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国語審議会仮名遣い委員会試案「改定現代仮名遣い(案)」について

庁文国第三七号

昭和六〇年二月二二日
各省庁・都道府県庁・印刷・出版報道関係・都道府県教育委員会・国語関係団体・社会教育団体・学術用語関係団体あて
文化庁次長依頼

国語審議会仮名遣い委員会試案「改定現代仮名遣い(案)」について

昭和六〇年二月二日国語審議会から仮名遣い委員会試案として公表された「改定現代仮名遣い(案)」を別添のとおりお送りします。

この「改定現代仮名遣い(案)」は、国語審議会が文部大臣の諮問「国語施策の改善の具体策について」に基づき、三年間にわたって「現代かなづかい」の改善の問題に関して審議を進めた結果、仮名遣い委員会の試案として取りまとめたものであり、左記の概要のとおり、「現代かなづかい」がより一層受け入れられやすく使いやすいものになるよう配慮して作成されたものであります。

国語審議会では、この試案について関係各界をはじめ広く国民の意見を聴くことを望んでおり、今後寄せられる各方面の意見を参考として更に検討を重ね国語審議会として結論を得た上で文部大臣に答申する予定です。

ついては、「改定現代仮名遣い(案)」の趣旨を御理解の上その内容について、貴   として御意見があればお寄せくださるようお願いいたします。

なお、御意見は、来る四月末日までに文化庁文化部国語課あて文書でお送りください。

「改定現代仮名遣い(案)」の概要

一 性格

(一) この仮名遣いは、語を現代語の音韻に従って書き表すことを原則とし、一方、表記の慣習を尊重して一定の特例を設けたものであること。

(二) 法令、公用文書、新聞、雑誌、放送など、一般の社会生活において現代の国語を書き表すための仮名遣いのよりどころを示すものであり、科学、技術、芸術その他の各種専門分野や個々人の表記にまで及ぼそうとするものではないこと。

(三) 主として現代文のうち口語体のものに適用し、原文の仮名遣いによる必要のあるもの、固有名詞などでこれによりがたいもの、特殊な音や外来語の音などの書き表し方を対象とするものではないこと。

二 構成と内容

(一) 歴史的仮名遣いと対比した形で規則を立てることをやめて、規則の立て方を簡明にしたこと。

(二) 歴史的仮名遣いは、我が国の歴史や文化に深いかかわりをもつものとして尊重されるべきであり、また歴史的仮名遣いを知ることは、この仮名遣いの理解を深める上でも有用であるところから、付表を設けてこの仮名遣いと歴史的仮名遣いとの対照を示したこと。

(三) この仮名遣いによる表記の仕方は、「現代かなづかい」による表記と実際上ほとんど相違がないこと。ただし、二語の連合の「じ・ぢ」「ず・づ」の使い分けなど、従来明確でない嫌いがあったものを明確にするとともに、「きな」「つまく」「せかいゅう」などは「じ」「ず」で書くことを「本則とする」として、「ぢ」「づ」で書くことも許容する趣旨を表したこと。

(追記)

一 この「改定現代仮名遣い(案)」に関しては、別紙のように、国語審議会仮名遣い委員会試案「改定現代仮名遣い(案)」説明協議会を開催する予定です。

二 また、別途、各省庁等の関係官にお集まりいただいて、説明協議会を開催する計画ですので、申し添えます。

別添〔略〕

別添

国語審議会仮名遣い委員会試案

改定現代仮名遣い(案)

昭和六〇年二月二〇日

国語審議会

目次

はしがき

改定現代仮名遣い(案)

前文

本文

付表

参考資料

一 文部大臣諮問(昭和四一年六月一三日)

二 「現代かなづかい」と「改定現代仮名遣い(案)」との対照表

三 「現代かなづかい」(昭和二一年一一月一六日)内閣告示・内閣訓令

四 「正書法について」(昭和三一年七月五日国語審議会報告)抄

五 国語審議会審議経過一覧(昭和四一年六月以降)

六 第一六期国語審議会委員名簿

はしがき

戦後、新しい時代に即応し、国語審議会の答申・建議に基づいて一連の国語施策(当用漢字表、現代かなづかい、当用漢字別表、当用漢字音訓表、当用漢字字体表、送りがなのつけ方等)が広く実施されてきたが、その後、それらの実施の経験及び各方面からの意見や批判にかんがみ、再検討を加える必要が生じた。

