大学設置基準の一部を改正する省令等の公布について(通知)

 5文科教第438号
 令和5年6月15日
各国公立大学法人の長
大学を設置する各地方公共団体の長
各文部科学大臣所轄学校法人理事長
大学を設置する各学校設置会社の代表取締役  殿
独立行政法人大学改革支援・学位授与機構長
放送大学学園理事長
文部科学省総合教育政策局長
藤江 陽子

大学設置基準の一部を改正する省令等の公布について(通知)

 

 この度、別添1のとおり「大学設置基準の一部を改正する省令」(令和5年文部科学省令第24号)が、別添2のとおり「大学設置基準別表第一イ(1)備考第十一号の規定に基づき、教員養成に関する学部に係る基幹教員について定める件」(令和5年文部科学省告示第49号)が、それぞれ令和5年6月15日に公布され、同年10月1日から施行されることになりました。
 今回の改正は、「『令和の日本型学校教育』を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について~「新たな教師の学びの姿」の実現と、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成~(答申)」(令和4年12月19日中央教育審議会)において、変化の激しい時代にあって、学校現場の優れた実践者が教師養成に関わることは意義のあることであり、教師の養成について理論と実践の往還を重視した好循環を実現していくことが求められることや、学部段階においても、教職経験を有する大学教員の登用を進めることが重要であり、これを担保するための制度的な枠組みとして、教員養成に関する学部における実務家教員の配置に係る具体的な基準を設定することについて提言がなされたことを踏まえ、大学設置基準における基幹教員に係る配置基準の中で、教員養成に関する学部においては、専攻分野における実務の経験を有し、かつ高度の実務の能力を有する者を含めるものとすることを規定するものです。

 今回の改正・制定の概要及び留意事項は下記のとおりですので、十分御了知いただき、その運用に当たっては遺漏なきようお取り計らいください。
 

第1 大学設置基準の改正(大学設置基準の一部を改正する省令(令和5年文部科学省令第24号)

1 改正の概要
 教員養成に関する学部については、学部の種類及び規模に応じて必要とされる基幹教員の数に関し、専攻分野における実務の経験を有し、かつ、高度の実務の能力を有する者を含むものとしたこと。(大学設置基準別表第一イ(1)備考第十一号関係)
 
2 施行期日
 この省令は、令和5年10月1日から施行すること。(附則第1条関係)

<1>認可の申請に係る審査に関する経過措置
ア 令和6年度又は令和7年度に行おうとする大学の設置等(大学の設置等の認可の申請及び届出に係る手続等に関する規則(平成18年文部科学省令第12号)第1条に規定する大学の設置等をいう。以下同じ。)の認可の申請に係る審査については、なお従前の例によること。(附則第2条第1項関係)
イ 令和8年度以後に行おうとする大学の設置等の認可(設置者の変更に係るものに限る。)の申請に係る審査については、アの規定を準用すること。(附則第2条第2項関係)
 
<2>届出に関する経過措置
ア この省令の施行の日前にした大学の設置等の届出については、なお従前の例によること。(附則第3条第1項関係)
イ アの規定にかかわらず、令和6年度又は令和7年度に行おうとする大学の設置等の届出については、なお従前の例によること。(附則第3条第2項関係)
 
<3>教員に関する経過措置
ア この省令の施行の際に現に設置されている教員養成に関する学部を置く大学に対するこの省令による改正後の大学設置基準別表第一イ(1)備考第十一号及び同表イ(2)備考第三号の規定の適用については、なお従前の例によること。(附則第4条第1項関係)
イ アの規定にかかわらず、令和8年度以後に行おうとする大学の設置等の認可(設置者の変更に係るものを除く。)の申請又は届出をする場合(教員養成に関する学部に係るものを含む場合に限る。)には、当該認可の申請又は届出に係る大学については、この省令による改正後の規定を適用すること。(附則第4条第2項)
 

第2 大学設置基準(昭和31年文部省令第28号)別表第一イ(1)備考第十一号の規定に基づき、教員養成に関する学部に係る基幹教員について定める件(令和5年文部科学省告示第49号)

1 大学設置基準別表第一イ(1)備考第十一号に規定する教員養成に関する学部に係る基幹教員数のおおむね2割以上は、専攻分野におけるおおむね5年以上の実務の経験を有し、かつ、高度の実務の能力を有する者とすること。(第1項関係)

2 1に規定する実務の経験を有し、かつ、高度の実務の能力を有する基幹教員は、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校又は就学前の子供に関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成18年法律第77号)第2条第7項に規定する幼保連携型認定こども園の教員としての実務の経験を有する者を中心として構成されるものとすること。(第2項関係)
 

第3 留意事項

1 「教員養成に関する学部」とは、卒業要件単位数の修得により教員免許状を取得することが可能であるとともに、小学校教員養成の課程及び中学校教員養成の課程の両課程を有する教員養成を目的とする学部をいうものと解しており、従前と取扱いに変更はないこと。
 
2 今般の改正を踏まえて、教員養成に関する学部においては、基幹教員である実務家教員による実践的な授業を配置し、理論と実践の往還を重視した教育課程を展開していくことが期待されること。また、各授業科目を担当する教員は、当該授業科目に対応し適正なものであることが必要であり、教育研究実施組織全体としてのバランスを確保すること。
 
3 実務家教員については、単に自らの実務経験や授業観・学習観を学生にそのまま伝達するのではなく、大学教員として、実務経験を体系化・構造化し、理論と結び付けながら教育を行うことが求められるものであり、各大学においては、教職大学院の学びを生かしたキャリアパスを設定する等、教育委員会や附属学校、教職大学院等との連携を一層強化し、実務家教員の計画的な育成及び確保に努めること。
 
4 実務家教員の計画的な育成及び確保を図る観点から、教職大学院を修了した者が、将来の実務家教員の候補として、実務経験と研究能力をあわせ持ち、学校現場全体を客観的、理論的に見通す力を有することができるようにするため、教職大学院においては、専門職大学院制度の趣旨に十分留意した上で、例えば、学生の希望に応じて、学会等での発表や論文の投稿等にもつながるよう、教育実践研究に関する成果等をまとめる活動を展開する等の工夫を図ることが考えられること。
 
5 実務家教員の具体の範囲等に係る判断の観点については、教職大学院における取扱い等を参考にしつつ、適切に対応されたいこと。
 
6 各大学においては、実務家教員が大学教員に必要な知識及び技能を習得し、その能力及び資質を向上させることができるよう、大学設置基準第11条第1項及び第2項等に基づき実施するものとされている組織的な研修等の高度化に努めるとともに、研究者教員についても、学校現場での教育実践研究や学校現場との共同研究に加え、附属学校等も活用しながら、一定期間、学校現場における指導経験を積めるようにする等により、教員養成分野の大学教員として必要な実践性を向上させることができるよう、組織的に取組を進めることが期待されること。
 
7 令和8年度以後の教員養成に関する学部の設置等に当たり、改正後の大学設置基準に基づき手続きを行う場合の記載事項については、今後、「大学の設置等に係る提出書類の作成の手引(令和8年度開設用)」において反映する予定であること。

お問合せ先

総合教育政策局教育人材政策課教員養成企画室

電話番号:03‐5253‐4111(内線3498)

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(総合教育政策局教育人材政策課)