めるとともに、検査結果の判定基準については、学会等の基準を参考にしてください。

以上

一般定期健康診断検査方法の手引き

人事院職員局福祉課

手引の活用にあたって

職員が健康な状態で勤務できるように、勤務環境を整えたり、健康管理対策を推進することは、労働福祉の基本です。このことは、職員の豊かな職業生活を支えるという側面とともに、公務の円滑かつ能率的な遂行に不可欠な要件であるといえます。

これからの健康管理は、第一次予防としての健康の保持増進策にも力点が置かれることになりますが、現在行っている疾病の早期発見、早期治療のための健康診断の重要性には変わりはなく、今後、健康保持増進策と健康診断は、いわば車の両輪として進めて行くことになりましょう。

健康診断は、高い受診率を背景に、精度の高い的確な検査と判定が重要ですが、この手引は、健診レベルの均一化を図り、今後の一層の充実を期待し、主として健康管理医の皆様に御活用していただくことを目的としています。

検査方法の内容は、昭和四六年に同様の手引をまとめて以来、相当期間が経過し、その間、検査項目の追加があったほか、医療技術の発展もありましたので、現時点において望ましいと思われる検査の方法について、健康づくり対策研究会の各委員等から専門的な御指導を得てまとめたものです。健診技術の一定水準以上の保持及び健診の効果を上げるためには、精度管理は欠くことのできない重要な要素ですが、この点については、厚生省老人保健課監修「健康診査マニュアル」、労働省労働衛生課編「健康診断のすすめ方」などのほか、厚生科学研究費補助金研究班、日本循環器管理研究協議会、日本糖尿病学会、結核予防会、胃癌研究会、大腸癌研究会、日本肺癌学会、日本消化器集団検診学会等、関係方面の権威ある専門機関等において既にまとめられたものが出されておりますので、これらを御活用されるよう希望します。

各職場において、職員の健康管理対策が一層推進されんことを期待するものです。

平成元年一二月

人事院職員局福祉課長 堺宣道

目次

[Roman1 ] 既往歴及び業務歴

一 既往歴

二 業務歴

[Roman2 ] 身長、体重、視力、色覚及び聴力の検査

一 身長

二 体重

三 視力

四 色覚

五 聴力

[Roman3 ] 自覚症状及び他覚症状の有無の検査

一 自覚症状

二 他覚症状

(一) 視診

(二) 打診

(三) 聴診

(四) 触診

[Roman4 ] 胸部エックス線検査

一 スクリーニング検査

(一) 対象者

(二) 検査項目

(三) 検査方法

二 精密検査

(一) 対象者

(二) 検査項目

(三) 検査方法

[Roman5 ] 血圧の測定並びに尿中の蛋白及び糖の有無の検査

一 スクリーニング検査

(一) 対象者

(二) 検査項目

(三) 検査方法

ア 血圧の測定

イ 尿中の蛋白及び糖の有無の検査

二 精密検査

(一) 対象者

(二) 検査項目

(三) 検査方法

[Roman6 ] 胃の検査

一 スクリーニング検査

(一) 対象者

(二) 検査項目

(三) 検査方法

二 精密検査

(一) 対象者

(二) 検査項目及び検査方法

[Roman7 ] 肝臓機能検査

一 スクリーニング検査

(一) 対象者

(二) 検査項目及び検査方法

二 精密検査

(一) 対象者

(二) 検査項目及び検査方法

(三) 精密検査(二次、入院検査)

[Roman1 ] 既往歴及び業務歴

一 既往歴

既往歴の調査は、その既往症の後遺障害が業務を遂行するうえで何等かの支障を伴うことはないか、すなわち、労働適性を判断する材料となるものである。既往症の中には、作業条件や労働負荷の程度によって再発したり、再燃したりしやすい疾病もあるので、その職員が担当する職種との関連において格別の配慮を必要とするものもある。

既往歴の調査に関しては、採用時の健康診断で採用前の既往歴について詳細に把握したうえで、採用後の疾病をもれることのないようにチェックしていくことが必要であり、三年につき少なくとも一回行わなければならない。

