一 芸術創作活動の振興

 民間芸術団体等の活動を支援する補助金は、昭和三十四年度に社会教育関係団体補助金の一部として開始され、四十二年度に「芸術関係団体補助金」として分離独立、五十三年度にはこれが「民間芸術等振興費補助金」と改称された。民間芸術等振興費補助金は、高水準の芸術活動事業、青少年等に対する芸術普及事業、芸術関係の資料整備、芸術の国際交流促進事業等に係る経費に対して交付され、長く文化庁の芸術創作活動支援の中心的役割を担った。

 その後、時代の進展の中で、新たな施策の展開を図るため、日米文化教育交流会議(CULCON)の勧告に対応し、我が国の現代舞台芸術を米国に派遣し公演を行わせる「日米舞台芸術交流事業」(六十一年度開始)、広く舞台芸術の創作活動を促進するため、創造性に富む優れた音楽、舞踊及び演劇の公演の再演を奨励する「優秀舞台芸術公演奨励」(六十二年度開始)を創設し、また、企業等民間からの積極的な協力を得て、海外フェスティバルへの参加公演や大規模な国内公演を支援する「芸術活動特別推進事業」(六十三年度開始)を創設、実施している。

 二十年代後半から三十年代前半にかけて全盛を極めた映画は、その後テレビの普及や娯楽の多様化等により観客動員が大きく落ち込んで映画産業全体の衰退を招き、映画製作が次第に困難になっていった。こうした状況に対し、文化庁は、優れた芸術性に富む映画の製作を奨励するため、四十七年度から、公開上映された日本映画の中から特に優秀と認められた作品の製作者に対して奨励金を交付する「優秀映画製作奨励金制度」を開始した。また五十一年度からは、子供たちの美的感覚を養い、豊かな情操をはぐくむため、優れた子供向けテレビ用アニメーション映画作品の製作者に対して奨励金を交付する「こども向けテレビ用優秀映画製作奨励金制度」を開始した。これらの制度は、平成二年度に芸術文化振興基金における助成事業として拡充・再編され、文化庁においてはこれとは別に「優秀映画作品賞」を設け、優れた映画作品を顕彰することとなった。

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