そこで、昭和四一年六月、文部大臣から国語審議会に対して「国語施策の改善の具体策について」が諮問されるに至った。国語審議会はこの諮問にこたえ、まず、昭和四七年六月当用漢字改定音訓表及び改定送り仮名の付け方を答申し、これらは昭和四八年六月内閣告示・内閣訓令によって実施された。引き続き、昭和五六年三月常用漢字表を答申し、これは昭和五六年一〇月内閣告示・内閣訓令によって実施された。

さらに、国語審議会は、文部大臣の諮問事項中、検討すべき問題点として、なお残されていた「現代かなづかい」について、昭和五七年三月以降審議を進め、昭和六〇年二月二〇日、第一六期国語審議会の第三回総会で仮名遣い委員会試案「改定現代仮名遣い(案)」として取りまとめ、公表した。

この「改定現代仮名遣い(案)」は、三年間にわたる慎重な審議の成果であるが、国語施策の重要性にかんがみ、最終的な答申に先立ち、関係各界をはじめ広く国民の意見を聴くために、公表されたものである。

この趣旨から、「改定現代仮名遣い(案)」について広く御理解をいただくため、参考資料を添えてこの冊子を作成した。

昭和六〇年二月

文化庁文化部国語課

改定現代仮名遣い(案)

前文

〔はじめに〕

国語審議会は、昭和四一年六月以来、文部大臣の諮問に応じ、「国語施策の改善の具体策について」の審議を行ってきた。まず、昭和四七年六月当用漢字改定音訓表及び改定送り仮名の付け方を答申し、これらは昭和四八年六月内閣告示・内閣訓令によって実施された。引き続き、昭和五六年三月常用漢字表を答申し、これは、昭和五六年一〇月内閣告示・内閣訓令によって実施された。

さらに、国語審議会は、文部大臣の諮問事項中、検討すべき問題点としてなお残されていた「現代かなづかい」について、昭和五七年三月以降審議を進め、このたび、仮名遣い委員会試案として、この「改定現代仮名遣い(案)」をまとめた。

〔仮名遣いについての認識〕

一 仮名遣いの沿革

国語を仮名によって表記するということは、漢字の表音的使用、すなわち漢字を万葉仮名として用いたところから始まったが、初めは、音韻に従って、自由に漢字を用いたのであって、それを使い分けるきまりが立てられていたとは認めがたい。九世紀に至って、草体及び略体の仮名が行われるようになり、やがて一一世紀ごろ、いろは歌という形での仮名表が成立したが、その後の音韻の変化によって、「いろは」四七字の中に同音の仮名を生じ、一二世紀末にはその使い分けが問題になり、きまりを立てる考え方が出てきた。藤原定家を中心として定められていった使い分けのきまりが、いわゆる定家仮名遣いである。定家仮名遣いは、ときに、その原理について疑いを持たれることもあったが、後世長く歌道の世界を支配した。次に、一七〇〇年ごろになって、契沖が、万葉仮名の文献に定家仮名遣いとは異なる仮名の使い分けがあることを明らかにし、それ以後、古代における先例が国学者を中心とする文筆家の表記のよりどころとなった。一方、字音については、その後、中国の韻書に基づいて仮名表記を定める研究が進んだ。この字音仮名遣いと契沖以来の仮名遣いとを合わせて、今日普通に歴史的仮名遣いと呼んでいる。

明治の新政府が成立すると、公用文や教科書には歴史的仮名遣いが主として用いられるようになり、それ以来約八〇年間は、歴史的仮名遣いが社会一般の基準であった。しかし、その間には、表音主義による仮名遣いの改定がしばしば論議され、また、字音については小学校教科書に表音式の仮名遣いが約一〇年間実施されたことがある。そして、昭和二一年それまでの歴史的仮名遣いに代わる「現代かなづかい」が「大体、現代語音にもとづいて、現代語をかなで書きあらわす場合の準則」として制定され、これが、その後四〇年近く、官庁、報道関係、教育その他の各方面に広く用いられて今日に至っている。

二 「仮名遣い」という語の示す内容

今回の審議に当たっては、仮名によって語を表記するときのきまりを「仮名遣い」と考えた。これは、従来一般に、同音の仮名を語によって使い分けることが仮名遣いであると考えられていたのに比べると、広い見方である。

〔「改定現代仮名遣い(案)」の作成の経緯〕

「現代かなづかい」は、「教育上の負担を軽くするばかりでなく、国民の生活能率をあげ、文化水準を高める上に、資するところが大きい。」として実施されたものであるが、以来これに対しては、国民のだれもが自然にかつ容易に文章を書き表せるようになったとして、その果たした役割を大きく評価する意見がある一方、古典や文化的伝統との断絶をもたらしたという意見もあり、さらに、不徹底な表音主義のため混乱する面があるとして表音主義の徹底を求める意見もあった。