二 業務歴

まず、採用時の健康診断の際に、丁寧に問診調査を行うことが大切である。特にいわゆる有害業務に関与してきた前職は、必ず聴取しておくことが大切である。採用時の健康診断で詳細な業務歴が把握されていれば、その後の定期健康診断では、既往歴の場合と同様に、前回の定期健康診断から今回の健康診断に至る期間の相当職種の動きをとらえればよく、三年につき少なくとも一回行わなければならない。

[Roman2 ] 身長、体重、視力、色覚及び聴力の検査

一般定期健康診断の回数は、三年につき少なくとも一回とし、健康管理医が特に必要でないと認める検査の項目については、行わないことができる。

一 身長

[cir1 ] 身長計の尺柱が動揺しないようにする。

[cir2 ] 被検者にはあらかじめ靴下などをぬがせる。

[cir3 ] 身長計の尺柱を背にし、肩をいからせず、両腕は手掌を内側にして体側に自然にたらし、足先を三〇~四〇度に開き、背、臀部及び踵を尺柱につけて、身体の正中線が尺柱の中心線と一致するよう直立させる。

[cir4 ] 膝をのばし、あごをひかせ、首をのばして、頭は正面を向かせ、傾けさせず、耳眼水平位(耳珠上縁と眼窩下縁とを結ぶ線が水平になる位置。)に固定する。

[cir5 ] 検者は、被検者の右側に立ち、身長計の横規を静かに被検者の頭頂に降ろし、視線を水平に保って尺度を読み取る。姿勢を正す場合には、下部より順に正すほうがよい。測定単位はcmとし、小数点以下は一位にとどめる。

[cir6 ] 測定は、日内変動の中間を示すといわれる午前一〇時ごろがよい。

二 体重

[cir1 ] まず、体重計に付属する水準器又は重錘を用い、秤台を水平に保ち、移動しないように安定させる。

[cir2 ] 次いで、既知の重量物により体重計を検定し、ゼロ点を正確に調整する。

[cir3 ] 被検者は裸体又は薄着(若しくは測定用衣服着用)で、秤台の中央に静かに立たせ、身体を静止させる。

[cir4 ] 検者は指針が静止するのを待って値を読み取る。

[cir5 ] 測定単位はkgとし、四捨五入法を用い、小数点以下は一位にとどめる。

[cir6 ] 測定は、日内変動の中間を示すといわれる午前一〇時ごろがよい。裸体で測定するのが原則であるが、衣服を着たまま測定した場合には、衣服の重さを測定値から差し引く。また、正確に測定する場合は、その測定の前約一時間は飲食させないこと、測定前に必ず排尿させることなどが指摘されている。

三 視力

(一) 視力表による検査

[cir1 ] 視標にはランドルト環が標準視標として使われている。視力表には、検査の迅速、簡便さのために文字視標も使われているものがある。

[cir2 ] 視力表の標準照度は二〇〇ルクス以上とし、まぶしさを感じさせないようにする。

[cir3 ] 遠方視力は普通五mの距離で検査する。視力表の高さは一・〇の視標が被検者の眼の高さになるようにする。

[cir4 ] 室内照明は視力に影響を及ぼすので、明るすぎたり、暗すぎたりしないように注意する必要がある。

[cir5 ] 視力検査は裸眼でまず左、次いで右と、反対側の眼を遮眼子で覆って実施する。遮眼子で覆った眼は、中高年者では閉眼で一時的に視力が低下することがあるので、閉じないように注意する。

[cir6 ] 検査は、視力表のランドルト環の切れ目の方向を言わせるが、スクリーニングの場合には文字視標でもよい。判読できた最も小さな視標の示す視力値をその眼の視力とする。

[cir7 ] 左右の裸眼視力に著しく差のある場合には、両眼視による視力を見ておくのも評価の際に参考になる。また、裸眼視力が〇・七以下の場合には、レンズによる矯正視力を検査する。

(二) 視機能検査器による検査

直射日光を避け、あまり窓際に近くない場所を選び、安定のよい机の上に置いて、被検者が明るいほうに背を向けるようにして検査する。

四 色覚

[cir1 ] 検査は、標準的な色盲検査表を用い、明るい所(照度二五〇~五〇〇ルクス)で行う。

[cir2 ] 検査表を視線に直角に向けて約七五cmの距離から読ませ、一表当たり二~三秒示して結果を記録する。

[cir3 ] 採用時の健康診断で行えば、その後の検査は省略しても差し支えない。

五 聴力

[cir1 ] 聴力検査は原則としてオージオメータを使用して行う。オージオメータは日本工業規格によるものを使用する。オージオメータによる測定ができない場合は、囁語利用又は暗叉利用による測定をもってかえてもよい。

