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地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律について(通知)

26文科初第490号
平成26年7月17日

各都道府県知事
各都道府県教育委員会
各指定都市市長
各指定都市教育委員会 殿

文部科学省初等中等教育局長
前川 喜平

地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律について(通知)


  このたび、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律(平成26年法律第76号)」(以下「改正法」という。)が、本年6月20日に公布され、平成27年4月1日から施行されることとなりました(別添1及び別添2)。
  今回の改正は、教育の政治的中立性、継続性・安定性を確保しつつ、地方教育行政における責任体制の明確化、迅速な危機管理体制の構築、地方公共団体の長と教育委員会との連携の強化、地方に対する国の関与の見直し等制度の抜本的な改革を行うものであります。
  改正法の概要及び留意事項は下記のとおりですので、関係する規定の整備等事務処理上遺漏のないよう願います。
  都道府県教育委員会におかれては、域内の市町村長及び市町村教育委員会に対して、本改正の周知を図るとともに、適切な事務処理が図られるよう配慮願います。
  なお、改正法は、関係資料と併せて文部科学省のホームページに掲載しておりますので、御参照ください。また、関係する政令の改正については、追ってこれを行い、別途通知する予定ですので、あらかじめ御承知おき願います。

第一 新「教育長」について

1改正法の概要

(1)新「教育長」の任命等
1)教育長は、当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者で、人格が高潔で、教育行政に関し識見を有するもののうちから、地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命することとしたこと。(改正後の地方教育行政の組織及び運営に関する法律(以下単に「法」という。)第4条第1項)
2)教育長の任期は、3年としたこと。(法第5条第1項)

(2)新「教育長」の職務及び服務
1)教育長は、教育委員会の会務を総理し、教育委員会を代表することとしたこと。(法第13条第1項)
2)教育長は、教育委員会の委員長に代わり、議会の審議に必要な説明のため議長から出席を求められたときは、議場に出席しなければならないこととしたこと。(改正法による改正後の地方自治法第121条)
3)教育長は常勤とし、その勤務時間及び職務上の注意力の全てをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならないこととしたこと。(法第11条第4項及び第5項)また、教育委員会の許可を受けなければ、営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利を目的とする私企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならないこととしたこと。(法第11条第7)

(3)新「教育長」の代理
教育長に事故があるとき、又は教育長が欠けたときは、あらかじめその指名する委員がその職務を行うこととしたこと。(法第13条第2項)

2留意事項

今回の改正は、教育委員会を引き続き執行機関としつつ、その代表者である委員長と事務の統括者である教育長を一本化した新「教育長」を置くことにより、迅速な危機管理体制の構築を図ることを含め教育行政の第一義的な責任者を明確化することとしている。

(1)新「教育長」の任命等
1)現行の教育長が教育委員会の委員の一人であるのに対し、新「教育長」は教育委員会の構成員であるが、委員ではないこと。
2)現行の教育長は、任命に議会同意を必要とする教育委員会の委員として特別職の身分を有するとともに、併せて教育委員会が任命する教育長として一般職の身分を有するものであったが、新「教育長」は、地方公共団体の長が議会の同意を得て任命する職であることから、特別職の身分のみを有するものとなり、法律に特別の定めがある場合を除くほか、地方公務員法は適用されないこと。
3)新「教育長」は、「教育行政に識見を有するもの」のうちから任命することとされているが、これは教育委員会事務局職員や教職員経験者に限らず、行政法規や組織マネジメントに識見があるなど、教育行政を行うにあたり、必要な資質を備えていれば、幅広く該当するものであること。
4)教育長の任命の議会同意に際しては、新「教育長」の担う重要な職責に鑑み、新「教育長」の資質・能力を十全にチェックするため、例えば、候補者が所信表明を行った上で質疑を行うなど、丁寧な手続を経ることが考えられること。
5)新「教育長」の任期については、(1)地方公共団体の長の任期(4年)よりも1年短くすることで、地方公共団体の長の任期中少なくとも1回は自らが教育長を任命できること、(2)教育長の権限が大きくなることを踏まえ、委員よりも任期を短くすることで、委員によるチェック機能と議会同意によるチェック機能を強化できること、(3)計画性を持って一定の仕事を行うためには3年は必要と考えられることから、3年とするものであること。