国語審議会は、「現代かなづかい」に対してこうした様々な意見があることについても十分留意しながら、仮名遣いの規範性や適用分野などの基本的問題、助詞「を」「は」「へ」、「じ・ぢ」「ず・づ」の使い分け、オ列長音に関するものなどの具体的な問題及び仮名遣いと古典教育の問題など、「現代かなづかい」に関する諸問題について審議を重ねた。審議に当たっては、明治時代以来の仮名遣い関係の諸案、仮名遣い問題の論評などを参照するとともに、教科書、辞書、新聞、雑誌などにおける仮名遣いの現状を把握することに努めた。

その結果、「現代かなづかい」実施以来四〇年近い歳月を経た今日、法令、公用文書、新聞、雑誌、放送など、一般の社会生活におけるその使用状況は、不安定とみるよりも安定しているとみるべきであり、「現代かなづかい」は、大筋において改める必要はないものと判断した。

しかし、「現代かなづかい」をより一層受け入れられやすく使いやすいものとするために、その性格、構成及び内容について、なお明確化や手直しが必要と考え、次項に述べるような改定案を作成した。

〔「改定現代仮名遣い(案)」の性格、構成及び内容〕

この「改定現代仮名遣い(案)」の性格、構成及び内容については、次のように考えることとした。

一 性格

(一) この仮名遣いは、語を現代語の音韻に従って書き表すことを原則とし、一方、表記の慣習を尊重して一定の特例を設ける。

(二) この仮名遣いは、法令、公用文書、新聞、雑誌、放送など、一般の社会生活において現代の国語を書き表すための仮名遣いのよりどころを示すものであり、科学、技術、芸術その他の各種専門分野や個々人の表記にまで及ぼそうとするものではない。

(三) この仮名遣いは、主として現代文のうち口語体のものに適用する。原文の仮名遣いによる必要のあるもの、固有名詞など、改めがたくまた新たにこれによりがたいものは除く。

(四) この仮名遣いは、擬声・擬態的描写や嘆声、特殊な方言音、外来語・外来音などの書き表し方を対象とするものではない。

(五) この仮名遣いは、「ホオ・ホホ(頬)」のような発音にゆれのある語についてその発音をどちらかに決めようとするものではない。

二 構成

(一) 「改定現代仮名遣い(案)」は、第一として原則に基づくきまりを、第二として表記の慣習による特例を示した。なお、付表で、この仮名遣いと歴史的仮名遣いとにおける仮名の使い方を対照させ、例を添えた。

(二) 「現代かなづかい」では、そのきまりを四表、細則三三項目、備考一〇項目などで示したが、今回の改定では、本文に原則五項目、特例六項目、付記二項目で示して構成を簡明にした。

三 内容(改定の要点)

(一) 「現代かなづかい」では、助詞の「は」「へ」、オ列の長音(拗長音を含む。)について、本則のほかに許容を認める趣旨の表現がされているが、一般社会におけるこれらの語の書き方の定着状況にかんがみ、これらの許容は省くこととした。

(二) 「じ・ぢ」「ず・づ」の使い分けについては、二語の連合の意識の薄い語について「じ」「ず」を用いることは、昭和三一年国語審議会報告「正書法について」に示されている方針を踏襲してこれを本則とし、「ぢ」「づ」を用いることを許容する趣旨を表した。

(三) 「現代かなづかい」では明示していないが、「えいせい(衛生)」「けいえい(経営)」などのようなエ列長音で発音されることのある語や「てきかく(的確)」「すいぞくかん(水族館)」などのような促音で発音されることのある語について、その仮名の表記に言及することが適切であると認め、付記を設けて考え方を示した。

〔その他〕

一 歴史的仮名遣い

歴史的仮名遣いは、仮名遣いの沿革の項でも述べたとおり、「現代かなづかい」の制定以前には、社会一般の基準として行われてきたものであり、今日においても、歴史的仮名遣いで書かれた文献等を読む機会は多い。歴史的仮名遣いが、我が国の歴史や文化に深いかかわりをもつものとして、尊重されるべきことは言うまでもない。また、歴史的仮名遣いを知ることは、この仮名遣いの理解を深める上でも有用である。今回、付表を設けて、この仮名遣いと歴史的仮名遣いとの対照を示したのはそのためである。

二 学校教育

この「改定現代仮名遣い(案)」は、性格の項で述べたとおり、現代の一般の社会生活における仮名遣いのよりどころを示したものである。学校教育においては、この趣旨を考慮して仮名遣いの教育が適切に行われることが望ましい。なお、歴史的仮名遣いの学習については、古典の指導において適切な配慮をすることが期待されるところである。