[cir2 ] 聴力検査は、一般に、被検者を簡易防音室に入れて行う。騒音のある場所で行う場合には、四〇ホンまでは影響が比較的少ないとされているが、正常聴力者が検査音より五dB弱い音が明瞭に聞き得る場所であることを確認しておく必要がある。

[cir3 ] オージオメータは、検査開始五分くらい前に電源スイッチを入れ、規定の電圧になっているか確認し、検査音を聞いておく。

[cir4 ] 検査しようとする側の耳に気導受話器を隙間がないようにぴったりあて、まず一〇〇〇Hz、二〇dBの音を断続して聞かせ、聞こえた合図があれば、四〇〇〇Hz、二〇dBに切り替えて音を断続し、聞こえるならば反対の耳について同様に検査する。

[cir5 ] 聴力検査を騒音作業に従事した直後に実施すれば、聴覚疲労のため一時的に聴力が低下していることがあるので、作業前か作業後三〇分以上おいて検査するように努めるべきである。

[cir6 ] 難聴の診断に当たっては、防音室内で診断用オージオメータを使用して、周波数一二五、二五〇、五〇〇、一〇〇〇、四〇〇〇及び八〇〇〇Hzの聴力レベルを測定する。

[Roman3 ] 自覚症状及び他覚症状の有無の検査

一 自覚症状

自覚症状は、健康診断後の事後指導・保健指導のうえで、重要な鍵となるものである。あらかじめ設定した、なるべく全身に関係する自覚症状を質問紙の形(問診票)で用意し、健康診断の前に受診者に配布し、記入して健康診断の場へ持参してもらうことが能率的である。

最近における自覚症状を中心に聴取するが、当該職員の業務に関連があると医学的に考えられるものを併せて行うことにより、職員の健康状態の一般的評価、特に労働適応状態の把握に有用となり、労働負荷に対する心身のストレスに関する情報源ともなり得るものである。

二 他覚症状

当該職員の訴え及び問視診に基づき、異常の疑いのある事項を中心として、医師の判断により検査項目を選定して行うものであるが、この際特に当該職員の業務との関連で必要と判断される事項を併せて行う必要がある。

他覚症状の有無の検査の基本は、視診・打診・聴診・触診など臨床診察的な手法による検査である。

(一) 視診

[cir1 ] 体格:筋骨の発達の度合、肥痩の程度、体型をみる。肥満・痩身に関する係数や皮脂厚測定値などと併せ判断する。

[cir2 ] 脊柱:胸廓の変形:外傷や疾病あるいは手術による変形、加齢による変化、そしてその程度が作業に耐えられるかどうかも判断する。

[cir3 ] 四肢の障害など:特に上肢の機能障害、手指の欠損・機能障害は作業能力に影響するところが大きので、よくみる。下肢については、歩行機能・階段昇降の機能に注目したい。

[cir4 ] 眼・鼻・唇・口腔・咽頭:一般的に貧血に留意するのはもちろんだが、粘膜の充血も職場で取り扱う有害物に起因することがあるので注意を要する。黄疸にも留意する。

[cir5 ] 顔面:貧血・黄疸・浮腫などをみる。

[cir6 ] 皮膚:発疹や湿疹、色調の変化、発汗の異常についてみる。

(二) 打診

通常は一方の手を当て、その手指を他の手の指で上からたたく両手法がとられ、胸部では前面左右それぞれ四~五か所、背面も同様左右各四~五か所、側面各二か所、胸部から腹部にかけ、肝の部位で数箇所を打診する。

(三) 聴診

聴診器は硬めの太いゴム管が音の損失が少ないとされ、その長さも四〇cmぐらいが適当といわれている。

心音については、第一心音と第二心音の区別をまずはっきりとらえるには、右第二肋間胸骨縁がよく、そのあと心尖部に移るほうが取り違えがない。

肺については、肺尖から下へ三~四か所、前面・背面の左右について、一呼吸一呼吸、注意深く聴いていく。

(四) 触診

腹部については触診が主となる。肝の下縁の触診は必要であり、腫瘤の有無に注意する。頸部・胸部についても、たとえ簡単でも触診する。肩や上腕、腰背部のこり、圧痛なども着目すべき点である。

