九 南極地域観測事業

 国際地球観測年を契機として、文部大臣を本部長とする南極地域観測統合推進本部の下、昭和三十一年から開始された我が国の南極観測事業は、その後四十八年に設置された国立極地研究所を中核機関として、昭和基地、みずほ基地及びあすか観測拠点(六十年設置)において観測を実施している。

 これまでの観測により、大量の南極隕(いん)石の発見、オゾンホール現象の発見、大気球による南極大陸一周に成功するなど多くの成果をあげるとともに、平成元年一月に昭和基地に完成した多目的大型アンテナにより、我が国の科学衛星(地球観測衛星、オーロラ観測衛星)などの衛星データを受信できることとなった。また、観測船は、「宗谷」、「ふじ」(昭和四十~五十七年)に代わり、最新鋭の大型砕氷船「しらせ」(五十八年~現在)が観測隊の輸送を行っている。

 なお、三十六年に発効した南極条約(我が国は原署名国)は、平成三年、この条約に当初含まれていなかった南極の環境保護について、同条約の議定書及び附属書として追加規定することが関係国間で合意された。

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