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三 文化・スポーツの国際交流等

文化の国際交流

 これまでの我が国と諸外国との文化的なかかわりは、我が国がアジア大陸の東に位置する島国であるという地理的環境や明治以来西洋諸国をモデルとして近代化が進められたこともあり、全体としては受容に偏し、相互交流とは呼び難いものであった。しかし、我が国の国際的な地位の向上に伴って、我が国の文化と歴史に対し多くの国からこれまでにない強い関心が払われるようになる一方、我が国においても、欧米文化に加え、広く世界各国の文化に対する関心が深まった。また、文化面での国際貢献も強く求められるようになった。このような中で、国のレベルではもとより、地方自治体や民間のレベルにおいても、多方面にわたる国際的な交流が積極的に展開されるようになり、文化面における国際交流の推進は重要な政策課題の一つとなっている。

 文化庁では、これまで、芸術家や専門家の受入れ・派遣及び研修、国民に対する諸外国の芸術文化鑑賞機会の提供、日本古美術品展の開催・舞台芸術の公演などによる日本の芸術文化の諸外国への紹介などの事業を実施してきたが、さらに、文化の国際交流を政策の柱の一つとして強力に推進することとし、舞台芸術の海外公演や海外芸術家の招へいを拡大したほか、平成元年度から国民文化祭及び全国高等学校総合文化祭に関連して地域レベルやアマチュアレベルでの国際文化交流事業を開始した。また、二年度から東京国立近代美術館フィルムセンターで散逸するおそれのあるアセアン諸国の戦後の名画の収集を始めたほか、昭和六十一年度から始まった中国敦煌莫高窟(とんこうばっこうくつ)の壁画・仏像等の保存修復のための日中共同研究など文化財保存修復のための国際協力も積極的に行ってきた。さらに、平成二年二月には、西側先進七か国の高級文化行政官の参加を得て文化政策国際会議を開催し、各国の文化行政機関の間の連携・協力強化に貢献した。

 文化庁のほか、昭和四十七年十月に国際的な文化交流を実施する外務省所管の特殊法人として設立された国際交流基金も、人物の派遣・招聘、文化交流のための催しの実施・援助、日本文化を海外に紹介するための資料等の作成・配布などを通じ、文化交流において大きな役割を果たしてきた。

スポーツの国際交流

 スポーツの国際交流は、我が国のスポーツの普及・発展に寄与することはもとより、諸国民の間の相互理解を増進し、友好親善を深める重要な役割を持っている。東京において我が国初の夏季オリンピック競技大会(昭和三十九年)が開催されたことは、スポーツ交流の持つこのような意義を広く国民に訴えるものであった。我が国が独立を回復した二十七年に戦後初めて夏季オリンピックヘルシンキ大会に参加して以来、オリンピック競技大会のほか、ユニバーシアード競技大会、アジア競技大会など各種の国際的競技大会への参加や開催を通じ積極的に国際交流を図ってきた。

 このようなスポーツ競技大会を中心とした国際交流に加え、近年、市民の参加による各種スポーツ交流、スポーツに関する相互研修や研究協力など多様な形の交流が行われるようになった。文部省としても、スポーツ指導者在外研修、海外スポーツ技術協力、社会体育指導者海外派遣などの事業を実施してきたほか、六十年度からは市町村住民とアジア諸国の国民のスポーツ交流を助成する「アジア地域スポーツ交流事業」を実施している。平成三年度から、この事業を「生涯スポーツ国際交流事業」として対象をアジア諸国以外の開発途上国等へも拡充した。

開発援助

 環境問題、移民問題など、世界的規模での対応が必要とされる課題の中で、南北問題は引き続き深刻な問題であり、発展途上国に対する開発援助は、先進国に共通する重要課題となっている。我が国は、経済力と国際的地位に応じた開発援助の拡充に努め、政府開発援助(ODA)の規模は米国と並び各国中最大の水準に達しているが、近年は、人材養成等の人づくりに関する援助の重要性が、援助国、被援助国の双方において深く認識されるようになり、教育、学術、文化等の分野における開発援助が脚光を浴びるようになってきた。文部省としても、開発援助に係る事業・予算の拡充に努め、文部省のODA予算(一般会計のみ)は、昭和五十六年度から十年間で約六倍の伸びを示し、平成三年度には約三〇〇億円に達している。この額は、政府全体のODA(一般会計のみ)の約三%に当たるが、特別会計も含めた文部省ODA予算総額(約三五五億円)は、全省庁の中でも第四位の額であり、特に、教育訓練を含む「技術協力」の分野(政府全体二、六八六億円)では、文部省はその一〇数%を占めるに至っている。文部省のODA予算は、その約八割が留学生関係経費であり、他の約二割が外国人への日本語教育、途上国との学術交流、ユネスコ活動、文化・スポーツ協力等に係る各種事業に充てられているが、近年特に、我が国の教育水準の高さが驚異的な経済的発展をもたらしたとの認識が国際的に広まり、識字教育等を含む基礎教育に係る援助を求める声が高まりつつある。

 高等教育の関係では、留学生受入れのほか、国際協力事業団(JICA)を通じた協力として、専門家の派遣、研修員の受入れ、集団研修コースの実施、プロジェクト方式技術協力などが、多くの国立大学等で活発に行われるようになってきた。このほか、開発援助に携わる人材の不足に対応するため、平成二年三月、我が国の高等教育機関における開発援助関係の教育・研究を振興することを目的として、財団法人国際開発高等教育機構(FASID)が文部省と外務省の共管法人として設立された。また、三年度から、開発援助に関する教育・研究を目的とする研究科等(いわゆる「開発大学院」)を国立大学に設置することも開始された。

外国人子女教育

 我が国に居住する外国人子女の教育については、国際人権規約を踏まえ日本人子女と同様の就学機会を確保することとしており、外国人子女が我が国の公立小・中学校において教育を受けることを希望する場合には、これを無償で受け入れることとしているが、近年、我が国に居住する外国人の数の急激な増加に伴い、我が国の学校に就学する外国人子女が増加する傾向にある。このため、文部省は平成二年十月、外国人に対する教育の振興・普及の企画・調整等を所掌する組織として「国際教育室」を設置するとともに、公立小・中学校への就学について適切な情報提供を行い、公立小・中学校に就学する外国人子女に対する日本語指導等を円滑に実施するための条件整備を行う等の施策を推進している。

 なお、三年五月現在の外国人子女の在籍状況は、小学校に四万七、五九一人、中学校に二万四、七四九人、高等学校に一万六、五七三人、盲・聾・養護学校に四六八人、幼稚園に三、五六七人となっており、また、各種学校の認可を受けた外国人学校(一三六校)に三万八三二人となっている。

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