(2)新「教育長」の職務
1)新「教育長」の職務について規定する法第13条第1項の「教育委員会の会務を総理」するとは、改正前の地方教育行政の組織及び運営に関する法律(以下単に「現行法」という。)における委員長の職務である「教育委員会の会議を主宰」すること(現行法第12条第3項)並びに現行法における教育長の職務である「教育委員会の権限に属するすべての事務をつかさどる」こと(現行法第17条第1項)及び「事務局の事務を統括し、所属の職員を指揮監督する」こと(現行法第20条第1項)を意味するものであること。
2)新「教育長」は、執行機関である教育委員会の補助機関ではなく、教育委員会の構成員であり、代表者であることから、教育委員会による教育長への指揮監督権は法律上規定されていないが、教育委員会は引き続き合議体の執行機関であるため、教育長は教育委員会の意思決定に基づき事務をつかさどる立場にあることに変わりはなく、教育委員会の意思決定に反する事務執行を行うことはできないものであること。

(3)新「教育長」の代理
1)新「教育長」は教育委員会の構成員となり、かつ代表者となることから、その代理は教育委員会事務局職員の中からではなく、委員の中から選任することとしたこと。
2)職務代理者が行う職務のうち、具体的な事務の執行等、職務代理者が自ら事務局を指揮監督して事務執行を行うことが困難である場合には、法第25条第4項に基づき、その職務を教育委員会事務局職員に委任することが可能であること。
3)新「教育長」の職務代理者たる委員は、法律上教育長の権限に属する一切の職務を行うものであるが、その場合でも、教育長の身分に関する規定は適用されず、服務については法第12条が適用されるものであること。

(4)新「教育長」の資質・能力の向上
 新「教育長」は、教育行政に大きな権限と責任を有することとなるため、その資質・能力の向上は、極めて重要であり、強い使命感を持ち、各種研修会への参加など常に自己研鑽に励む必要があること。

第二 教育委員会について 

1改正法の概要

1)教育委員会は、教育長及び委員をもって組織することとしたこと。(法第3条)
2)教育委員会の会議は教育長が招集し、教育委員会の会議の議事は出席者の過半数で決し、可否同数のときは教育長の決するところによることとしたこと。(法第14条第1項及び第4項)
3)教育長は、委員の定数の三分の一以上の委員から会議に付議すべき事件を示して会議の招集を請求された場合には、遅滞なく、これを招集しなければならないこととしたこと。(法第14条第2項)
4)教育長は、教育委員会規則で定めるところにより、教育委員会から委任された事務又は臨時に代理した事務の管理及び執行の状況を教育委員会に報告しなければならないこととしたこと。(法第25条第3項)
5)教育長は、教育委員会の会議の終了後、遅滞なく、その議事録を作成し、これを公表するよう努めなければならないこととしたこと。(法第14条第9項)
6)教育長及び委員は、その職務の遂行に当たっては、法第1条の2に規定する基本理念及び大綱に則して、かつ、児童、生徒等の教育を受ける権利の保障に万全を期して当該地方公共団体の教育行政の運営が行われるよう意を用いなければならないこととしたこと。(法第11条第8項、第12条第1項)

2留意事項

 今回の改正においては、新「教育長」が教育行政に大きな権限と責任を有することとなることを踏まえ、教育委員会の委員による教育長のチェック機能を強化するとともに、住民に対して開かれた教育行政を推進する観点から、会議の透明化を図ることとしている。

(1)教育委員会の委員による教育長に対するチェック機能の強化
1)改正後においても、教育委員会は合議制の執行機関であるため、その意思決定は、教育長及び委員による会議において、出席者の多数決によって決せられるものであり、委員の役割が引き続き重要なものであること。
2)改正法における委員の側からの教育委員会会議の招集の請求や教育長に委任した事務の執行状況に関する報告の規定は、委員による教育長の事務執行に対するチェック機能を強化するという観点から、設けられたものであること。
3)法第14条第2項における「遅滞なく」とは、請求があれば直ちに招集するという意味ではないが、一般的には、教育長は次の定例会より前の合理的な期間内に教育委員会会議を招集する必要があること。
4)教育長による報告の在り方については、各教育委員会の実情に応じ、委員によるチェック機能を発揮できるよう、報告の時期や対象となる事項について、教育委員会規則において、適切に定める必要があること。
5)教育委員会は、必要に応じて、教育長に委任する事項についての方針を定めることや、委任した事務について教育長から報告を求め、教育委員会で議論し、必要に応じて事務の執行を是正し、又は委任を解除することが可能であること。