本文

凡例

一 原則に基づくきまりを第一に示し、表記の慣習による特例を第二に示す。

二 語例・用例はおおむね平仮名書きとし、適宜、括弧内に漢字を示す。*印をつけたものは、常用漢字表外の漢字である。

第一 語を書き表すのに、現代語の音韻に従って、次の仮名を用いる。

なお、下線を施した仮名は、第二に示す場合にだけ用いるものである。

一 直音


あ い う え お

  

か き く け こ

が ぎ ぐ げ ご

さ し す せ そ

ざ じ ず ぜ ぞ

た ち つ て と

だ ぢ づ で ど

な に ぬ ね の

  

は ひ ふ へ ほ

ば び ぶ べ ぼ

  

ぱ ぴ ぷ ぺ ぽ

ま み む め も

  

や ゆ よ

  

ら り る れ ろ

  

わ を

  

例 あさひ(朝日) さくら(桜) きく(菊) ついやす(費)

にわ(庭) ふじ(藤) ゆずる(譲) じめん(地面)

だいず(大豆)

えきか(液化) せいがくか(声楽家) さんぽ(散歩)

二 拗音


きゃ きゅ きょ

ぎゃ ぎゅ ぎょ

しゃ しゅ しょ

じゃ じゅ じょ

ちゃ ちゅ ちょ

ぢゃ ぢゅ ぢょ

にゃ にゅ にょ

  

ひゃ ひゅ ひょ

びゃ びゅ びょ

  

ぴゃ ぴゅ ぴょ

みゃ みゅ みょ

  

りゃ りゅ りょ

  

例 しゃかい(社会) しゅくじ(祝辞) かいじょ(解除)

りゃくが(略画)

注意 拗音に用いる「や、ゆ、よ」は、なるべく小書きにする。

三 撥音

例 まなんで(学) ○○さん しんねん(新年)

しゅんぶん(春分)

四 促音

例 はしって(走) かっき(活気) がっこう(学校)

せっけん(石鹸)

注意 促音に用いる「つ」は、なるべく小書きにする。

五 長音

(一) ア列の長音

ア列の仮名に「あ」を添える。

例 おかあさん おばあさん

(二) イ列の長音

イ列の仮名に「い」を添える。

例 にいさん おじいさん

(三) ウ列の長音

ウ列の仮名に「う」を添える。

例 おさむうございます(寒) くうき(空気) ふうふ(夫婦)

うれしゅう存じます きゅうり ぼくじゅう(墨汁)

ちゅうもん(注文)

(四) エ列の長音

エ列の仮名に「え」を添える。

例 ねえさん ええ(応答)

(五) オ列の長音

オ列の仮名に「う」を添える。

例 おとうさん とうだい(灯台)

わこうど(若人) おうむ

かおう(買) あそぼう(遊) おはよう(早)

おうらい(往来)

おうぎ(扇) ほうる(抛る) とう(塔)

よいでしょう はっぴょう(発表)

きょう(今日) ちょうちょう(蝶々)

第二 表記の慣習を尊重して、特定の語については次のように書く。

一 助詞の「を」は、「を」と書く。

例 本を読む 気をつける 私のをあげる

岩をも通す 失礼をばいたしました やむをえない

いわんや・・をや よせばよいものを

てにをは

二 助詞の「は」は、「は」と書く。

例 今日は日曜です うそはつかない 海は広い

では には とは のは からは よりは のでは

こそは までは ばかりは だけは ほどは ぐらいは

などは あるいは または もしくは

さては ついては いずれは ではさようなら

恐らくは 願わくは 惜しむらくは

これはこれは 悪天候もものかは

こんにちは こんばんは

なお、次のようなものは、この例にあたらないものとする。

いまわの際 すわ一大事

降るわ降るわ きれいだわ

三 助詞の「へ」は、「へ」と書く。

例 故郷へ帰る ・・・さんへ 母への便り 駅へは数分

四 動詞の「いう「言)」は、「いう」と書く。

例 ものをいう(言) いうまでもない 昔々あったという

どういう風に 人というもの こういうわけ

五 次のような語は、「ぢ」「づ」を用いて書く。

(一) 同音を連呼したもの

例 ちぢみ ちぢむ ちぢめる ちぢれる ちぢこまる

つづみ つづら つづく つづける つづめる つづる

なお、「いちじく」 「いちじるしい」は、この例にあたらない。

(二) 二語の連合したもの

例 はなぢ(血) そえぢ(乳) もらいぢち(乳)