[Roman4 ] 胸部エックス線検査

一 スクリーニング検査

(一) 対象者

全職員を対象とするが、結核患者、結核予防法施行規則第八条第三号に掲げる者(結核発病のおそれがあると診断されている者)及び医師がエックス線直接撮影を必要と認める者については対象としないことができる。

また、当該年度に一七歳又は一八歳に達する者については、次のいずれかに該当する者を除き、対象としない。

ア 胸部エックス線上治癒所見が発見された者等結核発病のおそれが大きい者(いわゆるハイリスクグループ)

イ 結核菌に接する機会の多い臨床検査に従事する者等結核感染のおそれが大きい者及び業務上多くの人に接する者等結核を発病した場合他に感染させるおそれがある者(いわゆるデインジャーグループ)

最近は肺がんの増加が目立つので、特に四〇歳以上の者については肺がんを十分に考慮して読影を行い、必要に応じて二重読影、比較読影を行うこと。

(二) 検査項目

胸部エックス線間接撮影とする。

(三) 検査方法

なるべくミラーカメラ(フィルムは一〇×一〇cm以上)で、高圧撮影装置により撮影することが望ましい。

二 精密検査

(一) 対象者

エックス線間接撮影の結果、異常所見の認められる者とする。

(二) 検査項目

ア 肺結核疑い例

エックス線直接撮影、かくたん結核菌検査及び赤血球沈降速度検査を行い、更に必要に応じ断層撮影、気管支撮影、聴打診、肺機能、その他必要な検査を行うものとする。

イ 肺がん疑い例

エックス線直接撮影、断層撮影、かくたん細胞診を行い、更に必要に応じて内視鏡的検査、その他必要な検査を行うものとする。

(三) 検査方法

ア 肺結核疑い例

[cir1 ] エックス線直接撮影

[cir2 ] かくたん検査

[cir3 ] 赤血球沈降速度検査

イ 肺がん疑い例

[cir1 ] エックス線直接撮影

[cir2 ] エックス線断層撮影

[cir3 ] かくたん細胞診

[Roman5 ] 血圧の測定並びに尿中の蛋白及び糖の有無の検査

一 スクリーニング検査

(一) 対象者

原則として三五歳以上の者を対象とするが、三五歳未満の者でも循環器疾患の既往歴のある者あるいは医師が受診を勧奨した者等については特に留意するものとする。

(二) 検査項目

血圧の測定並びに尿中の蛋白及び糖の有無の検査を行う。

(三) 検査方法

ア 血圧の測定

(水銀血圧計を用いた場合)

[cir1 ] 測定器具

* 点検済みの水銀血圧計を用いる。

* マンシェットは、ゴムノウの幅が約一三cm、長さは二二~二四cmのものを用いる。

* 膜型の聴診器を使用する。

[cir2 ] 測定の条件

《環境の条件》

* 静かな部屋で、室温は寒さ暑さを感じない程度に保つ。室温は二〇~二五℃とする。

《被検者の条件》

* 測定前の運動、食事、タバコ、寒冷曝露など、血圧測定値に影響ありと考えられる条件をさけるようにする。

* あらかじめ排尿させ、測定前五分以上の安静をとったあとに測定する。

* 体位は椅子の座位とする。臥位の場合はその旨記録する。

* 測定部位は右上腕部、左の場合は記録する。

* 上腕を緊迫する衣服を着ている場合は脱衣のうえ、マンシェットを巻く。

[cir3 ] 測定方法

* 水銀血圧計を垂直に置く。

* マンシェットの中の空気を完全に抜き、そのゴムノウの中央が上腕動脈にかかるように巻く。巻き方は、ゆるからず、かたからず、きちっと、マンシェットの下縁が肘窩の二~三cm上になるように巻く。

* 測定の際には肘関節を伸展させ、測定部位の高さは心臓と同じ高さにする。

* まず、触診法で最大血圧を推定し、いったんマンシェット圧をゼロに落とす。さらに触診法による推定圧値より三〇mmHg上にあげてから、触診法で最大血圧及び最小血圧を測定する。加圧は連続的に速やかに行い、再測定に際しては、圧をゼロにもどして加圧し直す。