(2)会議の透明化
 改正法において教育委員会会議の議事録の作成及び公表を努力義務にとどめた趣旨は、職員数が少ない小規模な地方公共団体における事務負担等を考慮したものであるが、原則として、会議の議事録を作成し、ホームページ等を活用して公表することが強く求められること。
また、教育委員会会議の開催時間や場所等の運営上の工夫を行うことにより、教育委員会会議をより多くの住民が傍聴できるようにすることが望ましいこと。

(3)委員の責任と資質・能力の向上
1)改正後においても、委員は、執行機関の一員であり、教育委員会の重要事項の意思決定を行う責任者であるという意識を持ち、教育委員会における審議を活性化するとともに、教育長及び教育委員会事務局のチェックを行うという役割を従来以上に果たすことが期待されること。また、このような職責を担う委員の資質向上のため、各委員への研修の充実が期待されること。
2)法第11条第8項及び第12条第1項は、深刻ないじめや体罰の問題など、児童、生徒等の教育を受ける権利に関わる問題の発生を防止することの重要性を踏まえ、教育長及び委員は教育を受ける権利の保障に万全を期して、教育行政の運営を行う必要がある旨を法律に明記することとしたものであること。
また、この規定は、職務遂行に当たっての留意事項について、訓示的に規定したものであり職務上の義務を課すものではないので、当該規定に反したとしても、罷免事由である「職務上の義務違反」とすることはできないこと。

(4)委員の任命
1)改正後においても委員の資格要件は変更していないが、委員には、単に一般的な識見があるというだけではなく、教育に対する深い関心や熱意が求められるところであり、例えば、PTAや地域の関係者、コミュニティ・スクールにおける学校運営協議会の委員、スポーツ・文化の関係者を選任したり、教育に関する高度な知見を有する者を含めるなど、教育委員会の委員たるにふさわしい幅広い人材を得ることが必要であること。
2)また、同様の観点から、改正後の委員の数については、町村及び町村のみが加入する組合においては、条例で定めるところにより、2名以上とすることが可能であるが、教育長の事務執行をチェックするという委員の役割に鑑み、可能な限り4名とすることが望ましいこと。
  さらに、各地方公共団体の条例で定めるところにより、委員を5名以上とすることも可能であり、委員数の上限は法律上定められていないことから、教育委員会が行う施策について多様な民意を幅広く反映させる等のため、委員の数を5名以上とすることも積極的に考慮されるべきこと。
3)なお、保護者委員の選任が、平成20年度より法律上の義務とされていることから(現行法第4条第4項(法第4条第5項))、保護者委員を任命していない教育委員会においては、速やかに選任する必要があること。

(5)自己点検・評価の活用
 教育委員会が、効果的な教育行政の推進を図り、地域住民への説明責任を果たす観点から、平成20年度より、教育委員会は、毎年、自らの活動状況の点検及び評価を行うことが法律上の義務とされていることから(現行法第27条(法第26条))、実施していない地方公共団体においては、速やかに実施する必要があること。
また、すでに実施している地方公共団体においては、点検及び評価の客観性を確保する観点から、法律において、教育に関し学識経験を有する者の知見の活用を図るものとされている趣旨に鑑み、学識経験者として、保護者や地域住民の意見も聴くこととするなど、更なる改善を図ることも考えられること。

(6)その他
 教育委員会における審議を活性化し、地域住民の民意を十分に反映するためには、「教育委員会の現状に関する調査」(文部科学省実施)の調査項目となっている学校や教育委員会事務局に寄せられた意見の教育委員会会議における紹介、アンケートの実施、公聴会や意見交換会の開催、所管施設の訪問等の取組が有効であることから、これらの機会を積極的に設ける必要があること。

第三 大綱の策定について

1改正法の概要

1)地方公共団体の長は、教育基本法(平成18年法律第120号)第17条第1項に規定する基本的な方針を参酌し、その地域の実情に応じ、当該地方公共団体の教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策の大綱を定めるものとすることとしたこと。(法第1条の3第1項)
2)地方公共団体の長は、大綱を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、総合教育会議において協議するものとすることとしたこと。(法第1条の3第2項)
3)地方公共団体の長は、大綱を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならないこととしたこと。(法第1条の3第3項)
4)法第1条の3第1項の規定は、地方公共団体の長に対し、法第21条に規定する事務(教育委員会が管理し、執行する事務)を管理し、又は執行する権限を与えるものと解釈してはならないものとしたこと。(法第1条の3第4項)   