まぢか(近) そこぢから(力) ひぢりめん

いれぢえ ちゃのみぢゃわん

こぢんまり

ちかぢか(近) ちりぢり

みかづき(月) たづな(綱) ともづな

きりづま にいづま(妻) ひづめ けづめ ひげづら

おこづかい わしづかみ てづくり(作) こづつみ(包)

ことづて はこづめ ひざづめ みちづれ

かたづく こづく どくづく うらづける

ゆきづまる ねばりづよい はたらきづめ

あいそづかし くにづくし こころづくし

つねづね(常) つくづく つれづれ

なお、次のような語については、現代語としては一般に二語の連合の意識の薄いものとして、「ぢ」「づ」を用いず、それぞれ「じ」「ず」と書くことを本則とする。ここには、接尾的要素で常に濁音であるもの、字音の結合で一つの漢語をなすものその他が含まれる。

例 たびじ(路) むそじ(六十)

かたず(唾) ときわず

さかずき ほおずき みみずく きずな いなずま

ぬかずく つまずく かしずく ひざまずく うなずく

おとずれる(訪)

なかんずく でずっぱり

さしずめ あせみずく

くんずほぐれつ

おのずから おのずと てずから みずから

いちにちじゅう せかいじゅう

うでずく なっとくずく

くろずくめ けっこうずくめ

ひとつずつ ふたりずつ

しんじゅう(心中) れんじゅう(連中)

じんずうりき(神通力) ゆうずう(融通)

六 次のような語は、オ列の仮名に「お」を添えて書く。

例 ほお(頬・朴) ほのお(炎) こおろぎ おおかみ

ほおずき

とお(十)

いきどおる(憤) おおう(覆) こおる(凍)

しおおせる

とおす(通) とおる とどこおる(滞) もよおす(催)

おおい(覆) こおり(氷) とおり(通) もよおし(催)

おおい(多) おおきい(大) とおい(遠) いとおしい

おおむね おおよそ おおげさ おおやけ(公)

なお、これらは、歴史的仮名遣いでオ列の仮名に「ほ」又は「を」が続いていたものであって、オ列の長音として発音されるか、オ・オ、ト・オのように発音されるかにかかわらず、オ列の仮名に「お」を添えて書くものである。

付記

一 次のような語は、エ列の長音として発音されるか、エイ、ケイなどのように発音されるかにかかわらず、エ列の仮名に「い」を添えて書く。

例 かれい せい(背・所為)

かせいで(稼) まねいて(招) 春めいて

へい(塀) めい(銘) れい(例)

えいが(映画) とけい(時計) ていねい(丁寧)

きれい

二 キ又はクで終わる字音が結合しているもののうち、次のような語は、結合の部分が促音化しているか、キ又はクの発音を保っているかにかかわらず、その部分をなるべく「き」又は「く」と書く。

例 てきかく(的確) きくか(菊花)

さんかくけい(三角形) すいぞくかん(水族館)

なお、「がっこう」(学校)のように完全に促音化したものは、この例にあたらない。

付表

凡例

1 音韻を目印として,この仮名遣いと歴史的仮名遣いとの主要な仮名の使い方を対照させる。

2 音韻を表すのに,片仮名及び長音符号「ー」を用いる。

3 例は,おおむね漢字書きとする。*印をつけたものは,常用漢字表外の漢字である。

4 ジの音韻の項には,便宜,拗音の例を合わせ挙げる。


現代語の音韻

この仮名遣いで用いる仮名

歴史的仮名遣いで用いる仮名

石 報いる 赤い 意図 愛

  

  

井戸 藍* 居る 胃病 権威

  

  

鴬* 貝 費やす 言ひ訳 恋しさ

歌 馬 浮かぶ 風雨 機運

  

  

買ふ 吸ふ 争ふ 危ふい

柄 枝 心得 見える 栄誉

  

  

声 植ゑる 絵 円 知恵

  

  

家 前 考へる 帰る 救へ

  

西へ進む

奥 大人 起きる お話 雑音

  

  

尾 十 踊る 青い 悪寒

  

  

顔 氷 滞る 直す 大きい

  

  

葵* 仰ぐ 倒れる

  

花を見る

蚊 紙 静か 家庭 休暇

  

  

くわ

火事 歓迎 結果 愉快 生活

石垣 蛾* 学問 岩石 生涯

  

  

ぐわ

臥*床 外国 丸薬 映画 正月

蜆* こじあける 字 自慢 術語

  

  

味 恥ぢる 痔* 地面 女性

  

縮む 鼻血 緋*縮緬* 入れ知恵

  

  

  

湯飲み茶碗*

鈴 物好き 知らずに 人数 洪水

  

  

水 珍しい 一つづつ 図画 大豆

  

鼓 続く 三日月 味噌*漬け 常々

輪 泡 声色 弱い 和紙

  