* 水銀を落とす速度は、血圧測定点付近では一拍動二mmHgとする。

* 最小血圧は第五点をとる。第四点を測定し、記録することが望ましい。

* 目の高さは目盛りと同じ高さにする。

* 測定値の末尾の数字の読みは、偶数値読み(二mmHg単位)とし、中間の場合は低い値をとる。同時に連続して二回以上血圧を測定したときは、測定値のとり方を明記する(何回目の値か、平均か、高い方か、低い方かなど)。測定年月日、時刻、室温などを記録する。

* 水銀血圧計の点検の内容は次のようなことがらである。

・ 水銀血圧計を垂直の位置において圧力を加えないときは、常に指針がゼロ位に戻っていること。

・ 使用する血圧計全部を連結して送気を行い、度目二〇〇mmに達したとき送気を中止して弁を閉じ、そのままで三分間静置するも水銀柱が二mm以上下降してはならない。

・ 次に弁を全開したとき、速やかに一秒程度で指針がゼロ位に戻ること。

(自動血圧計を用いた場合)

[cir1 ] 測定装置

* 点検済みの自動血圧計を用いる。

* 血圧の測定原理が明らかで、かつ測定点の明確な自動血圧計を用いる。

血圧測定の指標とする生体情報がコロトコフ音なのか、そのほかの生理現象(位相差法、超音波ドップラー法など)なのかを明らかにする。

血圧測定点について、コロトコフ音を血圧測定の指標とする場合には、特に最小血圧がスワンの第四点か第五点かを明らかにし、コロトコフ音以外の生体情報を測定の指標とする場合には、最小血圧のみならず最大血圧についてもその基準を明確にする。

* 感度調節が可変式の場合には、標準感度の設定基準が明らかな自動血圧計を用いる。

感度調節が固定式か可変式かを明らかにし、可変式の場合にはあらかじめ決められた標準感度のレベルを変更しない。やむを得ず変更した場合には、その増幅度又はレベル変動の程度を明示する。

* マンシェットは、ゴムノウの幅が約一三cm、長さは二二~二四cmのものを用いる。

* マイクロフォンなど血圧情報検出のためのセンサーが、マンシェットのゴムノウの表面から内側に突出していないものを用いる。

[cir2 ] 測定の条件

《環境の条件》

* 静かな部屋で、室温は寒さ暑さを感じない程度に保つ。室温は二〇~二五℃とする。

《被検者の条件》

* 測定前の運動、食事、タバコ、寒冷曝露など、血圧測定値に影響ありと考えられる条件をさけるようにする。

* あらかじめ排尿させ、測定前五分以上の安静をとったあとに測定する。

* 体位は椅子の座位とする。臥位の場合はその旨記録する。

* 測定部位は右上腕部、左の場合は記録する。

* 上腕を緊迫する衣服を着ている場合は脱衣のうえ、マンシェットを巻く。

[cir3 ] 測定方法

* 自動血圧計を、振動が少なく操作しやすい位置に安定させて置く。

* 電源が交流式の場合には、スイッチを入れてから五~一〇分以上たってから、血圧測定を開始する。

電源が直流式(バッテリーを用いたもの)の場合には、スイッチを入れると同時に測定可能である。

* マンシェットの空気を完全に抜いてから、マンシェットに装着されているマイクロフォンなど血圧情報検出のためのセンサーがあらかじめ決められた上腕の所定の位置に密着するように巻く。巻き方は、ゆるからず、かたからず、マンシェットの下縁が肘窩にかからないようにきちっと巻く。

* 測定の際には、肘関節を伸展させ、測定部位の高さは心臓と同じ高さとする。

* まず、排気バルブを閉じ、血圧測定に必要かつ十分な加圧をした後、バルブを静かに操作しながら排気速度を調節して血圧測定を行う。

加圧は連続的に速やかに行い、加圧が不十分で測定不能の場合には、急速排気で圧をいったんゼロに戻してから加圧し直す。

加圧は、血圧測定に必要かつ十分な範囲に止めるべきで、過度な加圧は避けることが望ましい。

* 圧の下降速度は一秒間に二~四mmHgとする。

圧の下降は円滑に行い、最小血圧の確認後は、急速排気で速やかにゼロ位に戻す。

* 圧目盛りは表示がメーター式の場合には、測定値の末尾の読みは偶数読み(二mmHg単位)とし、中間の場合は低い方をとる。デジタル式の場合には、表示の数値をそのまま直読して測定値とする。