2留意事項

地方公共団体の長は民意を代表する立場であるとともに、教育行政においては、大学及び私立学校を直接所管し、教育委員会の所管事項に関する予算の編成・執行や条例提案など重要な権限を有している。また、近年の教育行政においては福祉や地域振興などの一般行政との密接な連携が必要となっている。これらを踏まえ、今回の改正においては、地方公共団体の長に大綱の策定を義務付けることにより、地域住民の意向のより一層の反映と地方公共団体における教育、学術及び文化の振興に関する施策の総合的な推進を図ることとしている。 

(1)大綱の定義
1)大綱は、地方公共団体の教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策について、その目標や施策の根本となる方針を定めるものであり、詳細な施策について策定することを求めているものではないこと。
2)大綱は、教育基本法に基づき策定される国の教育振興基本計画における基本的な方針を参酌して定めることとされている。「参酌」とは参考にするという意味であり、教育の課題が地域によって様々であることを踏まえ、地方公共団体の長は、地域の実情に応じて大綱を策定するものであること。
3)国の第2期教育振興基本計画(平成25年6月14日閣議決定)においては、主に第1部及び第2部のうち成果目標の部分が、大綱策定の際に参酌すべき主たる対象となること。
4)大綱が対象とする期間については、法律では定められていないが、地方公共団体の長の任期が4年であることや、国の教育振興基本計画の対象期間が5年であることに鑑み、4年~5年程度を想定しているものであること。
5)法第1条の3第4項は、教育委員会が今回の改正後も引き続き執行機関であることから、大綱に記載された事項を含め、教育委員会の所管に属する事務については、自らの権限と責任において、管理し、執行すべきものであり、地方公共団体の長が有する大綱の策定権限は、教育委員会の権限に属する事務を管理し、執行する権限を地方公共団体の長に与えたものではないことを確認的に規定したものであること。

(2)大綱の記載事項
1)大綱の主たる記載事項は、各地方公共団体の判断に委ねられているものであるが、主として、学校の耐震化、学校の統廃合、少人数教育の推進、総合的な放課後対策、幼稚園・保育所・認定こども園を通じた幼児教育・保育の充実等、予算や条例等の地方公共団体の長の有する権限に係る事項についての目標や根本となる方針が考えられること。
2)大綱は、教育行政における地域住民の意向をより一層反映させる等の観点から、地方公共団体の長が策定するものとしているが、教育行政に混乱を生じることがないようにするため、総合教育会議において、地方公共団体の長と教育委員会が、十分に協議・調整を尽くすことが肝要であること。
3)地方公共団体の長が、教育委員会と協議・調整の上、調整がついた事項を大綱に記載した場合には、法第1条の4第8項により、地方公共団体の長及び教育委員会の双方に尊重義務がかかるものであること。なお、会議で調整した方針に基づいて事務執行を行ったが、結果として大綱に定めた目標を達成できなかった場合については、尊重義務違反には該当しないこと。
4)地方公共団体の長が、教育委員会と調整のついていない事項を大綱に記載したとしても、教育委員会は当該事項を尊重する義務を負うものではないこと。なお、法第21条(現行法第23条)に定められた教育に関する事務の執行権限は、引き続き教育委員会が有しているものであることから、調整のついていない事項の執行については、教育委員会が判断するものであること。
5)教育長及び教育委員には、法第11条第8項及び第12条第1項において、大綱に則った教育行政を行うよう訓示的に規定しているものの、調整がついてない事項についてまで、大綱に則して教育行政の運営が行われるよう意を用いなければならないものではないこと。
6)大綱には、地方公共団体の長の権限に関わらない事項(教科書採択の方針、教職員の人事の基準等)について、教育委員会が適切と判断して記載することも考えられること。
7)都道府県教育委員会は、市町村立学校に設置される県費負担教職員の人事や研修を行う権限を有し、法第48条に基づき、市町村に対し、必要な指導、助言、援助を行うことができるものであることから、そのような権限の範囲内で、都道府県の大綱において、市町村立学校等に係る施策について記載することは可能であること。
8)全国学力・学習状況調査の結果の公表については、その実施要領により、市町村教育委員会は、それぞれの判断に基づき、当該市町村における公立学校全体の結果や当該市町村が設置管理する学校の状況を公表することが可能であり、都道府県教育委員会がこれらの結果を公表することについては、当該市町村教育委員会の同意が必要とされている。このため、域内の市町村における公立学校全体の結果や市町村が設置管理する学校の結果の公表について、市町村教育委員会が当該市町村の大綱に記載してもよいと判断した場合には、大綱に記載することもあり得ると考えられる一方、都道府県の大綱に記載する事項としては馴染まないものと考えられること。
 ただし、全国学力・学習状況調査の公表の是非ではなく、学力向上の観点から都道府県が実施する各種施策については、7)で示したとおり、大綱に記載することが可能であること。