  

川 瓦* 回る 思はず 琵琶**

  

我は海の子 又は

ユー

ゆう

ゆう

勇気 湧*水 英雄

  

  

ゆふ

夕方 浜木綿

  

  

いう

郵便 遊戯

  

  

いふ

都邑* 大夫

  

いう

いふ

言ふ

オー

おう

おう

負うて 欧米 応答

  

  

あう

桜花 奥義 あうむ

  

  

あふ

扇 押収 凹凸

  

  

わう

弱う 王子 往来 卵黄

  

  

はう

買はう 舞はう 怖うございます

コー

こう

こう

拘束 功能 公平 気候 勃興*

  

  

こふ

劫*

  

  

かう

咲かう 赤う かうして 講義 健康

  

  

かふ

甲乙 太閤*

  

  

くわう

光線 広大 恐慌 破天荒

ゴー

ごう

ごう

皇后

  

  

ごふ

永劫* 罪業

  

  

がう

急がう 長う 強引 豪傑 番号

  

  

がふ

合同

  

  

ぐわう

轟*々

ソー

そう

そう

僧 総員 放送 吹奏 競走

  

  

さう

話さう 浅う さうして 草案 体操

  

  

さふ

挿話

ゾー

ぞう

ぞう

増加 憎悪

  

  

ざう

象 蔵書 製造 仏像

  

  

ざふ

雑煮

トー

とう

とう

疾うに 統一 冬至 暴投 北東

  

  

たう

峠 勝たう 痛う 刀剣 砂糖

  

  

たふ

塔 答弁 出納

ドー

どう

どう

どうして 銅 童謡 運動 空洞

  

  

だう

堂 道路 葡萄**

  

  

だふ

問答

ノー

のう

のう

能 農家 濃紺

  

  

のふ

昨日

  

  

なう

死なう 危なうございます 脳 背嚢* 瑪瑙**

  

  

なふ

納入

ホー

ほう

ほう

奉祝 豊年 霊峰

  

  

ほふ

法会

  

  

はう

箒* 葬る 報告 褒美 解放

  

  

はふ

抛*る はふはふの体 法律

ボー

ぼう

ぼう

某 貿易 解剖 無謀

  

  

ぼふ

正法

  

  

ばう

遊ばう 飛ばう 紡績 希望 堤防

  

  

ばふ

貧乏

ポー

ぽう

ぽう

本俸 連峰

  

  

ぽふ

説法

  

  

ぱう

電報 奔放 立方

  

  

ぱふ

立法

モー

もう

もう

もう一つ 啓蒙*

  

  

まう

申す 休まう 甘う 網膜 本望

ヨー

よう

よう

見よう ようございます 用 容易 中庸

  

  

やう

八日 早う の様だ 洋々 太陽

  

  

えう

妖*怪 要領 童謡 日曜

  

  

えふ

紅葉

ロー

ろう

ろう

楼 漏電 披露

  

  

ろふ

かげろふ ふくろふ

  

  

らう

祈らう 暗う 廊下 労働 明朗

  

  

らふ

候文 蝋燭**

キュー

きゅう

きゆう

弓術 宮殿 貧窮

  

  

きう

休養 丘陵 永久 要求

  

  

きふ

及第 急務 給与 階級

ギュー

ぎゅう

ぎう

牛乳

シュー

しゅう

しゆう

宗教 衆知 終了

  

  

しう

舅* 宜しう 周囲 収入 晩秋

  

  

しふ

執着 習得 襲名 全集

ジュー

じゅう

じゆう

充実 従順 絨毯** 拳*銃 臨終

  

  

じう

柔軟 野獣

  

  

じふ

十月 渋滞 墨汁

  

  

ぢゆう

住居 重役 講中 饅*頭

チュー

ちゅう

ちゆう

中学 衷心 注文 昆虫

  

  

ちう

抽出 鋳造 宇宙 白昼

ニュー

にゅう

にゆう

乳酸

  

  

にう

柔和

  

  

にふ

埴*生 入学

ヒュー

ひゅう

ひう

日向

ビュー

びゅう

びう

誤謬*

リュー

りゅう

りゆう

竜 隆盛

  

  

りう

留意 流行 川柳

  

  

りふ

粒子 建立

キョー

きょう

きよう

共通 恐怖 興味 吉凶

  

  

きやう

兄弟 鏡台 経文 故郷 熱狂

  

  

けう

教育 校合 矯正 鉄橋

  

  

けふ

今日 脅威 協会 海峡

ギョー

ぎょう

ぎよう

凝集

  

  

ぎやう

仰天 修行 人形

  

  