* 血圧測定中は、自動血圧計、特にマンシェットとその付属するゴムチューブへの振動は極力避けるように配慮する。

* 自動血圧計の点検の内容は次のようなことがらである。

・ 圧力を加えないときは、圧目盛りの表示が常にゼロ位を示していること。

・ 自動血圧計と水銀血圧計を連結して送気を行い、二〇〇mmHg、一五〇mmHg、一〇〇mmHgの各度目において両者の圧表示が一致すること。

・ 二〇〇mmHgまで加圧して排気バルブを閉じ、そのままで三分間静置した後の圧目盛りの表示が二mmHg以上下降しないこと。

・ 二〇〇mmHgまで加圧した後、排気バルブを全開にして圧目盛りの表示が速やかに一秒程度でゼロ位に戻ること。

・ バッテリーを電源とする自動血圧計においては、バッテリーの電圧が常に規定通りであること。

イ 尿中の蛋白及び糖の有無の検査

[cir1 ] 採尿法

コップに採尿する。紙コップを用いた方がよい。食後一時間ぐらいで採尿した方が尿糖は出やすく、糖尿病の見落としが少なくなる。

[cir2 ] 検査方法

試験紙法で検査する。ただし、その他の臨床検査法によることができる場合はその方法によるものとする。

[cir3 ] 実施要領

試薬部分を採取した尿に瞬時ひたし、過剰の尿は容器の端に試験紙をあてて取り除く。その際、試験紙を長く検体中につけすぎると試薬が溶出して正しい結果が得られない。

最も濃く着色した部分を付属の標準色調表と比較する。

糖:試験紙を尿に瞬時ひたした後、一〇秒後に比色する。

蛋白:試験紙を尿に瞬時ひたした後、一分以内に判定する。

[cir4 ] 試験紙取扱要領

* 容器は常に密栓し、試験紙を取り出した後は直ちに栓をすること。

* 試験紙は熱・湿気・直射日光を避けて保存すること。

* 試験紙の試薬部分には手をふれないこと。

* 保存中に変色した試験紙は使用しないこと。

* 比色は明るい照明の下で行うこと。

* ビタミンCの大量摂取の際は、糖反応が抑制されたり遅延して、正しい結果を得られないことがある。

* 尿が強アルカリの際は、蛋白反応は実際より強く出ることがある。

二 精密検査

(一) 対象者

ア 年齢に関係なく第一次測定で最大血圧一四〇mmHg以上、最小血圧九〇mmHg以上を示すものを正常域を超えるものとし、これに対して更に第二次測定を行い、二回ともそのいずれかが正常域を超える値を示した者又は一回でも最大血圧が一六〇mmHg以上か最小血圧が九五mmHg以上を示した者に対して精密検査を行う。第二次測定は第一次測定と日を変えて行うことが望ましい。

二回以上血圧を測定したときは、測定値のとり方を明記する(何回目の値か、平均値か、高い方か、低い方かなど。)。

イ 尿検査の結果、蛋白又は糖が陽性(蛋白については(±)を含む。)であった者。

(二) 検査項目

問診、血圧測定、尿検査及び心電図検査とするが、眼底検査、血清コレステロール検査及びHDL―コレステロール検査を行うことが望ましい。

(三) 検査方法

ア 問診

家族歴、既往歴、自覚症状等について実施する。

イ 血圧測定

排尿後検査室に入り、五~一五分間安静をとった後測定する。

被検者の体位は座位とすることが望ましい。その他の条件及び測定方法は、スクリーニング検査における方法に準ずる。

ウ 尿検査

[cir1 ] 蛋白及び潜血

早朝尿についてスクリーニング検査と同一検査を行い、更に血清クレアチニン検査を行う。同時に沈渣、PSP一五分値、その他の必要な項目を追加してもよい。試験紙による潜血検査は試験紙を尿に瞬時ひたした後、三〇秒後に比色する。

(注) ビタミンCの大量摂取の際は潜血反応が抑制されて正しい結果が得られないことがある。

[cir2 ] 糖

糖尿病に関する精密検査は、血糖検査を「七五gブドウ糖負荷試験」によって行う。

検査方法は、朝食を取らない空腹時に採血し、ついでブドウ糖を飲ませ、その後一時間、二時間に採血して検査する。この血糖検査は、設備が整っている医療機関等に依頼して行うことが望ましい。