(3)地方教育振興基本計画その他の計画との関係
1)地方公共団体において、教育基本法第17条第2項に規定する教育振興基本計画その他の計画を定めている場合には、その中の目標や施策の根本となる方針の部分が大綱に該当すると位置付けることができると考えられることから、地方公共団体の長が、総合教育会議において教育委員会と協議・調整し、当該計画をもって大綱に代えることと判断した場合には、別途、大綱を策定する必要はないこと。
2)新たな地方公共団体の長が就任し、新たな大綱を定めた場合において、その内容が既存の教育振興基本計画等と大きく異なるときには、新たな大綱に即して、当該計画を変更することが望ましいこと。

第四 総合教育会議について

1改正法の概要

(1)会議の設置、構成員等
1)地方公共団体の長は、総合教育会議を設けるものとすることとしたこと。(法第1条の4第1項)
2)総合教育会議は、地方公共団体の長及び教育委員会により構成することとしたこと。(法第1条の4第2項)
3)総合教育会議は、地方公共団体の長が招集することとしたこと。また、教育委員会は、協議する必要があると思料するときは、総合教育会議の招集を求めることができることとしたこと。(法第1条の4第3項及び第4項)

(2)会議における協議事項、協議・調整事項
 総合教育会議においては、(1)大綱の策定に関する協議、(2)教育を行うための諸条件の整備その他の地域の実情に応じた教育、学術及び文化の振興を図るため重点的に講ずべき施策についての協議、及び(3)児童、生徒等の生命又は身体に現に被害が生じ、又はまさに被害が生ずるおそれがあると見込まれる場合等の緊急の場合に講ずべき措置についての協議、並びにこれらに関する構成員の事務の調整を行うこととしたこと。(法第1条の4第1項)

(3)調整の結果の尊重義務
 総合教育会議においてその構成員の事務の調整が行われた事項については、当該構成員は、その調整の結果を尊重しなければならないこととしたこと。(法第1条の4第8項)

(4)会議の公開と議事録の作成及び公表
1)総合教育会議は、個人の秘密を保つため必要があると認めるとき、又は会議の公正が害されるおそれがあると認めるときその他公益上必要があると認めるときを除き、公開することとしたこと。(法第1条の4第6項)
2)地方公共団体の長は、総合教育会議の終了後、遅滞なく、総合教育会議の定めるところにより、その議事録を作成し、これを公表するよう努めなければならないこととしたこと。(法第1条の4第7項)

(5)その他
1)総合教育会議は、協議を行うに当たって必要があると認めるときは、関係者又は学識経験を有する者から、当該協議すべき事項に関して意見を聴くことができることとしたこと。(法第1条の4第5項)
2)総合教育会議の運営に関し必要な事項は、総合教育会議が定めることとしたこと。(法第1条の4第9項)

2留意事項

 今回の改正は、総合教育会議を設置することにより、教育に関する予算の編成・執行や条例提案など重要な権限を有している地方公共団体の長と教育委員会が十分な意思疎通を図り、地域の教育の課題やあるべき姿を共有して、より一層民意を反映した教育行政の推進を図ることとしている。