げう

今暁

  

  

げふ

業務

ショー

しょう

しよう

証拠 承諾 勝利 自称 訴訟

  

  

しやう

詳細 正直 商売 負傷 文章

  

  

せう

見ませう 小説 消息 少年 微笑

  

  

せふ

交渉

ジョー

じょう

じよう

冗談 乗馬 過剰

  

  

じやう

成就 上手 状態 感情 古城

  

  

ぜう

饒*舌 騒擾*

  

  

ぢやう

定石 丈夫 市場 令嬢

  

  

でう

箇条

  

  

でふ

画帖* 六畳

  

ぢょう

ぢやう

盆提灯

  

  

でう

一本調子

チョー

ちょう

ちよう

徴収 清澄 尊重

  

  

ちやう

腸 町会 聴取 長短 提灯

  

  

てう

調子 朝食 弔電 前兆 野鳥

  

  

てふ

蝶* 貼*付 通牒*

ニョー

にょう

によう

女房

  

  

ねう

尿

ヒョー

ひょう

ひよう

氷山

  

  

ひやう

拍子 平仄* 評判 大兵

  

  

へう

豹* 表裏 土俵 投票

ビョー

びょう

びやう

鋲* 病気 屏風* 平等

  

  

べう

廟* 秒読み 描写

ピョー

ぴょう

ぴよう

結氷 信憑*

  

  

ぴやう

論評

  

  

ぺう

一票 本表

ミョー

みょう

みやう

冥*加 名代 明日 寿命

  

  

めう

妙技 苗字

リョー

りょう

りよう

凌駕** 丘陵

  

  

りやう

領土 両方 清涼 善良 分量

  

  

れう

寮 料理 官僚 終了

  

  

れふ

漁 猟

参考資料

1 文部大臣諮問(昭和41年6月13日)〔略〕

2 「現代かなづかい」と「改定現代仮名遣い(案)」との対照表>―性格,構成,内容―


現代かなづかい

改定現代仮名遣い(案)

1 性格

  

(1) 大体,現代語音にもとづいて,現代語をかなで書きあらわす場合の準則を示したものである。(まえがき)

(1) 語を現代語の音韻に従って書き表すことを原則とし,一方,表記の慣習を尊重して一定の特例を設ける。

・ 法令,公用文書,新聞,雑誌,放送など,一般の社会生活において現代の国語を書き表すための仮名遣いのよりどころを示すものであり,科学,技術,芸術その他の各種専門分野や個々人の表記にまで及ぼそうとするものではない。

(2) 主として現代文のうち口語体のものに適用する。(〃)

(2) 主として現代文のうち口語体のものに適用する。

(3) 原文のかなづかいによる必要のあるもの,またはこれを変更しがたいものは除く。(〃)

(3) 原文の仮名遣いによる必要のあるもの,固有名詞など,改めがたくまた新たにこれによりがたいものは除く。

・ 擬声・擬態的描写や嘆声,特殊な方言音,外来語・外来音などの書き表し方を対象とするものではない。

・ 「ホオ・ホホ(頬)」のような発音にゆれのある語についてその発音をどちらかに決めようとするものではない。

2 構成

  

(1) 表,細則,注意,備考から成る。

(1) 本文,付表から成る。

(2) きまりを,4表,細則33項目,備考10項目で示す。

(2) きまりを,本文に,原則5項目,特例6項目,付記2項目で示す。

(3) 4表で,発音・新かなづかい・旧かなづかいの関係を整理して示し,細則33項目で例を挙げて具体的に示し,備考10項目で長音などに関する通則を示す。

(3) 本文の第1で原則に基づくきまりを,第2で表記の慣習による特例を,各々例を添えて示す。

なお,付表では,この仮名遣いと歴史的仮名遣いとにおける仮名の使い方を対照させ,例を添えて示す。

3 内容

  

大筋として,「現代かなづかい」の内容と同じであるが,次のとおり,若干の手直しや明確化を図った。

(1) 助詞「は」「へ」は,「は」「へ」と書くことを本則とする。

(1) 助詞「は」「へ」は,「は」「へ」と書く。

すなわち,現行では,「わ」「え」と書くことも許容する趣旨で「本則とする」となっているが,この許容を省くこととする。

(2) オ列長音は,オ列の仮名に「う」をつけて書くことを本則とする。

(2) オ列長音は,オ列の仮名に「う」をつけて書く。

すなわち,現行では,「お」をつけて書くことも許容する趣旨で「本則とする」となっているが,この許容を省くこととする。

(3) 「じ・ぢ」「ず・づ」の使い分けに当たり,二語の連合の意識の薄い語については,「じ」「ず」を用いることとされている。(昭和31年国語審議会報告「正書法について」)