なお、血糖値測定法には試験紙法などの簡便法は好ましくない。

[cir3 ] 尿沈渣

赤血球、白血球については四〇〇倍率。視野については視野平均の所見を記載する。円柱は全視野に一つでもあったら(+)とする。

エ 心電図検査

誘導は、標準肢誘導、単極肢誘導及び胸部誘導(計一二誘導)とする。

必要に応じ、マスターの負荷試験を行ってもよいが、その際十分被検者の安静時心電図及び身体状況に留意しなければならない。

[Roman6 ] 胃の検査

一 スクリーニング検査

(一) 対象者

ア 原則として四〇歳以上の者とする。ただし、四〇歳未満の者でも胃の自覚症状のある者、胃腸病の既往歴のある者あるいは医師が受診を勧奨した者等については特に留意する。

イ 妊娠中の者については、放射線障害防止上受診対象から除外する。

(二) 検査項目

問診及びエックス線間接撮影とする。

(三) 検査方法

間接撮影は一〇×一〇cm以上のフィルムを用い、撮影装置は被曝線量の低減を図るため[Roman1 ]・[Roman1 ]間接方式が望ましい。撮影枚数は最低七枚とする。撮影の体位及び方法は日本消化器集団検診学会の方式によるものとする。造影剤の使用に当たっては、その濃度を適切に保つとともに、副作用等の事故に注意する。

二 精密検査

(一) 対象者

エックス線間接撮影の結果、異常所見が認められる者とする。

(二) 検査項目及び検査方法

エックス線直接撮影及び胃内視鏡検査を行い、更に必要に応じてその他の検査を行うものとする。

この確定診断のための検査は、十分な設備と技術者を有する医療機関等で行われるよう配慮する。

[Roman7 ] 肝臓機能検査

一  スクリーニング検査

(一) 対象者

原則として四〇歳以上の者とする。ただし、四〇歳未満の者でも肝障害の既往歴のある者あるいは医師が受診を勧奨した者等については特に留意する。

(二) 検査項目及び検査方法

ア 総ビリルビン検査(BiL)

胆汁代謝検査で、Evelyn-Mallory法を基本とするジアゾ法がよい。

イ 血清トランスアミナーゼ活性値(GOT、GPT)

肝細胞の変性、壊死の状態をみる検査でReitman-Fra-nkel法により行う。

ウ 血清膠質反応検査(TTT、ZTT)

肝臓内の間葉系反応、線維増生の状態をみる検査で、硫酸亜鉛混濁試験(ZTT)により行う。チモール混濁試験(TTT)を併用することが望ましい。

エ アルカリホスファターゼ活性値(ALP)

胆汁うつ帯をみる検査でBessey法又はKing-king法により行う。

オ γ―グルタミルトランスペプチターゼ活性値(γ―GTP)

アルコール性肝障害、門脈域の細胞浸潤をみる検査。

カ ウイルス肝炎の有無

HBs抗原の検査でRPHA法で行う。

(注意)

○ HBs抗原の検査は個人の秘密を守り、人権に注意すること。

○ 肝機能の採血は朝食を取らない空腹時に行うことが望ましい。

二 精密検査(一次、外来検査)

(一) 対象者

スクリーニング検査により発見された異常者を対象に精密検査を行う。

(二) 検査項目及び検査方法

ア 総ビリルビン(BiL)

イ 直接型ビリルビン

ウ 血清アルブミン

エ Che(コリンエステラーゼ)

オ TTT、ZTT

カ 血清蛋白分画

キ GOT、GPT

ク ALP

ケ LAP(ロイシンアミノペプチラーゼ)

コ LDH(乳酸脱水素酵素)

サ ICG(インドサイアニングリーン)検査

シ 血液凝固因子

ス 総コレステロール

セ HBs抗原、HBs抗体

ソ 尿ビリルビン

タ 肝超音波検査

(三) 精密検査(二次、入院検査)

ア 肝シンチグラフィー

イ コンピュータ断層撮影(CT)

ウ 肝生検

エ 腹腔鏡検査

オ 門脈造影法 等

(様式表示)

-- 登録:平成21年以前 --