(1)会議の位置付けと構成員
1)総合教育会議は、地方公共団体の長と教育委員会という対等な執行機関同士の協議・調整の場であり、地方自治法(昭和22年法律第67号)上の附属機関には当たらないものであること。
2)地方公共団体の長及び教育委員会は、総合教育会議で協議・調整し、合意した方針の下に、それぞれが所管する事務を執行することとなること。
3)総合教育会議の構成員は、地方公共団体の長及び教育委員会であり、教育委員会からは、教育長及び全ての委員が出席することが基本と考えられるが、緊急の場合には、地方公共団体の長と教育長のみで総合教育会議を開くことも可能であること。
4)緊急の場合に、教育委員会から教育長のみが出席する場合には、事前に対応の方向性について教育委員会の意思決定がなされている場合や教育長に対応を一任している場合には、その範囲内で、教育長は調整や決定を行うことが可能であると考えられるが、そうではない場合には、総合教育会議においては一旦態度を保留し、教育委員会において再度検討した上で、改めて地方公共団体の長と協議・調整を行うことが必要であること。

(2)会議における協議事項、協議・調整事項
1)法第1条の4第1項における「調整」とは、教育委員会の権限に属する事務について、予算の編成・執行や条例提案、大学、私立学校、児童福祉、青少年健全育成などの地方公共団体の長の権限に属する事務との調和を図ることを意味し、「協議」とは、調整を要しない場合も含め、自由な意見交換として幅広く行われるものを意味するものであること。
2)総合教育会議は、地方公共団体の長又は教育委員会が、特に協議・調整が必要な事項があると判断した事項について協議又は調整を行うものであり、教育委員会が所管する事務の重要事項の全てを総合教育会議で協議し、調整するという趣旨で設置するものではないこと。
3)総合教育会議においては、教育委員会制度を設けた趣旨に鑑み、教科書採択、個別の教職員人事等、特に政治的中立性の要請が高い事項については、協議題とするべきではないこと。
4)一方、教科書採択の方針、教職員の人事の基準については、予算等の地方公共団体の長の権限に関わらない事項であり、調整の対象にはならないものの、協議することは考えられるものであること。
5)総合教育会議において、協議し、調整する対象とすべきかどうかは、当該予算措置が政策判断を要するような事項か否かによって判断すべきものであり、少しでも経常費を支出していれば、日常の学校運営に関する些細なことまで総合教育会議において協議・調整できるという趣旨ではないこと。

(3)会議における協議事項、協議・調整事項の具体的な例
1)法第1条の4第1項第1号に該当する事項として想定されるものは、例えば、以下のようなものが考えられること。

  • 学校等の施設の整備、教職員の定数等の教育条件整備に関する施策など、予算の編成・執行権限や条例の提案権を有する地方公共団体の長と教育委員会が調整することが必要な事項
  • 幼稚園・保育所・認定こども園を通じた幼児教育・保育の在り方やその連携、青少年健全育成と生徒指導の連携、居所不明の児童生徒への対応、福祉部局と連携した総合的な放課後対策、子育て支援のように、地方公共団体の長と教育委員会の事務との連携が必要な事項

2)法第1条の4第1項第2号における「児童、生徒等の生命又は身体に現に被害が生じ、又はまさに被害が生ずるおそれがあると見込まれる場合」に該当する事項として想定されるものは、例えば、以下のようなものが考えられること。

  • いじめ問題により児童、生徒等の自殺が発生した場合
  • 通学路で交通事故死が発生した後の再発防止を行う必要がある場合

3)また、法第1条の4第1項第2号における「等の緊急の場合」に該当する事項として想定されるものは、児童、生徒等の生命又は身体の保護に類するような緊急事態であり、例えば、以下のようなものが考えられること。

  • 災害の発生により、生命又は身体の被害は発生していないが、校舎の倒壊などの被害が生じており防災担当部局と連携する場合
  • 災害発生時の避難先での児童、生徒等の授業を受ける体制や生活支援体制を緊急に構築する必要があり、福祉担当部局と連携する場合
  • 犯罪の多発により、公立図書館等の社会教育施設でも、職員や一般利用者の生命又は身体に被害が生ずる恐れがある場合
  • いじめによる児童、生徒等の自殺が発生した場合のほか、いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号)第28条の重大事態の場合

(4)協議・調整した結果の尊重義務
 総合教育会議において調整が行われた場合とは、地方公共団体の長及び教育委員会が合意した場合であり、双方が合意をした事項については、互いにその結果を尊重しなければならないものであること。なお、調整のついていない事項の執行については、法第21条(現行法第23条)及び法第22条(現行法第24条)に定められた執行権限に基づき、教育委員会及び地方公共団体の長それぞれが判断するものであること。