(3) 「じ・ぢ」「ず・づ」の使い分けに当たり,二語の連合の意識の薄い語については,「じ」「ず」を用いることを「本則とする」として,「ぢ」「づ」を用いることを許容する趣旨を表す。

(4) 「クヮ・カ」「グヮ・ガ」および「ヂ・ジ」「ヅ・ズ」をいい分けている地方に限りこれを書き分けてもさしつかえない。(注意一)

(4) この注意書きを省くこととする。

  

(5) 付記として,新たに次の2項目を加える。

[cir1 ] 「えいせい(衛生)」「けいえい(経営)」のような語は,エ列長音で発音されるか,エイ,ケイなどのように発音されるかにかかわらず,エ列の仮名に「い」を添えて書く。

[cir2 ] 「てきかく(的確)」「すいぞくかん(水族館)」のような語は,「き」又は「く」の部分が促音化しているか,キ又はクの発音を保っているかにかかわらず,その部分をなるべく「き」又は「く」と書く。

3 「現代かなづかい」(昭和21年11月16日)内閣告示・内閣訓令

内閣告示第三十三号

改正 昭和56年10月1日内閣告示第2号

現代国語の口語文を書きあらわすかなづかいを,次のように定める。

昭和二十一年十一月十六日

内閣総理大臣 吉田茂

現代かなづかい

まえがき

一、このかなづかいは、大体、現代語音にもとづいて、現代語をかなで書きあらわす場合の準則を示したものである。

一、このかなづかいは、主として現代文のうち口語体のものに適用する。

一、原文のかなづかいによる必要のあるもの、またはこれを変更しがたいものは除く。


発音

新かなづかい

備考(旧かなづかいを示す。)

くわ

ぐわ


発音

新かなづかい

備考(旧かなづかいを示す。)

ユウ

ゆう

いう、いふ、ゆふ

オオ

おう

あう、わう、あふ、はう

コオ

こう

かう、くわう、かふ、こふ

ゴオ

ごう

がう、ぐわう、がふ、ごふ

ソオ

そう

さう、さふ

ゾオ

ぞう

ざう、ざふ

トオ

とう

たう、たふ

ドオ

どう

だう

ノオ

のう

なう、なふ、のふ

ホオ

ほう

はう、はふ、ほふ

ポオ

ぽう

ぱう

ボオ

ぼう

ぼう、ばふ、ぼふ

モオ

もう

まう

ヨオ

よう

やう、えう、えふ

ロオ

ろう

らう、らふ


発音

新かなづかい

備考(旧かなづかいを示す。)

キュウ

きゅう

きう、きふ

ギュウ

ぎゅう

ぎう

シュウ

しゅう

しう、しふ

ジュウ

じゅう

じう、じふ、ぢゆう

チュウ

ちゅう

ちう

ニュウ

にゅう

にう、にふ

ヒュウ

ひゅう

ひう

ビュウ

びゅう

びう

リュウ

りゅう

りう、りふ


発音

新かなづかい

備考(旧かなづかいを示す。)

キョオ

きょう

きやう、けう、けふ

ギョオ

ぎょう

ぎやう、げう、げふ

ショオ

しょう

しやう、せう、せふ

ジョオ

じょう

{じやう、ぢやう、ぜう、でう、でふ

チョオ

ちょう

ちやう、てう、てふ

ニョオ

にょう

ねう

ヒョオ

ひょう

ひやう、へう

ビョオ

びょう

びやう、べう

ミョオ

みょう

みやう、めう

リョオ

りょう

りやう、れう、れふ

(様式表示)

内閣訓令第八号

各官庁

「現代かなづかい」の実施に関する件

国語を書きあらわす上に、従来のかなづかいは、はなはだ複雑であつて、使用上の困難が大きい。これを現代語音にもとづいて整理することは、教育上の負担を軽くするばかりでなく、国民の生活能率をあげ、文化水準を高める上に、資するところが大きい。それ故に、政府は、今回国語審議会の決定した現代かなづかいを採択して、本日内閣告示第三十三号をもつて、これを告示した。今後各官庁においては、このかなづかいを使用するとともに、広く各方面に使用を勧めて、現代かなづかい制定の趣旨の徹底するように努めることを希望する。

昭和二十一年十一月十六日

内閣総理大臣 吉田茂

4 「正書法について」(昭和31年7月5日 国語審議会報告)抄〔略〕

5 国語審議会審議経過一覧(昭和41年6月文部大臣諮問以降)〔略〕

6 第16期国語審議会委員名簿〔略〕

-- 登録:平成21年以前 --