一 戦後宗教政策の転換

 第二次世界大戦後、我が国の宗教政策は大きな転換を遂げた。戦前の宗教団体法が宗教団体の法的地位を確立する一方で、宗教団体の統制、監督、保護を根本原則としていたのに対し、戦後の宗教政策は、信教の自由と政教分離を原則とし、宗教団体の自治を最大限尊重し、行政の権限は宗教法人の管理運営という側面に限るということになった。

 昭和二十六年四月、宗教法人令に代わって「宗教法人法」が制定、施行されたことにより、戦後宗教政策の下での宗務行政の体制が整えられた。宗教法人法は、宗教団体の定義付けを行うとともに、その設立等について認証制度を採用し、また宗教法人の管理運営面では、その自律的運営にゆだねながら、責任役員制度と公告制度を設けてその民主性、公共性を確保するというものであった。この宗教法人法の下で、宗務行政は、宗教法人の設立、規則の変更、合併、解散についての認証を行うことを主たる業務とし、このほかに宗教法人が適切な管理運営を行うよう指導するにとどまる。宗教法人法施行後、今日に至るまで約四十年が経過したが、宗教法人法に大きな改正はなく、宗務行政の基本的な枠組みは変化していない。

 認証は、教派、宗派、教団等の包括宗教法人については主として文部大臣が、神社、寺院、教会等の単位宗教法人については都道府県知事がそれぞれ行うが、認証を受けて設立された宗教法人数は、過去四十年、おおむね一八万前後で推移し、大きな変化はない。

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