(5)会議の公開と議事録の作成及び公表
1)総合教育会議における議論を公開し、住民への説明責任を果たすとともに、その理解と協力の下で教育行政を行う趣旨を徹底するため、会議は原則として公開するものであること。非公開とする場合は、例えば、いじめ等の個別事案における関係者の個人情報等を保護する必要がある場合や、次年度の新規予算事業に関する具体的な補助金の額や対象の選定等、意思決定の前に情報を公開することで公益を害する場合等が想定されるものであること。
2)今回の改正において総合教育会議の議事録の作成及び公表を努力義務にとどめた趣旨は、職員数が少ない小規模な地方公共団体における事務負担等を考慮したものであるが、原則として、会議の議事録を作成し、ホームページ等を活用して公表することが強く求められること。

(6)その他
1)会議の招集
 総合教育会議は、地方公共団体の長が招集するものであるが、教育委員会の側から総合教育会議を招集を求めることも可能であり、教職員定数の確保、教材費や学校図書費の充実、ICT環境の整備、就学援助の充実、学校への専門人材や支援員の配置等、政策の実現に予算等の権限を有する地方公共団体の長との調整が特に必要となる場合には、教育委員会の側からも積極的に総合教育会議の招集を求めることができるものであること。
2)会議の事務局
 総合教育会議の運営にあたり必要となる、開催日時や場所の決定、協議題の調整、意見聴取者との連絡調整、議事録の作成及び公表等の事務は、地方公共団体の長が総合教育会議を設け、招集するとしていることに鑑み、地方公共団体の長の部局で行うことが原則であること。なお、地方自治法の規定に基づき、各地方公共団体の実情に応じて、総合教育会議に係る事務を教育委員会事務局に委任又は補助執行させることが可能であること。
3)総合教育会議における意見聴取者
 法第1条の4第5項において、意見を聴くことができる関係者又は学識経験者とは、大学教員や、コミュニティ・スクールにおける学校運営協議会の委員、PTA関係者、地元の企業関係者等が想定されるものであること。
4)会議の具体的運営
 総合教育会議の運営に関し必要な事項は、法第1条の4第9項により、総合教育会議の構成員である地方公共団体の長と教育委員会の協議の結果、双方の合意をもって決定されるものであること。具体的には、地方公共団体の長による招集手続、協議題の提示及び決定方法、総合教育会議の事務局を担当する部署、議事録の作成及び公表に係る実施方法、非公開とする議題についての指針等が想定されるものであること。
5)議会に対する説明
 総合教育会議における協議の結果や大綱について、民意を代表する議会に対する説明を通じ、住民への説明責任や議会によるチェック機能が果たされることは重要であること。

第五 国の関与の見直しについて

1改正法の概要

 教育委員会の法令違反や事務の管理及び執行に怠りがある場合において、児童、生徒等の生命又は身体に現に被害が生じ、又はまさに被害が生ずるおそれがあると見込まれ、その被害の拡大又は発生を防止するため、緊急の必要があり、他の措置によってはその是正を図ることが困難なときは、文部科学大臣は、教育委員会に対し指示することができることとしたこと。(法第50条)

2留意事項

法第50条の改正は、現行法における指示の要件を拡大して国の関与を強化しようとするものではなく、いじめ自殺等の事件発生後においても、同種の事件の再発を防止するために指示ができることを明確にすることを趣旨として行うものである。

第六 経過措置等について

1改正法の概要

(1)この法律の施行の際現に在職する教育長(以下「旧教育長」という。)は、その教育委員会の委員としての任期中に限り、なお従前の例により在職することとしたこと。(改正法附則第2条第1項)
 この場合、現行法第2章等の関係規定はなおその効力を有することとしたこと。(改正法附則第2条第2項)

(2)(1)により旧教育長が在職する場合に、教育委員会の委員長である者の当該委員長としての任期は、現行法第12条第2項の規定にかかわらず、旧教育長の委員としての任期が満了する日(当該満了する日前に旧教育長が欠けた場合にあっては、当該欠けた日。)において満了することとしたこと。(改正法附則第2条第3項)

(3)新「教育長」の任命のために必要な行為は、改正法の施行の日前においても行うことができることとしたこと。(改正法附則第3条)

(4)施行の日から4年を経過するまでの間に任命される委員の任期は、法第5条第1項の規定にかかわらず、当該委員の任期の満了の期日が特定の年に偏ることのないよう、1年以上4年以内で当該地方公共団体の長が定めるものとしたこと。(改正法附則第4条)

