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埋蔵文化財の取扱について

文委保第七一号

昭和二六年九月二五日
各都道府県教育委員会あて
文化財保譲委員会事務局長通達

埋蔵文化財の取扱について

埋蔵文化財に関しては、文化財保護法(昭和二五年法律第二一四号、以下「法」という。)第五七条から第六五条までの規定があり、これらの適用については、必要のつどお知らせしてきたのでありますが、今回この運用の基本方針を中心に埋蔵文化財の取扱に関し下記のように取りまとめましたので、御了知のうえ、埋蔵文化財の取扱を適法かつ円滑ならしめるため御協力願います。

なお、埋蔵文化財については、遺失物法(明治三二年法律第八七号)の適用があり、埋蔵文化財の取扱上この関係においては、警察関係機関と密接な連絡を保つことが必要でありますので、とくに御留意願います。

(この取扱に関しては、国家地方警察本部と打合済であります。)

一 史跡に指定又は仮指定された土地以外の土地において埋蔵文化財の発掘をしようとするときは、文化財保護委員会に届け出なければならないこと(ただし史跡に指定または仮指定された土地においてこれをしようとするときは、現状変更として文化財保護委員会の許可を受けなければならない)。(法第五七条第一項および第八〇条第一項)

この届出は、発掘しようとする日の二〇日前までに埋蔵文化財発掘届出書規則(昭和二五年文化財保護委員会規則第四号)による届出書により、(許可の申請は、特別史跡名勝天然記念物または史跡名勝天然記念物現状変更等許可申請規則(昭和二六年文化財保護委員会規則第一〇号)による申請書により、)都道府県の教育委員会(以下「教育委員会」という。)を経由して行うこと。

二 文化財保護委員会は、埋蔵文化財の保護上とくに必要があると認めるときは、届出にかかる発掘に関し必要な指示をし、または発掘の禁止、停止もしくは中止を命ずることができる(許可の場合は、許可の条件として必要な指示をし、これに従わなかつた場合は、発掘(現状変更)を停止し、または許可を取り消すことができる)のであり、教育委員会においてこれに該当する事例があると認めるときは、すみやかにそのむねを通知されたいこと。

(法第五七条第二項および第八〇条第二項)

三 発掘により埋蔵文化財を発見したときは、埋蔵物としてこれを警察官署に差し出さなければならない(法第六五条及び遺失物法第一条第一項)(偶然に発見した場合ももちろん同様である。)

ただし、発掘により発見された埋蔵文化財または偶然に発見された埋蔵文化財がきわめて多量もしくは重いものである場合またはこれらがき損もしくは混ごうするおそれが多い場合、学術的な整理研究上必要である場合など警察官署に差し出すことが困難であり、またははなはだしく保存上支障があるときは、発掘担当者または発見者が警察官署に対し発見届をし、これをもつて警察官署への差出としての便宜の取扱を受けることができる。この場合には、教育委員会において発掘担当者を指導し、かつ、所轄警察署長と密接な連絡を保つよう留意されたいこと。

四 埋蔵物として差し出された物件が文化財と認められるときは、警察署長は、ただちにこれを教育委員会を経由して文化財保護委員会に提出しなければならない。(所有者が判明している場合を除く。この場合は、遺失物法第一条第二項の規定により、所有者に返還する必要があるので文化財保護委員会には提出しない。)

(法第六〇条)

ただし、前項但書により、発見届出をもつて警察官署への差出として取り扱う場合には、教育委員会において、発見の現場において立会のうえで、所轄警察署長から引渡を受け、これをもつて便宜上述の文化財保護委員会の提出として取り扱うこととする。

物件の提出(本項但書による引渡を含む。以下同じ。)のさい、警察署長は、別記一のような埋蔵文化財提出書を添えることになつている。教育委員会においては、提出を受けたときは、物件と引換に当該物件を明細にした受領証を警察署長に対し交付されたい。

五 提出された物件について、文化財保護委員会は、鑑査し、その結果これを文化財と認めたときは、そのむねを警察署長に通知し、文化財でないと認めたときは、そのむねを警察署長に通知し、文化財でないと認めたときは、これを警察署長に差し戻さなければならない。(法第六一条)

提出された物件は、ただちにこれを当委員会に送付することなく、教育委員会においてこれがいちおう文化財と認められるときは、そのむねを警察署長に通知し、かつ、これを保管されるとともに、次の書類を当委員会に提出されたい。

1 警察署長から受けた埋蔵文化財提出書(教育委員会には写を保管すること。)

2 所有者が判明しなかつた場合に当該埋蔵文化財の国庫帰属が確定するが、そのさいにおける現品の処置(後述七の4)に関する意見その他必要と考える事項を記載した書類

3 発掘者の提出した報告書(現品の名称・数量・説明などを記載し、重要と思われるものについては実測図・拓本・写真などを添付するものとする。)

(なお、偶然に発見された埋蔵文化財の提出を受けた場合には、報告書は、教育委員会において作成されたい。)

この報告書により、当委員会において調査し、必要があると認めるときは、さらに実地につき調査のうえ、適当な指示をし、または措置をとることとなる。なお、偶然に発見されたものの場合、教育委員会において、文化財と認められるか否かにつき疑義のあるときは、資料添付のうえすみやかに当委員会に照会されたい。