(5)その他所要の規定の整備を行ったこと。

(6)改正法は、一部の規定を除き、平成27年4月1日から施行することとしたこと。(改正法附則第1条)

2留意事項

(1)改正法における経過措置
1)新「教育長」の任命
 現行法の下で任命された旧教育長は、施行の日以後であっても、委員としての任期が満了する日までの間は、在職するものとしていること。この場合には、教育委員会の委員長に係る規定等、現行法の一部の規定がなお効力を有するものとしていることから、委員長の任期が満了した場合には改めて委員長を選任する等、適切な対応を行う必要があること。
2)委員長の任期
 改正法の施行の日以後、旧教育長が在職している場合であって、当該教育長が委員として任期満了(辞職、罷免等により欠けた場合を含む。)となった場合には、教育委員会の委員長である者の当該委員長としての任期も、同時に満了するものであること。
3)新「教育長」の任命に係る準備行為
 新「教育長」の任命のために必要な行為について規定した改正法附則第3条の施行日は、公布の日(平成26年6月20日)であることから、新「教育長」の任命に関し必要となる議会同意等については、公布の日から行えるものであること。
4)施行日以後新たに任命する委員の任期
 教育委員会の委員については、制度創設時に、最初に任命される委員の任期は、2人は4年、1人は3年、1人は2年、1人は1年とする特例が設けられており(現行法附則第8条)、原則として教育委員会の委員は一斉に交代しない仕組みとなっている。
 新制度においても教育行政の継続性・安定性を確保する観点からは、任期が異なる教育長を除き、4年の任期である委員が、なるべく毎年一人ずつとなるように異なる年に交代することが必要であるが、旧教育長が委員でなくなることにより、ある年には交代する委員がいないが、ある年には2人の委員が交代するという場合も想定される。このため、施行の日から4年間の間に、一部の委員を4年より短い任期で任命することにより、各委員がなるべく異なる年に交代するよう調整する必要があること。

(2)事務局機能の強化
1)職員の資質向上
 教育委員会が期待されている役割を十分に果たすためには、教育委員会を支える事務局職員の資質能力をさらに向上させることが必要であること。また、教育委員会事務局職員は、教育長及び委員が適切な判断を行えるよう、教育長及び委員に適切に情報を提供するよう努めなければならないものであること。
 さらに、教育委員会においては、教職員経験者のみならず、教育行政の専門性を有する行政職員を計画的に育成するため、一般行政部局との人事交流や行政職員の長期間にわたる教育委員会事務局への配置など、適切な人材育成が行われる工夫が必要であること。あわせて、各教育委員会においては、事務局職員に対する研修を充実させる必要があること。
2)事務局体制の強化
 特に小規模な教育委員会の事務局においては、指導主事が配置されていないなど、事務体制が脆弱であるため、学校指導などが十分に行き届いていないことが課題となっているため、各都道府県教育委員会においては、小規模な教育委員会事務局の支援に取り組まれたいこと。この際、「平成26年度文教関係地方財政措置予定及び東日本大震災関連の財政措置の状況について」(平成26年1月27日付文部科学省大臣官房会計課地方財政室、初等中等教育局財務課教育財政室事務連絡)において既に連絡したとおり、本年度の地方財政措置において、各道府県教育委員会における指導主事の地方交付税措置について、6名分(標準団体規模)を増員したことを踏まえ、例えば、教育事務所への指導主事の配置による市町村教育委員会への積極的な訪問や小規模な市町村教育委員会事務局への派遣等を通じて、積極的に市町村教育委員会を支援されたいこと。
 また、市町村教育委員会は、法第18条第4項後段の規定に基づき、県費負担教職員である教員を、その任命権者である都道府県教育委員会の同意を得て、当該市町村教育委員会の事務局に置く指導主事に充てることができることとなっている(地方教育行政の組織及び運営に関する法律施行令第4条第1項)ため、本制度(充て指導主事)の活用による指導主事の配置についても検討されたいこと。
3)その他
 現行法第19条第8項(法第18条第8項)においては、教育委員会事務局の職員のうち、所掌事務に係る教育行政に関する相談に関する事務を行う職員を指定しなければならないこととされており、未だ当該職員を指定していない教育委員会においては、早急に指定すること。

 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律

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(初等中等教育局初等中等教育企画課)

-- 登録:平成26年07月 --