六 提出された物件は、前項によりいちおう教育委員会に保管願うのであるが、三の項但書の場合その他教育委員会において学術上の分類、整理などのための必要性を認め発掘者(偶然の発見の場合は、発見者)に一時保管させることを適当と判断した場合には、これらの者をして、その関係する官公署・学校・博物館・図書館・研究所などまたは発掘地の適切な場所において、暫時保管させることはさしつかえないものであること。そのさいには、このようの取扱は、学術研究上とくに便宜の措置をとつたものであり、教育委員会に代つて保管するのであるむねを承知せしめ、したがつて当該文化財を損、滅失するようなことなく、現状において厳重な注意の下に管理保存するよう注意を与え、かつ、別記二の様式による埋蔵文化財保管証を提出させ、その写を当委員会に提出されたい。

(1) 三の項により埋蔵物として物件の差出を受けた場合、その物件の所有者が知れないときは、警察署長は、遺失物法第一条第二項の規定により公告をする。

(2) 公告後六カ月内に所有者が判明し、その所有者から、警察署長に対し、当該文化財の返還の請求があつたときは、警察署長から連絡があるから、教育委員会においては、四の項により交付した受領証と引きかえにこれを当該警察署長に引き渡し、かつ、そのむねを当委員会に連絡せられたい。(法第六二条)

(ちなみに、所有者の出ることは、通常の考古資料たる埋蔵文化財に関しては、ほとんど皆無である。)

(3) 公告後六カ月内に所有者が判明しないときは、そのものの所有権は国庫に帰属する。この場合には、文化財保護委員会から当該文化財の発見者および発見された土地の所有者にそのむねが通知され、かつ、これらの者に折半して報償金が支給されることになる。(法第六三条、民法第二四一条)

(4) 国庫に帰属した文化財のうち、その保存のため、またはその効用から見て国が保有する必要がないものは、報償金にかえ、これを発見者または発見された土地の所有者に譲与することができ、または申請にもとづき、発見された土地を管轄する地方公共団体に譲渡することができる。(法第六四条)国が保有するか、あるいはこれらに譲与または譲渡するかは、当該文化財を国に保有すべき必要性を検討し、関係教育委員会・発掘関係者・地元市町村などの希望・意見・当該文化財の性質などを考慮して、決定のうえ教育委員会に連絡して措置することとする。

(5) なお、発見の日から七日内に警察官署に差出(または届出)をしない者は、報償金の支給または当該文化財の譲与を受ける権利を失うことになつている(法第六五条・遺失物法第九条)から発掘終了後七日以内に差出(届出)を行うこと。

八 なお、埋蔵文化財発掘の届出があつた場合当委員会において、禁止命令などの措置をとる必要を認めないものに対しては、そのつど発掘者あてにおおむね別記三のように指示することとする。そのさい教育委員会にはそのむね通知するがこの指示は緊急を要する場合が多く、また画一的なものであるから、直接本人に送付することとするから了承されたい。

九 法第五七条第一項の規定に違反して、発掘の届出をせず、または虚偽の届出をした者は、五、〇〇〇円以下、同条第二項の規定に違反して、発掘の禁止または停止もしくは中止の命令に従わなかつた者は、五、〇〇〇円以下、史跡の指定または仮指定地域内の発掘に関し、法第八〇条の規定に違反して、許可を受けず、もしくはその許可の条件に従わないでこれを行い、またはその発掘の停止の命令に従わなかつた者は、二五、〇〇〇円以下の、それぞれ過料に処せられること。(法第一〇九条第四号・第一一一条第二号・第五号)

別記一

別記二

別記三

埋蔵文化財の発掘について

昭和 年 月 日付で貴殿より届出のあった○○○○の発掘にさいしては、文化財保護法の趣旨を尊重され、左記のことを御了承のうえ、慎重に御実施下さい。(なお、この指示については、○○都道府県教育委員会に連絡済であります。)

1 発掘により埋蔵文化財を発見したときは、とりあえずその名称・数量・説明などを記載し、重要と思われるものについては実測図・拓本・写真などを添付した報告書を都道府県の教育委員会を経て文化財保護委員会に提出すること。

2 発掘完了後は、なるべくすみやかに、その調査報告書を提出すること。

3 埋蔵文化財を発見したときは、遺失物法第一条第一項の規定により、発掘終了後七日以内に警察官署にこれを差し出さなければならないのであるが、発見した埋蔵文化財がきわめて多量もしくは重いものである場合またはこれらが損もしくは混ごうするおそれが多い場合、学術的な整理研究上必要である場合など警察官署に差し出すことが困難であり、またはなはだしく保存上支障があるときは、警察官署への発見届出をもって便宜差し出したものとしての取扱を受けることができるから、いちおう事前に所轄警察官署および都道府県の教育委員会と密接に連絡しておき、警察署長に発見の届出を行うこと。

4 通常その埋蔵文化財は、発見の現場で警察署長から都道府県の教育委員会に引き渡されその保管に入るのであるが、同教育委員会において、学術上の分類・整理などのための必要を認めた場合には、発掘者は、その負担と責任において、その関係する官公署・学校・博物館・図書館・研究所などまたは発掘地の適切な場所で、これを一時保管することができる。この場合には、保管責任者を定め、別記の様式による保管証を都道府県の教育委員会に提出すること。なお、これは、学術研究上とくに認められた便宜の措置であるから厳重な注意の下に保管すること。

5 埋蔵文化財は、発見届出を受けたさい、所轄警察署長が公告をし、六カ月内に所有者が判明しないときは、その所有権は、国庫に帰属する。この場合発見者と発見された土地の所有者に折半して報償金が支給される。また、その保存のため、または効用から見て国に保有する必要のないものは、報償金にかえ、これを現場でこれらの者に譲与することもある。場合によっては、発見された土地を管轄する地方公共団体に譲渡することもある。

(別記は通達の別記二埋蔵文化財保管証に同じ)

 

 

 

 

-- 登録:平成21年以前 --